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デジタルアンプLEPY(旧Lepai) LP-2024A+の修理~ステレオミニジャック交換~  [オーディオ]

2024年3月9日の日記

実に,7年ぶりの追加記事です[台風]

中国LEPY(旧Lepai)のデジタルアンプをいじって遊んでいました。

前回,ヘッドホン端子をつけて,ヘッドホンが使えるようにしました。

もう,7年も経つんですね~。月日の経つのは本当に速いです[雨]

さて,iruchanは今もLEPYのデジアンを愛用しているんですが,とうとう,LP-2024A+がおかしくなり,ここ半年くらい前から,どうにもch. Rの音が小さくなってしまいます。

プラグを抜き差しすると直るので,接触不良のようです。

といって,修理するのはめんどくさいので,しばらく放置してしまっていました.....[雨]

そんな具合で半年くらい我慢していたのですが,とうとう直すことにしました。

まあ,それにしてもこのアンプ,特に入出力の端子がお粗末で,特に,RCAジャックは買ってすぐにダメになってしまい,とうの昔に交換しちゃっています。

φ3.5mmのステレオミニジャックの方は問題なかったので,放置していたのですが,どうも中のリード片が変形してしまい,接触が悪くなってしまっているようです。

とはいえ,同じものを入手するのはまず無理で,なんとか互換性のあるものを,と思っていたら,秋月で,ほとんど同じものを売っていました。


たった50円で,中国・一暐實業有限公司(AVVICON ELECTRONIC CORP)という会社の製品のようです。

もとのLEPYのミニジャックとピン配置は同じで,そのまま差し込むことができました。

Lepy LP-2024A φ3.5mmステレオミニジャック.jpg 左:MJ-495,右:LEPY

残念ながら,高さだけ異なり,MJ-495はずいぶん低くなってしまいます。

iruchanはスペーサをかまして使おうか,とも思ったのですが,面倒なのでパネルの穴を改造しました[雨]

Lepy LP-2024A φ3.5mmステレオミニジャック2.jpg パネル穴の改造

まあ,スペーサを使うと,穴を改造しなくてもよいですが,ぴったりというスペーサを作るのは難しいし,ピンの穴開けも必要なので,パネルの穴を改造する方が簡単だし,また,ジャックを基板に密着させた方がモーメントも小さいし,将来,また接触不良になる可能性が低くなるだろう,と思います。

なんのことはない,せいぜい30分で修理完了でした[晴れ][晴れ]

Lepy LP-2024A φ3.5mmステレオミニジャック3.jpg 自作の専用電源と。

フルディスクリートのシリーズレギュレータです。max. 2Aなので十分です。

iruchanは仕事用のパソコン用につないでこのアンプを使っています。まだまだ頑張ってもらいます[晴れ]


【追記】

おぉ~~っと。

同じ部品はないかとAli Expressを探してみると,どうもPJ-306Mというのがほぼ完全互換品のようです。

残念ながら,Aliでは寸法がわからないので,同じ型番で探してみるとamazonで売っているではないですくゎぁ~[晴れ]

amazonは寸法も出ていて,調べてみるとほぼ同じです。これだとパネルの加工も不要な感じですが,残念ながら,自分でやってみたわけじゃないので,保証できません。

PJ-306M'.png ちょっと,10個もいらんわな~[雨]

Aliだと10個単位ですが,〒込でたった$2.68です。


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ABCD型差動アンプ採用CR型イコライザアンプ(EQアンプ)の製作 [オーディオ]

2024年1月30日の日記

今日は久しぶりにオーディオネタです[晴れ][晴れ]

コロナ禍で,ずっとiruchanも引きこもって工作をしていました。そのため,いろいろ資料が必要になるのですが,たまたま近所の図書館が耐震補強工事に入ったんですけど,予約すれば本が借りられるので,何冊も借りて読んでいました。

その中にラジオ技術があり,在架しているのは直近の2年分だけなのですが,何冊か借りてきて興味のある記事をPDFにしました。

残念ながら,ラジオ技術は何年か前に定期購読のみとなり,1冊ずつ買うことはできなくなりました。

秋葉やamazonで1冊ずつ買える,と言うのを知ったのは随分後のことで,すっかり縁遠くなっていました。

コロナ禍のおかげ(?)で久しぶりにラジオ技術を読みました。

その中で,2022年2月号に,"橋本式ABCD回路採用MC用フォノ・イコライザの製作" (室井清氏)と言う記事が載っていました。

最初は,ふ~~ん,変わった回路だな.....って言うくらいにしか思っていなかったのですが......。

なんとイコライザはCR型だし,回路は非常にシンプルで,極めてS/N比が高く,音もよいそうなので,ちょっと調べてみることにしました。

iruchanはメタルキャンのOPアンプ,LME49720Hを使った,イコライザアンプを作って以来,CR型しか作らないと決めたので,ちょっとこの回路にも惹かれました。

もとの回路は,ラジオ技術'74.7月号の,"ABCD形アンプの設計と製作" で,橋本順次氏が発表したパワーアンプの回路です。

そういえば,この方はiruchanも記憶があり,昔,OPアンプの回路なんかで勉強させてもらった記憶があります。

ABCDというのは氏の命名で,AB級コンプリメンタリ差動アンプの略だそうで,まあ,AB級というのは普通としても,コンプリメンタリ差動アンプ(complementary differential amplifier),と言う変わった回路です。

普通,差動アンプはPNPなり,NPNなり,同じ素子を2つ,エミッタを接続して使用する回路ですが,ABCD回路は,PNPとNPNのコンプリメンタリ素子を使い,エミッタ共通で使う回路です。PNPとNPNの両方を使っているので,コレクタはそれぞれ-Vccと+Vccに別々につながっていて,-Vccか,+Vccのどちらか一方にだけつながっている通常の差動アンプとは異なります。


もちろん,差動アンプですので,双方の素子の特性が揃っている必要があるんですが,コンプリメンタリならば問題ない,という考え方です。

回路の動作については,1974年の同氏の記事に載っているのですが,2022年5月号に復刻記事が載っています。

また,入力は各素子のベースに個別に加えるのに対し,ベースを接続してそこに加えます。ベース電流もエミッタ電流もコンプリメンタリ素子なので,相殺して流れません。
 
コンプリメンタリ・ディファレンシャル回路1.png
   差動アンプ      コンプリメンタリ差動アンプ

同氏が発表したプリアンプもあるはずなのですが,そちらの記事は見たことがありません。

室井氏はその回路をリファインし,現代によみがえらせたものです。MJでも最近,同様の回路のMOS-FETのアンプの記事が出ていますね。

iruchanはもう,パワーアンプには興味がないのと,フォノEQアンプで,CR型,と言うので,作ってみようか,と思いました。

それに.......ちょっと悪魔のささやきがありました[台風]

音がよいのだったら,オールメタルキャンTrで作ってみてはどうか,という悪魔のささやきです.....[台風]

う~~ん,これはいいかもしれません。古いTrで,電電公社などの納入品でメタルキャンの通信用Trというのがまだ探せば手に入る状況ですしね。もちろん,2SA6062SC959といったTrも手持ちがありますしね[晴れ]

早速,LTspiceで検証してみます。

それに,ちょっとこのラ技の記事には疑問点がいくつかありますので......。

そもそも,ラ技の記事は初段がバイポーラTrで,2SA992/2SC1845になっています。

これでMC用,と言うのはちょっと疑問があります。また,そもそも,初段がバイポーラだとDCアンプにならないはずです。バイポーラTrは電流制御素子なので,必ずベース電流が流れます。そのため,接続する機器により,初段のベース電位が狂い,出力にDCが出ます。

また,MCカートリッジは直流磁化するのを避けるため,流せる直流に限界があります。

いくらくらいなら許容できるのか,と言うのが問題で,何Aなのか不明なので,調べてみました。

 "オーディオ用FETの活きた使い方" (誠文堂新光社1981年刊)を読むと,5nAと書いてあります。

これ,初段がバイポーラだとかなり厳しい数値です。FETだとpAオーダーなので,問題ないですけど,それでも,Vccが高いとゲート漏れ電流が流れるので,DCアンプでは,初段FETをカスコード接続して,VDを下げて使うことが多いのはよくご存じの通りです。

ABCD型差動アンプだと,PNPとNPNのTrを使うので,ベース電流が相殺され,0になる,と言うのですが,現実はそう甘くありません。

実際,DCアンプの初期の頃,金田氏が嫌う,上下対称回路にして,初段にPNPとNPNのデュアルTrを組み合わせ,ベース電流を打ち消して0にしたという回路も出ていましたが,やはり無理で,結局は初段にカップリングコンデンサを入れて,Direct ConnectアンプでDCアンプ,と言う記事も多くありました。

まあ,初段に使えるようなJ-FETはもちろん,デュアルのFETがほとんどなかったので,バイポーラで代用した,と言う時代ですね。

それと,CR型EQアンプの場合,f特がフラットなアンプを2台作り,間にCRのフィルタをかませる,と言う構造ですが,2段目のアンプの入力インピーダンスが重要で,初段がTrだと入力インピーダンスが低く,EQカーブがおかしくなりますし,使用するTrにより,定数が変わってしまうのも問題です。

そういう意味でも,やはり入力はFETでないとまずいですし,むしろ,CR型EQアンプは真空管アンプこそふさわしいんですよね。

と言う次第なんですが,iruchanは製作する前に必ずLTspiceでシミュレーションしてから製作することにしていますので,まずはシミュレーションしてみます。

それに,金田氏の記事によくありますけど,最近の雑誌の記事には必ずどこかにミスプリントがありますので......[雨]

下記のオリジナル回路でシミュレーションしてみました。

回路(ラ技 '22.2).pngラジオ技術 '22.2月号の回路

まずは過渡解析をして,初段のベースから流れ出る電流を見てみます。

初段ベース電流(ラ技 '22.2).png  初段ベース電流

やはり,初段はベース電流が流れ,107nAもあります。

使用するTrのhFEによっても変わるんですけど,いずれにせよ,5nA以下にすることは絶対無理,と思います。

これじゃ,MCカートリッジには使えません。

また,AC解析をしてf特を見てみると,低域のローリミットが高すぎ,60Hzくらいになります。

f特(ラ技 '22.2).png f特

       変なカーブですね......[雨]

これ,回路を見たときに気がつきましたが,DCサーボ回路の時定数が小さすぎ,動作周波数が高くなって,100Hzくらいまで効いているためで,そのため,60Hz付近にピークがあります。フィルタ用のコンデンサか,抵抗を大きくする必要があります。2μFでは小さすぎるな,と思っていました。

金田式の電流増幅プリアンプのSAOCの回路も時定数が足りず,▲みたいな特性になることがありますので,ご注意ください。

と言う次第で,回路をモディファイし,初段をJ-FETにし,DCサーボ回路の時定数を10倍にしてみます。

初段のJ-FETは本当は2SJ74/2SK170にしたかったのですが,入手難だし,あっても高いので,2SJ107/2SK366にします。|Yfs|が30mSもあるので,十分でしょう。なお,これらは2SJ104/2SK364の小パッケージ版で,チップは同じですので,こちらでもOKです。

それにしてもなんで同じチップでパッケージが違うのか.......[曇り]

回路(iruchan).pngiruchan版

ゲート電流はわずかに4pAでした[晴れ]

 初段ゲート電流(iruchan)1.png ゲート電流

FET入力OPアンプのLF356Hなどでも30pAですので,MCカートリッジも問題ありません。

次に,DCサーボ回路の抵抗を10MΩに修正してシミュレーションしてみます。別に,コンデンサの方を22μFにしてもいいんですけど,こうなると電解コンを使わないといけなくなりますので......[曇り]

f特(iruchan).png こんなカーブです。

これなら低域の周波数特性も十分です。

また,1kHzのゲインも60dBありますので,MCカートリッジ用としても適切です[晴れ]

            ☆          ☆          ☆

さて,部品集めです。

Trはすべてメタルキャンにすることにしたので,かき集めました。初段のFETは2SJ107/2SK366ですが,これは今でも入手可能です。

さすがにパワーアンプじゃないので,以前作ったスーパー・ストレートプリアンプみたいに2SA606/2SC959は電圧増幅段には使わず,最終の出力段のみにします。

Trは2段目にNECの2SA603/2SC1010,終段は日立の2SA565/2SC968を起用しました。フラットアンプは東芝の2SA1090/2SC2550とNECの2SA606/2SC959にしました。

別に全部一緒でもいいんですけどね.....。

どれもこれも音がよい,とされるエピタキシャルメサ型の構造をしています。それにどういうわけか,いずれも通信工業用で,NECは規格表にそのように書いてありますし,日立のはにHのマークがあり,通信用であることを示しています。

NECの2SA603の相棒は本当は2SC943なんですけど,入手できませんでした。また,東芝のメタルキャンはなかなか評判いいので,起用してみました。

日立の2SC968は金田式DCプリアンプの出力として,最初に起用されています。その後,音沙汰ないんですけど,金田式の定電流回路に2SC959の代わりに使うとよいらしいという話があるので起用しました。

相棒の2SA565は金田式のマイナス側レギュレータの定番で,2SA566と同じグループで,同じエピタキシャルプレーナー構造のため,音もよいはずです。2SA566は入手難で有名で,iruchanも20年ほど前,欧州で購入したものがあります。そのとき,コンプリの2SC680や,2SC968も一緒に買いました。

どういうわけか,2SA566のコンプリの2SC680はまったく使われたことがありません。2SA5652SC680も金田氏にフラれていて,一度も起用されていませんけど,なぜか,フラれたのがPNPとNPNが逆なのが面白いです......[曇り]

2SC680は,逆に,2SC1161の代わりにプラス側のレギュレータで使ってみようか,という気がしています[晴れ]

VCE=120Vというのは国産Trは高耐圧のものが少ないので,魅力ですよね。

と言う次第で,基板も作ってみました。今度,テストします。

ABCD型EQアンプ基板.jpg EQアンプ基板。まだ未テストです.....[曇り]

フラットアンプはオールバイポーラで製作中です。

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サブミニチュア管DCプリアンプの製作~その8・ノイズ対策~ [オーディオ]

2022年12月25日の日記

いよいよ年も押し詰まってきました。例年になく,去年もそうでしたが,年末に大雪[雪]でびっくりです。やはり地球はおかしくなっているようです。

さて,前回,ほぼ調整を終えたので,いよいよ実際に音を聴いてみたい,と思っています。

ところが....。

もう,気がついているのですが,結構ノイズが多いです。特に,少しハムが出ます。

まあ,ネットを見ても,金田式真空管DCプリアンプはハムが出る,というのは半ば常識なんですけどね......[台風]

オシロで出力波形を観察してみると120Hzなので電源のリップルが原因のようです。

また,phonoの時はかなりのホワイトノイズが出ます。VRが12時くらいの位置で,結構,シャーッと大きな音が出ます。

半導体プリアンプでもVRを最大にするとやはりシャーッという音がするので,それほど問題ではない,と思いますが,12時くらいの位置でこれほどノイズが出るとマズいです。

と言う次第で,ホワイトノイズとハム対策を考えます。

☆ハム対策

金田式真空管DCプリはハムが出る,というのは某掲示板にも出ていて,常識のようです。

確かに,特にEQアンプは407A717AEF86といった5極管を使っていますが,スクリーングリッドの使い方が特異で,直接,+Bに接続するようになっていて,Esg>Epという状態になっています。

普通,5極管のスクリーングリッドはEsg≦Epという状態で使うものです。逆にして使うのは,意図的に真空管に大電流を流そうとした,FuttermanのOTLアンプなど,特殊なアンプです。また,パスコンで接地して使うもので,スクリーングリッドは直流的には高圧,交流的には0Vという状態で使いますが,金田氏のような使い方だと交流的に浮いてしまう可能性があります。

電源の出力コンデンサに2.2μFが入っているので,交流的には接地されている,っていえば,そうなんですけどね....。

配線中のインダクタンスや直流抵抗分があるので,必ずしも実際には交流的には接地されません。また,パスコンと直列抵抗の時定数でフィルタを形成してスクリーングリッドにリップルが行かないように設計するのですが,金田氏の設計ではこれができません。

スクリーングリッドは,グリッドなので,当然,増幅作用があり,スクリーングリッド用電源は厳重にリップル対策しておかないと,リップルを増幅しちゃいます......[台風]

ということですが,金田氏の設計はスクリーングリッドに時定数を入れられないので,EQアンプ用レギュレータを2重にし,リップルを減少させています。

ただ,レギュレータ2段は必要ない,とiruchanは考えました。

さすがに,大げさですよね~。

と言うことで,iruchanは一段目はリップルフィルタで代用し,ついでに,フラットアンプにもリップルフィルタ経由で給電しています。

これなら大丈夫,と思ったのですけれど.....。

実は,何のことはない,ハムが出るのはphonoだけじゃなく,CDやAUXなどでも出ます。ということは原因は電源ですけど,EQアンプに問題があるのではない,と言うことがわかりました。

本機の電源回路は前回のWEのMT管を使ったDCプリアンプを踏襲していて,金田氏は整流に412Aを使っていますが,そこに2200μFもの大容量コンデンサを投入していて,ちょっと整流管がかわいそう,ということでiruchanは定石通り,47μFにしました。その後にリップルフィルタを投入し,大容量のフィルタ回路にしています。

本機はセレン整流器を使ったので,もっと大容量のものでいいはずですが,共通の基板を使ったので,47μFです。

やはりこれが少し少なすぎたようです。残念ながら,リップルフィルタは優れた回路だと思いますが,入力のコンデンサはやはり大きめの容量のものが必要です。このコンデンサである程度,リップルを低減しておいてやらないと,あとのフィルタも十分に機能しません。

ということで,今回,47μFだった入力のコンデンサをスペースが許す限り大容量のものにしよう,ということでニチコンの160V,330μFにしました。φ18mmなのでギリギリですけどね。

と言うことで,実際に調べてみます。

オシロで47μFの電圧波形を見てみると.....。

非安定化出力(47μF).jpg 47μFの端子電圧です。

なんと,やはり11Vp-pくらいのリップルが出ています。

これだけリップルが残っていると,あとでリップルフィルタで平滑化しても多少,リップルが残ってしまいます。

LTspiceで確認してみます。

サブミニDCプリアンプ回路図(電源部)3.jpg

    iruchan版真空管DCプリアンプ電源部です。

EQアンプ用レギュレータは100Vレギュレータのみにしています。その代わり,前にリップルフィルタを入れて,フラットアンプもそこから供給するようにしています。

入力コンデンサを47⇒330μFにしてシミュレーションしてみます。整流はシリコンDiを使ってみます。

47μF.png 47μFの時。あちゃ~~[雨]

整流直後はほぼ実測値通り,13.7Vp-pものリップルが残っています。また,フィルタ直後にも2mVp-pくらいのリップルが残ります。EQアンプ用には,18μVp-pくらいなので問題ないレベルだと思います。だから,phonoの時だけハムが出る,ということがなかったようです。

330μF-1.png 330μFの時。シリコンDi

今度はさすがにかなりリップル電圧が下がり,フィルタ直後で150μVp-pとなり,EQアンプ用は半分になりました。

330μF,セレン.png セレン整流

今回,iruchanはSiemens製のセレンブリッジを使っています。ちょっとLTspiceで遊んでみました。セレン整流器のモデルもネットに出ていました。

セレンを使うとやはり出力電圧が低下します。リップルフィルタ出力で30Vくらい下がってしまいますが,残留リップルは1/3になります。実際には,出力電圧は120Vくらいでしたから,Siemensのセレンは効率がよいようです。

330μF,セレン-1.png 時間全体です。

ちなみに時間軸全体を見てみるとこんな感じです。

リップルフィルタを使っているので,立ち上がりは非常に遅いです。実際にはレギュレータ出力は真空管6J1B-Vを使っているので,さらにもっと遅くなります。LTspiceは真空管の立ち上がりまでシミュレーションしていません。

それにしても,セレンを使うと音がよい,なんて言われますけど,残留リップルの値を見ても,その通りかもしれません。なお,レギュレータ出力の残留リップルは差はありませんでした。

iruchan版の電源でも,リップルフィルタを使っているので,これなら問題ない,と思います。

ちなみに,金田氏のオリジナルの回路でもシミュレーションしてみました。

サブミニDCプリアンプ回路図(電源部)2.jpgオリジナルNo.174電源部

整流管412AのSpiceモデルはこちらです。

412A金田式整流回路.png 金田氏オリジナル

こちらはさすがで,2200μFもの入力コンデンサを入れると,リップル電圧は109mVp-pです。これをフラットアンプに給電しています。ただ,これだと,ちょっとフラットアンプ用としても,リップルが大きすぎる気がします。iruchan版はこのあとにリップルフィルタを入れて,フラットアンプに給電しています。

EQアンプの方は,コンデンサインプット整流⇒105Vレギュレータ⇒100Vレギュレータと2段階でレギュレータを経由して給電していますが,最終的なリップル電圧は1.05mVp-pあります。

ちょっとおかしいので,調べてみたのですが,2段目レギュレータの入力と出力の電圧差が小さすぎるようです。

リニアレギュレータは入出力の電圧差はある程度,大きく取らないとリップルが残りますのでご注意ください。3端子レギュレータでも,低電圧ドロップタイプというのがありますけど,リップル除去性能が劣りますので,注意が必要です。

ちなみに,2段目レギュレータの出力電圧を90Vに変更してみると,リップル電圧は7.6μVp-pとなり,iruchan版と同等になりました。

もし,phonoだけハムが出る,と言う場合は2段目の出力電圧を下げて,90Vくらいにするとよいと思います。その場合は,▲の回路の分圧抵抗R13を12kΩにすればよいです。

ほかに,ネットを見ると,レギュレータの誤差増幅管5702のヒータ電源をACではなく,DC点火するとハムが消えた,という話もありますので,念のため,iruchanも6N17B-Vなどの点火用の-12V(h-k耐圧を考慮してマイナスで点火しています)のDC電源から抵抗で電圧ドロップさせてDC点火してみました。

☆ホワイトノイズ対策

残念ながら,原因として考えられるのは抵抗や真空管の熱擾乱雑音や電源ラインがノイズを拾っている,ということです。

前者は低雑音抵抗,すなわち金属皮膜抵抗にするとか,抵抗値をできるだけ小さくするとかの対策や真空管の選別がありますけど,いずれもそう簡単にできることではありません。抵抗値なんて決まってしまっていますしね。昔はできるだけ抵抗の温度を下げるようにして,1Wとか2Wとかの大型の抵抗を使う,なんてことが本に書いてありました。

真空管については,残念ながら,同じ形式のものを大量に丸1日くらい,通電してチェックすればよいのでしょうけど,そんなこと,やっていられませんしね.....。昔はソニーのC-37AやNeumannのU-87など,真空管式マイクロホン用の真空管はそのようにして選別された真空管を使っていました。TELEFUNKENの◆マークのECC83なんかは心電図用で,そのリジェクト品が秋葉原で出回っていたという話です。

後者は対策としてはシールド線にするくらいしかなさそうなので,シールド線に交換しました。

ついでに,今回,iruchanはEQアンプの6J1B-Vのスクリーングリッドを0.1μFのフィルムコンで接地してみましたけど,そう効果はないようです。ちなみに,Raytheonの5702も持っているので,ノイズも調べてみたい,と思います。でも,余り出来がよくなさそうな感じで,旧ソ連製の方がノイズは少ないんじゃないか,という気がしますけどね。

ただ,電源のシールド線化は効果があるようで,12時の位置でもホワイトノイズは聞こえなくなりました。さすがにVR最大だとシャーッと音がしますけどね。ずいぶん小さくなりました。

          ☆          ☆          ☆  

これでようやくノイズ退治ができました。新年はこのプリアンプでこけら落とし,といきませう[晴れ]


2022年12月29日追記

☆セレンの整流特性

ネットを探してみるとセレン整流器のSpiceモデルが載っていましたので利用してみました。RCAの6枚フィンの#752652というセレンのモデルのようです。

.SUBCKT seleniumrectifier P K
BP P K I=(12.42276354/1.0e4)*uramp((V(P,K)*0.55)+(-2.938702085))**2.4
.ENDS
 
これをサブサーキットとして登録しました。
 
ついでに,オンセミのWEBにiruchanがいつも使う,ファーストリカバリのUF4007のSpiceモデルが出ていたのでありがたく利用させていただきました。
 
.MODEL UF4007 D (N=3.97671 IS=3.28772E-006 RS=0.149734 EG=1.11 XTI=3 CJO=2.92655E-011 VJ=0.851862 M=0.334552 FC=0.5 TT=1.84973E-007 BV=1000 IBV=0.2 KF=0 AF=1 mfg=Vishay)
 
整流特性.pngWEの412Aと比較しました。
412Aは先ほどのiruchan自作モデルです。
それにしてもUF4007の優秀なことに驚き。思わず,氏ね! と思いました.....[台風]
 
驚いたのはセレンには不感帯がある,ということ。
 
もちろん,よく知られているとおり,半導体はP-N接合面で0.6Vほどの不感帯があり,その間の電圧では動作しませんが,セレンの場合は,数Vもあります。本モデルだと5.5Vくらいのようです。
 
それは知っていたので,少し不感帯の電圧が高すぎるような気もしますが......まあ,セレンだと2~5Vくらいの電圧範囲は動作しません。
 
もちろん,半導体としてはこれは不利で,この分,損失となって発熱しますので,それでセレンはフィンがついています。発熱が大きいとセレンは破裂し,有害なセレン蒸気を発生しますので,もし,動作中に破裂したらすぐに部屋の窓を開けて換気してください。
 
こういうこともありますが,不感帯が数Vもある,と言うことは逆に言えば,ノイズに強いわけで,オーディオには適しているのかもしれません。
 
WEの555レシーバーの励磁電源にセレンを使う人がいますけど,アンプのB電源だけじゃなく,フィールドスピーカの励磁電源としてもよいのかもしれません。


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サブミニチュア管DCプリアンプの製作~その7・EQアンプの調整~ [オーディオ]

2022年12月4日の日記

泥沼にはまっています.......[台風][台風]

前回,ようやくフラットアンプの調整が完了し,EQアンプの調整を始めたのですが,いくつも問題が出ちゃいました。

まずは,こちらのグラフのように,100Hz以下の低域で,EQ偏差が大きく,最大+2dB近くあります。

おまけに,どういうわけか,ch. Rだけ,逆で,100Hzくらいからダダ下がりで,偏差も20Hzで-2dBくらいにもなります[雨]

それに,最初からわかっていたことですけど,1kHzのゲインは40dBくらいで,MCカートリッジ用としては不足気味です。

まあ,金田式プリアンプではよくあることで,オールメタルキャンTrのスーパーストレートプリアンプでも43dBほどです。MMカートリッジ用としても十分なくらいで,通常,レコードを聴くボリウムの位置は2時くらいになってしまって,他のCDやチューナーとは大きくずれてしまいます。

まあ,金田氏はレコードしか聴かないから,いいのかもしれませんが......。

と言う状況で,いくつか宿題が残っちゃいました。

☆ゲイン増大

まずは,1kHzのゲインを50dBくらいにしたいと思います。

半導体プリアンプなら簡単で,反転入力(NFB)側のゲート抵抗を小さくするだけです。こちらでも書きましたように,EQカーブにも影響しませんので楽勝.....なんですけど.....。

今回は真空管プリアンプというのが問題になります。

真空管DCプリアンプの場合,初段はシングルになっています。差動アンプにしたいのですが,ノイズの点でシングルになっています。

この場合,初段のカソードに帰還することになりますが,ゲイン増大のため,この抵抗をいじると,初段の真空管のバイアス電圧が変わり,動作点が移動しちゃいますので,ひずみが増えないかどうか,確認する必要があります。

こういう場合,真空管アンプのときは帰還抵抗とバイアス抵抗を分割し,バイアス抵抗にパスコンをパラって動作点は変わらないようにするんですけど,DCアンプはこれは御法度でしょう。

ということで,Rk=160Ωで問題ないか,確認します。

本当なら,歪率計で実測しないといけないんでしょうけど......。

簡単にLTspiceで済ませちゃいました.....[雨]

こちらで書きましたけど,LTSpiceでtransient analisysを実行し,フーリエ分析のオプションをつけるとひずみ率が計算できます。

真空管のモデルは,5702だとMT管の6AK5と同特性なので,6AK5でシミュレーションしないといけませんが,前回,電極電圧がおかしかったので,6AU6でシミュレーションしました。

ところが.....。

EQアンプひずみ率特性.pngなんじゃこれ?

ひずみは2%にもなり,しかも普通は右肩下がりでひずみ率は下がってきて,クリップすると急増する,というグラフになるはずですが,ずっとフラット[台風]

こんなはずはありません。

まあ,右肩下がりになるのはノイズのせい,と教科書には書いてあって,LTspiceはノイズのシミュレーションまではしていないので,こんな風になるのは当然なのか,と言う気もするんですけど,いくらシングルのアンプと言っても2%のひずみ,というのは異常です。

おっかし~~な~~~[雨]

どうなっとるんや,と思いました。しばらく悩んじゃったのですが,ようやく出力された波形を拡大して判明しました。

どう見ても,左右非対称の波形になっていておかしいです。

ひずみというのは高調波が基本波形に重畳されて,上下対称(奇数次)または非対称(偶数次)にひずんでくるはずで,左右非対称とは普通,ならないはずです。

よ~く見てみると,サンプリング点数が少なくて,その間を直線で補間している,ように見えます。

ということで,おそらく,LTspiceの時間刻みが粗そう,と言うことに気がつきました。

1kHz time step=default.jpgtime step=default

時間刻みをデフォルト(空白)でやるとこんな波形です。

transient analysis time step.jpg Maximum Time step設定

ここを空白ではなく,10μsとしてみます。

1kHz time step=10μs.jpg きれいな正弦波となりました。

ようやくこれできちんとひずみ率が出るようになりました[晴れ]

EQアンプひずみ率特性(560Ω).pngRk=560Ω(原設計)

EQアンプひずみ率特性(160Ω).pngRk=160Ω

カソード抵抗は金田氏の設計では560Ωですが,160Ωでも問題ないようです。

ゲインが50dBになり,また,そのせいでクリップ入力電圧は1/10くらいになりますが,これは当たり前ですので問題ありません。

ひずみ率は560Ωのときより,最低レベルの領域が広まっているようですし,問題なさそうです。

しかし,こんなシミュレーションだけのレポート出したら電子科の先生は赤点でしょうね......[雨]

2SK170の発振対策

さて,お次はなぜ,ch.Rだけ100Hzからダダ下がりなのか......と言う問題です。

おそらく,ATRが動いていないから,と言うのは想像できますが,動いていない理由がわかりません。

基板を取り出して,ルーペやテスターで確認しても,イモはんだはありませんし,どこもブリッジしていません。

しばらく悩んじゃいましたが,やはり原因はATRに使われている2SK170の発振のようです。入力容量が30pFもある上,ゲート回路は数MΩとハイインピーダンスで動作しているので,発振しちゃっているようです。

これは簡単にゲートに10~100Ωくらいの抵抗を入れてやればOKです。

LTspiceでシミュレーションしてみても発振しないので,むりやりゲートに0.2μHを挿入したら見事に発振しましたので,やはり発振しやすいようです。

2SK170はJ-FETですけど,MOS-FETの場合は必ず挿入しますよね。

金田氏の原設計ではここにはなにも入っていないので,iruchanは75Ωを挿入しました。

これで,ATRは無事に動作したようですけど,20Hzで0.8dBくらいのピークが出ます......[曇り]

こうなると,前回,ATRのLPFの時定数が足りず,ATRの影響が出ている,と書きましたが,それだけではなさそうです。

☆EQカーブ補正

NR型イコライザの難しいところですが,こうなると,EQ素子の定数の変更が必要です。

NF型イコライザはアンプの裸のゲインが密接に関係していて,EQ素子の計算はかなり煩雑です。実際には完成後,測定して微調整,と言うことになることが多いか,と思います。

NF-CR型超シンプルオールFETプリアンプで経験しましたが,820kΩの抵抗を少しいじってやります。

前回は低域不足だったので,1MΩにしましたけど,今回は750kΩにして低域を減衰させます。

これで大体,ch.Lは予想通りのカーブになったんですけれど.....。

ch.Rはダメで,相変わらず100Hzからかなり急激に減衰します.....[台風]

散々調べた末,ようやくLTspiceでシミュレーションして原因がわかりました。

やはりATRが悪さしていました。

ch.RはどうもATRの動作点が悪く,分圧抵抗の分圧比を変えないといけないようです。

原因がわかっちゃうと簡単ですけど,iruchanはこれで1ヶ月以上,悩んじゃいました[雨]

EQアンプ回路1.jpgEQアンプ回路

分圧抵抗のGND側は金田氏の設計ではR9=680kΩで,ch.Lはこれでよかったのですけれど,ch.Rはこれだと低域ダラ下がりになっちゃって,少し,抵抗値を下げて,620kΩにしないとだめでした。

こうすると,初段のスクリーングリッド電圧が変わっちゃうのですが.....やむを得ません。

EQアンプ特性6.jpg調整後のEQアンプ特性

今度は逆にch.Rは低域で最大0.5dBの偏差が出ますから,650kΩくらいの値が最適値のようです。でもそんな中途半端な抵抗はE24系列じゃ,無いしな~[雨]

これでiruchanは10回以上,調整したのであきらめることにします。まあ,iruchanはフルレンジで聴いているし,もともと低域不足気味なのでいいか......と思いました。

それにしてもATRの回路の調整のシビアなことに驚き。LPFのコンデンサはもちろん,分圧抵抗のGND側でもEQカーブに影響が出てしまうのにビックリです。

         ☆          ☆          ☆

つづきはこちらへ.....。


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Garrard 301のオーバーホール~その2~ [オーディオ]

2022年11月22日の日記

restored Garrad 301-2.jpg 無事に帰ってきました.....

前回,英国の業者に送ったところまで,でした。

日本で修理する業者さんもあるんですけどね......。でも,値段は結構するし,それにパーツは結局,英国から輸入しているはずだし,下手すると修理もその業者に送っているだけじゃないか,と言う気もします。

普通はひと月もあれば修理してきれいに塗装し直して送り返してくれるのですが,結局半年かかりました...[雨]

なにより,どうにも連絡がつきませんでした。何度メールしても返事は来ないし,と言う状況で,まいりました。

おそらく,こっちのメールを見ていないんだろう,と思いました。

ということは今の時代,セキュリティソフトで迷惑メールになっている可能性もあるので,そう問い合わせても,そのメールは当然,見てない,と言う感じで,コミュニケーションに苦労しました。

どうも会社のメールアドレスに送るとダメ,と言うことがわかったので,相手の個人的なメールアドレスに送って連絡がつきました。

と言うことで,迷惑メールの話もしたのですけど,ITには詳しくないらしく,メールソフトの設定変更もできない様子。

さすがに,iruchanはそれこそインターネットすらない時代からレコードや真空管なんかを個人輸入していますけど,こういう経験は初めてです。かえってインターネットになって,面倒なことになった,という訳でしょうか。このGarrard 301は手紙でやりとりしてドイツから購入したものです。

まあ,iruchanの職場の人間もまったくITに疎い人が多いので,こんなものか,と思いますけど。うちの職場じゃ,Wordすら満足に使えない人がいます......。箇条書きとか,段落番号なんて言っても, "?" って人が多いです。

8月末に返送されてきました。

仕上がりは見事で,シャシーの左手前部分が曲がってへこんでいる部分があったのですが,溶接して修理してくれたようです。

各レバーや小さなばね類,アイドラーは新品に交換され,モータも分解して清掃,注油してくれたようです。

モータはiruchanもうっかりしていて,注油を忘れていたので,すっかりスラスト玉軸受が錆びていたようです[台風]

モーター軸受.jpg モーター軸受1.jpg 

 モータ軸受です。げっ!   ベアリングも交換して給油してくれました。

どうも水が入ったらしく,軸受が錆びていました。新品に交換し,注油してくれました。

蛇足ですけど,この部分も含め,ターンテーブルのシャフトなどの油はなにがよいのか,と思って聞いたら,「オレは3-IN-ONEを使っている。高価なオイルはバカだからやめろ」とのこと。

3-IN-ONEって何? って思ったら,米英で売られているエンジンオイルのようです。そういや,よく見かけますよね。

下手するとスクアランなんかの高級オーディオ用オイルを使う人がいるかもしれないけれど,こういう安い油で十分だそうです。iruchanも同感。そういえば,昔の "Audio Accessory" かなにかで,Mobile1を使う,と言う人がいましたけど,自動車用オイルで十分なようです。3-IN-ONEには電動モータ用,なんてのもありますから,今度,アメリカかどこか行ったらスーパーで3-IN-ONE買ってこ,と思いました。

リンク類はすっかりカドミウムメッキが剥がれ,錆びていましたが,メッキを剥離し,防錆処理してくれました。

restored Garrad 301.jpg とてもきれいです。


restored Garrad 301-1.jpg リンク類はクロム酸処理されています

防錆処理と言っても,クロム酸処理でしたけど.....一部の業者さんはクロムメッキをしてくれるようです。

ただ,クロムメッキも,自転車がそうですけど,やっぱ錆びますよね。

クロム酸処理というのは重クロム酸液に浸して表面に六価クロムの被膜を作る方法で,一番安い処理です。

ただ,正直,これが一番,さび止めにはよい方法ではないかと思うのですが,いかがでしょう。

プレート類もリベットを外して磨かれていました。

さて,ということでいよいよ配線してレコードを.....と思ったのですけれど.....。

なんと,ターンテーブルを回すと,キーッと鋭い音がします[台風]

慌ててターンテーブルを外してみると....。

pulley & eddy current brake.jpgブレーキ円板とプーリー

渦電流ブレーキの円盤が馬蹄形の永久磁石と接触しているようです。

まあ,この渦電流ブレーキの円盤がずれちゃったと思いますので,ねじを緩めて固定し直せばOKのはずです。

でも,この渦電流ブレーキの円盤を止めているイモねじはインチ!

もちろん,iruchanはGarrard 301は英国製なので,インチねじであることは想定していていて,以前,amazonでインチの精密六角レンチを買っておりました。

ところが.....。

どうにも六角レンチがあいません。

ほぼ3mmのねじですので,インチねじだと#4(1/8")のねじのはずで,とすると六角レンチは対辺1/16"のはずですが,はまりません。

逆に,その下の1/20"だとゴソゴソです。

困ったな......[台風]

ただ,よ~く見てみると,この円盤は新品。取り替えてくれていたようです。

とすると,最近の英国製のはずだから,ねじはISO(mm)のはずです。

実際,相手に聞いてみたら,たぶん,1.5mmとのこと。なんだ,最初からそう言え! って感じです。英国から発送する前に,プーリーのことを聞いたりしていたのですけど,"Screws are inches." と言っていたのに.....。そんなこと,百も承知ですけど,新品の部品はISOねじでした。

と言う次第で,ようやくISOの六角レンチで締めて完了,のはずですけど.....。

まだありました。

何と,プーリーまでずれていて,▲の写真を見ていただくとわかるんですけど,アイドラーの接触位置が45回転になっています[雨]

こちらは単にマイナスねじなので少し緩めて位置をあげて固定してOKです。

あとはストロボを見て,渦電流ブレーキを調整して33 1/3回転にあわせればOKです。

         ☆          ☆          ☆

さて,ようやくこれでレコードが聴けます。

Xanadu.jpg 1980年発売のアルバム "Xanadu" です

今日は,オリヴィア・ニュートン=ジョンを聴いてみませう。

残念なことに,彼女は8月8日にがんで亡くなっています。昨年末には神田沙也加さんも亡くなり,9月8日には敬愛するエリザベス女王も亡くなり,本当に残念です。

ということで,オリヴィアのレコードを聴いてみます。やっぱ,Xanaduでしょう[晴れ] 

iruchanが昔,買ったレコードです。

ELOとのコラボでミュージカル映画を作りましたけど,楽曲は最高でした。彼女は英国出身で,カントリー音楽主体に活動していましたが,これでひと皮むけて人気爆発,という状況でしたね。


う~~ん,やっぱレコードで聴く "ザナドゥ" もいいですね~[晴れ]


とても懐かしく聴けました。レコードも30年以上,経っているんですけど,ノイズもなく,いいですね~。

では。

           ☆          ☆          ☆

2023年3月21日追記

ちょっと,ターンテーブルの固定法に悩んでいました。

Garrard301は4本のねじで固定するようになっていますが,そのねじを固定するとシャシーの塗膜が剥がれちゃうんですよね.......[台風]

まあ,アルミに塗装してあるだけなので,塗膜が割れてしまって簡単に塗装が剥がれちゃいます。

と言うことで,何かいいものはないか,とずっと探していました。

柔らかいワッシャーがあればいいな,と思っていましたけど,たいていはナイロンワッシャーというものしか売られていません。これはナイロン樹脂を使っていますが,硬く,Garrard301に使われているような丸皿ねじをはめると割れちゃいます[雨]

ちなみに,もちろん,Garrard301はインチねじで作られているので,この固定ねじはW 1/4のねじ(Φ6.25mm)ですので,この径より大きめの内径のワッシャーなら使えるはずです。

ということでamazonではダメで,ロクなものが見つかりませんでした

ようやくmonotaroに,ぴったり,と言うのものがありました。

材質はウレタンエラストマーで,非常に柔らかく,また,外径もΦ13mmだし,厚みも1mmなので,締めてもはみ出しません。

ウレタンワッシャー.jpg 内径6.5mmのウレタンワッシャーです。

ウレタンワッシャー1.jpg こんな風に使います。

これを使うとねじが塗膜を傷めることもなく,きれいに固定できました。

なお,このねじを固定するときはねじを回すのではなく,ナットの方を回すようにしてください。

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ソニーSACDプレーヤ SCD-XE600の修理 [オーディオ]

2022年11月19日の日記

このところ,いろんなものを修理しています。この前はPanasonicのシェーバーの充電式NiCd電池を交換しましたし,その前の週は,嫁はんや娘の自転車のスポーク交換やパンク修理をしました。

今日はソニーのSACDプレーヤ SCD-XE600の修理をします。2004年の発売ですから,もう20年近く経つのですね。

値段は37,800円ですから,SACDプレーヤとしては破格の安値でした。ほかは10万円以上,と言うところですよね。

ということからか,どうもこのところ調子が悪く,トレイがなかなか開きません。

これ,CDプレーヤでよくありますよね~~[雨]

実を言うと,本務機? は1994年発売のソニーのCDP-XA5ESなんですけど,こっちの方がずっと古いのに,いまだになんとも問題ありません。古い方のが丁寧に作ってあって,問題ないのか....。

原因はトレイ駆動用のプーリーについているゴムベルトが伸びちゃったんです。

昔のCDプレーヤだとこの部分はプラギヤで駆動しているのですが,どうもコスト低減のためか,ずいぶん前からゴムベルト式になってしまい,そのうちゴムが伸びてトレイが開かなくなります。

本機も半年くらい前からスムーズにトレイが閉まらなくなり,モーターがウンウン唸った末,なんとか閉まって再生がはじまる,と言う具合で,いずれ完全に動かなくなるだろう.....とは思っていました。

案の定,先月,起動してみるとトレイをうまく収納しませんし,なんとか収納できてもCDを再生できません。

トレイがちゃんと規定の位置まで移動せず,センサーが収納完了という信号をマイコンに送らないようです。

昔はこのセンサはリミットスイッチの機械式でしたけど,今はどうなっているんでしょうか。

と言う次第で,ゴムベルトを交換したいと思います。

まずはフタを外して観察します。フタを止めているのがタッピンねじというのに驚かされますけど......。締め付け時に金属くずが内部に入ることがあるので,普通,精密機器には使わないですよね.....[雨]

SCD-XE600 内部.jpg 内部です。スカスカ....[雨]

残念ながら,フタを外したくらいではゴムベルトは見つかりません。

困ったな~,と思ったのですが,再度,電源を入れてトレイを開けてみて判明。

トレイを少しずらせばトレイすぐ下にありました[晴れ]

これなら簡単。最初はCDドライブ自体を外して底部にあるのか,と思いました。それだと厄介です。

とはいえ,これでも結構面倒。

よく見ると,ゴムベルトがついているトレイ側のプーリーにはピニオンがついていて,それでトレイ側のギヤを駆動しているのでギヤが邪魔で,このギヤを外さないとゴムベルトが外せません。

もちろん,トレイが外せないことにはそのギヤもゴムベルトも外せません。

それで,まずはフロントパネル外しちゃったのですが.....その必要はありませんでした。

よく見てみると,トレイをいっぱいまで引き出すと,ドライブのプラシャシーにストッパがあり,そこにぶつかってそれ以上トレイが前に出ないので外れないようになっているのですが,トレイにあるレバー状の部分を持ち上げてやればトレイが外れました。

SCD-XE600トレイストッパ1.jpg 

  ↓ 部分のストッパにぶつかるので,のように,レバーを少し持ち上げます。

SCD-XE600 pulley.jpg ゴムベルトがユルユルです[台風]

あとは簡単。

例の邪魔なギヤ▲は引っ張るだけではすれました。

ゴムベルトセット.jpg amazonで買ったゴムベルト

     ゴムベルトを外して交換します。

iruchanは事前にamazonで,40本入りの何種類も入ったゴムベルトを買っていました。

本来はラジカセ用らしく,元のソニーのよりずいぶん細いですけど,まあ,使えないことはないでしょう。

SCD-XE600 pulley1.jpg ちょっと心細いかも.....。


SCD-XE600 オリジナルベルト.jpg 

 オリジナルは□1.4mmで,φ42mmくらいのようです。

まあ,ゴムベルトの交換のしかたはわかったので,またいずれ,もう少しゴツいベルトに交換することにしませう。

       ☆          ☆          ☆

無事に直ったので,CDを聴いてみませう。

Let it go 四季.jpg

劇団四季のアナと雪の女王を嫁はんと見てきましたよ~~~[晴れ]

もう~~大感激!! 本当に素晴らしかったです。

エルサがノース・マウンテンに向かう途中,変身しながら歌う,"Let it Go~ありのままで~" はアニメの松たか子さんも本当に素晴らしかったですが,劇団四季の谷原志音さんも素晴らしかった~~[晴れ]

とはいえ,実を言いますと,iruchanが見に行ったのは去年の12月末......。そう,神田沙也加さんが亡くなった直後のことでした。それで,とても涙なくしてみられなかったんですけど.....[たらーっ(汗)]。チケットはずっと前に取っていたので,まさかこんなことになるとは思いもしませんでした.....。

最初に,ちびアナとちびエルサが出てくるともう涙が出て止まりませんでした。

たくさんの子供たちが変装して見に来ていたのがかわいかったです。なぜかみんなエルサの格好しているのはなんででしょ。ご丁寧にもみんな髪の後ろを束ねてエルサみたいにしているのがかわいかったですけど,髪が少ないし,短すぎるので,どう見ても弁髪.....[雨]

おまけに,嫁はんにシークレットチャームを買ってもらいましたけど,9種類あって,アナかエルサだとよかったんですが,2種類しかないオラフ.......[雪]

よりによってなんでこいつを引くんだよ......[台風]

アナと雪の女王.jpg すごかったです。

この劇団四季版サントラもすごくよいです。多少,オリジナルのディズニーアニメと歌詞やメロディーが違うので,最初は戸惑いますが,歌もどれもよいです。音質もよいです。

ようやくSACDプレーヤも直ったし,久しぶりに聴きました。


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サブミニチュア管DCプリアンプの製作~その6・調整編~ [オーディオ]

2022年10月22日の日記

サブミニ管DCプリアンプ.jpg こちらも完成間近です[晴れ]

コロナ禍のため,ずっと家にいる生活を続けてきて,その間,プリアンプを4台製作中ですけど,どれもほぼ完成に近づきました。

こちらのアンプは今年2月以来です。ようやくケースに入れて基板を取り付け,周辺の配線をしました。ケースは奥澤のRE-2Uを使いました。サイズは430(W)×60(H)×150(D)mmです。

iruchanは横着なことに,電源一体型で作っています。これで雑音の問題が出ないのか......ちょっと心配ですけどね。

オシロの波形を見る限り,問題なさそうです。特に,金田式真空管DCプリはハムが出る,ということが問題になっていますけどね。

さて,早速,特性を測定してみます。

☆EQアンプ

うまく特性が取れましたけど....。

EQアンプ特性1.5'.jpgEQアンプ特性です。

ch. Lは低域に大きな偏差のピークがあり,2dBくらいあります。また,ch.Rは100Hzくらいから下はかなりずれてダラ下がりにしまっています。

困ったな......[雨]

さて,どうしてこんなに低域の偏差が大きいのか.....。

ch.Lは金田氏の記事(No.174 MJ '03.12)を見ても同様で,Spiceのシミュレーション結果━━を見ても同様ですので,iruchanの問題ではなさそうです。

原因はオートトラックレギュレーター(ATR)のDC検出用LPFの時定数不足です。このカットオフが高すぎて,EQカーブに影響が出ている,と言う状況です。SAOCを採用した,IVC型EQアンプも同様です。

ここは,6.8MΩの抵抗と,0.1μFのV2Aコンデンサを使い,ミラー効果を利用してLPFを構成しているのですが,カットオフが高すぎるようです。

もともとはNo.145(MJ '97.3)に解説がありますけど,33000pFのSEコンを使っていましたので,容量が増えています。「さらに低い周波数までフラットにしたければ0.1μFにするとよい」と書かれているので,金田氏も認識はしておられるようです。

ただ,0.1μFでもまだ容量が小さいようです。

と言う次第で,LTspiceでシミュレーションしてみると,このコンデンサはもっと大きな容量のものが必要なようです。

また,どうにもch.Rは大きく低い方にずれていて,これはこれで問題。

どうもATRが動作してない,感じです......[雨] 

どこかでイモはんだか,はんだブリッジが発生しているかもしれません。

また,高域もプラス側にずれていますが,これはEQ素子の3.6kΩのせい。

NF型EQアンプの欠点として,この抵抗がないとNF100%となってしまい,超高域で発振することがあるため挿入してあるのですが,この抵抗のせいで,高域の偏差が大きくなってしまいます。

そこで,LTspiceで0Ωにしてみました。

EQアンプ回路.jpgシミュレーション回路

57026AK5と同特性なので,モデルは6AK5で代用すればいいのですがダメ。なぜか,transient analysisで解析してみると電極電圧がおかしい。初段のプレート電圧は10Vくらいになっちゃいます。しかたないので,6AU6で代用しました。これだと金田氏の記事や,iruchanのアンプの電圧,電流がほぼ一致しました。

2SK170のドレインと2SA872Aのコレクタに入っている0.1μFは0.47μFに増量します。また,1kHzのゲインは50dBくらいにしたいので,初段の5702のカソード抵抗は160Ωにしたいと思います。

EQアンプ特性4.6.jpgSpiceのシミュレーション結果

Spiceでのシミュレーションは1kHzでのゲインは51.6dBで,低域,高域ともに最大偏差は0.2dBほどになりました。

サブミニ管DCプリアンプ内部.jpg 内部です。

電源トランスはオランダに発注したトロイダルトランスで,英国製です。真空管とカップリングコンデンサは旧ソ連製。ブリッジDiは1960年代? ドイツ製の高圧セレンです。こう書くと高そうですけど,どれも安いです。

ボリウムは往年のVIOLETです。安くてもとてもいいボリウムを作っていました。Tr類はほとんどメタルキャンにしました[晴れ][晴れ]

金田氏はレベルシフトにモールドの2SA1967使っていますが,iruchanはモトローラのTO-5 2N5416を使っています。音がいいかどうか.......まだわかりません[曇り]

☆フラットアンプ

こちらの方はいつも通り,100kHzまでフラットで良好な特性でした。ch.Rだけ,高域に少しピークがありますけど,発振してませんし,この程度のピークなら,無視することにします。

ただ,なぜか,ch.Lとch.Rで3dBほどゲイン差があります。

何かおかしいですけど.....これも無視することにします(爆)。

FLATアンプ特性.jpgフラットアンプ特性

         ☆          ☆          ☆

と言う次第で,再調整となってしまいました[台風]。つづきはまた次回,です

サブミニ管DCプリアンプ1.jpg パイロットは3個つけました[晴れ]

左から順番に,AC100V,ヒータ用DC12V,高圧表示のLEDで,100Vレギュレータの出力です。DCはリップルフィルタやレギュレータを通っていますので,ゆっくり点灯します。真空管にも優しいですね[晴れ]


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金田式CR型超シンプルプリアンプの製作~その5:EQカーブと録音用バッファアンプ~ [オーディオ]

2022年9月19日の日記

超シンプルCR型プリアンプ.jpg ようやく完成です。

前回から半年が過ぎました。ようやく電源もテストが終わり,ケースに基板を収めて完成させたいと思います。

もとは,MJ '97.3月号のスーパー・サーキット講座No.15に掲載された回路です。一応,単行本にも転載されていますが,DCアンプシリーズとしては発表されていません。

よほど金田氏はCR型がお嫌いなのでしょうね。本機も回路や特性は掲載されていますが,完成した写真が載っていませんし,試聴会でも公開されたように思えません。

また,最近のIVC型イコライザでも,途中でしばらくCR型無帰還タイプを発表しておられましたが,再び,最近は2段差動NF型に戻っています。

と言う次第なんですけど,iruchanはCR型の音のよいことに気がついたのと,また,MJ '91.9月号掲載のNo.122 "オールFET スーパー・ストレートプリアンプ" の回路(NF型)がほとんど同じなので,CR/NF型切り替え式で作っています。うまくいけば,1台のプリアンプでCR型,NF型EQの音の違いが確かめられますね.....[晴れ] 

ところが......。

前回までに基板をチェックし,f特なども測定し,無事に動作することを確認したのですが......。

よくあることなんですけど,いざ,ケースに収めて入出力のシールド線を配線するとうまく動かない,なんてことがあるんですけど,やっぱり今回もしっかりドツボにはまってしまいました......[台風][台風]

CR/NF型の切替は6回路2接点のロータリーSWで配線しましたが,やはり非常に面倒。どこかで間違えているようです。イコライザアンプなのに,オシレータの信号周波数を高くすると,どんどん振幅が大きくなったり,フラットだったり,信号が出たなかったりして大変でした。

超シンプルCR型プリアンプ(iruchan)2.jpg全回路図

      ピンクはオリジナルとの変更点です。

まあ,しっかり配線チェックしてない方が悪いんですけどね。

でも,ロータリーSW回りの配線はゴチャゴチャで,配線するだけでも大変なので間違えてしまったようです。

と言う次第で,なんとか,CR型,NF型ともにきちんとイコライザーカーブが出るくらい,ちゃんと周波数が高くなると振幅が小さくなって,10kHzで-13dBくらいになることをオシロで観測するところまで来ましたけど......。

ところが,どういうわけか,ch.Rとch.Lで10dBくらいゲイン差があります。ch.Rが1.6Vくらいの出力が出るのに,ch.Lは1Vくらいにしかなりません。

おっかし~~~な~~~[雨][雨]

なかなか原因がわからず,2週間が過ぎてしまいました。

ようやく原因判明。

初段のソースには,2N5462の定電流回路を入れてあり,ゲート~ドレイン間に抵抗を入れて初段FET 2SK43の電流を決めています。

金田氏のオリジナルはここには抵抗が入っていなくて,0Ωになっています。

ところがこれではどうしてもオフセットが0にできなかったので,iruchanは47Ωを入れていましたが,ch.Lのほうは0Ωのままでした。

これに気がついて47Ωを入れたのですが,どうもパターンがショートして0Ωのままだったようです。

見つけてみれば,なぁんだ,という不具合ですけど,見つけるまで大変でした。

ようやくこれで正常動作[晴れ]

        ☆          ☆          ☆

今度は,EQアンプの出力にバッファアンプを入れたいと思います。

この頃の金田氏のプリアンプはMC専用プリということなので,CDを聴くことは考えていません。

iruchanはCDやFMも聴きたいし,ハイレゾも聴きたいので,入力を切り替えたいのですが,金田氏の原設計のままでは無理です。

というのは,普通,CR型イコライザアンプは,アンプを2台用い,1台目と2台目の間にCRのフィルタ(EQ素子)を入れる構造になっていますが,金田氏の設計はこちらにあるとおり,2nd.アンプを省略し,フラットアンプと兼用する回路になっています。これはそもそもMC専用だからできる構造ですよね。

この場合,EQアンプとフラットアンプの間に切替SWを入れることも,録音出力を入れることもできません。

なんとか,レコード以外の場合は,ロータリーSWでイコライザとは切り離せるので,何とかなるのですが,ただ,この場合,2段目(フラットアンプ)のバイアス設定用の抵抗を挿入する必要があります。これがEQアンプの負荷になってはマズいので,EQアンプの負荷とは別に,個別に入力端子に抵抗を入れる必要があります。▲の回路図で100kΩがそれです。なお,これがない場合,2段目のバイアスが加わらず,大きなオフセットが出ます。

しかし,録音出力はどうしても無理です。

録音出力を入れると,レコードの録音の場合,録音機器の入力インピーダンスがEQ素子のあとに入ることになり,イコライザカーブが狂ってしまうからです。

プリアウトから録音する,と言う手もありですけど,信号レベルが大きすぎるし,ボリウムで音量が変わってしまうのも困りもの。

ということで,しかたなく,録音用にバッファアンプを入れることにします。

とはいっても,オールFETのディスクリートとする元気はありません。

そこで,LF356Hを使ってOPアンプによるボルテージフォロアにしました。残念ながら,ここはやはり入力インピーダンスの関係で,バイポーラ入力OPアンプは不可です。LME49720Hだと音がよいだろう,と思うのですけどね。

LF356Hはiruchanお気に入りのOPアンプで,中国Lepai社のデジアンLP-2024Aの改造の時にも使っています。

やっぱり,メタルキャンのOPアンプは違うんですよね......。1970年代にナショセミが出した,最初のJ-FET入力OPアンプですけど,iruchanもあとでNF型のEQアンプやパワーアンプを作って遊んでいます。

今回,仏SGSトムソン製のTDC0156CMを使いました。ナショセミのLF156Hのセカンドソースです。同社以外のLF356Hをつかうのは初めてですけど,これはLF356Hの広温度領域版で,LF356Hが推奨使用外気温度が0~70℃なのに対し,LF156Hは-55~125℃となっています。

う~~ん,おそらく軍用だろうな.... Aérospatialeのエグゾセミサイルなんかに使っていたのかも.....。いや,エグゾセは空対艦ミサイルだから,そんなに温度範囲は広くなくてもよいはずだから,ICBM用かな.....。成層圏飛んでいるときはこんな温度のはずだし.....。

ICBMで,モスクワ狙っていたんだろうな.....いや,ひょっとしてフランス人のことだから,実はベルリンロンドン狙っていたんだったりして......[雨]。エグゾセミサイルもフォークランド紛争の時にイギリスの駆逐艦沈めて大顰蹙でしたよね.....。

この前,ちょっとLF356Hの在庫が乏しくなってきたので,eBayでフランス人から買いました。10個買ったら,2個,おまけしてくれました[晴れ] 

Merci France!

回路はごく簡単なボルテージフォロアです。

buffer amplifier.jpgバッファアンプ回路図

buffer amplifier1'.jpg バッファアンプ基板

やっぱメタルキャンはいいな~~。製造は1984年と思います。

Vccが17Vと高めなので,3端子レギュレータを入れました。+側は東芝のTA78L15にしましたが,ぴったり15.0Vなのに驚き。マイナス側は部品箱から出てきた,モトローラのMC79L15にしましたが,こちらは-15.6Vくらいだし,TDC0156CMをつないだら-14.6Vに低下する始末。まあ,時代が30年ほど違うから,そんなものなのかもしれませんが....。

超シンプルCR型プリアンプ1.jpg 内部です。

        ☆          ☆          ☆

特性を確認しておきます。

特性はch. Lのみ示します。ch. Rも同様の特性でした。

【EQアンプ特性】

EQアンプの出力を▲のバッファーアンプ出力で測定しました。

Spiceのシミュレーション結果も示します。ほぼSpiceの結果に沿っているので,回路上も問題ない,と思います。

RIAA偏差iruchan EQ5.jpg

CR型はほぼ偏差もなく,OKかと思います。10kHz以上で乖離がありますけど,さすがにテストオシレータの出力が1mVくらいでは波形にノイズが乗っているため,これはネグってもよいかと思います。

ただ,NF型は問題。低域で2dBほどずれています。

う~~ん,これは困りました[雨]

これはEQアンプの裸のゲインが足りないためです。さすがにオールFETのため,ゲインが足りないようです。

バイポーラTrを使っていると,2段差動アンプなら120dBくらいはゲインがありますが,オールFETのため,本機の裸のゲインは80dBくらいです。低域でゲインの余裕が足りないようです。

【フラットアンプ特性】

flatアンプ特性.jpg

iruchanはいつもだと,EQアンプとフラットアンプの間にVRを入れて音量調整をしていますけど,今回,バッファアンプを入れたのと同様の理由で,ここにVRは入れられないので,金田氏がずっとやっているNF量可変方式にしました。

この場合,どうしても音量調整範囲が狭くなり,また,完全に音量を0にすることができません。

今回,iruchanは音量調整可変範囲は1.9~33.7dBとなりました。ミュートSWを設けていないので,完全に音量を0にすることができません。実際,使ってみて考えることにします。

なお,f特は-1dBでDC~300kHzとなりました。

と言う次第で,一応,完成したのですけれど,NF型EQは要調整です。また宿題が出ちゃいました......[曇り] 

          ☆          ☆          ☆
 
2022年9月24日追記
 
NF型イコライザですが,改良しました。
 
低域で,イコライザカーブからずれてくる理由ですが,裸のゲインが不足している場合が多いです。
 
残念ながら,▲のグラフにSpiceのシミュレーション結果を載せていますけど,2SK43のモデルは2SK117で代用していますし,2N54652N5462はLT社のモデルを使いましたが,ネット上に出ているモデルはいろいろあって,どれもバラバラです。
 
FETなので,IDSSが違うと特性も変わってしまうので当然ですけど......。
 
と言う次第ですが,一応,またSpiceで調べてみます。
 
無帰還時特性.jpg開ループゲインです。
 
Spiceで開ループゲインを見てみると,91.5dBあるので十分ですが,やはり実測してみると83dBくらいしかありません。
 
グラフがぐちゃぐちゃで驚いちゃいますけど,iruchanも開ループ特性は初めて測ってみました。オシロの輝線もフラフラと動いて非常に測定しにくかったです。
 
NF型EQは1kHzでのゲインをMCなので54dBにしましたが,それだと20Hzでは74dB必要なので,実際には10dB弱しか余裕がありません。
 
ということで,全体の閉ループゲインを下げてもよく,その場合は▼の100Ωを大きくすればいいのですけど,そうするとCR型の方も下がってしまうので,あまり具合がよくありません。CR型の方は1kHzのゲインが43.2dBと,メタルキャンTrを使ったスーパー・ストレートプリアンプ同様,MC型EQアンプとしては最低レベルです。
 
となると,別の一手として,EQ素子を少しいじって低域のNF量を減らすことにします。
 
EQ素子変更.jpg
 
RIAAだと500Hzのターンオーバー周波数を決める820kΩを1MΩにしてみます。幸い,ニッコームだと1MΩがあります[晴れ]
 
RIAA偏差NF spice1.jpgSpiceシミュレーション結果
 
Spiceだと大きく低域が持ち上がり,2dBほど上昇してしまいますが,実機は実測で,-2dBくらいになっているので,実機だとうまくいく,と思います。
 
NF型イコライザアンプの設計は難しく,特に,素子の値を決める式はいろんなものが提案されていて,簡略式と呼ばれるものもありますが,いずれも問題点として,裸のゲインが∞であることを前提としています。
 
実際には裸のゲインは無限大ではないし,本機のようにFETを使っていたり,特に,真空管式の場合はゲインがギリギリの場合が多いので,定数の決定は難しいのですが,上記の簡略式で計算を済ませてしまっている場合がほとんどです。なにより,MC型の場合はもっと条件は厳しいわけで.....。そのため,実際には完成後,実験で決めることが多くなり,このあたり,NF型イコライザアンプの難しいところです。
 
NF型イコライザアンプの設計については,黒田徹著 "基礎・トランジスタアンプ設計法" に詳しく載っています。
 
RIAA偏差NF(1MΩ).jpg実機の結果
 
うまくいきました。20~10kHzで最大偏差は±0.3dBといったところです。本来なら,ターンオーバーの抵抗はもう少し大きめで,1.1MΩくらいの方がよさそうですが,まあ,これならよいでしょう。
 
10kHz以上でずれてしまっていますが,数MHzのノイズが乗っているため,です。LF356Hのボルテージフォロアは規格表を見るとカットオフが10MHzにもなってしまい,広帯域過ぎるようです。100kHzくらいのLPFを入れておこうか,と考えています。
 
また,本機の開ループ特性を見るとカットオフは2kHzくらい。OPアンプとしてはごく普通のカットオフです。特に,本機は2段目にCissが185pFもある2SJ72を使っているので,第1ポールが非常に低くなっています。
 
OPアンプならば,100%NFBとしても発振はしないのが普通なので,これくらいカットオフが低い方が安定です。
 
金田氏はNo.122で,"いかに本機の安定度が高く,応用範囲が広いか,計り知れないほどだ。" といつものようにまたものすごく[雨] オーバーに書いていますが,これだけカットオフが低ければ安定なのは当たり前です。むしろ,安定している分,帯域が狭くなるわけで,NFBがなかったら実用化できない,半導体アンプの宿命みたいなものです。

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Garrard 301のオーバーホール~その1~ [オーディオ]

2022年9月11日の日記

大変申し訳ありませんが,本項のタイトルから誤解されるといけないので最初に書いておきますが,オーバーホールはプロの職人さんにお願いしました。

英Garrard社の301と言うターンテーブルに憧れていて,ずっと欲しかったので社会人になってしばらくして購入しました。

当時でもこのターンテーブルは高く,安いものでも7万円,高いものだと15万円,と言う感じだったと思いますが,iruchanはドイツから個人輸入しました。たった2万円ほどでした。

まだインターネットもないし,当時読んでいた米誌 "Vacuum Tuve Valley" に載っていた広告で知った業者だと思います。残念ながら,この雑誌,非常に内容が濃く,とてもよい雑誌でしたが,すぐに中絶してしまったのが残念です。

その後,キャビネットを英国の業者に頼んで作ってもらい,以来,20年以上,ずっと使っています。

もともとは英Garrardという会社は宝飾関係の貴金属製品を扱う会社で,英王室の王冠やティアラなども作っている会社です。

その後,1918年に第1次世界大戦が終結し,復員が始まると一般民生用の製品も手がけるようになり,特に西部のiruchanも行ったことのあるSwindonに工場を設置し,ゼンマイやモーターを作って時計や蓄音機の製造を始めたようです。SwindonにはGreat Western鉄道の工場もあり,技術者が多かったようです。

North Star.jpg Great Westerrn Museumにて

SwindonにはGWRの博物館があります。1837年にStephenson社で製造されたGWR第1号のNorth Starが展示されていました。ただ,この機関車,1926年に製造されたレプリカのようです。また,博物館もiruchanが行ったときは町中でしたが,今は移転して駅の西側にあるようです。

301 Transcription Motorは1954年に製造が始まります。アイドラー式で,ゴム製の大きな円盤を介してモーターとターンテーブルを回転させます。折から,ロングプレイのLPが登場し,それ用のプレーヤーとしてよく売れたのはご存じの通りです。

英BBCの制式プレーヤーとして採用されたのもご存じの通りです。

初期はグレーのハンマートーン仕上げになっていて,BBCのもこれです。

と言う次第で,日本ではグレーが人気があるのですが,これは潤滑がグリースで,メンテが大変なのと,プロ用なので酷使されているから避けた方がよい,とVTVにも書いてあり,iruchanは白にしました。これは潤滑がオイルです。

キャビネットは英語ではPlinthと呼ばれますが,日本で作ろうか,とも思ったのですが,英国で安く作ってくれるのがわかったので,注文しました。

ついでにここで落とし穴が......。

iruchanはドイツで301を買ったので......と言うことは周波数は50Hzです[雨]

iruchanは北陸に住んでいるので,60Hzなんです.......[雨]

困ったな.....と思ったら,その英国の兄ちゃんが60Hz用のプーリーも作ってくれました。

残念ながら,Platterとよばれるターンテーブル側面のストロボは50Hz用なので使えませんが,60Hz用のストロボディスクを載せて確認すると回転数調整用つまみのぴったり中央で33 1/3になり,非常によい出来でした。

その後,1965年に401が登場し,その頃製造中止になったものと思います。

Garrard 301-4.jpg iruchanのGarrard 301
  ところどころ塗料も剥がれてくたびれています。
 
Garrard 301-3.jpg モータ周辺

金属類は黄色い粉を吹いたように錆びています。また,すっかりリンクは固渋して動きません。
 
下にシャフトの軸受があります。これと,モータ下部の丸いフタを開けて注油することが必要です。奥の半円形の部品は回転数変更用のカムで,78,33 1/3,45回転に切り替えますが,リンクが固渋してもう,動きません[雨]

1969年には,松下が世界初のダイレクトドライブSP-10を発売し,BBCの制式機に採用されたのもよく知られていますね。

実際,Garrardの301はそもそもアイドラー式なんて原始的な回転機構ですし,内部も見てみるとあまりにも武骨なつくりで,モーターはシンクロナスモータと言えば聞こえはいいですが,隈取りコイルを持って疑似回転磁界を作って回転する隈取りモータです。これだったらDENONのACサーボモータの方がはるかに高級だし,扇風機だって進相コンデンサつきの誘導モータなので,こちらの方が高級です。回転数変換は機械的なリンクを用いてアイドラーとプーリーの接触位置を変えて行っていて,微調整に渦電流ブレーキを使っていたり,電源SWのon,off時に発生するショックノイズを低減するため,スパークキラーが使われている以外は電子的な回路はありません。

う~~~ん,さすがに英国は戦争に勝ったとは言っても,すでに技術的には日独の後塵を拝する状況だった,と言うことを実感するような作りで,まるで骨董品のように思えます。

でも,iruchanはずっとこの美しいデザインが好きで,憧れていました。これにSMEのアームをつけてSPUを使うと最高だろうな.....ってずっと思っていました。

さすがにOrtophoneのSPUは使いませんでしたけど.....。SMEの3007トーンアームも安く入手して使っています。

と言う次第で,ずっと20年以上使っていたのですが,さすがに重いので,実家に置いてあるのがネックで,やはり月に1回くらいしか使わなかったのが仇になり,何年か前から回転数切替のリンクが動かなくなってしまっていました[雨]

リンクが油切れで固渋しちゃっているんですね.....[雨]

早く注油しないと,と思っていたのですが,33 1/3回転で固定して(!)使っていました。

でもこんなこと長く放置していたらロクなことはない,と1月にターンテーブルのねじを緩めて外してみました。

案の定,リンクが固渋して,動きません。おまけに......。

何やら鉄製のリンクの表面に黄色い粉がびっしり.....[雨]

鉄が錆びていると考えても,色がおかしく,金色みたいな黄色みたいな色で,細かな粉を吹いたようになっています。

Garrard 301-1.jpg リンクは錆びています。

左上の方の四角い部品がスパークキラーで,これが容量抜けすると,on,off時にスピーカからショックノイズが出ます。iruchanのも昔は何ともなかったですが,最近,パチッと言うノイズがするようになりました。

黄色い粉については,ググってみてすぐに判明。

なんとカドミウムでした[台風][台風]

ええぇ~~~って思っちゃったのですが,妙に納得。

その昔,真空管式TVやラジオなど,鉄製のシャシーにカドミウムメッキが施してありました。もちろん,鉄のさび止め,と言う目的ですが,カドミウムだとはんだづけできたのも電子機器のメッキによく使われていた理由です。特に,TVやFMチューナだとニアバイアースということでシャシーに直接,はんだづけしてGNDに落とす必要があるので,TVのシャシーはカドミウムメッキしてあることが多かったのです。

他にも,iruchanが持っているTrで,NECの2SA653など,表面が妙に黄色いものがありますけど,これは金メッキじゃなく,カドミウムメッキです。

2SA653, C1161.jpg カドミウムメッキの2SA653とコンプリの2SC1161

まともな? 2SA653も持っているのですけど,今,手許にありません。

もちろん,カドミウムは腎臓障害などを引き起こし,有毒です。日本ではイタイイタイ病などの公害問題を引き起こしました。現在ではRoHS指令を初めとして,いろんな規制で使用禁止となっています。

おそらく,iruchanの301は鉄表面が酸化し,カドミウムメッキが剥がれてきているんだと思います。昔はこんなことになっていませんでした。

と言う次第で,結局,このせいでプロの業者にオーバーホールを任せることにしました。

リンクはカドミウムメッキを剥離し,防錆処理をして業者によっては再メッキしてくれるようです。ばね類やアイドラーなどのゴム製品も新品に取り替えてくれますし,モーターも分解して清掃,軸受の交換もしてくれます。シャシーももとの塗装を剥離して再塗装してくれるので,新品同様になります。まあ,iruchanもそう今後,長生きするわけじゃないし,死ぬまでレコードを聴きたい,と思っているので,オーバーホールすることにしました。

Garrard 301-2.jpg アイドラー周辺

アイドラー支持の金具はすっかり錆びています。銀色の板はアルミ製の渦電流ブレーキで,右下の馬蹄形の磁石でブレーキをかけ,回転数を微調整するようになっています。モータ軸についているプーリーは50Hz用と60Hz用があります。もちろん,▼のストロボも周波数によって違います。

Garrard 301-6s.jpg 左下のコーナーがへこんでいます。

買ったときに,すでに再塗装してある,と思いましたが,どうも下地処理がまずく,簡単に塗膜が剥がれてしまいます。固定用のネジ穴周辺も塗料がはげてしまいました。また,買ったときから,どうも以前,落としたらしく,左下のコーナーがへこんでいました[雨]

これも直してもらって再塗装してもらう予定です。

日本でも業者さんはいますけど,本当に日本で作業しているのか不明だし,米国にも業者はあるのですが,再塗装の際に色が選べるらしく,ピンクや紫なんてのもHPに出ていますけど.....。さすがにこんな色にする気はないし,やはりアメリカ人はなにを考えているのか,まあ,ウランが核分裂する,と聞いて爆弾作っちゃうくらいだから,彼らの感覚はさっぱりわかりません.......[雨]

と言う次第で,iruchanは製造元の英国の専門業者にお願いすることにし,3月にEMSで発送しました。

EMSって,昔からよく利用していますけど,テロ対策か,最近は非常に手続きが面倒になっており,手書きの伝票は原則,受け付けてくれません。郵便局のHPで必要なデータを入力し,プリントアウトして郵便局へ持って行きます。

なんとか梱包して,3月に英国へ発送しました。直前に独裁者プーチンがウクライナに侵攻し,無事に着くかどうか心配しましたが,無事に英国に届いたようです。

では,しばらくさようなら......。

        ☆          ☆          ☆

9月8日に英国のエリザベス女王がお亡くなりになりました。謹んでお悔やみ申し上げます。

前々日にiruchanは英語を勉強しているので,BBCのニュースを聞いていたら,医者の進言で公務を休む,と放送しているので,もしかして,と思っていました。とても残念です。

本来なら,父親(ジョージ6世)は次男なので,王位に就くことはなかったはずですが,兄のエドワード8世が例の米国人のバツイチ女と結婚するため,退位したので,弟が継いだために王位に就くことになりました。

エドワード8世は王冠より愛を優先した,と美談とされることも多いのですが,親ナチであったことも知られています。話題の? ○○協会じゃなくて英国のナチ党の集会に出席したり,退位後,ベルヒテスガーデンの山荘に招かれてヒトラーとも会っています。

反対に,弟のジョージ6世は生まれつき吃音の障害があったにもかかわらず,それを克服し,開戦時の放送は感動的で,"英国王のスピーチ" という映画にもなっていますね。

開戦の演説というと,チャーチルの "I shall never surrender." が有名すぎて,ジョージ6世の演説はあまりTVでも流れませんけど,この映画を見ても,とても感動的で素晴らしい名演説です。

ジョージ6世は戦時中は国民を鼓舞し,ドイツ空軍の空襲があった際もバッキンガム宮殿を離れませんでした。

反対に,エドワード8世が在位していたら,あるいは英国が負けていたら......ナチの傀儡として担ぐ動きがあっただろう,と思います。イギリスのペタンはエドワード8世だったかもしれません。実際,ナチスドイツが勝利した世界を描いた,ロバート・ハリスの "ファーザー・ランド" (文春文庫・絶版)もそう描いています。

エリザベス女王はそんな父の姿をよくご覧になっておられたのでしょう。戦後の苦しい時代,国民に寄り添い,常に勇気づけ続けました。

iruchanは親英米派なので,女王を尊敬していたので,とても残念です。

あの時代,日本でも少ないとは言え,対英米協調派がいましたが,彼らの声はかき消され,社会から抹殺されました。正しいことはなんなのか,視野を広く持ち,世界の大局を見て物事を考える,ということがかつても,また,今ほど重要なことはない,と思います。


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モノラルレコード用CR型イコライザーアンプ(EQアンプ)の設計と製作~その5:ロータリーSW交換 [オーディオ]

2022年8月10日の日記

SRRM342800.jpg ロータリーSW交換しました。

皆さん,暑いですね~~[晴れ][晴れ]

くれぐれもお身体ご自愛ください。

さて,iruchanはこのところたまってしまった工作関係を片付けることにしました。

まずは2年前に完成したモノラルLP用EQアンプの修正から.....。

ナショセミの超低ひずみメタルキャンOPアンプLME49720Hを採用し,極めて音のよいEQアンプだと思っています。

ただ,ひとつ問題が....[雨]

EQカーブの切替用に,ALPSの基板取付タイプのロータリースイッチSRBM149501を使ったのはいいのですが,残念ながら接点切替がオープンタイプ。

これ,接点を切り替える際に,瞬間的に回路がオープンになってしまうタイプです。

そのため,切り替える度にSPからブツっと大きなショックノイズが出ます[雨]

対策としては,数MΩの抵抗で接点を接地すればよいのですけど,これだとEQカーブに影響が出ちゃいます。

しかたないので交換します。

ところが,もう,ロータリースイッチといってもオーディオに使えるのは同社のM型くらいしかないんですね.....。

いつも使ってはいるのですが,ちょっと大きすぎるのと,結構,チープ過ぎる感じがいやです。

とはいえ,同社のY型はとうにありませんし,何より改めて探してみるとショーティングタイプはこれだけです.....。

基板用のものがあるとこういう機器に便利なんですけど,市販されている基板用は全部,オープンタイプ。

なんとか,3回路4接点のものに交換しました。

基板との接続は10pのピンヘッダ&ケーブルを使いました。ここは外せるようにしておくと何かと便利だと思います。

SRRM342800-1.jpg ピンヘッダケーブルで接続しています。

ようやくロータリーSWを交換しました。

            ☆          ☆         ☆

これで,CR型EQアンプも1台,完成です。金田式は全部NF型で,現在,金田氏がGOA時代に一度だけ発表したCR型を作っているんですけど,音を聴いてみると,やはりどうもNF型はCR型には勝てない感じです。

また,本機はOPアンプにLME49720Hを使っていて,抜群に音がよいことも確認できましたが,残念ながら,このOPアンプはバイポーラ入力。

ということでMM型専用になっちゃいます。本機はRIAAはステレオでも再生できるように作ったので,なんとか,DL103を使いたいんですけど....。

バイポーラ入力を使うと,OPアンプの入力電流がカートリッジに流れてしまい,コイルを直流磁化してしまうので,バイポーラ入力OPアンプはNGです。

実際,LME49720Hのデータシートを見ると入力バイアス電流はtyp. 10nAで,規格上は70nAまで許容しているようなので,NGです。

MC型カートリッジの許容電流は "オーディオ用FETの活きた使い方" (誠文堂新光社1981年刊)を読むと,5nAらしいので,LME49720Hはアウトです。じゃ,ってんでコンデンサを入れてDCをカットすればいいんですけど,でも,こういうのをブログに発表しちゃうと,「こいつはバカか」と言われそう.....。

FET入力のOPアンプを使えば解決なんですけど,iruchanも愛用しているLF356Hとか357HならFET入力だし,入力電流も30pAと,文字通り,桁が違うので,問題ないのですが,どうもLME49720Hの音を聴いちゃうと,ちょっとこれらを使う気がしません。

と言う次第で,FET入力差動アンプをディスクリートで構成して作り直そうか,と思っている今日この頃です。それに,EQカーブももう1本,欲しいな.....って思っています。英HMVのカーブを作っていませんので。

では,また。


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