網膜剥離になりました。
2023年2月1日の日記
新年の御挨拶を先日,したばかりだというのに,新年早々,とんでもないことになってしまいました。
網膜剥離になって,先週まで入院しておりました。
少しでもインターネットをご覧になっている皆様のご参考になれば,と思ってiruchanの経験を書きます。
☆ ☆ ☆
どうもその3週間ほど前から,飛蚊症の症状が見られ,目の中を文字通り,蚊が飛んでいるような模様が見られるようになりました。
iruchanの場合は,まるで黒い精子のようなもので,少し大きく黒い頭のような部分と,下にグニャグニャと尻尾のような模様が見えました。
花子Photoeditorで作った画像ですけど,iruchanはまさしくこんな感じに見えていました。次の網膜剥離の画像も同じです。
確かに,黒い部分はハエのように見え,それこそ飛蚊症,という名前の通り,という感じでした。
ちなみに,芥川龍之介が悩まされたギザギザの歯車のようなもの,は閃輝暗点と呼ばれるもので,偏頭痛の予兆で,飛蚊症とは違います。
一般的に,飛蚊症はそれほど問題ではなく,薬や治療法もない代わり,数週間~数年くらいで消えるもの,とされています。
とはいえ,実を言いますと,iruchanは去年の人間ドックで「視神経乳頭陥凹部拡大のため,緑内障疑い」という結果が出ていて,眼科の受診を勧められていたこともあり,近所の眼科へ行きました。
一応,眼圧,眼底検査,視野検査をした結果,問題ない,ということでした。飛蚊症との関係はない,とのことでしたが.....。
ところが,どうもやはり飛蚊症が悪い兆候だったようです。
受診の翌日から,変なことになりました。
左眼下部に,少し黒い,丸い影が見えるようになりました。
ちょうど,明るい光を見たあとに見える残像のような感じで,てっきり昨日の眼底検査なんかで明るい光を受けていますので,そのせいか,と思っていました。
ところが,一週間経っても消えませんし,ついには視野の1/4位を占めるようになり,また,明るいところで見ると,黒いのはそうなんですが,少し赤みを帯びていて,どう見ても出血している感じです。
これは網膜剥離であることは間違いない,と思いました。
実際,▲のように見えたら網膜剥離ですので,すぐに眼科を受診してください。
ただ,一週間,iruchanはこんな感じのままだった,と書きましたし,実際,そういう場合もあるようですが,網膜剥離の場合,一刻を争うので,少しでも視野が欠けたりしたら,すぐに眼科の診察を受けてください。ほんの数時間で失明することも多いそうです。
会社を早退し,すぐに先ほどの眼科で診ていただくと,やはりその通りで,すぐに大学病院で手術を受けてください,とのことでした。
網膜剥離は非常に危険で,放置すると失明につながる危険な病気です。また,自然治癒することはありませんので,手術しか,治療法はありません。
と言う次第で,紹介状をいただき,すぐに翌日,大学病院の眼科へ行き,緊急に手術を受けました。
一通り,視力や眼圧のチェックをしたあと,点眼薬で散瞳(瞳孔拡大)して眼底撮影をしました。
左眼右上部に比較的大きな裂孔があり,そこから出血している,レーザーで裂孔を焼灼して穴を塞いだあと,浸出液を吸引する,と先生から説明がありました。
実際,眼底写真を見ると右上部に緑色の丸い出血部が見られました。
蛇足ですが,網膜上のイメージは実際のイメージと上下左右がカメラ同様,逆になります。iruchanの場合,左下に影がある,ということは右上に剥離がある,と言うことになります。
放置すると,徐々に内部に液体が溜まり,重力で下がってきて,中心部まで広がると視力が大幅に低下する,とのことでした。液体が自然に吸収されて元に戻る,と言うことはないので,放置すれば失明します。
iruchanはまだそこまで広がっておらず,左眼の資力も低下していませんでしたが,中心部まですぐそこで,危ないところでした。
なお,先生によると,網膜剥離の手術の成功率は90%で,再手術となるケースもある,とのことですが,仮に中心部まで剥離したり,また,剥がれた網膜が破れたりしていても治る,とのことでした。医学はすごいですね!!
その後,手術のための全身検査(胸部レントゲン撮影,血液検査,尿検査)をしたあと,今の時代なので,コロナ検査をします。
幸い,iruchanは先生方が最優先でスケジュールしていただいたらしく,執刀医の先生も今日手術できる,とのことで,14:15から手術ということになりました........
正直,手術台じゃなく,手術椅子だったのに驚き
まあ,腹部手術じゃないので当たり前なのかもしれませんけど.......。
ずっと以前,学生時代に顎に腫瘍ができ,摘出手術をしましたが,そのときは手術台でした。
それにしてもその椅子を見たとき,iruchanが思ったのは......電気椅子でした.....
まあ,その顎の手術の時は,爼板の上の鯉ってこんなのか......思ったことを思い出しましたけど.....。
しかし,大変申し訳ないですが,やはり手術,それもとりわけ,目の手術,というととても怖く,電気椅子のように見えるのも当然でした。
その後,上向きに寝そべった形になり,目の周りにプラスチックのケースを当て,その他の顔の部分にはフェースシールドのようなカバーを掛けられて,何重にもカバーされます。隙間から酸素のパイプが挿入されたことも記憶しています。
その後,浸潤麻酔といって,液体を目に振りかけて麻酔します。麻酔薬は歯科で使うものと同じだそうで,iruchanは以前,抜歯したことがあるので,何ともないだろう,と思いました。
悪い,左眼は3回,右目も1回,麻酔しました。
その後,先生によっては注射で麻酔するそうですが,iruchanもそうだったように思います。
もう痛くも何ともない.......かと思いましたが,ほんの少し,時折チクチクと痛みました。
何より,猛烈な光で目が見えていますし,ボケボケですけど,何やら目に入ってくることが分かりますので,大変な恐怖です。
レーザーで焼く機械はアメリカ製? なのか,何か英語でしゃべっているのが聞こえますが,内容はまったく聞き取れませんでした。
iruchanは,歳と言うこともあり,ついでに眼内レンズも置き換えてくださいました。網膜剥離の手術と併施することが多いようです。
なお,普通の人でも70歳になったら眼内レンズを入れた方がよいそうです。10分で終わるそうなので,高齢化社会の現在,お勧めします。iruchanは左眼は置き換わっちゃったので,次は右目だけで済みます
まだ70歳はずいぶん先ですけど.......。
手術はあとで時計を見てみると正味50分でした。
その後,車椅子で病棟へ行ってあとは病室で療養となります。
驚いたことに,1時間,うつ伏せ固定になります。
なんでや......と思ったのですけど.....。
何と,目の中にガスが入っていて,それで剥がれた網膜を押さえつけるため,とのこと。
事前に先生から説明を受けていましたが,目のことが心配でよく聞いていなかったようです。
あとでよく考えてみると,先生はガス,とおっしゃるので,てっきり,手術中に針が4本ほど入る,とは聞いていたので,その際に空気が自然に目の中に入っちゃうんだ,と思いましたが,そうではなく,強制的に注入したものです。
予め,ネットで調べておけば,そんなこと,すぐに分かるのですけど.......iruchanはさすがに怖くて,ネットで予習するなんてこともしていませんでした。
ガスと言っても、医療用空気,というもので,何種類かあるようですが,iruchanのはあとで亜酸化窒素(N2O)と聞いて納得。そりゃ,そうだ。普通の空気なら雑菌も混じっているし,カビの胞子なんかも飛んでいるので危ないです。
これ,笑気ガスですね.....。瘴気じゃないってば。ナウシカかよ......。
iruchanが子供の頃読んだ,科学マンガに出ていたので,子供の頃から知っています。英国のデービーが最初に応用した麻酔ガスです。だから,痛くとも何ともないわけですね.....。
昔は全身麻酔というとこれで,ところが麻酔後に酸素に切り替えるのを忘れる事故があったりして,今では全身麻酔ではまず使わない,と思います。
一応,その1時間経過後も,とにかくうつむき,というのを強制され,寝るときもうつぶせ寝になります。
これ,かなりしんどいです。
試しに,夜中に一度だけ,仰向きになってみたのですが.......。
あきらかに何かがはがれて,空気のような大きな泡が広がっていくのが見えたのでゾッとしました....
おそらく,実際に,剥離した網膜が再度,剥がれて間にガスが入ったのだと思います。皆さんは決してそんなことしないでください。
本は読んでいいらしいので,iruchanは "成功していた日本の原爆実験" という本を読んでいました。日本が原爆を作ることに成功し,終戦間際に実験していた,というトンデモ本です。400ページ以上あるので,入院中に読むのにちょうどよかったです.......。
翌日から点眼の始まりです。
先生に朝,診察して予後を検査していただくと,きれいに孔がレーザーでふさがっていて,問題ない,とのこと。
ただ,目はかろうじて明るさを感じるだけで,全く見えません。
でも,これでいいそうです。
iruchanは抗炎症薬,抗菌薬,散瞳薬,眼圧低下薬の4種類を3時間おきに点眼することになりました。
それぞれが時間間隔が異なるので,表をいただきましたけど,まるで星取表
星取表です......
今もその星取表を見ながら,毎日,点眼しているという状況です。
幸い,徐々に視力は回復しているようですが,視界はぼやけたまま。
おまけに水平に1本,線が見えます。
なんだろ~~~。
って思ったら,要はガスと硝子体の境界面なんですね......。
しかもフラフラと動くので,意外にも硝子体って液体みたいな感じなんですね。ゲルみたいに粘っこいものだと思っていたので,変だ,と思ったら,手術中に灌流液と呼ばれる人工眼内液と入れ替わっているようです。
本当に医学の進歩はスゴい! と思いました
たぶん,下側がガスで,境界面に反射した映像がボケボケで見えてる,と言う状況か,と思います。
という次第で,現状,iruchanの目は夜店で売っている水が入ったゴム風船のような状況です。
うつむきを指導されていますが,下を見ると,確かに,これじゃ,水中カメラと同じような映像になります。フラフラと映像が揺らぐし,しかも焦点距離は50㎜くらい。ものすごく近いものだけ,見えます。
☆ ☆ ☆
iruchanはようやく退院し,今は自宅で点眼中です。
いかに緊急を要するとはいえ,事前の検査から事後の治療の細部に至るまで経過を観察してくださった女性の先生,最優先で治療にあたっていただき,手術していただいたベテランの先生,日夜,献身的に看護してくださった看護師の皆さん,夜中も2時間ごとに,様子を見てくださいました。また,おいしい食事を作っていただいた食堂の皆さん,iruchanは目以外は健康なので,たくさん食べました。毎日,掃除にみえるスタッフの方々はじめ,病院の皆さん,このコロナ禍のさなか,本当にありがとうございました。いくら感謝しても感謝し足りませんが,本当に現在,医療に携わっている皆様にお礼申し上げます。
また続きを書きます。
☆ ☆ ☆
2023年2月20日追記
ようやく,1週間前くらいにガスが抜け,クリアに見えるようになりました。本当に手術してくださった先生を始め,病院の皆様に感謝したいと思っています。
ただ,昨日くらいから再び,同じ場所に違和感があります。
少し黒い影が見え,明るいところを見ると少し赤い感じです......。
先生からは10%くらいは再手術になる,と聞いていましたけど.....。
ひょっとしてまた剥離して,網膜の裏側に血液か,浸出液がたまっているのでは,と思いました。
幸い,すぐに先生に診ていただき,眼底の異常もないので,再剥離ではなく,レーザーの焼灼痕の周辺の網膜がやはり感度が低くなる,とのことでした。
と言う次第で,少し後遺症が残ったようです。ちょっと残念ですが,そのうち慣れるし,また,なにより完全ではなくても,また以前のように両目で見られるし,本当によかったです。
定期的に先生に診ていただく必要がありますが,iruchanもこれで復帰できます。
本当にありがとうございました。