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ソニー マルチバンドポータブルラジオICF-SW1の修理 [ラジオ]

2024年1月27日の日記

ICF-SW1-1.jpg ICF-SW1

 外部アンテナとセットになっています。

ソニーが1988年に発売した,LW/SW/MW/FMラジオです。非常に小型で,テンキーがついて直接周波数を入力できる,優れものです。外部アンテナやACアダプタもセットとなり,キャリングケースに収納されてシステムとして発売されていました。

ICF-SW1-16.jpg こんな風にケースに入っています。

ダイレクト選局ができるのでiruchanも憧れて,以前,Yahoo!で落札したものを持っています。

それにとても小さいですしね......[晴れ]

よくもまあ,こんなに小さく作ったものだ,と感心します。

サイズ的にはクレジットカードよりひとまわり大きいくらいで,非常に小さいです。

ソニーのサイトに,TR-55と同じサイズ,って書いていますけど,このサイトを書いた人はTR-55を見たことがないんでしょうね。TR-55はかなり大きいです。

とてもきれいな美品で,本体はキズもないし,備品もすべて揃っていて,キャリングケースのバンドが切れているくらいで,とてもよいものでした。

ただ,どうにも短波を聴くこともないし,買っただけで保管してありました。

さすがにいつまでも放置しておくのはもったいないし,AMラジオもそろそろ終了なので,遠距離受信に使おうか,と出してきました。ICF-EX5がいかにいいラジオと言っても,アナログチューニングですし,周波数カウンタもないので,待ち受け受信するにはちょっと厳しいですよね......。

それに,心配なのはICF-SW1など,1980年代のラジオは,以前,SRF-M100で紹介しましたとおり,悪名高い四級塩電解コンデンサを使っていて,放置すると液漏れで基板が腐食し,ラジオが壊れてしまいます。

幸い,iruchanのは買ってから20年以上経ちますが,久しぶりに取り出して電池を入れてみたら,何の異常もなく,音が出ます。

ホッとしたのですけど,やはりコンデンサの問題が頭をよぎって修理することにしました。

無事に動作しているのだから,ヘタに修理して壊してしまうこともあり得るので,やめようか,とも思いましたが,結果を見ると,やはり直しておいた方がよいようです。iruchanのも電解コンデンサから液漏れしていました。放置しておくと,ラジオが故障してしまっていたでしょう。

それと,久しぶりに取り出して動作させてみて,困ったのはバックライト。

SRF-A300同様,非常に暗いです。

それどころか,SRF-A300は,暗い,と言うだけで,点灯していることはわかりましたが,iruchanのICF-SW1はそもそも点灯していることがわからないくらいで,夜,真っ暗な部屋で確認したら,なんとか点灯しているのがわかる,と言うレベルで,周波数表示は読めません。

これじゃ,役に立たないので,最近の高輝度LEDに交換したい,と思います。

とはいえ,実は大変なことが判明するんですけど.....[曇り]

☆四級塩電解コンデンサの交換

まずは分解して件の電解コンデンサを交換します。

さすがにICF-SW1は非常に小さいので,ネットで見つけたサービスマニュアルを参照して,分解する手順を確認します。また,諸先輩方がすでにWEB上で報告しておられるので,参考にさせていただきました。どうもありがとうございました。

ICF-SW1-2.jpg 部分にねじが3個所あります。

音量調節のつまみを外すとその裏にねじが1個あります。のねじは次に,シャシーと呼ばれるラジオ本体を取り出すときに外します。

なお,フタのねじは3本ですが,うち2本は長さが違うし,ねじの種類も違うのでご注意ください。

ICF-SW1-3.jpg ツメの位置です。

▲のねじを3本外すとカバーが外せますが,ツメが何カ所もあるのでなんとか少しカバーを浮かせて,マイナスドライバーでツメの部分を押してカバーを外します。iruchanの個体は上側のツメから外れるようになっていました。

ICF-SW1-4.jpg カバーが外れました。

サービスマニュアルによると,中身のシャシーと呼ばれる本体を外します。電池箱にねじが2本あり,基板下部右にもねじがあります。

シャシーを外す際には,スピーカコードと,接地線が1本,スピーカについているので,はんだごてで外します。

ICF-SW1-5.jpg フレキケーブルに注意します。

シャシーの下側(本体の表側)にマイコン基板があります。これにLEDがついています。あとで交換する予定です。

これにもねじが3個所あるので外し,注意してフレキケーブルをはずと基板が外れますが,その際,GNDのケーブルが基板にはんだづけされているので,はんだごてで外します。

ICF-SW1-7'.jpg ようやく中身が出てきます。

基板上の,C420,C426,C431,C601,C607,C608の計6個の電解コンデンサを交換します。

C420, C431はそれぞれチューナICのCX20111およびFMステレオデコーダのLA3335Mのデカップリングコンデンサです。C607,608は出力のBA5208AFのコンデンサです。C426はLA3335Mの前段に入っています。

ICF-SW1 コンデンサ交換個所.jpegコンデンサ交換個所

SRF-M100でも経験しましたけど.......ここまでバラしてくると,やはりクサ~~い[台風]

第四級塩化アンモニウム塩の臭いか,と思います。この臭いがする,と言うことはやはり液漏れしているようです。

問題の電解コンデンサは全部で6個あります。

表面実装の47μFと220μFがそれぞれ2個です。33μFと220μFのアキシャル電解がありますが,邪魔だし,これも四級塩電解の可能性があるので,ついでに交換します。

どうもこのアキシャル電解は,パワーアンプICのBA5208AFの規格表を見ると,BIASとFILTERとあるピンに接続されているコンデンサで,容量抜けすると音がひずんだり出なくなるようなので,どうも前のユーザーが交換したのではないか,と思います。

さて,実はここで問題が......。

オリジナルは電解コンデンサなので,交換するのも電解コンにしたいのですが.....。

もう,220μFなんて大容量のものも積層セラミックになっています。

47μFの表面実装の電解,となると耐圧の大きいものが多く,サイズ的にちょっと心配です。

まあ,積層セラミックの方が便利だし,極性もないので皆さん,積層セラミックで交換しておられますね。

iruchan的にはちょっと積層セラミックは信用できなくって,音も悪いので,オーディオ回路では決して使わないんですけど,まあ,今回はラジオだし,積層セラミックだと液漏れもしないので,それに交換することにします。

これらの積層セラミックは秋月で簡単に入手可能です。

ICF-SW1-11.jpg 交換用の積層セラミックコンデンサ


ICF-SW1-8.5.jpg 交換したコンデンサ

ひっくり返すと.......[台風]

ICF-SW1-9.jpg 底面。うぇ~~っ![台風]

やはり,今回のICF-SW1に使用されていた表面実装の電解コンデンサは四級塩電解コンデンサだったようです。すべて,液漏れしてしまっています[雨]

前のユーザーが交換したらしい,アキシャルリードタイプは問題ないようです。

ただ,負極側から液漏れする,とネットに出ていますけど,SRF-M100同様,やはり正極側から液漏れしているようです。

放置しておくと,アルカリ性のため,基板の銅箔を侵してパターンが断線し,ラジオが故障してしまっていたでしょう。早めに交換してよかったです。

取り外したあと,アルコールで洗浄しておきました。ティッシュには黄色い液体がべっとり......[雨]

ただ,SRF-M100と違って,これらの取り外したコンデンサの容量を計るとほぼ表示値どおりの値が出ました。SRF-M100の時は完全に容量抜けしていましたけどね......[雨]

ICF-SW1-8.jpg 交換しました[晴れ]

☆バックライト用LEDの交換

次は,バックライトが本当に点いているのか,点いていないのか,わからないくらい暗いので,交換します。

ここで,iruchanはトラブっちゃいました。

     そもそも,オリジナルのバックライトLEDは何色?

ということです。

かろうじて点いているらしいので,夜,確認してみますとどうもオレンジのようです。

それで,オレンジ色のLEDがついているのか,と思ったのですが,取り外してみてビックリ。

なんと,電球色のLEDがついていました。

ICF-SW1-14.jpg ん!?.....[雪]

時代から考えて,そんなはずはないんだけどなぁ~~?

ICF-SW1の製造中止は1994年のようですから,電球色LEDのはずはありません。

それに,電球色LEDは,もとは青色のチップを使っていて,樹脂の内部の蛍光物質で電球色に変換しています。

青色チップなので,順方向電圧は高めで,最低でも2.8Vくらいはあります。

本機は単三電池2本の仕様ですから,最大でも3.2V程度の電源電圧なので,青色チップを使うことは無理です。

まあ,電圧差が0.4Vくらいはあるので,電池が新品の時なら点灯するし,それなりに明るく点くとは思いますが,電池が消耗したり,充電式のNiMH電池だと最大1.2Vなので,これを使うと点灯しません。

と言う次第で,ソニーさんも電球色LEDなんて使う訳がありません.....[雨]

また,SRF-A300の時に電球色LEDに交換することも考えたのですが,iruchanは一応,オリジナルを尊重したいので,色を変えず,オリジナルの緑色LEDに交換します。ちなみに,SRF-A300は電池4本ですから,電球色LEDも使えます。

ICF-SW1は電池2本ですから,白色や電球色のLEDに交換することはしない方がよい,と思います。まさか,青色LEDにする人はいない,と思いますけど......[雨]

iruchanはこのラジオ,中古で買っているので,前のユーザーがついでに電球色LEDに交換したんじゃないか,と思いますが,ケースを開けた形跡はないんですけどね.......。

とはいえ,一応,これの高輝度タイプに交換すればバックライトも明るくなるか,と思って交換したのですが.....。

やはり全然ダメで,非常に暗いです。

おまけに,そのうち,点灯しなくなっちゃいました.....。

うっかり,どこかのはんだが外れて電流が流れなくなっちゃったようです.....[雨]

と言う次第で,ネットを調べてみるとオリジナルのLEDは緑のようです。

サービスマニュアルにも東芝のTLUG163という記述があります。規格表によると,緑色で,順方向電圧2.15V,輝度70mcdです。

電池2本のセットに使用するLEDの順方向電圧はこんなものじゃないでしょうか。これより高いと電池が消耗するとすぐに点灯しなくなってしまいます。

また,輝度はこの当時のLEDとしてはこんなものでしょう。

そこで,SRF-A300の時にも使った,台湾のOptoSupply社のOSG5212411Cを使います。これ,輝度が12,000mcdもあって,ものすごく明るいです[晴れ]

ICF-SW1-12.jpg 明るい~~~[晴れ]

このバックライトのLEDはルネサスの2SC4177でドライブしています。VCEO=50V,IC=100mAと言う定格です。電流制限抵抗はオリジナルは47Ωです。

先ほどの順方向電圧から考えると,LEDはほぼ定格一杯の22mAでドライブしています。

この抵抗を小さくすると明るくなるか,とも思いますが,電流がギリギリなので,やはりLEDの交換が必要です。

ただ,OptoSupplyのLEDは明るすぎるので,電流制限抵抗は510Ωに大きくしておきました。電池の消耗も少なくなりますね。

ICF-SW1-13.jpg こんな感じです[晴れ]

ICF-SW1-15s.jpg 夜はこんな感じです。

真っ暗な部屋でLIGHTボタンを押すとこんな感じです。朝4時に三脚使って撮りました......[雪]

ラジオをonしていないときは時計が表示されます。

     ☆          ☆          ☆

さて,ようやくこれで無事にコンデンサも交換し,バックライトも明るくなったので,使いやすくなりました[晴れ]

何より,押しボタン式で,ダイレクト選局できてとても使いやすいし,感度もこんなに小さいのに,非常によく,遠距離受信も問題ないです。ホールド機能もあり,SRF-M100はちょっと触っただけで局が変わってしまったりして困りますが,この機能があると非常に助かります。

ところが......。

このラジオ,マイコン制御なのはいいんですが,取扱説明書がないと使えません[台風]

ラジオなんて,説明書なくても使えないとマズいでしょ,と思うんですけど,なかなか,このラジオ,手強くて,説明書がないと,言うことを聞いてくれず,結構,イライラする,と思います。

iruchanは説明書つきで買っているので問題ないですけど,ハードオフなんかで,本体だけ買ってくると困るでしょう。

それに,どういう理由なのか,ソニーはWEB上で取扱説明書を公開していません。SRF-M100も同じで,どうしてダウンロードできるようになっていないのか,不思議です。

と言う次第で,ごく簡単ですけど,使い方をメモっておきます。

☆時計のセット

本体のMAIN POWERをスライドし,電源を入れて(ラジオの電源は入れません),ENTERを押しながらMANUAL TUNEの+,-を押してあわせます。

☆プリセット

AMまたはFMボタンを押し,上記のチューニングボタンを押すか,テンキーで局の周波数を入力し,再度,AMまたはFMボタンを押すと放送を聞くことができます。

この状態で,ENTERを押しながら(#が点滅します),1~0のテンキーを押すと,プリセットできます。

本当言うと,この時刻やプリセット周波数は電気二重層キャパシタでバックアップされていて,ケースを開けたときに交換しておけばよかったですが,今回は手持ちがないのであきらめました。


2024年1月30日追記

昨日,バックライトが点灯しなくなった,と思ったら,今朝,とうとうラジオが鳴らなくなりました。

電池を取り出して電圧を測定してみると,1.07Vくらいほどです。直列2本で,2.15vくらいまではラジオが動作するようです。

と言う次第で,やはり電球色LEDに交換するのはまずいようです。

電池が新品の状態の時,しばらく点灯しますが,すぐに点灯しなくなると思います。その後,ずっとラジオは鳴るのですけどね。ランプだけ点灯しない,という状況が続くことになるようです。

緑や黄色のLEDだと,順方向電圧が低く,ラジオが鳴らなくなるギリギリまで点灯すると思います。


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