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イギリス旅行記~その1:この子とコロッサスに会いに.....~ [紀行]

2024年2月14日の日記

やっと会えました.......[晴れ]

The execution of Lady Gane Grey.jpg "The Execution of Lady Jane Grey" (1833)

フランスのドラローシュ(Paul Delaroche 1797~1856)が描いた,"レディ・ジェーン・グレイの処刑" です。

この絵,"怖い絵" の代表とされますね。日本にも,2017年に来ています。

残念ながら,この絵は前回,ロンドンへ行ったときにナショナル・ギャラリーへ行ったら,いなくて,一体,どこに行ったのか,と思ってインフォメーションの女性に聞いたら,アメリカに行っている,とのと。ガ~~~ン[雨]

と言うこともあったんですけど,ようやく会えました。

まずは所在確認,ということで到着すぐにインフォメーションで聞いてみるとroom 45にある,とのこと。"Straight down and right room."(入ってすぐ右ですよ)とのこと。

なあんだ,入ってすぐそばじゃん,と言う次第でした.....。

行ってみてビックリ。なんとものすごく大きな絵でした。3×2.5mもあるそうです。

美術館って,こういうところもいいですよね.....。教科書なんかで見ているとさすがにサイズまではわかりませんから。大好きなルオーやモローの絵も,実際は逆に,非常に小さかったりしてビックリ,なんですよね。

1553年,悪名高いヘンリー8世の跡目争いに巻き込まれ,イングランド初の女王として即位するものの,長女のメアリが勝ち,わずか9日で退位させられ,のちに反逆者としてロンドン塔で刑場の露として消えてしまいます。わずか16歳という薄命でした。英王室は今も彼女が女王だったとは認めず,称号もQueenではなく,単にLadyとされています。

即位したメアリ1世はカトリックだったため,親父に似て残酷で,一転して新教徒を弾圧し,ブラディメリーのカクテルにもなっていますね.....[台風]

ジェーンは聡明で教養のある女性だったらしく,彼女がそのまま女王となっていれば,その後の歴史は変わっていたでしょう。実際,メアリの次のエリザベス1世がイングランド国教会を設立し,その後,最終的にはイギリスは新教徒の国になるわけですから.....。

それにしても,わざわざ見に行ったのにはぐらかされ,ようやく見ることができたので感慨無量でした[晴れ]

ほんとうによかったです。

やはり人だかりができていて,皆さん,写真を撮っていますけど,海外の美術館だと普通は行列,なんてこともなく,ルーブル美術館同様,ゆっくり見ることができました。

iruchanは閉館近く,ベンチに座って30分ほど鑑賞できました。

しかし,あまりにも彼女に科せられた運命は過酷で,残酷だと思います。

実際,本当の処刑は黒い服と頭巾を被せられ,公衆の面前でおそらくは罵声を浴び,憎しみと好奇の視線を浴びての公開処刑だったようですから,もっと現実は悲惨だったと思います。

それをデラローシュは哀れむとともに,彼女の潔白を証明し,メアリ一派に対する批判を絵にして後世に伝えようと画家は考えたのでしょう。フランスはカトリックの国だし,デラローシュもカトリックだったのではないか,と思いますが,メアリを批判し,公正な立場で物事をとらえる人物だったのでは,と思います。

ただ,それにしても宗教で対立して殺し合う......なんて,われわれ日本人には理解しがたいですよね。

カトリックとプロテスタントはもちろん,イスラムやユダヤ教徒など,互いに殺し合うまで宗教で対立する,と言うのは理解できません。日本で,○○宗と××宗で,長年対立して殺し合いをした,と言う歴史がなくてよかったと思います。

絵の中の彼女は純白のドレスを着て,肌の白さも際立ち,彼女の美しさと気品が感じられます。

教誨師らしき主教はそっと寄り添い,断頭台の前でキリストに魂の救済の祈りをしているのでしょうし,侍女2人はもはや放心状態で,処刑吏もまた,気の進まない仕事を押しつけられ,困惑している,と言う感じです。

もうひとつ,ちょっと思ったのですけど,iruchanがルーブルで見た,やはり教科書にも出てくる,ダヴィッドが1805年に描いた,”ナポレオンの戴冠” と同じくらい大作ですし,画家はひょっとして,この絵のことが頭にあったのではないか......なんて思っちゃいました。

Vermeer1.jpg Johannes Vermeer(1632~1675)

  大好きなフェルメールもあります[晴れ]

"ヴァージナルに立つ女","ヴァージナルに座る女" です。

     ☆          ☆          ☆

ようやく彼女に会うことができました。

National Gallery.jpg National Gallery

ナショナルギャラリーへは,Charing Cross駅が一番近いですが,路線はBakerloo, Northern線で,あまり乗らないところですから,Piccadilly線のPiccadilly Circusか,Circle線のEmbankmentから歩くとよいでしょう。iruchanはEmbankment駅から歩きました。正面の広場はトラファルガー広場で,ネルソン提督がにらみつけています......。

今回,ストーンヘンジと,戦時中,ナチスドイツの暗号,エニグマを解読していたブレッチリーパークへ行って,チューリングが作った世界初のデジタルコンピュータ "コロッサス" (Colossus)を見てきました。

5年半ぶりのイギリス訪問記を書こう,と思います。しばらくお付き合いください。


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