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さよならAMラジオ~送信所めぐり~その11:KDDI八俣送信所,NHK菖蒲久喜ラジオ放送所 [ラジオ]

2024年1月7日の日記

八俣送信所.jpg KDDI八俣送信所

ここは日本か? と言う感じの幻想的な光景。夜は航空障害灯が点灯してきれいでしょう。

今日は初詣です[晴れ]

と言うことで,総本山へお参りしてきました。

NHKの中波,短波の基幹放送所へお参りし,多額の? お布施をしてきました。

☆KDDI八俣送信所

八俣送信所3.jpg

ここから,ワールド・ラジオ日本でNHKが プロパガンダ 国際放送をしています。6MHz~22MHzの周波数帯で,短波で全世界に放送しています。

周波数は,短波のため,季節ごとに最適な周波数が異なるため,こちらで公開しています。Yamataと書かれた周波数帯がここから発信されています。

とはいえ,ここは前身は1940年11月に建設された,国際電気通信株式会社の八俣送信所で,同社は1938年に日本無線電信株式会社と国際電話株式会社の合併により設立されています。設立の趣旨としては,国際電話と無線電信を一体化して運用しよう,というものでした。送信所は他に,札幌の烈々布送信所,鹿児島にありました。

すでに日中戦争も始まっていて,本来なら国営化すべきなのでしょうが,欧米との関係も微妙な時期に当たり,対外関係を考慮し,事実上,国営なのに,民間会社が運営する,と言う形態を取ったようです。

戦時中は日本から海外へ発信する短波放送を一手に担い,海外への情報発信は短波の通信によりここから送られました。戦後も,海底ケーブルや衛星通信が主体になった後も,予備的な立場で送信が続いているのではないでしょうか。そして今後も,有事の際は海底ケーブルはすぐに切断されてしまうことや,さらに,人工衛星も撃墜することが可能ですので,重要だと思います。

また,東京ローズ などの謀略放送はここから放送されたのではないでしょうか。KDDIには当時の資料が残っていないため,わからない,とのことですが....。

戦後はGHQの指令で,同社は解散,いったん,逓信省直轄となったあと,1953年から国際電信電話株式会社,その後はぐちゃぐちゃあって 手抜き~ 今はKDDIとなっています。

ちなみに1945年8月15日の玉音放送は国内向けには中波で,海外向けには短波で送信されていましたが,ここからは在外居留民向けに日本語と,全世界に向けて英語で短波で送信されたはずです。2年前に死んだ父は船員で,海軍に徴用されていましたので,樺太で聞いた,と言っていましたけど,短波で聞いたはずです。

なお,「ニイタカヤマノボレ一二〇八」の通信は軍事通信なので,ここではなく,長崎の海軍針生送信所および千葉の船橋送信所とされていますが定かではありません。また,これらの送信所は中波,短波のため,水上艦艇向けで,ハワイに向けて潜水艦による先行部隊がいましたので,長波による送信も必要だったはずで,愛知県の依佐美送信所から送られたはずです。

ここへは,東北本線古河駅から,大綱行きのJR関東バスが出ていますので,終点のひとつ手前,中里が最寄りのバス停になります。
 
いや~,行ってみてビックリ。とんでもない広さですね~。100万m2あるそうです。それに,一体,何本の鉄塔が建っているのでしょうか。驚くほどたくさんの鉄塔が建っていました。正確な数はKDDIもわかんないんじゃないでしょうか.....。そんなことないってば。
 
中里のバス停から,少し戻ると,北に延びる道があるので道なりに進むとものすごい数の鉄塔が見えてきます。
 
八俣送信所14.jpg 一体,何本あるんだよ......[曇り]
 
ちょくちょく訪れる人がいるようで,同じバス停で若い女性が降りたのにはビックリ。彼女も反対側のバス停の時刻を確認していましたし,あとで見かけましたので,送信所が目当てだったようです。
 
バスは大体,1時間に1本ですが,ない時間帯もありますので,ご注意ください。
 
八俣送信所3.jpg トラス型の鉄塔もあります(無指向性?)
 
八俣送信所2.jpg カーテンアンテナ
 
八俣送信所8.jpg 上部
 
よく見ると左右に分かれていて,折り返しダイポールアンテナになっていることがわかります。
 
八俣送信所7.jpg 下部
 
八俣送信所17.jpg リード線の固定部。2面あります。
 
局舎も平屋ですが,大きな建物で,前回のラジオNikkeiの長柄送信所もそうでしたが,送信機は真空管出力だそうです。また,同様に送信所は有人で,保守,運用されていますし,職員用の宿舎もあるようです。今でこそ道路も整備され,南側には住宅地が広がっていますが,昔は田んぼの真ん中で,周囲はなにもなかったでしょうから,生活は結構,大変だったんじゃないでしょうか。
 
八俣送信所4.jpg 北側の門。
 
八俣送信所16.jpg
 
八俣送信所6.jpg 正門
 
八俣送信所12.jpg 局舎
 
この写真の手前にある建物は戦後の増築棟で,その奥にもとの本庁舎があり,南側(右側)が入り口で,玄関や車寄せもある立派な戦前様式の局舎がありますが,見学でもできない限り,玄関の撮影はできません。
 
八俣送信所15.jpg 給電線。まるで荒野に延びる電信線。
 
ラジオNikkeiの長柄送信所もそうでしたが,各鉄塔に給電するための給電線が四方八方に伸びていて,ややこしくなっています。
 
さて,やはり気になったのはこの送信所の戦時中の様子です。いつも見る,今昔マップ on the webに戦前の地図が出ていました。
 
ただし,このWEBでも注意が表示されますが,戦時中の軍事関連施設は戦時改描と言って,実際とは異なる表示になっていることが多いので,注意が必要です。特に,「あるはずのものがない」ということも往々にしてあります。以前,東京芝浦電気府中工場の記載がないことを指摘しています。
 
案の定,八俣送信所の記載はありませんし,鉄塔の記号も出ていません。
 
八俣送信所(水海道 '40.11.30).png 八俣送信所?(水海道'40.11) 
 
やはりなにも記載されていません。今昔マップでも,"戦時改描の可能性" と表示が出ます。
 
戦後はきちんと表示されています。 
 
八俣送信所(水海道 '72.10.30).png 1972年10月
 
八俣送信所分室,というのは1933年に日本無線電信が隣りの結城郡名崎村に建設した名崎送信所のことです。1938年には同じ会社になっており,戦時中の役割分担がどうなっていたかまではちょっとわかりませんが,在外公館への通信などはこちらが担当していたのではないでしょうか。
 
米東部時間1941年12月7日午後2時20分,特命全権大使の野村吉三郎が米国務長官コーデル・ハルに日本の宣戦布告文を手交します。その電報は朝7時に届いていましたが,前夜に書記官の送別会のパーティをやっていて,当日朝,誰も大使館員が出勤しておらず,暗号解読に手間取り,真珠湾攻撃の50分後となったのは有名ですが,その電報はここから送信されたのではないか,と思います。
 
戦後は八俣送信所同様,逓信省(1947)⇒電気通信省(1949)⇒日本電信電話(1952)⇒KDD(1953)⇒KDDI(2001)と所属が変遷します。有名なのはJJYの発信ですが,そのほか,共同通信,時事通信,気象庁,海保などの通信業務を担当していましたが,徐々に停波し,2009年に完全に停止しました。現在は跡地は工業団地になっていて,跡形もありません。
 
八俣送信所の航空写真の方は国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスで見ることができます。
 
八俣送信所 '48.10.22 USA-R1970-23s.jpg 1948年10月
 
の部分に八俣送信所の本庁舎が写っています。建物の北側から東側にかけて,10基の自立鉄塔が確認できます。無指向性の支線式の鉄塔が他にもあるのかもしれませんが,今ほど鉄塔は多くなかった,と思います。
 
八俣送信所 '93.10.24 CKT932X-C6-6s.jpg 1993年10月
 
大幅に鉄塔の数が増え,特に東側に1列に並んだ鉄塔が確認できます。北の方や西にも鉄塔が増設されたようです。また,局舎も西側に増築され,送信機が増設されたようです。
 
お昼は古河駅近くのマスダ食堂さんで,モツ煮込み定食をいただきました。このお店,親切なおばあさんがワンオペしておられますが,冬休みなのか,たぶん孫? のお嬢さんが手伝いをしていてほのぼのしちゃいました。心優しいお孫さんですね[晴れ]
 
モツ煮込み定食(マスダ食堂).jpg 大好きなモツ煮込み[晴れ]
 
 何よりとても美味しいし,量も多くて,心のこもった定食にiruchanは大満足でした。
 
☆NHK菖蒲久喜ラジオ放送所
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所.jpg 一体いくつパラボラがあるんだよ.....[曇り]
 
ここで東京第1および第2が送信されています。NHKは2028年以降もAMは継続する,と表明していますが,第2放送は来年度中の廃止が決定していますので,今のうちに写真を撮っておこう,と思いました。
 
来年度以降,FMで今,基礎英語をやっていたりしますけど,FMも含め,NHKラジオの番組編成がどう変わるか,心配しています。
 
NHKの送信所は愛宕山の送信所から,新郷放送所⇒川口放送所(第1),鳩ヶ谷放送所(第2)⇒菖蒲久喜放送所と移転しています。菖蒲久喜への移転は第1が1982年3月と第2が翌年3月です。新郷放送所は現在,文化放送が使っているのはよく知られています。川口放送所は2002年まで予備送信所として活用されましたが,新開放送所が開設されて廃止され,現在はNHKアーカイブスが置かれています。
 
そもそも久喜放送所でいいのに,なんで菖蒲久喜と名乗っているのか.....。
 
敷地が南埼玉郡菖蒲町と久喜市にまたがっていたためですが,2010年に久喜市と合併しています。
 
ここも場所が広いので,写真を撮るのは大変ですが,都心に近いし,周辺は住宅街,工場の他,ショッピングセンターもできているので,バスも複数の系統があって,比較的便利です。
 
送信所は南から第1,第2の順で設置されています。第1が594kHz,出力300kWで,第2が693kHzで出力500kWで,どちらも国内最大です。鉄塔は第1が高さ245mで,第2が215mあります。国内のAM送信所でこれだけの高さがあるところは他にありません。第2の方が出力が大きいのは,第2放送の送信所の数が少ないので,エリアが広いためでしょう。
 
南側の向野バス停か,北側の大久保バス停が近いです。iruchanは久喜駅西口から,清久工業団地行きのバスに乗り,向野バス停で降りました。ここからは第1放送の送信所が近いです。菖蒲仲橋行きのバスだと大久保バス停で降りると第2放送の送信所が近いです。
まず驚くのはものすごい数のパラボラアンテナ。八俣送信所は鉄塔の数に驚きましたけど,ここはパラボラ。
 
なんだこれ? って思いましたが,放送衛星へTV映像を送るアップリンク施設だそうです。
 
NHKは渋谷が主局で,ここは副局のようです。
 
アナログ時代はWOWOWなどの民放の送信も受託していましたが,今はB-SATに移管されているものの,設備は共有しているようで,同社のWEBを見ると渋谷,菖蒲,君津にアップリンク施設がある,と書かれています。菖蒲,というのはここのことでしょう。
 
☆東京第1放送
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所13.jpg 道路に面した案内看板。
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所7(第1).jpg 第1放送局舎入り口。
 
奥に銘板がありますが,菖蒲久喜ラジオ放送所とあるようです。
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所9(第1).jpg 第1放送局舎
 
NHKのロゴがありますが,鉄板に塗装して書いてあるようです。
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所8(第1).jpg 第1放送鉄塔頂冠部
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所10(第1).jpg 第1放送基部。
 
銘板には,「日本放送協会支線式240M円管鉄柱 完成 昭和56年12月」とありました。
 
民放の華奢な? 鉄塔と違い,非常にゴツいです。民放のはφ500mmのはずですが,ここのは1mはあると思います。そもそもはしごが2本ある,と言うのは初めて見ました。まあ,高さが民放の倍はあるので,ゴツくて当然でしょうけど。
 
☆東京第2放送
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所3(第2).jpg STL用の鉄塔と。
 
敷地の一番北にSTL用のパラボラアンテナがあります。
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所4(第2).jpg 第2放送鉄塔頂冠部
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所12(第2).jpg 第2放送鉄塔基部
 
遠いので,望遠でもこれくらいしか撮影できません[曇り]
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所6(第2).jpg 第2放送入り口。
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所5(第2).jpg 第2放送局舎
 
珍しく? NHKのロゴがあります。第2はステンレス製のようです。
 
残念ながら,敷地の東側にも細い道があり,そちらから撮影できるのですが,できませんでした。
 
さて,来年度以降の話ですが,いつ,とは時期が明示されていませんが,来年度中にNHKは第2放送を廃止するようです。
 
とすると,この設備はどうなるのでしょうか。
 
あくまでも私見ですけど,新開送信所は出力が10kWしかなく,心細いので,そこを廃止して,ここを第1放送の予備とするのがいいんじゃ,ないでしょうか。
 
それとも,ここはやはり 対○謀略放送 の拠点に......以下,自粛。
 
帰りは第2放送からさらに北に行くと大久保バス停があるので,そこからバスで久喜駅に戻りました。モラージュ菖蒲という大きなショッピングセンターがあるので,そこで休憩してもよいのですが......iruchanはショッピングセンターは嫌いで,そんなところに行くとかえって疲れるので,立ち寄らずに帰りました....[雨]
 
鴨(菖蒲北部調整池).jpg バス停近くの調整池で。
 
鴨がひなたぼっこをしていました。太陽光電池パネルも生き物たちはこうやってちゃっかり利用していますね[晴れ]
 
      ☆          ☆          ☆
 
こうして初詣もできました。今年こそよい年を,と思っておりましたが,新年早々,大地震が発生し,驚いています。被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げます。

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