さよならAMラジオ~送信所めぐり~その6:京都ラジオ中継局 [ラジオ]
2023年10月30日の日記
残念ながら,今日は訪問記ではありません。なにしろ,立ち入り禁止の区域にあるので.....
とうとう,今朝,京都ラジオ中継局からの電波が停波しました。
ここは,ABC,MBS,OBCの在阪AMラジオ局が共同で建設した中継局で,京都市内や滋賀県南部の難聴地域を解消する目的で,1997年4月1日に設置されました。
確かに,iruchanが住んでいる北陸や,近畿北部では,ABCなどの局は入りづらく,iruchanももっぱらKBS京都や名古屋のCBCや東海ラジオを聴いていました。
名古屋の方がずっと遠いんですけどね.....。どういうわけか,昔から大阪の民放はほとんど日中はノイズだらけで聴けませんでした。
阪神タイガースの中継を聴くのももっぱらCBCや東海ラジオでした。ということはドラゴンズ戦しか中継しないわけですけど.....
それだけでなく,どうも京都市内で聞きにくい状況だったようで,それじゃ,大阪の民放としてはまずいわけですよね。
そこを運良く,新幹線が列車無線のシステムを変更し,従来の基地局方式から,漏洩同軸ケーブル(LCX)に切り替えたため,基地局が不要となり,その不要となった基地局を3局が借りて放送を中継した,と言うわけです。
今,新幹線に乗ると,窓際に太くて黒いケーブルがずっと見えて邪魔ですが,LCXケーブルはそれです。従来の基地局方式だとどうしてもうまく通信できない個所がでてしまいますし,何よりトンネル内では通信できないので,LCXに切り替わりました。
と言うわけですが,この基地局を借りて中継した,と言う話は聞いていました。
確かに.....劇的にこれら3局の受信状況は改善し,昼間でもきれいに受信することができるようになってびっくりした記憶がありますが,ワイドFMでFM補完局が完成し,今ではradikoもあるので,不要,と言う判断になったようです。
ところが,iruchanは,ずっと,JRの中継設備やパラボラアンテナの鉄塔を利用して,送信機だけ設置したのだ,と思っていました。
まあ,列車無線はVHFですし,ラジオは中波なので,アンテナの構造が違いますから,なにか工夫は必要で,おそらくはダウンリード式と言って,鉄塔のてっぺんから何本もリード線を降ろす形のアンテナを設置しているのだろう,と思っていました。実際,TVやFMの送信塔と共用している送信所もありますよね。
ところが.....。
どうもほかの方のWEBを見ると,きちんと支線式の鉄塔を建て,局舎も新たに建設したようです。
それで,廃局になってしまうのなら,一度,見に行きたい,と思ったのですけれど......。
敷地はやはり,某帝国領の中にあり,厳重に警備されて立ち入り禁止になっているようです。
googleのストリートビューを見ても,取付道路の入り口にフェンスがあります。
iruchanは今まで,送信所を訪問していますが,もちろん,公道や周辺の公園から撮影しているので,私有地には立ち入っていません。残念ながら,ここは周辺は私有地だし,東山の山中なので,撮影も難しいようです。列車無線はVHFなので,できるだけ高いところにアンテナを設けるのがよいので,こうなっちゃいますね.....。
このずっと奥に中継局があります。
googleマップを見ると横に広い空き地? らしき土地があるので,ここから写真が撮れないか,と思ったら,空撮写真を見てびっくり。なんと,ゴルフ場なんですね。
と言う次第で,ここは訪問はあきらめて,各局の開始放送をupしておきます。ちゃんと,京都中継局,出力300Wとアナウンスしていますね。これも今日でおしまいです。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
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なんか,ABCもMBSも,時代がかったファンファーレみたいな曲が面白いです。東京のTBSとかニッポン放送だとラップやポップス調の現代風の曲なんですけどね。この辺,関東と関西の文化の違いでしょうか。
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ラジオ大阪は東海ラジオなんかと同じく,放送局のテーマソングですね。ちゃんとソニーのSRF-M100で受信しましたので,ステレオで録音しています。おまけに高音がきれいで,他の2局とは音質がまったく違います。やはりAMステレオは音質がいいですね~。
OBCは今月の "放送技術" に技術者の方が京都中継局の建設や調整時の苦労話を書いておられて面白かったです。そもそも,同じ周波数で中継するのって,厳密に周波数合わせないとビートを生じるし,難しいと思うんですけど,やっぱり,どういうわけか京都市内は逆相,大津市内は同相になり,一部の地域は打ち消して難聴地域になる,と書いておられてびっくりです。そんなことあるんですね.....。
今日をもって四半世紀にわたる中継が終了しました。どうもありがとうございました。
☆ ☆ ☆
iruchanはたぶん京都中継局を聴いていたのだと思いますが,受信報告書を書いて,各放送局からQSLカードをいただきました。本当にありがとうございます。ものすごくうれしいです
2023年11月13日追記
今朝,各局の試験放送&開始放送を聴いてみました。
やはり,どこも京都中継局のアナウンスはありません。
別途,ABCとMBSはアナウンサーが録音し直した感じですが,OBCは単に編集でカットした,という感じです。
でも,OBCはいつも試験放送中にZARDを流していて,ステレオで聴けるし,ゴキゲンです。
ちなみに,やはり夜はそれほど影響はないですが,日中は明らかに感度が下がりました。
さよならAMラジオ~送信所めぐり~その5:文化放送・川口送信所,ニッポン放送・足立予備送信所,ラジオ日本・川崎幸放送局,小田原放送局~ [ラジオ]
2023年10月28日の日記
今日はTBS戸田送信所,AFN和光送信所に続いて,文化放送の川口送信所とニッポン放送の足立予備送信所を訪ねました。
元気があれば,レンタル自転車で1日で回れますが,1日の走行距離はgoogleさんによると38kmになります.....
iruchanはもう歳なので,あきらめて,2回に分けて訪問しました。
☆旧岩淵水門
今日のスタートは北赤羽です。文化放送の川口送信所だと,最寄り駅は日暮里舎人ライナーの見沼代親水公園か,埼玉高速鉄道の鳩ヶ谷ですが,ちょっと,行きたいところがあったので.......。
よくTVでも出ますが,荒川と隅田川を分流する水門です。1916年着工,1924年完成の水門です。
大昔は利根川,荒川が合流し,隅田川となって東京湾に注いでいましたが,徳川家康が利根川を銚子を河口とする工事を行い,家康の命で伊那氏が荒川を現在の川口市経由に変えました。
ところが,まだ隅田川との共用区間? が存在して氾濫するため,大正に入って,新たに荒川と中川の放水路を作ったのですが,その荒川と隅田川の分岐点に設けられました。今,われわれが荒川とか,荒川鉄橋と言っているのは正確には荒川放水路とその鉄橋なんですね。
木曽川河口の工事も非常に複雑なのですが,都心の川の変遷も大変です。
この水門は荒川が増水したときに隅田川へ流れ込むのを防ぐための防水扉? ですね。
iruchanは古い産業遺産に興味があるので,見てきました。
1982年に,下流側300mの地点に新水門ができてお役御免となりました。こちらは青いので,青水門と呼ばれますね。
☆文化放送・川口送信所
ここから,6.5kmほど走ると,川口送信所に着きます。
ここは実は非常に歴史が長く,もとは1928年,日本放送協会の愛宕山の愛宕放送所から移転して建設された,新郷(しんごう)放送所です。このとき,出力は5kWから10kWに増力され,周波数も800kHzから870kHzに変わっています。
1931年に第2放送が開設され,その後,1937年には第1放送は川口放送所へ,第2放送は鳩ヶ谷放送所へ移転しますが,大出力の新局の方は日中戦争が始まったことがあり,どうも防圧放送(いわゆるジャミング)に使われたらしく,開戦の放送や玉音放送はここから行われた,とされています。
と言う次第で,実はここの地下には戦時中の放送設備があるらしく,調査もされています。一度,見てみたいですが,AM放送終了後,宅地になっちゃうんじゃないでしょうか。せめて公園として残してほしい,と思います。
1952年3月31日に,日本文化放送が本放送を開始しますが,その送信設備として,戦後,本来のNHK川口放送所が再稼働し,こちらの設備が不要となったので,施設を譲り受けたようです。ただ,鉄塔や建屋は建て替えられていますし,旧鉄塔の跡や建屋が残っているようですけど,施設全体は 国営放送 の名残で,放送所は山の上にありますし,周囲は森のようになってやはり隠蔽するように局舎が建っているので,非常に撮影は難しいです。
そもそもAMの送信所はアースが重要なので,山の上に建ててはまずいだろ,と思うんですけどね.....。だから,3kmほどの西と北西の平地に川口放送所や鳩ヶ谷放送所が移ったようです。
戦前,山の上に建設されたのは,おそらくは隠蔽と,また,なんでも高いところから国民を教育しよう,という上から目線の意図があったのか,という気がします。
残念ながら,局舎は少し見えるだけで,きれいに写真は撮れません。桜の季節に門が開いて市民に開放されるようなので,行ってみたいです。
奥に車が見えますけど,iruchanが訪問したときも,中から車が出てきました。
どうみても古そうな縁石。おそらく,戦前のものでしょう。
ちょっと,これも古めかしい看板。高さは136.69mです。JO Rとなっているのは随分前からのようです。
鉄塔は国営放送時代のものではなく,新たに建てられたものです。送信周波数が違いますから,高さも変わってきますので。ちなみに,文化放送の周波数は,今は1134kHzですが,当時は1310kHz,出力は10kWでした。鉄塔はAFNや東海ラジオ同様,容量環がないタイプでした。国営放送時代の鉄塔はトラス構造だろう,と思います。
かろうじて基部が撮影できました。航空障害灯用のオースチントランスが見えます。望遠レンズで撮影したので,手前の枯れ葉が写っちゃってます
東側の道路をはさんで中学校があるんですけど,そこから塀越しに撮影しました。施設の中に入らないと,局舎の正門は撮影できないようです。
放送局から中継するためのパラボラと八木アンテナが取りつけられています。
来年,春の桜のシーズンになったら,一度,敷地の中を見せていただきたい,と思っています。
なんか,本当にほんわかしてしまう,優しいデザインで癒やされます。どうも大変ありがとうございました。
☆ニッポン放送・足立予備送信所
ここからさらに東へ,7kmほど走るとニッポン放送の予備送信所があります。平坦な道のりで,サイクリングは快適でした。出力100kWの本局は千葉の木更津にありますよね。
ここはニッポン放送が1954年7月15日に開局したときの放送設備で,1971年に木更津に移転するまで,基幹局として使われていました。
現在の鉄塔は,さすがに予備,ということもあり,出力は1kWで,東日本唯一のAMステレオ放送はここからは送出されません。せいぜい,1年に1回,試験放送をするくらいなので,土地の有効活用なのか,北半分はレンタル農地になっていたり,ゴミ箱が置いてあったり,あまりきちんと整理されていない感じです。また,かつてはポニーキャニオン系の会社があり,VTRを作る工場があったようですが,解体されて空き地が広がっていました。また,隣接して野球場があったらしく,周辺の土地や道路も湾曲しています。
STLの回線はパラボラアンテナは見えないので,60MHz帯のVHFのみのようです。
あの~,悪いのですが,左の門扉の奥に銘板を取りつけた小さな門柱があるのですけど,その前にゴミ箱を置くのはやめてほしい
銘板には,”ニッポン放送送信所” とあるらしいです
こちらはもとの工場の門扉です。
珍しいのは,送信塔は文化放送など,一般的なAM局が使っているような支線式ではなく,ダウンリード式で,鉄塔も非常に低いです。
ダウンリード式は,基部接地型アンテナの1種で,鉄塔から周囲に何本かリード線を吊り下げ,そこに電圧をかけて送信する方式です。通常の支線式と異なり,鉄塔自体は地面に直付けされていて接地されています。リード線は上下で絶縁されていて,頂部で折り返していて,フォールデッドアンテナとして動作しているようです。そこで,長さは1/4λとなりますから,この鉄塔は60mほどの高さのはずです。
なおかつ,ここはそのうちの2本のリード線を水平に張って,電波の発射方向に指向性を持たせているようです。
この場合,リード線と90゜の方角に指向性が出ますので,確かに関東平野を北西から南東の方向に電波が伝わるようになっていると思います。頂部にも整合箱があるようです。また,ダウンリード式の場合,頂部で接地して,接地式アンテナとして動作させることが多いのですが,ここはフォールデッド式にして,頂部も絶縁してあるようです。
リード線の終端部。
内部に碍子のついた整合箱がありました。周囲のリード線の接地部は細長い白い碍子を介して接地されていました。
年に一度,5月の最初の日曜の夜(月曜の早朝)に試験放送があるようなので,来年,聴いてみたいと覆います。
☆ ☆ ☆
帰りは,つくばエクスプレスの六町駅が近いのですが,もう少し足を伸ばして,北綾瀬へ......。
地元の方には非常に悪いのですが,北綾瀬駅って,鉄ちゃんじゃなければ行かないところかと.....。
iruchanは昔から,一度,行ってみたい,と思っていました。
行ってみてびっくり,駅は高架でものすごく立派な建物だし,周囲は高級そうなマンションも建ち並んでスーパーもありますね。
iruchanは,ここは 美濃赤坂 か 和田岬 みたいなものでしょ,って思ってました
まあ,日中,1時間に6本,電車がありますし,うち3本は代々木上原まで行くようなので,かつてにくらべればものすごく便利なところになっています。それに全部始発電車なのですから,宅地としては非常に魅力的なところなんでしょう。
あのよ~,ホームまで似とるでかんわ~。
☆アール・エフ・ラジオ日本・川崎幸放送局
別の日に川崎に出張があって,その帰りに訪れました。
新幹線の海側の車窓に赤い鉄塔が見えるので,いつか行ってみたい,と思っていました。
ここは,iruchan的にはラジオ関東なんですけどね......。
多摩川を渡って,対岸の川崎市の幸区にあります。
それにしても,昔は川崎駅前って,東芝の大きな工場がド~~ンとあって......というイメージでしたが,すっかり変わってしまいましたね。今,ラゾーナ川崎となっているところが東芝・柳町工場の跡地で,同工場は真空管の製造拠点だったので,iruchanにはとても関心のある場所です。
ほかには北側に少し離れたところにある小向工場はTVの拠点だったようです。東芝科学館もあるので,見に行けばよかったですが,予約制なので,ちょっと敷居が高いです。
それにしても,電機の名門・東芝は例のノートPCの不正会計事件に始まって米Westinghouseの買収失敗も重なり,ファンドの餌食となって,どんどん資産を切り売りし,手許に残っている事業は鉄道などのインフラ事業とデバイス事業だけ,という状況です。もはや家電はブランドこそ残っていますけど,東芝ではなく,中国の美的集団のものです。ファンドは会社を転売して儲けるビジネスなので,不採算の部門をどんどん切り捨ててしまい,最後には会社がなくなってしまいますので,先月,東芝の非上場化が決まりましたけど,しかたないでしょう。アメリカのZenithとか,Altecとか,こういう羽目に陥り,今はどちらもブランドが残っているだけです。
さて,このラゾーナのバス乗り場から,川73系統上平間行きまたは川32系統小杉駅東口行きのバスに乗って,小向バス停で降りると近いです。googleさんは御幸公園を指示してくるのですが,国道1号線を渡らないといけないので,小向で降りる方がいい,と思います。スーパーもあって,iruchanは帰りに冷たいお茶を買ってバスに乗りました。
また,多摩川の堤防や高層マンションが邪魔をして,かなり近くまで行かないと鉄塔が見えないので迷っちゃいますから,気をつけてください。御幸公園からだとほとんど見えません。
多摩川の堤防から,鉄塔がよく見えます。
それに,ほかの方のブログを見ると,なんと,この送信所,鉄塔の根元まで行って見ることができるようです。普通は高圧がかかっていて危険なので,柵があるのが普通ですけど,ここはもともと多摩川の河川敷,と言うこともあり,鉄塔基部がかなり高いコンクリの台座の上に乗っていて,近づいても安全だから,のようです。
とはいえ,残念ながら,iruchanが行ったときは周囲は草ボーボー
再び,googleさんの親切な地図からストリートビューを見ると,最新の映像は2月撮影らしく,これなら草も生えていなくて,基部まで行けそうです。
と言う次第で,ここを観察するなら冬の方がよさそうです。
しかたないので,望遠レンズで観察しました。
基部はこのようにかさ上げされ,上に整合箱などが置かれているようです。オースチントランスも見えますね。ちょっとペンキが剥げているのが気になります.....。
ここの送信所の特徴は指向性アンテナであることで,普通,こういう場合,前回のAFNのように,2基,鉄塔を設置するのですが,ここはダウンリード式と言って,ステーを利用して指向性を持たせているので,鉄塔は1基のみです。
どうも,1981年10月に50kWに増力するときに郵政省から指向性を持たせるよう,指導があったようです。そのため,都内であまりきれいに入らない,という状況になっているようです。確かに,iruchanが上京したときに滞在する多摩地区ではちょっとノイズが多いです。
AFN同様,容量環はつけられていません。
おそらく,一番上のステーが給電され,指向性を持たせているもの,と思います。ここだけ,アンカーに整合箱がついていました。
北側は川崎競馬の馬練習場になっていて,堤防の外側(右)に厩舎があります。残念ながら,この日はおウマさんは見られませんでした。
2024年1月17日追記
☆アール・エフ・ラジオ日本・小田原放送局
新幹線を小田原駅で降りて,ラジオ日本の小田原送信所を見てきました。正式には小田原放送局と言うようで,昔はローカル番組をやっていたようです。
周波数1485kHz,出力100Wの小さな送信所です。
手前の建物は漁協の建物で,局舎ではありません。
手前に発電機が置かれた小屋があります。わざわざ,"発電設備" と書かれているのは珍しいと思います。
小田急線・富水駅から,東に歩いて,酒匂川の橋を渡ると堤防沿いに道があるので,そこを1.8kmほど歩くとたどり着きます。
小規模局によくある,ダウンリード式の鉄塔で,鉄塔自体は接地されていて,リード線給電側のみ碍子で浮かせて給電する形式で,通常の基部絶縁式の送信所と異なり,接地式アンテナとして動作します。
てっぺんに小さな箱がありますが,整合箱でしょうか。よく見ると支線に給電されているので,指向性をもたせているようです。
リード線はターンバックルを介して鉄塔に取りつけられていますが,ジャンパー線を使って高周波電流はターンバックルを通らないようになっています。電食防止のためでしょうね。
鉄塔は円管柱ではなく,トラス式ですが,よく見てみると斜材は鋼棒を折り曲げ,溶接した構造で,普通のトラス式のように,鋼板をリベット留めした構造ではありませんでした。
鉄塔は高さ50mだそうです。とすると,航空法の規定により,赤白の昼間障害標識は不要なはずですが,まあ,どっちにしろ,錆防止のため,塗装はしないといけないので,赤白で塗った,と言うことでしょうか。
基部に給電装置があります。大きな碍子がいかめしいですね。リード線は碍子で絶縁されています。
鉄塔基部には, "アール・エフ・ラジオ日本 小田原標準放送局 基部接地型中波塔アンテナ 製作年月 昭和56年6月 電気興業株式会社" とありました。
こういう,小さな送信所は地域の良好な受信に貢献していますし,なによりかわいらしくて,とても好きです。
さよならAMラジオ~送信所めぐり~その4:CBC長島送信所,東海ラジオ七宝送信所 [ラジオ]
2023年10月21日の日記
前回,名古屋港南部のNHK鍋田ラジオ放送所を訪ねました。
今日は木曽川の対岸にある,CBCの長島送信所と,ちょっと北にある東海ラジオの送信所を訪ねました。
どれもそう遠くはない立地なので,がんばれば1日で回れますが,港や河口近くの人口が希薄なところのため,公共交通はとても不便で,レンタカーでも借りないと1日では見て回れそうにありません。
☆CBC長島送信所
稲刈りが終わって,まるで荒野に建つ送信所......アメリカみたい。
iruchanは特急しらさぎで名古屋へ出て,そのまま 省線 で長島駅へ。関急 でもいいのですが,ちょっと関急名古屋駅は地下なので,省線があればそっちの方が便利です。
ただ,それにしても関西線って,いまだに木曽川鉄橋前後の区間を除けばほとんど単線で,これじゃ,近鉄と勝負になりませんね.....。それに,路線もほとんど並行していて,JR長島駅と近鉄長島駅は目と鼻の先です。
CBCの長島送信所へは,桑名駅から三重交通バス53系統長島温泉行きがほぼ1時間に2本,出ていますし,名古屋の名鉄BCからは名鉄や三重交通の高速バス・長島温泉行きが出ていて,割に便利です。バス停は松中が近いです。
が,iruchanは長島駅から,桑名市のコミュニティバスK-バスに乗りました。料金はたった100円です。
とはいえ,1日2本しかありません
おまけに,かつてはバスは3本あったらしいのですが,朝の1本はデマンドタクシーに変わっていて,1時間前に電話で予約しないといけないらしい。
ちょっと驚きました。
バスは,お客さんはiruchanただ1人。
このあたり,やはりコミュニティバスの問題点ですね.....。せっかく,公共交通の過疎地帯をカバーしようと,自治体が努力しても,1日の本数がたった3本程度では,正直,利用したくても利用できないのではないでしょうか。近所のお医者さんに行って,帰ろうとしたら3時間後とか,下手すりゃ,今日は終わり,というダイヤでは利用のしようがありません。こういった過疎地帯の公共交通は無人の自動運転バスまで待たないといけないか,という気がします。
バス停は野亨寺前が近いです。ここから少し東に歩くと,北側に鉄塔が見えます。
ここは開局以来使用していた鳴海送信所から,1978年11月23日に移転したものです。周波数1053kHzは最初からで,この日に日本を含むアジア地域の置局間隔が従来の10kHzから9kHz間隔に変わりました。このおかげで,海外で買ったラジオが日本で使えない理由になっているんですけどね.....。PLLシンセサイザ式のラジオの場合,アメリカで買ったりすると日本では使えません。
TBS戸田送信所同様,真鍮で作られているのでしょうね。緑青が吹いていました。
CBC(中部日本放送)は日本の民放のパイオニアで,1951年9月1日,旧鳴海放送所から,日本の民放の第一声を上げています。
ところが,どういうわけか,一般には大阪の新日本放送(現毎日放送)が1番目,とされていて,CBCは同着みたいな感じに言われています。
時間的にはCBCの方が早く,6:30に第一声を上げていて,新日本放送は正午です。CBCの方が早いのに,第1号は新日本放送,と言われることが多いのは不思議です。
鉄塔は日本のAM局に多い,支線式で鉄塔もごく一般的な円管柱です。
ただ,頂冠部は容量環らしいものがあるにはあるのですが,どうにも小さい。普通はNHK彦根中継放送所のように,8m以上あって,意外に大きいものですし,鍋田送信所のもやはり足場があって,その周りに容量環がついている,と言う構造です。
ここは,NHKの送信所みたいに大きなものではないようです。機能的に容量環としても機能しているのかもしれませんが,頂冠部の避雷針を点検する足場のような感じです。
人が1人,通れるだけの穴が開いているところを見ると,容量環にしては小さすぎ,容量環と言うより,点検用の足場のような感じです。
局舎はTBSの戸田送信所みたいに,臨時のスタジオなんかも設けられているようで,かなり大きな局舎です。
県道側(東)にサインがあります。夜はネオンが光って,きれいでしょう。非常用発電機の煙突も見えますね。八木アンテナはVHF帯のSTLアンテナでしょうか。
1Fに配電盤が見えますね.....県道側の写真から分かるとおり,鉄塔はかさ上げされていますが,配電盤は地上と同じレベル。これでは津波の時,どっかの発電所みたいに,浸水して停電して炉心溶融 しちゃうのでは?
局舎の入り口はこちら側で,先ほどの銘板もこちら側にありました。
帰りは近くの松中バス停から八風バスで桑名駅に出ました。
ちょうど昼なので,駅前のエンシュウヤさんでおいしいランチをいただいて再び省線電車に乗りました。エンシュウヤさんは昔ながらの洋食屋さん。とても安くてボリュームもあり,食後にコーヒー頼んだら,ロールケーキと梨がついていてびっくりでした。
みそ汁は赤だしです。おまけにたった750円でしたやっぱ名古屋はで~れ~ええがね....ここは桑名だけど....。
桑名から,弥富へ移動し,そこで名鉄尾西線・普通須ヶ口行きに乗り換えました。この電車に乗るのは久しぶりです。
素敵な木造駅舎。末永く残ってほしいものです。なんと,1894年建築だそうです。
☆東海ラジオ七宝送信所
1332kHz,出力50kWの送信所です。♪1332~~東海ラジオ っと。
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それにしても,AM廃止したら,このジングルはどうなるんでしょう。▲は自作のAMステレオチューナーで録音しました。ちゃんとステレオです やっぱステレオはええでよ~~。
津島から名古屋・栄行きのバスに乗り,下田バス停で降りればすぐ北です。iruchanは木田駅まで行って,そこから健康のため? 南に3kmほど歩きました。
ただ,この送信所,NHKの鍋田送信所と同じで,非常に写真が撮りにくいです。三方は私有地で囲まれ,周囲は民家が建て込んでいて,また,西側の蟹江川の堤防道路はどうもずいぶん前から除草しなくなり,通れなくなっているので,アクセス&写真撮影は結構大変でした。
と言う次第で,鉄塔基部の写真はかろうじて撮れる程度でした。近くの公園から望遠レンズで撮影しました。
日本では大体,容量環がついていますが,AFN同様,容量環がないタイプでした。ステーはすぐに取付部で絶縁されています。
入り口から撮影しました。塀の中の道路はきちんと舗装されていますが,取付道路は未舗装でした
残念ながら,鉄塔基部はうまく写真が撮れません。近所の公園から望遠レンズで撮影しました。航空障害灯のオースチントランスが見えますね。
一般市民が行くところではないし,納入業者向けなんでしょうけど,立派な看板です。普通は送信所って,軍事施設なので,場所を秘匿しておくべき,と思いますけど.....。
2014年に▲の局舎が建て替えられているので,その目印だったんじゃ,ないでしょうか。
この堤防上の道路が冬は草が枯れて歩けるようです。送信所へ行くのは冬なんですね......。
ここは,1960年4月,新設の東海ラジオ放送の送信所として開業しました。東海ラジオの設立の経緯は複雑で,いつもお世話になっている,河童さんに教えていただきました。河童さんは真空管ラジオをずっとつくっておられ,また,民放ラジオ草創期のQSLカードをお持ちで本当にすごいです。
中日新聞が親会社のCBCと違い,東海ラジオはもとは三重のKTB近畿東海放送(JOXF,860kc)と,岐阜のRTCラジオ東海(JOOF,1460kc)が合併してできた会社です。近畿東海放送の前身はRMCラジオ三重で,また,ラジオ東海は前身はGHK岐阜放送(現在の岐阜放送とは無関係)です。送信所はそれぞれ津と岐阜にありましたが,統合後,廃局になっています。この2社が合併して名古屋に進出し,七宝町に送信所を設けました。周波数は1490kHzでしたが,周波数が高いほど,エリアが狭くなる傾向があるため,1962年に1330kHzに変更が認められました。CBC同様,9kHz化に伴い,現在の1332kHzに変わっています。このとき,50kWに増力しています。
初期の民放ラジオ局はCBCみたいに送信所を途中で移転していることが多いので,ここは貴重です。
☆ ☆ ☆
これで名古屋近郊の送信所はすべて訪れることができました。iruchanは都会のラジオ,と言うと名古屋の放送局を聴くことが多いので,一度,行ってみたい,と思っていました。残念ながら,うちでは大阪の民放はほとんど入りません。
帰りはまた名古屋駅からしらさぎで帰りました。お土産に大須ういろを買いました
2024年2月20日追記
両局からカードをいただきました
名古屋からだとサービスエリア内なので,ちょっと申し訳ないので,上京した折に聴取して報告させていただきました。
残念ながら,両局とも,日中は東京では聴けません。夕方から,朝,7時頃まで聴くことができます。久しぶりに名古屋の放送が聴けてよかったです。
いずれも20年ほど前に一度,カードをいただいていますが,全く違うデザインで,本当にありがとうございます。
おぅ~~,ここ行ったぞ,って感じですね......
右は瀬戸市の三国山FM放送所ですね。ワイドFMはここから送信しているみたいです。
東海ラジオさんからは,ドラゴンズのクリアファイルと番組表をいただきました。
さよならAMラジオ~送信所めぐり~その3:NHK鍋田ラジオ放送所 [ラジオ]
2023年9月25日の日記
今日は名古屋の送信所を訪ねました。ここはNHKだから,2028年以降も存続すると思いますが,AMラジオの送信所はとても興味深いので行ってみます。
iruchanは名古屋で暮らしていたことが長いので,NHK名古屋やCBCや東海ラジオをよく聴いていました。それに,もともと北陸からだと大阪の放送局はNHK大阪以外,ほとんど入らないので,名古屋のこれらの放送局を聴くことが多かったです。
また,名古屋って,美味しいものがたくさんあって,とても好きです。一番好きなのはあんかけスパ!よくもまあ,パスタにピリ辛のソースかけて食べよう,なんて考えたものだ,と思いますが,ウィンナーやフライが載っていてボリュームもたっぷりで大好きです。きしめんも名古屋らしく,関東みたいに醤油ベースなのに,かつおだしがすごく効いていて,和洋折衷ならぬ,東西折衷で,とても好きです。
☆NHK鍋田送信所
NHK名古屋の送信所です。1983年に木曽川河口の弥富町(現弥富市)に建設されました。1955年までは鍋田村で,今も町名として残っていますが,この送信所の所在地は隣りの上野町となっています。
このとき,名古屋市南部の桶狭間にあった送信所は廃止されています。
ちょっと失敗だったのは,この桶狭間送信所は2008年3月まで局舎が現存していたらしいので,見に行けばよかった,と思います。
一時期,鉄塔が4本もあった時代があるようです。今は戸建ての住宅地になっています。今昔マップ on the webから。1935年の地図にも載っていますが当時は鉄塔は2本のようです。
ここはNHK名古屋第1(729kHz)と,NHK名古屋第2(909kHz)の送信所で,空中線出力はそれぞれ50kWと10kWです。iruchanの住んでいる北陸からだとNHK第2は名古屋が一番,感度よく受信できますが,ノイズが多く,困っていましたけど,出力が10kWでは納得。夜だと秋田のNHK第2大潟ラジオ放送所の方がきれいに入りました。500kWですから当然かも。ただ,ここはNHK第2だけだから,廃止になる可能性があり,一度,見に行きたいと思います。
鍋田送信所へは 関急 弥富駅前から,弥富市営コミュニティバスきんちゃんバスがあります。このあたりは低地のため,金魚の養殖が盛んですから,きんちゃんです。
最初,googleさんに名古屋駅からのルートを教えてもらおうとしたら,「乗換案内ルートを計算できませんでした。」と答えるので焦りました.....
なんとか,弥富市のホームページでコミュニティバスがあるのを知って行くことができました。ただ,残念ながら,ここへ行くには1日3本しかありませんのでご注意ください。
どう見てもおよげたいやきくんなんですけど......。古っ!
と思って調べたら,やはり同じデザイナーの作品でした。どおりで。
バス停はいこいの里で,ここから東に700mほど行ったところにあります。
ただ,せっかく苦労して行ってみたのですが........。
残念ながら,送信所の南側はうっそうとした森の中にあり,ほとんど写真を撮れる場所がありません。局舎へは広い敷地の中に道路がありますが,入り口からかなり遠く,しかも折れ曲がっているので,局舎の写真も撮れません。
STL用のマイクロ波アンテナ。栄の放送センターを向いているのでせう。
幸い,隣りに下水処理場(日光川下流浄化センター)があり,そこの駐車場越しに写真が撮れました。
周囲は伊勢湾台風で大被害を被ったところで,危険な場所のため,民家やレストランなどはなく,その代わりにゴミ焼却場やこの下水処理場や火葬場や霊園など,いわゆるNIMBYとよばれる迷惑施設のオンパレードでした。NIMBYとはNot in my backyardの略で,「オレの裏庭はダメ!」の意味です。AMの送信所もある意味,迷惑施設でしょう。
伊勢湾台風と言えば,この送信所も今後,地球温暖化に伴い,伊勢湾台風級の巨大台風の襲来が予想されますし,南海トラフ地震では名古屋は最高3.6mの津波が襲う,と予想されています。そこで,この送信所も予備の送信所として,刈谷市内に建設が進められている? はずですが詳しいことがわかりません。NHKの経営委員会の議案では来年,運用開始となっていますが,どうなっているのでしょう。どうも場所は依佐美送信所のすぐ近くのようで,つくづく通信に縁のある場所なんですね。
名四国道(23号)がすぐ近くを走っていますし,最近は伊勢湾岸道が開通し,インターもできたことから,IKEAを初めとした巨大な物流倉庫がずらりと並んでいます。1日中,トラックが出入りするので,これも迷惑施設ですね.....。
帰りは,コミュニティバスは本数が少ないし,弥富駅まで1時間以上かかるので,名古屋競馬場で少し遊んでから,そこの無料送迎バスで名駅へ出ました。
といって,ここから炎天下を名古屋競馬場まで3km近く歩きましたけど......
正直,この送信所は労多くして成果はほとんどありません.....
おまけにここへ行くにはとても時間がかかるので,レンタカーでも借りない限り,CBCの長島送信所や東海ラジオの七宝送信所とは一緒に回れません。▲のgoogleさんの地図で☆のところで,近くなんですけどね。周辺は名古屋港南部の埋め立て地や木曽川河口の中州で,人があまり住んでいない場所のため,公共交通はとても不便です。
なぜか,ヒマな文系女子大生となった娘が競馬にはまったらしく,そんな子に育てた覚えはない! 結構,かわいいよ,と言うので見てみました。なるほど,結構,見ていると楽しいですね。
なお,どういうわけか,名古屋競馬場の開催日は平日のみなので,注意が必要です。
帰りに大須ういろのういろうと,カエルまんじゅうを買って帰りました。どちらも子供らの好物です。東京や博多がひよこまんじゅうなら名古屋はカエルまんじゅうだぎゃぁ~
さよならAMラジオ~送信所めぐり~その2:NHK彦根ラジオ中継所,KBS京都・滋賀放送局~ [ラジオ]
2023年10月1日の日記
ちょっと,iruchanは最近は鉄道なんか止めて鉄塔にはまっています。
だって~,iruchanが追いかけてきた国鉄型車両はあらかたなくなってしまい,もはや追いかけるものがない,という状況になっちゃいましたからね.......。国鉄は遠くなってしまいました。今どきの若い人に国有鉄道なんて言ったって,ちんぷんかんぷんなんでしょうね......
なによりJRになって,各社,個性を出してきて,まったく統一したデザインじゃなくなった,と言うこともありますが,個性が出始めた割に,大手私鉄のように確固たる個性があるわけでもなく,ひとつの会社でもバラバラなデザインで,一貫した個性を確立するまではまだまだ長い年月がかかりそう....。挙げ句の果て,某デザイナーの魔の手にかかってしまった会社もあって,正直,支離滅裂,奇妙奇天烈な車両ばかりでまったく興味ありません。
また,国鉄型車両だとマニアの間で共通の話題にできましたけど,それがなくなってしまった,と言うのも面白くない理由。やはり鉄道車両というものは普遍的で,かつ虚飾を排した合理的なものでなくてはならない,と思います。
さて,AMラジオもとうとう,民間放送がほとんど撤退することが決まり,2028年以降はNHK第一のみ,と言うことになりそうです。TVもそうですけど,コマーシャルに頼る民間放送のビジネスが大きな曲がり角を迎えていることは事実。視聴者の方も,今どき決まった時刻に決められたものを見る,と言うのは面倒だし,コマーシャルを見るのもバカバカしいし,ドラマすらも展開の早いものでないと時間のムダ,と言う感覚なんじゃないでしょうか。
それにiruchanはいつも思うのですが,今,民放のTV番組って,見る価値あるのか,と。タレントを何人か集めてYou Tubeの動画を見て笑いこけてる,なんて番組ばかりですけど,誰が見るんでしょう.....
さらに,ネット広告の方がTV CMより収入が大きくなってしまった,と言う現状では,より収入の少ないラジオは斬り捨てざるを得ない,と言う状況なのでしょう。特にAMラジオは設備に膨大な費用がかかるので,余計,廃止圧力がかかってしまうのだ,と思います。特に,TVとの兼営局はともかく,AMだけの放送局は死活問題でしょう。
とはいえ,災害に強いラジオを簡単に捨ててしまっていいものか,と思います。電池だけで相当長時間,聴くことのできるラジオは非常に重要だとiruchanは思います。
さて,AMラジオ廃止のひとつの理由でもある,送信塔の姿を記録に残しておきたい,と思いました。これから,見かけたらマメに写真を撮っておこう,と思います。
今日は前回のTBS,AFNに引き続いて,子供の頃からよく知っている,琵琶湖岸の送信所を再び見に行きたい,と思います。
☆NHKラジオ彦根中継所,KBS滋賀放送局
彦根市南部の琵琶湖岸に赤い送信塔が建っています。
たまたま北陸の家から,琵琶湖に水泳に連れてきてくれたのか,鮎釣りに連れてきてくれたのか,分かりませんけど,子供の頃,何の塔か分からなくて,父に「あれはなに?」って聞いた記憶があります。
TVや電話のマイクロ波中継アンテナだとパラボラアンテナがついていたりして,すぐにアンテナ,と分かりますが,AMのアンテナは単なる棒? で何なのか,さっぱり分かりませんよね.....
高校の物理で,電気力線とか電界強度とか,習わないとどうなっているのか,さっぱり訳が分からない,と言う代物だと思います。
でも,再び見に行ってみて,夕日に照らされた送信塔はとてもきれいでした....。
ここは,NHK大津第一(945kHz)とKBS滋賀(1215kHz)を1kWで送信しています。KBSと言っても京都放送で,韓国 ではありません。日本の民放のパイオニアのひとつです。また,NHKはTBS(954kHz)とすぐ近くなので,このあたりで夜,TBSが聴けない理由になっています。ニッポン放送は割によく聞こえて,中坊の頃,オールナイトニッポンをたまに聴きました。
てっぺんには容量環を備え,高さは108mと低めです。鉄塔高さは1/2波長にするのが効率がよいので,そこから考えると,KBSにあわせてあるようです。民放の中継局だったらこの出力だと半分の高さ(1/4λ)でもいいはずですが,NHKと共用なので,立派な施設です。
また,どういうわけか,普通,ステーのアンカー部分も含め,放送局の土地ですが,ここは局舎のみのようで,局舎周辺だけフェンスで囲まれていて,送信設備を近くで詳しく観察することができました。
周囲は田んぼ。すぐ東にある曽根沼は琵琶湖の内湖で,米原駅西側の入江内湖同様,戦後干拓された農地です。
このあたりもそうかな~という気がしますが,田んぼなので,接地もよく,アンテナの性能としてはとてもよいでしょう。
湖岸道路をはさんで1.6kmほど南東の荒神山(こうじんやま)山頂にTV用の中継局があります。そこにSTLのアンテナもあるのでしょう。スタジオは大津にあるので,そこからSTLで荒神山に飛ばして,そこからさらにAMはここに飛んでいるようです。
明治政府が意地悪して,滋賀県の県庁所在地は大津になってしまい,放送としては県中央部の彦根にある方が電波の伝播状況もよいようです。そういや,福島だって,会津若松の方が中央だし,iruchanの北陸にある金沢もさすがに,一応,県庁所在地として残りましたけど,県の名前は石川県なんて,隣の町の名前を冠しています。
たまたま,農作業に見えたおばさんと話をしましたが,いつもだと中継局の周りに彼岸花が咲いて,きれいだそうですが,今年はまだ咲いていないのでヘン,とのことでした。おばさんもラジオ深夜便を聴いているそうです。また,年に4回,中継局の周りの草刈りをするそうです。どうも大変ありがとうございます。
60秒も露出しました......。もう,真っ暗なんですけどね。
トンビがたくさん飛んでいて,iruchanは子供の頃,トンビが魚を捕まえるのをよく見ましたが,琵琶湖の魚を狙っているようです。さすがに暗くなってきて,ねぐらに帰らんとまずいのでは......と思ったら,容量環に留まったやつがいて,まさか,そこがねぐらか,と思ったら,そのうち山の方に飛んでいきました。
周囲は畑か田んぼで,琵琶湖を背景に美しい写真の撮れる場所でした。雪が降ったらまた行ってみたいです。