FILCO製キーボードの修理&清掃 [パソコン]
2022年7月29日の日記
長年,使っていた,FILCOのキーボードが壊れました。
きっかけはiruchanが大好きなジャムパンを食べていたらジャムをこぼしちゃったこと......
iruchanはジャムパンが好きなんですよね.....。昔は菓子パンというとジャムパンか,クリームパンくらいしかなくて,今みたいにいろんな菓子パンはありませんでした。学校でもジャムパン派とクリームパン派にわかれていましたっけ....。
と言うことで,iruchanは今でもお腹が空くとジャムパン食べてます。
でも,カレーパンやメロンパンはもはや定番で,人気を確立していて,各地に名店がありますけど,ジャムパンは全然人気ありませんね.....。そういや,うちの子が小さい頃見ていた,アンパンマンにもあれほどたくさんなんとかパンマンがぞろぞろ登場するのに,なぜかジャムパンマンは登場しませんし,ジャムパンは人気ないようです。
ところが,もはや会社じゃ誰からも相手にされていないiruchanがいつもどおり早朝に一人でジャムパンを職場で食べてたら,先日,とうとう,ジャムがお尻からこぼれてキーボードにべったり.....ゲッ
急いでぬれぞうきんで拭きましたけど,やっぱまずかったのか,いくつかのキーが反応しません。
まずい.....。
と言う次第で,修理しないといけませんし,そのついでに掃除もしちゃおう,と思います。買ってからもう10年以上,使っていますけど,一度も分解掃除してませんしね~。キーボードって,すぐに埃がたまるし,こうやってコーヒーとかこぼしたりすることも多いですからね。
iruchanが使っているのはFILCOのメカニカルタイプのもの。FKBT108ML/JBという型番。
パソコン自作派だし,家でも会社でも1日中,キーボードたたいているのだから,いいキーボードがいりますよね。
それで,iruchanはFILCOのメカニカルキーボードを愛用しています。カチャカチャとちょっとうるさいですけど,感触が非常にいいし,速く打っても疲れないのはいいです。
悪いけれど,ノートPCがプッシュホンみたいな(今の人は知らないか......orz),正式にはパンタグラフタイプって電車みたいな名前のキーになって久しいですが,あれって大嫌い
なんであんな薄っぺらいキーなんでしょ。あんなんやったらひと世代前のメンブレンタイプの方がマシ35。おっぱいみたいな形をしたシリコンゴムのてっぺんに導電ゴムが貼ってあって,それが基板上のパターンをショートしてキーインを検知する,と言うタイプの方がマシです。iruchanはフニャフニャという感触が頼りなくていまいちなんですけど,これがいい,なんて人もいますからね。
おまけに最近はデスクトップ機もプッシュホンみたいなキーボードになっちゃって,iruchanも会社で最近,貸与されたD社のPCがこれ。どう見ても安物だし,要はおまけ。キーボードなんてついてりゃいいだろ,というのが見え見え。iruchanは最初からそんな安物は使わないし,これの前のE社のPCはメンブレンタイプでしたが,どうにもスペースキーが狭く,そのため,かなキーが左にずれていて,変換キーと押し間違えるので,とうとう最後はぶち切れて,家で寝ていたこのFILCOを引っ張り出してきて使っていました。
まずは掃除するので,裏蓋から開けます。
簡単に開けられないよう,トルクスのねじになっています。サイズはTP9というもののようです。
秋葉やamazonでこんなねじ回しを売っていますから,1個,買っておくとこういうときに便利だと思います。
ねじは全部で3個,また,手前側にツメが4個所にあるので,マイナスドライバーを使って外します。
最近買った,テンキーレスのFKBC91ML/JB2に付属していました。親切ですね。
反応しないキーは右のSHIFTキーと^キー。結構よく使うキーなので困ります。
案の定,基板の裏から導通を見てみますと,他のキーは押したときに導通があり,最初,他のキーも反応しないのがありましたけど,そのうち反応するようになりましたが,この2つのキーだけ頑固に反応しません。まずい.....。
はんだごてでキーを外してよく見てみますと,キーが分解できそう。
原因判明。よく見てみると隣青銅? の金属板の間に緑白色の緑青が見えます。これですね。緑青自体は絶縁体なので,こんなのが接点の間に挟まっちゃうと導通しません。
水分が入って接点が錆びちゃったんですね.....orz。
ピンセットで接点を磨き,洗浄剤で拭きました。テスターで導通を見ると0Ωになったので,大丈夫そうです。
あとは再度,半田づけして完了。
☆ ☆ ☆
次はキーを全部外して,風呂で洗いました。
中はゾッとするほど汚い
キモいので拡大表示しないようにしておきます。
こちらも掃除機と雑巾できれいに拭きましたが,くれぐれも水分が接点に入らないようにします。
これで修理&清掃完了。
驚いたことに,基板の裏に2007年と書いてありました。もう15年も使っているんですね.....
Bluetooth接続の初期のモデルですけど,無線だし,便利です。
まだまだがんばってもらおう,と思います。
JBL SG520もどきアンプの製作~その5~ [オーディオ]
2022年7月18日の日記
今日は海の日で休みです。iruchanは3連休反対派? なんですけど,さすがにこう暑いと3連休くらいにならないと身体が休まりませんね~。皆さんお身体ご自愛ください。
さて,3連休なので,このところ取り組んでいる,JBLの名機SG520のもどきアンプを完成させたいと思います。
前回は基板を完成させ,基板のテストまででした。今回はケースを作って,電源部をテストします。
☆ケース
ケースはLEADのP-12を使いました。W250×H60×D150mmです。ちょっと小さすぎましたけど,小さなアンプの方が好きなので,よかったと思います。今回,ウッドケースに入れよう,と思っているのでケースはしょぼいです。
大きな茶色のコンデンサはEQ素子の15000pFと47000pFのディップマイカです。EQ素子用だともう1桁小さいのが普通ですが,SG520は抵抗が小さいため,時定数を稼ぐため,コンデンサの容量が大きくなっています。
オリジナルはペーパーコンのようです。そりゃそうですよね。今だって,こんな大きな容量だとフィルムコンになるでしょう。
電源SWは秋月で売っている照光式にしました。金属ケース入りでなかなかかっこいいです。
iruchanはパイロットはピンクと決めているので,このSWも中を分解して,LEDをピンクに交換しました。AC点火にして,電源offと同時に消灯するようにしています。DC点火だとぼ~~っと消えていきますからね。なお,AC点火の場合は,▼のように逆耐圧保護用のシリコンDiを入れてください。
☆電源部
JBLのSG520はツェナーDiを使った簡単な定電圧電源になっています。フィードバック回路はないので,安定化電源じゃありませんが,小電流のプリアンプ用としては十分だと思います。
2SA640と3Ωでオリジナルにはない,電流制限型保護回路を入れています。ないとバチッとやった瞬間に2N176が死んじゃいますから,入れておいた方がよいです。
整流は印Panjit社製のSDI2100を使いました。100V,2Aの定格です。ショットキーだから音もよいでしょう。規格表を見ても,逆回復時間trrの記載がないんですけど,ショットキーDiは理論上,0なはずですから,書いてないんでしょう。
オリジナルはMalloryのFW-50というブリッジDiです。素子はシリコンで,50V,2Aの定格のようです。FRDじゃない,普通のシリコンDiはノイズが出ますから,わざわざオリジナルのFW-50を使う必要はないでしょう。
半導体は制御Trにゲルマの2N176を使い,同じくゲルマの2N2614とダーリントン接続してあります。オリジナルは前者はMotorola,後者はRCAのようですが,どちらも同じものを作っているようです。
iruchanは今回,できるだけオリジナルと同じTrを入手したかったのですが,どちらもニセ物
2N176はポピュラーな出力Trで,カーラジオの出力に使われたようです。1956年,Motorolaが開発しましたが,爆売れしたようで,一時は全パワーTrの半分を占めたようです。RCA以外にも他社が作っており,SG520で使っているのはGM傘下のDelco製のようです。そういや,Motorolaはもとはカーラジオが発祥でしたね。MotorolaはこのTrの成功で半導体会社としての基礎を確立したようです。
VCE=30Vとごく普通のゲルマのパワーTrですが,Pcが90Wと言うのは驚き
NECの2SB250だと同じ耐圧で54Wですから,このあたり,日米の半導体技術の差なんでしょうか。
ただ,残念ながら,オリジナルは結構高く,eBayでは$20以上します。送料も同じ位するので,当面,あきらめます。
まあ,ニセ物もVBEを測定すると0.2Vくらいだし,ゲルマのようです。たぶん,90年代にどこかのセットメーカから注文が入って,適当な規格のTO-3のゲルマのTrをリマークしたものでしょう。
とはいえ,オリジナルの2N176を手に入れても,うっかり飛ばしてしまうこともあり得るので,試験中はニセ物にしておいて,そのうち,本物が手に入ったら交換することにします。
2N2614は買ったときはTO-5のメタルキャンだし,本物,と思っていましたが,規格表を見るとTO-1がオリジナルのようなので違うようです。
dsiって何の会社だろう.....。どこかの半導体商社なんだろうな,と思っていたら,独ミュンヘン近郊のDSI GmbHという会社で,米NJSみたいに,主にこういう製造中止のディスクリート半導体を作っている会社のようです。取引先にAirbusやSiemensやALSTOMなんて会社もありますので,信用できそうです。そういや,電車って,半導体の方が先に製造中止になって,機器の保守に困るんですけど,こういうときにこんな会社が供給してくれれば助かりますね。
でも,その割に明らかにケースを削って型番を書き直した形跡もありますし,もっと丁寧に作れよ,なんて思います
一応,電源とすべての信号配線を終了し,電源を投入してオシロと発振器をつないでみると正常に動作しているようです。
トランスはいつもだったらトロイダルにするんですけど,SG520にはあわない感じです。そもそも1960年代にトロイダルはないでしょうしね。
ということでEIコアの小さなトランスにしました。オリジナルはケース入りの非常に立派なトランスなんですけど......。でも中身はEIコアですよね。
ちなみに,蛇足ですけど,本機の最大電流は60mAほどと,結構大きいです。オリジナルのSG520の2N176は,発熱すると思います。また,オリジナルは先ほども書いたように,保護回路が入っていませんので,調整するときはご注意ください。できれば,調整ついでに0.1AくらいのPTCサーミスタを入れておくことをお勧めします。
次回,レコードを聴いてみたい,と思います。
JR青梅線の廃線跡を訪ねて.....中神駅引込線 [紀行]
2022年5月8日の日記
前回に引き続いて中央線立川駅周辺の廃線跡を訪ねます。
軍都立川には陸軍の立川飛行場があり,それに隣接して,東側に立川飛行機,西側に陸軍航空工廠が立地していて,それぞれに専用線が敷設されました。前回は立川飛行機専用線を訪ねました。今回は西側,青梅線中神駅から分岐していた,専用線を訪ねます。通称,中神引込線ですね。建設は東西ともに同時期のようで,こちらも1943年の建設のようです。
立川飛行機の専用線の終点から,一度,北に行って,立川駐屯地や昭和記念公園を越えて,泉町西公園という緑地を目指すと引込線の終点に行くことができます。自転車だと楽だと思います。
ただ,iruchanは終点から先に訪ねたのですけど,普通の人は中神駅から訪問されるでしょうから,中神駅から解説します。
米軍撮影の空中写真です。もうベトナム戦争も末期で,急速に撤退を進めていた頃だと思います。あと半年でサイゴン陥落ですね.....。iruchanは,サイゴン陥落とデカい見出しが載った新聞を今も覚えています.....。
1969年には燃料輸送も終了したらしいのですが,線路も貨車も残っています。右側に米軍将校用社宅が見えます。
う~~~ん,やはり戦争に負ける,ということはかういふことかと......。
日露戦争に負けていたら,かういふ状況かもしれないやうですけど,まあ,ほとんど今と変わらない状況かと....。住んでいるのがロシア人,と言うだけかも
1954年の線路図です。上り側に2線,側線があります。"専用線" と書かれています。
現在の状況です。右側(北側)から引込線が出ていたのですが......。ここから,中神引込線通りへ出るまで,痕跡は消えてしまっています。特に,駅東側の都道59号が立体交差となり,周辺の道路も整備されて消えてしまったようです。
向こうの信号機の奥から線路跡のようです。
奥に見える公務員住宅の東側が線路跡です。S字状に道路がカーブしていますが,後半のカーブが線路跡の曲線のようです。この道路の右側(東側)にある歩道が線路跡のようです。つい20年ほど前まで線路が残っていたそうです。
途中から道幅が狭くなり,線路跡らしくなります。ただ,一方通行ですけど,車の通行は可能で,ちょっとその点は残念。1997年までは線路が残っていたようですけど,東側の立川飛行機専用線跡のように緑道とした方がよかったのではないでしょうか。
線路は途中で分岐し,南北に並行した2本の線路となって航空工廠に入っていました。分岐点にモニュメントが置かれています。
ここの分岐器が残されています。説明板も設置されています。
このまま,線路はゆっくりカーブし,東側に向いていきます。南側の引込線は国際法務総合センターへ突っ込む形になります。北側の線はあきしま相互病院に突っ込んでいきますが,どちらの線路もむさしの公園という大きな緑地で復活? します。
線路終点には▲の小高い丘の東西にモニュメントがあります。ここが実質的に線路の終点ですが,1970年代に残堀川が改修され,以前は直角に曲がっていた川が斜めに経路変更されるまではその奥まで伸びていたようです。
小高い丘の西側にあるモニュメントです。分岐器と信号柱が残っています。
もう少し,分岐器も本体がしっかり残っていて,転轍機なんかも残っているとよかったんですけどね。それに,そもそも,この丘がなくて,終点まで線路が残っていてもよかったんじゃないでしょうか。
むさしの公園に入る前,道路西側の昭島市北部配水場横にあるモニュメントですが,ここは非常に見つけにくい。相当探さないとわからないと思います。その割に残っているのは路面電車みたいな線路だけ,なんですけどね.....。
☆ ☆ ☆
帰りはまた自転車で帰りました。途中,昭島名物のごんにんごんさんで,おいしい弁当を買って帰りました。iruchanは駅弁とか,持ち帰り弁当大好きなので......。
電源同期式デジタル時計の周波数変更 [ラジオ]
2022年7月7日の日記
先週,ハワイで買ってきた,JENSENのCR-208と言うクロックラジオのFMバンドを変更し,日本のFM局が受信できるようにしました。
残念ながら,日本だけと言っていいと思いますけど,FMラジオの周波数が世界標準と異なり,外国で買ってきたラジオは日本では使えません。
おまけに,このラジオ,7セグメントのLED表示で時刻を表示してくれるのですが,60Hz専用になっていて,東日本では使えません。
まあ,iruchanは北陸に住んでいるので,50Hzなんて関係ないんですけど......。
以前は東京に住んでいたこともあり,周波数変更しようと思います。
デジタル時計は1970年代に7セグメントのLEDやクロックLSIが実用化され,市販されるようになりました。
最初,その斬新なデザインにビックリしたことを覚えていますけど,いまでも結構,よく使われていますよね。やはりひと目で時刻がわかる,と言うのは便利だし,LEDだと暗いところでも見やすいので便利です。
デジタル時計は水晶発振式と電源同期式があり,最近だと電波時計になっているものも多いか,と思います。
問題は電源同期式。
欧州では50Hz,米国では60Hzに対応しないといけませんし,なんたることか,日本は国の中で周波数が共存している,と言う世界でも相当,珍しい国なので,周波数切り替えが必要です。
まあ,これはもとはといえば,東電の元祖の会社と,明治のアホ役人のせいだ,と思っているのですが.....。
周波数なんて言われても,何のことか,さっぱりわからなかったのでしょう。
iruchanは今からでも遅くないから,いっそのこと60Hzに統一したら,なんて思っています。変圧器などは50Hz用なら60Hzに対応できるはずだし,問題になるのは工作機械など,誘導電動機を使った機械でしょうが,今だとインバータ式も多いはずなので,問題ないのでは,と思っています。
脱線しちゃいましたが,電源同期式のデジタル時計の周波数変更について考えてみます。
日本で販売されているこのような時計は必ず切り替えスイッチがあります。また,時計によっては自動切り替えになっているものもあります。
もちろん,水晶発振式だと電源の周波数は関係ありません。とはいえ,水晶発振式がいくら正確とは言っても,意外に狂いますよね。日本の電力会社は周波数管理が厳しいので,下手な水晶式より正確だと思います。
最初,iruchanは60Hzの発振器を作って,このラジオのクロックICの入力に使ってやろうか,と思いました。
実際,西村昭義著 "楽しく作る電子時計とカウンタ" (CQ出版1978)には,沖のMSM5562を使ったアダプタが紹介されていますし, 今だとPICなどのマイコンで水晶発振を分周して60Hzを作ることも可能です。
でも,ちょっと面倒だよな~~
と思っていたら,そもそもクロックLSIは周波数切り替え機能があるんじゃないか,と思い出しました。
結果はビンゴ!
一番ポピュラーなナショセミのMM5309や沖のMSM5509RSなどもその機能があります。LSIの何かのピンをHにするかLにするかで,簡単に切り替えできるはずです。
要は,入力の周波数を50回カウントして1秒とするか,60回カウントして1秒とするか,の違いだけで,カウンタの進数を変えるだけです。
蛇足ですけど,これらのLSIはもう貴重品で,入手困難ですが,いまだにこういうデジタル時計などの内部で使用されているのを見かけます。マイコン使うより,安いのでしょうか。MSM5509RSを使った秋月のキットも,つい最近まで販売されていましたしね。
と言う次第で,件のJENSENの時計つきラジオのフタを開けて調べてみます。
使われているクロックLSIは怪しげな中国製.......
无锡硅动力微电子技术有限公司なる会社 読めへん のSP8560NというLSI。英語のブランドはSi Powerというらしいです。
データシートも簡単に見つかりましたが中国語......
それでも,#26ピンが周波数変更用とわかります。このピンの電位をHにするか,Lにするかで周波数が変わるはずです。
なぜか,#26ピンと#28ピンは▲のように上に跳ね上げてあって,はんだづけしていません。
ただ,そもそも中国がオリジナルでこんなLSIを作っていた,とはとても思えないので,もう少し調べてみると,もとは三洋のLM8560NというLSIだったようです。なぁんだ。
今は東芝など,日系半導体メーカ製の古い半導体のOEMを手がけている台湾UTC社が作っているようです。
三洋のデータシートを見ると,#26ピンをLにすると50Hzで,Hにすると60Hzのようですが,このピンは内部抵抗でプルアップされていて,オープンのままだとHになって,60Hzになるようです。
CR-208も見てみると#26ピンはオープンになっています。
ここにスライドSWをはんだづけして,GND(VSS)と接続できるようにしておきます。
工事は簡単。1時間ほどでケースに穴開けして,スライドSWを取りつけて配線をはんだづけして終了。
ようやくこれで50Hzでも正確に時刻を表示するようになりました
米国バンドのFMラジオのバンド変更 [ラジオ]
2022年7月3日の日記
ずっと以前,ハワイで買ってきた,クロックつきFMラジオのバンド変更をしようと思います。さすがに88~108MHzじゃ,NHK FMだって入りませんからね。
iruchanはラジオが好きなので,海外へ行ったときにお土産で買って帰ることもあるのですが,世界的に,FMラジオは上記のバンドなのですが,日本ではどういうわけか,76~90MHzになっていて,海外で買ってきたFMラジオは日本では使えません。
ということで,今回もバンド変更をします。
今回のターゲットは
LEDの輝度が低くて何時か,写真じゃ,わかりませんけどね....
米JENSENのCR-208というクロックつきラジオです。JENSENはスピーカーの名門ですね。でも,今ブランドを持っているのは赤い金満国の会社でしょうね.......。
LED式のクロックつきラジオは便利で,ベッドの横に置いておけば,夜,寝る前にラジオ聴きながら本読んだりできるし,夜中にふと目が覚めたときに今,何時だ? と思っても,LED式だとすぐに時間がわかりますからね。これが液晶だとバックライトを点灯しないと時刻がわからないので不便です。
さて,FMバンドを日本バンドにするには,電子工学的にはFMの局発の周波数変更,と言うことになります。
詳しくはこちらで解説していますので,ご覧ください。
なお,前回同様,ワイドFMも聴けるようにしたいので,受信周波数は76~95MHzに変更したいと思います。
ただ,実を言うと,結構難しいのです。76~90MHzの従来のFMバンドでも,意外に難しく,完全にきちんと国内バンドに合わせることはできないこともありますので,ご注意ください。というのも,局発コイルの取り替えが本来,必要なせいです。
とはいえ,コイルを作り直す,と言うのはとても大変です。インダクタンスは数μHといったところで,コイルはせいぜい,3~4ターンくらいなので,どんなに計算通り,正確に作ってもとんでもない周波数で発振し,測定器がないと調整できなくなります。
と言う次第で,コイルはもとのラジオのまま使用します。
また,目標とする局発の発振周波数は,前回も書きましたとおり,86.7~105.7MHzとなります。上限受信周波数が90MHzでよい,と言う場合は上限は100.7MHzでOKです。
まずはフタを開けて,使われているICがなんなのか,確認します。
なんと,ラジオICは前回と同じ,東芝のTA2003Pでした......
ただ,なんかマークが変で,どうも東芝製ではなく,どこかのOEMのやうです。
TA2003Pならデータシートが簡単に手に入りますし,それを見ると#13ピンが局発なので,このピンにつながっているコイルを調整する,と言うことになります。
もうひとつあるコイルはRF(高周波増幅)の出力で,局発からの信号と混合器でミックスし,IFを作ります。いわば,入力のコイルなので,こちらはまずはいじらず,放置プレイです。
低周波増幅はSTマイクロエレクトロニクスのTDA2028のようです。2ch.のアンプを内蔵し,出力0.65Wで,モノラルの場合はBTL接続もできて,その場合は1.35Wも取れます。ラジオ用としてはとても便利なICです。
ところが,実はこいつがクセモノで,あとでものすごくトラブることになるのですが.......
FMバンドの変更には,FMの局発コイルを探さないといけません。
なお,FM用のコイルは本機もそうですけど,先に書いたとおり,2つ以上あるので,ご注意ください。正式には4つ,コイルが必要なんですけど,いまは4つもあることはないでしょう。また,調整するコイルを間違えると,大変なことになりますので,技術のある人でないと勧めません。また,たいていはAMもついているので,AM用のコイルやトリマをいじっちゃうと大変なので気をつけます。
入力部は,昔は▲のように,アンテナ接続用に,トランス形式のコイルが1組入っていましたが,今はコイルを止めて,セラミックフィルタを用いたバンドパスフィルタになっている場合が多いかと思います。また,ポータブルラジオだと,トランス形式じゃなく,2次側のみで,そこにロッドアンテナがついていることが多いです。
また,混合器(ミキサ)出力は,昔だとIFTになっていて,IF段につながっていましたが,今はセラミックフィルタ仕様がほとんどでしょう。この場合ですら,セラフィル特有のスプリアスを抑えるため,IFTと併用することが多かったのですが,最近はいらないようです。
バンド変更で重要なのは,局発コイルLOSCで,このインダクタンスを大きくし,発振周波数を低くすればよいのです。
と言う次第ですけど,理屈としては,受信周波数の下限をこの局発コイルで決め,上限は,バリコンについているトリマCTOSCで調整する,と言うことになります。
蛇足ですけど,もし,国内バンド(76~90MHz)のラジオがあって,ワイドFMに対応させたい,と言う場合はこの局発側のトリマをいじるだけです。その場合はこちらの記事をご覧ください。
問題は,このコイルのインダクタンスが意外に大きくなるので,普通は専用コイルで,TA2003Pに限らず,国産のFMラジオ用ICには必ず,国内用,海外用ということで局発コイルのデータも記載してあるのが普通ですけど,TA2003Pは書いていませんでした.....
といって,書いてあったとしてもスミダや東光などのメーカ製品で,アマチュアには手に入らない部品だったり,φ4mm,4T(0.5UEW)とか書いてあって,この通り作ったとしても,想定したインダクタンスには決してならないので,うまくいきません。
それなら,と言うことでコイルはラジオについているものを利用し,あとで調整することにして,iruchanはまずは▲の図のように,パラに10~15pFくらいのセラミックコンデンサをパラにして,一気に局発の周波数を下げちゃいます。
こちらで書きましたとおり,簡単にやっちゃうには,15pFをパラっちゃうだけで,まあ,国内のほとんどのFM局は受信できる,と思います。これだと失敗は少ないですし,お勧めです。
ただ,その記事にも書きましたが,この方法は簡便法で,完全には国内バンドのカバーは無理です。
そこで,さらにもう一手間,二手間かけて,きちんとワイドFMまで対応させようと思います。
まずは予定通り,15pFをパラってみますと......。
NHK FMが受信できますので,やはり局発の周波数は下がったようです。
ただ,テストオシレータを使って調べてみると,大体,下限は80MHzくらいで,全然足りません。
ここまで来たら,バリコンを最大容量(下限)にし,局発コイルを縮めてみます。ピンセットで少し(もちろん,少しだけ,ですよ~~~)はさんで縮めてみます。
徐々に,受信周波数が下がってくるはずなので,76MHzくらいになったら,いったん止めます。
今度はバリコンのトリマを調整します。
バリコンを最小容量(上限)にし,オシレータで受信周波数を確認します。
iruchanは大体,90MHzくらいでした。
トリマを回して,95MHzくらいにならないか,と調整しますが,無理です。
と言うことは今度はもう一度,バリコンを最大にし,今度はコイルを少し伸ばしてみます。
さらに次はバリコンを最小にし,トリマを調整して.....。
と言うことを延々と繰り返します。
なんとか,76MHz~93MHzくらいにするのがやっとでしたけど,ここまで来れば,国内のFM局やワイドFM局が受信できるはずなので,確認してみます。
実際,うまく各局が入感しましたので,やれやれです。
で,ここで止めちゃってもいいのですが,今度は入力側にコイルLRFがあるのでこちらも調整します。
FMの場合,コイルのQは低く,10~20程度なので,このコイルの同調周波数はそれほど神経質にならなくても結構ですけど,ここはアメリカ用に88~108MHzにあわせてあるはずなので,こちらも10pFをパラにし,さらにトリマを回して調整しておきました。
やはり,こちらも調整した方がよく,結構,トリマを回すと感度が変わりました。
最初の状態と比較してもらったらわかりますが,コイルはずいぶんと狭くなっています。
もし,一杯まで狭めてもダメ,ということだとコイルの交換,と言うことになります。
と言うことで,これで終わり,のはずだったんですが......。
どうも音がおかしい
局間はザーッとFM特有のノイズがしているのですが,受信するとビーッと言う音がします。
まあ,ラジオだし,こんなものか......と思ったのですが......。
やはり聴いているとかなり気になってきました。
どうもおかしい,と思って,このラジオは珍しく,AUX端子があるので,そこにパソコンから音楽を鳴らしてみると....。
やはりビーッと言う音がして,それに,音量が大きいとビリ,ビリと大きなひずみが出ます。
う~~ん,どうも発振しているらしいです。
うっかり,ラジオだからこんなものか,と思っちゃったのですけど,やはりおかしい。音が悪いのは我慢できないので原因を調査します。
これは最初からで,どうもこのラジオはメーカで調整しても放っていたようです。こんな音のラジオを平気で売っているなんて驚きます。PASSEDのQCシートが貼ってありましたけど,おそらく中国の工場でろくに調整もせず,出荷しているんでしょう。それに,基板の作りも雑。電解コンは斜めにはんだづけされているし,そもそも,AUX端子からの配線もセラミックコンデンサを片方のみ基板にはんだづけし,電線を直接,残りのセラミックコンデンサの脚にはんだづけしてある,と言う始末。
それに,例によってボリウムの質が悪く,ガリオームになっているし,ところどころで音が聞こえないと言う状態。摺動子がうまく接触していないんですね.....。
あまりのロークォリティにがっかり。よっぽど,前回のGEのラジオの方が中身はきれいでしたし,作りも丁寧でした。
しかたないので,ボリウムの交換から。
よく見かける基板取付タイプなんですけど.....。
国内では手に入りそうにないですが幸い,iruchanは部品箱を探したら100kΩ(B)というのが出てきたので交換しました。昔,何かから取り外したのだと思います。Bカーブですが,まあ,しかたないでしょう。
これでようやくガリオームも解消しましたが,発振は続いています。
一度,データシートを見直してみます。
やはり,データシートには,SPとパラにCとRが接続されています。
STマイクロの規格表にはなにも書いていませんが,これは発振止めで,アンプの自作派ならよくご存じだと思います。金田式には入っていませんけど。高周波でインピーダンスを下げて発振しないようにします。セカンドソース? らしい,日本無線のNJM2073Dの規格表には,使用上の注意として,発振の防止として明記してあります。やっぱり,こういうあたり,日本のメーカはとても親切です。
ということで,1Ω+0.22μFを接続したら,発振は止まりました。やれやれ~~~
☆ ☆ ☆
ようやくこれで国内のFM局が聴けるようになりました。残念ながら,上限は93MHzくらいですが,iruchanの近所のワイドFM局は全部聴けたので,これでよし,としましょう。