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ABCD型差動アンプ採用CR型イコライザアンプ(EQアンプ)の製作 [オーディオ]

2024年1月30日の日記

今日は久しぶりにオーディオネタです[晴れ][晴れ]

コロナ禍で,ずっとiruchanも引きこもって工作をしていました。そのため,いろいろ資料が必要になるのですが,たまたま近所の図書館が耐震補強工事に入ったんですけど,予約すれば本が借りられるので,何冊も借りて読んでいました。

その中にラジオ技術があり,在架しているのは直近の2年分だけなのですが,何冊か借りてきて興味のある記事をPDFにしました。

残念ながら,ラジオ技術は何年か前に定期購読のみとなり,1冊ずつ買うことはできなくなりました。

秋葉やamazonで1冊ずつ買える,と言うのを知ったのは随分後のことで,すっかり縁遠くなっていました。

コロナ禍のおかげ(?)で久しぶりにラジオ技術を読みました。

その中で,2022年2月号に,"橋本式ABCD回路採用MC用フォノ・イコライザの製作" (室井清氏)と言う記事が載っていました。

最初は,ふ~~ん,変わった回路だな.....って言うくらいにしか思っていなかったのですが......。

なんとイコライザはCR型だし,回路は非常にシンプルで,極めてS/N比が高く,音もよいそうなので,ちょっと調べてみることにしました。

iruchanはメタルキャンのOPアンプ,LME49720Hを使った,イコライザアンプを作って以来,CR型しか作らないと決めたので,ちょっとこの回路にも惹かれました。

もとの回路は,ラジオ技術'74.7月号の,"ABCD形アンプの設計と製作" で,橋本順次氏が発表したパワーアンプの回路です。

そういえば,この方はiruchanも記憶があり,昔,OPアンプの回路なんかで勉強させてもらった記憶があります。

ABCDというのは氏の命名で,AB級コンプリメンタリ差動アンプの略だそうで,まあ,AB級というのは普通としても,コンプリメンタリ差動アンプ(complementary differential amplifier),と言う変わった回路です。

普通,差動アンプはPNPなり,NPNなり,同じ素子を2つ,エミッタを接続して使用する回路ですが,ABCD回路は,PNPとNPNのコンプリメンタリ素子を使い,エミッタ共通で使う回路です。PNPとNPNの両方を使っているので,コレクタはそれぞれ-Vccと+Vccに別々につながっていて,-Vccか,+Vccのどちらか一方にだけつながっている通常の差動アンプとは異なります。


もちろん,差動アンプですので,双方の素子の特性が揃っている必要があるんですが,コンプリメンタリならば問題ない,という考え方です。

回路の動作については,1974年の同氏の記事に載っているのですが,2022年5月号に復刻記事が載っています。

また,入力は各素子のベースに個別に加えるのに対し,ベースを接続してそこに加えます。ベース電流もエミッタ電流もコンプリメンタリ素子なので,相殺して流れません。
 
コンプリメンタリ・ディファレンシャル回路1.png
   差動アンプ      コンプリメンタリ差動アンプ

同氏が発表したプリアンプもあるはずなのですが,そちらの記事は見たことがありません。

室井氏はその回路をリファインし,現代によみがえらせたものです。MJでも最近,同様の回路のMOS-FETのアンプの記事が出ていますね。

iruchanはもう,パワーアンプには興味がないのと,フォノEQアンプで,CR型,と言うので,作ってみようか,と思いました。

それに.......ちょっと悪魔のささやきがありました[台風]

音がよいのだったら,オールメタルキャンTrで作ってみてはどうか,という悪魔のささやきです.....[台風]

う~~ん,これはいいかもしれません。古いTrで,電電公社などの納入品でメタルキャンの通信用Trというのがまだ探せば手に入る状況ですしね。もちろん,2SA6062SC959といったTrも手持ちがありますしね[晴れ]

早速,LTspiceで検証してみます。

それに,ちょっとこのラ技の記事には疑問点がいくつかありますので......。

そもそも,ラ技の記事は初段がバイポーラTrで,2SA992/2SC1845になっています。

これでMC用,と言うのはちょっと疑問があります。また,そもそも,初段がバイポーラだとDCアンプにならないはずです。バイポーラTrは電流制御素子なので,必ずベース電流が流れます。そのため,接続する機器により,初段のベース電位が狂い,出力にDCが出ます。

また,MCカートリッジは直流磁化するのを避けるため,流せる直流に限界があります。

いくらくらいなら許容できるのか,と言うのが問題で,何Aなのか不明なので,調べてみました。

 "オーディオ用FETの活きた使い方" (誠文堂新光社1981年刊)を読むと,5nAと書いてあります。

これ,初段がバイポーラだとかなり厳しい数値です。FETだとpAオーダーなので,問題ないですけど,それでも,Vccが高いとゲート漏れ電流が流れるので,DCアンプでは,初段FETをカスコード接続して,VDを下げて使うことが多いのはよくご存じの通りです。

ABCD型差動アンプだと,PNPとNPNのTrを使うので,ベース電流が相殺され,0になる,と言うのですが,現実はそう甘くありません。

実際,DCアンプの初期の頃,金田氏が嫌う,上下対称回路にして,初段にPNPとNPNのデュアルTrを組み合わせ,ベース電流を打ち消して0にしたという回路も出ていましたが,やはり無理で,結局は初段にカップリングコンデンサを入れて,Direct ConnectアンプでDCアンプ,と言う記事も多くありました。

まあ,初段に使えるようなJ-FETはもちろん,デュアルのFETがほとんどなかったので,バイポーラで代用した,と言う時代ですね。

それと,CR型EQアンプの場合,f特がフラットなアンプを2台作り,間にCRのフィルタをかませる,と言う構造ですが,2段目のアンプの入力インピーダンスが重要で,初段がTrだと入力インピーダンスが低く,EQカーブがおかしくなりますし,使用するTrにより,定数が変わってしまうのも問題です。

そういう意味でも,やはり入力はFETでないとまずいですし,むしろ,CR型EQアンプは真空管アンプこそふさわしいんですよね。

と言う次第なんですが,iruchanは製作する前に必ずLTspiceでシミュレーションしてから製作することにしていますので,まずはシミュレーションしてみます。

それに,金田氏の記事によくありますけど,最近の雑誌の記事には必ずどこかにミスプリントがありますので......[雨]

下記のオリジナル回路でシミュレーションしてみました。

回路(ラ技 '22.2).pngラジオ技術 '22.2月号の回路

まずは過渡解析をして,初段のベースから流れ出る電流を見てみます。

初段ベース電流(ラ技 '22.2).png  初段ベース電流

やはり,初段はベース電流が流れ,107nAもあります。

使用するTrのhFEによっても変わるんですけど,いずれにせよ,5nA以下にすることは絶対無理,と思います。

これじゃ,MCカートリッジには使えません。

また,AC解析をしてf特を見てみると,低域のローリミットが高すぎ,60Hzくらいになります。

f特(ラ技 '22.2).png f特

       変なカーブですね......[雨]

これ,回路を見たときに気がつきましたが,DCサーボ回路の時定数が小さすぎ,動作周波数が高くなって,100Hzくらいまで効いているためで,そのため,60Hz付近にピークがあります。フィルタ用のコンデンサか,抵抗を大きくする必要があります。2μFでは小さすぎるな,と思っていました。

金田式の電流増幅プリアンプのSAOCの回路も時定数が足りず,▲みたいな特性になることがありますので,ご注意ください。

と言う次第で,回路をモディファイし,初段をJ-FETにし,DCサーボ回路の時定数を10倍にしてみます。

初段のJ-FETは本当は2SJ74/2SK170にしたかったのですが,入手難だし,あっても高いので,2SJ107/2SK366にします。|Yfs|が30mSもあるので,十分でしょう。なお,これらは2SJ104/2SK364の小パッケージ版で,チップは同じですので,こちらでもOKです。

それにしてもなんで同じチップでパッケージが違うのか.......[曇り]

回路(iruchan).pngiruchan版

ゲート電流はわずかに4pAでした[晴れ]

 初段ゲート電流(iruchan)1.png ゲート電流

FET入力OPアンプのLF356Hなどでも30pAですので,MCカートリッジも問題ありません。

次に,DCサーボ回路の抵抗を10MΩに修正してシミュレーションしてみます。別に,コンデンサの方を22μFにしてもいいんですけど,こうなると電解コンを使わないといけなくなりますので......[曇り]

f特(iruchan).png こんなカーブです。

これなら低域の周波数特性も十分です。

また,1kHzのゲインも60dBありますので,MCカートリッジ用としても適切です[晴れ]

            ☆          ☆          ☆

さて,部品集めです。

Trはすべてメタルキャンにすることにしたので,かき集めました。初段のFETは2SJ107/2SK366ですが,これは今でも入手可能です。

さすがにパワーアンプじゃないので,以前作ったスーパー・ストレートプリアンプみたいに2SA606/2SC959は電圧増幅段には使わず,最終の出力段のみにします。

Trは2段目にNECの2SA603/2SC1010,終段は日立の2SA565/2SC968を起用しました。フラットアンプは東芝の2SA1090/2SC2550とNECの2SA606/2SC959にしました。

別に全部一緒でもいいんですけどね.....。

どれもこれも音がよい,とされるエピタキシャルメサ型の構造をしています。それにどういうわけか,いずれも通信工業用で,NECは規格表にそのように書いてありますし,日立のはにHのマークがあり,通信用であることを示しています。

NECの2SA603の相棒は本当は2SC943なんですけど,入手できませんでした。また,東芝のメタルキャンはなかなか評判いいので,起用してみました。

日立の2SC968は金田式DCプリアンプの出力として,最初に起用されています。その後,音沙汰ないんですけど,金田式の定電流回路に2SC959の代わりに使うとよいらしいという話があるので起用しました。

相棒の2SA565は金田式のマイナス側レギュレータの定番で,2SA566と同じグループで,同じエピタキシャルプレーナー構造のため,音もよいはずです。2SA566は入手難で有名で,iruchanも20年ほど前,欧州で購入したものがあります。そのとき,コンプリの2SC680や,2SC968も一緒に買いました。

どういうわけか,2SA566のコンプリの2SC680はまったく使われたことがありません。2SA5652SC680も金田氏にフラれていて,一度も起用されていませんけど,なぜか,フラれたのがPNPとNPNが逆なのが面白いです......[曇り]

2SC680は,逆に,2SC1161の代わりにプラス側のレギュレータで使ってみようか,という気がしています[晴れ]

VCE=120Vというのは国産Trは高耐圧のものが少ないので,魅力ですよね。

と言う次第で,基板も作ってみました。今度,テストします。

ABCD型EQアンプ基板.jpg EQアンプ基板。まだ未テストです.....[曇り]

フラットアンプはオールバイポーラで製作中です。

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ソニー マルチバンドポータブルラジオICF-SW1の修理 [ラジオ]

2024年1月27日の日記

ICF-SW1-1.jpg ICF-SW1

 外部アンテナとセットになっています。

ソニーが1988年に発売した,LW/SW/MW/FMラジオです。非常に小型で,テンキーがついて直接周波数を入力できる,優れものです。外部アンテナやACアダプタもセットとなり,キャリングケースに収納されてシステムとして発売されていました。

ICF-SW1-16.jpg こんな風にケースに入っています。

ダイレクト選局ができるのでiruchanも憧れて,以前,Yahoo!で落札したものを持っています。

それにとても小さいですしね......[晴れ]

よくもまあ,こんなに小さく作ったものだ,と感心します。

サイズ的にはクレジットカードよりひとまわり大きいくらいで,非常に小さいです。

ソニーのサイトに,TR-55と同じサイズ,って書いていますけど,このサイトを書いた人はTR-55を見たことがないんでしょうね。TR-55はかなり大きいです。

とてもきれいな美品で,本体はキズもないし,備品もすべて揃っていて,キャリングケースのバンドが切れているくらいで,とてもよいものでした。

ただ,どうにも短波を聴くこともないし,買っただけで保管してありました。

さすがにいつまでも放置しておくのはもったいないし,AMラジオもそろそろ終了なので,遠距離受信に使おうか,と出してきました。ICF-EX5がいかにいいラジオと言っても,アナログチューニングですし,周波数カウンタもないので,待ち受け受信するにはちょっと厳しいですよね......。

それに,心配なのはICF-SW1など,1980年代のラジオは,以前,SRF-M100で紹介しましたとおり,悪名高い四級塩電解コンデンサを使っていて,放置すると液漏れで基板が腐食し,ラジオが壊れてしまいます。

幸い,iruchanのは買ってから20年以上経ちますが,久しぶりに取り出して電池を入れてみたら,何の異常もなく,音が出ます。

ホッとしたのですけど,やはりコンデンサの問題が頭をよぎって修理することにしました。

無事に動作しているのだから,ヘタに修理して壊してしまうこともあり得るので,やめようか,とも思いましたが,結果を見ると,やはり直しておいた方がよいようです。iruchanのも電解コンデンサから液漏れしていました。放置しておくと,ラジオが故障してしまっていたでしょう。

それと,久しぶりに取り出して動作させてみて,困ったのはバックライト。

SRF-A300同様,非常に暗いです。

それどころか,SRF-A300は,暗い,と言うだけで,点灯していることはわかりましたが,iruchanのICF-SW1はそもそも点灯していることがわからないくらいで,夜,真っ暗な部屋で確認したら,なんとか点灯しているのがわかる,と言うレベルで,周波数表示は読めません。

これじゃ,役に立たないので,最近の高輝度LEDに交換したい,と思います。

とはいえ,実は大変なことが判明するんですけど.....[曇り]

☆四級塩電解コンデンサの交換

まずは分解して件の電解コンデンサを交換します。

さすがにICF-SW1は非常に小さいので,ネットで見つけたサービスマニュアルを参照して,分解する手順を確認します。また,諸先輩方がすでにWEB上で報告しておられるので,参考にさせていただきました。どうもありがとうございました。

ICF-SW1-2.jpg 部分にねじが3個所あります。

音量調節のつまみを外すとその裏にねじが1個あります。のねじは次に,シャシーと呼ばれるラジオ本体を取り出すときに外します。

なお,フタのねじは3本ですが,うち2本は長さが違うし,ねじの種類も違うのでご注意ください。

ICF-SW1-3.jpg ツメの位置です。

▲のねじを3本外すとカバーが外せますが,ツメが何カ所もあるのでなんとか少しカバーを浮かせて,マイナスドライバーでツメの部分を押してカバーを外します。iruchanの個体は上側のツメから外れるようになっていました。

ICF-SW1-4.jpg カバーが外れました。

サービスマニュアルによると,中身のシャシーと呼ばれる本体を外します。電池箱にねじが2本あり,基板下部右にもねじがあります。

シャシーを外す際には,スピーカコードと,接地線が1本,スピーカについているので,はんだごてで外します。

ICF-SW1-5.jpg フレキケーブルに注意します。

シャシーの下側(本体の表側)にマイコン基板があります。これにLEDがついています。あとで交換する予定です。

これにもねじが3個所あるので外し,注意してフレキケーブルをはずと基板が外れますが,その際,GNDのケーブルが基板にはんだづけされているので,はんだごてで外します。

ICF-SW1-7'.jpg ようやく中身が出てきます。

基板上の,C420,C426,C431,C601,C607,C608の計6個の電解コンデンサを交換します。

C420, C431はそれぞれチューナICのCX20111およびFMステレオデコーダのLA3335Mのデカップリングコンデンサです。C607,608は出力のBA5208AFのコンデンサです。C426はLA3335Mの前段に入っています。

ICF-SW1 コンデンサ交換個所.jpegコンデンサ交換個所

SRF-M100でも経験しましたけど.......ここまでバラしてくると,やはりクサ~~い[台風]

第四級塩化アンモニウム塩の臭いか,と思います。この臭いがする,と言うことはやはり液漏れしているようです。

問題の電解コンデンサは全部で6個あります。

表面実装の47μFと220μFがそれぞれ2個です。33μFと220μFのアキシャル電解がありますが,邪魔だし,これも四級塩電解の可能性があるので,ついでに交換します。

どうもこのアキシャル電解は,パワーアンプICのBA5208AFの規格表を見ると,BIASとFILTERとあるピンに接続されているコンデンサで,容量抜けすると音がひずんだり出なくなるようなので,どうも前のユーザーが交換したのではないか,と思います。

さて,実はここで問題が......。

オリジナルは電解コンデンサなので,交換するのも電解コンにしたいのですが.....。

もう,220μFなんて大容量のものも積層セラミックになっています。

47μFの表面実装の電解,となると耐圧の大きいものが多く,サイズ的にちょっと心配です。

まあ,積層セラミックの方が便利だし,極性もないので皆さん,積層セラミックで交換しておられますね。

iruchan的にはちょっと積層セラミックは信用できなくって,音も悪いので,オーディオ回路では決して使わないんですけど,まあ,今回はラジオだし,積層セラミックだと液漏れもしないので,それに交換することにします。

これらの積層セラミックは秋月で簡単に入手可能です。

ICF-SW1-11.jpg 交換用の積層セラミックコンデンサ


ICF-SW1-8.5.jpg 交換したコンデンサ

ひっくり返すと.......[台風]

ICF-SW1-9.jpg 底面。うぇ~~っ![台風]

やはり,今回のICF-SW1に使用されていた表面実装の電解コンデンサは四級塩電解コンデンサだったようです。すべて,液漏れしてしまっています[雨]

前のユーザーが交換したらしい,アキシャルリードタイプは問題ないようです。

ただ,負極側から液漏れする,とネットに出ていますけど,SRF-M100同様,やはり正極側から液漏れしているようです。

放置しておくと,アルカリ性のため,基板の銅箔を侵してパターンが断線し,ラジオが故障してしまっていたでしょう。早めに交換してよかったです。

取り外したあと,アルコールで洗浄しておきました。ティッシュには黄色い液体がべっとり......[雨]

ただ,SRF-M100と違って,これらの取り外したコンデンサの容量を計るとほぼ表示値どおりの値が出ました。SRF-M100の時は完全に容量抜けしていましたけどね......[雨]

ICF-SW1-8.jpg 交換しました[晴れ]

☆バックライト用LEDの交換

次は,バックライトが本当に点いているのか,点いていないのか,わからないくらい暗いので,交換します。

ここで,iruchanはトラブっちゃいました。

     そもそも,オリジナルのバックライトLEDは何色?

ということです。

かろうじて点いているらしいので,夜,確認してみますとどうもオレンジのようです。

それで,オレンジ色のLEDがついているのか,と思ったのですが,取り外してみてビックリ。

なんと,電球色のLEDがついていました。

ICF-SW1-14.jpg ん!?.....[雪]

時代から考えて,そんなはずはないんだけどなぁ~~?

ICF-SW1の製造中止は1994年のようですから,電球色LEDのはずはありません。

それに,電球色LEDは,もとは青色のチップを使っていて,樹脂の内部の蛍光物質で電球色に変換しています。

青色チップなので,順方向電圧は高めで,最低でも2.8Vくらいはあります。

本機は単三電池2本の仕様ですから,最大でも3.2V程度の電源電圧なので,青色チップを使うことは無理です。

まあ,電圧差が0.4Vくらいはあるので,電池が新品の時なら点灯するし,それなりに明るく点くとは思いますが,電池が消耗したり,充電式のNiMH電池だと最大1.2Vなので,これを使うと点灯しません。

と言う次第で,ソニーさんも電球色LEDなんて使う訳がありません.....[雨]

また,SRF-A300の時に電球色LEDに交換することも考えたのですが,iruchanは一応,オリジナルを尊重したいので,色を変えず,オリジナルの緑色LEDに交換します。ちなみに,SRF-A300は電池4本ですから,電球色LEDも使えます。

ICF-SW1は電池2本ですから,白色や電球色のLEDに交換することはしない方がよい,と思います。まさか,青色LEDにする人はいない,と思いますけど......[雨]

iruchanはこのラジオ,中古で買っているので,前のユーザーがついでに電球色LEDに交換したんじゃないか,と思いますが,ケースを開けた形跡はないんですけどね.......。

とはいえ,一応,これの高輝度タイプに交換すればバックライトも明るくなるか,と思って交換したのですが.....。

やはり全然ダメで,非常に暗いです。

おまけに,そのうち,点灯しなくなっちゃいました.....。

うっかり,どこかのはんだが外れて電流が流れなくなっちゃったようです.....[雨]

と言う次第で,ネットを調べてみるとオリジナルのLEDは緑のようです。

サービスマニュアルにも東芝のTLUG163という記述があります。規格表によると,緑色で,順方向電圧2.15V,輝度70mcdです。

電池2本のセットに使用するLEDの順方向電圧はこんなものじゃないでしょうか。これより高いと電池が消耗するとすぐに点灯しなくなってしまいます。

また,輝度はこの当時のLEDとしてはこんなものでしょう。

そこで,SRF-A300の時にも使った,台湾のOptoSupply社のOSG5212411Cを使います。これ,輝度が12,000mcdもあって,ものすごく明るいです[晴れ]

ICF-SW1-12.jpg 明るい~~~[晴れ]

このバックライトのLEDはルネサスの2SC4177でドライブしています。VCEO=50V,IC=100mAと言う定格です。電流制限抵抗はオリジナルは47Ωです。

先ほどの順方向電圧から考えると,LEDはほぼ定格一杯の22mAでドライブしています。

この抵抗を小さくすると明るくなるか,とも思いますが,電流がギリギリなので,やはりLEDの交換が必要です。

ただ,OptoSupplyのLEDは明るすぎるので,電流制限抵抗は510Ωに大きくしておきました。電池の消耗も少なくなりますね。

ICF-SW1-13.jpg こんな感じです[晴れ]

ICF-SW1-15s.jpg 夜はこんな感じです。

真っ暗な部屋でLIGHTボタンを押すとこんな感じです。朝4時に三脚使って撮りました......[雪]

ラジオをonしていないときは時計が表示されます。

     ☆          ☆          ☆

さて,ようやくこれで無事にコンデンサも交換し,バックライトも明るくなったので,使いやすくなりました[晴れ]

何より,押しボタン式で,ダイレクト選局できてとても使いやすいし,感度もこんなに小さいのに,非常によく,遠距離受信も問題ないです。ホールド機能もあり,SRF-M100はちょっと触っただけで局が変わってしまったりして困りますが,この機能があると非常に助かります。

ところが......。

このラジオ,マイコン制御なのはいいんですが,取扱説明書がないと使えません[台風]

ラジオなんて,説明書なくても使えないとマズいでしょ,と思うんですけど,なかなか,このラジオ,手強くて,説明書がないと,言うことを聞いてくれず,結構,イライラする,と思います。

iruchanは説明書つきで買っているので問題ないですけど,ハードオフなんかで,本体だけ買ってくると困るでしょう。

それに,どういう理由なのか,ソニーはWEB上で取扱説明書を公開していません。SRF-M100も同じで,どうしてダウンロードできるようになっていないのか,不思議です。

と言う次第で,ごく簡単ですけど,使い方をメモっておきます。

☆時計のセット

本体のMAIN POWERをスライドし,電源を入れて(ラジオの電源は入れません),ENTERを押しながらMANUAL TUNEの+,-を押してあわせます。

☆プリセット

AMまたはFMボタンを押し,上記のチューニングボタンを押すか,テンキーで局の周波数を入力し,再度,AMまたはFMボタンを押すと放送を聞くことができます。

この状態で,ENTERを押しながら(#が点滅します),1~0のテンキーを押すと,プリセットできます。

本当言うと,この時刻やプリセット周波数は電気二重層キャパシタでバックアップされていて,ケースを開けたときに交換しておけばよかったですが,今回は手持ちがないのであきらめました。


2024年1月30日追記

昨日,バックライトが点灯しなくなった,と思ったら,今朝,とうとうラジオが鳴らなくなりました。

電池を取り出して電圧を測定してみると,1.07Vくらいほどです。直列2本で,2.15vくらいまではラジオが動作するようです。

と言う次第で,やはり電球色LEDに交換するのはまずいようです。

電池が新品の状態の時,しばらく点灯しますが,すぐに点灯しなくなると思います。その後,ずっとラジオは鳴るのですけどね。ランプだけ点灯しない,という状況が続くことになるようです。

緑や黄色のLEDだと,順方向電圧が低く,ラジオが鳴らなくなるギリギリまで点灯すると思います。


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さよならAMラジオ~送信所めぐり~その12:茨城放送・県西中継局,栃木放送・鹿沼送信所 [ラジオ]

2024年1月10日の日記

とうとう今冬の青春18きっぷも今日が最後です。

最後の1枚を使って宇都宮まで行って栃木放送の送信所を見てきました。途中,小山で水戸線に乗り換えて,茨城放送の中継局も見てきます。

☆茨城放送・県西中継局

茨城放送・県西中継局.jpg

茨城県西部の筑西市にある中継局です。本局は水戸にある下国井送信所ですが,地形の関係か,県西部で聴きにくい状況だったらしく,1990年12月に建設された,周波数1458kHz,出力1kWの比較的新しい送信所です。

筑西市にあるので,筑西送信所と書かれることも多く,googleマップでもそのように出ていますが,正しくは県西中継局のようです。

ただ,鉄塔基部の銘板を見ると関城中継所とあります[曇り]

茨城放送・県西中継局3.jpg 

基部接地型中波空中線。平成2年12月完成,株式会社八木アンテナとあります。

2005年3月までは真壁郡関城町なので,その銘板表記となっているようです。筑西市となったのは建設後なので,開局時は筑西送信所ではありません。また,壁の看板には茨城放送県西中継局とありました。筑西市になったときに,名称変更したのではないでしょうか。

茨城放送・県西中継局1.jpg 色あせた看板

送信用の鉄塔はダウンリード式で,鉄塔自体は接地されていますが,自立型ではなく,従来のステーを用いた支線式になっています。

茨城放送・県西中継局2.jpg 頂冠部

▲の銘板にあるとおり,基部接地型の鉄塔なので,頂冠部もグランド電位だと思います。

とすると,形状こそ,容量環に似ていますが,容量環として機能はしていない,と思います。

リード線が絶縁碍子を使って支持され,下に垂れていますが,ジャンパー線で頂冠に接続され,リード線はここで接地されています。碍子がなく,直接,頂冠に取りつけられている場合もあります。


茨城放送・県西中継局4.jpg 鉄塔基部

鉄塔自体は接地されているので,絶縁碍子は入っていません。リード線はニッポン放送の足立予備送信所のように,地面から絶縁して取りつけられています。

茨城放送・県西中継局5.jpg 局舎とリード線取付部。

茨城放送・県西中継局6.jpg 

局舎。扉の上に木の看板があります。隣りの扉はトイレのようです。

どこにもSTL用のパラボラが見えないので,光ファイバーの専用線で本局から中継しているもの,と思います。

茨城放送は2021年4月から,IBSの略称をやめ,"Lucky FM茨城放送" と放送ではLucky FMとアナウンスしています。周波数のアナウンスも,FM 94.6MHzだけで,AMの周波数を言わないことも多いようです。また,2021年にはFMつくば局を開局し,radikoのエリアも1都6県に拡大しています。
 
iruchanも知らなかったのですが,茨城放送が都内でもradikoで聴けるんですね~。茨城県の情報が都内でも聴けるのは大変よいことだと思います。なお,radikoもエリア外は聴くことができず,関西でも和歌山放送は和歌山県のみのようです。
 
と言う次第で,この放送局はFM化に熱心で,今年,民放のAM廃止に向けて,総務省が一部の放送局を停波して状況を調べる実験をするようですが,茨城放送も2月から,この実験に参加し,県西中継局と土浦中継局を停波するようです。
 
聴取者の反応を見て,実験終了とともに,廃局になる公算大,と思っています。
 
ただ,FMは直線で送信所が見通せる位置にラジオやアンテナを置かないと聞きにくく,ニッポン放送など,「マンションなどでは,AMより良好に受信できます」,って放送していますけど,やはりAMの方が受信しやすい,と思うんですけどね......。
 
ちょっと残念ですが,茨城放送もワイドFMで聴けるし,radikoで関東一円で聴ける,ということであれば,問題は少ないのでしょう。
 
関東鉄道.jpg 帰りも関東鉄道で....[晴れ] 大田郷駅にて
 
県西中継局地図.png 大田郷駅から歩いて1.5kmほどの所です。

☆栃木放送・鹿沼送信所

栃木放送・鹿沼送信所4.jpg 鹿沼送信所です。基幹局なので鉄塔も高いです。

栃木放送はとても受信しにくく,iruchanがいる北陸や,関西のほか,たまに滞在する東京でもほとんど受信できません。その点,茨城放送は比較的楽に受信できるのですけどね......。

たぶん,周波数が悪いのだと思います。

本局の1530kHzは高すぎてエリアが狭い上,中国放送とぶつかっていて,iruchanの住んでいるところではまったく聞くことができません。また,那須の864kHzは北海道のHBCとぶつかっていて,これもHBCの方が強く,また,足利の1062kHzは新潟放送や,信越放送など,多数の局が利用していて,高密度地帯ですしね。

と言う次第で,今まで一度も受信できたことはないので,お膝元へ行くことにしました。

意外に北海道や青森放送,秋田放送は受信できるのに,近くの栃木放送なんかが受信しにくいのは電離層の関係もあるのでしょう。

栃木放送・鹿沼送信所.jpg 局舎

栃木放送・鹿沼送信所2.jpg 鉄塔基部

鉄塔は絶縁型のため,下部に絶縁碍子と,航空障害灯に給電するオースチントランスが見えます。

栃木放送・鹿沼送信所1.jpg 容量環はありません。

  頂冠部は容量環がないタイプでした。

頂冠から,各支線にリード線が配線されています。ということはステーにも給電されているはずですね。

よく,1本のリード線だけ,鉄塔と接続して給電し,指向性を持たせているところがありますが,3方向全部にこのように配線されている理由がよくわかりません......[曇り]

残念ながら,局舎にも,ゲートにもなにも栃木放送の送信所であることを示す看板等はありませんでした。

場所は鹿沼市深津にあり,宇都宮駅から鹿沼へバスが頻発しているので,結構楽ですが,残念ながら,バス停(飯田)から2.2kmほど南へ歩いたところにあり,かなり遠いです。バス停のすぐ先に左に曲がって林の中に消えていく細い道があり,それをずっと道なりにたどって日光線の踏切を越えて2本目の交差点で左に曲がると送信所に着きますが,疲れた~~[台風]

レンタサイクルもないし,車で行った方が楽です。

周囲は工業団地になっていて,工場や物流倉庫がありますが,送信所の周辺は田んぼが多いです。

鹿沼送信所地図1.png 日光線の鶴田~鹿沼のちょうど中間くらい[雨]

ちょっと腹が立ったのですけど,日光線のすぐ近くにあるのに,駅がない[雷]

鶴田~鹿沼間は9.5kmもあるのに,途中の駅がありません。どちらの駅へ行くにも歩くと5kmほどもあるので,宇都宮駅からバスに乗りました。周囲は工場も立地しているし,住宅も建て込んでいるので,この辺りに駅を作ったら喜ばれるのではないでしょうか。


2024年2月28日追記

どちらもQSLカードをいただきました。本当にどうもありがとうございました。

IBC茨城放送s.jpg 

北陸で受信しました。ライオンのキャラがかわいい[晴れ]

今度,水戸の本局を訪ねてみたい,と思います。

栃木放送s.jpg 白黒のカードが渋いです.....[晴れ]

残念ながら,宇都宮市内での受信報告となってしまいました。申し訳ありません。


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さよならAMラジオ~送信所めぐり~その11:KDDI八俣送信所,NHK菖蒲久喜ラジオ放送所 [ラジオ]

2024年1月7日の日記

八俣送信所.jpg KDDI八俣送信所

ここは日本か? と言う感じの幻想的な光景。夜は航空障害灯が点灯してきれいでしょう。

今日は初詣です[晴れ]

と言うことで,総本山へお参りしてきました。

NHKの中波,短波の基幹放送所へお参りし,多額の? お布施をしてきました。

☆KDDI八俣送信所

八俣送信所3.jpg

ここから,ワールド・ラジオ日本でNHKが プロパガンダ 国際放送をしています。6MHz~22MHzの周波数帯で,短波で全世界に放送しています。

周波数は,短波のため,季節ごとに最適な周波数が異なるため,こちらで公開しています。Yamataと書かれた周波数帯がここから発信されています。

とはいえ,ここは前身は1940年11月に建設された,国際電気通信株式会社の八俣送信所で,同社は1938年に日本無線電信株式会社と国際電話株式会社の合併により設立されています。設立の趣旨としては,国際電話と無線電信を一体化して運用しよう,というものでした。送信所は他に,札幌の烈々布送信所,鹿児島にありました。

すでに日中戦争も始まっていて,本来なら国営化すべきなのでしょうが,欧米との関係も微妙な時期に当たり,対外関係を考慮し,事実上,国営なのに,民間会社が運営する,と言う形態を取ったようです。

戦時中は日本から海外へ発信する短波放送を一手に担い,海外への情報発信は短波の通信によりここから送られました。戦後も,海底ケーブルや衛星通信が主体になった後も,予備的な立場で送信が続いているのではないでしょうか。そして今後も,有事の際は海底ケーブルはすぐに切断されてしまうことや,さらに,人工衛星も撃墜することが可能ですので,重要だと思います。

また,東京ローズ などの謀略放送はここから放送されたのではないでしょうか。KDDIには当時の資料が残っていないため,わからない,とのことですが....。

戦後はGHQの指令で,同社は解散,いったん,逓信省直轄となったあと,1953年から国際電信電話株式会社,その後はぐちゃぐちゃあって 手抜き~ 今はKDDIとなっています。

ちなみに1945年8月15日の玉音放送は国内向けには中波で,海外向けには短波で送信されていましたが,ここからは在外居留民向けに日本語と,全世界に向けて英語で短波で送信されたはずです。2年前に死んだ父は船員で,海軍に徴用されていましたので,樺太で聞いた,と言っていましたけど,短波で聞いたはずです。

なお,「ニイタカヤマノボレ一二〇八」の通信は軍事通信なので,ここではなく,長崎の海軍針生送信所および千葉の船橋送信所とされていますが定かではありません。また,これらの送信所は中波,短波のため,水上艦艇向けで,ハワイに向けて潜水艦による先行部隊がいましたので,長波による送信も必要だったはずで,愛知県の依佐美送信所から送られたはずです。

ここへは,東北本線古河駅から,大綱行きのJR関東バスが出ていますので,終点のひとつ手前,中里が最寄りのバス停になります。
 
いや~,行ってみてビックリ。とんでもない広さですね~。100万m2あるそうです。それに,一体,何本の鉄塔が建っているのでしょうか。驚くほどたくさんの鉄塔が建っていました。正確な数はKDDIもわかんないんじゃないでしょうか.....。そんなことないってば。
 
中里のバス停から,少し戻ると,北に延びる道があるので道なりに進むとものすごい数の鉄塔が見えてきます。
 
八俣送信所14.jpg 一体,何本あるんだよ......[曇り]
 
ちょくちょく訪れる人がいるようで,同じバス停で若い女性が降りたのにはビックリ。彼女も反対側のバス停の時刻を確認していましたし,あとで見かけましたので,送信所が目当てだったようです。
 
バスは大体,1時間に1本ですが,ない時間帯もありますので,ご注意ください。
 
八俣送信所3.jpg トラス型の鉄塔もあります(無指向性?)
 
八俣送信所2.jpg カーテンアンテナ
 
八俣送信所8.jpg 上部
 
よく見ると左右に分かれていて,折り返しダイポールアンテナになっていることがわかります。
 
八俣送信所7.jpg 下部
 
八俣送信所17.jpg リード線の固定部。2面あります。
 
局舎も平屋ですが,大きな建物で,前回のラジオNikkeiの長柄送信所もそうでしたが,送信機は真空管出力だそうです。また,同様に送信所は有人で,保守,運用されていますし,職員用の宿舎もあるようです。今でこそ道路も整備され,南側には住宅地が広がっていますが,昔は田んぼの真ん中で,周囲はなにもなかったでしょうから,生活は結構,大変だったんじゃないでしょうか。
 
八俣送信所4.jpg 北側の門。
 
八俣送信所16.jpg
 
八俣送信所6.jpg 正門
 
八俣送信所12.jpg 局舎
 
この写真の手前にある建物は戦後の増築棟で,その奥にもとの本庁舎があり,南側(右側)が入り口で,玄関や車寄せもある立派な戦前様式の局舎がありますが,見学でもできない限り,玄関の撮影はできません。
 
八俣送信所15.jpg 給電線。まるで荒野に延びる電信線。
 
ラジオNikkeiの長柄送信所もそうでしたが,各鉄塔に給電するための給電線が四方八方に伸びていて,ややこしくなっています。
 
さて,やはり気になったのはこの送信所の戦時中の様子です。いつも見る,今昔マップ on the webに戦前の地図が出ていました。
 
ただし,このWEBでも注意が表示されますが,戦時中の軍事関連施設は戦時改描と言って,実際とは異なる表示になっていることが多いので,注意が必要です。特に,「あるはずのものがない」ということも往々にしてあります。以前,東京芝浦電気府中工場の記載がないことを指摘しています。
 
案の定,八俣送信所の記載はありませんし,鉄塔の記号も出ていません。
 
八俣送信所(水海道 '40.11.30).png 八俣送信所?(水海道'40.11) 
 
やはりなにも記載されていません。今昔マップでも,"戦時改描の可能性" と表示が出ます。
 
戦後はきちんと表示されています。 
 
八俣送信所(水海道 '72.10.30).png 1972年10月
 
八俣送信所分室,というのは1933年に日本無線電信が隣りの結城郡名崎村に建設した名崎送信所のことです。1938年には同じ会社になっており,戦時中の役割分担がどうなっていたかまではちょっとわかりませんが,在外公館への通信などはこちらが担当していたのではないでしょうか。
 
米東部時間1941年12月7日午後2時20分,特命全権大使の野村吉三郎が米国務長官コーデル・ハルに日本の宣戦布告文を手交します。その電報は朝7時に届いていましたが,前夜に書記官の送別会のパーティをやっていて,当日朝,誰も大使館員が出勤しておらず,暗号解読に手間取り,真珠湾攻撃の50分後となったのは有名ですが,その電報はここから送信されたのではないか,と思います。
 
戦後は八俣送信所同様,逓信省(1947)⇒電気通信省(1949)⇒日本電信電話(1952)⇒KDD(1953)⇒KDDI(2001)と所属が変遷します。有名なのはJJYの発信ですが,そのほか,共同通信,時事通信,気象庁,海保などの通信業務を担当していましたが,徐々に停波し,2009年に完全に停止しました。現在は跡地は工業団地になっていて,跡形もありません。
 
八俣送信所の航空写真の方は国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスで見ることができます。
 
八俣送信所 '48.10.22 USA-R1970-23s.jpg 1948年10月
 
の部分に八俣送信所の本庁舎が写っています。建物の北側から東側にかけて,10基の自立鉄塔が確認できます。無指向性の支線式の鉄塔が他にもあるのかもしれませんが,今ほど鉄塔は多くなかった,と思います。
 
八俣送信所 '93.10.24 CKT932X-C6-6s.jpg 1993年10月
 
大幅に鉄塔の数が増え,特に東側に1列に並んだ鉄塔が確認できます。北の方や西にも鉄塔が増設されたようです。また,局舎も西側に増築され,送信機が増設されたようです。
 
お昼は古河駅近くのマスダ食堂さんで,モツ煮込み定食をいただきました。このお店,親切なおばあさんがワンオペしておられますが,冬休みなのか,たぶん孫? のお嬢さんが手伝いをしていてほのぼのしちゃいました。心優しいお孫さんですね[晴れ]
 
モツ煮込み定食(マスダ食堂).jpg 大好きなモツ煮込み[晴れ]
 
 何よりとても美味しいし,量も多くて,心のこもった定食にiruchanは大満足でした。
 
☆NHK菖蒲久喜ラジオ放送所
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所.jpg 一体いくつパラボラがあるんだよ.....[曇り]
 
ここで東京第1および第2が送信されています。NHKは2028年以降もAMは継続する,と表明していますが,第2放送は来年度中の廃止が決定していますので,今のうちに写真を撮っておこう,と思いました。
 
来年度以降,FMで今,基礎英語をやっていたりしますけど,FMも含め,NHKラジオの番組編成がどう変わるか,心配しています。
 
NHKの送信所は愛宕山の送信所から,新郷放送所⇒川口放送所(第1),鳩ヶ谷放送所(第2)⇒菖蒲久喜放送所と移転しています。菖蒲久喜への移転は第1が1982年3月と第2が翌年3月です。新郷放送所は現在,文化放送が使っているのはよく知られています。川口放送所は2002年まで予備送信所として活用されましたが,新開放送所が開設されて廃止され,現在はNHKアーカイブスが置かれています。
 
そもそも久喜放送所でいいのに,なんで菖蒲久喜と名乗っているのか.....。
 
敷地が南埼玉郡菖蒲町と久喜市にまたがっていたためですが,2010年に久喜市と合併しています。
 
ここも場所が広いので,写真を撮るのは大変ですが,都心に近いし,周辺は住宅街,工場の他,ショッピングセンターもできているので,バスも複数の系統があって,比較的便利です。
 
送信所は南から第1,第2の順で設置されています。第1が594kHz,出力300kWで,第2が693kHzで出力500kWで,どちらも国内最大です。鉄塔は第1が高さ245mで,第2が215mあります。国内のAM送信所でこれだけの高さがあるところは他にありません。第2の方が出力が大きいのは,第2放送の送信所の数が少ないので,エリアが広いためでしょう。
 
南側の向野バス停か,北側の大久保バス停が近いです。iruchanは久喜駅西口から,清久工業団地行きのバスに乗り,向野バス停で降りました。ここからは第1放送の送信所が近いです。菖蒲仲橋行きのバスだと大久保バス停で降りると第2放送の送信所が近いです。
まず驚くのはものすごい数のパラボラアンテナ。八俣送信所は鉄塔の数に驚きましたけど,ここはパラボラ。
 
なんだこれ? って思いましたが,放送衛星へTV映像を送るアップリンク施設だそうです。
 
NHKは渋谷が主局で,ここは副局のようです。
 
アナログ時代はWOWOWなどの民放の送信も受託していましたが,今はB-SATに移管されているものの,設備は共有しているようで,同社のWEBを見ると渋谷,菖蒲,君津にアップリンク施設がある,と書かれています。菖蒲,というのはここのことでしょう。
 
☆東京第1放送
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所13.jpg 道路に面した案内看板。
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所7(第1).jpg 第1放送局舎入り口。
 
奥に銘板がありますが,菖蒲久喜ラジオ放送所とあるようです。
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所9(第1).jpg 第1放送局舎
 
NHKのロゴがありますが,鉄板に塗装して書いてあるようです。
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所8(第1).jpg 第1放送鉄塔頂冠部
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所10(第1).jpg 第1放送基部。
 
銘板には,「日本放送協会支線式240M円管鉄柱 完成 昭和56年12月」とありました。
 
民放の華奢な? 鉄塔と違い,非常にゴツいです。民放のはφ500mmのはずですが,ここのは1mはあると思います。そもそもはしごが2本ある,と言うのは初めて見ました。まあ,高さが民放の倍はあるので,ゴツくて当然でしょうけど。
 
☆東京第2放送
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所3(第2).jpg STL用の鉄塔と。
 
敷地の一番北にSTL用のパラボラアンテナがあります。
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所4(第2).jpg 第2放送鉄塔頂冠部
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所12(第2).jpg 第2放送鉄塔基部
 
遠いので,望遠でもこれくらいしか撮影できません[曇り]
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所6(第2).jpg 第2放送入り口。
 
NHK菖蒲久喜ラジオ放送所5(第2).jpg 第2放送局舎
 
珍しく? NHKのロゴがあります。第2はステンレス製のようです。
 
残念ながら,敷地の東側にも細い道があり,そちらから撮影できるのですが,できませんでした。
 
さて,来年度以降の話ですが,いつ,とは時期が明示されていませんが,来年度中にNHKは第2放送を廃止するようです。
 
とすると,この設備はどうなるのでしょうか。
 
あくまでも私見ですけど,新開送信所は出力が10kWしかなく,心細いので,そこを廃止して,ここを第1放送の予備とするのがいいんじゃ,ないでしょうか。
 
それとも,ここはやはり 対○謀略放送 の拠点に......以下,自粛。
 
帰りは第2放送からさらに北に行くと大久保バス停があるので,そこからバスで久喜駅に戻りました。モラージュ菖蒲という大きなショッピングセンターがあるので,そこで休憩してもよいのですが......iruchanはショッピングセンターは嫌いで,そんなところに行くとかえって疲れるので,立ち寄らずに帰りました....[雨]
 
鴨(菖蒲北部調整池).jpg バス停近くの調整池で。
 
鴨がひなたぼっこをしていました。太陽光電池パネルも生き物たちはこうやってちゃっかり利用していますね[晴れ]
 
      ☆          ☆          ☆
 
こうして初詣もできました。今年こそよい年を,と思っておりましたが,新年早々,大地震が発生し,驚いています。被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げます。

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謹賀新年

2024年元旦の日記

皆様,あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

'24年賀状.jpg


2024年1月2日追記

年明け早々,能登で大地震があり,iruchanもひどい揺れで驚きました。近所でこんな大きな地震が起きて,正直,こわいです。亡くなられた方もいらっしゃいますし,また,家が損壊して途方に暮れておられる方も多いと思います。謹んでお悔やみとお見舞い申し上げます。 

残念ながら,今年も極めて悪いスタートとなりました。一体,日本は今年どうなるでしょうか。新年早々,非常に心配な1年の始まりとなりました。これ以上,悪いことが起こらないことを祈っております。

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