ソニーFM/ラジオNIKKEI/AMポータブルラジオ ICF-EX5の改造~その3:バックライト,周波数カウンタ~ [ラジオ]
2023年12月3日の日記
ただいま,ニッポン放送を遠距離受信中!
周波数カウンタつけました。バックライトも点灯して見やすいです。ノイズも出ません。
前回,ソニーのICF-EX5にバックライトをつけました。
今回,周波数カウンタを接続できるようにしたい,と思います。
☆局発信号の取り出し
ICF-EX5はスーパーのラジオなので,局発の周波数を外へ引っ張ってきて,周波数カウンタでIF分だけ,周波数を引いた周波数を表示すればよいです。
と言う次第で,まずは局発の信号を取り出して端子を設けておきます。
まず,回路を検討しないといけませんが.......。
残念ながら,ICF-EX5の全回路図は未入手です。
輸出モデルだと,海外の修理業者に配布したサービスマニュアルがネットに流出して入手可能だったりしますが,ICF-EX5は国内モデルのみのため,見つかりません。
それで,とりあえず,使用されているICを調べて考えます。
iruchanのICF-EX5は三洋のLA1205を使っていました。
それなら,簡単と思っちゃったんですが......
ちなみに,ICF-EX5は1985年発売で,2009年にMk2となっていますが,2018年に製造中止されるまで,LA1205を使っているようです。また,ちなみに低周波出力は三洋のLA4550を使っているようです。
ただ,どうもMk2となる前の2001年にモデルチェンジされているらしく,内部の回路はこれ以前と後で違うようです。
Mk2は,アナログTVが終了し,FMの上に1, 2, 3とアナログTVの音声チャンネルが表示されていたのをやめたり,NSB1,NSB2とあったのをラジオNikkeiとしたり,AM KOBEとあったのをラジオ関西としたり,いくつかダイヤル表示を修正しただけ,のようで,内部は変わっていないそうです。
iruchanのは初代の後期モデル,と言うことだと思います。本当に? 初代のモデルがどういうICを使っていたかは,不明ですけど.....。
そもそも,LA1205自体,とても古いICですし,ともかく,三洋自体,もう,ないのですから......。
半導体部門は2011年にオンセミに売却されています。この年,三洋電機は上場廃止となっています
半導体は,特にラジオ用の高性能ICを作っていて,ソニーだけじゃなく,トリオなどもたくさん使用していたのですけどね。東芝のラジオICより高性能なものが多く,一度,三洋のラジオICを使ってラジオを自作してみようか,なんて思っています。
ひょっとして,ICF-EX5の製造が終了されたのは,LA1205などの三洋製半導体の在庫がなくなったから,かもしれません。本当にどちらも残念です。
さて,使っているICがわかれば,大体,ラジオの回路は判明します。
データシートも簡単に入手できました。
ところが......。
あとで,ある方面から回路図を一部,入手できたのですが......。
なんと,驚いたことにICF-EX5はAM部はディスクリートになっています
もちろん,LA1205はAMフロントエンドがついているので,これを使えばいいはずなんですが,FM部のみ使用し,AMフロントエンドはディスクリートになっていて,RFアンプ,局発ともに,ICを使わず,FET,バイポーラTrの混成回路になっています。
RFアンプもついているので,どおりで高性能なわけです。
ディスクリートの他励式コンバータでIFを作り,その後,同期検波の基板に入力されています。同期検波のICはソニーのCX857ではないか,と思いますが,確認していません。
結局,振り出しに戻って,なんとか局発コイルを見つけて,そこから取り出すことになりました。
簡単には,局発コイルの1次側(バリコン側)から取ればいいですが,こちらはパラに引出し配線の容量分が加わるので,NGで,できれば避けた方がよいです。
Trラジオ用の局発コイルは2次側コイルを持っていますので,ここ→に小容量のコンデンサをつないで接続すると影響が少ないです。
真空管ラジオだと日本製ラジオは局発コイルは2次側がないので,しかたなくバリコン側から取り出さざるを得ないことが多いですけどね。エナメル線で数ターン,コイルを巻いて,そこから取り出したりしてもよいです。
さて,現実のICF-EX5で,局発コイルを探します。バリコンのすぐ近くにあるはずです。基板を見ると,ソニーの部品番号はL5のようです。
局発はコイル2次側から取り出しました。
難しいのがGNDで,ヘタに基板上から取ると電源SWと連動しないので,ご注意ください。電源のスライドSWの中点に接続しました。
こうして,ラジオの外に取り出せるようにしました。
下に,バックライト用のタクトSWが顔を出しています。目立たなくていいでしょ
☆周波数カウンタ
次は周波数カウンタを準備します。
昔だと三菱のM54821とか,沖電気がMSM5523とか,こういうカウンタICを発売していて,自作しましたし,iruchanも実際,何個か持っているので自作してもいいんですけど.....。
やっぱ,デジタルICの自作はめんどくさい。
それに,何より,国内でも,Ali Expressとかでも,こういうラジオ用の周波数カウンタキットや完成品を売っているので.....。
今回,Aliで昔,買った,周波数カウンタを使います。
驚いたことに,三洋のLC7265を使っていて,iruchanはこのICは知りませんでした.....
このIC,さらに驚いたことに,スタティック点灯タイプなので,ノイズを発生しません。
よく,7セグメントのLEDはダイナミック点灯と言って,各桁ごとに瞬間的に点灯し,順次,次の桁を点灯する,ダイナミック点灯をやっているのですが,これだとノイズを発生するため,AMラジオの周波数カウンタとしては使いにくく,シールドが必要だったり,かなり面倒です。
と言うことなんですが,このカウンタはノイズを出さず,よいカウンタだと思います。
ただ,本来はAM/FM両用なんですが,FM専用にカスタマイズされちゃっています。
FM用に使う場合,プリスケーラのLB3500とセットになっていて,いったん,周波数を1/8にしてから接続します。AMは必要ありません。
時代的には古いICと思いますけど,ネット上には1998年発行のLC7265の規格表が出ていますし,その頃までは現役だったようです。
実を言うと,本来は,Aliで真空管式FMチューナーを売っていて,それ用のカウンタなんですよね。
よく,日本でもいまだに真空管式FMチューナーなんて売っているところがありますけど,それらは低周波部に真空管を使っているだけで,RF部はICを使っています。
こういうの,真空管式FMチューナーって言っていいのでしょうか
Aliのチューナーは逆で,RF部は真空管です。これ,いいな,と思って買いました。さすがに,MPX回路部までは真空管でやっていなくて,東芝のICを使っていますが,これなら,真空管FMチューナーと名乗っても問題ないでしょう。
このチューナーはいずれまた紹介したいと思いますが,そのときに買ったカウンタを流用します。
ところが......,実は散々手こずりました....
というのも,まず,7セグのLEDがなぜか1個だけ,別のがついていて,さすがのチャイナクォリティ~~
しかたないので,秋月で買った7セグLEDに交換しました。使われているのはアノードコモンの7セグLEDです。
次に,AM/FMの切替などの設定には,LC7265の選択ピンをLにするか,Hにするかで,決まるので,簡単,と思ったのですけれど.....。
こういうカウンタICは三菱のも沖のもそうですが,何本かのピンをLにするか,Hにするかで決められます。AM or FMはもちろん,IFがAMだと455kHzか,450kHz,ほかには263kHz(カーラジオ)なんてのも選択できますし,FMだと10.7MHzはほぼ全世界,同じですが,これを足すのか,引くのか,の選択ができます。
日本では,世界のFMと違って,局発は下側ヘテロダインなので,+10.7MHzとします。AMはどこも上側ヘテロダインなので,-455kHzとかなんですけどね。
アナログTVはなくなったし,AMもやめちゃうこともあり,そろそろ,
世界ノ大勢ト帝国ノ現状ニ鑑ミ,非常ノ措置ヲ以テ......
FMのIFを上側ヘテロダインに変えるべき,と思います......なんのこっちゃ。
案の定,Aliで買ったカウンターはFM専用になっていますし,10.7MHzを引くようになっていました。
基板を改造し,まずはAM用にして,さらに,ICF-EX5はIFは450kHzなので,-450kHzを表示するようにします。
LC7265の規格表は簡単に手に入りましたので,上記の設定は簡単にわかりました。
本カウンタはFM設定用の#11~13ピンがすべてL, AM用の#14がH,15ピンはLとなっていました。また,AMか,FMかを決める#20はHとなっていて,FMとなっています。
これらのうち,#11をHとするほか,残りをLとすれば,AM用,IF=450kHz,FMは+10.7MHzと設定することができます。
ジャンパ線をつないでこれらのピンをLにしたりしてみたのですが......。
表示がヘンです。
まったく数字が表示されず,小数点のみ表示されています......
普通,カウンタとして正常に動作しているなら,デタラメな数値を適当に表示するはずです。なにも表示しない,というのはマズいです......。
散々調べたところ,#17ピンがLになってしまい,これはブランク表示(表示しない)のピンなので,こうなっちゃうんですね....。
パターンが#14と#17が共通になっていて,Hにプルアップされているようです。これを,#14ピンをプルダウンしたので,そのまま#17もプルダウンされ,ブランク表示になっちゃったようです.....。
しかたないので,#17ピンだけ基板から外して別途,プルアップしました。
ほかにも,小数点の ● がつきっぱなし
なんで? って思ったら,なんと,小数点はそのままGNDに接続されていて,常時点灯となっていました。
最後に,規格表を読んでいて気がついたのですが,入力レベルが0.5Vp-p以上となっていて,結構大きいです。
ICF-EX5のIF出力は▲のように,100mVrmsくらいだったので,23dB程度,増幅してやらないといけません。
ということで,1石のプリアンプをつけてやります。
簡単に,2SC1815で作ってやりました。
ところが,ちゃんとカウンター表示が変わるんですが,感度が異常に悪い。
LC7265の規格表を見ると,入力電圧は0.5Vp-p以上となっていますが,オシロで見てみると,6Vp-pくらい加えないと,正常な表示をしません......
どうなっとるんや......。
オシロで波形を見てみると,どうも直流オフセットしているらしく,なぜかAM inの#9ピンの電位は2.3Vくらいあります。FM inの方は0V近辺なので,本来ならAM inも0Vのはずです。
だから,6Vp-pくらい入力の振幅がないと動かないんですね。
散々パターンを調べても原因がわかりません。
ほかの方でLC7265を使っておられる方のブログも見ましたが,単にここはプリアンプからコンデンサを介して直結しているだけで,普通は問題はなさそうです。
しかたないので,3.6kΩを介して#9ピンに入力することにしました。こうすると直流分と合成(加算)してくれますので,信号の下限がスレッショルド値以下になって動くはずです。
最初,小数点がつきっぱなしだったので,接続を切り,あとでAM/FM切替時と連動して点灯するようにしたいと思います。
黒字はもとの基板上の配線です。ピンクの部品と配線を追加します。回路はiruchanが読み取った一部分だけです。
ちなみに,FMは1ターンのループアンテナが入力でした。
驚いたことに,Aliの説明を読むと,ラジオに近づけると,局発をとらえて周波数が表示される,とのことです。
実際,テストオシレータで確認できました。
とはいえ,ICF-EX5のように半導体のラジオではムリなようです。
2MHzで27dB程度,ゲインがあります。
☆ ☆ ☆
こうやってようやくソニーのICF-EX5にバックライトと周波数カウンタが接続できるようにしました。
次回,カウンタはちゃんとケースを作ってやりたいと思います。
また,ノイズが出ない,と書いていますが,LC7265自体はノイズを出さないものの,やはり外へ局発を引っ張り出したため,配線に若干,ノイズが乗って,微弱な局だと影響が出ますので,対策します。
これで,待ち受け受信して遠距離の民放AM局を受信したい,と思います
☆ ☆ ☆
2023年12月5日追記
やはり,本体内部にバッファアンプをつけました。
LC7265はスタティック点灯のため,IC自体はノイズを出さなくて,よいICですが,引き出しのケーブルや周辺回路がやはりノイズを拾ってしまいます。
ニッポン放送みたいに強力な局はいいですが,福島放送や信越放送のように遠距離の微小局だとノイズの方が大きく,遠距離受信時には支障します。
そこで,簡単にFET1石でバッファアンプを作り,前回,作った,バックライト用の基板に配線し,ICF-EX5に内蔵しました。
ゲインは6dBほどありました。OSC出力は400mVp-pくらいになりました。
600~700kHz付近で不安定な表示になる現象も消えました。やはりバッファーは必要な感じです。
う~~ん,これだったらプリアンプと一緒にして,2石式のバッファアンプにして本体に内蔵すればよかった,と思わなくもないですけど......
2023-12-03 00:00
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