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黎明DCプリアンプの製作~金田式DCプリアンプ第1号・その2:プリント基板~ [オーディオ]

2020年9月20日の日記

黎明DCプリアンプ基板1.jpg プリント基板が完成しました[晴れ]

前回から3ヶ月が経ちました。ようやくモノラルLP用のEQアンプオール・メタルキャンTrを使ったスーパー・ストレートプリアンプも完成したので,こちらを再開します。

さて,まずはプリント基板を作ります。

iruchanも散々苦労しましたけど,ようやく感光フィルムを使った方法でプリント基板がうまくできるようになりました。残念ながら,サンハヤトが売っている最近,また感光剤が変わった欠陥感光基板の使用はあきらめました。失敗ばかりで,とてもうまくいく,とは思えません。失敗してもやり直しができないし,それに値段もとても高いですしね。こんなもの,とても一般消費者に売るものとは思えません。今まで,同社には散々貢がせていただきました。どうもありがとうございませんでした......[雨][雨][雨]

感光フィルムの方もかなり苦労しましたけど,要はコツとしては,うまくマスクの遮光性を確保するため,マスクを2枚重ねにしないといけないということと,現像時の温度も重要で,炭酸ナトリウムの1%溶液を温めながらやらないといけない,というのが最大のコツのようです。だいたい,iruchanは40℃くらいの温度が必要では,と思っています。ほかの方のブログなどを見ると30℃くらい,という感じなのですが,もっと高い方がよい感じですし,とにかく,常温ではダメです。特に冬だとヒーターかコンロが必須で,加熱しないとダメでしょう。

さて,iruchanもそれなりに苦労しましたけど,ようやく一発でプリント基板を作ることができるようになりました。iruchanのやり方はこちらをご覧ください。なにより,この方法は安価な生基板を使えるし,失敗してもまたフィルムを貼って何度でもやり直しができます。もう決してサンハヤトの欠陥感光基板は使いません。

黎明DCプリアンプ基板.jpg 

    エッチングするとこんな感じです。

まだ,サンハヤトの感光剤が変わる前の旧感光基板ほどではありませんが,文字もエッチングできるくらい,きれいにできるようになりました。ただ,まだDIPのパターンなど,隣とつながってしまうところも出てきちゃうので,チェックは重要です。

☆2段目差動Trの差し替え

金田氏は,無線と実験1973年8,9月号では,2段目は東芝の2SA493GRで,'74.1月号の本機で2SA640に代わっています。

金田氏は'91.6月号のスーパー・ストレートプリアンプの記事のところで,第1号は'74.1月号と書いておられますが,'73.8月号のは失敗作と考えておられたのか.....そのあたりはiruchanもよくわかりません。

ただ,さすがにiruchanも東芝の2SA493じゃね.....って感じなので,回路は'74.1月号としました。

この場合,2段目は2SA640なんですけど.....。

iruchanも中坊のとき,半導体パワーアンプ第1号はこのTrで作りましたし,それで,ちょっと愛着のあるTrなんですけど....。

なんかあまりいい音がした,という印象はないですし,金田氏もいつの号かわかりませんが,三菱から2SA726が出るとすぐに交代させています。

ということで,本機は2SA6402SA726が差し替えられるように考えました。

マニアの皆さんはよくご存じだと思いますが,三菱のTO-92のTrは一般のTrと電極配置が異なります。

なぜか,一般的には左からECBなのに,三菱の2SA726はBCEと反対です。

理由は三菱電機が提携していたのが米Westinghouseで,そこから技術導入したから....と言われているのですが,確かにWestinghouseは真空管もTrも作っていましたけど,それほどメジャーじゃなく,すぐに製造を止めてしまって,他社からの購入に切り替えたと思います。

Westinghouseは鉄道の自動ブレーキを発明した,George Westinghouseが創始者で,テスラと組んで,交流の発送電システムを開発したことでも知られていますね。エジソンと電流戦争を戦って,勝利を収めました。米国の総合電機メーカとしてGEと並んで大企業に成長し,半導体やコンピュータも作っていて,原発も作っていましたけど,1990年代には米国の製造業の衰退と歩調を合わせてどんどん事業を売却し,最後まで残った原子力事業を買収した東芝が大やけどして危うく潰れかけたのはご存じのとおりです。今もブランドは残っていますが,RCAやZenith同様,ブランドだけで,製造業としての会社の実態はありません。ちなみに,よく,同社のブランドで6BQ512AX7などの球が秋葉などで売られていますけど,ほとんど日本製です。

トランジスタについても,Westinghouseのトランジスタラジオ,というのが1950年代には売られていましたが,日本メーカの集中豪雨的輸出でRCAやPHILCOなど米国ブランドが駆逐されてしまう中,Westinghouseもラジオの製造もやめちゃいます。Tr自体もあまりWestinghouse製,というのは見かけないのですが.....。問題はいつまで半導体をWestinghouseが作っていたか.....1986年にはPowerexという会社をGE,三菱電機と合弁で設立し,半導体部門を分離しているようです。Westinghouseは最後はパワー半導体を作っていたようです。

そもそも,米国じゃ,GEにしたって,RCAにしたって,早々にどこも半導体製造の看板は下ろしてしまって,半導体はFairchildやMotorolaやNational Semiconductorなど,専業メーカーの独壇場になります。初期の頃でも,RCAとGE以外はほとんど半導体はダメ,という状況だったのですけど....。

そういや,これらの半導体メーカーも今はもうないな.....orz。

Fairchildは今もRSコンポーネンツなんかで売られていますけど,ショックレー研を飛び出したロバート・ノイスたちが設立した,Fairchild Semiconductorとは歴史的につながっているんでしょうか.....。ノイスもここを飛び出してインテルを作るわけですが.....。

と言う次第で,ちょっと脱線しましたけど,理由はよくわかりませんが,2SA726をはじめとして,三菱のTrは電極は位置が異なることがあるので,要注意です。

それで,プリント基板は結構面倒くさく,簡単には2SA726だけ,背中合わせで熱結合すればパターンはそのままで差し替えられるんですけど.....それは格好悪いですよね。

散々考えて,DIP10ピンのソケットを使って,差し替えできるようにしました。DIP8ピンでもできなくはないのですが,どうしてもジャンパー線ができてしまうので,2ピン分追加してジャンパー線なしのパターンを考えました。

2SA726周辺.jpg こんな風に差し替え可能にしました。

これならうまくいきそう......って思ったのですが.....

なんと,DIP10ピンなんてソケット,売っていないんですね.....[雪][雪]

8ピンの次は12ピンになっちゃいます。14ピンならロジックICでよく使いますが,12ピンのICなんてあったっけ,という気もするんですけど。

散々探したら,RSコンポーネンツでDIP10ピンのソケットを売っていました。面倒なら12ピンのソケットでもよいと思います。2ピン分,遊ばせておけばOKです。

でも,iruchanは1列だけ遊ばせておくのはなんかなぁ~って思っちゃいました。

2SA640装着時.jpg 2SA640ほかのとき

一般的な,ECB配置のTO-92Trの時はこの位置に挿します。

2SA726装着時.jpg 2SA726のとき

2SA726の時は下側に挿します。COPALのλ13T半固定が懐かし~~~~。2SK30Aも後の2SK30ATMなどのTO-92より小さい,モールドタイプの旧型です[晴れ] なぜかドイツから輸入しましたけど.....。金田氏が設計した頃はこのタイプだったと思います。できるだけ,オリジナルに近いTrや部品を使おう,と思いましたが,残念ながら抵抗はニッコームばかり......[雨][雨]

     ☆          ☆          ☆

さて,ようやくプリント基板が完成したので,次回は電源からテストしていきたいと思います。



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海外旅行用ケトルを買いました [電子工作]

2020年9月13日の日記

KONKA.jpg 折りたたみ式なので便利です。

去年,仕事でパリへ行ったときにちょっと困ったんですが.....。

驚いたことにたいていあると思っていた,湯沸かし用のケトルがホテルの部屋にありませんでした....orz。

帰ってきて調べてみると,欧州も大陸のホテルには置いてない場合が多いようです。同僚に聞いてみたら,パリにはないことが多いですよ,とのこと。

そういや,iruchanは対英米協調派? だったので,いつも行くのは英米ばかりでした。確かに,今まで,英国や米国のホテルでは必ずケトルが置いてあって,ホテルによっては日本のビジネスホテルみたいにインスタントコーヒーや紅茶のティーバッグが置いてあって,いつも飲んでいましたし,なくなると近所のコンビニでティーバッグを買っていました。

ということでその同僚に薦められて,ケトルを買うことにしました。彼は強者で,いつもパリのホテルじゃ,自炊しているそうです......[晴れ]

確かにiruchanもパンばかりじゃ飽きてしまって,この前はロンドンで寿司買って食べてましたね....。

シリコンゴムを使った,旅行用の折りたたみ式のケトルがあるらしいので,Amazonでポチってしまいました。

とにかく軽いのを,と思って,わりによさげなKONKAというあやしい中国製ですが,今どきどんなものも中国製だし,これはしっかりしていそうなので買ってみました。

買ってみて驚き,意外にいいではないですか[晴れ]

なにより,ケトルって,沸かすだけ,と思っていたのですが,こいつは保温機能があり,サーモスタットで15分くらい経つとまた沸かしてくれます。容量的にも十分で,マグカップ5杯分くらいは沸かせます。600mlくらいは入るようです。

電圧は100/200V切り替え式だし,プラグも日本や米国のA型,英国のBF型,欧州のB型,中国のO型がついているので,まず世界中どこへ行っても困らない,と思いました.....。

KONKA-4.jpg 変換用のアダプタ

韓国は,米国系だったので,最近まで110Vだったのですが,220Vに昇圧し,プラグも変わりました。香港はまだ,BF型が多いと思います。

でも,デフォルトで本体についているプラグが中国のO型なのは残念。昔はあった,日本メーカのものだと,ちゃんとA型がついている,と思いますが....。もう,日本製はないでしょうしね。もちろん,中国製でも日本で売るなら,A型がついていないとダメ,と思います。ちなみにA型は日,米のほか,台湾やタイがそうだそうです。BF型は香港のほか,シンガポールはマレーシアなど旧英国植民地がそうです。インドはごちゃごちゃで,iruchanが行ったときはBF型だったように思いますけど,B型もあるようです。豪州やニュージーランドは行ったことないですけど,中国と同じ,O型だそうです。

KONKA-3.jpg 本体についているO型接地極付プラグ

と言う次第で,日本で使う場合でもいちいち,付属のアダプタを使わないのは不便。

それで,プラグを付け替えちゃおう....と思ったのですが,付属のケーブルが3芯のせいもあるのですが,太すぎて使いにくい。

そこで,ケーブルごと,JISの10A品に交換しました。消費電力は600Wなので,容量的には十分だと思います。

KONKA-2.jpg ケーブルはファストン端子で取りつけられます

サーモスタットに幅4.5mmのタブが出ていて,ファストン端子で接続します。この幅のタブだと,#187が適当です。日本圧着端子製のが秋葉の千石電商で@15円でした。残念ながら,接地極は日本では不要なので,外しました。本来は接地極は必須だ,と個人的には思うのですけどね......。

KONKA-1.jpg プラグは15A品です。

ほんとうはこの10Aのケーブルにプラグがついていたのですが,どうも芯線がプラグのところで断線していたようだったので,プラグもやっぱり交換しました。

     ☆          ☆          ☆

これで,もうパリへ行っても大丈夫......と思ったのですが,コロナのせいでまだ当面行けそうにありませんね.......orz。

それにしても何でフランスのホテルはケトルぐらいないんだ[雷][雷]


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モノラルレコード用CR型イコライザーアンプ(EQアンプ)の設計と製作~その4:試聴編~ [オーディオ]

2020年9月3日の日記

CR型EQアンプ2.jpg ようやく完成しました[晴れ]

プリはPioneer C-21です。ついでに,LPをソニーのMZ-RH1でリニアPCM録音します。

前回,まだEQカーブのおかしいところを調整していました。どうも肝心のRIAAカーブが少しずれていて,再調整でした。

ようやく今日は音を聴いてみます。

ということで,まずはやはりお目当ての英DECCAのffrrカーブから.....。

第2次世界大戦中,英海軍の対潜哨戒システムのひとつとして開発された技術を英DECCAが応用した,といわれています。おそらく,ソナーシステムの受信側のシステムのひとつで,より広帯域の反射音を捉えよう,とするものだったと思いますけど,詳しいことが全然わかりません.....orz。

一体,ソナーの中のどういうシステムだったのか,ということもありますけど,オーディオとしてはどういう機材を使って,広帯域録音を達成したのか....詳しく知りたい,と思っています。

ただ,やはりDECCAのffrr録音はクラシック界ではHiFi録音の代名詞のようなもので,もう,定番中の定番,という感じですね~。特に,ステレオになってからのffssも有名で,アンセルメの一連のCDなどはいまも愛聴されています。

☆Grieg Piano Concerto, Pf:Clifford Curzon, DECCA LXT2657

DECCA LXT2657.jpg

クリフォード・カーゾン演奏のグリーグのピアノ協奏曲を聴いてみます。英DECCA LXT2657です。オケはロンドン交響楽団(LSO)で,指揮はフィストラーリです。

グリーンの紙ジャケットが印象的です。1952年1月の発売のようです。レコード自体は,国内で安く買いました。あまり人気のない盤のようです。まあ,クラシックマニアの間じゃ,英国オケ,というと独墺のオケに比べれば,格下,と思われていますから.....。

盤はいわゆるフラット盤で,ディスクグルーブを保護するためのグルーブガードと呼ばれるへこみがない最初期の盤なんですけどね。普通は結構な値段がしますが,1,000円以下で買えました。

まだ,終戦から間もない時代で,印刷技術もいまいちだったのか,この時代のジャケットは写真を使っていることはまずないし,カラー印刷にはなっていても,せいぜい2色か3色刷のものばかりです。

また,なぜ,この曲かというと,シューマンのピアノ協奏曲と一緒に,最近よく聴くから,ですけど,以前,RIAAで再生して録音したデータがあるので比較しやすいからでもあります。何よりピアノが一番,録音やセットの性能を把握しやすい楽器だと思います。ピアノだと音が悪いとすぐにわかるように思います。

余談ですけど,iruchanは80年代のデジ録盤は買いません。明らかにピアノの音が変です。最近の録音になってようやくピアノの音が聴けるようになった,と思います。やはり,16bit,44.1kHzのサンプリングじゃ,足りなかったのでは,と思います。

シューマンの方は,ウルトラセブンの最終回で使われた曲で有名ですよね。ところが,iruchan,この最終回の曲はずっとグリーグだ,と思っていました.....。確かに,よく似た曲ではあるんですけど.....。大人になってから最終回を見直してみて,気がつきました。

ちょっと比較してみませう。平均音量は揃えてあります。

ffrrで再生した場合

 

RIAAで再生した場合

 

さすがにso-netブログはwavは再生できないので,mp3に変換していますけど.....。

さて,聴いてみてびっくり。やはり全然違います。RIAA再生だと,かなり音がおかしく,こんな音じゃない,っていつも思っていました。変な表現ですけど,ffrrで再生すると,いかにもピアノの音がします。こうだよな~って,改めて思っちゃいました。

さすがに古い盤なのでスクラッチ音が結構しますけど,まあ,初期盤と呼ばれるような古いレコードはこんなものです。でも,この盤は英国盤ですからいいですけど,基本的に国内で発売された初期盤は避けることにしています。まあ,プレスの技術が低かった,とは思いたくないのですが,とにかくスクラッチノイズがひどいものばかりで買いません。おそらく,LPは高かったので,それこそすり切れるまで聴いていたんだろう,と思います.....。

☆Schumann Piano concerto, Pf:Joerg Demus, Westminster XWN 18290

Demus Schumann.jpg

今度は正真正銘?,シューマンのピアノ協奏曲を聴いてみましょう。iruchanは最近,この曲に凝っていて,古いレコードを集めています。

ソリストはオーストリア出身のイェルク・デムスです。1928年生まれで,1956年のブゾーニ国際コンクールで優勝しています。オケはウィーン国立歌劇場管弦楽団で,指揮はロジンスキーです。録音は1956年ですから,同コンクールで優勝した年のようです。新しいので,▲のカーゾンより,こちらのWestminster盤の方が音がよいはず,と思っていましたが,改めて聞き比べてみるとカーゾンの方が音がよいですね~~。何より録音レベルがかなり低く,8dBほど低いです。音も低音は伸びていますが,高音があきらかにDECCAより劣っています。おそるべし,DECCA。

デムスは驚いたことに,亡くなったのは去年4月なんですね~。親日家としても知られ,多くの演奏家がキャンセルした,2011年の東日本大震災の直後にも来日してシューマンを聴かせてくれたそうです。歌手のシンディ・ローパーやレディ・ガガもそうでしたけど,すぐに日本に来てくれて,応援してくれました。本当にありがたいことです。ご冥福をお祈りします。

ウルトラセブンの最終回で使われたのはディヌ・リパッティとカラヤンのEMI盤ですが,一応,スクラッチ音がほとんどしないので,テープ録音のようですが,まだLPが登場する前のSP向けの録音のせいもあり,音が悪く,よりHiFiなLPの方がよかったと思います。でも,演奏自体はリパッティのはすごいですね。なお,先ほどのリンクに書きましたけど,青山通氏の本には,いろんなシューマンのレコードが出ていますが,この盤は出ていません。ウルトラセブンの音楽担当だった冬木透氏はこの盤のことはご存じだったと思いますが,採用されたのはもっと古いリパッティ盤でした。


レコードは放浪の名レーベルWestminsterです。強い米ドルにものを言わせ,欧州の名演奏家のレコードを多数出しました。なにより,録音技術も素晴らしかったようで,今聴いても非常に音はよいです。でも,今回,比較して気がつきましたけど,米国からエンジニアが出張して録音したので,いまいち,機材に不足があったのかもしれません。戦前,TELEFUNKENがSP盤の最高とされていましたし,実際,iruchanが今,聴いてもそのように思いますが,メンゲルベルクのSP盤はベルリンからアムステルダムまで出張して録音していたので,音がほかのTELEFUNKENに比べ,悪い,と言われていたのを思い出しました。

Westminsterはマイナーレーベルだったため,レコードの生産自体は米Columbiaに委託していたこともあり,RIAA制定前のカーブはColumbiaです。また,生産がColumbiaだったので,VOXやRemingtonなどの弱小レーベルと違って,盤質は格段によいです。今回,Columbiaカーブも備えていますので,万全です。

なお,Westminsterはマイナーレーベルでしたが,演奏や録音がよかったため,国内外でCDがたくさん出ていますが,本盤は出ていないようです。レコード自体,eBayでイスラエルの中古盤屋から買ったのですけど,いまいち盤質が悪く,ノイズが多いです。宛名や郵便局のシールがヘブライ語で書いてあって,読めませんでした.....。

       ☆          ☆          ☆

さて,本機はiruchanはモノラル盤用と書いていますけど,RIAAとffrrはステレオで聴けるように,2ch.で作ってありますので,一応,ステレオ盤も聴いてみたいと思います。CR型のEQアンプ,というのも初めてですしね~。

☆Rachmaninov Piano Concerto No.2, Pf:Sviatoslav Richter

richter rachmaninov.jpg

今度はリヒテルのラフマニノフの2番を聴いてみます。やはりロシアの曲はロシア人の演奏家,ですよね~~。

オケはワルシャワ・フィル,指揮はヴィスウォツキです。録音は1959年と古いですが,ステレオ録音になっています。鉄のカーテンの向こう側にすごいピアニストがいるってんでDGGのエンジニアがワルシャワまで乗り込んで録音したらしく,この曲の最高の名演のひとつ,とされていますね。


このディスク自体はどこが作ったのか,わからないのですが,Made in EUと書いてありますので,EUのどこかでしょう。一昨年,HMVで買った最新盤で,最近,LPを買うと,やはり今どきLPを作るとコストがかかるのか,とんでもなく高いですけど,これは1,700円と格安でした。でも,盤質はとてもよいですし,クラシックファンなら1枚持っていても損はない1枚だと思います。

録音もとてもよく,ノイズやひずみはありませんし,なにより初期のステレオ録音は結構,試行錯誤だったのか,うまくステレオ感の出ていないものも多いのですが,これはなかなかよい録音です。

演奏自体はとても遅く,浅田真央さんがソチで滑った曲で有名ですけど,この演奏じゃありませんね。これでは踊れんやろ~~[雨]

クラシックファンはこのように,好きな曲でも,これじゃない,ということで結局,自分の気に入った演奏が見つかるまで,延々と同曲異演盤を探し続ける.....と言うことになりますね。ウルトラセブンの本の青山氏も同じで,結構,この本は面白かったです。また,普通は同曲異演ということは異なる演奏者ですけど,フルトヴェングラーなんかは同じ人物なのにまるで違う演奏がたくさんあるので困っちゃうんですけど.....。

☆Frozen II

さて,お楽しみ.....。

実は,アナと雪の女王のサントラは海外ではLPでも発売されています[雪]

FROZEN II LP.jpg 歌詞カードもきれいです。

結構,値段が高いんですけど,レコードで ”Let it go!" が聴けるのはうれしいです。残念ながら,海外盤なので,英語の歌ですけどね.....。松たか子さんと神田沙也加さんの日本語盤がLPで出てるとなおうれしいんですけどね....。

今回は,アナと雪の女王2のサントラを聴いてみます。

CDと違って,収録曲が少なく,エンディングの "Into the unknown" は入っていません。まぁ,これは歌っているのがオッサンだから要らないや.....。

やはり,今回の目玉は "Show yourself" (見せて,あなたを)だと思います。"Into the unknown" より,こっちの方がよっぽど感動的な曲だと思うのは私だけでしょうか.....。

FROZEN II LP-1.jpg 

 レーベルもかわいい~~。B面はもちろん,アナですけど。

Garrard 301とDL103でアナ雪のレコードを聴いているのはiruchanだけだと思います....(^^;)。

ただ,聴いてみてびっくり。残念ながら,盤質はよくありません。そもそもセンターの穴が小さすぎて,スピンドルにはまらんちゅ~~の~~orz。おまけに結構大きなスクラッチノイズがして,ところどころ傷があるようで,大きなノイズが出ます.....。波形を見ていても,ノイズフロアが高く,さっきのリヒテルのLPと比べてみても,おかしいです。まぁ,今どきLPを高い品質で作れるところは少ないのでしょう。

PDVD_132-1.jpg ♪I'm dying to meet you....


う~~ん,断然,松たか子さんの方がいいや......。

       ☆          ☆          ☆

聴いてみて,やはり音のよいアンプだと自分ながら,そう思いました。超低ひずみOPアンプのLME49720Hを採用したこともあるのでしょうけど,EQアンプはやっぱ,CR型だよな~~って思いました。本当はLCR型がすごいらしいですけど.....。専用のタンゴのEQ-2Lは中古価格がこちらもものすごいことになっていますけど.....orz。

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金田式DCアンプ用Spiceモデルの作成 [電子工作]

2020年8月24日の日記

電子回路シミュレータはとても長い歴史があり,今は無料で使えるLTspiceを使っておられる方が多いと思います。

iruchanも鉄道模型用コントローラやアンプ設計など,基本的な回路設計はLTspiceを使うことが多くなりました。

ただ,やはりたくさんの問題が.....。

シミュレーションと実際の回路の動作はどうしても違いますし,思ったように動作しないのはもちろんです。

まあ,実際作ってみると,理想状態であるシミュレーションに近い動作をすることも多いし,逆に,Spiceで動かない回路が実際に作ってみると動く,なんてことはないので,まずは設計が正しいかどうか,確認するのに使うのは非常に便利なツールだと思います。また,最近はiruchanはうまく動作しない原因を探るのに使ったりしています。マニアの皆さんには,MJの回路図の誤記を調べるのに使ったりしておられる方もいらっしゃるようです.....。なんか,本末転倒という気もするんですが,編集部が悪いんですよね~。iruchanも金田氏のWE真空管DCプリのレギュレータで誤記を見つけました。

ちょっと脱線しちゃいましたけど,LTspiceでなにより,一番困るのは必要とする部品のモデルがないことですね~。

以前,ゲルマニウムTrのSpiceモデルを作成しました。ゲルマニウムTrのspiceモデルなんて,マニアが作らない限り,世の中に存在しません。

それに,何より国産の半導体のモデルなんてほとんどありません。

1980年代にはそれこそ,世界を支配したと言っていいくらい,日本製の半導体は幅を利かせていたんですけどね.....。

LTspiceをインストールすると,デフォルトでstandard.bjtというファイルがあり,そこにバイポーラTrのモデルが入っています。ホルダは,デフォルトだと,マイドキュメントの中にあります。

    C:¥Users¥(ユーザー名)¥Documents¥LTspiceXVII¥lib¥cmp

残念ながら,入っているものは2NBCなどの頭文字がついた欧米系のものばかりです。ごくわずかに2SAなどの頭文字のついたものもありますけど.....。

基本的に,LTspiceでトランジスタをシミュレーションするなら,デフォルトのPNPやNPNのTrモデルがありますので,デフォルトのままで十分だと思います。

でも,アナログ回路だとそうはいきませんよね.....。単なるスイッチとして使っている回路ならともかく,活性領域で使うアナログ回路じゃ,そういうわけにはいきません。実際,世の中のTrの99.99....%は単なるスイッチとして使われているんでしょうけど.....。

ということで,前回,ゲルマニウムTrのモデルを作りましたが,改めて今回はシリコンTrのモデルを作りたいと思います。

国産のバイポーラTrについては,会員制ですけど,トランジスタ技術の姉妹誌だったエレキジャックのWEBに国産Trのモデルが出ています。iruchanも,以前,ダウンロードして使っています。▲のstandard.bjtに書き加えるだけですので,簡単です。

ただ,残念ながら,国産Trといっても東芝だけです。ほかに,トランジスタ技術の付録のCD-ROMに国産Trのモデルがついていた号があったと思います(何号だったか思い出せません....どうもすみません)。

でも,その付録のモデルだって,ほとんどが東芝だし,松下となぜかROHMのモデルがあるだけで,あまり当てになりません。オーディオじゃ,これらの会社のTrは使いませんよね~。

さいわい,接合型FETは国内じゃ,ほとんど東芝なので,エレキジャックのWEBにあるFETで用は足ります。2SK30もあるのでラッキーです。

iruchanはこれらを先ほどのstandard.bjtにコピーしたので,2SC18152SA1015などのモデルを使ってシミュレーションできます。オーディオ用も,かろうじて2SA8722SB716があったので使うことができます。

ところが,2SA6062SC959などのいわゆる金田石はモデルがありません。せめて,このTrくらいあれば,いろいろできるんですけどね......。

ということで,今日はこれらの金田式DCアンプで使われているTrのモデルを作りたいと思います。

          ☆          ☆          ☆

まずは準備から.....。

最低限,VCE-IC特性の図が必要です。真空管ではEB-IP特性ですよね。これがなきゃ,モデルの作成はおろか,作ったモデルが正しいかどうか,検証できません。

最初に,TrのVCE-IC特性はこんな感じです。

Tr 静特性.jpg

一番左側に飽和領域があり,アナログ回路ではここは使いません。ICが平行になっている,活性領域で使うのがアナログ回路です。MOS-FETの場合はここを飽和領域と言いますから,非常にややこしいです。

一番右は降伏領域で,ここも使ってはいけません。Trが壊れます。もっとも,それ以前にPcの制限……がありますけどね。シリコンTrになってからは丈夫になったので,ゲルマニウムはともかく,シリコンではごく初期のTrを除いて,この領域はほとんど記載されていません。

LTspiceの各パラメータがどのように影響するか,簡単に書いておきました。

この特性図がないと,モデルは作れません。例えば,活性領域の平行になっている部分の傾きはアーリー電圧VAFで決まります。

と言う次第なので,CQ出版の "トランジスタ規格表" のような,表だけの規格表じゃ,モデルは作れません。それだけで作れれば簡単でいいんですけどね.....。

といって,実は,2SA6062SC959の特性図は入手難です。

iruchanも散々探したのですが.....。

金田氏の "最新オーディオDCアンプ" (1978)に規格は載っているのですが,残念ながら,特性図は載っていません.....orz。

三菱の2SA726は載っているんですけどね......。

しかたないので,やはりNECの半導体データブックを探すよりほかありません。

NECは毎年,"エレクトロニクス・データ・ブック" というのを発行していて,iruchanも'64~65年度版を持っているんですが,さすがに古すぎてゲルマニウムばかりです。

シリコンTrは1960年頃の開発ですが,日本では本格的に量産がはじまるのは70年代に入る頃のようです。2SA6062SC959も1971年頃の開発のようです。

ということで,1970年代以降のNECデータブックを探せばある,と思いました。

ようやく,1977年版を見つけたので,特性図をスキャンしました。

2SA606.jpg 2SA606特性図

2SC959.jpg 2SC959特性図

     あのぉ~~,縦軸の単位が違うんですけど.....。

     エミッタ-コレクタ電圧対コレクタ電流特性

これはさすがにたいていのTrの規格表にはこの特性が載っています。でも,2SA606/C959の場合はこれすら探すのが大変でした.....。

どうも通信用のにSのマークのついた2SA606/C959もありますが,通信というのは国家が管理していて,放送は民間にも開放されている,というのはどこの国も同じで,法や規制はこの考え方で決められています。日本でTVのネット配信が遅れているのはこういう事情もあります。ネットは昔は電話線でやっていたから,通信の範疇なんですね。

どこの国も,通信=電話という時代が長くて,日本では逓信省⇒電電公社だったので,通信用というと主として,電電公社用というのが実際なんですけど,2SA606/C959の特性図はひょっとして国家機密だったのか.....。

ちなみに通信用じゃない普通の真空管は受信管といいますが,半導体の場合は受信用半導体なんて,言い方はありませんね.....。

2SA606-1.jpg 2SA606特性図

2SC959-1.jpg2SC959特性図

      ベース-エミッタ間電圧対コレクタ電流特性です。

こちらもspiceモデルを作るのに必要なのですが,こちらは2SA606/C959にかぎらず,あまり載っていません。

☆モデルの作成

モデルについては,前回,ゲルマニウムTrの時に書きましたが,次のパラメータが必要です。

BF  順方向DC特性。いわゆるhFEのことですが,実際のLTspiceのモデルには規格表に載っている値の倍から3倍くらいの数値を与えないといけないことが多いようです。
 
VAF  アーリー電圧。飽和領域のICを決めます。デフォルトは∞です。VCE-IC特性でいうと,活性領域(ICが水平となる部分)の傾きを決めます。最近のシリコンTrはこの部分がかなり水平ですから,この数値はデフォルトのままでもよいと思います。 
 
そのほか,

RC  コレクタ直列抵抗。飽和領域(ICの立ち上がり部分。VCE-IC特性の縦軸IC=0付近の領域です。)の特性を決めます。デフォルトは0なんですが,飽和電圧の大きい古いTrだと結構重要です。一応,▲の2つの特性図から,VCE(sat)/IBで計算しますが,試行錯誤して決めます。最近のTrだと無視してもよいくらいです。
 
IC  伝達飽和電流。デフォルトは1×10-16というとんでもなく小さな値です。といって,0にしちゃうと特性がでたらめになります。ICは▼の式で求められますから,特性曲線上の1点からISを推定することができますが,シミュレーションしてみるとこの値でVCE-IC特性が変わることはないようです。
 
             IS計算式.jpg
 
RB  ベース直列抵抗。デフォルトの10ΩでOKです。
 
ということなんですが,やってみるとBFVAFRCのみでほぼVCE-IC特性は決まってしまうようです。面倒ならVAF以下はデフォルトのままでもよく,結局,必要なのはBFだけ,ということになっちゃうんですけど......。本当は温度特性などのパラメータも決められれば,温度補償の計算もできるのですけどね。一応,ISは温度に依存しますので,温度も計算に入れておきました。

以上で,直流的な特性は決められますが,スイッチング回路など,過渡特性を見るだけならともかく,オーディオではf特を見ないといけないので,次の電極間容量は極めて重要です。

CJC  0バイアス時のCB-CCJC=1.2~2.4×Cob

CJE  0バイアス時ののCB-ECJE=1.5~2.0×CJC

TF  順方向通過時間 TF=1/2πfT
 
なお,物性値として,

EG  バンドギャップ電圧。シリコンTrは1.11(eV),ゲルマニウムTrは0.67(eV)という定数です。

を入力します。

LTspice Trモデル作成Excelシート.jpgこんなExcelシートを作りました。

このセルに規格表の数値などを入れて各パラメータを計算します。別途,LTspiceのシミュレーション結果をグラフ化するマクロも作ってあります。ボタン1発でグラフを表示して検証できます。

☆特性を求めるspiceシミュレーション

以上で,各パラメータを決めたら,LTspiceでシミュレーションします。

適当にエミッタ接地回路をシミュレーションし,パラメータとしてIBとVCEを変化させてICをプロットしてみます。

回路はこんなのです。問題はスイープで,NPNのときはどちらも0から増やしていけばよいですが,PNPの時は厄介で,0から減らすんじゃなく,-の方から増やすように設定しないと,あとでグラフデータを読み込むときにX軸用のデータがIBになっちゃうので要注意です。LTspiceの結果を見ているだけじゃ,わかんないんですけどね。

2SA606 LTspice simulation circuit.png

 こんな回路でシミュレーションします。これのコレクタ電流をグラフ化します。

本当はTrのモデルはさっきのstandard.bjtファイルに書き込んで使うのですが,このように回路図中にモデルを記述しておいてもシミュレーションできますし,仮にstandard.bjtファイル中に同じTrがあっても,こちらが優先されますので試行錯誤するのに便利です。 

さて,これでVCE-IC特性が求められるわけですが,これをiruchanはExcelのVBAマクロを使ってExcel上にボタン一発で表示できるようにしました。これ,結構面倒なんですよね~~~。そもそもLTspiceのグラフ出力データがCSV形式じゃなく,tabがデリミタになっているし,IBの各ステップごとにラベルが出てきて,マクロで読むのに苦労します。

でも,これをやっておくと,上記のパラメータを変化させながら,特性の変化を見ることができます。

何度もシミュレーションを繰り返して各パラメータを決めていきます。

2SA6062SC959のLTspiceモデル

2SA606 VCE-IC特性.jpg2SC959 Vce-Ic.jpg

         LTspiceでのシミュレーション結果

━━━━が規格表の値で,‥‥‥‥はLTspiceによるシミュレーション結果です。

ICの大きな領域で乖離していますけど,小電流領域では割に合っているでしょ[晴れ]

まさか,2SA6062SC959でIC=50mAなんて動作をさせる人はいないと思いますので,小電流領域だけ合っていれば十分ではないかと思います。

求めたパラメータとLTspiceのモデルは下記の通りです。各パラメータは ","で,区切りますが,スペースでもOKです。

.model 2SA606 PNP (IS=9.39370961721484E-15, BF=80, EG=1.11, VAF=255, RB=10, RC=1, TF=3.18309886183791E-09, CJC=90pF, CJE=105pF, MFG=NEC)

.model 2SC959 NPN (IS=3.54129817885565E-16, BF=70, EG=1.11, VAF=255, RB=10, RC=1, TF=3.18309886183791E-09, CJC=90pF, CJE=105pF, MFG=NEC)

コンプリのTrなんですから,どちらか1個のモデルを作っておいて,PNPかNPNかを変えればOK,ということもあり得るんですが,意外にコンプリメンタリーと言ってもPNPとNPNじゃ,特性が違うことが多いので,今回,iruchanはまじめに別々に求めました。

そもそもキャリアがPNPとNPNじゃ,違うわけで,当然,質量が大きく違うので,高周波特性は異なるはずなんですが,NECの規格表は2SA6062SC959もfTは同じ値になっています。これってなんかおかしくない?,っていう気がするのですが.....。これらのTrは官需が主だったようなので大本営発表とちゃうか.....,という気がするんですけど.....。といって,自分でfTを測ってみる,なんて気はしません。

NPNの方がキャリアが電子で軽いため,高周波特性が優れているのが普通で,こちらで書いたように,普通はNPNの方がfTが高いです。

一番ゲインが高く,音も決めてしまうので低ひずみで広帯域が要求される2段目の差動アンプに,初段用のJ-FETがNチャンネルしかないことからPNPを使わざるを得ない,というのがDCアンプに限らず,オーディオアンプの悲劇なんですが......。金田氏も書いていますけど,初段に2N5465を使って,2段目にソニーの2SC1124をつかったパワーアンプなんて作ったらよさそう,という気がします。

2SB7162SD756のLTspiceモデル

次に日立のオーディオ用Trのモデルを作ってみます。2SA872/C1775のコンプリTrのモデルはトラ技の付録についていましたが,こちらはありませんでしたので作ってみます。iruchanも定電流回路などに2SD756が多用されているのですが,spiceモデルがないので困っていました。

2SB716.jpg2SB716-2.jpg


2SD756 VCE-IC.jpg2SD756-1.jpg

カラーがLTspiceモデルでのシミュレーション結果です。は規格表から読み取った値です。

モデルは次の通りです。

.model 2SB716 PNP (IS=4E-14, BF=420, EG=1.11, VAF=65, RB=50, RC=100, TF=1.06103295394597E-09, CJC=3.24pF, CJE=3.78pF, MFG=Hitachi)
 
.model 2SD756 NPN (IS=3.97281491040095E-14, BF=680, EG=1.11, VAF=90, RB=10, RC=470, TF=4.54728408833987E-10, CJC=2.88pF, CJE=3.36pF, MFG=Hitachi)

普通,RCは1Ω程度なんですが,これくらいの値にしないと飽和領域の立ち上がりが表現できませんでした。

それに,コンプリと言っても,▲の規格表の特性図を見ても,かなりずれていますね。

ちなみに,トラ技の付録に2SB716のモデルが載っています。同じようにLTspiceでVCE-IC特性を描いてみると.....

2SB716 トラ技モデル.jpg

iruchanモデルの方がよく合っていますね......(^^;)。

2SA726のLTspiceモデル

三菱の名石2SA726のLTspiceモデルを作りました。金田氏は "特有の色がつくが,音楽的に最も優れたTr" と評していますね.....。

特性図は "最新オーディオDCアンプ" に載っています。iruchanは三菱の小信号用トランジスタの規格表を持っているので,またコピってきます。

でも,これ,LTspiceモデルを作るのは大変でした.....汗。

困ったのは,金田氏の本に小電圧領域の図が載っていて,これにあわせればいいや....と思ったのですが,どうしても合いません。

確かに,Trは大電流域と小電流域で特性が異なり,そのため,2つ,特性図を載せている親切な会社もあるのですが....。

どうしても小電流域でLTspiceのモデルを作ると,BFが25くらいの数値になってしまい,2SA726は高hFEのTrなのでおかしいです。

2SA726-1'.jpg大電流領域の特性図です。

2SA726-3'.jpgVBE-IC特性です。

また,2SA726は,真空管でもよくありますけど,各特性曲線の間隔が上に行くほど詰まってきてしまっています。

真空管の場合だとこれは0バイアス付近で,グリッドエミッションの影響です。Trの場合は何でだったか,思い出せないのですが....。

どちらにしろ,この特性は正弦波のピーク値を抑える作用をしますから,偶数次のひずみを発生して,好ましくないのですが,真空管も半導体も避けられません。武末数馬氏の "パワー・アンプの設計と製作" にも,ロードラインを引いて最大出力電圧を求める際に,Eg=0Vの線との交点ではなく,Eg=ー1Vの線との交点で求める,と書いてあります。

この場合のLTspiceモデルはIKFを変更してモデル化します。普通は無視してもいいパラメータだと思います。

IKFは順方向高電流のパラメータで,高電流領域でhFEが低下するのをシミュレーションします。

何度もシミュレーションしてみて,IKF=60mAで決定しました。

.model 2SA726 PNP (IS=2.78097043728067E-14, IKF=60e-3, BF=470, EG=1.11, VAF=30, NF=1, RB=10, RC=20, TF=1.59154943091895E-09, CJC=5.4pF, CJE=6.3pF, MFG=Mitsubishi)
 
2SA726 spice model.jpg2SA726シミュレーション結果
 
  いかがでしょう? 割にIBが大きな領域でも合っているでしょ。
 
ところで,2SA726のコンプリはなかったんでしょうか? デュアルは2SA798なのはよく知られていますし,それのコンプリは2SC1583なんですが,シングルのがわかりません。たいてい,コンプリのTrはPNPが先に亡くなっちゃって,NPNが後家さんで残っちゃうのですけど.....。2SC1161なんかそうですよね.....。上記のNECデータブックでも,2SC1161は保守品種(新規採用を控える。製造はまだしているか,在庫がある)なのに対し,2SA653は廃品種(製造中止)に指定されています。
 
そのせいで,2SA653/C1161の特性図は未発見です。LTspice用のモデルはまだ作れていません。
 
逆に,NPNの方が需要が大きいので,製造中止前にたくさん作っておいてもPNPが残っちゃうパターンもあるのでしょうか。2SC959はほとんど入手不能なのに,2SA606がまだ入手可能,というのはこちらでしょうか。
 
金田氏も2SA726のペアはメーカが違うのに2SC1400を選んでおられましたが,そもそも,2SA726は後家さんだったのじゃなくて,もともと独身だったのか.....。
 
2SA566のLTspiceモデル
 
レギュレータ用の名石,日立の2SA566のモデルです。残念ながら,コンプリの2SC680は出番がなく,継子扱いされています。iruchanもとうに会社じゃ,いらない子ですし,同じ立場の2SC680も使ってあげたいのですが......。
 
そもそもレギュレータ用ではそれほど,LTspiceのモデルを作っておいても意味はないのですけど....。
 
でも,一応,リップルフィルタなどでiruchanは使っているので,出力電圧を求める際に必要ですので作っておきます。
 
2SA566-1'.jpg2SA566 LTspice.jpg
 
モデルは下記の通りです。
 
.model 2SA566 PNP (IS=1.87688803479349E-16, IKF=0.8, BF=77.7, EG=1.11, VAF=150, NF=1, RB=10, RC=7, TF=1.59154943091895E-09, CJC=45pF, CJE=52.5pF, MFG=Hitachi)
 
2SA640のLTspiceモデル
 
NECのオーディオ用ローノイズTrです。コンプリは2SC1222ですが,’77年版のデータブックにはその記述がありません。CQ出版の "トランジスタ規格表" には書いてあります。なんとも不思議.....。
 
金田氏は2段目の差動アンプに,無線と実験 '73.8, 9月掲載の第1号プリでは,東芝の2SA493GRを使っていて,'74.1月号には2SA640が使用されています。3号機は初段のFETが代わっただけで,引き続き2段目は2SA640です。今,iruchanはその2号機を作っています。
 
ただ,これは三菱の2SA726が出てくるまでの話で,2SA726が登場するとすぐに2SA640は離縁され,実家に泣く泣く出戻ってきます......[雨]
 
ちなみに,第1号プリは初段が2SK30,出力が2SC1000のエミッタフォロアーとオール東芝構成です。以後,J-FET以外はNECという歴史がずっと続いていくわけですが,金田氏は東芝製のTrがお嫌いだった.....?。
 
iruchanは2SA640は最初に作ったA級パワーアンプの初段がこれで,少しなじみがあります。でも,初段がバイポーラであることからわかるとおり,ACアンプで,金田氏の設計でもないし,音もいまいちで,大学生になる頃に解体してしまいました。
 
それに,半導体のA級アンプって,やっぱダメ,という気がします。どうにも眠い音がしました。半導体はおそらく,熱を持つと音的にもダメなのではないかと思っています。
 
ACアンプだったためか,2SA640は熱結合していなくて,大丈夫か,と思いましたが,メーカ製のDCアンプは初段以外は熱結合してないことも普通で,問題ないのかもしれません。
 
2SA640'.jpg2SA640 LTSpice.jpg
 
   2SA640の方がよっぽど2SA726よりきれいな特性なんですけど......。
 
.model 2SA640 PNP (IS=4.76737789248114E-14, IKF=12m, BF=822, EG=1.11, VAF=59, NF=1, RB=10, RC=3.4114707552527E-03, TF=1.59154943091895E-09, CJC=11.7pF, CJE=13.65pF, MFG=NEC) 
 
          ☆          ☆          ☆ 

さて,こうやって金田式DCアンプの半導体のLTspiceモデルを作ってみました。今後,ここで追加していきたいと思います。 

なお,誠に申し訳ありませんが,あくまでも個人的な非科学的シミュレーションですので,ご利用になる場合はあくまでも自己責任でお願いします。不都合な点があっても,責任は負いかねますので,ご了承ください。


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メタルキャントランジスタを使ったスーパー・ストレートDCプリアンプの製作~その4・調整編~ [オーディオ]

2020年8月13日の日記

スーパー・ストレートプリアンプ1.jpg 完成しました[晴れ]

前回,電源部のテストをしました。秋月で売っている中国製の欠陥LEDのせいで1日棒に振ったり,やはりトラブル続出でした.....orz。

さて,今日からEQアンプとフラットアンプの2つの基板に電気を通して試験していきます。

EQアンプ基板.jpg 完成したEQアンプ基板。

EQ素子には双信のSEコンをおごっています。カップリングは旧ソ連軍用の0.4μFのスチコンです。大きいですが,基板にも載ります。オリジナルはSE33000pFです。これより大分小さいのですが,お値段は10倍以上......。

今回使ったのはスチコンなので音はよいですし,なによりスチコンでこんな大容量のものはない,と思います。初段はソニーの2SK97です。懐かし~~~。2SC959は表面に2SC959と書かれた旧ロット品です。1973年の製造と思われます。もう半世紀近く前なのか......。2SA606A606と書かれていて,新ロットで,1978年製造のようです。

フラットアンプ基板.jpg 完成したフラットアンプ基板。

こちらは初段はソリトロンの2N3954です。電源のパスコンは双信のV2Aじゃなくて,シーメンスのMKHにしちゃってます。V2Aはでかくてまいっちゃいます......(^^;)。

スーパー・ストレートプリアンプ内部1.jpg 内部写真です。

トロイダルトランスを採用したり,電源のフィルタコンデンサの高さを抑えたので1Uのケースに収まりました。

もちろん,配線ミスがないか,しっかりチェックします。特に,部品をはんだづけした際に,隣のパターンと接触していたりするので,テスターでよくチェックしておきます。特に,+Vccと-VccがGNDと導通していないかはまずチェックします。

と.....やはり何カ所か,パターンが接触していました。おまけにフラットアンプの-VccがGNDにショートしています。絶対やっちゃいけないのに.....!!

やべ~~~~。

何でか,と思ったら基板をケースに取りつけるスペーサの金属製の埋め込みねじがショートしていました....。

ここまでチェックしたら,電源を入れます。

EQアンプの方は無事に動作完了。

すぐに,トータル電流もチェックしておきます。

前回,レギュレータの制御Trに,エミッタ抵抗として1Ωを追加しました。この両端の電圧を測定すればトータル電流がチェックできます。今回の金田式スーパー・ストレートプリアンプはトータル電流(EQアンプ+フラットアンプ)は45mAくらいのようです。調整中はここまでの間に収まっていることを常に確認します。特に,オリジナルの回路の場合はレギュレータに保護回路は入っていないので,過電流が流れると貴重な2SA5662SC1161を飛ばしちゃうので,ご注意ください。iruchanは100mAのポリスイッチを入れて保護しています。

オフセット調整用の200Ωの半固定を回してみて,オフセット電圧が変化するようなら成功です。

ただ,それにしても金田氏も書いていますけどEQアンプのオフセット調整はすごくシビア。

±8Vくらいまでのオフセットが出ますが,なかなか0V付近に止められません。-2Vくらいからすぐに+2Vへ飛んじゃいます。3回転タイプのコパルのTM-7Pを使っていてもこんな調子なので,非常にシビアです。なんとか50mV以内に収めて調整終了です。

ついでにテストオシレータから正弦波を入力してオシロで見てみるときれいな正弦波が観測されますし,周波数を変えると振幅がきれいに変化するので,うまくいったようです。

さて,次はフラットアンプ。こちらの方が簡単なはずなんですけど.....。

EQアンプは低周波で50dBくらいのハイゲインなのでオフセット調整が厄介ですが,フラットアンプは今回,iruchanは20dB固定で作ったので,簡単なはずです。

でも,どうしても-8Vくらいに貼り付いてしまい,動きません。

こういうときはやばいです。すぐに電源を切って,パターンをチェックします。

案の定,パターンに1カ所ミスがあり,2段目の2SA606の差動アンプの共通エミッタ抵抗47ΩがGNDにつながっていました......orz。

すぐ隣にGNDのパターンがあるので間違えちゃったようです。

気を取り直して抵抗の配線を直して再びスイッチon!

今度はオフセットが変化します......。

でも,-4.5V~-2Vくらい,といったところで0Vになりません。

困ったな~~~。

これ,結構遭遇するトラブルですよね~~。初段の2N3954のバランスが悪く,オフセットとなってしまっています。

金田氏は音の悪い半固定をやめて,ドレインの抵抗を調整することで対処しておられます。ドレイン抵抗3.9kΩにどちらかに直列に500Ωの半固定を入れてオフセットを0にし,その後,その半固定に応じた固定抵抗と入れ替える,という手段なのですが,やってみると非常に面倒なので,iruchanは横着して通常のオフセット調整として,共通ソース抵抗を可変するやり方です。

いつの頃かわかりませんが,金田氏はこの方法はやめちゃっています。

今回,この半固定抵抗の調整範囲を超えちゃっていますので,この半固定抵抗を取り替えます。EQアンプだと200Ωどころか,50Ωでも十分調整範囲だったようなのですが......さすがはソニーの2SK97と思っちゃいましたが,ソリトロンの2N3954は200Ωじゃ,ダメなようです。

しかたないので,1kΩに交換してやってみますが,それでもダメ。オフセットは最小でも-1V台になっちゃいます。決してプラスにはなりません。

さらにしかたないので,オフセットが最小の時に,半固定抵抗のスライダーは0Ω位置になっていますが,その反対側に固定抵抗を入れてみます。

ようやく2kΩを追加したらオフセットが0になりましたけど......これじゃダメです。

共通ソース抵抗は電流帰還抵抗となりますので,この場合,反転入力(NFB側)のソースに3kΩもの抵抗がつながっていることになりますから,初段のゲインはほとんど0dBになっちゃいます。

まあ,DCアンプに限らず,初段の差動アンプはゲインが取れませんし,特にDCアンプの場合は初段がFETですから,余計にゲインが取れません。特にローμのNutubeなんて使った日にゃ,減衰器になっちゃっうくらいで,実際にはアンプと言うより,インピーダンス変換器として動作しているようなものですけど....。

ようやくここまで来てiruchanは何かおかしい,と気づきました。今ごろかよ,アホちゃうか.....。

実を言いますと,金田氏の原設計では初段はFD1840です。ここをiruchanは2N3954を使っています。

ご存じのとおり,FD18402N3954の選別品で,2N3954とは同特性です。時代的にも2N3954が先に出ていて,iruchanはFD1840は漏れ電流の選別品だ,と思っていました。

ただ,どうやらそうではないらしく,2N3954のIDSSが1mAくらいのものの選別品のようです。

う~~ん,とすると,iruchanが使用している2N3954はIDSSが大きいのでは,と思いました。

規格表を見ると,2N3954のIDSSは0.5~5mAの間のようです。ただ,残念ながら,国産の2SK302SK43などの接合型FETはIDSSによりランク付けされていて,ユーザは使用するIDSSのものをチョイスできますが,どうも2N3954は規格表を見てもそんなことは書いていないし,ユーザが選別するもののようです。しかし,選別すると言っても,iruchanが中坊の頃でも1個,3,000円くらいしたと思いますから,選別なんて無理で,回路で調整するしかありません。でも,それじゃさすがに不便だろうから,というので低IDSSのものを選別してFD1840として売っていたようです。

金田氏も最初は2N3954を使っていたのに,あとからFD1840に変わっています。やはり低IDSSのものの方が使いやすいようです。

iruchanは20年ほど前,海外からソリトロンの2N3954をまとめ買いしたのですが,さすがにランクに分かれていませんでしたし,今回,測定してから使用するべきでした。ただ,当時でもFD1840は入手難で,今ではオクの世話にならない限り,入手は無理だと思います。

もっとも,2N3954自体,2SK30で代用できることはよく知られていますし,今回,低IDSSのもの,ということならOランクがぴったりで,IDSS=0.6~1.40mAですから,2SK30A-Oで代用しようか,とも思ったのですけれど......やめました。2SK30はモールドですからね....。手持ちがある限り,2N3954を使おうと思います。

余談ですけど,2SK30は一番IDSSが小さいもの(0.3~0.75mA)がRランクとして売られているはずですが,見たことがありません。

今回,測定し忘れたので,おそらく,規格表から考えてみても,使用している2N3954のIDSSは大きいのだろう,と思いました。

ちなみに,第2回でSpiceでシミュレーションをしていますが,LT社のモデルに2N3954があるので,IDSSを調べてみると,3.8mAのようです。

2N3954 ID-VGS特性.jpg VGS=0VのところがIDSSです。

ということは,初段の差動アンプの動作点はID=1/2 IDSSに選ぶのがよいわけですから,もっとドレイン電流を増やしてやればよいのでは,と思いました。金田氏の原設計ではID=0.23mAのようです。FD1840のIDSSは1mAくらいのようですから,適切な値でしょう。

ところが......。

定電流回路の2SC1775Aのエミッタ抵抗RE(10kΩ)を2.7kΩに小さくして,ID=1.2mAくらいを狙ったのですが.....。

2N3954 ID(RE=2.7kΩ).jpg ID=1.2mAを狙いました。

見事に撃沈.......orz。

オフセットは-8.5Vくらいで,しかも半固定VRを回してもびくともしません。-Vccに貼り付いちゃっているんですね.....。

これは,逆だったようです。おそらく,使用した2N3954はIDSSが小さく,もっとドレイン電流を小さくしないとダメなようです。

しかたないので,RE=24kΩにしたらようやくオフセットが+にまで変化し,0Vにすることができました。やれやれ.....。

実測してみると,ID=0.1mAくらいです。小さすぎて不安になっちゃいますが,問題ないようです。ただ,少し半固定VRのスライダーの位置が偏っている感じなので,最終的に18kΩとしました。

進RJ抵抗.jpg いにしえの抵抗たち.....。

部品箱を探したらにスと書いた,古い抵抗が出てきました。RE55の前身のようです。RE55より少し厚みがあります。一番右はニッコーム。音の点では進の方がよい,と言うことになっていますね。でも,こちらもとうに製造中止。昔はよかったな~~~~orz。

そういえば,初段の定電流回路の設定値によりオフセットが変わるのはWEの真空管式DCプリで経験済みでしたけど,差動アンプの共通ソースに定電流回路を挿入した場合,どうして左右の差動アンプの出力が変化するのか....ちょっとわかりません。

        ☆          ☆          

ようやくオフセットが0Vになったので,ここまで来たらf特を調べてみます。

まずはフラットアンプから.....。

と思ったのですが,1kHzの正弦波を流してみると,どうにも輝線が太い.....。

どうやら超高域で発振しちゃっているようです。

拡大してみると.....,

超高域発振.jpg 1kHz正弦波を入力しています。

ピークの数を数えると,だいたい,200kHz付近で発振しているようです。

2段目の差動アンプに3pFと5pFの位相補正用のコンデンサがついていますが,EQアンプはそれぞれ5pFと10pFなので,ちょっとやばいのでは......と思っていたので,予想どおりでした。

結局,2個の位相補正コンデンサのうち,5pFを10pFにしたら発振が止まりました。ついでに,10kHzの方形波応答を見ておきます。

10kHz方形波応答(10pf位相補正後).jpg 10kHz方形波応答です。

金田氏に限らず,半導体アンプじゃ,こういうことはやらないみたいですけどね。

オーバーシュートとリンギングが少し残っていますが,3波ほどなのでOKとしましたけど.....。やはりあとでf特を見て修正となりました。いつも,真空管のパワーアンプだと肩が丸くなってしまって,オーバーシュートなんてしないのが普通ですけど,Trアンプはやはり優秀ですね。

EQアンプ特性(実測).jpgEQアンプ特性です。

Spiceのシミュレーション結果 ━ ……と結構一致しているので驚いちゃいます。ただ,10kHz以上は眉唾もので,iruchanが使用している低周波発振器がお粗末で,かなりノイズが乗っちゃっているので,本当にこうなのか,ちょっと疑問です。ただ,Spiceのシミュレーションにも出ていますが,10kHz以上では金田氏の設計は超高域の帰還量増大を警戒して,EQ素子の1500pFに直列に3.6kΩが入っているせいで偏差が大きくなります。撤去するかどうか,悩むんですけどね.....。

一度,高級な発振器を使って確認したいと思います。

概ね,20Hz~10kHzの間で,±0.5dBに収まっています。

flatアンプ特性(実測).jpgフラットアンプ特性です。

ちょっとこちらは問題。なぜか200kHzにピークが来ちゃっています。▲でも書きましたけど,位相補正用に,2段目の差動アンプに5pFの位相補正コンデンサが入っていますが,少し増量して20pFにしてもこんな結果です。

さすがに4dBのピークはまずいよな,という感じなのですが,30pFにしてもピークは変わらなかったので,問題は2段目ではなく,初段に位相補正をしないといけないようです。一番簡単に直すには,帰還抵抗(18kΩ)にパラに47pFのマイカを接続してやればいいのですけどね。でも,それは真空管アンプではよくやる方法ですけど,半導体ではやりませんね。なんでだか,iruchanも素人なのでわかりません。

また,トータルゲインも20dBを狙いましたが,チャンネル間で1.6dBほど差があります。VRのギャングエラーのように思います。

と言う次第で,もう少し,調整が必要なようです。


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メタルキャントランジスタを使ったスーパー・ストレートDCプリアンプの製作~その3・電源編~ [オーディオ]

2020年8月3日の日記

スーパー・ストレートプリアンプ電源部.jpg 電源部のテスト中です。

前回から3ヶ月が経ちました。その間,モノラルレコード用のEQアンプを作っていましたが,無事に完成し,ただいまテスト中です。もちろん,こちらの方はステレオLP専用なので,イコライザカーブはRIAAのみですけどね.....。モノラルLP用金田式EQアンプ,というのも面白いかもしれません......(^^;)。

さて,前回は基板製作まででしたが,今回はケースを加工して電源のテストをします。

ケースは,実は,昔から本機を作るときは1Uのケースにしよう,と思っていました。

EIAの規格で標準のケースがあり,高さを1 3/4インチ(44.45mm)の倍数で表します。幅は19インチ(482.5mm)ということで決まっています。日本では幅が広すぎで邪魔,ということでステレオのアンプはだいたい430mmくらいのものが多いです。

また,これらはプロ用のオーディオ機器でよく採用されたサイズで,今は使われていないのでは,と思ったらラック型サーバーや業務用のスイッチングハブがこの規格ですね。うっかりしていました。今でもたくさん使用されているわけですね。

ということですけど,今回のアンプは1Uなので,一番薄いケースなんですけど......。

昔,中坊の頃買った,初歩のラジオ別冊の "ステレオ・アンプ製作集" という本にDCプリアンプの記事が載っていて,筆者はもちろん金田氏じゃないのですが,同様の2段差動アンプで,使っていたケースが1Uでとてもかっこよく,憧れました。

それにしても,初歩のラジオの別冊,ということなので対象は中学生以降のはずですけど,自分でプリント基板を作ったりできるよう,感光基板用パターンもついていたり,実体配線図やイラストで作り方が説明してあったり,昔はいい本がたくさんありました。でも,UV-211Aシングルアンプなんてのが載っていたりして,とても中学生で作れるレベルじゃないんですけど......。

でも,結局その本の回路では製作せず,結局,このスーパー・ストレートプリアンプになっちゃったんですけどね.....。

ケースはEIA規格の1Uケースと言うことだとタカチのERH44-16Sがあるのですが,やめました。

何より,タカチのケースだとアルミ押出形材仕様なので,皆さん,すでに体験済だと思いますけど,よほど事前にCADなんかでしっかり検討したりしておかないと,いらないところに型材の出っ張りがあって,部品が取りつけられない,ということで泣かされますのでパス! それと,今回は1Uということで内寸が厳しいんですよね.....。タカチのケースだと,高さ32mm(内寸)しかありません。

ということで,今回は奥澤のRE-1U-15を使いました。従来のプレス加工タイプのケースなので,内寸は少し余裕があり,38mmです。この6mmの差は大きいです。特に,電源の平滑用電解コンとEQアンプの出力のカップリングコンが最大の問題になりそうですから,少しでも内寸が大きい方がいいです。おまけにお値段はタカチの半分以下なので助かります。

一応,電源はこの前のEQアンプでも使ったルビコンの小型の3,300μF,35Vを使いますし,カップリングは旧ソ連軍用のスチコンを使う予定なのですが,なんとか収まりそうです。タカチのだと無理です。

金田氏は平滑コンは日ケミのCEW 4,700μFが指定部品なんですが,さすがにでかすぎてこれは収まりません。それに,このようなラグ端子型ブロック電解コンデンサはとうに製造中止です......orz。

ということで,CADで図面を描いて,それから加工しました。

       ☆          ☆          ☆

さすがに1Uということで裏のRCAピンプラグはベーク板に固定されたタイプは使用できず,千石で買った,クロームメッキ品にしました。金メッキ品は中国製ばかりなんですけど,クロームメッキのものは日本製でした。クロームメッキと言ってもきれいなメッキがされていますし,何より安心の日本製なのはとてもありがたいです。中国製の金メッキ品をWEの真空管式DCプリアンプで使用しましたが,バカでかい上に,コールドのラグが簡単に折れてしまうので,もう使わないことにしました。

さて,加工が終わったらトランスを取りつけて,まずはトランスの配線チェック。さすがにパイロットLEDくらいはつけておきますけどね......。

トランスはAC電源の場合,金田氏指定のものはRコアなのですが,TK-P1だと収まりそうにありません。iruchanは共立電子のHDB-8というトロイダルトランスを使いました。トロイダルだとほぼ漏洩磁束は根絶できて,前回のモノラルレコード用のEQアンプもハムは皆無でした。2次側に9V,15Vの巻線が出ています。驚いたことに,前回のEQアンプはインド製のRSコンポーネンツのやつを使いましたが,同じ7VAなのに,RSコンポーネンツの方はずっと小さいです。まあ,トランスのサイズは大きい方が音がよいように思えるので,こちらでいいと思います。

なお,電源の試験のとき,レギュレータ基板をつないでから試験する方も多いとは思いますが,うっかりトランスの配線を間違えてレギュレータを壊してしまってもしょうもないので,まずは2次側のAC出力電圧のテストを兼ねてトランスだけで試験します。もちろん,それだけじゃつまらないのでパイロットのLEDだけ,配線しておきました。

ところが......。

なんとパイロットが点灯しません!!

えぇ~~~って感じなんですけど....。こんな簡単なところでつまずいちゃうようじゃ,先が思いやられます......orz。

念のため,トランスの出力電圧を確認しますが,問題ありません。ちゃんとAC15Vが出ています。

ただ,LEDの端子電圧を見ると0Vになっていて,これじゃ,点灯しませんね。

散々,回路をチェックしてもなんでLEDが点灯しないのかわかりません。

あきらめてLEDを外してみて,LED単体でチェックしてみますが,壊れているようではありません。

う~~~ん,なんでや~~~??????

それで,LEDをもう一度,パネルから外した状態で配線してみると,点灯するではないですか! また真夏の夜の怪談かぁ~~って思っちゃいました。

ようやくここまで来て,パネルに取りつけると消える,ということに気がつきました。すぐに,昨年末に自作したPCのLEDでも同じ現象が出たことを思い出しました。そのときは原因がわからなかったんですけど......。

ひょっとして.....たぶん,LEDの不良では....,と気がつきました。

最初はP-N接合部に何らかの圧力が加わると点灯しなくなるのか,そんなことが物理的にあったっけなんて思いましたが,何のことはない,製作不良で,外部に電極が露出しているのでした.....orz。

エッシェンバッハのルーペでよぉ~く見てみると......

OSK5DK3131A-2.jpg まさか,アノードが露出しているとは....。
 
部分がモールドの外に出ています。テスターでも確認できました。なんか,パイロットにピンク!なんてあわない感じですが,真空管アンプに使ってもいい感じです。昔はオレンジにしていたのですけどね。半導体プリアンプにはどうもオレンジはあいませんしね。

ところでこいつ,なんと,アノード部の電極がモールドの外に露出していました。おもわず唖然としちゃいました....。開いた口が塞がらない.....。

当然,シャシーはGNDなので,アノードが接地してしまうので,LEDが点灯しないんですね。

それにしてもこんな不良ははじめて。φ3mmの砲弾型LEDですが,普通はちゃんとモールドの中に電極やリード線は隠れていて,外部とは絶縁されていますが,さすがのチャイナクォリティ! って思っちゃいました。これ,秋月電子で売っている,OSK5DK3131Aという香港Optosupply社の製品ですが,深圳で作っているようなので中国製ですね。今回,使ったものも,自作PCで使ったものも,ほかにも点灯しなかったものがあり,かなりのものが不良ではないかと思います。

手持ちのピンクのLEDはもうないので,しかたなくシャシーを多少加工して点灯するようにしましたが,今後はマルツで売っている,ピンクのLEDにします。

ようやくパイロットの問題が解決して,レギュレータを取りつけてテストします。

なお,今回,制御TrにはNECの2SC1161のほか,日立の超貴重品2SA566を使うので,保護回路をいろいろ考えましたけど,結局,ポリスイッチを使うことにしました。金田氏のレギュレータ回路には保護回路が入っていないので,うっかりショートするとこれらのTrを飛ばしてしまうので困っちゃうのですが,ポリスイッチが入っていれば安心です。100mAでトリップするレイケムのRXEF010を使いました。

コンデンサインプット電源部'.jpg整流部,平滑部の回路です。

本当言うと,トロイダルトランスは2次側のコモンが接続されていなくて,バラバラに出ているので,金田氏のように,+と-で,別々にブリッジ整流した方が音がよいのですが,30DF2がもったいないので,通常どおり,4個で整流しています。

でも,この+と-で別々に整流する方法,最近亡くなったY氏の発見ではないかと.....。MJで最初に出た記事を覚えています。タンゴのTrアンプ用トランスではできませんでしたが,2次側が独立している巻線のものではやることができました。

±10.5Vレギュレータ基板.jpg 完成した±10.5Vレギュレータ基板

出力コンデンサは双信の4端子型V2Aなんですけど,入手は無理なのでWIMAにしちゃいました。

制御Trは+側は日立の2SA566,ー側はNECの2SC1161です。ともにコンプリの2SC6802SA653はなぜか使われていません。まあ,2SA653はドライバの名石で,初期の金田式アンプで重用されていますが,すぐに入手は絶望的になって2SC960に代わったのはご存じのとおりです。一方,今でも割に入手は容易な,2SC680の方はまるで無かったかのように扱われていてかわいそう。全くの継子扱いですよね~。たしか,何号だったか,金田氏のコメントを見た記憶があるのですけどね。iruchanは2SA566を見つけたときにペアの2SC680も買ってあるし,VCEO=100Vの規格は真空管用としても使えそうなので,いずれ使いたいと思います。iruchanも会社じゃ,とうに継子扱いですしね......orz。

さて,レギュレータをつないで,電圧を確認してみると.....

-側は-9.8V位なのでOKですが,+側は4.5Vくらいしか出ていません!

ありゃりゃ!?

どこかに配線ミスがあるはずなので散々調べてみますが,ミスがわかりません。部品の取り付けミスやDiの向きを間違えたかと調べても間違いはありません。パターンミスや,パターンタッチもないようです。

とりあえず,基準電圧はどうかと,05Z7.5Xの電圧を見ると,やはり3Vくらいしか出ていません。これはおかしいです。7.5Vにならないといけませんね。どうやら原因はこの05Z7.5Xの周辺だ,ということはわかります。

どうしてもわからないので,打つ手としては.......最近はiruchanはこういうときはSpiceで調べることにしています。わざとどこか配線を間違えてみて,同じ現象が出ればそれが原因です。実際の基板じゃ,こんなテストはできませんよね。MJの記事の誤記も多いので,うまく動作しないときはSpiceで確認してみるとよいです。

やはり,すぐに原因がわかりました。

05Z7.5Xから,誤差増幅用の2SC1583とカスコード接続されている,2SC1775Aのベースとの接続がない場合に同じ現象になることがわかりました。▼の×部分です。

+10.5Vレギュレータ配線ミス.jpg レギュレータのシミュレーション

早速,実際の基板を調べてみると,確かにこの部分の導通がありませんでした。

ようやく,はんだづけをやり直してテストしてみると,+10.5Vレギュレータは+10.8Vで,-10.5Vレギュレータはー11.9Vくらいの出力電圧となりました。やれやれ......。

と言う次第で,LEDのトラブルとレギュレータのトラブルで1週間かかっちゃいました。

でもそれにしてもこの±10.5Vという電圧は低いですね。OPアンプでも±15Vが普通ですから.....。この当時の金田氏は電池式なので,本機もNational Neo Hi-Top(懐かし~~)を10個ずつ接続して,15Vからレギュレータを通して±10.5Vを得ているのですが,AC電源式ならもう少し高くてもよいはずです。本機が完成したら,±15Vくらいに昇圧してみよう,と考えています。実際,レギュレータを通す前の平滑コンデンサの電圧は±20Vくらいになっていますしね。

いよいよ次週はEQアンプ,フラットアンプを接続してアンプのテストです。

       ☆          ☆          ☆

2020年8月4日追記

ちょっとおかしなことに気がつきました。

しばらく,レギュレータを無負荷のまま,運転していたのですが,2SA566に触ってみると少し発熱しています。2SC1161も少し温度が上がっています。

まあ,大した温度じゃなく,触ってみると温かい程度なんですけど.....。

でも,シリーズレギュレータの場合,無負荷なら発熱しないはずなのでおかしいです。

最初,発振を疑ったのですが,よく回路図を見てみると,出力段はPPになっていて,そのバイアス電圧は2個のDi(1S1588)をシリーズ接続して,そのP-N接合電圧を利用しています。

つまり,この金田氏の超高速PPレギュレータというのは,出力段はA級動作していて,アイドリング電流が流れているんですね。そのアイドリング電流は2SB716を介してGNDに流れています。

うっかり,通常のシングル出力のシリーズレギュレータと混同してしまっていました。また,金田氏も,このスーパー・ストレートプリアンプのDCアンプシリーズNo.121(MJ '91.6)で,「2SB7162SD756は......これらのTrは出力コンデンサー(2.2μF)に溜まった余分の電荷を放電させる働きしかしていない」と書いているので油断しちゃいました。

改めて,2SA5662SC1161のコレクタ電流を調べてみると,それぞれ28.0mA,31.8mAも流れています。これだとコレクタ損失は本機の場合は0.15Wくらいになって,少し発熱するわけです。

それに,ちょっと心配なのはPP出力段のエミッタ抵抗がないことで,これは金田氏の半導体アンプの出力段ではよくあることなんですけど,これはバイポーラTrの温度係数が+であることを考えると非常に危険です。

もちろん,本PPレギュレータでも,制御Trが熱暴走すると+VccをGNDにショートする結果となりますから,オリジナルの回路のままでは保護回路が入っていないので,制御Trを飛ばしてしまいます。まあ,先に2SB7162SD756が焼けちゃうとは思いますけど....。

もちろん,アンプもPPレギュレータも温度補償のため,2SB7162SD756にシリコンDi(1S1588)を熱結合して,バイアスが減るようになってはいるのですが.....。

また,iruchanは▲の平滑回路にポリスイッチを挿入したので,制御Trが飛ぶようなことはないのですけど....。

一応,エミッタ抵抗を入れておくことにします。こうするとコレクタ損失も減るはずです。

       ☆          ☆          ☆

ということで,またSpiceでシミュレーションしてみました。

+10.5Vレギュレータ損失.jpg オリジナル回路

制御Trの2SA5662SB716には186mAも流れます。

ちょっとこれは大きすぎで,そもそも2SB716はIc=50mAなので,これじゃ,壊れちゃいます。2SA566のコレクタ損失も1.8Wもあります。

このあたり,Spiceの限界で,制御Trの2SA566のモデルがないので標準Trで代用しちゃっている結果ですが,ともかく,かなり大きなコレクタ電流が流れることは間違いなさそうです。

そこで,エミッタ抵抗として1Ωを入れてみます。部分です。

+10.5Vレギュレータ損失1.jpg RE=1Ω

こうすると,Ic=72mA,Pc=654mWとなりました。

実測してみると,それぞれ22.3mA,110mWです。これならいいか,と思いました。

       ☆          ☆          ☆

いよいよ完成し,調整しています。ご興味のある方はこちらへ.....。


2020年9月8日追記

冒頭で,金田式モノラルEQアンプって書いちゃいましたが,ちゃんとMJ '99.5月号にNo.154として発表されています。すっかり忘れてしまっていました。しかもEQアンプ専用ではなく,フラットアンプもついたプリアンプになっています。

回路自体は,金田式DCプリアンプで,EQアンプはWE 310Aを使った,シングル2段の5極管仕様となっています。フラットアンプは3極管のWE 262B×4のはずだったようですが,Eh-k耐圧が低いため,最終的に310A(T)×4となっています。

310Aはiruchanもちゃんと持っているんですけど,300Bのシングルアンプ用なので手持ちの余裕はありません。モノラルとは言っても,さすがに6本も必要なのはかなわんな~~......ってところです。

さすがに,金田氏もコストを気にしていて,6C6でもOK,とはされているんですけど.....。

6C6は逆に安物過ぎて使う気がしません。こんなの,ラジオ球でしょう。これのバリμ管が6D6なのはよく知られています。iruchanも45のシングルアンプで使った球なので愛着はあるのですけど.....あまりにも安物だし,出来もいまいちなので,ちょっと金田式EQアンプには使う気はせんよな.....って感じです。先生自身,"やはりWEは違う" ということをおっしゃっているようですから,なおさらですね。

というところで,とても作る元気はないのですが,どうも中国製? の310Aの同等管があり,しかも,今も製造されているようです。

PSVANEというブランドで,見てみるとものすごくきれいで,仕上がりが素晴らしいです。これなら使ってもよいかな.....という気はするのですが,絶対にWEの球と同じ音はしないでしょうし,何より値段がペアで$200以上,っていうんじゃ,驚いちゃいます。まあ,今どき高品質で真空管を作ろうとすると,こういう値段になっちゃうのでしょうけどね。

もっとも,日本のCZ-501Dもそうでしたけど,各国でWEの310Aの互換球,というのは作られていて,おそらくはWEや米国メーカ製の電話用機器の保守用でしょう。1950年代のソ連でも製造されていたらしく,10Ж12Сというのがそれで,ローマ字表記だと10J12Sです。サンクトペテルブルクの旧Svetlana製のようです。現在,売られているSvetlanaとは関係ありません。ただ,ものすごく古いもののようだし,すぐに製造を打ち切ったようで,あまり市場に出回っていません。

6C6でいいんなら,776J76SJ7などの真空管が同じ特性ですが,ST管やGT管だとだとハウリングがひどいようだし,6AU6や,もしWEにこだわるなら,408AなどのMT管で作る方がよさそうです。

それにしても現行の互換球ですら,310Aは高いし,オリジナルのWEだと1本,3~4万円位します。昔はさすがに1万円はしなかったし,よかったよな~~~[雨][雨]


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タワー型扇風機の修理 [電子工作]

2020年7月20日の日記

ちょっとiruchanは怒っちゃいました[雷][雷][雷]

YSR-WD90-5.jpg 倒れただけで壊れます。

どうにもずっと[雨]が続いて困ってしまう,と言うのもあったのですが,室内で干していた洗濯物を晴れてきたので外に出そうかと持ち出したらうっかり▲の扇風機に引っかけてしまい,扇風機が倒れてしまいました.....。

まあ,倒れたくらいで壊れることはないし.....と思って立て直してスイッチを入れても全然風が来ませんし,中でカラカラ音がしますし,しまった,と思いました。どうもやっちゃったようです。

タワー型扇風機なので,中でシロッコファンが回っているのですが,そのシロッコファンの羽根が吹っ飛んで壊れてしまったようです。

と思ったのですけれど,しかし,そもそも▲のようなフローリングの床じゃなく,畳の上に倒しただけで壊れてしまう扇風機って.....と頭にきました。

去年の夏に買ったばかりの,山善という会社のYSR-WD90というタワー型扇風機です。実質,1年の寿命でした.....orz。

おそらく,倒した拍子に,中のシロッコファンが内部の突起かなにかにぶつかって羽根が折れ,連鎖的に何枚かの羽根を吹っ飛ばしてしまったようです。

YSR-WD90.jpg あちゃ~~~。

なんの写真か,わけがわからない状態になっちゃってますが,6段ある,フィンのうち,最上段のほぼ2/3の羽根が飛んじゃってしまい,シャフトを支持する天板が外れちゃってます。

まあ,そのときは中のファンだけ替えればいいや,と思ったのですけれど.....。

メーカーの山善に聞いてみると,"別売部品での販売をさせていただいておらず、全て、お預かり修理対応iいたします。" とのこと。おまけに,修理代は7,000円くらいかかるから,修理するのも面倒くさいし,買った方が安いよ,という意味のことを言われました。

もう~~っ!! ファンだけ替えれば簡単に直るのに.....。

確か家電製品は経産省の指導で,製造中止後,8年は部品の保管をしておくことが義務づけられていますし,普通はサービス用として部品の販売もしないといけない,と言うことになっていると思います。

実際,iruchanは過去,何度もソニーのラジオやMDプレーヤのケースをへこましたり,割っちゃったりしたので,サービスセンターで部品を買っています。ソニーさんはいつも親切に対応していただき,部品もきちんと売っていただきました。

それなのに,この山善という会社は部品の販売をしないばかりか,修理すらも代理店経由,ということなので代理店の手数料も取られるわけで,これじゃ修理なんてしてもムダだから新しいの買ったら,という対応。

頭にきて,iruchanは自分で直すことにしました。捨てるにも粗大ゴミなので,500円くらいは払わないと持って行ってくれませんしね。

もちろん,もう,この会社の製品は二度と買いません。

そもそも,タワー型扇風機はこれも含め,もう1台,山善のもっと大きいのを買ったのですが,とにかくうるさい! ので頭にきていたのも事実。TVを見ていられないくらいなんですよね.....。

中のシロッコファンの取り付け,芯出しや動的バランスなどの設計・調整がうまくできていないんですね。振動が大きく,ケースが共振してガタガタとうるさいです。扇風機だから,シューッという風切音がうるさいにはしかたないと思うのですけど,ガタガタと機械的な騒音がするのは困ります。

もう山善のは買わない,と決めたので,あとで,日立製のタワー型HSF-DS500Aというのを買ったらあまりに静かで嫁はんもびっくり。最強にしても多少,風切音がするくらいで,まったく機械的な音はしません。値段はちょっと高いんですけど,さすが日立,と思っています。日立さんや,先のソニーさんの対応は昔ながらの日本のメーカらしい,優れた製品と誠意ある対応だと思います。なお,もちろん,iruchanは日立の関係者じゃありません。

山善は中国製だからしかたないとしても,日本のメーカが自分のところのブランドをつけて販売するのなら,もっとしっかりした製品を売って品質管理もしっかりしてほしいものだと思います。そもそもタワー型扇風機なんて,背が高いのだから,ユーザーが倒してしまうことくらい想定して耐久試験をやらないんですか? 思いっきりあきれています。

    ☆          ☆          ☆

ということで分解して調べます。タッピンねじでケースを留めているだけですから,分解も簡単です。

ファンは先ほどのような状態なので,まずは対応として,接着剤でくっつけることを考えますが,ABS樹脂の接着がむずかしいことはよく知っていますので,実は,最初から毛頭ダメ,と考えていました。

予想どおりで,材質はABS樹脂なんですが,某社のABS用という接着剤ではくっつきません。いつまでもネチャネチャとしているだけで,まったくくっつきません。

ABS用の接着剤としては,ブタノン(メチルエチルケトン)か,模型マニアではよく知られている臭化メチレンですね。どちらも割にくっつきます。ただ,先ほどのABS用接着剤はこのような薬剤は使っていないようです。

おそらく,家庭用として安全を考慮した接着剤なんでしょうね。

ブタノンは一度使いましたが,揮発性が高いし,毒物及び劇物取締法の規制対象物質です。臭化メチレンも危険な薬剤のようです。iruchanはこちらは使ったことがありません。

ということで,この接着剤ががダメなら接着することはあきらめた方がよさそうです。

となると,もう,機械的に接合するしかなさそうです。

でも,これも大変。

30mmのスペーサーで高さを確保したんですが.....。

YSR-WD90-1.jpg 最初,こんな風にしてみましたがダメです。

シャフトは当然,1段減って長さが足りないので,延長シャフトを使ってみました。もとはボリウムやロータリーSWのシャフトを延長するための部品ですが,日本製のボリウムはφ6mmなので,ちょうど,ぴったりです。うまい具合に,ファンの軸と同じ径(6mm)でした。

予想どおり,さすがは日本製らしく,φ6mmの円形部分は精密で,軸受にぴったりと収まりますし,真円度も高いようです。スムーズに回転します。

でも.....完成して取り付けて回転させてみるとかなりの振動。危険なのですぐに止めました。

要は延長シャフトはよくできているんですが,どうしてもこのやり方だとスペーサーが直角につかないので,軸が曲がってしまい,アンバランスになっちゃうんですね。

しかたなく,1段目はあきらめてすべての羽根を取ってしまい,2段目にM3のねじで固定しました。これなら回転軸はほぼ直立位置で固定できると思います。センターも,軸がついている板と2段目の板が段差なく取りつけられればきちんと取れるはずですよね。

YSR-WD90-2.jpg やり直しました。

こうすると60mmほどフィンが短くなっちゃうので困っちゃうのですが,さいわい,延長シャフトは長いのがあるので,L=50mmの延長シャフトを買ってきて,それを使います。

YSR-WD90-3.jpg 今度はモータ部に取りつけました。

なお,1段減っちゃったので,上か,下かどちらかでなくなった分のスペースを確保すればよいですけど,下で確保しました。さっきは延長シャフトをファンの上部につけたのですが,今度はモータ軸につけました。こうするとファン部分が上に移動した形になります。こうすると,風は一番上から吹きますよね。下の方はあまり吹かなくてもよいと思います。

ただ,これだとうっかり,ファン固定用のねじが緩んじゃうとファンが落ちて軸受から外れてまたバラバラになっちゃうでしょうから,φ10mmのアクリル製パイプをかぶせて上下方向を固定しました。

また,すべてのねじはLOCTITEのねじロックで固定しました。これなら安心です。

    ☆          ☆          ☆

ようやく修理完了。特に軸のぶれもなさそうで,振動も大したことありません。

iruchanはタワー型扇風機が気に入っています。何よりあまりスペースを取らないのと,なぜか,普通の扇風機に比べると非常に涼しい感じがします。

せっかく買ったのに,倒れただけで壊れてしまう扇風機にはブチギレしましたが,ようやく修理完了です。本来の寿命まで使いたいと思います。

 

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モノラルレコード用CR型イコライザーアンプ(EQアンプ)の設計と製作~その3:測定編~ [オーディオ]

2020年7月12日の日記

CR型EQアンプ1.jpg ようやく竣工しました[晴れ]

中国製のケースのサイズは132×42×169mmです。とても小さいです。〒込みでも$20ほどでしたけど,なかなかかっこよいです。

前回から3ヶ月が経ちました。

もう,世の中すっかり変わってしまい,まだ前回の時はコロナはそれほど拡散していなくて,緊急事態宣言が出たばかりでしたが,まったく先の見えない長いトンネルを皆さんと歩んでいきたいと思います。

最近,iruchanも小松左京の "復活の日" を今ごろ読んだばかりなんですが,驚くほど似た状況が描かれていました。さすがに有名なカミュの "ペスト" は,学生時代,"異邦人" は読んだんですけど,こちらは読んでいません。というより,最近まで,全然本屋さんにありませんでしたね....って言い訳しています。

さて,この間,ケースを手配して,加工していました。

ケースはAli Expressで買った中国製です。押出形材とt6のアルミパネルを使ったかっこいいものです。

ただ,さすがに6mmのパネルの加工は大変。プロの方にNC加工を頼んだ方がよかった感じです。5,000~1万円くらいでやってくれますけど。

なんとか穴開けも終わり,まずは電源からテストします。

電源はバッテリー式にしてもよかったのですが,どうにも電池の消耗が気になって音楽が楽しめない,と言うことがあるので,いつもAC電源式です。

とはいえ,やはり漏洩磁束が心配なので,昔だったら,カットコアか,Rコアか,って感じですけど.....。

でも,今はRSコンポーネンツなどで産業用のトロイダルトランスが簡単に手に入るので,トロイダルにしたいと思います。これだと漏洩磁束はほぼ完璧に低減できるはずです。レギュレーションもよいし,理想のトランスだと思います。

かといって,真空管用はむずかしく,高圧用とヒータ用の低圧巻線が必要なので毎回苦労します。まださすがにトロイダルの真空管用は品種が少ないですね~~。

サブミニDCプリアンプ用にはオランダから直輸入したばかりです。

まあ,さすがに今回はOPアンプ仕様なので,±15Vの電源が用意できればよいので,2次側に15V前後の電圧があるトランスであればOKです。

RSコンポーネンツで,124-3858という品番のトロイダルトランスを買いました。7VAで,2次側は15V×2です。ただ,1次が115Vなので,2次側は13V前後です。3端子レギュレータを使いますが,その場合,最低2Vくらいは余裕がないとうまくレギュレータが動作しませんので注意が必要ですが,整流直後で18Vくらいにはなりそうなので,十分使えそうです。実際,あとで確認してみたら,平滑前の電圧は20VほどありましたのでOKです。

最初,共立電子のHDB-8というトランスにするつもりでしたが,ちょっとサイズが大きいのでこれにしました。基板用なので,少々,取り付けが厄介ですが.....。トランス取付用の基板を別途,作りました。ついでにヒューズホルダもハンダづけしちゃいました。

CR型EQアンプ内部1.jpg 内部です。

青いのがRSコンポーネンツのトロイダルトランスです。プラ製ですけど,放熱のためか,フィンがついています。7VAの容量があるので,全然熱くなりませんけどね。ちなみに全体の消費電力は0.6W程度です。

逆に,LME49720Hは動作中はあっチッチ!

びっくりして規格表を見ると,無信号時の消費電流は10mAなので,消費電力は0.3Wです。これなら意外に熱くなります。表面温度は50℃くらいと思われます。

もちろん,温度についてはメーカの保証範囲ですし,規格表には何も書いていないので,放熱器は不要です。

といって,あまり半導体は熱くなると音がよくない,とiruchanは思っていて,実際,半導体のA級アンプがダメなのも温度のせい,と思っているので,余っている2SC960の放熱フィンをつけておきました......(^^;)。

ケースが小さいので,背の高い部品は要注意です。一番の問題は電源のフィルタコンデンサでしたけど,ルビコンの35V 3,300μFがぴったりでした。

パイロットは,いつものピンク色の高輝度LEDにします。

LEDの点火には,普通だと整流後の直流を使ったり,3端子レギュレータの出力から点灯したりする,と思いますが,これをやっちゃうと,切ったときにボ~~~ッと消えます。

 ボ~~ッと消えてんじゃね~~よ!(チコちゃんの声で!)


って,いつも思ってます.......(^^;)。

これ,iruchanはとても嫌いなので,AC点火します。これだとスパッと消えて気持ちいいです。

ただ,この場合,AC電圧が6Vを超える場合は逆耐圧保護用のシリコンDiを逆向きに接続しないと,LEDが壊れますのでご注意ください。

というのは百も承知なので大丈夫なんですけど......変な現象が出ます。スイッチを切ってもLEDが消えません!

真夏の夜の怪談かぁ~~~~って思っちゃいました。地下鉄に乗るのに,階段を上らないといけない四ッ谷駅というのもチョ~怖いですけど......四谷階段ってこれのことかぁ?

電源を切って,テスターで導通を見てみると,スイッチを切ったら,ちゃんと導通がなくなります。それで,トランスの1次電圧を見てみると,スイッチを切っても95Vくらいあります.....。

何で~~っ?

って思っちゃいましたけど,スパークキラーのいたずらでした。

スパークキラーは接点保護のため,CとRが直列に入っていますが,今回,トランスが小型すぎ,励磁電流を流すくらいのことをしてしまうんですね。

しかたないので,スパークキラーを外したらLEDが消えました。やれやれ......。

CR型EQアンプ.jpg パイロットはピンク色LEDです。

STEREO⇔MONO切り替えSWも設けました。モノラルの時は,入力部でLとRを合成し,出力はch. Rの信号をch. Lにも出すようにしました。

ここまで来たらまずは電源のテスト。無事に±15Vがでました。前回,iruchanが中坊の時に買った,古いモトローラ製の3端子レギュレータを発掘した,と書きましたけど,無事に動きました。でも,モトローラはなくなっちゃいました......。

半導体の名門,モトローラは創業が自動車用ラジオの製造だったので,ブランドがMotorolaなんですけど,1999年,衛星携帯電話事業の失敗から,オンセミに分社化されて消えました。

さて,ここまで来たら電源をアンプにつないで,テストします。

特にヒューズも飛ばないし,また,±Vccをチェックしてもちゃんと±15Vでていますので,大丈夫なようです。

次に,1kHzの正弦波を加えて出力をオシロで見てみますと......こちらも無事に正弦波が出力されますし,周波数を変えると,EQアンプなのでちゃんと振幅が変化しますから,成功のようです。やれやれ~~~~。

☆特性チェック

さて,ここまで来たらf特を測ります。ここまで,長い道のりでした......。

負荷抵抗に100kΩをつなぎ,テストオシレータとオシロで特性を調べます。

☆RIAA

まずは,RIAAから。

RIAA実測1.jpgRIAA再生特性です。

ステレオなので,ch.LとRがあります。

でも.....。

測定してみてがっかり。左右で1dBのゲイン差がある上,偏差もかろうじて±1dBに収まる,と言う程度です。

残念ながら,左右のレベル差はプリアンプを自作するとだいたいこれくらいはあるものですし,NF型はこれを調整しようとすると,すべてのEQ素子の定数が変わっちゃうので,調整は厄介ですが,本機はCR型なので,比較的簡単なので,あとで調整したいと思います。

もう少し,偏差が小さいとよかったのですけどね......orz。

☆ffrr

ffrr実測.jpgffrrです。

英DECCAのffrr特性です。クラシックファンなら必要なカーブだと思いますけど,各社から出ているモノラルレコード用のEQアンプでは搭載してない場合が多いですね。

レコードを聴く人はジャズマニアの方が多いらしいですけど,クラシックマニアはスクラッチノイズが我慢できないんでレコードはやめちゃった,と言う人が多いのだと思います。

また,一応,ステレオLPはRIAA特性が出てから開発されたので,RIAAに統一されているはず.....,なのですが,巷間,ffrrやColumbiaなどのカーブのまま,発売されたステレオLPがあるとの噂が流布していますので,今回,ffrrのみ,ステレオで作ってみました。

こちらは左右のレベル差はほとんどなく,また,偏差も40Hz~20kHzで0.5dB以内に収まっていますので,合格です。

50Hz付近から下の低域はIEC規格のRIAA特性もそうですけど,サブソニックフィルタ特性を持たせる目的で,偏差がマイナスになっても問題ない,と考えています。

☆Columbia

columbia実測.jpgColumbia特性です。

ここからはモノラル専用なので,ch.Rのみです。

米Columbiaや,製造を委託していたWestminsterはこのカーブなので,iruchanには必要なカーブです。こちらもほぼ偏差は-0.4dBくらいまでなのでOKです。iruchanはロジンスキーやWestminsterレーベルが好きなので必須です。

☆NAB

NAB実測.jpgNABカーブです。

米国の放送事業者が策定したカーブで,もとはテープ用のEQカーブだし,欧州系のレーベルでは関係ないのですけど,米国のジャズ系のレーベルでは採用したところが多いです。iruchanは特に使うことはないだろう,と考えているのですが,念のため,つけておきました。

事前の予想どおりで,これが一番偏差が小さく,いい曲線となりました。

さて,ようやく完成したのですけれど,残念ながら,肝心のRIAAカーブがあまりよくないので,次週,調整したいと思います。

       ☆          ☆          ☆

2020年7月19日追記
 
先週,モノラルレコード用のEQアンプを完成させ,まずは特性を調べてみました。
 
ほぼ,英DECCAのffrrや米Columbia,NABのカーブは設計どおりでしたが,どうしてもRIAAだけ偏差が1dBくらいあり,少し不満な結果となりました。今日は少し修正したいと思います。
 
CR型はNF型より音がよいと言われていますし,昔からコアなマニアが自作して楽しんでいましたし,本機もステレオのLPはステレオで再生できるよう,RIAA位置はステレオで楽しめるようにしてあるので,やはりちゃんと調整しておこうと思います。
 
CR型EQアンプのフィルタ回路については,第1回に説明しています。Excelで十分計算できます。
 
まずは,定数が正しいかどうか,Spiceで検証してみます。
 
CR型EQアンプのフィルタ部分は,下記の通りです。
 
CR型EQ素子.jpgCR型EQフィルタ部
 
LTspiceでシミュレーションした結果は▼のとおりで,ほぼ設計どおりです。
 
どうしてRIAAだけ,実際の設計どおりにならないのか,ちょっとわからないのですけど.....。
 
ch.Rは200Hz付近で0.6dBほど下げてやらないといけませんし,ch.Lはおなじく0.8dBほど,逆に上げてやらないといけません。高域も0.5dBほど上げてやらないといけません。
 
どうもロールオフの設定が少し悪いようです。
 
これらの目標値にするため,もう一度,Spiceでシミュレーションしてみました。
RIAA LTspice.jpg
    Spiceでのシミュレーション結果です 
 
が設計値ですが,Spiceで見ても,間違ってはいないようです。30Hz以下で落ちているのはサブソニックフィルタの効果を期待してわざと落としてあるせいです。
 
結局,各定数は,
 
        C1        C2
ch.R    8200pF→9200pF 2800pF→2700pF
ch.L                  7200pF                2700pF
 
としました。ターンオーバー側は2700pF+100pFで設計値の2800pFにしていましたので,100pFを撤去しました。なんか,ロールオフ側が大幅な変更で,ちょっと心配なのですけど.....。
RIAA実測2.jpg調整後です。
 
ようやく40~20kHzの範囲で,ほぼ±0.5dBに収まるようになりました。やれやれ。これでようやくレコードが楽しめます[晴れ][晴れ][晴れ]
  
まだ続きが読みたい,というご奇特な方はこちらへ.....。完成して何枚かレコードを聴いてみました。

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黎明DCプリアンプの製作~金田式DCプリアンプ第1号・その1:プロローグ~ [オーディオ]

2020年6月13日の日記

このところ,金田明彦氏設計のサブミニ真空管プリアンプオールメタルキャンTrプリアンプを作っています。どちらも音がよいと有名な作品ですね。

その,メタルキャンプリアンプなんですけど,発表されたMJ 1991年6月号のDCアンプシリーズNo.121の記事はとてもいい記事であることはよく知られているのですが,その理由はメタルキャンTrを使った唯一のプリアンプということもありますが,過去の金田氏の歴代のプリアンプを振り返り,歴史的な経緯をまとめてあることにもあると思います。

iruchanは結構,共通一次(古~~~ッ!!)も工学部志望なのに世界史を選択したくらいで,歴史が好きなのですが,中でも技術史はとても好きで,こういうアンプの世界でも歴史を扱った記事はとても好きです。

この記事では,1974年1月号のDCプリアンプにはじまって,単行本の "最新オーディオDCアンプ" に載っている,PPエミッタフォロアを採用したものを経て,GOAまでのプリアンプの変遷がわかるようになっています。完全対称式に変わってからは載っていません。

今日は,その '74.1月号のプリアンプを再現したいと思います。

ただ,実を言うと,このプリアンプは2号機なんですけど.....。シリーズ番号もNo.6です。

DCアンプシリーズNo.2がプリアンプ第1号で,"無線と実験" '73.8,9月号に掲載されています。

第1号プリアンプMJ '73.9-1.jpg すべてはここからはじまった......。

iruchan所有の "無線と実験" 1973年9月号の製作記事です。8月号が設計編で,9月号が製作編になっています。最近のMJみたいに製作編には回路図が載っていない,なん意地悪せずに,昔のMJは必ず両方の号で回路図が載っているのは良心的ってゆ~か~,当たり前だと思うんですけどね.....。

なぜか,このアンプについては,そのメタルキャンプリアンプの記事では触れられていません。

どうも,この第1号は未完成,と考えておられたのか.....実質的な第1号は'74.1月号のもの,と考えておられるのかもしれません。

残念ながら,iruchanも生まれる前のことだし,'74.1月号は持っていないのですが,幸い,プリアンプ3号機の '75.3月号(設計編)は昔,先ほどの'73.9月号同様,オクで手に入れていて,その号に前号機が載っていました。

MJ '75.3.jpg 無線と実験1975年3月号

3号機は初段がおなじみの2N3954に代わってドリフトの改善が図られていますが,2段目はNECの2SA640のままです。出力段がプッシュプルエミッタフォロアになり,以後のDCプリアンプのスタンダードとなるのはもう少し後のことです。

ちなみに,1号機は2SK30GR2SA493GR2SC1000のシングルエミッタフォロア,と言う回路です。2号機は2段目が2SA640(NEC),エミッタフォロアも2SC984(日立)に代わっています。ちなみに,1号機はオール東芝です。

どうもDCアンプでは東芝の石の旗色が悪いのですが,この頃から金田さんは東芝が嫌いだったのか.....。iruchanも東芝は嫌いです。また,2段目が三菱の2SA726に代わると,定番のTrとなりますが,今の2SA872Aはこの2SA726の代役に過ぎない,ということはよく知られていますね。

さて,今回,実質? 1号機の '74.1月号のプリアンプを作りたいと思います。

本当だったら,"無線と実験" '73.9月号を持っているのだから,本当の第1号機を作ればええやんか,と思われると思いますが.....。

使用されているTrがオール東芝というのがどうにも盛り下がっちゃいますし,金田氏も'74.1月号のプリアンプを第1号とされていることも気になります。

ということで,"無線と実験" 1974年1月号の回路で初期のDCプリアンプを再現したいと思います。

なにより,きっかけは日立の2SC984を入手したこと。にSのマークがあるので通信用(電電? 用)ですね。

通信用は高信頼管と同じで,何らかの長寿命やばらつきの少なさなど,信頼性が要求される機械に使用されました。2SC984は規格表を見ると,AF, SWと書いてあるので,初期のコンピュータにも使われたのでは,と思います。国鉄のMARS-1やHITACなどのコンピュータに使われていたのかも.....。

20年ほど前,まだネットが普及し始めた頃,海外の半導体商社を漁って2SC9592SA627/D188と言ったTrを買い集めましたけど,その中にこのTrがありました。

実はこのTr,DCアンプマニアの間ではよく知られていて,完対アンプの出力段に2SC959の代わりに使うとよいらしいです......。一度,やってみようと思っています。

当時,国内では珍しくなっていて,入手は意外にむずかしかったTrです。ゲルマニウムTrでおなじみのTO-1型とそっくりな形状で,メタル外被ですが,とてもシリコンTrとは思えない形状です。

これは,海外でも同じようで,初期のシリコンTrはゲルマTrと同じ外形,と言うのものがあります。英MullardのOC200なども同じ形状です。

2SA726, A640, A872, C984-1'.jpg 本機で使用するTrです。
別に,2SA493も今でも手に入るし,2SA493もテストしてみてもよいのですけど.....。

あとの2SK30はもちろん,2段目の2SA640も非常に古いTrですけど,今でも入手可能です。

となると作るっきゃない,と思いますね.....そんなのおまえだけだ

回路は▼の通りです。今から思えば,本当にシンプルな2段差動アンプです。

黎明DCプリアンプ回路.jpgアンプ部です


また,今回,ちょっと工夫をして,2段目は名石2SA726も使えるようにしたいと思います。

実は,初代の2SA493同様,2SA640もすぐに離縁されてしまい,三菱の2SA726後妻になっちゃうんですけど,音の差を確認してみたいと思いました。その後,完対プリアンプが登場するまで,不動の2段目差動アンプ用Trでした。2SA872はあくまでも代打です。と言って,今作っているオールメタルキャンTrを使ったプリアンプでは2SA606が使われていて,金田氏も絶賛しているのですけれど.....その後,二度と登板することはなかったのは何ででせう?

といって,よく知られた話ですけど,2SA726の電極配置はほかのTrと違うので,基板を共用するにはひと工夫必要なんですが,それはまた次回.......。

2SA726, A640, A872A.jpg 2SA726はピン配置が違います。

左側の2SA872Aは初期型で,銅脚で,表面にご丁寧にもECBの表示があるタイプです。

電源部回路'73.9月号1.jpg電源部('73.9月号)
残念ながら,電源部は'74.1月号を持っていないので不明ですが,プリアンプ第1号の'73.9月号を持っているので,それと同じだと思います。整流はオリジナルは10D-1ですけど,いまどき普通のシリコンDiはノイズが出て使う気がしないので,ファーストリカバリにします。今だとショットキーなんでしょうけどね.....。
トランスは今だとトロイダルにするんですが,タンゴのCT-10の手持ちがあるので活用するつもりです。なお,オリジナルはCT-20です。

残念ながら,'74.1月号を持っていないので,電源が不明ですが,9月号のプリと同じでしょうから,OPアンプ電源です。OPアンプはNECのμPC55Aです。ものすごく古いOPアンプですね。メタルキャンタイプのμPC55Aのほか,モールドタイプのμPC55Dをこちらもネットで入手できました。709と互換品で,すぐに金田氏も709を使った電源に移行します。やっぱ,米軍は強かった......?。

μPC55A, D.jpg μPC55A(左),μPC55D(右)

μPC55Aは現役の時は@2,000円くらいしたそうです。海外から不良在庫で買ったので,安く入手できました。

あとの部品は,抵抗は進のRE55とニッコームRP-24Cにしましたけど,実は金田さんはまだこの頃のアンプはアキシャルリードの普通の抵抗を使っていて,RE55を使うのはもう少し後のことです。

カップリングはゼウスのケースマイカ0.4μFですが,もう,こんなの入手は絶望的なのでスチコンにします。

黎明DCプリアンプ部品.jpg 部品類

20年ほど前,実際に作ろうと思って集めた部品類です。ELNAのsilmicは何に使うつもりだったのだろう.....。タンタルコンは電源のデカップリング用ですが,こいつはショートモードで壊れるので使わないつもりです。名機COPALのλ13Tも買ってありました。残念ながら,抵抗はぶどう色2号のはほとんどなくて,朱色4号ばかりだな.......orz。

次回はプリント基板を作って製作を開始します。

       ☆          ☆          ☆

2020年7月17日追記 ~ドイツから愛をこめて......~

初段のJ-FETには東芝の2SK30ATMを使うつもりだったのですが,よく考えてみると,金田氏が製作した頃はATMじゃなく,Aのはずで,形状も今とは違ってもっと小さく,キャラメルみたいな形をしていたはず.....と思いました。

2SK30A.jpg初期型2SK30A

記憶が薄れてきてしまっていますけど,確かにこんな形でした。このあと,一番右のよく見慣れたTO-92形状にになりますが,初期はモールドと言ってもエポキシ樹脂で固めただけで,どうも角が丸いし,体積も小さい形状でした。よく見るとピンも丸脚だし,銅製と思います。

実を言うと,これが最古の2SK30じゃないらしくて......▲の2SA493も同じですけど,中坊の頃,よく使った2SC372みたいに,シルクハットみたいな形をしていたらしいです。

この2代目の形状のモノは割に最近まで見かけましたし,オクなどで気長に探せばまだ手に入るか,と思ったんですけど.....,2SK30ATM自体,2012年3月にとうとう製造中止となり,お店でも置いているところは少なくなってオクで買うことが多くなってしまっていますから,早めに入手しておこう,と思いました。

eBayでドイツ人が売っていたので買いました。@3.3ユーロでした。ちょっと高いな....。

IDSSも揃っているので初段ペアに使えそうです。


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サブミニチュア管DCプリアンプの製作~その2・プリント基板,電源編~ [オーディオ]

2020年5月24日の日記

かつて,

      月 月 火 水 木 金 金

                ―帝國海軍

だったらしいですが,

      日 日 土 日 土 日 日

                ―iruchan

という毎日です[雨]

コロナ禍で皆さん,大変なことになっていると思います。iruchanの場合はそうじゃなくて,もう会社からは何にも期待なんかされていないし,コロナ禍の前からなんですけどね.....orz。

さて,と言うことで,家で何か作れるものはないかと考えて,いろいろプロジェクトが進行中です。今日は,前回ご報告した,サブミニチュア真空管を使ったDCプリアンプの製作です。

今日は,プリント基板の製作過程と,電源部について,ご紹介します。

回路自体は,金田明彦氏がMJ無線と実験'03.12月号に発表された,DCアンプシリーズNo.174です。

もう,今じゃ,ずっと進化していて,電流伝送タイプになっています。初段もKORGと伊勢電子が共同開発した,Nutube 6P1ですね。iruchanもいずれ使ってみたいと思っています。

ただ,はっきり言って,iruchanの頭じゃ,電流伝送タイプはよく理解できないので,やっぱり昔ながらの電圧伝送タイプです。

回路自体は,金田氏も,最初はEF86+ECC81などの欧州管やWEの403A+396Aといった米国球で,iruchanもヒーター電圧違いの408A+407Aで作りました。記事はこちらをご覧ください。

ところが,MT管を使っても,電源は別筐体で,プリント基板も7枚以上必要,という大がかりなシステムで,iruchanは大きなアンプは嫌いなので,電源一体型で作りましたが,それでも半導体のパワーアンプ並の大きさになっちゃいました。それに,11球という多数の球を使うと,筐体の発熱はすごく,これじゃ,夏は使えそうにありません。

と言う次第で,サブミニ管で作ることにしました。

回路自体はほぼ,No.174と同じですが,真空管はEQアンプこそ,オリジナル通りで5702ですが,フラットアンプは同等管の旧ソ連製の6N16B-V6N17B-Vを使います。

ただ,前回書きましたけど,原型の米国球61116112とは微妙に特性が異なるようで,オフセット調整は少し手間取ると思います。WEプリの時も,AOCでちょっとトラブりましたしね。

また,金田氏はEQアンプ用に,105V→100Vとレギュレータを2段構成ですが,iruchanは小型化のため,リップルフィルタを使ってレギュレータ1段構成にしています。まずは電源部から。

☆電源部

電源は,金田氏は整流管を使っておられます。

ただ,さすがにWEの412Aや同等管のBENDIX6754はとても高いので断念します。それに,さすがにヒータ電力だけで2本で12Wも消費するのでは,ケースの中は熱くなりすぎです。といって,シリコンDiじゃ面白くないので,部品箱を探したら,Siemens製のセレン整流器が出てきたので,それを使おう,と思います。

セレンだと,国内ではオリジン電気や富士電機が有名でした。これはSiemens製ですが,ちょっとマークが変!

Siemensだと,最初の社名はSiemens und Halske AGだったので,SとHの組み合わせですが,これはよく見るとSとfです。

Siemens セレン整流器.jpg Siemens製のセレン整流器

富士電機はSiemensと古河の合弁としてスタートしたのでSとfの組み合わせのマークです。だから,このセレンは富士電機が作ってSiemensのブランドで売っていた,要はOEMなのではないかと....。Made in Germanyと書いてあるのがちょっと疑問ですけど。

規格的には,B250 C75と書いてあるし,ネットを調べると250V,75mAの規格のようです。セレン整流器の場合,電圧は入力のrms電圧で表すので,250Vrmsまでは使用できる,と思います。

次の問題はトランス。

さすがに,前回,Rコアトランスを使いましたけど,あまりにも大きく,まいったので今回はトロイダルにしようと思いました。もう,Rコアは勘弁,って感じです。

とはいえ,最近はRSコンポーネンツなどでトロイダルトランスも安く売られるようになり,助かりますが,さすがにどれも産業用のものなので,せいぜい同一電圧の巻線が2つ出ているくらいのものばかりです。

真空管アンプだと,高圧1巻線,ヒータ用2巻線くらい必要なんですけど.....。

と言うことで,真空管用トロイダルトランス,と言うことだとカナダのPlitronが有名ですから,探してみますが,プリアンプ用はないようです。それに,高圧巻線もDCアンプなので,100V×2くらいの比較的低い電圧の巻線が必要ですが,どれも250Vくらいの巻線で,電圧が高すぎます。

Ali Expressを探すと,多少,真空管プリアンプにも使えそうな,トロイダルトランスが出てきますが,残念ながら1次巻線は230Vのみ。また,ヒータ巻線つきは少ないですし,あっても6.3Vのみでは,1次電圧が半分しかありませんから,足りません。まあ,それに,中国製というのもどうかな......って感じです。

困ったな~~。

と思ったのですが,オランダで真空管プリアンプ用トロイダルトランスを作っているところを見つけました。おまけに,ちゃんと1次側は115Vなので,日米で使えます。

RSコンポーネンツのトランスもだいたい,1次が115V,230Vの2系統のものが多く,欧州と日米で使いわけできるようになっているものが多いですが,このオランダの会社のもそうなっていて,使えそうです。

使うことにしたのは,2N1357と言うトランスで なんか,トランジスタみたいな型番だな,1次:115,230V,2次;120V×2,6.3V 2A×2という非常に使えるトランスです。サイズも,φ80mm×h39mmと非常に小型で,この前のWEプリの半分です。

オランダ東部ネーデと言う街にある,Amplimo BVという会社です。現地で生産しているようです。

ネットで簡単に買えました。たった1台でも売ってくれるのは驚きですし,ちゃんとPDFのinvoice(送り状)を送ってくれました。さすが,オランダは世界に覇を唱えただけあって,貿易に力を入れているので,親切です。日本からの注文でも簡単に買えるようです。

toroidal transformer.com 決済画面'.jpg げ~~っ!

とはいえ,ホームページは英語で表示されるんですが,なぜか,最後のカード決済画面はオランダ語なので苦労しますけど.....。〒込みで€65.71でしたから,7,700円ほどです。

ペリー提督が浦賀に来たとき,日本の通詞がオランダ語で話をしてくるので,"こいつ何語でしゃべってんだ",と言うことになったわけですが,幸い,ペリー艦隊にオランダ語をわかるやつがいて,英語⇔オランダ語⇔日本語という形で会話したのを思い出しました。そういや,最近,▼フランスから半導体買いましたけど,そこも同じで,決済画面はフランス語でした。今はgoogleさんが通詞をやってくれるし,なんの問題もないのですけれど.....。

ただ,googleさんも日本語は苦手らしく,英語以外の言語だと,直接日本語にするとわけがわからなくなるので,英語に訳して読んだ方がわかりやすいです。

整流後はフィルタに入りますが,金田氏は2200μFという天文学的数字のフィルタコンデンサを直に入れています。

さすがに,iruchanは昔からの真空管マニアなので,整流管にそんなに大容量のコンデンサを接続することはできません。傍熱の整流管(6X55AR4など)でも47μFくらいにとどめておくべきだと考えます。

ただ,この場合,リップル低減量は当然,減りますので,何らかの工夫が必要です。

DCアンプマニアの中には,整流管のあと,LCのフィルタを入れておられる方もいらっしゃるようですが,これはこれでチョークコイルが磁界を発生しますし,何より大きいので場所を取ります。真空管プリアンプ全盛(もちろん,iruchanは生まれていません)の頃,電源にチョークコイルを使うのはタブーでした。そう本で読んだので,敬遠しちゃいます。まあ,当時は磁気シールドも不十分なチョークコイルだったのでしょうけど.....。それに,こちらで,L-CフィルタとTrによるリップルフィルタを比較していますけど,後者の方が断然高性能です。もう,iruchanはパワーアンプでもチョークコイルは使わないことにしています。

と言う次第で,iruchanは高圧Trを使ってリップルフィルタを挿入します。これを使えば,L-C型やC-R型のフィルタより効果ははるかに大きいので,ほぼ完璧にリップルは取れますし,時定数のせいで,高圧の立ち上がりがおそくなる,というメリットもあります。

問題は高圧のTrがあまり品種がないのと,iruchanみたいにTO-66のメタルキャンTrを使おう,なんて考えると絶望的なんですが.....。アホですね....。

高圧用メタルキャンTrについては,こちらにまとめておきました。ご参考にしてください。もちろん,TO-220などのモールドでよければ,たくさん品種があります。

使ったのは,前回同様,2SC18642SA653と言ったTrです。1個だけ,PNPの高圧Trはあまりいいものがなくて,モトローラの2N6421を使いました。VCEO=250V,IC=2A,PC=35Wという定格です。国産のものはVCEOがやはり低いです。今も現役のTrですが,MOUSERで2,000円以上します。iruchanはeBayで中古の取り外し品を20個ほど安価で入手しています。2SC18642SC1161でもいいのですが,耐圧がギリギリのため,代役です。

なお,もちろん,釈迦に説法ですけど,メタルキャンTrは外被がコレクタですから,感電には十分気をつけてください。シャシーと両方触らなければ問題ないんですけどね.....。くれぐれも気をつけてください。

と言う次第で,電源部の回路図です。

サブミニDCプリアンプ回路図(電源部).jpgB電源+ヒータレギュレータ

サブミニDCプリアンプ回路図(100Vレギュレータ).jpgEQアンプ用100Vレギュレータ

ちなみに,MJの回路図は,2SC1775Aのエミッタと5702のSGの交点にがついていませんので,ご注意ください。どの号もおなじで,100Vレギュレータの回路図には誤記があります。

レギュレータの誤差増幅器にはEQアンプ用の5702を使うよう,指定されていますが,同等品の旧ソ連軍用6J1B-Vを使います。これは,まったく5702と同じ特性です。もちろん,5702はMTの6AK5403Aと同規格です。

ところが.....。

驚いたことに,ウクライナから買った6J1B-Vには変な球があります。

なぜか,6111みたいに,電極が円形に引出されているんです。普通は5702同様,インライン(直線)配置のはずです。

5702, 6J1B-V-1.jpg

左から5702(Raytheon), 6J1B-V(インライン配置), 6J1B-V(円形配置)

なんや,これ,って思いました。てっきり球屋のオヤジが間違えたのだ,と思いましたが,管壁には6Ж1Б-Вと書いてあります。

どうもネットを調べてみると,このタイプの6J1B-Vが存在するようです。

残念ながら,規格表が見つからないので,電極配置もわからないし,返品しようかと思ったのですけれど.....。

まあ,いらない子なのはiruchanも同じだし,かわいそうになって電源で使うことにしました。

幸い,拡大鏡で電極配置を調べた米国人がいるようで,ネットに出ていました。こういうの,米国人ってあの大きな身体の割に,まめな人がいますね......。

あとで,規格表つきでeBayで売っているやつを見つけました。その画像を見ると,ピン配置は間違いありません。

6J1B-V pinout-2.jpg6J1B-Vの電極配置です。bottom view

いったい,それにしても,どういう理由で,同じ型番なのに電極配置が違う球があるのか......ロシア人の考えることはようわからん......。まあ,それに,そもそも敵国の開発した真空管をたぶん,自国のミサイルに搭載していたのだと思いますけど,この辺もソ連の技術力不足なのか,米国も別に真空管なんてハイテクじゃないし,自由に輸出してメーカが儲ければいいや,なんてことだったのかなんなのか,よくわかりません。

そういや,零戦のク式帰投装置に米国製の真空管が使われていましたね。どうしてもRCAの6F7が国産化できず,開戦直前に東京電気が代替球UG-6P7Gを開発できたので何とかなった,というのは有名な話ですね。

ちなみに,ク式はクルシーの略ですが,ずっとiruchanはメーカの名前だと思っていましたが,メーカは半導体でも有名なFairchildで,クルシーは開発者のGeoffrey Kruesiの名前だそうです。でも,これだったらクルーシーだな.......。

また,ヒータ用電源は金田氏はLM338を使っておられますが,これはモールドのTO-220だし,5Aの定格なので,iruchanはひとつ下の3A定格のTO-3型のLM350Kにしようと思いました......。やっぱ,メタルキャンがいいので.....。同時期の開発で,同じナショセミだし,問題ないと思います。

また,LM317LM350にはメタルキャンがあるのを知っていましたので.....。

ところが......。

RSコンポーネンツを見てびっくり!!

テキサスのLM350K(もう,ナショセミはテキサスに買収されて消えちゃいましたので.....)がなんと1万円超えです。LM338Kも同じです。IC1個で1万円とは驚き!! モールドのLM350ATなどなら350円ほどなんですけど......。

今どき,TO-3など,メタルキャンのものを作るとこんな値段になる,と言うことなんでしょうか。おそらく,それだけではなく,宇宙用とか,何か特殊用途向けなのでこれだけ高い,と言うことなんだと思いますけど。

こういうときはeBayで古い不良在庫品を探すに限ります。

やっぱり,新品のLM338KLM350Kを@100円くらいで売っているやつがいるではないですか!!

でも,これはフェイクLM350K steelなんて型番になっていて,ナショセミのSマークがついています。実際,テキサスもLM350K STEEL NOPBという型番らしいのですが....。

あまりに怪しいのでパス。どこか,中国の地下メーカが作って勝手にナショセミのマークを印刷して売っているのだと思います。実際,フェイクのLM338Kなどは5Aの定格なのに,1Aにもならない電流で切れちゃうそうです。ヒューズかよ。

と言うことですが,リニアテクノロジー製のLM350Kを安く入手できました。@$3.99でした。まあ,こんな値段が妥当だと思います。LT社はかつて,LM350Kを作っていたし,正規のセカンドソース品だと思います。

LM350LM380LM317は可変電圧レギュレータなので,GND端子に接続した2つの抵抗で出力電圧を可変できます。

またまた,ところが.....。

LM338K datasheet.jpgあのねぇ~~~[雨][雨]

テキサスインスツルメンツのHPからLM338の規格表をダウンロードして,抵抗の計算式を見ると.....これじゃ,どうやって計算するんだよって感じです。

まあ,iruchanは過去,規格表の間違いを結構見つけていますので,今回もミスですが,規格表にまちがいあっちゃいかんな~,って思います。

日本語版は正しい計算式が載っています。

LM338K 規格表.jpgもちろん,こちらが正しいです。

ということで,LM350Kを使おうかと思っていたのですが.....。

フランスで,SGSトムソン製のTDC2912KMという3端子レギュレータを安く入手しました。これ,ナショセミのLM7912同等品です。-12V,1.5Aの定格で,本機はヒータ用に,1.2A食いますので,ちょっとギリギリですけど,本機にぴったりです。

LM350K, TDC2912KM.jpg LM350KTDC2912KM

それに,-12Vだと,どうしてもフラットアンプ出力の下側の球がEh-kの定格がギリギリで毎回,問題になりますが,この点,少しでも楽になります。

まあ,WEプリで使った407Aだと90Vしかないので,前回,-40Vで点火しましたけど,今回,使用する61116N16B-Vはそれぞれ,200V,150Vなので+12Vで点火しても,問題ないっちゃ,問題ないんですけどね。

ただ,金田氏はそれでも-45Vのバイアスをかけて点火しておられます。今回,面倒なのでやめちゃう予定です。

☆アンプ部

次にアンプ部ですが,基本的に金田氏と同じ回路です。

ただ,フラットアンプには61116112の代わりに旧ソ連軍用6N16B-V6N17B-Vを使いました。

また,AOCのFETは,オリジナルは2SK170BLですけど,2SK30にしています。これは,gmが低いFETの方が,オフセット調整範囲が広いためで,前回,WEプリでは2SK170BLの調整可能範囲を超えてしまい,25Vくらいのオフセットが出てしまいました。

そのほか,レベルシフト用のTrはオリジナルは三洋の2SA1967ですが,今回,ここにメタルキャンの2N5416を使ってみます。TO-5のメタルキャンパッケージです。オリジナルはRCA? のようですが,iruchanはSTマイクロのものを使いました。今も現役で,高価ですが入手可能です。VCEO=300V,IC=1A,PC=1W(Ta=50℃)という定格です。2SA1967は900Vという耐圧がオーバースペックな割に,IC=10mAではちょっと心許ない感じです。音が悪い三重拡散型なのもちょっと気になっています。2N5416は音がよいとされるエピタキシャル・プレーナ型です。

サブミニDCプリアンプ回路図.jpg全回路図です。

EQアンプには,定電流回路が追加されています。WEやTELEFUNKENのMT管プリにはない特徴です。

        ☆          ☆          ☆

プリント基板を作りました。まだ一部,部品が足りないので未取り付けの部品があります。

EQアンプ基板2.jpg EQアンプ基板です。

今回,真空管を57026J1B-Vとで比較しようと思っているのと,やはり真空管はソケットがいるだろ,ということでソケットを使いました。せっかくサブミニ管なのだから,基板に直付け,と言うことも考えられるのですけれど.....。

やはりiruchanは真空管はソケットがないのはおかしい感じがします。

EQアンプ基板1.jpg 

SIP7pinソケットを使いました。6J1B-Vのピンはさすがに50年経っているので少し錆びちゃってました。

IC用の,シングルインラインタイプの7pinと言うのがマルツなどで売られていますので使いました。ちゃんと真空管も差せますし,割にしっかり固定します。

EQ素子はSEコンじゃなく,スチコンにしました。ついでに,カップリングの0.4μFもスチコンです。もう,貴重品ですね.....。EQ素子のスチコンは日本製ですが,カップリングは旧ソ連製です。

6J1B-Vは米国系サブミニ管のように,をペイントして#1ピンを示すのではなく,ガラスにが刻印されています。

フラットアンプ基板.jpg フラットアンプ基板です。

丸い円筒状のコンデンサはデカップリング用の0.1μFスチコンです。緑の抵抗はフラット電子のやつですが,ニッコームすら製造中止なので代替品です。でも,値段は5倍もしますね.....。もう,使いません。

フラットアンプ基板1.jpg 8ピンソケットもあります。

LF356Hなどのメタルキャン8ピンのOPアンプ用に,このような円形配置のソケットも売られています。マルツで買いました。

6N16B-Vの管壁に9207と書いてありますが,旧ソ連軍用の真空管には製造年月 or 受入年月が書かれています。1992年7月とすると,すでにソ連邦が崩壊したあとです。そんな頃まで真空管製造していたのか.....って思っちゃいます。

なお,こちらにも書きましたけど,旧ソ連製真空管はやはり,材質や品質管理の点から,古い方がよいそうです。

レベルシフト用のTrはSTマイクロの2N5416です。メタルキャンのTO-5なのがうれしいです[晴れ]

レギュレータ基板.jpg 電源基板

リップルフィルタ用にモトローラ2N6421とNEC2SC1864を使いました。+100Vレギュレータは往年の名石NEC2SA653を使いました。誤差増幅管は▲の6J1B-Vの円形配置版です。こちらは8710と書いてあり,1987年10月の製造のようです。ちなみに,EQアンプに使った6J1B-Vは69(月不明)と書いてありました。eBayで出品されている6J1B-Vを確認すると,1976年にはこの円形配置版があるようなので,おそらく,1970年代に入って,なにか,電極が円形配置のものが必要になり,どういう理由かわかりませんが,型番を変えなかったようです。アンプを作る上では,円形配置の方が便利だし,次回,アンプでも使ってみようかと思っています。

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自宅待機中に何枚もプリント基板ができました。

コロナ治療に携わっておられる医療関係者の皆様,また,われわれ自宅待機者の生活を支えてくださっている,郵便や宅配便業者の方々,ゴミ収集に携わっている方々に感謝したいと思います。


2020年6月12日追記

5月21日にオランダ・Amplimo社に頼んでいたトロイダルトランスがもう届きました。コロナ禍の最中,郵便局をはじめ,航空会社や空港,税関など,物流に携わっておられる皆様に感謝したいと思います。

amplimo-1.jpg オランダから来ました。

送料は€18.60で,トータル€65.70でした。約8,000円です。送料含めても,Rコアトランスより安いかもしれませんね。

amplimo-2.jpg 驚いたことに英国製でした。

最初,この取り付け金具とボルトがトランスの小箱に入っていないので,ビビりましたが,郵送用の段ボールの底に入っていました。ホッ。

Made in UKと書いてあるのに驚きました。欧州製なので安心です。

1次は115Vで,2次は120V,0.1A×2,6.3V,2A×2と真空管式DCプリアンプにぴったりだと思います。50/60Hzと書いてあるので,iruchanが住んでいる北陸でも安心です。

余談ですけど,そもそも日本で50Hzと60Hzに分かれているのは大きな問題ですね。世界的にも極めて珍しい状況です。

東京電燈が独AEGの発電機を買う,と言ってきたときに明治の役人が電気をよく知らなくてOKしちゃったため,と言うのが定説ですが,先に大阪電燈が購入したGE製と一緒にしろ,と役人の誰かが言えば,問題なかったはずですね.......。

おまけに,実は品川電燈や深川電燈などのエリアは米Westinghouseの機器を使って東京でも60Hzで電化していたのですが,それを東京電燈が買収しちゃったので,結局50Hzに統一されちゃいます。ほんまに東電は今も昔も悪い会社だな~~~。東京電燈のAEG機器の購入を許可した役人も,買収を認可した役人も,国家百年の計を誤った一例だと思います。

それに,やっぱ,周波数なんてわからない,文系はダメだな~~。


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