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金田式CR型超シンプルプリアンプの製作~その2 オールFETスーパー・ストレートプリアンプ~ [オーディオ]

2021年11月22日の日記

前回,金田氏設計のCR型プリアンプを作ることにしましたが,EQ偏差が意外に大きいので,オリジナルの回路のままとせず,EQ回路を少しいじりました。

ということですけど,最終的にiruchan版超シンプルCR型プリアンプはCDやチューナーも聴きたいし,最近はPC音源を聴くことも多いので,入力は切替SWを入れます。MC専用,と言うのがDCアンプ教の絶対教義なんですが,やっぱ,iruchanは邪道です.....。

本格的な回路図は最終回に載せます。まだいろいろとトラブりそうですので.....。

CR, NF Eq amplifier LTspice simulation.jpg本機の回路

えっ,と思った方も多いと思いますが,iruchanも,このプロジェクトをはじめたとき,最初,おやと思ったのです。

この超シンプルCR型プリアンプの記事を見て,何かに似ているな.....と思ったのです。

なんと,この回路はスーパー・ストレートプリアンプのFET版(No.122 MJ'91.9)とほとんど同じなのです。

もちろん,No.122はNF型イコライザなので,当然,EQ素子のところは違うのですが,あとは±VccがNo.122は±15Vなのに対し,こちらは±18Vくらいのもので,ほとんど抵抗値なども変わりません。

それならっていうことで,CR型,EQ型の切り替え式とすることにしました.......(爆)[雷][雷]

こんなバカなこと,考えるやつはいないと思いますけどね.....。やっぱ,教祖様に叱られる~~~!!

No.122はオール・メタルキャンTrのNo.121の続編で,iruchanはこちらはオール・モールドの素子だし,作るつもりはありませんでしたけど,オールJ-FETの音を聴いてみるというのも面白いかと思います。

☆音量調整について

ずっと以前のGOAの頃から金田氏は音量調整はNFB(β回路)にVRを入れて調整する方針となっています。こうすると音声の伝達経路から接点を省ける,という訳です。

とはいえ,非反転入力にNFBが入るわけですけど,その信号との差分を増幅するので,結局,音声回路に入っているのと同じ,と思います。

何よりこの方法の問題点は音量を0にできないこと。

それで金田氏はフラットアンプの入力をショートしてミューティングSWを入れていますけど....。

これはどうにも不便だ,と言うことでiruchanは昔からEQアンプとフラットアンプの間に音量調整用VRを入れています。これだとちゃんと音量は0にできます。

とはいえ,今回の超シンプルCR型プリアンプはこの方式はとれません。

と言うのはEQ素子の後に抵抗が入る形になり,EQカーブに大きな影響が出るからです。

しかたないので,金田氏の方法にするしかありません.....。

☆ゲイン配分について

今回,CR型,NF型共用という横着な回路を設計したので,2つ必要なアンプのゲインの設定に苦労します。
 
金田氏オリジナルの超シンプルCR型プリアンプのゲイン配分は次の通りです。
 
超シンプルCR型プリアンプゲイン配分.jpg
    "オーディオDCアンプ製作のすべて" から
 
今回,NF型と共用にするのですが,EQアンプはMC用だと60dB程度@1kHzのゲインが必要です。つまり,DL-103型ですと,定格出力0.5mVですので,EQアンプ出力で0.5Vになるわけです。
 
金田氏もNF型の場合,ほぼ60dBとなるように設計しておられます。
 
ところが,今回,CR型なので,NF型のEQアンプ出力とほぼ同等になるように出力電圧を揃えようとすると,CRのEQ素子で20dBの減衰があるので,1stアンプの出力としては80dBものゲインが必要,と言うことになります。
 
これ,ちょっとというか,相当,厳しいんですよね......。
 
というのも,素子がJ-FETなので,ゲインが取れないんです。開ループゲインとしては90dBくらいになってしまうでしょうから,厳しいのです。実際,あとで開ループゲインを測定したら,84dB弱でした。バイポーラだと120dBは取れるので楽勝なんですけど.....。
 
と言う次第で,金田氏は▲のゲイン配分の通り,1stアンプの出力は46.4dBですから,EQアンプの出力としてはわずか26.4dBしかありません。足りないゲインは2ndアンプで補う,と言う設計になっています。
 
iruchanはこのことに気がつかず,実際に測定してみてから気がついた,という次第です。バカだな~~~[雨]
 
iruchanはNF型と共用するばかりか,CDやチューナーも接続しよう,と考えているので,金田氏のゲイン配分ではダメです。金田氏のはMC専用だから可能な設計です。
 
と言う次第で,1stアンプは80dBのゲイン設定とします。
 
ただ,この場合,これはあくまでも1kHzでの値,ということで,高周波に行くほど,開ループゲインが落ちてくることも考えないといけないので,実際のゲインは実際に作ってみて,測定して考える,と言うことになりそうです。LTspiceは浮遊容量を考慮しませんので,高周波は苦手で,あまり当てになりませんから.....。

☆プリント基板の製作

最近まで,iruchanはサンハヤトの感光基板で作ってきましたが,数年前に感光剤が替わり,以後は全滅です。一度もうまく行ったことがなく,とうとう頭にきて最近は感光フィルムを使っています。何より普通の生基板が使えるし,フィルム自体もAliやamazonで安く買えるし,何より失敗してもやり直しができるのはありがたいです。

ホンマに今まで,サンハヤトには多額のお布施を払わされ,まったく何の御利益もありませんでした。これじゃ,何の価値もない仏像に多額のお布施を要求するエセ宗教の霊感商法と同じだ,と思います。

ただ,結構,感光フィルム方式もうまくいくまで苦労させられました。iruchanのやり方はこの記事をご参照ください。

その点,双信のSEコンも多額お布施が必要ですけど,高い品質と高音質というありがたい御利益がありますからね.....。

超シンプルCR型プリアンプ基板1.jpg 完成した基板

これでEQアンプ,フラットアンプともに1枚の基板に載っています。残念ながら,2SJ72は4個しか手持ちがないので,フラットアンプは2SJ75で代用しました。また,2N5465も今は入手困難ですので,同特性低耐圧の2N5462で代用しましたが,うまく動作しました。ただ,もう,2SJ75ですら入手困難ですし,2N5462もオンセミがどうも最近製造中止したようなので,今後,入手が難しくなるでしょう。それどころか,TO92の素子自体,もはや全部絶滅危惧種と言っていい状況ですから.....[雨]

超シンプルCR型プリアンプ基板2.jpg

NF型,CR型の切り替え用に2P,3Pのピンヘッダを使いました。実験時はジャンパピンでテストできます。1500pFはSEコンが在庫切れで,スチコンで代用しています。

☆LTspiceによるシミュレーション&実測

基板は無事に完成し,先々週からテストしています。

と,やっぱり.....。

いろいろ問題噴出!

なによりCR型とNF型でゲインが違います。当然と言えば当然ですけど....。

できるだけ,プリアンプの出力電圧はどちらも近い値にしたいと思います。ただ,録音用にEQアンプの出力まで揃えるとなると▲の議論で無理,と言うことがわかっています。

と言う次第ですが,EQアンプはDCアンプに限らず,OPアンプなわけですから,帰還量でゲインが決まります。OPアンプの反転側入力に入っている抵抗(▲の回路図でR8とR11)で簡単に設定できます。

で,極力,EQアンプの出力まで揃えよう,ということで,CR型のとき,1stアンプゲインを80dB近辺とし,EQ素子を通過したあとで60dB,NF型のとき55dB(ともに1kHz)とするとやはり問題が.....。

特に発振したり,ノイズが出たり,と言うことはないのですが,予想通り,CR型の時は高域の減衰が大き過ぎます。これは開ループゲインが足りないせいですね.....。

LTspiceでのシミュレーションでも同じ結果でした。

蛇足ですけど,2N54652N5462は同特性ですが,LTspiceのモデルとオンセミの公式? モデルはかなり違います。Idの設定がうまくいかず,LTspiceに登録されている,2N5462じゃ,動かないのに,2N5465にすると動くとか,かなり苦労しました。

RIAA偏差iruchan R8=390kΩ.jpg実測値です。

20kHzで,CR型の時はー1dBくらいになってしまいます。う~~ん,ちょっと許容できないレベルです。

なお,NF型で100Hz以下が低いのは金田式の特徴で,かならずこうなります。また,1kHzのゲインが揃わないのはあきらめ,フラットアンプで調整することにしました。CR型とNF型で7dBほど差があります。

しかたないので,やはりCR型の1stアンプのゲインはもっと下げないと高周波の偏差が大きいので,46.1dBとし,R8をLTspiceでシミュレーションした結果,200kΩに設定しました。

RIAA偏差iruchan R8=200kΩ'.jpgR8=200kΩ

こうすると,概ね偏差は±0.2dBというところです。1kHzでのゲイン差は11dBと拡大してしまいますが,フラットアンプで十分,調整できる範囲です。


と言うことで長くなりましたので続きはまた次回です。

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金田式IVCイコライザ搭載プリアンプの製作~その2 試作・測定編~ [オーディオ]

2021年11月3日の日記

前回から2ヶ月が経ちました。No.251 ダブルアーム対応超多機能プリアンプ(MJ  '17.2,3月号)を作っています。ようやくプリント基板も完成したし,テスト用の電源も準備できました。

IVC EQ基板.jpg 完成したプリント基板

実験なので,ミクシングアンプはLF356Hでも使ってやるつもりです。この基板で一応,OPアンプ使用のミクシングアンプまで載っています。

プリント基板はいつも通り,感光フィルムを使って自作しました。

残念ながら,SEコンが製造中止になる関係で品薄になっていて,15000pFと2200pFが手に入らないのでスチコンで代用です。

さて,テスト用の電源は+,-の絶対値が等しい電圧を出力するトラッキングレギュレータを作ったので,それでテストしてみます。

トラッキングレギュレータ3.jpg テスト風景

トラッキングレギュレータで±20Vを供給します。原設計では±25Vですが,±15Vくらいから動作するようです。ついでに,レギュレータ出力に1Ω 1/4Wの抵抗をかまして実験しています。こうするとトータル電流が簡単に測定できますし,何かあったらこの抵抗が焼死してくれて,基板を救ってくれますしね.....(^^;)。

まずはEQアンプから。

2個,半固定VRがありますので,調整します。

MJ '17.3月号が後編で,調整方法が載っています。EQアンプの出力につながっている7.5kΩとSAOCの2SK170BLのゲートを接地し,そのドレイン電圧を10Vにします。その後,配線を元に戻し,初段の2SA995のエミッタに入っている500Ωの半固定で出力のオフセットを0VにすればOKです。

う~~ん,でもこれ,やってみると非常に大変です。最初,後編は買い忘れたので,SAOCのFETのドレイン電流を適当にあわせていていたんですが,それでもちゃんとオフセットの調整ができるので問題ない,と思っていたのですが,よく観察すると+600mVくらいからー800mVくらいにオフセットが飛ぶ,と言う現象が出て,困りました。どうしても0V近辺だけ,オフセットが飛んじゃいます.....[雨] 最初,うまくいったのですけどね.....。

ようやく図書館で後編の記事を見つけて調整しました。やはり無手勝流に調整しているとダメですね....。

さて,今度は特性を測定してみます。きれいな正弦波も観測できるので,期待できます。

事前にLTspiceで調べておきましたので,結果を一緒に載せておきます。

IVC型EQアンプテスト回路.jpgLTspiceシミュレーション回路

IVC型EQアンプテスト'21.11.3.jpg結果

が実測結果で,……がLTspiceの結果です。予想していましたが,1kHzのゲインは55dBもあり,たった▲の回路でこれだけのゲインがあるのに驚きます。まあ,無帰還アンプだしこんなものなのでしょうけど,驚いちゃいますね。これでMCカートリッジも十分です。

ただ,前回も指摘していましたが,イコライザの定数は金田氏オリジナルでは低域に大きなピークができるので,560kΩを200kΩとしましたが,逆に200Hzくらいから低下しすぎてしまっています。

一方,LTspiceの方は1kHzのゲインが2.5dBほども大きく,また,イコライザ偏差は20Hzでも-0.1dBと小さいです。

う~~ん,なんでこれほどシミュレーション結果とずれるのかも不思議ですが,560kΩを240kΩとするとLTspiceでのシミュレーションでは+1dBくらいになるので,実機では偏差はほぼフラットになると思います。

次回,EQ素子を変更してテストしてみます。

また,金田氏の記事はまだイコライザアンプのあとにラインアンプがあり,そこでセレクターを経てミクシングアンプを使うのですが,イコライザアンプだけでプリアンプとしてのゲインは十分な感じです。

ということもあろうかと,ミクシングアンプはまだプリント基板を作っていませんし,なによりiruchanも電流伝送アンプは初めてでわからないことばかりなので,とりあえず実験用に,LF356HなどのOPアンプを使って反転増幅器をつくり,それでミクシングアンプの代用にしようかと思っていましたが,ミクシングアンプは不要なようです。

ラインアンプから直接出力するようにしたいと思います。


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電波時計の修理

2021年10月22日の日記

CITIZEN 8RZ006.jpg 無事に正確な時刻を表示しました。

先日,実家に帰ってみると父が使っていた電波時計式の置き時計がありました。家の中の標準時計として使っていたようです。やはり電波時計式は正確だし,ぜひ使いたいと思ったのですが.....。

シチズンの8RZ006という電波時計で,父が長年使っていたので,もうかなり古いものだと思います。

残念ながら,太陽電池式になっていて,長い間,暗い部屋に置いてあったため,全然,動作しません。

しかたないな~~。

と思って蛍光灯の下に置いておいたのですが,やはりいつまで経っても画面は表示されません。

さては.....。

おそらく,太陽電池がそれなりに劣化していて,出力が弱っている,と言うこともあるのでしょうけど,内部のリチウムボタン電池が完全に消耗してしまっているのだと思います。

これ,以前,日立の炊飯器でもそうでしたけど,マイコンが内蔵されている機械の場合,クロックやCPUの動作などのバックアップ用にボタン電池が内蔵されている場合が多いです。これを交換すれば直るはずです。

と言うことでフタを開けて中を見てみますと,案の定,2つボタン電池が使われていて,1つは大きなCR2477が使われています。もうひとつがどうしても型番が読めませんが,小さいし,おそらくこちらは問題なく,大きい方が消耗してしまっているのだ,と思います。

CITIZEN 8RZ006-1.jpg ボタン電池が2つあります。

右側の大きなフェライトバーアンテナが目を引きますね。これで40kHz(福島),60kHz(福岡)の電波を拾っています。

ということで近所のDIYショップでPanasonicのCR2477を買ってきて,交換しました。残念ながら,日立の炊飯器もそうでしたけど,端子がスポット溶接されているタイプで,市販されているのは専用のソケットに収めるタイプなので,このスポット溶接されている端子をむりやり剥がしてはんだづけしました。

無事に動作します。液晶画面も表示されるようになりました。

あとは背面のリセットボタンを押し,できるだけ家の外に近い,南側の窓のそばに置いてしばらく置いておくと受信して正確な時間を表示するようになりました。

         ☆         ☆          ☆

余談ですけど,電波時計というのはこのように非常に低い電波(長波)をデジタル変調してコードを送っています。AMラジオと同じ,両側帯波方式振幅変調(A1B)によるものです。

これって,戦前,まだ短波放送が実現されていない時代に欧州~米国~日本など,超長距離の通信を実現するために世界各国で実施された通信方式で,世界各地に送信所が残っています。

日本だと愛知県刈谷市の依佐美送信所が有名です。

まあ,すぐに短波が実用化され,長波だとkW単位の送信出力がいるのに,短波だと数Wで世界中に届くので長波方式は廃れてしまうんですが,海面下数mにも届くことがわかって軍事利用されます。

依佐美送信所も同様で,戦時中は帝国海軍,戦後は米軍に接収され,潜水艦との通信に利用されたようです。海面近くまで浮上し,艦尾から数kmに及ぶような電線を伸ばすと受信できるようです。「ニイタカヤマノボレ一二◯八」の通信はここから送出されたようです。

ちなみに,これは択捉島単冠湾から進発した日本の機動艦隊に先行していた潜水艦艦隊に向けて送信されたもので,水上艦艇には別の送信所(長崎の針生送信所説が有力です)から短波で送信されています。

それと,フィクションですけど,この辺の日米の動きをシミュレーションした佐々木譲の "エトロフ発緊急電" はとても面白いです。

依佐美送信所は解体されてしまい,本館も,送信塔も現存しません。送信塔を残しておいて,標準電波の送信所として活用できなかったものか,と思っています。

ただ,それにしても,電波時計はなかなか受信しませんね。大体,30分くらいは放置しないと正確な時刻を表示しません。

最近はスマホがNTPサーバーに接続するのか,時刻が正確になり,ヘッドホン経由で長波を出力し,電波時計をあわせるエミュレータアプリがあるんですね。確かに40kHzくらいならサウンド出力し,ヘッドホンケーブルをアンテナにすればできそうです。

とはいえ,電波時計で直接,長波を受信するのはかなり難しいし,エンコードされている時刻信号を読み取るのもなかなか難しいのでこんなアプリができるんですね。

ある日,某国から核ミサイルが飛んできて,報復攻撃するため各地に潜む原潜に発射信号を送出しても,デコードするのに数時間かかって,報復攻撃する頃には母国は滅んでいる......という状況なんじゃないんでしょうか.....。

         ☆         ☆          ☆

ただ,それにしても,日立に限らず,どの炊飯器も,この電波時計も,電池をユーザーが交換できない構造になっているのはいかがなものかと。電池が切れただけで普通の人は故障だと思い,買い換えてしまうでしょう。電池の寿命は5年ほどだと思いますが,5年で本体を買い換えなきゃいけないのはおかしい。

お店に持っていったらなんて言われるか,わかりませんけど.....。普通は「もう寿命ですね。古いし,新しいのを勧めます。」となるんじゃないでしょうか。親切に,「電池交換すれば大丈夫ですよ」というところもあるでしょうけど,結局,メーカに送り返して電池交換,と言うことになるでしょうから,電池交換だけでかなりお金を取られそう。それなら買い換えてしまえ,と言うことになると思います。


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CORAL 4A-70 10cmフルレンジスピーカーの復活 [オーディオ]

2021年10月20日の日記

CORAL 4A70-2.jpg CORAL 4A-70 4" full range speaker

急に寒くなってきましたね~~。皆様,お身体ご自愛ください。

父が亡くなり,正直なところ,ぽっかり胸に穴が開いたような状態になっていましたが,ようやく多少元気も出てきて,また,月に1回は北陸の実家に帰らないといけない状況なので,実家でちょっとクラシックでも聴こうかとスピーカーを整備しました。

実家のガレージを探してみたら,CORALの4A-70が出てきました。

これ,iruchanが学生時分,下宿で聴いていたやつです。フルトヴェングラー&ベルリンフィルのシューベルトの第9 "ザ・グレート" なんかをよく聴いていました。いま,これ8番というようですね......それって "未完成" じゃないんかいっ,て怒ってます。

NHK FMでも「シューベルトの交響曲第8番 "グレート" 」なんて放送してますしね.....[雨]

"NHKと裁判してる党 シューベルトの第8番は未完成" って党を作って衆院選に立候補しようかと考えています...(爆)。

そんなこと言っていると,「ザ・グレートは第7番」って言う爺が湧いて出てきそうなので止めておきます[雨]


もっとも,当時は箱は自作で,大学に合格して春休みの間に,t16mmのベニヤ板で自作して,黒いビニール壁紙を貼っていました。

ただ,あまり仕上がりがよくなくて,格好悪いので,結局,社会人になってお金を自分で稼ぐようになって,確か,コイズミ無線かどこかの専用箱に交換したものです。iruchanは工作マニアだけれど,木工は苦手です.....[雨]

ところがそれからあまり聴かなくなったようで,そのまま実家のガレージに置いてあったままのようです。

もう,30年近くたちますけど,今見てみるとアルミダイカストフレームの立派なユニットで,何よりマグネットがアルニコです[晴れ]

CORAL 4A70-1.jpg マグネットはアルニコです。

これは,ちょっと放置しておくのはもったいない。

それに,コーラルという会社はもうありませんしね......[雨]

コーラルは1946年,パイオニアの前身,福音電機から分離独立した会社で,最初はコーン紙専業で,社名も福洋コーン紙株式会社でした。その後,ラジオブームでスピーカーの需要が高まるようになり,スピーカーユニットの製造も手がけるようになります。のちに住友特殊金属傘下となり,この4A-70のアルニコマグネットも同社の供給によるものでしょう。

オーディオブームの終焉とともに,1992年,コーラルは解散してしまいました。本当に,山水とか,アカイとか,名門の企業が消え,残念に思っていますけど,コーラルも名門だったし,今でも熱烈なファンがいるので,とても残念です。

4A-70は1980年発売で,当時,6,900円もしたようです。大学合格祝いに,父に買ってもらって,下宿へ持っていったのだと思います。その頃の雑誌を見ると,同じ10cmユニットのFOSTEX FE-103が3,000円くらい,PioneerのPE-101が5,500円ですから,高いユニットだったと思います。

特に,当時,Technicsがこのような小型SPユニットに力を入れはじめ,従来のナショナルブランドで売られていたフルレンジのシリーズとは一線を画した,EAS-10F10などのシリーズはかっこよかったし,大人気でした。この会社の製品は安く,10F10だと2,800円と安かったので売れたと思います。ただ,松下のはかっこよかったし,よく売れたと思うんですけど,どうにも近代的すぎる感じがするし,まあ,それにこの会社,当時も今もあまり好きじゃないのでパスしました。

といって,FOSTEXはもとは音響製品などの機器組込用に販売されているユニットの外販らしく,外観がしょぼいし,Pioneerはマグネットが外磁型だし,ということでiruchanはコーラルにしました。友人がFLAT-8 懐かし~~ で聴いていて,音がよいのに憧れていたこともあります。

もっとも,コーラルは4A-70はアルニコだとはっきり宣伝していなかったような.....。せっかくのアルニコマグネットなのに,この会社,このことを考えてみても,どうにも終始控えめで宣伝が下手だったからつぶれたのか,と言う気がします。iruchanも今回,ガレージから引っ張り出してみて,アルニコだと気がついたくらいです。

一般的に,アルニコ磁石は磁束密度が高いのでサイズを小さくすることができ,内磁型,フェライト磁石は磁束密度が低いので外磁型,となります。アルニコの方が高価で,また,昔から音がよいとされています。フェライトの方が新しく,戦後の開発なので,古いユニットはアルニコです。

と言うこともあって,iruchanは4A-70を買ってもらいました。内磁型だったのはすぐにわかりますが,アルニコ=内磁型,と言うのはあとで知ったので,この頃は4A-70はアルニコと思っていなかったのだと思います。

10cmユニットは昔から人気があり,4A-70もAltecの405Aなどを多分に意識したものだと思います。特にダイカストフレームなところはよく似ていますし,センターキャップもアルミ製なのも似ています。4A-70だとジュラルミンのようですけどね。Altecの405は最初からフェライト磁石の外磁型のようですけど,特にPE-101はそっくり,と言う感じでしたね。CORALも廉価版の4A-71はフェライトでした。ただ,iruchanはこれは記憶がありません。あまり売れなかったのか....。

せっかくなので,復活させて30年ぶりに音を聴いてみよう,と思いました。

箱はそんなに傷んでなく,SPユニットもコーン紙が少し焼けて,茶色くなっている以外はなんともありません。エッジも問題ないです。

CORAL 4A70.jpg ちょっとコーン紙は茶色く変色しています。

なぜか,SP端子が切られていて,これをつけ直せばOKのようです。

ただ,困ったことに箱の背面は25.4mm間隔でφ16mmの穴が開いていて,これに合うSP端子がありません。25.4mmということは1インチ間隔だと思いますが,こんなに広い間隔のSP端子はありませんね。それに,φ16mmもの穴が開いている,ということは+,ー単独のSP端子も穴が大きすぎて使えません。アルミ板で端子台を作ってそういうのを使おうか.....とも思ったのですが,なんとかプラ製で20mm間隔のがあったのでなんとかかんとかそれを使って配線しました。

CORAL 4A70-3.jpg あまりにもショボいですけど.....。

        ☆         ☆         ☆

さすがに30年ぶり,と言うことで心配しましたけど,特に問題なく,音も出ました。アンプはとりあえず,LepaiのLP-2020Aにしました。これ,ものすごく音のよいデジアンです。

最初は全然低音が出なくてがっかりでしたが,鳴らし始めて2日ほどするとエージングできたのか,いい音で鳴るようになりました。コンパクトだし,いいSPユニットだと思います。もう,CORALも消えちゃったし,大事に使いたいと思います。


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実験用定電圧電源の設計と製作~その3:完成しました~ [電子工作]

2021年10月7日の日記

トラッキングレギュレータ1.jpg

このところ取り組んでいたトラッキングレギュレータが完成しました[晴れ]

OPアンプ回路やHiFiアンプの実験用に,±3~±22Vまで可変できる両電源となっています。5Vや9V,12Vなどの固定出力も設けました。

最高出力電圧は±35Vくらいにできると金田式にぴったり,と言う気もするのですが,さすがに使用したOPアンプNJM2147Dの耐圧が28Vで,あきらめました。

可変出力もつけたので,プリアンプの基板のテストの時など,様子を見ながら,徐々に加圧して,と言うこともできそうです。

ケースはタカチのSYH-110Bを使いました。サイズは110(W)×76(H)×140(D)mmです。コンパクトなサイズで,なかなか機能的ですが,ちょっと小さすぎました。もう少し大きなケースにして,電流容量も500mAくらいにしてもよかったかもしれません。

トラッキングレギュレータ内部.jpg 内部です。

一応,回路的にはTrを使った電流制限型保護回路をつけていますが,念のため,ポリヒューズも入れておきました。

こういう電源装置があると何かと便利です。これから本機を使っていろいろ実験してみます。

     ☆          ☆          ☆

2021年10月24日追記

いよいよ完成したので,早速,今取り組んでいる,金田式IVCイコライザアンプ基板のテストをしてみようと思います......,っと思ったのですが,やっぱりトラブル。

多少,基板自体は問題があったものの,無事に動くようになりました。

ただ,どうもオシロで見てみるとスゴいノイズ.........[雨][雨]

最初はイコライザアンプ基板が発振しているか,ノイズを拾っているかと思ったのですが,どうも変。

単純に,電源の波形を見てみるとかなりのノイズ。これが原因です。

DE-2645出力波形.jpg 出力波形

270Hzくらいのノイズが載っています。p-p値で220mVもあるのでびっくり[雨]

それに波形もおかしく,普通,シリーズレギュレータが発振したり,ノイズを拾っている場合でもこんな風にはなりません。

と言うことで怪しいとにらんだのは台湾製のデジタル電圧計。

こういうのは内部にマイコンを持っていて,そいつがクロックを持っているし,そもそもこいつは電源は被測定回路から取る,という,まあ,配線が簡単,と言う利点はありますけど,どう考えてもこれは横着。被測定回路の電圧は何Vか,決まっていないから,内部にDC/DCコンバータが入っているはず。DC/DCコンバータはスイッチングレギュレータですから,ノイズが出ないわけがありません。

実際,電圧計の配線を外すときれいなDCになりますから,やっぱり原因はこいつ!

ということで内部を見てみると,確かに,測定線が引き出されている部分に怪しげな空き端子があります。

ネットを見てみるとすでに研究した方がおられて,この配線を変更して別電源とするとよいらしいです。

そもそも,3V以下になると表示が消え,何Vかわからなくなる.....という欠点もあるので何とかしよう,と思っていましたけど,ノイズの点でもこれは解決策になりそうです。

DE-2645(改造).jpgこんな風に配線やり直しです。

また,内部に中国・Shanghai Mingda Microelectronics製の3VレギュレータMDX7133H(こいつはスイッチングタイプでなく,リニアタイプです)を使っています。

どうもこれが発振しているのは間違いありません。出力にセラミックコンデンサ(C3)がついているので,オシロのプローブを当ててみると激しく発振していて,完全に容量不足のようです。

データシートも入手できるので調べてみると出力コンデンサは最低10μF必要のようですが,セラミックなので足りないのかもしれません。3端子レギュレータはどれも同じで,出力コンデンサが小さいと発振しますので,ご注意ください。

ここに手持ちの10μFを追加してみましたが,かなりまだ発振しているので,470μFをつけたら静かになりました。

ただ,結局,このICの発振を止めても現象は同じで,やはりノイズが載っています。

と言うことで,測定するときはメータをカットしようかとも思ったのですけれど,電源を別にする,と言うアイデアを親切な方からコメント欄でご連絡いただいていて,JH1NDMさんのWEBに出ているとご教示いただいていたのですが,ノイズ対策にも使えそうなので試してみました。

▲の写真のように,DE-2645の電源線(赤)を隣に移設し,電圧の測定線を空いている,inと書かれたところに配線します。たぶん,この切り替えのため,ジャンパ線(0Ω)の表面実装抵抗があるので,これも撤去します。

DE-2645出力波形(改造後).jpg これなら使えそうです。

ようやくノイズも消え,きれいな直流になりました。まだ少しノイズが載っていますが,これは誘導によるものでしょう。

やれやれ,これで大丈夫と思ったら,なぜかマイナス側の電圧が低く,どうも過電流保護回路が動作してしまうようです。

結局,これは松下の2SD317のはんだづけ不良と判明し,脚が短くて酸化していて,はんだづけ不良になったようです。新品の2SC5171に変更しました。2SD317は以前,fTが低いのでコアレスモータ対応コントローラからリストラしましたけど,そのときに捨てておけばよかったです。

IVCイコライザアンプの基板から,きれいな正弦波が出力されるようになりました。


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実験用定電圧電源の設計と製作~その2:トラッキングレギュレータの製作~ [電子工作]

2021年9月20日の日記

トラッキングレギュレータ.jpg 現在テスト中です。

さて,今回は最終的に設計を完了し,プリント基板を作ってテストしてみたいと思います。

前回,LTspiceでシミュレーションをして,回路の定数を決めました。最終回路は下記の通りです。

トラッキングレギュレータ回路2.jpgトラッキングレギュレータ全回路

基本的にはシリーズレギュレータなんですが,±電圧が出力できるよう,トラッキングレギュレータとしています。また,整流は両波倍電圧整流とし,平滑用コンデンサの中点で接地し,±出力としています。よく,真空管のOTLアンプで用いられる回路ですが,一般的なブリッジ整流とすると2次側巻線が倍になり,トランスが大きくなるので止めました。

トラッキングレギュレータについては,前回の解説をご覧ください。

今回,出力電圧は5段階+可変出力とし,出力電圧範囲は3V~22Vとしました。3Vや5VはC-MOSやTTLのテスト用,9Vは006Pの代わり,15VはOPアンプ用,可変出力はDCプリアンプの実験用です。これだけ広範囲に電圧可変ができて,±出力できるものはないと思います。

最大電流は200mAくらいにしようかと思いましたが,小型化のため,100mAで保護回路が動作するようにしました。まあ,OPアンプの実験用なら十分すぎる容量ですし,もし,被測定回路に誤配線があっても,最大でも流れる電流は100mAで制限されるので,助かる確率が高いと思います。前回紹介した,中国製の大容量可変電源は5Aとか,10Aのものも多く,かえって危険だと思います。

また,単なる可変定電圧電源としてではなく,DCプリアンプの実験用にノイズ対策も考えてあり,整流はファーストリカバリ,また,基準電源はテキサスのTL431を使い2.5Vとしました。これは最低出力電圧を3V以下にするためです。かつ,この前紹介した本の通り,出力にπ型フィルタを入れてみました。

さて,いつものようにプリント基板を作って試験します。本では万能基板を使っていますけど......これだけ複雑な回路なのに,万能基板を使う人が特に特注測定器を作るプロの方には多いようなんですが,よくやるよな~~って,いつも思います。iruchanは正直,失敗や故障のもとだと思っています。金田氏も昔から万能基板なんですけど.....。

トラッキングレギュレータ基板 .jpg 完成したプリント基板。

 感光フィルムを使った自作基板です。きれいにできました。

制御素子は部品箱に眠っていた,東芝の2SB7532SD634にしました。同じTO-220ですが,コンプリじゃありません。どちらも定格はVCEO=80V, Ic=7A, Pc=40Wと大きなものです。あらためて規格表を見てみると今ごろ見てるんかい2SD634はダーリントンです。特に問題ないと思います。

2SB753, D634.jpg 2SB753/2SD634

東芝のPチャンネル素子が緑色だった頃のもので,懐かしいです。昔はよかったな~~~[雨]

さて,基板をチェックしたあと,慎重にスライダックで加圧しました。特にケミコンがパンクしたり,抵抗から煙が出たりすることもなかったのでまずはひと安心

すぐに出力電圧を調べてみますが,12Vくらいが出ており,-側も同じ値なので,問題なさそうです。VRを変化させると電圧もスムーズに変化するので,成功のようです。

ただ,最大出力電圧は22Vくらいになるはずなのに,12Vしか出ません。ちょっとまずいです。

調べてみると,VRに50kΩを使っていました。103と書かれていないといけないのに,503と書いてあり,部品箱から取り出すときに間違えたようです.....orz。

気を取り直して10kΩにして正常に動作しました。

      ☆          ☆         ☆

ケースはタカチのSYH-110Bを使いました。サイズは110(W)×76(H)×140(D)mmで,やはり少し小さすぎました。トランスは東栄のJ2403にしました。24V,0.3Aの容量があります。

可変出力もあるので,メータをつけようと思い,秋月で売っている,台湾DER社製のDE-2645を使いました。有効数字3桁なので,6.35Vなどと表示してくれるのはありがたいです。

ただ......。

電源は電圧測定端子から取るので,測定する電圧によってLEDの輝度が変わります.....[雨][雨]

まあ,輝度が変わると言ってもそれほど変化は大きくないのですが,さすがに3VくらいではLEDの輝度が低く,見にくいです。また,2.5V以下だと完全に消えてしまいます。

一体,なにを考えて設計しているのか......。

と言う次第ですけど,一応,試験もOKそうなので,次回はケースに収めて完成,としたいと思います。


2021年9月29日追記

しばらくテストしていたんですけど.....30分ほどしておかしなことになりました。

出力電圧が22Vくらいになり,調整できません。

う~~ん,何か壊れたな......[雨][雨]

まあ,普通,こんなことはあまりなくて,壊れるならすぐに壊れるものですけど....。

OPアンプを触ってみるとあっチッチ[雨]

NJM2147Dが壊れたか,と思いました。

確かに,規格表を見ると最大定格500mWと書いてあり,LTspiceでも400mWくらいの消費になっているので,ちょっとギリギリです。

でも,NJM2147Dを取り替えても現象は同じなので,OPアンプが壊れたわけではなさそうです。

次に疑うのは制御Trですが,2SB753/2SD634とも問題ありません。

なにが原因かわからなくなってしまいました。

ただ,オシロをつないでみるとOPアンプが不安定で,やはり発振気味のようです。OPアンプの入出力間に入っている100pFを大幅容量upで0.1μFにして発振が止まりました。

と言うことで,なにが原因かわからないのですが,どうもインバーテッドダーリントンに使っている2SC1815が怪しいと思い,交換してみると直りました。

と言う次第で,若干パワーアップして,2SC2655と交換しました。ついでに,2SD634もダーリントンTrなので,もったいないので松下の2SD317Aにしました。

これ,LEDの調光器に使っていたんですが,fTが25kHzと鈍足で,リストラした余りものです。レギュレータなら問題ないでしょう。2SC2655もオリジナルは東芝ですが,部品箱にあった台湾UTC製のいらない子を使いました。

OPアンプはやはり多少発熱するので,何か放熱器を,と考えて秋月で売っているラテパンダ用のヒートシンクをエポキシでくっつけちゃいました。LF356HなどのメタルキャンOPアンプなら,TO-5用の放熱器が使えますが,DIP8ピンのOPアンプだといいものはありませんが,これはなかなかよさそうです。

lattepanda放熱器.jpg ラテパンダ用ヒートシンクをつけました。

と言う次第で,ようやくテスト終了です。制御Trに取りつけた放熱器もほんのり熱くなるくらいで問題ありません。



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実験用定電圧電源の設計と製作~その1:トラッキングレギュレータの設計~ [電子工作]

2021年9月4日の日記

最近,いくつか金田式DCプリアンプを製作中です。

こういう半導体式のアンプの場合,プリント基板で作ることになるのですが,そういうときにいちいちそのアンプ専用の電源を作るのは面倒なので,とりあえずアンプ基板だけ作っておいて実験するのに何種類か電圧の設定がある電源装置を作っておこうと思います。

また,その昔,TTLで回路を組んでいたときなど,5Vの定電圧電源を用意しておく,なんてことをやっていましたよね~~。また,バッテリーの充電なんかにも12Vの定電圧電源があると便利です。

ということで,いつもこういう電源装置を作ろう,と思っていたのですが,なかなかこういうものを作るのは面倒で,元気がいります。でも1台あると便利ですね。

と言ってiruchanもさすがにこういうのを作るのはしんどいので最初は既製品を,と思いました。

でも,金田式DCプリアンプに限らず,オーディオ用の半導体アンプというのは,要はOPアンプなわけですから,±の電源が必要で,既製品にはこういう,+と-の両方の電圧が出力できるものはありません。

と思っていたのですけど......。

amazonを見てみると,中国製のなかなかよさげなのがたくさん出ているではないですか。

値段的にも1万円以下だし,容量的にも5A以上のもあり,まあ,実験用としては大きすぎるくらいですが,バッテリーの充電用にも使えるし,中にはUSBを持っていて,スマホの急速充電ができるものがあります。おまけに,単電源(+のみ)か,と思ったら,+V, ーV,GNDと書いたものがあるではないですか!!

Kungber定電圧電源.pngなんだ,あるじゃん.....?。

でも,これはダメ。他にも結構,出力端子が3つあるものがあるのですが,これはーとあるのはあくまでもこれと+の間で電圧が出力されますよ,と言うだけのことで,GNDは筐体アースのようです。GNDが0Vで,±Vccを出力してくれるものではありません。

それに,まあ,DCアンプやOPアンプの実験用としては,5Aなんて出力は過大。0.1A程度に制限しておいてくれる方がうっかり誤配線していても助かる可能性が高いです。

と言うことで,やっぱり実験用として,自作しないとダメなようです。

回路としては,もちろん,OPアンプ用に±出力が必要ですが,+とーで別々に電圧設定するのは面倒です。

こういうとき,便利な回路があり,+とーでひとつのつまみで設定でき,絶対値は等しく符号が反対の電圧を出力できる電源装置があり,トラッキング電源と言います。

まずは,参考書として,CQ出版の下記の本を持っているので参考に調べてみます。2001年に出版されているので相当前ですけどね....。

作りながら学エレクトロニクス測定器.jpg

本多平八郎著,トランジスタ技術 増刊 ハードウェアデザインシリーズ16 作りながら学ぶエレクトロニクス測定器

です。本当は歪率計を作ろうかと思って買った本ですけど,これに2種類載っていました。

例によって,LTspiceでシミュレーションして動作を確認します。残念ながら,金田氏の記事はもちろんのこと,この会社の出版物も含め,電子回路の本は誤植が多いので,最近は必ずチェックしてから製作することにしています。

と,やっぱり......[雨]

トラッキングレギュレータ(CQ出版).png原回路

出力電圧は15Vに設定したのですが,出力電圧は7Vくらいにしかなりませんし,ー側は-3.4Vくらいです。また,+側と同じように変化するはずですが違います。おまけにリップルまで乗っていて,定電圧電源になっていません。

トラッキングレギュレータ(CQ出版)1.pngシミュレーション結果

原因がちょっとわからなかったのですが,怪しいとにらんだのは制御Trのベースに入っている10kΩ(R2, R13)。

これは,以前,iruchanも鉄道模型用のコントローラを作ったときに入れた抵抗ですけど,普通は100kΩ以上の値です。このときは無負荷時に出力電圧が高くなるのを抑えるために入れていますが,10kΩという値では小さすぎると思います。

調べてみるとビンゴ!!

この抵抗に800mAも流れていて,ビックリ!! 出力電圧が大幅に低下してしまいますし,現実の回路じゃ,焼き切れてしまう値です。この抵抗は不要です。

また,この回路のままだと最低出力電圧は10Vくらいなので,iruchanはTTLのほか,PIC用の電源としても使いたいので,最低電圧は3Vを目指します。

最大電圧は22V程度あれば金田式DCプリアンプのほとんどの回路に対応すると思いますし,別に金田氏の規定電圧でなくても動作する回路は多いので,問題ありません。また,あまり高くすると定電圧出力時に損失が増えますので。

☆トラッキングレギュレータについて

さて,ここで,OPアンプを使った定電圧電源の原理と,トラッキングレギュレータについて,ネットを見ても,いい解説がありませんでしたので解説しておきます。金田氏も最初のDCプリアンプμPC55Aを使ったOPアンプ定電圧電源でしたね。OPアンプが最先端の技術で,もてはやされた頃の技術です。今じゃ,オーディオ用の定電圧電源としては使うことはなくなっちゃいましたけど......。

まず,OPアンプを使った定電圧電源は次のような原理です。シリーズレギュレータのひとつですが,どれも考え方は同じです。最近はスイッチング電源が増えているので,リニアレギュレータ,と言う言葉もあるのですが,どうも違和感を覚えるんですけどね.....。

OPアンプ電源.jpgOPアンプシリーズレギュレータ

ここで,OPアンプの2つの入出力端子(V+,V-)はイマジナリショートと言って,ショートされていると仮定します。とはいえ,もちろん,ショートしているわけじゃなく,電流が流れるわけじゃありませんけどね。ということですが,当然,V+=V-と言うことになります。

OPアンプのシリーズレギュレータはV+にVrefという基準電源をつなぎます。普通はここはツェナーDiを使いますね。

とすると,上記のイマジナリショートの原理で,V-も同じVrefとなるようにOPアンプの出力が出ます。

と言う次第で,出力電圧Voutは,

          レギュレータ出力電圧.jpg

となります。よく言われる,出力電圧は基準電圧の分圧比の逆数,と言うわけです。

別にOPアンプを使わないシリーズレギュレータも原理は同じで,このOPアンプの部分をディスクリートで作っていたりするだけです。

さて,トラッキングレギュレータの方はと言うと,+側はまったく同じです。


トラッキングレギュレータ.jpg

-側は同じ抵抗値で両出力間を分圧してあり,下側のOPアンプの非反転入力(基準電圧)V+はGNDとなっているので,先ほどと同じ原理でOPアンプはこの2つの抵抗の中点が0Vとなるように動作するので,+側と絶対値は同じで符号が反対となる電圧を出力する,と言う動作をします。

☆設計

さて,iruchanは下記の仕様で設計しました。

電圧範囲:3~22V

固定出力:3, 5, 9, 12, 15

可変出力:3~22V

実はこのように広い範囲で電圧可変とするのは難しく,OPアンプも▲の説明をお読みになってご理解いただけると思いますが,普通のOPアンプは電源が±15Vなので,最大電圧22Vという出力のレギュレータは設計できません。

ちなみに,先ほどのCQ出版の本の場合,OPアンプ出力に4.7VのツェナーDiを接続して,出力電圧をかさ上げしています。

その代わり,最低電圧はこの分だけ高くなってしまうので,この方式をやめ,最初から高耐圧OPアンプを使うことにしました。

新日本無線のNJM2147Dを使います。

最初,安価なNJM3404ADが使えるかと思ったのですが,これは単電源で,耐圧は36Vまでで,両電源で使用する場合は±18Vなので使えません。NJM2147Dだと±28Vまで使えるので十分です。高耐圧OPアンプは高価ですが,いつもお世話になっている秋葉原のサン・エレクトロさんで@200円でした。ありがとうございます。

シミュレーションでの回路と結果を示します。

トラッキングレギュレータ(iruchan).pngトラッキングレギュレータ

制御Trは損失低下を狙ってインバーテッドダーリントン接続にしました。

トラッキングレギュレータ(iruchan)1.png シミュレーション結果

出力電圧20Vを狙ったときの結果です。このように絶対値は等しく,上下対称の出力電圧となるのが正しい結果です。

最大負荷電流は100mAとしました。DCプリやOPアンプ電源用としては十分だと思います。制御Trの最大損失は2.3W(出力3V時)でちょっと厳しいですが,放熱器をつけておくこととします。

と言うことで,次回,実際にプリント基板を作って動作確認していきます。


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金田式IVCイコライザ搭載プリアンプの製作~その1 Spiceシミュレーション~ [オーディオ]

2021年8月23日の日記

今年の春,双信のSEコンデンサが製造中止になる,と言うニュースがDCアンプマニアの間に駆け巡りました。

このコンデンサはとても高く,WEのオイルコンとか,そういうヴィンテージ品のコンデンサを除けば,オーディオで使われるコンデンサとしては一番高いものだったと思います。

特に,DCアンプには必須の部品で,購入するには多額お布施が必要なんですが,教祖様の教えに忠実な信者の皆さんはせっせとお布施に励んだことと思います。

iruchanはお金もないし,と言ってどうもディップマイカは好きになれないので,昔からスチコンを使っているのですが,さすがにSEコンがもう手に入らない,と思うと最後にEQアンプを作っておこうと思っています。特にレコードの再生特性と音を決めるキモとなるパーツですしね。

と言うことで,現在2つプロジェクトが進行中です。


もうひとつ,IVC型EQアンプを作っておこう,と思います。

といって,実を言うと,この10年ほど,教祖様はすっかり教義を変え,いままでずっと完全対称アンプを基本として,電圧伝送方式のアンプを布教されていたのに,電流で信号を伝送するアンプを開発されていて,iruchanはまったくついて行けていません。

まあ,ちょっと歴史的なことを考えると,半導体アンプに限らず,ずっとオーディオの世界では電圧増幅を基本とする設計をしてきました。

でも,真空管やFETと違い,バイポーラTrは電流で電流を制御する素子だし,FETよりTrの方が歴史は長いので,本来,電流を増幅する回路の技術が進められるべきだったと思いますが,今でもほとんどのアンプは電圧増幅が基本です。

これを抜本的に見直し,MCカートリッジの電圧出力をいきなりVICで電流に変換し,以後,SPに至るまで電流を増幅しよう,と言う考え方は画期的なものだと思います。

とはいえ.....

当然のことですけど,回路まで抜本的に変わってしまい,特に最初の頃こそ,昔ながらの2段差動アンプを使ったものでしたけど,つい最近まで,シングルアンプで,しかもEQアンプも含めて無帰還というアンプになってしまっています。

ぱっと見,1960年代の半導体アンプか,と思ってしまうくらい,単純な回路になってしまっていて,差動アンプが半導体アンプの基本になっていたのに,パラパラとシングルのTr増幅器が並ぶ回路はびっくりです。また,EQアンプはNF型がずっと使われていたのに,CR型になっています。

バイポーラTrが誕生して以来,特に日本では半導体アンプは真空管アンプを基本にした考え方で,1970年代くらいまで,各段ごとにカップリングコンデンサが入ったシングルのTr増幅回路が必要なゲインまで入っている,と言うアンプでした。真空管と違うのはところどころでPNPのTrが入って,直結回路になっていたりするくらいで,真空管アンプと変わらない回路構成でした。

ところが,1970年代半ばに初段に差動回路を用い,大量のNFBを用いて広帯域,低ひずみのアンプが実現できるようになり,大きく回路構成が変わります。

とはいえ,差動アンプを用いはじめた頃はオーディオ用FETがまだ実用化してない頃なので,ACアンプで,初段はTrでした。また,2段目はシングルというアンプ構成で,その後にダーリントン接続のコンプリメンタリ出力段,と言う構成ですね。

日本ではそういう時間軸ですけど,海外ではJBLが1964年に発表したSE400でこそ,トランスで位相反転しているくらいで,電圧増幅段はシングルですけど,1966年発表のSA600パワーアンプでは初段がPNP Trによる差動アンプで,2段目はNPN電流帰還付の2段差動アンプになっています。別に2段差動アンプは金田氏の発明じゃありません。さすがはロカンシーと言う感じです。日本のアンプがこんな回路になるのは1970年代も半ばを過ぎてからです。

シングルのアンプはひずみも多く,iruchanが最初に作った半導体パワーアンプはこういうACアンプでしたけど,音が悪く,半導体のアンプは大したことない,なんて生意気にも思っていました。

そんな頃,金田氏が初段にソリトロンの2N3954デュアルFETを用い,2段差動アンプでパワーアンプを構成し,びっくりしたものです。

もとはハイブリッドOPアンプのナショセミLH0032Hをヒントにしたものと言われていますが,OPアンプはやはり2段目も差動アンプでないとダメで,国産の古いFET入力OPアンプはNECのμPC822μPC832など,2段目がシングル,と言うのが多いのですが,iruchanは敬遠しています。海外でもLF353などは2段目がシングルです。

差動アンプ,と言うのは特性のそろったTrが互いに逆相でプッシュプル動作をするので,偶数次のひずみを打ち消し,非常に低ひずみの増幅ができます。

この対称動作を出力段まで広げたのが完全対称アンプで,今まで金田氏の基本的な回路構成でした。

ちょっと,iruchanは完全対称,と言うアンプには疑問を持っていて,出力段の上側素子はコレクタ接地アンプでエミッタに負荷がつながっているのに対し,下段はエミッタ接地になっているのはどうも理解できません。

また,TrにはPNPがあるのが最大のメリットで,真空管のOTLは完全対称アンプ同様,どうしても出力段がアンバランスになってしまうのを純コンプリメンタリ出力にできるのに,このメリットを捨てちゃっているのは納得できないんですよね。

と言う次第で,実はiruchanは完全対称アンプの頃からすでに教祖様の教えについて行けていないんですけど.....。

でも,IVC型EQアンプの回路を見ていて,あまりにシンプルなのに驚くとともに,音もよいらしいので作ってみよう,と思いました。何よりシングル増幅で無帰還,また,CR型イコライザ,と言うのは魅力的です。

回路方式は,初期の頃は差動増幅でNF型イコライザだったのが,いつの頃からかシングル増幅でCR型イコライザになっているなど,かなり変遷しています。

もっとも,また最近は2段差動アンプ+NF型EQという構成に変わってきているようですけどね。

実際,作ってみようと思ったのはNo.251のダブルアーム対応超多機能プリアンプ(MJ '17.2,3月号)のタイトルがついたプリアンプ。

EQアンプを2台搭載し,次段がミキシングアンプとなっているので,音の比較ができる,と言う代物.....。

     "同時にレコードに降ろすとリアルタイムで比較ができる。"

らしいのですが......こんなことやる人いるんでしょうか。そもそもレコードだから同時に同じ溝に針が下りることは滅多にないし,そもそもダブルアームと言っても数cmは離れているので,同じ溝に入ったとしても音がずれてものすごいエコーになるはずで,リアルタイム比較なんてとんでもないという状況だと思いますけど......。

☆半導体

今回,金田氏の回路では2SA9952SC2291という三菱製のデュアルTrが使われています。2SA798と同じパッケージに入っていますが,普通,デュアルTrは2SA798のようにエミッタ共通が普通ですが,2SA9952SC2291はベース共通なので互換性はありません。ちょっと変わったデュアルTrです。

でも,iruchanはこんなのがあることは知っていました。

というのも.....。

知り合いの電器屋さんから,以前,三菱半導体のデータブックをいただいていて,それに載っていたからです。

'93三菱半導体データブックs.jpg トップは2SA798です.

1993年刊行で,三菱電機のオーディオ用半導体が載っていて,非常に助かります[晴れ]

でも,2SA798は載っていますが,2SA726は載っていませんので,すでにこの時点では名石2SA726は製造中止のようです。2SA7982SA726のデュアル版であることはよく知られていますね。でも......金田氏は2SA7982SA726とは音が異なる,と書いておられて,電源では使用してもアンプでは使用していません。

それに......

2SA995 datasheet.jpg ん!?

2SA7982SA995も同じ表現で書かれているのですが,”特性の良く揃ったトランジスタ2個が樹脂封止型の....組み立てられています” って書いてあります。

2SA798は同じチップ上に2個のTrが作られていて,いわゆるワンチップデュアル,と言う構造だと思っていたのですが......これでは人為的に選別して,特性の揃ったものをひとつのパッケージにした,デュアルディスクリートTrですね。2SJ75などと同じです。

これじゃ,高いはずだ,と思ったのですが,'80年代の某通商会社の広告では1個100円です。もはや2SA798は入手は絶望的,2SA995はまだ入手可能ですが,500円以上するので高いです。伊藤博文の千円札持ってタイムマシンで'80年代の秋葉に行きたい.....(^^;)。

2SA995は定電流回路やカレントミラー用で,2SA798と組み合わせた回路が応用回路例のところに載っています。

2SA995の規格表はネット上に出ていますけど,2SC2291は散々探しても出てこないので,PDFを載せておきます。


なお,どちらも意外に入手が難しいので,金田氏は代替として,2SA9702SC2240で代用できる,と書いておられます。

それで,うっかり,2SA970のデュアルが2SA995か? と思っちゃったのですが,2SA9702SC2240はそもそも東芝製だし,互換品じゃありません。

もっとも,今までは "○○じゃないとダメ" という書き方だったのに,金田氏は,

 "耐圧とコレクター損失が同等なら,ほかのTrでも同様に動作するので,いろいろ実験してみるのもよいだろう。"

と書かれていて,iruchanもTrの場合は最大定格さえ守れば,どんなTrでも使用可能と思っているので同感です。

教祖様もずいぶん柔軟な教えをされるようになったものです。

う~~ん,それなら,と言う次第で,iruchanは東芝の石は嫌いなので2SA970/2SC2240は使わないとして,名石2SA726を使おうか,ついでに,カレントミラーの方はNECの名石2SC1400を使おうか,と思ったのですけれど.....。

実はパターンを考えてやめにしました。

ディスクリート2個だと左右対称になって,パターンがもともと面倒なんですけど,ベースを共通配線にする,と言うことだと日本製のTrはたいてい,一番右がベースなので,余計にパターンが面倒です。本当に何で日本製のTO-92のTrはこうなのか,毎回腹が立ちます。海外のFairchildなどのTO-92は真ん中がベースというのが多く,合理的だと思います。

と言う次第であっさり諦め,金田氏の指示通り,三菱のデュアルTrを買いました。

三菱デュアルTr.jpg 三菱製デュアルTr

2SA798だけ印字が薄いです。確か,これはレーザー印字のもので,最近,東芝もこちらに変わりました。樹脂表面に気泡を生じさせて印字します。バーブラウンのOPアンプなんかこの印字法で,薄くて見にくいので嫌いなんですけどね~。白いのはシルク印刷だったはずです。とするとiruchanの持っている2SA798はほかのTrより新しいのだろう,と思います。また,2SA9952SC2291のフォントが違うのがちょっと気になります。国内の店で買ったのでニセ物ではないはずですけど.....。

でも,全部,いわゆる丸脚......銅製リードの証拠です。昔はこういうことにまでこだわったオーディオ用素子があったんだな.....いい時代だな~~~orz。

☆LTspiceによるシミュレーション

さて,次は実際にプリント基板を作る前にシミュレーションで動作を確認してみます。Trは2SA970/2SC2240があったので使います。さすがに初段のソニー2SK43のモデルはないので,2SK117で代用しました。

ところが......。

う~~ん,うまく動きません。1kHzくらいから下はRIAAカーブから大きくずれ,とんでもない特性になっています。

IVC EQ回路(LTspice)''.jpgLTspiceシミュレーション回路

IVC EQ f特(LTspice)original''.jpgLTspiceシミュレーション結果

  ▲のEQ_V_outのf特ですが,なんや,これぇ~~~っ[雨][雨]

200Hzくらいから大きくゲインが過大になり,RIAAカーブからずれていきます。また,▲のグラフは1kHzを0dBとして描いているのでわかりませんが,1kHzのゲインは60dBもあり,これならラインアンプは不要です。MCのEQアンプなら50dBくらいで十分です。ちなみに,先日完成したオールメタルキャンTrのスーパー・ストレート・プリアンプは45dBでした。ラインアンプ出力だと80dBくらいのゲインになるので過大です。

低域の大きなピークとEQ偏差は何かが間違っているのですが,原因がわかりません。

Spiceで動かなかった回路が実際作ってみたらちゃんと動く,と言うことはあり得ないので,ここで一旦ストップ。

1914年9月,破竹の進撃を続けてきたクルック将軍率いるドイツ第1軍団はマルヌ川を越えたところでとうとうフランス・ガリエニ将軍に側面を突かれ,兵站線も延びきって疲弊したドイツ軍はパリを目前にして100マイルも戦線を後退せざるを得なくなり,ドイツ必勝の計画だったシュリーフェンプランは破綻しました.....ってところでせうか。う~~~~ん。

iruchanも原因を探ることにします。

    ☆         ☆          ☆

2021年8月24日追記

実はこのシミュレーションは5月に実施していて,どうにも原因がわからないので放ってありました。

30HzくらいのピークはSAOCのせいで,もっとカットオフを低くすれば直ることはすぐわかります。2SK170のドレイン~ゲート間に入っている0.22μF(C4)が小さすぎ,もっと大きくする必要があります。

ただ,それでもダメで,低域のRIAA偏差がとんでもなく大きいです。

ようやくいつもお世話になっている,kontonさんのWEBでシミュレーション結果が出ていました。

EQ素子のターンオーバー時定数がオリジナルではおかしいようです。

iruchanもそうだと思っていろいろシミュレーションしていましたが,15000pFのコンデンサをいじっていました。kontonさんによれば,パラに入っている560kΩ(R10)をいじらないといけないようです。

iruchanのシミュレーションでは200kΩくらいが適当なようです。220kΩだと偏差が大きいです。

IVC EQ f特(LTspice)200kΩ,1μF.jpg修正後。


R10=200kΩ,C4=1μFとしたときのf特です。次回,基板と電源を作って確認してみます。

また,EQアンプのゲインは大きすぎますし,ラインアンプ自体にもSAOCが必要,と言う話もあり,ラインアンプは不要で,そのままミクシングアンプに接続してもよさそうです。


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男子用トイレ自動水栓の修理

2021年7月11日の日記

ちょっと今日は尾籠な話で恐縮です。

男子用の小便器の水が流れにくく,ボタンを押しても何度か押さないと出ないようになりました。

ボタン周辺から水が漏れたり,流れにくくなったり,止まらなくなったり,どうも男子用の小便器の水のトラブルは多いですよね。

こうなると困っちゃいますよね.....。

実はiruchanはこれで2回目で,同じ実家のトイレだし,ほかにはこんなことになったことはないので,どうも最初からあまり調子がよくない感じですけど,父が亡くなり,母が1人で暮らしているので,使っていないせい,ということもあるようです。使っていたら怖いよな.....

原因はバルブの故障。中を点検しないといけません。

トイレの水はボタンやレバーを押すとある一定時間だけ水が流れて自然に止まる,というシステムですが,機械的にはフラッシュバルブという仕組みです。

真鍮でできたケースの中にピストンバルブという,上下に動く栓があり,ボタンを押すとピストンバルブが上に動いて排水栓(便器側)が開いて水が流れますが,バルブに設けられた細孔から次第にバルブ上部の隙間にも水が溜まって,今度は逆に,次第にピストンバルブが下がって最後は排水栓を塞いで水が止まる,と言う構造です。

つまり,水が出ないというのはおそらく,このピストンバルブが動かなくなっていて上昇せず,排水栓が開かない,と言うのが原因だと思います。よくある,水が止まらない,というのはピストンバルブがきちんと一番下まで下がって排水栓を閉じないから,ですね。

とにかく,問題はこのピストンバルブにあるので,これを取り出して調べます。

まずは,トイレのフラッシュバルブはよく見るとマイナスねじの調整箇所が2つありますので,給水栓(水道管側)を止めて(右いっぱいに回す),今度はケースのフタを外します。

ちなみに手前側のねじはピストンバルブの上昇位置を変更して水が流れている時間を調整します。

フラッシュバルブ1.jpg 調整ねじは2カ所あります。

本当はウォーターパイププライヤーがあればいいですが,iruchanは横着してモンキーで外しました。

フラッシュバルブ4.jpg フタを外します。

そうするとピストンバルブが見えますが......。

フラッシュバルブ.jpg これが実は簡単に外れません。

そりゃそうですよね。真鍮の部品でぴったりはまっていなけりゃ,ちゃんと動作しないのはもちろん,水漏れの原因になりますからね.....。

と言う次第ではめ合いはかなりきついですから,垂直にまっすぐ引出さないと外れません。

iruchanは父が遺した変わったやっとこで引っ張り出しました。

フラッシュバルブ2.jpg  部分に緑青がありました。

案の定で,ピストンバルブ下部の3つのツノ状の部分が排水管にはまる格好になっているのですが,そこに緑青ができて,そのせいでうまくピストンバルブが上下に動かなかった状況のようです。

▲の写真は,ちょっとサンドペーパーで磨いちゃったあとの写真で申し訳ありません。先端部分に緑青ができて,ざらざらになっていました。

簡単にサンドペーパーで磨いて修理完了。もちろん,ピストンバルブ自体を交換してもよいですけどね。ホームセンターで売っているようです。

また,そのほか,▲の写真の四角い窓の部分に金属のメッシュがあり,フィルタになっているんですが,ここが目詰まりしても同じ現象になるようですので,時々,掃除が必要です。

フラッシュバルブ5.jpg 使用した工具類です。

水道屋さんに修理を頼むといくらかかるか,わかりませんが,手間賃が相当かかるはずですので,最低でも5,000円,実際には1万円以上かかるのではないでしょうか。無事に直ってよかったです。


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金田式CR型超シンプルプリアンプの製作~その1 さよならSEコンデンサ & Spiceシミュレーション~ [オーディオ]

2021年5月23日の日記

先週,ようやくオールメタルキャンTrを使ったスーパー・ストレートプリアンプを完成し,音を聴いたばかりです。

このアンプ,記事はMJ '91.6月号に載ったものですが,そのときに作ろう,と思って部品集めをしていたので,実に完成まで,30年かかったことになります......(爆)。

確かに,非常に音がよく,メーカー製のPioneer C-21を使っていましたが,これを駆逐し,今後はこれが主役となります。

ただ,完成して音を聴いてみると,まず,第一印象として,非常にクリアーな音がするアンプだな,ということを感じたのですが,次の感想として,どうにも地味な音がする,という印象を受けます。

今まで,iruchanは古いメタルキャンパッケージのTrやOPアンプが好きで,アンプをよく作りますけど,メタルキャンの半導体の音として,非常に高音まで澄み切った明るい音がする,と思っていました。実際,中華デジアンのLepyのLP-2020AではナショセミのLME49720Hを,LP-2024AではLF355Hを使いました。また,モノラルLP用のCR型プリアンプではLME49720Hを使っています。

これらのデジアンでは,もうもとのモールドのOPアンプには戻れないな~~と思うくらい音がよく,気に入っています。

ただ,今回のスーパー・ストレートプリアンプではちょっと印象が異なります。クリアーな音だけれど,何か地味な音がする,と言う印象です。まあ,LEPYのアンプはOPアンプだし,こちらはバイポーラTrという違いがありますけど.....。

金田氏は件の記事の最後で,

"やはりメタルキャンTrの音楽表現力がものを言ったのだ。予想はしていたものの,この音が出るのに何年かかったろう"

と書いておられます。

実際,この文章を読んで,本機を作った人はたくさんいる,と思います。

でも,金田氏は続いて,"今度は気の遠くなるほど多くのアンプの改良作業が始まる...." と書いていて,すべてメタルキャンTrにするおつもりだったのだと思いますが,その割にそのような改造はしておられないようですし,オールメタルキャンTrのプリやパワーの記事はその後,出ていません。

やはり音が少し違ったからか....という気がします。金田氏もこのように書いてから,その後の改造を止めてしまったのだ,と思います。それとも,その当時ですら,2SA606や,特に,2SC959が高くなっていて,入手が難しくなりつつあったので,編集部から続編は不要,という要望があったのかもしれません。入手できない高価な真空管や半導体を使った記事が出ると,編集部に抗議の電話がかかってくる,と言う話を昔,聞きましたけど,そういう事情もあったのでは,と推察しています。

まあ,現在は今からアンプを作ろう,などという人はいなくなって,昔からのマニアしか雑誌を読まないし,そういう人はデッドストックがあるのであまり抗議がこなくなった,と言うこともあるのか,最近はMJもラ技も大昔の真空管の記事ばかりですね.....。

と言う次第なんですが,iruchanも実を言うと,本機より,先ほどのLME49720Hを使った,モノラルLP用のEQアンプの方が音がよいように思えます。このプリはステレオLPも再生できるよう,RIAAは2チャンネルで作っていますしね。

その理由は,メタルキャンのOPアンプを使ったこともありますけど,やはりEQアンプがCR型であることにあるんじゃないか,という気がします。

iruchanはアンプ作りをはじめた中学生の頃から,ずっとCR型に憧れていました。あの頃,生意気にもMJ(当時は "無線と実験" でしたけどね)やラジオ技術を読んでいて,時折,CR型は音がよい,なんて書いた記事が出るのでずっと憧れていました。

そういうこともあり,実際にOPアンプ仕様ですけど,初めてCR型を作ってみて,やはりそうか,と思った次第で,今度はちゃんとディスクリートでMC専用プリを作ってみたい,と思いました。この前のアンプはMM型用ですし,OPアンプICを使っていますからね。

ということなんで......。

DCアンプ教の信者? としては,ぜひ金田氏の設計のCR型プリアンプで作ってみたい,と思うんですけど.....。

といって,iruchanはプリント基板を使っているし,指定部品は半導体以外はほとんど使わないので,信者と言っても異端審問会にかけられて間違いなく火あぶりの刑に処せられますね.....怖っ[雷]

それはともかく,そもそも金田氏は最初からNF型オンリーで,一度もCR型の記事は書いたことない,と思っていました。

でも,どこかで見た記憶があります.....

といって,DCアンプシリーズの一覧表を見てもそんな記事はありません。おかしいな~~。

よく調べたら通常のDCアンプシリーズの記事じゃなく,例の完全対称アンプを発表したあと,MJで論争があり,その後,スーパー・サーキット講座と称して完対アンプに至るまでの研究成果の解説をした一連の記事の中にありました。

MJ '97.3月号のスーパー・サーキット講座 No.15 ”CR型イコライザーの解析” ですね。また,この記事は2003年3月に出た,単行本 "オーディオDCアンプ製作のすべて" にも載っています。

オーディオDCアンプ製作のすべて上巻.jpg もう絶版で,amazonで5,000円以上します....[雨]

ようやく見つけました。▲の本は持っていたのに,ほとんど読んでなかったので,気がつきませんでした....信徒が教祖様の本を読まないなんて,やっぱり火あぶりだな.....[雨]

どこかで見た記憶がある,と思ったのはこの記事ですね。早速,GW中に実家に帰ってコピってきました。

しかも,中の記事は2種類あって,ひとつは超シンプルな回路で,簡単に作れそう(失礼)と思いました。もうひとつは広ダイナミックレンジの高級版です。

残念ながら,半導体はオールJ-FETなのですが,東芝の2SJ72が肝心かなめの2段目差動アンプに使われていて,これはiruchanもあと4個しか手持ちがありません。オールFETプリメインアンプ(No.136 MJ '92.9)のメイン部分のみを作ったときのあまりです。

あの頃ですら,2SJ72は入手難で,国内では見つからず,iruchanも欧州の部品屋から通販で買ったものです。まだ,あの当時は中国の部品屋が暗躍? してなくて,海外から取り寄せてもまずにせ物はなく,正真正銘の本物が入手できました。日本から直接半導体を輸出したり,輸出した機器の保守用だったりしたのでしょう。

そのときの残りをここで使っちゃおう,と思います。残念ながら,プリにしちゃうと片ch.分しかないので,EQアンプに使い,フラットアンプはデュアルの2SJ75(シングルは2SJ74)とにするつもりです。

まあ,2SJ752SJ72じゃ,gmが22mSと40mSで,倍ほど違うのですが,フラットアンプならそうゲインはいらないし,問題ないのでは,と思います。そもそも2SJ75だって,もう入手難ですしね.....。おまけに2SJ75はメタルキャンですしね.....違うか。

超シンプルCR型プリアンプ使用半導体1.jpg 使用半導体

    東芝の2SJ72はこれで手持ち最後です。

          ☆          ☆          ☆

さて,春頃に衝撃的なニュースが出回りました。

金田式ファン必須の双信のSEコンデンサが製造中止になる,と言うものです。

ついに来るものが来たか,という気がします。そもそも,SEコンって,海底ケーブルの中継器用に開発された,と聞いていますし,そもそも今時アナログで中継するわけはないし,本来の用途としてはもう使われていないだろ,と思っていました。

内部に使われているガラスペースト材料の製造中止に伴い,来年3月で製造終了,とのこと。どうも鉛が原料に含まれていて,例のRoHS指令に引っかかるため,のようです。

iruchanはあまりにもこのコンデンサは信者にとっては多額のお布施が必要で,やっぱ 宗教 オーディオはカネがかかるな~~という代物です。それでiruchanも,オールメタルキャンプリとか,WEのMT管DCプリなど,ここぞ,と言うプリ以外には使っていないのですが,今回,CR型プリを作ろうと思ったのは,特に,CR型だとEQ素子のコンデンサが主役だから,最後にSEコンを使おうと思ったんですよね~。

といって,SEコンは熱に弱く,あるとき破裂するらしいので,WEの真空管プリからは撤退させようか,と考えているのですけど.....。

おそらく,iruchanも今回のプリアンプがSEコンを使う,最後のプリアンプになると思います。

早速,某通商会社に行ってみると,1500pFや5100pFなど,よく使う値のものはやっぱり在庫切れ.....orz。

しかたないので,追加発注したので,ということで100日待ちです。

当面,スチコンで我慢するしかないようです。

SEコン.jpg さよなら Goodbye, forever!

やはり最後なので,高くてもお布施をしておきました。

          ☆          ☆          ☆

さて,いつも通り,LTspiceでシミュレーションして動作を確認してみます。最近は本の記事をコピーする場合でも,必ずLTspiceでシミュレーションしてから作ることにしています。下手するとMJの回路図にはミスがありますからね......。

超シンプルCR型プリアンプ(金田氏オリジナル)1.jpg 

  LTSpiceシミュレーション回路(金田氏オリジナル)

東芝の2SJ722SJ74のSpiceデータはCQ出版の付録で入手しました。

ちゃんとSpiceで動くので,問題なさそう.....と思ったら,前回のオールメタルキャンTrスーパー・ストレートプリアンプ同様,EQ偏差が意外に大きいです。

オリジナルの金田氏の定数ではやはり偏差が最大0.4dBもあります。

RIAA偏差original.jpg

     LTspiceでのシミュレーション結果

金田氏は件の記事で実測結果を出していて,▲の結果通り,偏差のカーブは同じような形状で,最大+0.47dBと報告しておられて,LTspiceのシミュレーション結果とぴったり一致しています。

う~~ん,ちょっと悩んじゃうんですが.....。

金田氏のCR型EQ素子の回路はちょっと変わっていて,融合型と称しておられます。

RIAA素子.jpg左:通常,右:融合型

左が一番一般的なCR型EQ素子の回路で,右が金田氏の融合型です。

通常型はちょっと問題なのは,入出力端子が直流的に浮いてしまうことで,前回のモノラル用EQアンプの場合は,前段がOPアンプで,その出力と直結するので,次段のOPアンプも直流的に0Vになるからいいのですが,真空管アンプも含めてACアンプの場合,次段の初段バイアスが不定になってしまいます。まあ,考えようによっては直結回路にすれば問題ないので,メリットかもしれませんが.....。

そこで,通常はEQ素子の前か後に抵抗で接地し,直流的に0Vとするのが普通です。この場合,後に接続するタイプだとEQカーブに影響が出ますので,極力大きな抵抗値とします。

一方,金田氏の回路も同じなのですが,困ったことにいくらDCアンプと言っても,EQアンプの出力にカップリングコンデンサは避けられないので,やはり直流的に浮いてしまい,問題になりますが,金田氏の回路は前段に820kΩがGNDとの間に入っていて,接地されていますので,直流的に0Vとなります。

でも,何かこの回路は変。定数的にもちょっと偏差が大きいようです。

ということで,iruchanは以前,CR型EQ素子の計算用にExcelのシートを作りましたが,それを使ってEQ素子だけ変更しました。このシートはRIAA以外のEQカーブの素子の定数計算に使い,Spiceや実測で検証しましたけど,正確でした。

今回,EQ素子の回路は通常版とし,R1=1.22MΩ,R2=175kΩ,C1=1800pF,C2=620pFとしました。

DCアンプ教のエセ信者のiruchanは多額のお布施を払いたくないのと,1500pFが在庫なしなので,時定数は抵抗で稼ぐことにし,コンデンサは容量を小さくしました....(^^;)。R1が小さい方がいいのですが,そうするとコンデンサの容量が大きくなってしまいます。

RIAA偏差iruchan.jpg

iruchan版です。偏差は±0.08dBです。CR型だと0.1dB以内に収めることは可能です。

結局,iruchan版超シンプルCR型プリアンプはこうなりました。

超シンプルCR型プリアンプ(iruchan).jpg2N5462を使います。

金田氏ご指定の2N5465は入手難なので,耐圧が低い2N5462で代用します。特性は同じだし,2N5465はVDS=60Vなのに対し,耐圧が低いと言っても2N5462は40Vだし,本機はLTspiceでシミュレーションしても18V程度しかかかりませんのでOKです。

と言うことですけど,長くなりましたので続きはまた次回です。次はプリント基板の製作に取りかかります。


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