SSブログ

サブミニチュア管DCプリアンプの製作~その5・トラブル対策編~ [オーディオ]

2022年3月1日の日記

調整中.jpg ようやく調整に入りました。

調整中ですけど,仮設でもパイロットランプ(LED)はつけておくことにしています。

前回,出力段の6N16B-Vが1本,スパークして昇天してしまった,と報告しました。

被害は甚大で,急遽,6N16B-Vをウクライナに注文し,すぐに届きましたが,念のため,周辺の回路を調べてみると,ツェナーDiのRD24Fが単なる抵抗と化していますし,出力段には金田氏の原設計にはないんですけど,アイドリング測定用に10Ωの抵抗を入れてあるのですが,これが数kΩになっていました。

やはり過電流が流れたのは間違いなく,それでスパークしちゃったんですね......[雨][雨]

それで,てっきりiruchanは旧ソ連製の6N16B-Vが不良品だと判断し,なんや,スターリンもたいしたことあらへんな......って思ったのですけど.....。

末尾に-V(キリル文字では-Bですけど)がついているのは軍用で,特にOTKマークが入っているものは軍の規格適合品の証明で,信頼性が高いはずなのでおかしいな,とは思っていました。-Vがついているだけなら真空管メーカの品質管理の符号ですけど,OTKはソ連軍が受入検査をして合格した,と言う意味ですね。

とりあえず,これらの部品を交換し,6N16B-Vも新品に交換したのですが,現象は同じで,念のため,スライダックでゆっくり加圧してみるとかなり大きな電流が6N16B-Vに流れています。

こりゃまずい.....[雨]

と言う次第で,基板を取り外し,入念にチェックします。特に,プリント基板は自作なので,パターンが接触していないか,ハンダ屑がついてショートしていないか,チェックしましたが,異常ありません。

他にも抵抗や周辺のTrが壊れていないか,チェックしましたが,問題なさそうです。

蛇足ですけど,Trの不良は本当は外して調べるのが正しいですが,オンボードでも,P-N接合の電圧を見ると大体わかります。0.6V前後になれば,そのTrは正常です。

そのはずだったんですが.....

散々調べてもパターンミスや他に壊れた部品はありません。

そのうち,2段目のレベルシフト用のTrのエミッタ電位が片ch.がおかしいと言うことになんとか気がつきました。ここは金田氏の原設計(No.174 MJ '03.12)では三洋の2SA1967なんですけど,iruchanはモールドが嫌いなので,メタルキャンTO-5の2N5416を起用しています。

-Vccにつながっている方のTrのエミッタ電位が+になっています。

えっ~~~!!

金田氏の記事では,-102.8Vと書かれていますから,完全におかしいです。実際,正常な方はこれくらいの電圧です。

測ってみると+100Vくらいもあり,これじゃ,下側の6N16B-Vは異常な+の高電圧がg1にかかっていたことになり,スパークしたのだと思います。

なんや,こいつが悪いんか......。

と思って,2N5416を外して調べてみてもhFEが測定でき,正常です。

一応,念のため,別の2N5416に代えてみても現象は同じで,エミッタが+になっています。

こんなはずはないので,まだプリント基板がおかしいかと散々調べても異常は見つかりません。AOCがおかしいかと思いましたけど,Spiceでシミュレーションしても関係ありません。

ようやく,全部の真空管を抜いてこの電位を調べたら,やはり+になるのでおかしいことに気がつきました。

ということでようやく,このTrが高電圧で降伏し,リーク電流が異常に増えているのだろう,と想像しました。

Trの特性で,VBEが0Vでもリーク電流がどうしても少し流れ,これはどの規格表にも書いていますけど,普通,数十μAで,これならエミッタ電位は1V変わるかどうか,と言うくらいのはずですが,今回,5mA程度流れているようです。2N5416も熱っチッチです。3Wくらいコレクタ損失が出ているようです。

そこで,東芝の2SA1924(VCE=-400V,IC=-0.5A, PC=10W)に交換してみますと,正常に動作します。エミッタ電位も-100Vくらいになります。

やはり2N5416が不良のようです。VCE=-50Vくらいで降伏してしまう感じです。

実を言うと,この2N5416は5年前,eBay経由で中国から買ったものです.....[雨]

悪かったのはスターリンじゃなく,習近平でした.....orz。

どれもきれいな仕上がりで,メーカ表記がモトローラのものとオンセミのものが2種類ありましたけど,社名変更が1999年のことなので,それほど怪しくはない,って思っていました。

このうち,ON(オンセミ)と表記されたものが怪しいようです。

ということでM(モトローラ)と表記されたものに交換したら正常に動作します。

おそらく,ONと書かれたものは何か別の,耐圧が-50Vくらいの普通のTrをリマークしたもののようです。

安かったのですが,もう中国からは買いません。皆さんもお気をつけください。

フラット基板調整.jpg あやしい~~~[雨][雨]

このまま,東芝の2SA1924に交換しても良かったのですが,モールドパッケージだし,電極配置が2N5416とは異なるので,モトローラの2N5416に交換しました。

ついでに,初段の定電流回路とAOCに使われている,2SD756も耐圧ギリギリなので,2SC2551に交換しました。

おかげですっかり泥沼にはまってしまい,まる1ヶ月間,膠着状態でした.....。

          ☆          ☆          ☆

1918年3月,ドイツ帝国の西部戦線司令官ルーデンドルフは最後の賭けに出ます。ロシアは前の年に事実上,敗北し,1917年3月3日にブレスト・リトフスクで講和条約に調印していました。東部戦線の戦力を西部戦線に全面的に投入し,新兵器の戦車A7Vとパリ砲を投入し,乾坤一擲の大作戦に打って出ます。前年4月にアメリカがドイツに宣戦布告していましたが,まだ大部隊は到着していませんでした。

3月21日,ついにパリ砲が火を噴き,合計183発が発射されます。当初,パリ市民は飛行船からの爆撃,と考えましたが,砲弾の破片を分析し,大砲によるものであることが判明して驚愕します。

ドイツ軍はパリまで120kmの地点まで進撃しますが,5月にはアメリカ遠征軍が到着,7月には第2次マルヌ会戦で敗北するとドイツ軍の進撃は止まり,8月にはこの攻勢が終息します。

原因は補給不足であるとか,米軍の大部隊による攻勢とも言われていますが,スペイン風邪の流行による影響も大きかった,と思います。

そもそも第1次世界大戦が塹壕戦になって4年もの間,膠着状態に陥ったのは開戦劈頭のシュリーフェン作戦の失敗によるものであり,参謀総長のモルトケが前任のシュリーフェンが立案した作戦を改変して2個師団を削減し,また,先陣を切っていた,第1軍のクルック将軍がセダンの戦いの再現をもくろんでフランス第5軍を包囲殲滅して決定的勝利を得ようとパリを目前にして回頭したため,です。

そのあと,モルトケはヴィルヘルム2世に,「陛下,この戦争は我々の負けです。」と報告したことが知られています。参謀総長がそう言うなら戦争はもうおしまい,ですね。

モルトケと言っても,普仏戦争の大勝利の立役者であった,大モルトケの甥で,本来は参謀総長に就くような人物ではなかったようです。でも,戦争の行方は正しく見通していました。

小モルトケはヴィルヘルム1世の孫であったヴィルヘルム2世が「俺もモルトケが欲しい」ということで昇格させた人物でした。ルーデンドルフはモルトケを憎んでいたでしょう。

やはり三代目は国を滅ぼすようですね......。

          ☆          ☆          ☆

iruchanはなんとか膠着状態を脱し,これでようやく調整に入れます。詳細はまた次回です。



nice!(7)  コメント(0) 

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント