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メタルキャントランジスタを使ったスーパー・ストレートDCプリアンプの製作~その6・再修正,試聴編~ [オーディオ]

2021年5月16日の日記

スーパー・ストレートプリアンプ内部2.jpg ただいま,調整中です。

 メタルキャントランジスタがずらり[晴れ] トランスはRコアじゃなく,トロイダルです。

前回から9か月が経ってしまいました。試聴するのに時間がかかってしまいました。

一応,去年,11月に試聴しています。音のいいことに感心したのですが,いくつか不具合があり,修正したいと思いましたけど,ちょっとその間,あまりにもいろんなことがあった,と言うことがあり,ようやく今,再調整しています。

問題点としては,

 ① ハムが少し出ている。

 ② バランスボリウムがおかしい。

 ③ EQアンプの感度が低い。

 ④ Spiceで予想したとおり,やはりEQアンプの偏差(高域)が大きい。

ということです。

まず,ハムについてですが,Phonoポジションじゃなく,全部のポジションで出ていますので,原因はフラットアンプと思われます。

思いつくのはループ。GND配線が各基板ごとに1点だけ,シャシーに落とさないといけませんが,プリアンプだと配線がややこしく,シールド線も使うので,どこかで2点アースになっている可能性が高いと思います。

よく調べてみると,基板から黒い線で直接シャシーに落としている線と,シールド線経由で背面パネルのRCAジャック経由の2個所でGNDに落ちていました。これで解決です。

バランスボリウムは配線ミスで,ch.Lがどうしても小さくならない,という現象でしたけど,調べてみたら配線ミスでした。

で,あと調査が必要なのは③と④です。

本機では,CDやチューナーが10時くらいの位置でいいとするとPhonoは1時くらいの位置になってしまい,Phonoの感度が低すぎます。確かに,今の時代,レコードだけじゃなく,CDやハイレゾ音源など,デジタル音源を聴くことが多いと思いますが,デジタル機器は最大2Vの出力電圧がありますので,通常のフラットアンプではゲインは0でもいいくらいで,通常のプリだとPhonoとレベルが違いすぎる,と言うことが往々にしてありますよね。

対策は簡単で,これは金田氏も書いているとおり,EQアンプの反転側入力(NFB)のゲートに入っている抵抗(▼の図のR)を小さくすれば,EQカーブが変化することなく,Phonoの感度を変えられますので,簡単に調整することができます。

ただ,④は問題。

その4で実測した際に,EQ偏差が低域で1dB,高域で1.7dBも偏差がありました。その2でシミュレーションしたとおりの結果です。EQ偏差は±0.2dBくらいにしたいところです。

まあ,低域は30Hzだし,高域は20kHzでの偏差なので,それほど問題ないっちゃないんですけどね。ただ,10kHzで0.3dBあり,そこから急に偏差が大きくなる現象は,NFB型EQアンプではよくあることですし,特に金田式の場合は常にこうなります。

NF型イコライザ回路は,次のような回路で構成します。

eq素子.jpgNF型EQ素子

普通は左で,金田氏の設計では右の回路となっています。定数としては,R1=820kΩ,R2=51kΩ,C1=5100pF,C2=1500pF,R3=3.6kΩです。1kHzでのゲインは,大体,A=R2/Rで表され,本機では,R=470Ωとなっています。計算上,40.7dBです。Spiceでシミュレーションしてみると,42.9dBでした。

高域での上昇の原因は,EQ素子の1500pFに直列に入っている,3.6kΩ(R3)であることは前回,指摘しました。

この抵抗はNF型イコライザ回路では超高域でNFB100%となってNFB量が過大になり,アンプによっては発振するから入れられていて,金田式の場合はたいてい,入っています。真空管式や他の半導体アンプでは入っていないことも多いです。

で,今回はこの抵抗を撤去することを考えてみます。発振しなければ取ってもよい,と思います。

と言うことで,やはりLTspiceでシミュレーションして確認してみます。

一応,R3を0Ωにしても問題なさそうですし,実際,動作させても問題ありませんでした。

ただ,注意が必要で,カートリッジをつなぐと発振することもありますし,やはり小さな抵抗を挿入しておこう,と考えました。超高域でNFB量100%と言うのはあまり気持ちのよいものではありませんしね.....。

ちょっとこのあたり,昔から指摘されていますけど,NF型イコライザの問題点です。もちろん,コンデンサはある周波数から上はインダクタンスになり,また,決してインピーダンスが0Ωになることはないのですけど.....。

と言う次第で,f特に影響を与えない範囲で,小さな抵抗を入れておくことにし,120Ωを挿入しておきます。また,ゲイン向上のため,R=300Ωとしました。5dB程度,向上するはずです。

実測したデータとLTspiceによるシミュレーション結果を載せておきます。

EQアンプ特性(実測)1.jpg

   実測結果とLTspiceによるシミュレーション結果です

が実測で,がLTspiceによるシミュレーション結果です。1kHzでのゲインは46dBで,シミュレーションとほぼ同じです。高域の急上昇は消え,最大でも+0.2dB程度です。低域で,シミュレーション結果と違うのが原因がわかりませんけど.....概ね,50Hz~20kHzで偏差は0.2dBに収まっていると思います。

          ☆          ☆          ☆

さて,お楽しみ.....レコードを聴いてみます。

米Mobile Fidelityという会社がargoレーベルで出していた,SLのサウンドです。ステレオのレコードが出た頃,こういうサウンドエフェクトのレコードがたくさん出ましたよね。といってiruchanも生まれるずっと前の話なので,中古のレコードで知っているだけですけど.....。また,折しもSLが消えつつある時代,SLのレコードも割に出てしました。

実を言うと,このレコード,菅原正二さんの映画 "ジャズ喫茶ベイシー" の冒頭に出てきて,いきなり度肝を抜かされるんですけど.....あのレコードがほしいと思って中古盤屋さんで買いました。残念ながら,iruchanのシステムじゃ,SPがフルレンジ1発なので,とてもベイシーのように大迫力では鳴りませんでしたけど......orz。

ただ,iruchanが入手したのはオリジナルの米盤じゃなくて,日本のキングレコードが出していたもの(日キング SR-502)。普通,国内盤のジャケットはオリジナルと多少違っていたり,また,当然レーベルが変わっていることが多いので,まったく同じジャケットというのはないのですが,これはまったくオリジナルと同じで,間違っちゃいました......orz。国内盤の古いのは要注意で,針圧の重いセラミックカートリッジでガリガリやってノイズの多いレコードが多いので,心配しましたが,これはノイズが少なかったです。オリジナルは結構な値段がします。

steam railroading under thundering skies-s.jpg Steam railroading under thundering skies

結構,有名な盤らしく,人気があります。CD化もされたようですけど,CDは高いです。もっとも,今はストリーミングで安く聴けるようですけど.....。

米南部,Bonhomie and Hattiesburg Southern鉄道を走っていた,1925年Baldwin製ミカド(D51と同じ2-8-2配置)の咆哮と雷鳴が大迫力の素晴らしい音響だと思います。このシリーズはほかにもたくさんありますけど,中でも1960年録音のこの盤は,自然の荒々しさとSLの力強さが相まって,名盤とされています。

ちなみにこの鉄道はGulf Mobile & Ohio鉄道の支線で,全線27マイルの路線です。1925年開通のようですから,このミカドもそのときに購入されたものでしょう。木材輸送のため建設されましたが,大部分の米国のSLは本線用は1940年代,残るものも1950年代には姿を消していて,この鉄道はマニアのメッカになったようです。日本で言えば,寿都鉄道のような存在だったかもしれません。

1961年に整備士の死去に伴い,蒸機運転を終了し,1972年にはIllinois Central鉄道とGulf鉄道の合併に伴い,会社は消滅していますが,路線自体はその後,買収された現在のCanadian National鉄道の一部として存続しているようです。実際,Googleマップを見ると単線の鉄道がヘロヘロ~~っとアラバマ州Mobileのかつてのターミナルまでのびていますし,空撮画像を見ると途中の駅か信号場で貨物列車が停まっているので,今も使われているようです。余談ですけど,カナダ国鉄が米中部の路線を経営しているのは知っていますけど,驚きますね。また,B&HS鉄道の機関車は保存されているようです。一度,見に行きたい.....。



次はジャズ。

Curtis CounceのLPを聴いてみます。amazonで安く買いましたけど,今見てみると1万円近い値がしています。びっくり!

You get more bounce-s.jpg Contemporary C7539

ちょっとエロいジャケットですけど,曲はスイングしてとてもよい演奏ですし,何より録音もナローレンジだけれど,ノイズもなく,とてもよい録音だと思います。

スタンダードナンバー "Stranger in Paradise" を聴いてみませう。


まず,1956年という非常に古い録音なのに,HiFiなのは驚き!

レンジは狭いですけど,ノイズもないし,昔の録音はよかったなー。レコードとは思えない,クリアーな音質だと思います。プリの再生能力もなかなか高そうです。
 
最後はアナ雪!
 
前回,FrozenIIの Show yourself! を聴きましたが,今日はもち,Let it go!
 
Frozen LP.jpg 海外版だけ,LPが出ています。
 
う~ん,やっぱ松たか子さんのをアナログで聴きたいな~~~[晴れ][晴れ]

スーパーストレートプリアンプ竣工.jpg ようやく完成しました[晴れ][晴れ]

   下はPioneerのC-21。これでお役御免です。

ケースは昔からやってみたかった1Uのケースに収めて,超薄型です。

音はハッとするような表現力と優れたS/NでHiFiなことに驚かされます。特に,iruchanが作ったプリアンプは全部MM型用なのですが,どうしてもヴェールをかぶったような,なにかボケた印象がありますけど,このプリアンプはどこまでも澄み切った印象がします。やはりMC専用でないとダメなのでしょうか。


では,またよろしくお願いします。


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