モノラルレコード用CR型イコライザーアンプ(EQアンプ)の設計と製作~その2:製作編~ [オーディオ]
2020年3月30日の日記
往年のモノラルLPの正確な再生を目指して古いイコライザ曲線を持ったEQアンプを開発中です。前回,各CとRの値を決めたところまででした。今回は部品集め&製作編です。
さて,回路は下記の通りにしました。ステレオLPも再生できるよう,2ch.で考えてあります。純粋にモノラル盤専用,ということなら,上半分だけで結構です。でも,せっかくCR型のEQアンプを作ったのに,ステレオ盤が聴けない,というのはもったいない,と思いました。
アンプ部はナショセミ(テキサス)のLME49720のデータシートにあるとおりで,23倍(27dB)の非反転増幅器を2個使っていて,途中にEQ素子が入っています。でも,そのデータシートの回路の入力容量はなぜか10pFと非常に小さな値だったので,通常のMMカートリッジ用に100pFとしました。iruchanはなぜかこれに気がつかず,自分で回路図を描いて,後からデータシートを見て気がつきました。普通は47pF~100pFくらいだと思います。
それと,iruchanは下記の工夫をしました。
このようなモノラル盤用EQアンプを作った場合,ステレオLPの再生をどうするか,と言うのが問題になると思います。
まあ,本機はモノラル専用にして,モノラル盤専用のプレーヤを1台用意するか,アームをもう1本つけてモノラルのカートリッジを使えばいいんですけど,それなりに面倒だし,場所も取りますよね~~。
じゃ,ってんで,やはりやりたいのは,普通のステレオのカートリッジを使って,そのままEQアンプにつないで,モノラルのLPのときはモノラル合成して使い,ステレオのLPの時はそうせずにそのままステレオとして使う,と言うことだと思います。
今回,iruchanも使用するカートリッジはDENONのDL-103なので,昇圧トランスを経て,そのままこのEQアンプの入力部で合成してモノラルにします。ステレオLPの時はそのまま再生するよう,切り替えSWを設けることにしました。
入力部の100Ωと47kΩの抵抗ネットワークが合成部です。これでLとRの出力を加算してモノラルにします。
本当言うと,ステレオ⇒モノラル合成はトランスでやりたいんですけどね......。入力が600Ω×2で,出力が600Ω1系統というようなトランスだと合成できます。もし,2次側が10kΩくらいのやつだとMCカートリッジの昇圧もできますよね。
今回,うまくいったら将来的に真空管でCR型EQアンプを作ろう,と思っていますがそのときはトランス合成にしたいと思います。
なお,アンプは当然,2ch.分用意しないといけませんが,ステレオ時はRIAAのみでよいので,ほかのモノラル盤のEQ素子は使いません。と,思ったのですけれど,前回も書きましたように,初期のステレオDECCA盤は旧ffrrのカーブで作られている,と言う話もあるので,ステレオのEQカーブにffrrを追加しています。
メーカ製のEQアンプにもステレオ時もすべての旧EQカーブが再生できるようなものがありますけど,ちょっとムダだと思います。
LTSpiceでのシミュレーション結果です。
念のため,LTspiceで動作を確認しておきます。無事に動作するようです。なお,LME49720HのSpiceモデルは見つからなかったので,散々ネットを調べたところ,LME49710のモデルがあったので使いました。これはLME49720のシングル版です。1kHzでのゲインは38dBのようです。
さて,お次は部品集め。
iruchanは半導体アンプは金田式で作ることが多いので,抵抗は進工業のプレート抵抗です。もっとも,もう,この抵抗はとうに製造中止なのでニッコームも使うんですけど,ニッコームももう製造中止のようです......orz。
しかたないので,部品箱をあさって,かなりの部分の抵抗を見つけましたが,足りない部分は某通商会社で買いました。ところが,もうニッコームですら揃わなくなってきていますね.....やむを得ず,普通の金属皮膜抵抗にしました。
どうしてもプリアンプには昔,中坊の頃に読んだ製作本の影響か,カーボン抵抗はノイズが多いので敬遠しちゃいます。もう問題ない,とは思うのですけどね.....。プリアンプには金属皮膜,というのが頭にこびりついちゃっています。
さて,抵抗の次はコンデンサ。
やはりiruchanはこれも中坊の頃から,スチコンと決めています。もう,遙か昔に製造中止なんですけど......。
スチコンだと容量が正確だし,無誘導巻きなのでインダクタンス分が小さく,高周波特性が優秀でESRも小さいので音もよいです。値段も安かったし,昔からのお気に入りです。
先日,旧ソ連軍用のスチコンを買いましたが,これらはカップリング用の大容量品なので,とりあえずは手持ちをあさって部品を揃えました。
NOBLE(帝国通信)や富士通,Zeus,Rubyconがスチコンメーカとして有名ですが,ほかには松下も作っていたようです。
まあ,中坊の頃からスチコン集めているので大部分は揃っちゃったのですけど.....。
どうしても100pF,200pF,2700pF,3000pFがなかったので,某通商会社のほか,Yahoo!でも買い集めましたが,それでも2700pFがなかったので,ついにはAli Expressで中国製を買いました。2700pF捜索中には中坊の時に作った,LF357Hを使ったEQアンプの基板が出てきて,それに使っていたので外そう,と思ったのですけど.....。
これは三栄無線が出していた,LF357H+LF356HのDCプリアンプキットの回路図を元に,自作したものだと思います。
30年前の自分が作った基板を壊すのはやめにしました。大昔に自分が作ったものが出てくる,なんて,ミョ~な気分ですね......。思わず,
♪なんか変な気持ちね~~~ 生まれてはじめて~ こころが躍るの~~
( ♪ 神田沙也加さんの声で! )
って歌っちゃいました.......(^^;)。
220pFはたくさん持っていたのですが,NABカーブ用の200pFはなく,これを220pFで代用しようかと思って先日のExcelシートで計算したらアウト! でした。これくらいの容量差でもダメなんですね......。
とはいえ,今,驚いたことに秋月のほか,RSコンポーネンツでも売っているので,どこか不良在庫があったのか,新たにまだ作っているところがあるようです。ただ,品種は少ないので,やはり古い在庫を探す必要があります。秋月のは台湾製のようです。
ところが,なかなかAliに注文した2700pFが来なくて,まいりました。結局,ひと月もかかりました。普通はもっと早いんですけどね.....。eBayでもNOBLEの2700pFを売っているやつを見つけましたけど,〒込みで@200円するのでやめました。中国製は@75セントでした。残念ながら,某通商会社も,秋月も,RSコンポーネンツも,Yahoo!でも2700pFは見つかりませんでした。疲れた~~。
ちなみに,スチコンは容量誤差が小さいのでディップマイカ同様,よくEQ素子として使われましたけど,iruchanが手持ちのものはほとんどJ級(5%)でした。ごくまれにH級(3%)があるくらいです。この前の旧ソ連軍のはD級(0.5%)でした。一体,どういう誤差だよ.....。
電源は簡単に3端子レギュレータです。
トランスはRSコンポーネンツの#124 3858というプラモールド製のトロイダルトランスにしました。2次側は0-15V×2で0.233Aの容量があります。漏洩磁束も少ないし,半導体プリにはぴったりだと思います。もう,オーディオにはEIコアやRコアのものは使いません。値段もたったの1,200円というのは驚き
整流のDiは日立のV19Bを使いました。200V,1Aの規格です。ファーストリカバリなので,trr=200nsと高速ですが,古いDiなので最新の素子から見ると見劣りします。ウルトラファーストリカバリDiにするか,ショットキーの方が音はよさそうですが,不良在庫を活用することにしました。とうにiruchanも会社じゃ,不良在庫なので......orz。
MC78L15ACP, MC79L15CP, LME49720H
部品箱をあさって,古い3端子レギュレータを引っ張り出してきました。金メッキなのが驚きです。表記が8008だったりするので,1980年の製造です。もう,モトローラもなくなっちゃいましたしね.....orz。
基板自体はこの前の3連休で作りました。ようやく,昨日,中国から2700pFが届いたので基板が完成です。もうお~~っ!!!(怒)。
それに,今どき中国からの荷物なんて.....上海からでしたけど.....。検疫(嫁はん)通すの大変でした......。
ようやく基板が完成しました。これだけスチコンが並ぶと壮観です。
面倒なEQ素子の切り替えはAlpsの基板用4接点ロータリーSW SRBM149501を使いました。MOUSERで1,000円以上しますが,配線が楽です。
ついでに,OPアンプは直付けせず,DIP-8ピンソケットを使いました。まあ,ほかのOPアンプを使うことはない,と思うのですけどね.....。
続きを読みたい,という奇特な方はこちらへ....。
2020年4月9日追記
うちの庭でシロバナタンポポが咲きました
2年ほど前まで,1株を植木鉢で育てていましたが,とうとう枯れてしまい,残念に思っていたのですが,種が飛んでいたのだと思います。ことしは5輪ほど咲きました。
種を取っておいて,また植木鉢に植えておこう,と思っています。
2020年6月13日追記
4月に頼んでいた,アンプケースがようやく中国から届きました。いったい,いつまでかかってんだよ!
〒込みで$21と格安ですけど,なかなかかっこよいです。パネルが6㎜もあるので加工が面倒です。でも,ヘアライン加工がきれいに仕上がっていますが,裏はバリがあって,さすがのチャイナクォリティ~~orz。
これからシャシー加工します。
モノラルレコード用CR型イコライザーアンプ(EQアンプ)の設計と製作~その1:設計編~ [オーディオ]
2020年3月29日の日記
とうとう,東京など関東地方では週末の外出自粛令が出て,いよいよ次は某知事がクーデターを起こして戒厳令を施行して国会解散,憲法停止して軍事独裁政権の確立かと,身構えている 反体制派 自由主義派のiruchanです.....。
さて,先週,ちょっとご報告申し上げましたが,iruchanはサブミニチュア管を使ったDCプリアンプと,CR型EQアンプを作っています。今日はそのCR型EQアンプの経過をご報告します。
きっかけは,中国Lepai社のデジタルアンプ。いくつか記事を書きましたが,結構ご好評をいただいていて,アクセスは2万件以上の記事も多いです。
その中で,ご本尊のデジタルアンプICはTripathのTA2020なんですが,プリアンプには汎用品のデュアルOPアンプ4558が使われているのを,MUSES8820などの高級OPアンプに交換して音質向上を図りました。中でも音がよかったのはLF355HやLME49720HなどのメタルキャンOPアンプ。iruchanは中坊の時,初めてFET入力OPアンプのナショセミのLF356HやLF357Hが出たときに早速プリアンプを作って以来,メタルキャンのOPアンプが大のお気に入りです。
とは言っても,もはやLF356HやLF357Hは入手困難。オクのお世話にでもならない限り,入手は難しいでしょう。
でも,驚いたことに,まだLME49720Hは秋月などで入手可能です。モールドタイプの5倍くらいする値段ですけど.....。その価値はあります。
しかも,さらに驚いたことには,LME49720Hのデータシートを見ると,CR型EQアンプの回路が載っているんですね~~~。
今どき,オーディオの回路がデータシートの実用回路例として載ることはないと思います。よほどナショセミにオーディオ好きなやつがいたんだろうな,と思います。もっとも,いまじゃ,ナショセミはなくなってしまって,テキサスからデータシートが出ているんですけどね......。でも,ナショセミのエンジニアが書いたデータシートをそのまま採用しているのはとても好感が持てます。
LME49720Hデータシートから
CR型EQアンプって,オーディオマニアなら聞いただけでハアハアするようなもの.....。そんなのおまえだけだ
iruchanはそれこそ中坊の時からアンプ作っているんですけど,いまだにCR型は作ったことがありません。一度,その音を聞いてみたいと思います。
と言う次第ですが,すでに▲の回路を実際に作ってみた方が結構いらっしゃるようです。iruchanも作ることにしました。
ただ,よく▲の回路を見てみると,正直,机上の空論,という感じがします.....orz。
回路の定数がシビアすぎ! なんですよね~。3つもコンデンサをパラにしていたり,抵抗も2つの抵抗を直列にしたりしていて,できればE24系列の素子1個で構成したいものです。
それに,何ごとも 反体制派 あまのじゃくのiruchanは,この規格表通りの回路を作るのは面白くない! って訳で,前からやってみたい,と思っていたことを実行することにしました。
▲の回路はイコライザカーブとしてはRIAAのみです。つまり,正規のLPレコードのみ再生可能,というアンプです。ステレオになってからのLPなら間違いなくRIAAカーブですし,世界中のレコードがこのアンプで再生できるんですけど......ほんのわずかな初期のLPはRIAAカーブじゃないので,RIAA以外のレコードも再生できるようにしたいと思います。
☆ ☆ ☆
ここでおさらいです。
レコード自体はエジソンが1877年に発明したのが起源ですが,彼は円筒型の蝋管に音声を記録したので量産性がなく,10年後にベルリナーが発明した円盤形に取って代われたのはよくご存じのことと思います。
その後,1925年にWEがマイクロホンとカッターを用いた電気吹き込みのレコードを開発します。今までははっきり言って,聴くに堪えない音だったが,ようやく聴ける音になったと言って過言ではないと思います。
実際,iruchanも機械吹き込み時代のSP盤はまったく興味ありません。電気吹き込みになって,ようやくなんとか鑑賞に堪えるレベルになった,と言っていいと思います。
ただ,まだレコードの音は悪く,しかも録音時間は3~4分程度しかない上,ノイズが多く,1948年に米ColumbiaがLPを開発すると大きく進歩しました。片面20分以上の録音ができ,音域も20kHzまで記録できます。材質もSP盤の天然素材のシェラックを使ったものから,塩化ビニルになってノイズも減りました。割れなくなったのもメリットで,初期のLPにはnon-breakableと書いてありました。
それに,LPはMM型やMC型などの動電型カートリッジの使用が前提で,これらは速度に比例した電圧を出力するため,レコード自体の記録は速度一定の振幅で記録すりゃええやん,ということになります。
ところが......。
高校で習いますが,三角関数の微分は周波数が頭に出てくるので,変位の時間微分,すなわち速度は周波数に比例しますから,定速度特性と言うことは周波数に反比例した振幅で記録すればよい,と言うことになりますが,これでは低音ほど振幅が大きくなり,レコードの記録時間が短くなるので具合が悪いのです。
そこで,さらにもう一歩踏み込んで,レコードは逆に低周波ほど小さな振幅で記録して,高周波ほど振幅が大きくなるように記録してあり,こうするとS/N比も稼げるので有利,と言うわけですが,このせいでイコライザアンプが必要になってしまいます。
アンプから見れば,定速度特性で記録してあれば,フラットな特性でよかったものが,基本的には1次のローパスフィルタ(-6dB/oct)の特性で再生してやらないといけない,と言うことになってしまいました。
それに,この関係は周波数によって一定の決まった関係ではなく,高周波での振幅増大を抑えるため,多少,1kHz付近を中心として,フラットな部分があるため,イコライザ(EQ)カーブはバラバラになってしまいます。
そのため,当のColumbiaをはじめとして,LPを発売した各社はそれぞれが優れていると信じるバラバラのEQカーブを採用していて,初期のLPはEQカーブがバラバラなのです。
さすがにこれはまずい,と考えたレコード会社が規格を統一し,RIAAカーブを制定したのが1954年のことです。ちなみに,RIAAというのはRecording Industry Association of Americaの略です。
といって,これは何のことはない,電機業界最大手だったRCAのNew Orthophonicというカーブを採用しただけ,というのはよく知られています。また,基本的に? ステレオレコードは1958年の発売なので,ステレオLPはすべてRIAAのはず......なんですが,このことはまたあとで。
また,RIAAもIECが20Hz付近のランブルノイズを除去するため,1976年にカーブを修正しているので,厳密に言えば,RIAAカーブも2種類あります。IECというとISOの電気版で,世界標準なのですが,業界で反対意見も根強く,追従したところは少ない感じです。それに,そもそも2009年にこの修正は廃止されています。
日本ではJIS S 8502 ディスクレコードが1956年に規格化されていますが,1981年にはJIS S 8601:1981として改訂されたあと,なんと,1994年に廃止されています.........orz。
う~~ん,なんだかな~~って感じですね。
ちなみに,英国ではBS 1928:1965として規格化され,現在もBS 7063:1989 Specification for analogue audio disk records and reproducing equipmentとして現役の規格です。
なんか,こういう辺り,日本の文化の貧困さを表しているんではないかと思っちゃいます。
もっとも,規格と言っても従うかどうかは法律で参照されでもしない限り,任意なので,規格化してようといまいと関係ない,っていっちゃえばそれはそうなんですけどね。もっとも,自分のところだけ別のカーブにしてしまうと大多数のアンプが再生できないので,不利になる,という訳ですけどね.....。
と言う次第で,初期のLPと言っても,1954年までのほんの初期のLPだけのことです。そんな古いレコードは聴かないし,モノラルじゃ,つまらん,と言う方も多いとは思うのですけれど.....。
と言ってこの時代,まだフルトヴェングラーは生きていたし,ほかにもクレンペラーやワルターなど,巨匠がずらりといた時代だし,再発LPはもちろんのこと,CD化に際してはデジタルリマスタリングを施してノイズを除去し,f特を改善するくらいはいいのですが,以前書いたように,フルヴェンのバイロイトの第九のCDみたいに,別テイクのテープと差し替えて,改変してしまうこともあるので,やはり古いLPは重要です。でも,その古いLPを再生するにはいろんなEQカーブのアンプが必要なのです。
また,再発盤とは音が違う,とよく言われていて,最初のLPのほうがよいということで,フェリアー&ワルターの "大地の歌" の初出盤(英DECCA LXT2722)やフルヴェンのバイロイトの第九(英HMV ALP-1286,7)みたいに,マニアが血まなこになって探してるようなディスクもあるのですが,再発盤はRIAAなのに,初期盤は各社オリジナルのEQカーブ,と言うことも多いので,きちんとしたEQアンプを使う必要があります。特に,iruchanは英DECCAのffrrレコードが大好きなので,これの再生をきちんとしたい,と思いました。
さて,回路自体はナショセミの規格表にあるごく基本的なCR型EQアンプの回路のとおりで,設計するのは各EQカーブにあった,CRの時定数を決めること,ということになります。
CR型EQアンプの設計については,黒田徹著 ”基礎トランジスタ・アンプ設計法”(ラジオ技術社,1989)が詳しいです。絶版になってしまっているので,iruchanは10年ほど前,オクの世話になりました。半導体アンプの設計には必須の本だと思います。
さて,基本的なCR型EQ素子は次の通りとなります。
結局,この2つのRとCの値を決めていく,と言うことになります。
なんですけど......。
実際,やってみると非常に面倒です。いまはExcelなどの表計算ソフトもパソコンもあるので簡単ですけど,1940年代末の技術者達にとっては大問題だったと思います。
さて,iruchanもみなさんやっておられるとおり,Excelで計算しました。
まず,▲のCR回路の伝達関数は下式で表されます。
ここで,kは1kHzでのゲインで,k=9.89808という定数です。
また,T1~T3は時定数で,もちろん周波数とは以下の関係があります。
ここで,T1:ローリミット,T2:ロールオフ,T3:ターンオーバーと言い,RIAAではそれぞれ,3180μs,75μs,318μsと決まっています。周波数だと,それぞれ50, 500, 2122Hzです。
次に,この大きさ(絶対値)は,周波数伝達関数としてはs=jω=j2πfですから,
となります。これをdBで表すと,
となるので,これをExcelでグラフにしていろいろ定数を決める,と言うことになります。
また,各時定数は次の通り定義されます。
問題は,未知数がC1, C2, R1, R2と4つもあるのに,式が3つしかないことで,これじゃ,値が一意に決まりません。
なんですけど,黒田氏はR1を先に決めて,あとはこれらの式で決める,としています。とはいえ,⑤式から,T1は2次方程式になるので,解くのが面倒です。
このあと,各C1, C2, R1, R2にはE24系列でできるだけ近い数値のCとRを決め,その値を用いてExcelで式④に代入してグラフを描き,偏差を求める,と言うことになります。偏差が大きければ,またCとRを決めてやり直す,と言う次第です。おぉ~~,めんどくさ~~......orz。
ということで,実はかなり膨大な作業が必要になります。Excelでグラフを描くシートを作るのに1週間かかっちゃいました。
このセルに定数を入力すると,EQカーブを描くようにしました。
☆ ☆ ☆
【各社のEQカーブ】
さて,ここで初期のLPレコードのEQカーブについてまとめておきます。
そもそも,どれくらいのEQカーブのアンプを作ればよいのか,と言うことですね。
おおよそ10種以上のEQカーブがあるのですが,全部作る,と言うことはとても大変だし,といって,iruchanもそんなに多くのLPを持っているわけじゃないので,当然,全種類のEQカーブのLPを持っていませんから,数種類でいいはずです。
それに,ロールオフ,ターンオーバーそれぞれ別の切り替えSWにして,バラバラに設定できれば全部対応できるでしょ,ということも考えられますし,実際,そう言うEQアンプはあるのですけど,いちいち表を見てSWを選択する,なんて面倒です。
ネットを見ると,必須のカーブとしては,おおよそ,RIAA,NAB,AES,Columbia,旧RCA,ffrr(DECCA)と言ったところでしょうか。
NABは全米放送事業者協会(National Association of Broadcasters)が決めたカーブで,元はテープのEQカーブです。いくつかのレーベルが採用しています。AESはオーディオ技術協会(Audio Engineering Society)が1951年に決めたカーブです。Columbiaや,RCA,ffrrはレコード会社独自の規格ですね。
iruchanは,これらのうち,実際にLPとして持っているのはRIAAのほかはColumbia,ffrrくらいなので,おまけでNABを追加して,4種類のEQカーブに対応しようと思います。AESは結構,採用したレーベルが多いのですが,やはり米国系のレーベルばかりだし,クラシックじゃ,米国のLPやオケはあまり聴きませんしね......。ジャズファンだと必要でしょうけど......。逆に,クラシックは聴かないから,ということでffrrを採用しないマニアの方も多いようですが,iruchanだと一番,手持ちが多いレーベルなので必須です。
各EQカーブの時定数は次の通りです。
T1 | T2 | T3 | |
RIAA | 3180 | 318 | 75 |
ffrr | 1273 | 318 | 50 |
Columbia | 1592 | 318 | 100 |
NAB | 2242 | 318 | 100 |
AES | 5305 | 398 | 63.6 |
old RCA | 1592 | 265 |
63.6
|
実を言うと,RCAはRIAAで採用されたNew Orthophonicとそれ以前のカーブの2種類あります。ステレオ化後のIECの修正を加えれば3種類です。
最初にLPを出したのはColumbiaで,RCAは後発だったので,違いを出そうと,RCAはレコードのサイズが7インチで,回転数も45回転でした。EQカーブも独自カーブです。
最終的にあらたにNew Orthophonicと言うカーブを提案し,全米事業者が同意して(と言うより押しつけられた?)規格統一されるわけですが,レコード自体の規格はシングル盤を作るには便利で,7インチ45回転というのが最後まで残ったわけです。
さすがにiruchanはAESや旧RCAのカーブまで再現しても,肝心のレコードを持っていないので無意味です。RIAA,ffrr,Columbia,NABの4種類のカーブを再現します。
各C1, C2, R1, R2については,Excelでグラフを描き,偏差ができるだけ小さくなるように定数を決めました。
意外に偏差±0.1dBくらいに収めるのは簡単で,ほぼ,すべてをE24系列の抵抗で定数を決めることができました。NF型だとこうはいきませんけど.....。マニアがCR型にこだわる理由がわかった気がします。
それにしてもかなり違うのだな.....と思いますね。特に,ffrrは低域ではRIAAとは8dBほども違い,今まで,iruchanはffrrもRIAAで聴いていましたけど,こりゃあかんわ,と思いました。
☆ RIAA
やはり基本のRIAA曲線です。こちらはステレオにして,モノラル盤だけでなく,ステレオのLPも再生できるようにしたいと思います。各定数は次の通りです。
英DECCAのLPのEQカーブです。
ffrrはfull frequency range recordingの略です。大戦中の対Uボート戦のソナー技術を活用した,と言われていますね。高音質なことで有名だし,アンセルメやクライバー,ベイヌムなどのお気に入りの指揮者満載の名レーベルです。やっぱ,クラシックファンだとffrrは外せませんね。ステレオになってからはffss(Full Frequency Stereophonic Sound)と言うようになりました。
もちろん,ステレオ以降はRIAAカーブ......のはずなんですけど......。
どうも,一部のDECCAのステレオLPにはもとのffrrのEQカーブのまま,製造されたものがあるようです。
確かに,録音したテープからマスターを作るときにRIAAカーブのイコライザを通さず,旧ffrrのカーブのまま,マスターを作ることも多かったのではないかと思います。
今回,ついででffrrのカーブのまま,ステレオ再生できるようにしたいと思います。
R1 | 270 | kΩ |
R2 | 107.5 | kΩ |
C1 | 3000 | pF |
C2 | 750 | pF |
☆ Columbia
実を言うと,それほどColumbiaのLPは持っていないのですけど......。やっぱ,クラシックファンだとアメオケはいまいちなので......。Artur Rodzinskiのクリーヴランド管などの録音がColumbiaなので,作りました。それに,彼がWestminsterレーベルに移ってからのLPも,Columbiaがレコードをプレスしていたらしく,WestminsterもRIAAに移行する前はColumbiaカーブと考えてよいようです。iruchanはWestminsterのLPもたくさん持っているので,必須のカーブです。マイナーレーベルだったけど,音はDECCAをしのぐのでは,と思っています。米英の財力の違い?
ところで,どうもネットを見るとCBS Columibaも旧Columbiaのカーブのまま,80年代くらいまでLPが製造されていた,という噂もあるので,こちらもステレオにしてもよかったのですが,見送りました。さすがに80年代までそれはないだろ,と思います。
R1 | 270 | kΩ |
R2 | 100 | kΩ |
C1 | 3300 | pF |
C2 | 1850 | pF |
☆ NAB
最後はNABです。比較的,アメリカのマイナーレーベルで普及しました。特にiruchanはこのカーブのLPを持っていないのですが,SHUREのM64同様,持っていても損はないカーブだと思います。ジャズファンなら必須でしょうか。
R1 | 270 | kΩ |
R2 | 65 | kΩ |
C1 | 4900 | pF |
C2 | 2620 | pF |
意外なほど,一番フラットな偏差となりました。ただ,ちょっと失敗で,R2は65kΩになっちゃいました。E24系列にはない数値なので,62kΩと3kΩの直列としました。
☆ ☆ ☆
と言う次第で,ようやく各定数が決まりました。次回は製作編です。
アナ雪2を見てきました & 3連休の成果物
2020年3月23日の日記
皆様,いかがお過ごしでしょうか。
それにしてもコロナウィルスの関係で,世の中騒然としています。電車はガラガラだし,みんなマスクしているし,街に出ても自粛ブームでガラガラ。せっかく桜が咲き始めた,と言うのに寂しい春の訪れです。皆様,くれぐれもお身体ご自愛ください。
さて,我が家はと言うと.....2人の子供(♀,♂)は1日中,勉強もせずに家でゴロゴロしているし,嫁はんはイラついて子供らに当たり散らしているし.....orz。おまけに何か見に行こうかと思ったら映画館はロクなのやっていないし,これだっだらアナ雪2を打ち切らないで,やっていてくれた方が3回目を見に行けたのに.....なんて思っています。
いやあ,それにしても,アナ雪2は素晴らしかったです。松たか子さんと神田沙也加さんの歌は前回を上回る,感動的な歌でした!! ただ,映画のストーリーについては,iruchanはちょっとあのエンディングが納得できないんですけどね.....。iruchanの感想はこちらをご覧ください。
じゃ,どこか別のところは......,と思っても,どこの博物館も美術館も閉館しているか,予定していた展覧会は延期と言う次第で,iruchanも仕方ないので家で工作です。
と言う次第で,このところ,2つのプロジェクトを同時進行中です。
問題はやはりプリント基板。いまだにiruchanもサンハヤトが新感光剤に切り替えて感光基板の材質が変わってからはあまりうまくできず,困っています。現像すると全部パターンごと流れちゃう,という始末。ある程度,原因はわかったのですけど.....。仕方ないので,ドライフィルムと呼ばれる感光フィルムを使っているのですが,これは出来がいまいち。
まあ,なんとか4枚作ることができたので,3連休で部品の取り付けです。
作っているのは前回ご紹介した,サブミニ管DCプリアンプとCR形EQアンプ。これはOPアンプを使って往年のモノラルレコードのイコライザカーブを持たせて,正確に昔のモノラルレコードを再生したいと思っています。うまくいったら,真空管で作ろうか.....なんて考えています。詳しくはまた次回です。
☆ ☆ ☆
嫁さんも家にこもっているので,この3連休はiruchanにマスクをミシンで作ってくれました....。
うちの嫁さんは手芸が趣味で,以前,アナ雪の椅子カバーと座布団を作ってくれました。
今回,iruchan用にオラフのマスクを作ってくれました。
本当にマスク,売っていませんね~.......。
グレーのマスクだし,それほど目立たないか.....と思っていますが,北陸線の電車の中でオラフのマスクをしている変なオヤジはiruchanです。
とても上手にできています。ミシンがうまく使えるお母さんがいて,mercariなんかにディズニーのキャラクターの布で作った,手作りのカバンやマスクを売っている人がいらっしゃるようで,結構売れているようですけど,手作りでそういったカバンやマスクが作れるのは素晴らしいと思います。
ついでに,iruchanはスーパーでこんなものを見つけちゃいました。
タカラトミーが売っている,クリスタルARTボードというやつです。今回,アナ雪2の公開にあわせて,いろんな食玩やキャラクターものが出ましたけど,これは出色の出来! とてもきれいなメタリック印刷のカードが入っています。ついでに? ガムと 逆かぁ? 台座までついているのがイイですね。
最初,こんなの全然知らなくて,twitterを見て,皆さん集めているのでこれなに? って思っちゃいました。そういえば,発売は今年の2月からと遅かったので気がつかなかったようです。
近所のスーパーで見つけてゲト。
ただ,鉄コレみたいに中身はわからない,と言う代物だし,意外に高いのでダブっちゃうと痛いな.....,と言うことで,最初,6個だけ買ってきたら.....,
全部バラバラ! ダブりはありません。
と言うことなら....おそらく,まだ4個残っていましたけど,それもバラバラに違いないし,といって,明日になったらパートのおばちゃんが補充しちゃって,またごっちゃになっちゃうだろうし.....と予想してまた夕飯食ってから自転車こいでまたスーパーへ行って買い占めちゃいました。
結果は,大当たり!! でした。
たった2回,買い物に行っただけで全部揃いました。
ということはおそらく,箱買いすれば全部いっぺんに揃っちゃうのでは,と思っていますが,保証はできません。
これから,オラフを飛ばして,毎月,カードを交換して机の上に飾っておこうと思っています......
それにしても,今回のアナ雪2でオラフが子供,と言う設定だったことにはじめて気がつきました......(爆!)
てっきり,おっさんみたいな声だし,覚醒剤もやっているくらいだから大人だと思っていました.....
そもそも,男の子は声優さんは普通は おばさん 女優さんがやるものなので,オラフも最初から,女性が声をやっていれば,まさか大人と勘違いすることもなかったと思います。
子供の頃,大好きだったひょっこりひょうたん島の博士君は中山千夏さんがやっていたし(古っ!),ムーミンは岸田今日子さんがやっていましたしね......(もっと古っ!)。声変わりする前の少年役だと普通は おばさん 女優さんが声をやっていますよね......。
昔,憧れた,博士君が参院選に出たときは驚きましたけどね.....。iruchanは彼みたいに頭のよい子になりたいとずっと思っていました。
ムーミンは今も好きだし,岸田今日子さんは少しハスキーな声と,あのほのぼのした雰囲気がありながらもどこか強い意思を感じさせるところが本当にムーミンにぴったりだったと思います。
ムーミンではスナフキンが大好きでした。寡黙だけれど,博識で,困っているムーミンにさりげなく助言して助ける姿はかっこい~~,こんな大人になりたいっ,と思ってました。
ムーミンというと,iruchanは今度のエルサはミーと同じではないか,と気がつきました。思いのままに生きていく,というのは現代の女性の生き方のひとつだし,今回のアナ雪2で女性の監督が最後に言いたかったことなんだと思いました。
蛇足ですけど,ムーミンの恋人というか友達はiruchanだとノンノンなんですけど,原作がフローレンなのを,それだと単に女の子を意味する,ドイツ語だとFreuleinみたいな単語なので,制作のフジテレビが気を利かせてノンノンって固有名詞をつけたら原作者? から思いっきり叱られた,なんて娘から話を聞きましたけど,実はiruchanもムーミンの恋人をノンノンって言って,娘に思いっきりバカにされてしまいました.....orz。
そのノンノンの兄貴ってやつがミーみたいにわがままで,バッハ(どこかのうさんくさそうな会長じゃなくて,音楽家のほう)みたいなカツラをかぶって,iruchanが大嫌いなブルジョア気取りの,これまたミーとかオラフみたいに鼻持ちならない嫌みなやつでしたけど,意外にムーミンって,ミーとかこのクソ兄貴とか嫌なキャラクターが多かったのに,iruchanはとても好きでした。
ムーミン谷やひょうたん島もそうでしたけど,そういった自然の厳しい小さな狭い社会でみんなが助け合って困難に立ち向かっている,という姿が子供だったiruchanにも感銘を与えたのだと思います。大人になって考えてみれば,それはまさしく作者のヤンソンや井上ひさしが理想とした社会ではなかったのかと。特に後者は戦争の惨禍を乗り越え,再び出発した戦後ニッポンの向かうべき理想の姿を描いたのだと,そう思いましたし,ムーミンの世界も日本の伝統的な社会のありかたや考え方に近いからいまも共感を得るのだ,と思います。
大人になって気がつく,と言えば,岸田今日子さんは劇作家の岸田國士の娘だったのですね.....。最近になって知りました。そんなことも知らんかったのかって言われそうですけど.....。
そういえば,アレンデールだって,小さな社会だし,アナ雪が日本だけ突出して人気があったのはもちろん,松たか子さんと神田沙也加さんの2大キャストの素晴らしい実力のせいですけど,舞台がこのような小さなコミュニティで,日本人が理想とする社会に近かったからなのでは,と思っています。
また,アナとエルサも今回の映画は先祖の業を克服するドラマでしたが,昭和の日本人が与えた惨禍を背負っていかなければならない我々も同じ立場ではないか,と思いました。
☆ ☆ ☆
アナ雪2ではオラフは字まで覚えたらしく,本を読みまくって覚えた知識をひけらかして小うるさい! ず~っとしゃべってて,これじゃ,まるで赤毛のアン! こんなの近くにいたら,あっち行け! ですよね.....。
脱線ついでに,今度のアナ雪のお母さん役が吉田ひつじなのは気に入らない! 今回,なかなかアナ雪2を見に行かなかった理由のひとつ。
なんでこのおばさん,人気があるんだろ~っていつも思ってますけどね.....。
まあ,前回では "She's icy cold." しか台詞がなかったのに,今回は準主役級なので新たに目玉の女優さんを,と言うことだったんでしょうけど.....。
どうにもちょっと冷たい感じがして,iruchanとしてはあんまり趣味じゃないタイプなんですけど.....。それに結婚もしてなくて,当然,母親じゃない,なんて,松たか子さんの方がよっぽど母親役にぴったりなんて思うのですが....。
やぱ,
エルサとアナの母親役って,
八千草薫か森光子だろ! ほかには東山千栄子とか.....。古~~~っ!!
って思いました.......(^^;)。
かと思うと,ディズニーの声優は歌が歌えないといけないので,歌が歌える母親役って......,
やっぱ,アナの声をしている人の母親か,って思っちゃいました.....。
これはうちの子供達が大反対!iruchanも大反対です。そもそも子供ほったらかしで,ダンナ(父親)をコロコロ代えちゃうなんて.....。
と言う具合で,3連休は家にこもりっきりで工作にいそしんでいたiruchanでした。
皆様もくれぐれもコロナウィルスにお気をつけてください。
20203月27日追記
タカラトミーが出している,アナと雪の女王2チェンジングカードコレクションというのをamazonで買っちゃいました。残り10個になっていました。
箱買いすると全部揃います。
さっきのと同じコンセプトで,カードと,ガムがおまけでついてきますが ちゃう,ちゃう こちらはカードは3Dになっていて,エルサが浮かんできます。図柄は違うので,貴重です。
う~~~ん,オラフが2枚もいらんわな.....これだったらサラマンダー1枚追加してくれていた方が.....って思っちゃいました。
2020年3月29日追記
amazonで買った,ジグソーパズル アナと雪の女王 きらめく魔法の秘密(エルサ) ぎゅっとピース 【ステンドアート】が届きました
子供らは戒厳令下で1日中,家にいるし,なにもすることがないのでジグソーパズルでもさせようかと,子供らを勤労動員して作らせました。
大喜びでみんな楽しんで,わいわいガヤガヤと作っていました.....。
テンヨーさんのステンドパズルで,通常のジグソーパズルと違って,材質が透明プラになっていて,それに彩色しています。裏から光が当たるとステンドグラスみたいに見えて,とてもきれいなパズルです。Made in Japanなのもうれしく,プラのピースはとても精密にできていて,ピタッとはまるところは感動的です。
ただ,ちょっと難点あり.....。
テンヨーさんのに限らず,どこのステンドパズル用のフレームというのはたいてい,透明プラのパネルは1枚だけで,表側か裏側のパネルがなくて,パズルがむき出しになっています。できれば,透明パネルが2枚入っていて,その間にパズルを挟む,と言う構造ならいいんですけどね.....。
これじゃ,うっかりものがぶつかるとパズルがバラバラになってしまうし,パズルの色落ちも心配です。
といって,通常のジグソーパズル用フレームというのは裏側パネルが木か,紙のパネルになっています。
ということで,iruchanは手持ちのアクリル板を切って,裏のフレームを紙製のものから透明アクリル板にしました。
ミッキーの画が描いてあるのが,もとのテンヨーさんのフレームについていたものです。
紙製の裏板を自作の透明アクリル板に交換しました。
エルサがかわい~~。
子供らも大喜びだったので,追加でアナを買うことにしました。
2020年4月2日追記
またまた子供らを勤労動員して,今度はアナを作らせました。
パズルを作ることだけだと,エルサの方が難しいです。背景が真っ黒だし,ずっと図柄が変化しない部分が多いので.....。でも,アナもとてもかわいいです。
閑話休題。
ところで,やはり戒厳令のせいか,子供達が外出できないのでパズルが売れているようです。うちの子らも喜んで作っていましたけど,amazonでも前の日は "在庫あり",だったのに,次の日に見てみるともう "在庫なし",になっているものが多いようです。
▲のテンヨーさんのステンドパズルで言うと,アナ雪2はまだ在庫があるようですが,リトル・マーメイドなどはなくなってしまいました。また,アナ雪2のも,テンヨーさんのHPを見ると,すでにエルサは "在庫なし" になっています。お求めの方はお早めに。
また,amazonに限らず,Joshin webなどでも,3月はそういうことがなかったのに,最近見てみると個数制限があり,"おひとり様3個まで",とか表示が出ています。
個人で何個も作るもんじゃないし,まとめ買いしてやはり転売して儲けようと考えている人がいるのかと.....。それに,おそらく,国内ではまだ定価で入手できるものですから,転売して儲けると考えるとなると.....やはり海外かと。
鉄コレもそうですけど,ちょっと残念な気がします。
サブミニチュア管DCプリアンプの製作~その1・再びウクライナから愛を込めて......~ [オーディオ]
2020年3月15日の日記
前回,WEのMT管を使ったDCプリアンプが完成しました!!
今回から,サブミニDCプリアンプに取りかかりたいと思っています。MJ無線と実験'03.12号のDCアンプシリーズNo.174です。
実は,金田氏はWEの403A,396AのオールWEのMT管DCプリ(No.166,MJ '02.2)のほか,TELEFUNKENのEF86とECC81の組み合わせで発表(No.157,MJ '99.12)しておられて,iruchanもEF86のプリを作るつもりでした.....。
が,WE同様,11球式という大型のプリアンプは作るのが大変だし,何しろ電源のトランスが大きすぎ,もっと小型のアンプを作りたいと思って計画変更しました。
iruchanは何ごとも小さなものが好きで,アンプも極力小さく作っていて,今回のWE DCプリも1筐体で作っていますが,なにせ11球式と言うことでパワーアンプ並の大きさです。熱もすごく,夏は聴いてられそうにありません。
と言う次第で,次作はサブミニチュア管を使ったDCプリアンプにする予定です。
そこでまずは部品集め。
iruchanはそれこそ中学の頃からたくさん球は集めているんですけど,さすがに今回のプリアンプに使われる,サブミニの5702や6111,6112は持っていません。
まあ,実際,オーディオ用にこれらのサブミニ管を使うことは今までほとんどなかったと思いますし,これらの球は軍用で,Walky-Talkyと呼ばれるトランシーバー用か,おそらくほとんどはミサイル用だと思います。
と言うことで球探しから始めますが,意外に大変でした。
結局,今回もeBayで購入しました。
いずれも意外に入手が難しく,国内で売っている店もありますが高いですし,海外だとそもそも扱っていない,と言うところが多いです。とは言ってもeBayでは値段がバラバラで,特に6112は特殊なのか,1本$40位するかと思えば,$10くらいのもありますし,5702だと4本まとめて$20と言うようなものまであります。
それに,iruchanは前回,ウクライナからローμの6111同等の6N16B-Vを入手しているので,ハイμの6112は同等管の6N17B-Vにしました。こちらの記事を見ても,それぞれ6111と6112と互換性があると書いてあります。製造はモスクワ近くのMelz工場のようです。
ただ,6N17B-Vなどの旧ソ連製サブミニ双3極管は6111や6112とピン配置が違いますのでご注意ください。
最初,どうも変な配置だな.....って思いました。一応,規格表を見ると#1ピンに印がついていることになっていますが,5702のように印がついていません。
よく見ると管底に-という印が確かにあります。でも→じゃないし,どちらが#1ピンなのか,#8ピンなのかわかりません......
困ったな.....と思ったのですが,規格表を見てみると,すべてのピンが点対称になるように配置されているので,このピンは#1でも#8でもよいのです....
●はiruchanが勝手につけたものです。
わかってみれば納得。要はあまりに小さいので,作業員が間違えてもよいよう,どちら向きでも使えるようにしているようです。
ついでに,5702は米Raytheon社のを6本まとめて入手したのですが,ついでに旧ソ連製の同等管6J1B-Vも買いました。完成したら,音を比べたいと思います。やはりこちらの方が安いです。しかも,旧ソ連製の真空管の方が米国製より精密にできていて,かなり出来がよいのは事実です。
ちなみに,先ほどのリンクの最後にビデオがでていますけど,Raytheonは1986年2月にマサチューセッツ州にあったサブミニ管製造工場を閉鎖したようです。ソ連は連邦崩壊後の90年代半ばくらいまでサブミニ管を作っていたようです。
ついでに,今回,球を買うついでに大容量のスチコンを見つけたのでまとめて買っちゃいました。
iruchanはスチコン大好きなんですよね~~~。高周波特性が優秀だし,特に,カップリングに使うと音がよいです。といって,カップリング用だと最低でも0.1μFは必要なので,スチコンだと厳しいんですけどね.....。
こちらもeBay経由で買いました。ただ,英語で検索するときはPolystyrene capacitorで検索しないと出てきません。Polystyrol capacitorじゃないようです。
買ったのは前回と同様,ウクライナから.....。別にロシア人から買ってもいいんですけど.....。
やはりウクライナはロシアによるクリミア半島併合に加えて,前回,多少,売り手とメールのやりとりをしましたけど,旧ソ連邦崩壊に伴う経済の自立ができておらず,また政治的にも不安定なため,経済がガタガタのようです。
と言う次第で,少しでもウクライナを助けたい,と思ってウクライナから買いました。
それにしてもロシアによるクリミア半島侵略は許せませんね。もともと,クリミア戦争(1853~56)や露土戦争(1877~78),第1次世界大戦(1914~18)でも激戦地となっていますし,戦略上の重要拠点です。要は,旧ソ連邦時代に,同じソ連だからとウクライナ共和国領にしてしまったのが問題で,軍事拠点なので国防上,重要,というわけでロシアが侵略したのが原因ですが,いまだに火種になることに驚かされました。
もちろん,クリミア半島はウクライナ人が住むウクライナ領であるわけですが,ロシア帝国時代から旧ソ連時代には軍事拠点であったこともあって,多数のロシア人が住んでいて,そう言った地域はやはり危険です。今回のロシアの侵略も,ナチスがチェコのズデーテン地方を併合(1938)したのも,自国民が迫害されているから保護する,と言うのが名目でした。同様にロシア人が多数住んでいるエストニアなど,バルト3国が警戒しているのはこの点です。いまだに領土に関してはお隣の赤い大国もそうですけど,19世紀と変わらない状況なのはおそろしいことです。
さて,荷物の方ですが,ウクライナの2つの業者から買ったので,2個です。ついでに,5702は米国から買いました。
実を言うと,eBayではあまり米国やカナダなど,北米地域の売り手からは買わない方がよいです。昔は個人が発送作業をしたのですが,今は一度,eBayのGlobal Shipping Centerに送って,そこからeBayが海外へ発送しているので,UPSなどの民間業者を使うので送料が高いのでご注意ください。今回は球は@$1.6でしたけど,送料は$16もかかっています。10倍かよ.....,っていう気がしますけど,箱が小さかったので,まだ安い方です。これでも,球は6本買ったので,1本あたり,$6.40でした。
ウクライナの方は,6J1B-Vがたったの@$0.90で,6N17B-Vが@$2.20でした。送料込みで全部で4,000円ほどでした。
最後に,規格の一覧をつけておきます。
Eh(V) Ih(mA) Ehk(V) gm(S) μ
5702 6.3 0.2 ±100 5
6J1B-V 6.3 0.2 ±100 5
6111 6.3 0.3 ±200 5 20
6N16B-V 6.3 0.4 ±150 5 25
6112 6.3 0.3 ±200 1.8 70
6N17B-V 6.3 0.4 ±150 3.8 75
なお,驚いちゃったのですが,5702も6J1B-VもMT管の6AK5同等で,前回のWEの403Aも同じなのですが,旧ソ連の6J1Bは型番について注意が必要で,末尾の文字が管形を示しています。6J1Pだと6AK5同等のMT管です。Bをつけたものがサブミニのようです。また,前回も書きましたけど,末尾の添え字の-Vは軍用を意味していて,6J1B-Vは軍用です。
末尾の文字で管形が変わるのは,こんなのあり? って感じなんですけど.....。米国系だと軍用は末尾に6AU6Wのように,-Wがついていたりしますが,民生用の6AU6と管形は変わりませんし,また,民生用でGT管が7591で,同じ特性の9T9ピン管が6GM5,マグノーバルが7868と言う風に,管形が違う場合は型番も違うのですけれど.....。
なお,旧ソ連の球はキリル文字での表記があります。6J1B-V:6Ж1Б-В,6N16B-V:6Н16Б-Вと言う次第です。6J1B-Vについては,6ZH1-Vというラテン文字表記もありますのでご注意ください。また,旧ソ連製の球はOTKのマークがついているものが軍用の高信頼管で,これがついているものを買うのがよいとされています。ちなみに,OTKは "Отдел Технического Контроля" の略で,英語だと "Technical Control Department" とのことです。
☆ ☆ ☆
ついでに,スチコンでいいものを見つけたので買っちゃいました。
旧ソ連軍はなぜか,大容量のスチコンを大量に消費していたようで,0.5μFなんて大容量のものが売られています。一体,何に使っていたのか......。iruchanは弾道計算用やミサイル発射管制用のアナログコンピュータに使われていたのでは.....と想像しているのですけど。
金田式DCプリだと双信のケースマイカ0.47μFというのが長年使われていて,それにパラにスチコン0.051μFをつけていました。ケースマイカがなくなってからはSEコンに切り替わったのですが,さすがにiruchanはケースマイカやSEコンなんて買えないし,スチコンだけでも音はよいはずなのでカップリングに使えそうな大容量品を探していました。
250Bとあるのは250Vのことです。いずれも90年代の製造のようです。
今回,0.4μFと0.1μFを買いました。耐圧は250Vなので,6L6GC PPなどの普通の真空管アンプには厳しいですが,今回のDCプリアンプにはぴったりです。半導体プリでも使えますね。ついでに,0.1μF 160Vというのもあったのですが,とても形が小さいし,円筒形なので買っちゃいました。こっちは電源のパスコンに使うつもりです。
また,普通,スチコンは円筒形で,アキシャルリードと決まっていますが,これは角形のケース入りで,ラジアルリードとなっています。これだったら,使いやすいですよね。おまけに樹脂が透けていて,中に円筒形の普通のスチコンが入っているのが見えます。
驚いたのは誤差.......なんと0.5%と書いてあります。JISじゃ,D級というわけですね.....
iruchanはこの表示を見たことが今まで一度もありません。もともとスチコンはマイカ同様,精密に作れるので,5%級があり,EQ素子などに使いましたけど,そうはいっても持っているものはJ級(5%)かK級(10%)で,これじゃ,普通のフィルムコンと同じです。ごくまれにG級(2%)かH級(3%)があるくらいですよね。D級なんて見たことがありません。双信のSEコンでもG級です。
また,ついでにオイルコンも買っちゃいました。0.15μF,400Vなのでパワーアンプに使うつもりです。
iruchanはオイルコンは使わないことにしていて,特に,日本製のものはコスト低減のため,1970年代から電解コンと同じ構造になり,端部をゴムで封止するようになりました。こうなるとゴムが劣化すると水分が入ってリークするわけで,真空管アンプのカップリングに使うには危険です。日本製だからといって安心してはいけません。
そもそも軍隊がない国だからこんな安物オイルコンが出回ってもいいんですね.....。よく,米国製部品に文句を言うと,「だったらMIL規格のを使えよ」って言われる,と言う話を聞きますけど,それはそうなのかもしれません。
でも,これは売り手が自慢していましたけど,米SpragueのVitamin Qと同じ構造で,確かに金属外被で,端部がエポキシでがっちり固めてあるので,同じ構造だと思います。これなら信頼性十分だし,Vitamin Q同様,音もよいでしょう。本家のVitamin Qはとても高くて買えませんけど.....。
と言うことで,これからプリント基板を作って製作に取りかかります。おっと,トランスも買わなくちゃ.....。今回は大きくてブサイクなRコアトランスは使わず,トロイダルにするつもりです。
ということでまだ部品集めは続きそう.......です。