SSブログ

オールWE真空管式DCプリアンプの製作~その6・EQアンプの改善~ [オーディオ]

2020年1月25日の日記

さて,今週はリベンジです!!

先々週,ようやくオールWEのMT管を使ったDCプリアンプが完成し,特性を測定しました.....が,EQアンプの偏差が大きく,今週は改良します。

低周波部での偏差が大きく,200Hzくらいから大きくずれ,最大で4dBくらいにもなっています.....orz。

原因はすぐにわかりました。

音量調整には,iruchanは昔ながらの信号経路にAカーブのVRと,バランス用にM-NカーブのVRを入れています。回路図はこちらです。金田氏は音が悪化する,ということでNF回路に入れておられます。

WE DCプリFlatアンプ回路(金田氏オリジナル).jpg金田氏のオリジナル回路

ただ,この方法だと,どうしても音量は0にできないので,ミューティングSWが入っている,と言う設計です。また,バランス調整用VRは入っていません。

やはり音が0にできないのも,バランス調整ができないのも,ちょっとこれは困るな~,と言うことでiruchanは昔ながらの方法を踏襲しています。特に,iruchanはGoodman AXIOM80を使ったフルレンジ1発で聴いているのですけど,これはバランスにシビアで,少しでも左右のレベルがずれていると気になるので,バランス調整は必要です。

ところが,うっかり,音量調整に,100kΩのVRを使用していました。

カップリングコンデンサが0.08μFなので,少し小さく,この状況だとカットオフが19.8Hzなのですが,それでいいや,と思ってしまいました。

もちろん,これは,間違いで,負荷インピーダンスは音量調整用VRだけじゃなく,バランスVRの500kΩと,フラットアンプのグリッドリーク抵抗750kΩがパラに入りますから,負荷インピーダンスはこれらの並列合成値,ということで75kΩにしかなりません。これだと計算上,カットオフは26.5Hzです。こりゃあかんわ。

うっかりこの並列の抵抗値を忘れちゃっていました。

ともかく,一番小さな抵抗値である,可変抵抗を交換する必要があります。

ここにはiruchanお気に入りのVIOLETの100kΩ(A)2連を使っていました。VIOLETのボリウムはとてもよかったですが,10年以上前に廃業し,もう手に入りません。

となると,いまは東京コスモスのRV24YGがいいです。金田氏もRV30YGを使っています。ただ,さすがにφ30mmは大きすぎるよな~という感じです。これらはJIS規格品で,大量に生産され,高品質の割に値段が安いので愛用しています。特に,日本は湿度が高いせいか,VRは要注意の部品で,すぐにガリオームになっちゃいますから,いい部品を使う必要がありますが,本品は密閉式で中に空気が入りにくいので,いいと思っています。某社のオーディオ用は基板用になっているのですが,なぜか端子部分に開口部があり,敬遠しています。

RV24YGは通信機用と称していることからもわかるとおり,高信頼で,iruchanはいつも真空管アンプに使っています。ただ,同じ規格品ですけど,VIOLETの方が,回転時の感覚はよく,スムーズに回るのでiruchanはお気に入りでした。ちょっとCOSMOSは堅いです。

ところが.....。

カタログには500kΩや1MΩのAカーブ2連が載っているんですが,秋葉ではもはや入手不可能。TOCOSのオンラインショップもBカーブ品だけです。他社製のずっと小型の安価な2連のVRは入手可能なんですが,さすがにあまりにもチャチで,ちょっと自作アンプには使いたくない感じです。

それに,どうもCOSMOSのRV24YGのシリーズはとても値が上がっているようで,安いところでも2,500円で,高いところだとプラス1,000円以上します。

こんなに高かったっけ......!? って思っちゃいました。昔は1,000円前後だったように思います。それに,先にも書きましたとおり,秋葉ではせいぜい100kΩ品が入手可能なだけで,もっと高抵抗なものは入手不可能です。

困ったな.....[雨][雨]

と言うことでネットを探してみても,国内では500kΩや1MΩ品は入手できないようです。Yahoo!で気長に待つ,と言うのも手でしょうが,出品されていません。

仕方なく,結局,またeBayを検索します。と,台湾の業者がほぼ昔の値段で新品未使用の1MΩ(A)の2連を売っていました。Buy it Now! なので即落札。

と言う次第で,先々週の火曜に落札し,昨日,届きました。台湾からでも送料は$6.50でしたし,早かったです。とはいえ,お隣の大きな国の人も出品していましたが,TOCOSなどの刻印がなく,フェイクと判断して台湾から買いました。こちらは本物でした。

TOCOS 1MΩ2連VR24YG.jpg 台湾から届きました[晴れ]謝謝台湾!

さて,ようやく今日,VRを交換します。

ついでに,金田氏が昔やっていたように,ケースマイカにパラにスチコンをハンダ付けします。47000pFという大きな容量のものを入手したので,追加します。おまけで7500pFもつけちゃいました。合計で0.143μFと言うことになります。VRに1MΩを使うと,並列合成値は230kΩですから,カットオフは4.8Hzとなり,十分低くなりました。

☆LTspiceによるシミュレーション

さてと,以上のことを踏まえ,まずはSpiceで確認してみます。


WE DCプリEQアンプ回路408A-1.jpgシミュレーション回路です。

当初,完成させた状態では,VRは100kΩ,カップリングは0.08μFです。

WE DCプリEQアンプ特性(408A)-VR100kΩ.jpg完成直後の状態

──が実測値で,‥‥がRIAAカーブ,‥‥がLTspiceによるシミュレーション結果です。驚くほどLTspiceのシミュレーション結果はほぼ実測と一致しています。

WE DCプリEQアンプ特性(408A)-VR1MΩ+スチコン追加.jpgVR交換後の状況(予測)

今度はVRを1MΩに取り替え,さらにカップリングにスチコン54500pFをパラにしてみます。低周波での偏差は前回の半分程度に改善されることがわかります。

☆改造

さて,早速改造します。音量調整のボリウムを1MΩに交換し,カップリングコンデンサにパラにスチコンをハンダ付けしました。

RV24YG+Bourns MN VR.jpg VRを交換しました。

やはりコスモスのRV24YGはよいですね~。密閉式なので,湿度の影響も受けないでしょう。

ただ,残念なのはバランス用のボリウム。本当はRV24YGを使う予定だったのですが,どうしても408Aとぶつかっちゃうので,小型のに交換しました.....orz。

それに,驚いたんですけど,もうM-Nカーブのものは絶滅危惧種なんですね。秋葉では見つかりません。仕方なく,Bカーブにしようかとも思ったのですけれど,それじゃ,ゲインが6dB損するし........,と言うわけでMOUSERで1種類だけ見つけたので使いました。ただ,BOURNS製の256円の安物で,かなり小さくてちゃちなもの.....[雨] あるだけマシ,という感じの部品です。おまけに米国の会社なので,シャフトはφ1/4"。幸い,今まで使っていたツマミが入ってよかったです。もはやバランス調整のVRまで入手困難なんて,オーディオ工作はますます難しそうです。

coupling capacitor.jpg スチコンをパラりました[晴れ]

WE DCプリEQアンプ特性(408A)-VR1MΩ+スチコン追加(実測).jpg実測結果です。

実測してみると,大幅に改善されていました。ほぼ,30HzまではRIAAカーブと一致しています。40Hz以下くらいはサブソニックフィルタの役割もあるので,これなら問題ありません。

       ☆           ☆          ☆

ようやくこれで完成です。次はいよいよレコードを聴いてみることにしましょう。ここまで,道は長かった.....(遠い目)。


nice!(11)  コメント(14) 

nice! 11

コメント 14

ph7

負荷インピーダンス」のくだり、興味深く拝見いたしました。私はEF86、ECC81・82の組み合わせで製作いたしました。真空管アンプは観ていても良い音が出てはそうです。
1つ質問です。
No.132真空管プリの実体配線図がMJ掲載されていますが、これのヒーター配線のマイナス側はアースに落としていないように見受けられます。以下に実体配線図のコピーが見れます。
http://ph7dc.but.jp/dc_amp/132haisenzu.html 
iruchan様ではどのようにされていますでしょうか。

by ph7 (2020-03-04 08:39) 

iruchan

ph7さん,どうもいつもご覧いただきありがとうございます。

さて,お問い合わせの件ですが,びっくりです。結論から先に言いますと,ヒータ配線は必ずGNDに落としてください。パワーアンプでもハムが出ますから,プリなら必須です。

残念ながら,ご覧いただいているとおり,自作のプリント基板でやっているので,いつもMJの実体配線図は見ていませんし,No.132の記事が今,手元にないのですが,ヒータの接地は当然ですので,接地してください。

なお,ECC81とECC82のh-k耐圧はそれぞれ90Vと100Vで,このアンプではギリギリです。

私はWEの407Aなので,ヒータ配線は下記の通りとしました。

https://iruchan.blog.ss-blog.jp/2017-10-07

-40Vで点火することにし,0VをGNDに接続しています。特に,T6(フラットアンプ出力下側)が厳しいので,この球のh-k間電圧ができるだけ小さくなるように配線しました。球の接続順も書いてあるのでご参考になさってください。

ただ,ECC82の場合,金田氏は6.3Vのレギュレータで配線しておられますが,上記の通り,ギリギリです。確か,何号かにヒータの配線順について記述があったように記憶していますが,思い出せません。可能なら,ヒータにー10~ー30Vくらいのバイアスをかけてやりたいところです。
by iruchan (2020-03-04 20:22) 

ph7

早速のご回答ありがとうございます
プリの配線を覗き込んでみました きちんとアースしてありました
ECC81はh-k耐圧が低いですがカーソード電圧はそんなにかかっていないので大丈夫と思います ECC82はh-k耐圧が結構高いはずなのでT6も含め心配していませんでした
そのような訳でヒーター・バイアスはかけていませんでした ヒーター・バイアスをかけた場合はヒーター線をアースできないかと思われます
これからもよろしくご教示ください まずはお礼まで。
by ph7 (2020-03-04 21:32) 

iruchan

ph7さん,どうもコメントありがとうございます。

No.132が手元にないので不明ですが,同様のNo.157があるので,見てみると,T6のカソード電位は-98.1Vで,ギリギリです。

一応,ECC82は100Vなので問題ないとは思うのですが.....。

なお,ヒータにバイアスをかけた場合,当然,直接GNDに接続できませんが,ヒータは電源部でコンデンサが入っていて,交流的にGNDに接続されますのでハムは生じません。

また,h-k耐圧が心配な場合,私のアンプのように,-24Vで点火する,と言う方法があります。ヒータ配線は408A,407Aの場合と同じですので,検討してみてください。レギュレータにNJM7924FAなどを使えばよいと思います。
by iruchan (2020-03-04 22:28) 

ph7

ありがとうございます
以下リンクの通り私の場合は真空管向きではないのでしょう
なるべく低い電圧で・・・と思っているため -98.1vのところは-74.5vになっています
http://ph7dc.but.jp/dc_amp/145priKAIROZU.html
No.145では-85.6vですのでそれからの流れを汲んでいるのだろうと思います
とりあえずヒーターバイアスは掛けないで済みます
オールWEのプリも聴いてみたいものですがいつもいつも妥協のままでおわらせております またどうぞよろしくお願いいたします。
by ph7 (2020-03-05 20:28) 

iruchan

ph7さん,どうもコメントをありがとうございました。
カソード電位が-74.5Vなら大丈夫ですね。仮にまあ,真空管ですから,100Vを超えていてもすぐに壊れる,と言うことはないと思っていますが。
ヒーターバイアスは面倒なので私も極力避けることにしています。本機も-40Vで点火したのもそのためです。
なお,またブログに書きたいと思っていますが,現在,サブミニDCプリを製作中です。
実は,EF86+ECC81,82も計画していたのですけれど....シャシーがあまりに大きくなるのであきらめてしまいました。
では,またよろしくお願いします。
by iruchan (2020-03-05 20:53) 

ph7

いつもお世話様です
ヒーター電源の件ですが
金田式真空管プリアンプ(EF86 ECC81 ECC82)です
LM317等で6.3Vを得ていますがSWon時にヒーターが光り始めました 特性に影響はないにしてもあまり気分の良いものではないです
スロースターターを付してのテストでは5秒後くらいに6.3Vに達するようにしてパーッと光る現象を回避してみました
高圧と同時に印加してヒーターが遅れて6.3Vに達する場合、真空管の寿命等影響はないものでしょうか
高圧にもスロースターターを付せば良いものなのでしょうか
球は未知の不思議な生き物と位置づけているph7でした
よろしくお願いいたします


by ph7 (2020-03-20 15:53) 

iruchan

ph7さん,どうもコメントありがとうございます。

ヒータが明るく光る件ですが,3端子レギュレータを使った回路では経験がありません。

ただ,確かにあまり気分のよいものではありませんが,まったく問題ないと思います。昔,トランスレスの5球スーパーで,電源投入時に,全部とか1本だけとか,パッと明るく光りましたが,切れた,と言う話は聞きませんし,NECの一木吉典氏が何かの記事で問題ない,と書いておられた記憶があります。

また,B電圧のあとからヒータが立ち上がる場合も問題ないと思います。

この逆は絶対にダメですけど。よく,211のアンプなんかでフィラメントだけ先に投入してあとからB電圧をかけるようなアンプを作る人がいますが,これはダメです。

なお,私が作ったアンプはB電源もヒータもリップルフィルタを使っているので立ち上がりは遅いです。

今作っているサブミニDCプリにはLM350Kを使うつもりですが,LM317T同様,分圧抵抗のGND側にパラに電解コンをつないでやればスロースタートになりますので,実験してみるつもりです。
by iruchan (2020-03-20 22:39) 

ph7

ご回答ありがとうございます
どうしても昔の金田アンプのヒーター点火2分後程度に+Bを印加するイメージがあるものですから心配していました
これで安心して5秒でも10秒でも後に+Bを印加するようにしてみます
私の試した回路は以下にアップしてあります
http://ph7dc.but.jp/dc_amp/LM338-6.3vHerterslow.html
金田先生はヒーターを温めてからのほうが安定すると述べている記事がありましたがNo.217から突然同時に電源ONになりました
不思議だなと思っていはいましたが・・・
いつも迅速なご回答ありがとうございます 少し半田まみれになってみます

by ph7 (2020-03-21 09:19) 

iruchan

どうもありがとうございました。

それにしてもLM317からLM338に交換したらパッと光るようになった,というのはちょっと原因がわかりませんが,LM317は1.5A,LM338は5Aなので,ラッシュカレントも流しちゃうのでしょう。

遅延回路もどうもご教示ありがとうございました。

サブミニDCプリには3AのLM350を使うので,遅延回路も検討します。

ヒータを先にonすると,ホットスイッチング電流が流れるので真空管にとっては危険です。まあ,DCアンプなので,立ち上がりの過渡現象を避ける,と言うのが目的だったでしょうが,真空管の規格上は危険です。もちろん,整流管に2200μFもの大容量コンデンサを使うのもそうですが....。あまり金田氏は真空管のことを詳しくないようです。
by iruchan (2020-03-22 06:27) 

ph7

色々とご指南ありがとうございます

金田先生は真空管も得意だとされていたような気がしましたが常識を覆す回路が多いかと思います
現用の6C33C-BパワーアンプもSWonのたび緊張します これこそヒーターを2分温めてから高圧150V250mAを掛けています 近くにも2名ほどNo157プリとNo.140の6C33C-Bの組み合わせで楽しんでいる輩がおりますが20年以上無事故です ただお二人共カソードに入っているヒューズが飛んで取り替えたことはあります きっと1A以上流れたものと思いますがスピーカーは被害ありませんでした
色々とありがとうございました
by ph7 (2020-03-22 11:34) 

iruchan

どうもコメントありがとうございます。

6C33Cのアンプは記事が出たときに作ろうと思って球も集めてありますが,発熱がすごいらしく,もう作りません。球やソケットはオクに流すつもりです。やはり電源on時は緊張するのですか.....。

ただ,ヒータを先に入れるとかなり過電流が流れます。カソードのフューズが切れたのはこれが原因かもしれません。何らかの電流制限回路が必要だと思います。

金田氏は真空管で教育を受けた世代だと思いますが,あまり真空管で遊んだ経験をお持ちではないのでは,と思います。私は生まれたときはすでに真空管の時代じゃなかったのですが,中学の頃から古本かき集めてアンプやラジオを作りました。

by iruchan (2020-03-23 15:20) 

ph7

ありがとうございます。
ただ、球の内蔵ヒューズが切れるのはSWon時ではなく、音楽を聴いていて暫く経ってからなものですから、?
以前に拙宅のアンプで最大出力で聴いているときのプレート電流が850mAというメモが見つかりました。先のお二人はロックをガンガンと聴くので更に多く流れたのかも知れません。確か、それから音は犠牲にしても良いからアイドリング電流を下げた記憶があります。
迷い込むと大変な悪魔のアンプです。
どうも長々とありがとうございました。
by ph7 (2020-03-24 23:41) 

iruchan

どうもご教示ありがとうございました。

6C33Cのフューズ溶断電流は森川忠勇氏がMJに書いていた記憶がありますが,動作中に切れるとは困りますね。

やはり敬遠した方がよさそうです。

どうもありがとうございました。
by iruchan (2020-03-25 00:35) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント