モノラルレコード用CR型イコライザーアンプ(EQアンプ)の設計と製作~その2:製作編~ [オーディオ]
2020年3月30日の日記
往年のモノラルLPの正確な再生を目指して古いイコライザ曲線を持ったEQアンプを開発中です。前回,各CとRの値を決めたところまででした。今回は部品集め&製作編です。
さて,回路は下記の通りにしました。ステレオLPも再生できるよう,2ch.で考えてあります。純粋にモノラル盤専用,ということなら,上半分だけで結構です。でも,せっかくCR型のEQアンプを作ったのに,ステレオ盤が聴けない,というのはもったいない,と思いました。
アンプ部はナショセミ(テキサス)のLME49720のデータシートにあるとおりで,23倍(27dB)の非反転増幅器を2個使っていて,途中にEQ素子が入っています。でも,そのデータシートの回路の入力容量はなぜか10pFと非常に小さな値だったので,通常のMMカートリッジ用に100pFとしました。iruchanはなぜかこれに気がつかず,自分で回路図を描いて,後からデータシートを見て気がつきました。普通は47pF~100pFくらいだと思います。
それと,iruchanは下記の工夫をしました。
このようなモノラル盤用EQアンプを作った場合,ステレオLPの再生をどうするか,と言うのが問題になると思います。
まあ,本機はモノラル専用にして,モノラル盤専用のプレーヤを1台用意するか,アームをもう1本つけてモノラルのカートリッジを使えばいいんですけど,それなりに面倒だし,場所も取りますよね~~。
じゃ,ってんで,やはりやりたいのは,普通のステレオのカートリッジを使って,そのままEQアンプにつないで,モノラルのLPのときはモノラル合成して使い,ステレオのLPの時はそうせずにそのままステレオとして使う,と言うことだと思います。
今回,iruchanも使用するカートリッジはDENONのDL-103なので,昇圧トランスを経て,そのままこのEQアンプの入力部で合成してモノラルにします。ステレオLPの時はそのまま再生するよう,切り替えSWを設けることにしました。
入力部の100Ωと47kΩの抵抗ネットワークが合成部です。これでLとRの出力を加算してモノラルにします。
本当言うと,ステレオ⇒モノラル合成はトランスでやりたいんですけどね......。入力が600Ω×2で,出力が600Ω1系統というようなトランスだと合成できます。もし,2次側が10kΩくらいのやつだとMCカートリッジの昇圧もできますよね。
今回,うまくいったら将来的に真空管でCR型EQアンプを作ろう,と思っていますがそのときはトランス合成にしたいと思います。
なお,アンプは当然,2ch.分用意しないといけませんが,ステレオ時はRIAAのみでよいので,ほかのモノラル盤のEQ素子は使いません。と,思ったのですけれど,前回も書きましたように,初期のステレオDECCA盤は旧ffrrのカーブで作られている,と言う話もあるので,ステレオのEQカーブにffrrを追加しています。
メーカ製のEQアンプにもステレオ時もすべての旧EQカーブが再生できるようなものがありますけど,ちょっとムダだと思います。
LTSpiceでのシミュレーション結果です。
念のため,LTspiceで動作を確認しておきます。無事に動作するようです。なお,LME49720HのSpiceモデルは見つからなかったので,散々ネットを調べたところ,LME49710のモデルがあったので使いました。これはLME49720のシングル版です。1kHzでのゲインは38dBのようです。
さて,お次は部品集め。
iruchanは半導体アンプは金田式で作ることが多いので,抵抗は進工業のプレート抵抗です。もっとも,もう,この抵抗はとうに製造中止なのでニッコームも使うんですけど,ニッコームももう製造中止のようです......orz。
しかたないので,部品箱をあさって,かなりの部分の抵抗を見つけましたが,足りない部分は某通商会社で買いました。ところが,もうニッコームですら揃わなくなってきていますね.....やむを得ず,普通の金属皮膜抵抗にしました。
どうしてもプリアンプには昔,中坊の頃に読んだ製作本の影響か,カーボン抵抗はノイズが多いので敬遠しちゃいます。もう問題ない,とは思うのですけどね.....。プリアンプには金属皮膜,というのが頭にこびりついちゃっています。
さて,抵抗の次はコンデンサ。
やはりiruchanはこれも中坊の頃から,スチコンと決めています。もう,遙か昔に製造中止なんですけど......。
スチコンだと容量が正確だし,無誘導巻きなのでインダクタンス分が小さく,高周波特性が優秀でESRも小さいので音もよいです。値段も安かったし,昔からのお気に入りです。
先日,旧ソ連軍用のスチコンを買いましたが,これらはカップリング用の大容量品なので,とりあえずは手持ちをあさって部品を揃えました。
NOBLE(帝国通信)や富士通,Zeus,Rubyconがスチコンメーカとして有名ですが,ほかには松下も作っていたようです。
まあ,中坊の頃からスチコン集めているので大部分は揃っちゃったのですけど.....。
どうしても100pF,200pF,2700pF,3000pFがなかったので,某通商会社のほか,Yahoo!でも買い集めましたが,それでも2700pFがなかったので,ついにはAli Expressで中国製を買いました。2700pF捜索中には中坊の時に作った,LF357Hを使ったEQアンプの基板が出てきて,それに使っていたので外そう,と思ったのですけど.....。
これは三栄無線が出していた,LF357H+LF356HのDCプリアンプキットの回路図を元に,自作したものだと思います。
30年前の自分が作った基板を壊すのはやめにしました。大昔に自分が作ったものが出てくる,なんて,ミョ~な気分ですね......。思わず,
♪なんか変な気持ちね~~~ 生まれてはじめて~ こころが躍るの~~
( ♪ 神田沙也加さんの声で! )
って歌っちゃいました.......(^^;)。
220pFはたくさん持っていたのですが,NABカーブ用の200pFはなく,これを220pFで代用しようかと思って先日のExcelシートで計算したらアウト! でした。これくらいの容量差でもダメなんですね......。
とはいえ,今,驚いたことに秋月のほか,RSコンポーネンツでも売っているので,どこか不良在庫があったのか,新たにまだ作っているところがあるようです。ただ,品種は少ないので,やはり古い在庫を探す必要があります。秋月のは台湾製のようです。
ところが,なかなかAliに注文した2700pFが来なくて,まいりました。結局,ひと月もかかりました。普通はもっと早いんですけどね.....。eBayでもNOBLEの2700pFを売っているやつを見つけましたけど,〒込みで@200円するのでやめました。中国製は@75セントでした。残念ながら,某通商会社も,秋月も,RSコンポーネンツも,Yahoo!でも2700pFは見つかりませんでした。疲れた~~。
ちなみに,スチコンは容量誤差が小さいのでディップマイカ同様,よくEQ素子として使われましたけど,iruchanが手持ちのものはほとんどJ級(5%)でした。ごくまれにH級(3%)があるくらいです。この前の旧ソ連軍のはD級(0.5%)でした。一体,どういう誤差だよ.....。
電源は簡単に3端子レギュレータです。
トランスはRSコンポーネンツの#124 3858というプラモールド製のトロイダルトランスにしました。2次側は0-15V×2で0.233Aの容量があります。漏洩磁束も少ないし,半導体プリにはぴったりだと思います。もう,オーディオにはEIコアやRコアのものは使いません。値段もたったの1,200円というのは驚き
整流のDiは日立のV19Bを使いました。200V,1Aの規格です。ファーストリカバリなので,trr=200nsと高速ですが,古いDiなので最新の素子から見ると見劣りします。ウルトラファーストリカバリDiにするか,ショットキーの方が音はよさそうですが,不良在庫を活用することにしました。とうにiruchanも会社じゃ,不良在庫なので......orz。
MC78L15ACP, MC79L15CP, LME49720H
部品箱をあさって,古い3端子レギュレータを引っ張り出してきました。金メッキなのが驚きです。表記が8008だったりするので,1980年の製造です。もう,モトローラもなくなっちゃいましたしね.....orz。
基板自体はこの前の3連休で作りました。ようやく,昨日,中国から2700pFが届いたので基板が完成です。もうお~~っ!!!(怒)。
それに,今どき中国からの荷物なんて.....上海からでしたけど.....。検疫(嫁はん)通すの大変でした......。
ようやく基板が完成しました。これだけスチコンが並ぶと壮観です。
面倒なEQ素子の切り替えはAlpsの基板用4接点ロータリーSW SRBM149501を使いました。MOUSERで1,000円以上しますが,配線が楽です。
ついでに,OPアンプは直付けせず,DIP-8ピンソケットを使いました。まあ,ほかのOPアンプを使うことはない,と思うのですけどね.....。
続きを読みたい,という奇特な方はこちらへ....。
2020年4月9日追記
うちの庭でシロバナタンポポが咲きました
2年ほど前まで,1株を植木鉢で育てていましたが,とうとう枯れてしまい,残念に思っていたのですが,種が飛んでいたのだと思います。ことしは5輪ほど咲きました。
種を取っておいて,また植木鉢に植えておこう,と思っています。
2020年6月13日追記
4月に頼んでいた,アンプケースがようやく中国から届きました。いったい,いつまでかかってんだよ!
〒込みで$21と格安ですけど,なかなかかっこよいです。パネルが6㎜もあるので加工が面倒です。でも,ヘアライン加工がきれいに仕上がっていますが,裏はバリがあって,さすがのチャイナクォリティ~~orz。
これからシャシー加工します。