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サブミニチュア管DCプリアンプの製作~その1・再びウクライナから愛を込めて......~ [オーディオ]

2020年3月15日の日記

前回,WEのMT管を使ったDCプリアンプが完成しました!!

今回から,サブミニDCプリアンプに取りかかりたいと思っています。MJ無線と実験'03.12号のDCアンプシリーズNo.174です。

実は,金田氏はWEの403A396AのオールWEのMT管DCプリ(No.166,MJ '02.2)のほか,TELEFUNKENのEF86ECC81の組み合わせで発表(No.157,MJ '99.12)しておられて,iruchanもEF86のプリを作るつもりでした.....。

が,WE同様,11球式という大型のプリアンプは作るのが大変だし,何しろ電源のトランスが大きすぎ,もっと小型のアンプを作りたいと思って計画変更しました。

iruchanは何ごとも小さなものが好きで,アンプも極力小さく作っていて,今回のWE DCプリも1筐体で作っていますが,なにせ11球式と言うことでパワーアンプ並の大きさです。熱もすごく,夏は聴いてられそうにありません。

と言う次第で,次作はサブミニチュア管を使ったDCプリアンプにする予定です。

そこでまずは部品集め。

iruchanはそれこそ中学の頃からたくさん球は集めているんですけど,さすがに今回のプリアンプに使われる,サブミニの570261116112は持っていません。

まあ,実際,オーディオ用にこれらのサブミニ管を使うことは今までほとんどなかったと思いますし,これらの球は軍用で,Walky-Talkyと呼ばれるトランシーバー用か,おそらくほとんどはミサイル用だと思います。

と言うことで球探しから始めますが,意外に大変でした。

結局,今回もeBayで購入しました。

いずれも意外に入手が難しく,国内で売っている店もありますが高いですし,海外だとそもそも扱っていない,と言うところが多いです。とは言ってもeBayでは値段がバラバラで,特に6112は特殊なのか,1本$40位するかと思えば,$10くらいのもありますし,5702だと4本まとめて$20と言うようなものまであります。

5702, 6J1P-V.jpg 5702(Raytheon)と6J1B-V

それに,iruchanは前回,ウクライナからローμの6111同等の6N16B-Vを入手しているので,ハイμの6112は同等管の6N17B-Vにしました。こちらの記事を見ても,それぞれ61116112と互換性があると書いてあります。製造はモスクワ近くのMelz工場のようです。

ただ,6N17B-Vなどの旧ソ連製サブミニ双3極管は61116112ピン配置が違いますのでご注意ください。

6N16B-V, 6N17B-V pinout.jpgピン配置です。

最初,どうも変な配置だな.....って思いました。一応,規格表を見ると#1ピンに印がついていることになっていますが,5702のように印がついていません。

よく見ると管底にという印が確かにあります。でもじゃないし,どちらが#1ピンなのか,#8ピンなのかわかりません......[雨][雨]

困ったな.....と思ったのですが,規格表を見てみると,すべてのピンが点対称になるように配置されているので,このピンは#1でも#8でもよいのです....[晴れ]

6N16B-V base.jpg #1でも#8でもどちらでもよいです。

 ●はiruchanが勝手につけたものです。

わかってみれば納得。要はあまりに小さいので,作業員が間違えてもよいよう,どちら向きでも使えるようにしているようです。

ついでに,5702は米Raytheon社のを6本まとめて入手したのですが,ついでに旧ソ連製の同等管6J1B-Vも買いました。完成したら,音を比べたいと思います。やはりこちらの方が安いです。しかも,旧ソ連製の真空管の方が米国製より精密にできていて,かなり出来がよいのは事実です。

ちなみに,先ほどのリンクの最後にビデオがでていますけど,Raytheonは1986年2月にマサチューセッツ州にあったサブミニ管製造工場を閉鎖したようです。ソ連は連邦崩壊後の90年代半ばくらいまでサブミニ管を作っていたようです。

6J1P-V, 6N17B-V.jpg 6J1B-V6N17B-V

ついでに,今回,球を買うついでに大容量のスチコンを見つけたのでまとめて買っちゃいました。

iruchanはスチコン大好きなんですよね~~~。高周波特性が優秀だし,特に,カップリングに使うと音がよいです。といって,カップリング用だと最低でも0.1μFは必要なので,スチコンだと厳しいんですけどね.....。

こちらもeBay経由で買いました。ただ,英語で検索するときはPolystyrene capacitorで検索しないと出てきません。Polystyrol capacitorじゃないようです。

買ったのは前回と同様,ウクライナから.....。別にロシア人から買ってもいいんですけど.....。

やはりウクライナはロシアによるクリミア半島併合に加えて,前回,多少,売り手とメールのやりとりをしましたけど,旧ソ連邦崩壊に伴う経済の自立ができておらず,また政治的にも不安定なため,経済がガタガタのようです。

と言う次第で,少しでもウクライナを助けたい,と思ってウクライナから買いました。

それにしてもロシアによるクリミア半島侵略は許せませんね。もともと,クリミア戦争(1853~56)や露土戦争(1877~78),第1次世界大戦(1914~18)でも激戦地となっていますし,戦略上の重要拠点です。要は,旧ソ連邦時代に,同じソ連だからとウクライナ共和国領にしてしまったのが問題で,軍事拠点なので国防上,重要,というわけでロシアが侵略したのが原因ですが,いまだに火種になることに驚かされました。

もちろん,クリミア半島はウクライナ人が住むウクライナ領であるわけですが,ロシア帝国時代から旧ソ連時代には軍事拠点であったこともあって,多数のロシア人が住んでいて,そう言った地域はやはり危険です。今回のロシアの侵略も,ナチスがチェコのズデーテン地方を併合(1938)したのも,自国民が迫害されているから保護する,と言うのが名目でした。同様にロシア人が多数住んでいるエストニアなど,バルト3国が警戒しているのはこの点です。いまだに領土に関してはお隣の赤い大国もそうですけど,19世紀と変わらない状況なのはおそろしいことです。

さて,荷物の方ですが,ウクライナの2つの業者から買ったので,2個です。ついでに,5702は米国から買いました。

実を言うと,eBayではあまり米国やカナダなど,北米地域の売り手からは買わない方がよいです。昔は個人が発送作業をしたのですが,今は一度,eBayのGlobal Shipping Centerに送って,そこからeBayが海外へ発送しているので,UPSなどの民間業者を使うので送料が高いのでご注意ください。今回は球は@$1.6でしたけど,送料は$16もかかっています。10倍かよ.....,っていう気がしますけど,箱が小さかったので,まだ安い方です。これでも,球は6本買ったので,1本あたり,$6.40でした。

ウクライナの方は,6J1B-Vがたったの@$0.90で,6N17B-Vが@$2.20でした。送料込みで全部で4,000円ほどでした。

最後に,規格の一覧をつけておきます。

       Eh(V) Ih(mA)  Ehk(V)  gm(S)    μ

5702     6.3   0.2   ±100     5

6J1B-V    6.3   0.2   ±100     5

6111     6.3   0.3   ±200     5      20

6N16B-V   6.3   0.4    ±150      5       25

6112     6.3   0.3   ±200    1.8     70

6N17B-V   6.3   0.4   ±150    3.8     75

なお,驚いちゃったのですが,57026J1B-VもMT管の6AK5同等で,前回のWEの403Aも同じなのですが,旧ソ連の6J1Bは型番について注意が必要で,末尾の文字が管形を示しています。6J1Pだと6AK5同等のMT管です。Bをつけたものがサブミニのようです。また,前回も書きましたけど,末尾の添え字の-Vは軍用を意味していて,6J1B-Vは軍用です。

末尾の文字で管形が変わるのは,こんなのあり? って感じなんですけど.....。米国系だと軍用は末尾に6AU6Wのように,-Wがついていたりしますが,民生用の6AU6と管形は変わりませんし,また,民生用でGT管が7591で,同じ特性の9T9ピン管が6GM5,マグノーバルが7868と言う風に,管形が違う場合は型番も違うのですけれど.....。

なお,旧ソ連の球はキリル文字での表記があります。6J1B-V6Ж1Б-В6N16B-V6Н16Б-Вと言う次第です。6J1B-Vについては,6ZH1-Vというラテン文字表記もありますのでご注意ください。また,旧ソ連製の球はOTKのマークがついているものが軍用の高信頼管で,これがついているものを買うのがよいとされています。ちなみに,OTKは "Отдел Технического Контроля" の略で,英語だと "Technical Control Department" とのことです。

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ついでに,スチコンでいいものを見つけたので買っちゃいました。

旧ソ連軍はなぜか,大容量のスチコンを大量に消費していたようで,0.5μFなんて大容量のものが売られています。一体,何に使っていたのか......。iruchanは弾道計算用やミサイル発射管制用のアナログコンピュータに使われていたのでは.....と想像しているのですけど。

金田式DCプリだと双信のケースマイカ0.47μFというのが長年使われていて,それにパラにスチコン0.051μFをつけていました。ケースマイカがなくなってからはSEコンに切り替わったのですが,さすがにiruchanはケースマイカやSEコンなんて買えないし,スチコンだけでも音はよいはずなのでカップリングに使えそうな大容量品を探していました。

polystyrene capacitors.jpg スチコンとオイルコンです。

 250Bとあるのは250Vのことです。いずれも90年代の製造のようです。

今回,0.4μFと0.1μFを買いました。耐圧は250Vなので,6L6GC PPなどの普通の真空管アンプには厳しいですが,今回のDCプリアンプにはぴったりです。半導体プリでも使えますね。ついでに,0.1μF 160Vというのもあったのですが,とても形が小さいし,円筒形なので買っちゃいました。こっちは電源のパスコンに使うつもりです。

また,普通,スチコンは円筒形で,アキシャルリードと決まっていますが,これは角形のケース入りで,ラジアルリードとなっています。これだったら,使いやすいですよね。おまけに樹脂が透けていて,中に円筒形の普通のスチコンが入っているのが見えます。

驚いたのは誤差.......なんと0.5%と書いてあります。JISじゃ,D級というわけですね.....

iruchanはこの表示を見たことが今まで一度もありません。もともとスチコンはマイカ同様,精密に作れるので,5%級があり,EQ素子などに使いましたけど,そうはいっても持っているものはJ級(5%)かK級(10%)で,これじゃ,普通のフィルムコンと同じです。ごくまれにG級(2%)かH級(3%)があるくらいですよね。D級なんて見たことがありません。双信のSEコンでもG級です。

また,ついでにオイルコンも買っちゃいました。0.15μF,400Vなのでパワーアンプに使うつもりです。

iruchanはオイルコンは使わないことにしていて,特に,日本製のものはコスト低減のため,1970年代から電解コンと同じ構造になり,端部をゴムで封止するようになりました。こうなるとゴムが劣化すると水分が入ってリークするわけで,真空管アンプのカップリングに使うには危険です。日本製だからといって安心してはいけません。

そもそも軍隊がない国だからこんな安物オイルコンが出回ってもいいんですね.....。よく,米国製部品に文句を言うと,「だったらMIL規格のを使えよ」って言われる,と言う話を聞きますけど,それはそうなのかもしれません。

でも,これは売り手が自慢していましたけど,米SpragueのVitamin Qと同じ構造で,確かに金属外被で,端部がエポキシでがっちり固めてあるので,同じ構造だと思います。これなら信頼性十分だし,Vitamin Q同様,音もよいでしょう。本家のVitamin Qはとても高くて買えませんけど.....。

0.15μF 400V PIO oil capacitor.jpg ソ連版VitaminQです。

と言うことで,これからプリント基板を作って製作に取りかかります。おっと,トランスも買わなくちゃ.....。今回は大きくてブサイクなRコアトランスは使わず,トロイダルにするつもりです。

ということでまだ部品集めは続きそう.......です。


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