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サブミニチュア管DCプリアンプの製作~その4・再びウクライナから愛を込めて~ [オーディオ]

2022年2月14日の日記

前回,現在作っているサブミニDCプリアンプのフラットアンプ出力に使用している,旧ソ連軍用6N16Bが1本,あえなく戦死? しちゃったので,急遽,ウクライナ軍に緊急増派要請することにしました。

1月31日に注文して,2月11日には届きました。なんと12日で,早っ!

ウクライナの球屋さん,郵便局,税関や空港の皆さん,どうもありがとう。

ということで,6N16Bの予備を緊急確保したのですが,ついでに何本か,また旧ソ連の真空管を買いました。

10J12S

10J12S.jpg Svetlana 10Ж12С

ご存じ,WEの310A互換球として,最近脚光を浴びています。キリル文字だと10Ж12Сです。

それにしてもどういう機器に使用していたのか......。まさか,共産党幹部向けにハリウッド映画の再生用として91Aアンプを購入してそれの予備,と言うことはないでしょう.....と,思ったのですけど,マジでそうかも。

日本製では,日本電気のCZ-501Dが互換球で,逓信省納品の電話用ですね。海底通信ケーブルなどの長距離通信に使われていた,無装架線輪(コイル)ケーブルのアンプ用に使われていたようですが,310A10J12Sもこういう機器に使われていたのでしょうか。

iruchanもCZ-501Dを何本か持っていますが,ヒータ電圧が違うし,電極の構造も違い,CZ-501Dはプレートむき出しで,シールドがついていません。ちなみに,よく310Aメッシュプレートなんて表現がありますけど,これは正確にはメッシュシールドですのでご注意ください。

CZ-501DはEf=3.5V,If=1Aなので直接,310Aの代わりに挿せません。ヒータは直列にして6.3Vを供給するとよいでしょう。


また,CZ-501Dは非常にきれいな球なんですが,なんかきれいすぎるし,作りも310Aと違うので,300Bと一緒に,310Aの代わりに使うにはちょっと違うよな,という気がします。

旧ソ連の10J12Sは今まで見向きもされませんでしたが,本家の310Aの入手が困難となり,値が上がっています。作りも310Aそっくりで,ちょっとガラスが下の方がくびれて細くなっているのと,ガラスに色がついていて薄く緑色になっている点が本家と違います。

実はこれはガラスの品質があまりよくない証拠で,マツダのST管が戦時中から戦後,こんな色のガラスになっていますけど,これはガラスに鉛が含まれているからです。

電極はよく似ています。iruchanのは310Aだとスモールパンチと呼ばれるタイプのようです。ただ,どうもメッシュシールドのものはなさそうだし,オークションや球屋のサイトに出ているものを見ると,Date Codeは1965年から1979年とかなり新しいものばかり。1950年代製,というのは見かけません。

それに,どうやらこの10J12Sを正規のWE 310AとしてWE同様,ベースに黄色くプリントして売っている場合があるようなのでご注意ください。裾すぼまりのガラスの外形や,ゲッターが共産圏特有の皿形ゲッターでしたら,もとはSVETLANAの10J12Sです。

と言うことから,うがった見方をするとこの球は内需向けではなく,外貨稼ぎのため,1960年代半ばから310Aの代替として輸出用として作られたのではないかと.....。一部の販社はベースに黄色いペイントでWestern Electric 310Aとプリントして売っていたのでは,という気がします。

amazonあたりでも売っているのは驚きますが,ebayでも1本$60~$120,と言ったところで,かつて310Aが3,500円くらいだった時代を覚えていますけど,それより高い値がついています。

旧ソ連では,米欧系,特に,なぜか欧州ではなく,米国球と同じ規格の球を多く作っていましたが,WEの互換球というのは珍しく,また,10J12SもサンクトペテルブルクのSvetlana工場製のみのようです。他の工場製のものは見られません。それに,どうも製造された数は少ないようで,ebayなどでもあまり見かけませんし,extremely rareと書いてあることも多く,希少な球のようです。なおさら,最初からニセWE310Aを作って西側のオーディオマニアを攪乱しようと狙っていたのか,という気もします。偽造ポンド札を作ってイギリスを攪乱しようとしたベルンハルト作戦かよって?

驚いたことに1970年代末まで製造されていたようで,iruchanのも Ⅸ 72 とプリントされているので,1972年9月の製造のようです。

10J12S-1.jpg サンクトペテルブルクで1972年9月に製造

なお,こちらでも書きましたとおり,現在のSVETLANAブランドの球は,このサンクトペテルブルク工場製のものではないので,ご注意ください。

今回,たった1本,と言うことだったのか,安く,たった£2.20で買うことができました。

最近,中国の湖南省・長沙市にある,長沙恒陽電子有限公司がPSVANEのブランドで310Aの復刻版を作っています。日本では2本で35,000円もするのに驚き! 確か,昔は300Bもそれくらいの値段だったよな~。

それでもよく売れているようです。実際に手にしたことはないですけど,WEBの写真を見ても出来がよさそうです。

6S41S

6C41S.jpg Ulyanov 6S41S

ご存じ,6S33S6С33С)の片割れです。ロシア文字では,6С41Сですので,そのまま,日本では6C41Cと書かれることが多いですけど,キリル文字ではCはSですので,ネット上も6C41Cで検索すると海外のページはほとんど出てきません。ebayも同様です。

レギュレータ用の大型管で,前から気になっていました。送信管の211845を除くと,単3極管としては同じロシアのGM70同様,最大級でしょう。製造は6S19Pを大量に作っていた,Ulyanov工場のようです。

6S33Sは巨大すぎるし,カソード共通で,シングルのアンプとしては使いにくいですけど,6S41Sは適当な大きさで,単3極管なのでシングルのアンプとしても使えるでしょう。

ただ,要注意なのはゲッター。

6S19P同様,こちらの記事にも書きましたが,ジルコニウムゲッターのものが多く,見た目,ゲッターがないので,どうも真空管としては変な感じがします。Eimacなど,高信頼を要求される送信管にはジルコニウムゲッターのものもあるのですが,真空管マニアとしては普通のゲッターの方がよいですね。

前から気になっていましたが,今回,通常のバリウムゲッターのものがありましたので,買いました。こっちの方がやはりかっこよいです。ちょっと見,8045Gみたいですね~~。

6J1B, 6J2B

6J1B, 6J2B.jpg Melz 6Ж2Б & Svetlana 6Ж1Б

今回,EQアンプには6J1Bを使用しています。米Raytheon社の5702と互換性がありますから,差し替えができます。キリル文字だと6Ж1Бです。

ただ,驚いたことに,以前こちらで書きましたけど,なぜか5702と電極の引き出しが同じインライン配列のものと,6111同様の円形のものと2種類あります。一体,どうなっとるんや.....。

使ってみると,円形配置の方がソケットに差してもぐらぐらしないし,使いやすいです。

と思っていたら,円形配置の6J2Bというサブミニ5極管があったので面白半分で買ってみました。特性は6AS6と同じらしく,Gm=3.2mSです。ちなみに6J1B6AK5同等で,Gm=5mSです。

ところが,どうも規格表を見ると,こいつもインライン配列のものがあるようです。いったい,ロシア人はなにを考えとるんや.....[雨]

工場はこういうサブミニ管を作っていた,Melz工場製のようです。Moscow Electro Lamp Worksが社名のようで,その名の通り,モスクワに工場があったようです。

iruchanの6J2Bは製造が1972年製で,ゲッターは古い短冊形のようです。以前買った,6J1Bの方は共産圏の球の特徴である,皿形ゲッターです。

続きはこちらへ.....。

          ☆         ☆          ☆

どうも独裁者プーチンがウクライナ侵攻を決意したようで,子分のベラルーシのルカシェンコと組んで,部隊を集結させているようです。クリミア半島が戦略上の要衝なので,いまもセヴァストポリに軍港がありますけど,そこの領有を恒久化し,ウクライナを支配下に置くため,軍事侵攻することを企んでいるようです。

最終的に併合するのか,それとも親米反露のゼレンスキー政権を倒して傀儡を立てるつもりなのか,かつてのハンガリー動乱(1956)やチェコ動乱(1968)と同じ図式となる可能性が高いように思います。

おそらく,欧米は軍事行動には踏み込めないし,天然ガスの供給を絶たれると困るので,経済制裁も形ばかりのものになるでしょう。結局,西側はなにもできない.....ということをもうひとつの赤い国が横でじっと見ているんじゃないか,という気がします。台湾を侵略しても西側はなにもしないだろう,ということを予想して今はオリンピックやりながら横目で観察しているのではないか,と思います。

iruchanは自由と民主主義,人権を守るウクライナの人を応援します。


2月15日追記

ロシアのサブミニ5極管で,電極の引き出しがインラインのものと円形のものがあることに気がつきましたが,どうやら,末尾のサフィックスで区別するようです。-Bがインライン配置で,-BPが円形配置のようです。

例:6Ж1Б, 6Ж1Б-В6J1B6J1B-V)→インライン配置

6Ж1Б-ВР6J1B-VR)→円形配置

なんですけど.....今回購入した6J2B6Ж1Б-Вとスタンプしてあります。やっぱりよくわからない.....[雨]


2月26日追記

eBayで買った球屋さんがNo longer a registered user.と出ていることを見つけました。2020年からのeBay sellerであったようですが,何かあったようです。

彼が無事でいることを祈るばかりです。


2023年8月5日追記

eBayでwatch listに追加しておくと,たまにsellerからofferが来て,値引きしてくれることがあります。

10J12Sが2本,ペアで出ていたのでwatch listに追加していたら,先日,$10引きのオファーが来ました。

2本で$93だったのが$83になるし,送料入れても$98だったので買っちゃいました。

ただ,驚いたのは売り手は米国人で,コロラドの住所だったんですけど.......昨日,届いたら発送地はロシアのチェリャビンスクでした。

amazonでものを買うと,最近,たまに中国から送られてくる,と言うことがありますけど,びっくりでした。

iruchanはウクライナを支持しているので,ロシア球もウクライナからしか買わないことにしていますが,これはしかたないですね......[雨]

そういや,チェリャビンスクって,2013年2月に隕石が落ちた街ですよね.......。

6J12S.jpg Svetlana製の10J12S

製造は1967年8月で,軍が受け入れたOTK-39という印が押してあります。かと思うと,ВЫПуск Ⅺ 1967というはんこもあり,英訳すると,release 11.1967の意のようです。

とすると,11月には軍から放出されたのか,という気がします。何でそんなに作った早々,放出しちゃったのか....[雨]

まあ,よくわかりませんが,iruchanはWEの310Aは4本しか持っていないし,10J12Sも非常に出来がよいし,いずれ300Bでアンプを作ろう,と思っているので,挿してみたい,と思います。でも,これって,呉越同舟って気もしますけどね.....[雪]

やはり旧ソ連の10J12Sは最近は高くなっているようで,その売り手は今,$120で売っています....[台風]


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