サブミニチュア管DCプリアンプの製作~その3・ヒータ電源,EQアンプ編~ [オーディオ]
2022年2月1日の日記
製作開始から,もう1年ほどになろうとしています。
前回の記事からでも半年以上経ちました。すっかり泥沼にはまってしまっています.....
一応,ケースを購入し,穴開けして組み立てはじめました。金田式DCアンプの試験用にトラッキングレギュレータを作って重宝していますけど,残念ながら,真空管式の場合はバラックで試験するのは危険で,きちんとケースを組み立ててからにした方がよいかと思います。
案の定,EQアンプ用の+100V電源をショートさせてしまい,ものすごい勢いで火花が飛んでビビりました.....
電源基板のところで+Bの電源線を外しておけばよいのに,うっかり,アンプ側で外してしまい,それを放置していたら,シャシーに触れてバチッでした。
幸い,レギュレータの2SA653も飛ばなかったのでよかったですけど.....キモを冷やしました。
と言う次第で,とりあえず,EQアンプから試験をしているのですが,ここまででも大変でした。
☆ヒータ電源
まず,ヒータ電源は3端子レギュレータを使って,と思っていました。金田氏はLM317Tを使っておられますね。
でも,前回も書きましたとおり,LM317TだとモールドのTO-220なのが面白くないので,メタルキャンで,一回り下の定格のLM350Kを使うつもりでしたが,途中で仏トムソン製のTDC2912KMを入手したのでこちらにしました。こちらは-12Vの3端子レギュレータなので,球のh-k耐圧の点からもいいか,と思ったのですけれど.....。
残念ながら,使用した英国製のトロイダルトランスが海外製なので,当然,1次側が115V入力なのですが,2次側の6.3V端子を直列に使ってもレギュレータの出力が12.6Vにならないどころか,リップルが残っていることがわかりました。
さすがに実際に作る前に気がついたわけじゃなく,LTspiceでシミュレーションして,ということなのでよかったですけど。
LTspiceには3端子レギュレータはLT1086-12が含まれていますので,これでシミュレーションしてみると....
全ヒータ電流は1.2Aとかなり大きいので,ちょっと心配していましたが...... 出力は12.6Vにならないし,リップルも残っています。こりゃ,あかんわ......。
一般に3端子レギュレータは入出力の電圧差は2~3V必要で,ある程度余裕がないとリップルが残ります。
ちょっと,今回のトランスでは12.6Vで点火するのは難しそうです。
ということで,結局,ヒータ電源もリップルフィルタにしちゃいました。
ついでに,前回同様,h-k耐圧の観点から+じゃなく,やはり-出力とし,-11~-12Vくらいが出力できるようにしたいと思います。
出力電圧は-10.6Vになっていますが,これはベース抵抗で変化できます。リップルは消え,また,立ち上がり(立ち下がり?)がスローなのもよいです。
まあ,真空管の場合は10%くらい電圧を下げても問題ないですし,球の寿命の観点からも低い方がよいと思います。
なお,制御素子は,前回,WEのMT管を使ったプリの時はにせ物の2SA649を使いましたけど,やっぱにせ物は嫌だなと思って,部品箱を探したら,大変お世話になっている河童さんから, 以前いただいた日立の2SB337があるのを見つけ,起用しました。
2SA649だとシリコンですが,2SB337はゲルマニウムです。定格はVCEO=-30V, IC=-7A, PC=30Wと十分すぎる定格です。番号からもわかるとおり,かなり後期のゲルマニウムTrですが,オーディオアンプ用に開発されたようです。エミッタ-コレクタ間飽和電圧VCEsat=0.29Vとシリコンが1V前後なのにくらべると非常に小さいです。
リップルフィルタの性能はTrのhFEに依存しますので,ダーリントン接続にしてhFEを稼いでいます。せっかくだから,ダーリントンの相棒は2SA1015の代わりに2SB54あたりを使ってもよかったかも....。2SA1015は東芝が製造中止にしたときに大量に買い込んじゃったんですよね......。
結果は大成功! オシロで見てもまったくリップルは見られません。
整流直後は130mVp-pありますけど,リップルフィルタ出力ではリップルは消えました。一応,表示は128mVp-pと出ますけど,高周波の誘導ノイズですね.....
おまけにVCEsatが小さいのがゲルマの特長なんですが,そのおかげで,驚いたことに電圧降下は1V以下で,実際に作ってみると出力電圧は11.8Vと十分高く,また,完璧にリップルを取り除いてくれました。VCEsatが小さいので当然発熱も少なく,今回のはほんのりとも温かくなりません。
もし,LM317Tなどの3端子レギュレータを使っていたら,損失は3Wくらいになり,かなり発熱するので,大きな放熱器も必要です。リップルフィルタはなかなかよいです。
フィルタ用コンデンサは秋月でニチコンの16V,33000μFが450円だったので使いました。さすがにデカい!
これだけ大容量のコンデンサを投入しても,リップフルフィルタなしじゃ,さすがに1.2Aもの負荷があると▲の波形のようにリップルは取れません。
ブリッジDiはインド・Panjit international製のショットキーSDI2100を使いました。100V,2Aの定格です。一昔前だとGeneral InstrumentsのW04あたりを使うんでしょうけどね.....。GI社も今はVishayのようです。
普通のシリコンDiを使ったブリッジはさすがに4個もDiを内蔵していると,結構発熱するので,ショットキーにしました。触ってもほんのり温かくなるだけでした。W04だと触れないくらいになるはずです。12AX7×4というような小型の真空管プリでもブリッジDiは意外に発熱するので,ご注意ください。このように小型のブリッジDiはすごく発熱するせいか,やはり壊れやすく,日本製は10年ほどで壊れるので,W04を使っていましたけど,これからはショットキーにします。
☆EQアンプ
さて,ヒータ電源も+Bのレギュレータも完成したので,EQアンプから試験します。
+Bのレギュレータは金田氏は日立の2SA566や東芝の2SB502のほか,NECの2SA653を使っておられますが,お気に入りのNECを起用します。やっぱ,メタルキャンだよな~~
EQアンプは無事に動作しました。
☆フラットアンプ
残念ながら,通電してみるとオフセットが8Vくらいあり,また,調整できません。
AOCの調整範囲を超えちゃっているんですね......
こういう場合,初段のオフセット調整をやり直さないといけないのですが,金田氏は共通カソードに半固定を入れていませんので,半固定で調整することはできません。
ということなのですが,初段の定電流回路の設定がまずく,初段の6N17Bの動作点が飽和領域になってしまっているのだと思います。
そこで,この定電流回路の設定電流を小さくしてみます。金田氏の設計では3kΩになっていて,定電流回路の出力としては1.8mAくらいです。
今回,真空管が金田氏の6112と異なり,旧ソ連軍用の6N17Bですので,少し特性が違います。
と言うことで,RS=4.3kΩとしてみますとオフセットは1V台となりました。
ところが.....。
どうも片ch.だけ、どんどんオフセットが大きくなっていきますし,出力に使っている6N16Bのカソードが妙に赤く光るな,と思っていたら,そのうちスパークしました。
おそらく,製作不良でカソードが熱で変形し,グリッドとタッチしたものと思います。せっかく軍用のOTKマーキングのものを使ったのに......
なんや,スターリンもたいしたことあらへんな......。
この球が作られた頃はブレジネフですけどね。iruchanはこのデブのおっさん?はよく覚えています。金正恩なみにチョ~怖かった.....
もちろん,予備も買ってあったのですが,今まで,球の不良というのはLUXのKMQ-60で使用していた,NECの50C-A10が1本とラジオ用の中古の6X5GTがスパークしたくらいで経験がありません。まさか,NOS(新品未使用)という球でこんなことになるとは思っていませんでした。50C-A10の場合は耐圧ギリギリのLUXの設計が悪いでしょう。
しかたないので,またウクライナから6N16Bを緊急輸入することにしました。
なんで旧ソ連の球なのにロシアじゃなくて,ウクライナから買うのか.....iruchanはウクライナの人々を応援します。
ということで,また次回,です。
2022-02-01 08:41
nice!(5)
コメント(0)
コメント 0