2017年6月17日の日記
KATOのD51ギースルエジェクター機と。
停車中にもパルスが出るようにしたので,このような写真が撮れます。
iruchanは性能の面ではKATOのKC-1が,使いやすさという面ではこのTomixの5001が,パワーパックの名機だと思っています。どちらもデザインがよく,とても優れたパックだったと思います。
ただ,さすがにTomixの5001 New Power Unitは設計が古く,制御方法も昔ながらの巻線抵抗を使ったレオスタット式で,今の高性能な動力を持った模型を運転するとラピッドスタート気味だし,あまりスムーズに動かないので,4年前にPWM式に改造して,その
最終版のつもりでしたけど,をブログにも書いています。
ところが.....。
その5001 New Power UnitはPWM式にしたとき,201系も運転できるように,スイッチング周波数を300Hzでも運転できるようにしていましたが,通常はチョッパ音? を避けるため,20kHzで運転するようにしていました。
ところが,D51は300Hzだと問題なく動きますが,20kHzだと完全にラピッドスタートで,突然動き出す,という感じです。と言って,常に300Hzで動かすのは問題で,機関車からプーッというチョッパ音がしてしまいます。
原因は何度か書いていますが,出力の素子のスイッチング速度が遅く,あまりパルスの幅が狭いと出力できなくなってしまうためです。そこで,新たに出力段の前にドライバ段を設け,高速でスイッチングできるようにしています。
今回,Tomixの5001も高速化し,コアレスモータ機に対応させたいと思います。
ついでに,もう1つ,改良したいと思っていたことがあるので,こちらも改良します。
前回,改造した5001コントローラはPWM式なので,もちろん,常点灯に対応しますが,残念ながら,つまみを12時の位置,すなわち中立状態にするとパルスは出ないので,前照灯や室内灯は点灯しません。
当たり前なんですけどね。コントローラから見ると,中立位置では模型の進行方向はわかりませんので。
そこで,結局,前回改造したものは通常のつまみが1つしかないPWM式コントローラと同様,模型は停止しているけど,前照灯は点灯する,と言う位置に常につまみを固定しておかないと,常点灯になりません。その点,最新鋭の
PFM式や,その前に作った
KC-1改や,
PICを用いたもののように,走行用と調光用のつまみを独立して持っているタイプだと走行用のつまみを完全に絞った位置でも前照灯が点灯しますが,通常のつまみが1つしかない
PWM式と同じく,中立状態にしてしまうと前照灯は点灯しません。
これはちょっと問題。常点灯しないコントローラだと意味がありません。何のために苦労して常点灯やってんのか.....。
そこで,今回,この点を改良して,つまみを中立位置にしてもちゃんと前照灯や室内灯は点灯したまま,と言う風にしたいと思います。
でも,これはとても面倒です。そもそも,中立位置だとコントローラから見たら模型の進行方向はユーザ次第,と言うわけですから,何らかの形でユーザが指示してあげないといけません。
と言うわけで,やはり進行方向を示すスイッチを設けて......となるとせっかく,逆転SWを廃止したのに,またつけなきゃいけない,というわけで,これじゃ5001のよさがなくなっちゃいます。
そこで,iruchanはこうしました。
つまみをどちらかに回すと模型が走り出すのですから (当然),いったん,つまみをどちらかに回して中立位置に戻したら,それまでのつまみの位置をおぼえておいて,そのときの前照灯の点灯を維持すればよいわけですね。
要は直前の進行方向をメモリしておいて,中立位置ではそれまでの進行方向の前照灯を点灯させておきます。
また,逆転した場合はしばらくは逆向きの前照灯が点灯したままですが,つまみが逆に回ったのを検知して直ちに反対側の前照灯を点灯させるようにします。
と言う次第で,結局はメモリ機能が必要なので,PICなどのマイコンを使う,と言うことになります。もちろん,前回の改造ではタイマIC555とコンパレータを使ったハードウェア式なのですが,こちらでこういう機能を実現することも考えました。ただ,やはりメモリ,と言うことだとフリップフロップが必要で,ICがもう1個増えちゃいます。基板サイズはそれほど大きくできないのであきらめました。
また,メモリ機能なんて言ったって,ソフトで組めば簡単ですし,また,ハードウェア版同様,今回もドライブ回路はHブリッジを使うのですが,PICはもともと,モータを回転させるためにできているものも多いのでHブリッジももちろん扱えますので,実現可能だと思いました。
まずはHブリッジについて,詳しくは
こちらをご覧いただきたいのですが,対角に並んだ4つの制御素子をon/offすることにより,モータの正転,逆転を制御できる回路です。▼の図で言うと,Q1とQ4,Q2とQ3がそれぞれ同時にon/offします。ちなみに,縦に2個,素子が並んでいるものをアームといい,インバータ電車なんかでは3相交流を作るのでアームは3本あります。また,上側の素子をハイサイド,下側の素子をローサイドと呼びます。なお,DCモータ用のフルブリッジ回路では
各アームの素子は絶対に同時にonしませんのでご注意ください。
ただ,なぜか不思議なことにPICなどのマイコンの世界ではフルブリッジと呼ぶことが多く,モータ屋さんはHブリッジと呼ぶことが多いようです。iruchanも普通,Hブリッジと呼んでいますが,今回は慣習にしたがってPIC側からはフルブリッジ,ICそのものはHブリッジと呼びます。
実は,ハーフブリッジという回路もあって,この回路もモータの正転,逆転ができるのですが,あまりモータの制御では用いないと思います。
なにより,ハーフブリッジだと電源が+と-の2つが必要で,電源の準備が大変です。Hブリッジだと電源は1個で済んじゃいますから。
ハーフブリッジ回路(Microchip社の16F1825データシートから)
ただ,この回路はオーディオのアンプじゃおなじみですね。昔,半導体のアンプは出力のDC分をカットするため,出力に大容量のケミコンが使われていましたが,音がよくない,と言うことでこのコンデンサを省略するOCL回路が考案され,そのときに使われました。鉄道模型だと+12Vと-12Vの2つの電源が必要なのでハーフブリッジは採用されません。
もちろん,PICはどちらの回路でも対応しますが,今回,やはりハードウェア式同様,フルブリッジで取り組みます。
使用するPICはいつもだと12F1822ですが,今回,16F1825を使います。12F1822だとPWM出力チャンネルが1個しかないので,フルブリッジはドライブできません。16F1825はPWM出力は4チャンネルあり,フルブリッジ可能です。また,フルブリッジ回路は縦に2つ並んだ素子を同時にonすると電源をショートすることになって危険なため,デッドタイムを設けたECCPという機能を持っていますが,今回は使いません。
ところが.....。
いくら16F1825がフルブリッジ対応,と言っても直接,フルブリッジ回路をドライブできるわけではなく,ドライバ回路が必要です。
フルブリッジ回路
しれっと描いていますけど.....。
16F1825の規格表には▲のような回路図が描かれています。FET Driverと書かれているのがドライバ回路です。
う~~ん,確かにこうなんだけどな.....,とiruchanは思っちゃいました。
16F1825の規格表の回路はHブリッジ出力段がすべてNチャンネルのMOS-FETで描かれています。
実際,最近市販されているHブリッジ用ICはほとんどがこれで,4つの素子がすべてN ch.です。
Hブリッジは上側(ハイサイドと言います)はP ch.で,下側(ローサイド)がN ch.となるのが本来の姿です。
iruchanも昔,教科書でモータの制御を勉強したときなんか,やはりこう書いてありましたし,昔のHブリッジは全部こうです。
ところが,最近のICはみんなこんなやつばかりで,4つ全部がN ch.です。
これ,実は大変なことで,回路の設計屋としては非常に難しい問題なんです。
というのは,MOS-FETやTr,真空管など,すべての半導体は陰極(ソース,エミッタ,カソード)が基準になっていて,陰極に対してゲートに電圧を印加して電流を制御します。
具体的に言うと,NPN Trの場合はエミッタに対して0.6V高い電圧をベースにかけるとコレクタから電流が流れます。
MOS-FETだと,ソースに対して2~5V高い電圧をゲートにかけるとドレインから電流が流れます。Trだとほぼ0.6Vですけど,MOS-FETは個別にこの電圧が変わり,特に電車に使われるようなIGBTやSiCなどの大電力素子は20Vくらいの電圧をかけないとonしません。
まあ,そんな話はどうでもいいんですが,とにかく,エミッタなりソースなりから必ず高い電圧をかけないとonしない,と言うのがN ch.の素子の特長です。
ということで,ローサイドの素子はエミッタやソースがGNDに接続されているし,PICもGNDに対して5Vのパルスを出力するので,ローサイドのドライブは簡単です。直接つなげばよいのですから。
ところが,ハイサイドは素子のエミッタやソースは負荷につながっているので,ほぼ,電位的にVccと同じ(素子の損失があるので少し低いですけど)です。
と言うことはベースやゲートの電位はVccより高くなっちゃいます。もちろん,ドライブ素子のコレクタやドレイン電位はもっと高くなっちゃうので,HブリッジがすべてN ch.だと前段のドライブ回路用の電源(VDD)が必要となります。もちろん,VDD>VCCとなっちゃいます。
ややこしくなるので,onしている側のFETのみで説明します。
N ch.のみの組み合わせの場合
これは結構,大変なことで,VDD用に,別途,ドライバ段用に電源を用意するか,Vccから昇圧する回路が必要となります。
今どきコストにうるさい,自動車屋さんはドライバ段用に別電源なんてOKしてくれませんから,ドライブ回路を作るのは大変です。
そういうことで半導体屋さんも心得たもので,N ch.のみのHブリッジ回路を構成して,それ用のドライバ回路や昇圧回路まで内蔵して入力には対GNDのTTLレベルの信号を加えるだけ,というインテリジェントなICを作っています。こういうものを使ってもいいとは思いましたが,やはりそういう素子は表面実装になっちゃっているので,今回は昔ながらのHブリッジICを使います。それに,どうしても,本当は簡単にできるのに,わざわざ面倒な回路になってしまっている,というのは気に入りません。こういうのはトラブルのもとですね。
何のためにこんなことやってんだろ,という気がするのですが,実際,今,世の中にあるHブリッジのICはN ch.のものばかりなので困ってしまいます。幸い,iruchanはちゃんとハイサイドがP ch.でできたHブリッジのIC(MP4212,MP4006,MP4005など)をため込んでいるので問題はないんですけど.....。と言って,これらの半導体はとうの昔に製造中止になっています.....orz。
一方,昔ながらのHブリッジICは▼のように,ハイサイドがP ch.で,ソースが電源につながっていて,ドレイン出力となっています。
こういう場合,ハイサイドの素子のエミッタなりソースが電源(Vcc)に接続されていて,また,P ch.の素子のバイアス電圧は-なので,ベース電位はVccより低くなります。
これだと簡単で,ドライバ段用に専用の電源は不要です。ドライブするにもTr 1個でドライブできちゃうので,前回のハードウェア版でもそのようなドライブ回路になっています。
なんか,いつも思うんですけど,半導体も使いやすいものはどんどん製造中止になって,特にP ch.の素子は絶滅危惧種です。半導体はP ch.があるのがとてもいいと思っています。もし,真空管にそんなのがあったら....簡単にDCアンプができるし,PPアンプでも位相反転は必要ないし....とうらやましく思っているので,P ch.の素子がなくなっている,というのは残念です。
iruchanはPチャンネル真空管を発明してノーベル賞を,と考えています.....(^^;)。
と言う次第で,
悪貨は良貨を駆逐する (Thomas Gresham 1519~1579)
は正しいと思います.......(^^;)。
さて,気を取り直して....,回路を設計します。
HブリッジICは今回もMP4212を使うつもりでしたが,世の中には流通していませんし,今どきこういうICを使って記事を書くと叱られそうです。
東芝のMOS-FETモジュールTPC8407を2個使って,Hブリッジを構成し,ピン配置をMP4212と同じにしたもので,MP4212の代わりに使えるそうです。定格も30V,7.4Aと十分です。値段も160円と安いのでいいですね。
へぇ~~と感心したのですが,素子がむき出しで,モールドパッケージのMP4212の方がかっこよいよな~などと思ったんですが,試しに1個買ってみました。
MP4212と
AE-TPC8407
で,これで行く気だったんですけど.....。
いざ,作ろうと袋を開けてみるとあるはずのピンがない!!
これはモジュール基板なので,普通のスルーホール基板に取り付けるにはピンがないといけないのでピンが付属しているのですが,袋の中に入っていませんでした。もう買ってからずいぶん経っているので今さらクレームをつけてもしかたありません。
と言う次第で一気に戦意喪失.....orz。膨大なドイツ軍の大戦車隊に追い詰められダンケルクの海岸で呆然としている英仏連合軍という感じです....。
しかたないので,これをあきらめ,怒ったiruchanは,"男は黙ってディスクリートだろ",ということで今回,フルディスクリートでHブリッジを作ることにしました。
一度,やってみたかったんですよね~。
といって,本来だったらTO-220で組むんでしょうけど,Nゲージだし,Tomixの5001 New Power Unitは小型なので,スペース的に厳しそう。
と思っていたら,2SJ496という石を見つけました。なんと,TO-92のパッケージなのに,5Aも流せます。TO-220の2SJ123なんかでも10Aですから,驚きです。まあ,2SJ123は古くて,最近のMOS-FETはTO-220でも80Aも流せるのもあったりするくらいですから,2SJ496が大容量なのは当たり前でしょう。
2SK975と
2SJ496
ところが......。
あるはずと思った2SJ496のコンプリがありません。コンプリメンタリのTrやFETはたいてい,P ch.が先に製造中止になり,N ch.が後家さんで残っちゃったり,また,もとからP ch.が製造されてなくて最初から独り身,という半導体が最近は多いのですけど,最初からN ch.がない,というのは珍しいです。日立さん,何考えてんですか!?
しかたないので同じTO-92のパッケージでID≧3Aくらいのはないか,と思って探してみましたが,全くありません。RSコンポーネンツなんかで,海外製のFETも探しましたが,ないようです。
VDS(V) ID(A) PD(W)
2SJ496 -60 -5 0.9
2SK975 60 1.5 0.9
結局,N ch.は同じ日立の2SK975にしました。定格を▲に示します。ID=1.5Aでは心細いですが,Nゲージなら何とかなるでしょう。
また,ドライバ段は前回と同じく,2SC1815によるC-E分割型です。2SC1815がonすると,コレクタ,エミッタ側に挿入した抵抗に電圧が生じて,ハイサイドとローサイド両方のMOS-FETをonできます。
C-E分割型ドライバ回路
ドライバ用のTrには十分な電流を流しておかないと,出力段のMOS-FETをドライブできませんので,ベースに入っているRBの設計は要注意です。なお,Trは電流制御素子なので,RB=0にしてはいけません!! Trが壊れます。
これ,真空管でよく使われるP-K分割型位相反転回路と同じです。半導体アンプの時代になっても,ゲルマニウムの時代は出力TrがPNPしかないため,真空管と同じく位相反転が必要だったので,ドライバ段にこのようなC-E分割型位相反転回路が使われました。こんなこと知っているのは相当な爺さんです。
真空管ではP-K分割型は初心者向け,と言うことで特に日本では嫌われますが,確実に動作するし,よく使われるMullard型に比べて調整が必要ないし,とてもよい回路だと思います。
また,Hブリッジ用のドライバとしては,出力インピーダンスが問題となります。これが高いとMOS-FETの巨大な入力容量をドライブできず,スイッチング速度が低下しますが,C-E分割型だとたっぷり電流を流して低インピーダンス化してやればOKです。
今回,LTspiceでシミュレーションして,ドライバ段の2SC1815には50mAも流すことにしました。こうしてやれば,1μs以下のパルスでもドライブ可能です。前回,ハードウェア版ではドライバ段の電流は2mA程度しか流していなくて失敗でした。Trはもうひとランク上の2SC2655でもよいと思います。
さて,ということでまずは回路です。
Tomix5001 高速PWM回路
HブリッジはPICのCCP1およびCCP2で制御します。調光用のボリウムは本当だったら,別途,外に出しておいて,調節できるといいですが,ケースに穴を開けないといけないので半固定としました。この場合,オシロでデューティが3%以下となるようにしておきます。4%を超えてしまうと機関車が動き出してしまう可能性があります。ついでに,前照灯&室内灯は中立位置でoffできるように汎用のデジタルI/Oポートで制御します。
ここまで来たらプリント基板を作っておきます。テスト用に,出力回路にLEDを2つつけておきます。ついでに,出力端子間にスナバ回路を挿入してモータの逆起電力を吸収させるようにしました。保護回路については簡単にポリヒューズにしましたが,本当だったらPICにはPWM出力停止という機能があるので,過電流を検知したら出力を停止させる,というのが正しい使い方だと思いますが,この場合,リセット端子も必要になるのであきらめました。
完成した基板
Tomixの5001同様,速度調整用のボリウムはセンタークリック付のものをAlpsが作っていますので,それを使いました。ちゃんと中点でクリックして止まりますので,便利です。
デバッグする際に,やはりモニタ用のLEDをつけておくと便利です。ケースに入れちゃうと不要なんですけどね。
プリント基板図を載せておきます。サイズは55×33mmです。
プリント基板図(パターン面)
部品配置(部品面から見る)
さて,次はソフト。
残念ながら,最初のものはものの30分くらいでソフトを作っちゃったのですが,案の定,全く動きません。結局,デバッグに1週間もかかっちゃいました。やはりPICは大変です。
何が問題だったか,と言うとまずはPWM2が出力されませんし,調光用のパルスが出てこないので中点でLEDが消えちゃいます。また,例によって調光off用のデジタル入力も動作していないようです。
PICは限られたピンを有効に使うため,各ピンに複数の入出力機能が割り当てられていて,レジスタの設定で切り替えるようになっていますが,やはりこの設定がいろいろとまずかったようです。ようやく満足に動くようになるまで,1週間かかってしまいました。
基板ができたらまずはPICを挿さずに78L05の出力がちゃんと5Vになっていること,また,電源とGND間の抵抗を計って∞くらいになっていればPICを挿してテストします。
ちゃんとボリウムのつまみを回して2つのLEDがちゃんと別々に点灯し,中立位置でも,直前のLEDの点灯状態と同じ位置のLEDが点灯すればOKです。ボリウムを中点にして,半固定抵抗を回して明るさを調節します。可能ならオシロでデューティを3%以下にしておきます。なければ実際に模型を動かして,ちゃんと模型は止まっているけど,前照灯は点いている,と言う状態で止めておきます。
デューティの変化
パルスのデューティは▲のように変化します。ボリウムの中点でもパルスを出力させています。→ のように変化した場合,中点で模型が停止しますが,そのまま前照灯は点いたままです。同じ方向だとまたデューティはさっきの矢印と反対の向きに戻っていくだけですが,逆転する場合はしばらく逆向きの前照灯が点灯しますが,すぐに切り替わります。あとは同じです。
もっとも,電源投入直後は直前の状態というのがありませんので,LEDは2つとも点灯しません。パワーパックとして使うときも同じで,電源投入直後は前照灯&室内灯は点灯しませんので,ご注意ください。少しつまみを回してやると点灯します。以後,直前に回した方向の前照灯が中立位置でそのまま点灯するようになります。
また,中立点付近では20bit分だけ,余裕を持たせておいて,この範囲内だと前照灯のみ点灯します。調光用のデューティは最大10%でソフトを作っていますが,半固定抵抗で調整できるようにしました。
ただ,実際に試運転してみるとコアレスモータ機はかなりシビアで,デューティを2%くらいにしておかないと停止しません。また,このときのデューティが低いので,前照灯もあまり明るくありません。
そこで,コアつきモータ機の場合は調光用デューティを最大20%くらいにできるようにして,SWで切り替えるようにしました。
ソフトについては結構大きなファイルになっちゃったので,ご希望の方はコメント欄でご連絡ください。
それと,くれぐれも同じアーム内の2つの素子が同時にonすると危険ですので,テスト中は時折,Hブリッジの各素子を触ってみて,熱くなっていないか確認します。
あとはオシロの写真をご確認ください。
調光用パルス
ソフトをこんな風になるように作ったので,ボリウムを中立位置(真ん中)に持っていっても必ずこのパルスが出ています。なお,▲の写真ではデューティは3.19%になっていますが,あとで2%ほどにしました。実を言うと,3%ちょっとでもほんのわずかですが,D51が動いちゃいました。コアレスモータ恐るべし!!!!
途中の状況
20kHzのパルスでPWM変調しています。20kHzですので耳には聞こえません。
最大デューティ
100%になると完全な直流になります。
ここまで来たら試運転しませう。まずは一応,バラックの状態でテストです。ここで不具合があればまだ修正できます。
無事に走行します。
ちゃんとボリウムのつまみを中点に持っていっても▲の写真のように,前照灯は点灯したままです。逆方向につまみを回すと速やかにこの前照灯は点灯しなくなりました。
さて,次はいよいよケース内の基板を入れ替えて,新しいPIC版のコントローラ基板を取り付けます
ついでに,ちょっと,iruchanはケースの修理をしたいと思います。
実は,何回も分解して中の基板をいじっているので,ねじがバカになっちゃっていたので直します。
オリジナルはタッピンねじで固定してあり,木ねじと同じで,何回もねじを外したりしているとそのうちバカになっちゃいます。
これ,困っちゃうんですよね。だからiruchanはタッピンねじは使いません。
こういうときは金属製の雌ねじを埋め込んじゃいます。
商品名としてはスピンサートとか,インサートねじとか,埋込ねじとか,いろいろ言われるので結構,面倒ですが,真鍮でできていて,専用のヒータで熱してから,プラ材に埋め込むものです。なお,アルミなどの柔らかい金属に埋め込むタイプのものはヘリサートねじと言いますが,スチール製のワイヤみたいな形状をしていて,専用の挿入工具で埋め込むもので,それとは違います。また,木材用のものは鬼目ナットといい,外周のねじが木ねじ形状になっていますが,これもプラには使えません。
品質的には絶対に日本製がいいと思うんですけど,そもそも売っている店が見つからないので困りました。ところが,なんとAmazonで中国製を売っていました。100個で¥231です。これでまあ,一生使えるでしょう。
こんなやつです。
Amazonではインサートナットとして売られています。今回,M3用のを購入しました。真鍮でできていて,なかなか見た目がよいです。なお,真鍮なのではんだと相性がよすぎて下手すると雌ねじ部分にはんだがついてしまって取れなくなりますからご注意ください。
まずは下穴を。
埋込ねじの外径-1mmくらいに穴を拡大します。今回,M3ねじで固定しますので,ルータでφ5mmくらいに拡大しました。
はんだごてで埋め込みます。
専用のヒータなんてとてもアマチュアじゃ買えないので,はんだごてで十分,熱してから埋め込みます。抜けなくなると大変なのですが,ピンセットでこて先を挟んで埋込ねじを押さえつけて引き抜きます。あとでこて先は金属製のスポンジなどで清掃してください。
こんな風に仕上がります。
あとは周囲に盛り上がったプラをまたルーターで削って終わり.......のはずでしたが,肝心のM3ねじで固定しようとしたらねじが入りません.....orz。
調べてみたら雌ねじ部分に溶けたプラが少し入り込んで,埋込ねじの表面で固まっていました.....。
しかたないので,M3のタップを通して表面に溶けて固まったプラを取り除いてOKでした。やれやれ。
でも,これで無事にプラケースのふたを固定できました。便利ですので,一度お試しください。
基板の実装状況
完成しました。
ボリウムが真ん中の位置でもパルスが出るようにしました。もちろん,この位置でも前照灯&室内灯は点灯します。
さて,これで今回のプロジェクトは一応,終わりです。1月から半年,ずっと取り組んできましたが,コアレスモータ搭載のNゲージ用のコントローラを開発することができました。
最後に全員集合の記念撮影です。
それにしてもよう作ったな~。ヒ~マ~っ!!!!
2017年9月9日追記
KATOのC12を買いました。コアレスモータの性能もあるのでしょうけど,驚くほど動力の性能がよく,スムーズな走りにびっくりしました。
ただ,モータの性能がよすぎて,デューティ比2.7%でも起動しちゃいます。D51の場合はたぶん,模型の質量が大きいからでしょうけど,4.6%でしたから,C12はすごいです。
おかげで,今回作ったソフトはダメで,D51はボリウムを中点にしても動きませんでしたけど,C12の場合は微妙に動いちゃいます。
KATO C12対応版です。
そこで,ソフトを改修し,最低デューティは1%くらいにしたらようやく停まりました。やれやれ~。
そのついでに,ちょっと別のことを改善したいと思います。どうせPICを取り出してソフトを改修するのに,ふたを開けてしまわないといけませんしね。
実は回転方向を示す赤色のLEDが気にくわなかったのです。
完成後,Tomixのオリジナルの赤色LEDが暗すぎたので,最近の高輝度のものに交換してしまいました。最近のは本当に明るいですからね~。こういうのになれちゃうと,昔のLEDが暗すぎて我慢できないので交換しちゃいました。輝度が低い場合は電流を増やしてやればいいんですが,どうも昔のLEDはあまり電流を増やしても明るくならないし,どうやら限度があるようで,それ以上は明るくならない感じでした。
ところが.....。
ちょっと写真じゃわかりませんけど,赤色が薄すぎて,どうにもこれじゃピンクか,オレンジ,という感じの色なんです
調べてみて気がつきました。
最近の高輝度の赤色のLEDは波長が620nmくらいのものがほとんどなんですね。620~625nmという赤色LEDがほとんどでした。
驚いて昔の東芝の規格表を見てみますと,TLR113なんかだと700nmです。
まあ,最近はLEDと言ってもほとんどが台湾か中国製なので,ひょっとして中国の人は赤というともっと波長の短い,ピンクみたいな赤を赤色だと感じるのでしょうか。確かに,日本語で赤というとエンジ,紅,深紅とか茜色とか赤紅とか鮮紅色とかいろいろあって,日本人は赤色をいろいろ区別するのだとかそういう話を聞きますけど,どうも日本製のLEDも赤色が違うのでは,という感じがします。
と言うことで,結局,やはり東芝のTLRA155BPに交換しました。中心発色波長は660nmです。さすがに,昔のように700nmというようなLEDは見つけることができませんでした。
違いは歴然。まあ,デジカメで撮っているので人間の目の感覚とは違う,と言うことを前提にして考えてみても,かなり違う感じです。
前回使ったLED(左)と東芝のTRA155(右)
驚くほど色が違いました。左はまるでオレンジですね~。でも,これだけ見ると一応は赤と思える色ですし,肉眼で見るとそんなに違いはない感じなんではありますけど。
前回使用したのは台湾OptoSupply社の
OSHR5161AというLEDですが,波長が620nmじゃ,やはりオレンジ色がかっています。交換したのは東芝の
TLRA155BPですが,660nmです。ただ,輝度は全然違っていて,
OSHR5161Aが7000mcdなのに,
TLRA155BPは900mcdですので,最近のLEDとしてはそれほど高輝度じゃありません。ちなみに
TLR113だとなんと3.5mcdです。今じゃ,10000mcdなんてLEDもありますからね~。暗~~っ
!!
なお,▲の写真の2つのLEDは直列につないでありますので,電流は同じです。輝度は断然,台湾製の方が明るいです。
やっぱ,こうでしょ!
ようやくもとのオリジナルのTomix 5001みたいな色になりました。LEDを交換するときはちゃんと波長も調べてからでないとダメ,と言う教訓を得ました。