米国バンドのFMラジオのバンド変更 [ラジオ]
2022年7月3日の日記
ずっと以前,ハワイで買ってきた,クロックつきFMラジオのバンド変更をしようと思います。さすがに88~108MHzじゃ,NHK FMだって入りませんからね。
iruchanはラジオが好きなので,海外へ行ったときにお土産で買って帰ることもあるのですが,世界的に,FMラジオは上記のバンドなのですが,日本ではどういうわけか,76~90MHzになっていて,海外で買ってきたFMラジオは日本では使えません。
ということで,今回もバンド変更をします。
今回のターゲットは
LEDの輝度が低くて何時か,写真じゃ,わかりませんけどね....
米JENSENのCR-208というクロックつきラジオです。JENSENはスピーカーの名門ですね。でも,今ブランドを持っているのは赤い金満国の会社でしょうね.......。
LED式のクロックつきラジオは便利で,ベッドの横に置いておけば,夜,寝る前にラジオ聴きながら本読んだりできるし,夜中にふと目が覚めたときに今,何時だ? と思っても,LED式だとすぐに時間がわかりますからね。これが液晶だとバックライトを点灯しないと時刻がわからないので不便です。
さて,FMバンドを日本バンドにするには,電子工学的にはFMの局発の周波数変更,と言うことになります。
詳しくはこちらで解説していますので,ご覧ください。
なお,前回同様,ワイドFMも聴けるようにしたいので,受信周波数は76~95MHzに変更したいと思います。
ただ,実を言うと,結構難しいのです。76~90MHzの従来のFMバンドでも,意外に難しく,完全にきちんと国内バンドに合わせることはできないこともありますので,ご注意ください。というのも,局発コイルの取り替えが本来,必要なせいです。
とはいえ,コイルを作り直す,と言うのはとても大変です。インダクタンスは数μHといったところで,コイルはせいぜい,3~4ターンくらいなので,どんなに計算通り,正確に作ってもとんでもない周波数で発振し,測定器がないと調整できなくなります。
と言う次第で,コイルはもとのラジオのまま使用します。
また,目標とする局発の発振周波数は,前回も書きましたとおり,86.7~105.7MHzとなります。上限受信周波数が90MHzでよい,と言う場合は上限は100.7MHzでOKです。
まずはフタを開けて,使われているICがなんなのか,確認します。
なんと,ラジオICは前回と同じ,東芝のTA2003Pでした......
ただ,なんかマークが変で,どうも東芝製ではなく,どこかのOEMのやうです。
TA2003Pならデータシートが簡単に手に入りますし,それを見ると#13ピンが局発なので,このピンにつながっているコイルを調整する,と言うことになります。
もうひとつあるコイルはRF(高周波増幅)の出力で,局発からの信号と混合器でミックスし,IFを作ります。いわば,入力のコイルなので,こちらはまずはいじらず,放置プレイです。
低周波増幅はSTマイクロエレクトロニクスのTDA2028のようです。2ch.のアンプを内蔵し,出力0.65Wで,モノラルの場合はBTL接続もできて,その場合は1.35Wも取れます。ラジオ用としてはとても便利なICです。
ところが,実はこいつがクセモノで,あとでものすごくトラブることになるのですが.......
FMバンドの変更には,FMの局発コイルを探さないといけません。
なお,FM用のコイルは本機もそうですけど,先に書いたとおり,2つ以上あるので,ご注意ください。正式には4つ,コイルが必要なんですけど,いまは4つもあることはないでしょう。また,調整するコイルを間違えると,大変なことになりますので,技術のある人でないと勧めません。また,たいていはAMもついているので,AM用のコイルやトリマをいじっちゃうと大変なので気をつけます。
入力部は,昔は▲のように,アンテナ接続用に,トランス形式のコイルが1組入っていましたが,今はコイルを止めて,セラミックフィルタを用いたバンドパスフィルタになっている場合が多いかと思います。また,ポータブルラジオだと,トランス形式じゃなく,2次側のみで,そこにロッドアンテナがついていることが多いです。
また,混合器(ミキサ)出力は,昔だとIFTになっていて,IF段につながっていましたが,今はセラミックフィルタ仕様がほとんどでしょう。この場合ですら,セラフィル特有のスプリアスを抑えるため,IFTと併用することが多かったのですが,最近はいらないようです。
バンド変更で重要なのは,局発コイルLOSCで,このインダクタンスを大きくし,発振周波数を低くすればよいのです。
と言う次第ですけど,理屈としては,受信周波数の下限をこの局発コイルで決め,上限は,バリコンについているトリマCTOSCで調整する,と言うことになります。
蛇足ですけど,もし,国内バンド(76~90MHz)のラジオがあって,ワイドFMに対応させたい,と言う場合はこの局発側のトリマをいじるだけです。その場合はこちらの記事をご覧ください。
問題は,このコイルのインダクタンスが意外に大きくなるので,普通は専用コイルで,TA2003Pに限らず,国産のFMラジオ用ICには必ず,国内用,海外用ということで局発コイルのデータも記載してあるのが普通ですけど,TA2003Pは書いていませんでした.....
といって,書いてあったとしてもスミダや東光などのメーカ製品で,アマチュアには手に入らない部品だったり,φ4mm,4T(0.5UEW)とか書いてあって,この通り作ったとしても,想定したインダクタンスには決してならないので,うまくいきません。
それなら,と言うことでコイルはラジオについているものを利用し,あとで調整することにして,iruchanはまずは▲の図のように,パラに10~15pFくらいのセラミックコンデンサをパラにして,一気に局発の周波数を下げちゃいます。
こちらで書きましたとおり,簡単にやっちゃうには,15pFをパラっちゃうだけで,まあ,国内のほとんどのFM局は受信できる,と思います。これだと失敗は少ないですし,お勧めです。
ただ,その記事にも書きましたが,この方法は簡便法で,完全には国内バンドのカバーは無理です。
そこで,さらにもう一手間,二手間かけて,きちんとワイドFMまで対応させようと思います。
まずは予定通り,15pFをパラってみますと......。
NHK FMが受信できますので,やはり局発の周波数は下がったようです。
ただ,テストオシレータを使って調べてみると,大体,下限は80MHzくらいで,全然足りません。
ここまで来たら,バリコンを最大容量(下限)にし,局発コイルを縮めてみます。ピンセットで少し(もちろん,少しだけ,ですよ~~~)はさんで縮めてみます。
徐々に,受信周波数が下がってくるはずなので,76MHzくらいになったら,いったん止めます。
今度はバリコンのトリマを調整します。
バリコンを最小容量(上限)にし,オシレータで受信周波数を確認します。
iruchanは大体,90MHzくらいでした。
トリマを回して,95MHzくらいにならないか,と調整しますが,無理です。
と言うことは今度はもう一度,バリコンを最大にし,今度はコイルを少し伸ばしてみます。
さらに次はバリコンを最小にし,トリマを調整して.....。
と言うことを延々と繰り返します。
なんとか,76MHz~93MHzくらいにするのがやっとでしたけど,ここまで来れば,国内のFM局やワイドFM局が受信できるはずなので,確認してみます。
実際,うまく各局が入感しましたので,やれやれです。
で,ここで止めちゃってもいいのですが,今度は入力側にコイルLRFがあるのでこちらも調整します。
FMの場合,コイルのQは低く,10~20程度なので,このコイルの同調周波数はそれほど神経質にならなくても結構ですけど,ここはアメリカ用に88~108MHzにあわせてあるはずなので,こちらも10pFをパラにし,さらにトリマを回して調整しておきました。
やはり,こちらも調整した方がよく,結構,トリマを回すと感度が変わりました。
最初の状態と比較してもらったらわかりますが,コイルはずいぶんと狭くなっています。
もし,一杯まで狭めてもダメ,ということだとコイルの交換,と言うことになります。
と言うことで,これで終わり,のはずだったんですが......。
どうも音がおかしい
局間はザーッとFM特有のノイズがしているのですが,受信するとビーッと言う音がします。
まあ,ラジオだし,こんなものか......と思ったのですが......。
やはり聴いているとかなり気になってきました。
どうもおかしい,と思って,このラジオは珍しく,AUX端子があるので,そこにパソコンから音楽を鳴らしてみると....。
やはりビーッと言う音がして,それに,音量が大きいとビリ,ビリと大きなひずみが出ます。
う~~ん,どうも発振しているらしいです。
うっかり,ラジオだからこんなものか,と思っちゃったのですけど,やはりおかしい。音が悪いのは我慢できないので原因を調査します。
これは最初からで,どうもこのラジオはメーカで調整しても放っていたようです。こんな音のラジオを平気で売っているなんて驚きます。PASSEDのQCシートが貼ってありましたけど,おそらく中国の工場でろくに調整もせず,出荷しているんでしょう。それに,基板の作りも雑。電解コンは斜めにはんだづけされているし,そもそも,AUX端子からの配線もセラミックコンデンサを片方のみ基板にはんだづけし,電線を直接,残りのセラミックコンデンサの脚にはんだづけしてある,と言う始末。
それに,例によってボリウムの質が悪く,ガリオームになっているし,ところどころで音が聞こえないと言う状態。摺動子がうまく接触していないんですね.....。
あまりのロークォリティにがっかり。よっぽど,前回のGEのラジオの方が中身はきれいでしたし,作りも丁寧でした。
しかたないので,ボリウムの交換から。
よく見かける基板取付タイプなんですけど.....。
国内では手に入りそうにないですが幸い,iruchanは部品箱を探したら100kΩ(B)というのが出てきたので交換しました。昔,何かから取り外したのだと思います。Bカーブですが,まあ,しかたないでしょう。
これでようやくガリオームも解消しましたが,発振は続いています。
一度,データシートを見直してみます。
やはり,データシートには,SPとパラにCとRが接続されています。
STマイクロの規格表にはなにも書いていませんが,これは発振止めで,アンプの自作派ならよくご存じだと思います。金田式には入っていませんけど。高周波でインピーダンスを下げて発振しないようにします。セカンドソース? らしい,日本無線のNJM2073Dの規格表には,使用上の注意として,発振の防止として明記してあります。やっぱり,こういうあたり,日本のメーカはとても親切です。
ということで,1Ω+0.22μFを接続したら,発振は止まりました。やれやれ~~~
☆ ☆ ☆
ようやくこれで国内のFM局が聴けるようになりました。残念ながら,上限は93MHzくらいですが,iruchanの近所のワイドFM局は全部聴けたので,これでよし,としましょう。
2022-07-05 00:00
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