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ソニーSRF-A300のAM広帯域化&ワイドFM対応改造ほか~その2:ワイドFM対応&スイッチ不良,AMステレオインジケータ取付~ [ラジオ]

2023年9月9日の日記

先週に引き続いて,ソニーが1993年に発売した,AMステレオ対応SRF-A300の修理&改造をします。

☆ワイドFM対応工事

FMは従来どおり,76~90MHzで,ワイドFMには対応していませんので,FMバンドを再調整します。

すでにたくさんの方がやっておられるようですが,iruchanはまだやっていませんでした。なお,本調整はテストオシレータや周波数カウンタなど,測定器が必要ですし,後戻りできない部分もあるので,あまりお勧めしません。

FMラジオはスーパーヘテロダインなので,局発の周波数をラジオの受信周波数よりIF分(10.7MHz)だけ低く発振させます。AMの場合はIF(450kHz)分高く発振させますし,海外のFMラジオも同様に高い方にしますが,日本ではFMバンドのすぐ上にTVの放送帯があったため,下側ヘテロダインとなっています。

そのため,76~95MHzを受信するためには,65.3MHz~84.3MHzで発振させればよい,と言うことになります。

もっとも,ギリギリだとすべての局が受信できるとは限らないので,多少,幅を持たせてありますし,実際,上限が90MHzのFMラジオでも,TBS(90.5MHz)くらいは受信できますね~。TBSはこれを狙ったのか......。

詳しくはこちらの記事もご参考になさってください。

さて,FMのバンド変更の場合,バリコンのトリマと,発振コイルを調整する,と言うことになります。トリマが上限,コイルが下限周波数を決めています。また,トリマコンデンサはスーパーの場合,2つありますので,あくまでも局発コイルに並列に入っているトリマをいじりますので,ご注意ください。

SRF-A300バリコン周辺.jpg 調整個所。コイルLOSCとトリマCOSCです。

の位置に黒いマジックの印をつけておきました。これが元の位置です。かなりずれていることが分かると思います。

基本的には,

 ①トリマの容量を減らす‥‥‥‥羽根の重なり具合を小さくする。

 ②コイルのインダクタンスを増やす‥‥‥コイルを詰める

という方向で調整します。コイルはFMの場合,空芯コイルであることが多く,一度,調整すると測定器がないと,後戻りはできなくなりますので,注意が必要です。

FMフロントエンド(CX20111).pngFMフロントエンド

バンド調整には,局発のバリコンのトリマと発振コイルをいじります。入力側(RFやANTの記号がある)はいじりません。日本ではFMでは不要電波輻射防止のため,高周波増幅(RF)がついています。RFコイルやトリマはいじりませんのでくれぐれも間違えてこちらをいじらないようにしてください。

さて,バンド調整には......

FMバンドワイドFM対応.pngバンド変更の状況

スーパーヘテロダインのラジオでは,トリマで fが決まり,コイルで fが決まります。最初に,トリマで fを決めると,fが上がってしまうので,コイルを調整して下げる⇒再度,トリマを調整⇒コイルを調整⇒.....を繰り返します。

この調整を何度も繰り返して,76MHzと95MHzがちゃんと受信できるようにします。

なんですが.......。

今回,驚いたことに,①で95MHzを受信できるようにしただけで,おしまい,にしちゃいました。

というのも,ちゃんとダイヤルの下の方で76MHzがほぼ元の位置で受信できましたので....[晴れ]

おそらく,もとのソニーの調整担当の方が,▲の←→のように,75.5MHzくらいまで受信できるように調整していたため,と思います。

最初に書きましたとおり,ある程度,局発の発振周波数は幅を広げておかないとギリギリの局は受信できないためで,下限が少し,余裕があったのだ,と思います。

と言う次第で,あえてコイルは調整せず,このまま,としました[晴れ]

iruchanは完成品を再調整する場合はできるだけ,故障したり,劣化して不具合がある場合を除き,オリジナルの状態をいじらないようにしています。特に,fはコイルをいじらないといけないので,こちらをいじっちゃうと元に戻せませんのでできるだけいじらない方が無難です。

これで無事にワイドFMが聴けるようになりました。

なお,当然ですけど,▲の図からもおわかりの通り,もとのダイヤルの90MHzのところで95MHzが受信できるようにするので,指針はダイヤルの下の方にずれちゃいますので,ご注意ください。これはダイヤルを作り直さない限り,直せません。

☆電源SWの不良

次に,電源を切っても,かすかに音が出ているという怪談 を退治したい,と思います。これ,よくある現象ですけど,気持ち悪い[台風]ですよね~~。

おそらく,内部の端子が汚れていると思います。

一番よいのはSWを交換しちゃう,と言うのがいいですが,問題は同じスライドSWを入手できるかどうか不明です。6Pの双極双投のタイプで,ごくありふれたSWですけど,まったく同じサイズ,と言うのを見つけるのは大変そうです。

電源SW.jpg このSWです。

と言う次第で,カバーを外して接点を磨くことにしました。

スライドSW'.jpg うえっ~~[雨]

やっぱり,接点が黒く汚れていて,アルコールで拭いてきれいにし,タミヤの導電グリスを塗っておきました。

簡単には接点復活材を使えばいいのでしょうけど......うっかり,バリコンにかかったりしたら大変ですので,使わないようにしています。言うまでもないですが,接点復活材は導体ですので,これをバリコンにかけるとラジオが使用不能になりますので,ご注意ください。

これで,無事にスキッと電源がoffできるようになりました[晴れ] 

夜中にボソボソとラジオがしゃべってる,という 怪談  はまっぴらですので......[曇り]

☆AMステレオインジケータ

SRF-A300-7'.jpg

   苦労してここにステレオインジケータLEDをつけたのですが......。

ソニーのAMステレオラジオは,ステレオ受信時にLEDが点灯する,という仕組みになっていません。せっかく,AMもステレオになった,というのに,ちょっと,これは残念。AMステレオが普及しなかった理由のひとつかも.....[雨]

前回,本機のAMステレオデコーダは,CXA1657MCXA1758である,と書きました。Motorolaや東芝と違って,ソニーのAMステレオデコーダは2つになっているのが特徴で,AMステレオラジオ第1号のSRF-A100でもCX857CXA1017Mの組み合わせになっています。前者がPLL同期検波用で,後者がステレオマトリクスとなっています。

そう,ソニーのAMステレオICはモノラル時でも同期検波をするようになっていて,Motorolaなど他社のAMステレオICと異なります。だから,モノラル受信時でもひずみや雑音の少ない良好な音質となっているはずです。

実際,Motorolaや東芝のICはL+Rは通常どおり,エンベロープ検波をして出力しており,L-Rの差信号はPLLで同期検波して出力しています。

やはりエンベロープ検波ではひずみが多いし,何より同期検波じゃないので,雑音や混信に弱くなります。

ソニーのAMステレオラジオは同期検波しているので,モノラルの局を受信するときでも音がよい,と思います。

さて,ステレオインジケータですが,Motorolaや東芝のAMステレオデコード用のICはステレオインジケータがついています。

ソニーのも同じで,インジケータ機能があるだろう,と思っていました。

ただ,確認しようにも,残念ながら,CXA1657MCXA1758の規格表が入手できません。

困ったな....[雨]

ただ,米国向けのSRF-42が同じICの組み合わせで,サービスマニュアルを入手することができました[晴れ]

すると......

SRF-42 AM stereo decoder.jpg

         SRF-42のAMステレオデコーダ回路

CXA1657M.png

   同じサービスマニュアル中のCXA1657Mのブロック図

CXA1657Mに,ST INDというピンがあるではないですか!。ラッキー[晴れ]

ところが,このピン,どうもステレオインジケータではないようです[雨]

SRF-A300では,この#12のピンは基板を確認したところ,GNDに接続されています。

と言うことはオープンコレクタか,と思います。これだったら,このオープンコレクタがonのときに外部から電流を吸い込むので,LEDを接続できるはずですし,使わないときはGNDに接続しても,ICは故障しないはずです。

と考えて,実際に配線してみたのですが.....。

ダメでした[晴れ]

確かに,バンド切替SWをAMにし,モードをstereoポジションにしてみると,このLEDが点灯するのですが,点きっぱなし[雨]

FMにしたり,モードをmonoにすると消えるので,配線は間違っていません。

残念ながら,このCXA1657MというICのST INDという#12ピンは,"AMステレオを受信する準備ができました" と言うだけのピンのようです.....[雨]

はつかりがっかり。

SRF-42のCXA1758には,#4ピンにINDというピンがありますが,残念ながら,これを利用するのもダメなようです。

と言うのも,CXA1758は同期検波用のICで,このピンは内部のPLLが動作し,VCOがロックしたことを示すインジケータのようで,ラジオとしては,ステレオであろうが,モノであろうが,局に同調してVCOがロックすると点灯するので,ステレオインジケータにはならない,と思います。

残念ながら,結論として,ソニーのデコードICにはその機能はないようです。だから,ソニーのAMステレオラジオにはインジケータがないのです。

残念ながら,ステレオインジケータは失敗でした.....[台風]

なんとか,リベンジしたい,と思います。


2023年9月14日追記

今日,とうとう阪神タイガース優勝しました[晴れ][晴れ]

いや~~よかったです[晴れ]

クソ巨人[台風] 破って甲子園で胴上げ,なんて最高でした[晴れ][晴れ]

早速,改造後のSRF-A300でAMステレオで録音しました。

ちょっと録音はノイジーですけど,選手の方は全然打たんしあかんな~,やはりAMステレオはいいですね~。

セラミックフィルタも広帯域のものに交換したので,オリジナルとは全然違う音質です。最後の表彰式の女声アナウンスなんて,いい音でしょ。


阪神優勝ショウアップナイター '23.9.14-1s.png ちゃんとステレオです。

    PCのラインイン入力を使って録音しました。

それにしても次,阪神が優勝するときはニッポン放送もAMステレオどころか,AMやめちゃってるだろうな......[曇り]


2023年10月2日追記

ちょっと,▲の阪神優勝の時はノイジーだったので,今朝,ニッポン放送の開始放送を録音しました。


Enyaの曲が美しいですね~。君が代を流すのは民放ラジオではニッポン放送だけのようです。

できるだけ長く,AMステレオの音が聴けるようにお願いします。

 

2023年11月5日追記

とうとう,阪神タイガース38年ぶりに日本一になりました[晴れ]

iruchanはちょっと怖くて,とてもTVは見ていられないので,ずっとニッポン放送を聴いていました。

4回のノイジーの3ランホームランは本当に値千金でした。

といふことで,けふは六甲おろしをSRF-A300で録音したので,お届けします。



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