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オリエント急行改造事件~プロローグ~ [模型]

2013年4月21日の日記

オリエント急行'88.jpg 

             北陸線 姉川付近 '88.11.23撮影

今をさかのぼること四半世紀前,国鉄民営化1周年を記念してはるばるヨーロッパからオリエント急行がやってきて,日本国内を何度も往復しました。まさしく夢のような出来事で,私も何度か写真を撮りました。惜しむらくは当時はデジカメじゃないので,フィルムだったのであまり写真をたくさん撮っていないのが残念ですが,オリエント急行というとアガサ・クリスティの小説で日本でも有名なのはもちろん,鉄ちゃんではない人でもよく知られていて日本人の憧れの的となり,遥かヨーロッパへの夢や憧れをかき立てる列車でもありました。

フジTV開局30周年のイベントも兼ねていたようですが,ヨーロッパの車両を日本で走らせよう,と言う発想もすごいと思いますが,軌間をはじめとして,規格もまったく異なる車両を厳しい日本の規制をクリアしたうえ,すでに分割されていた日本のJRの線路の上を走らせた,と言うことは最初にして最後の極めて画期的な出来事だったと思います。おそらく,今後はこのようなことは絶対にできないと思います。幹事会社となったJR東日本の副社長が山之内秀一郎氏で,同氏が国鉄の運転局長を務めていたりしてJR各社に人脈があったことも成功の要因のひとつでしょう。

車両はシベリア鉄道を経由し,香港から海を渡って長駆18,000kmの長旅を経て,日立笠戸工場へ入場して,日本で走行するために必要な改造をしました。まさに空前絶後の大プロジェクトだったと思います。

オリエント急行は1883年にパリ~イスタンブール間で運転が開始されます。フランス,ドイツ,オーストリア,セルビア,ブルガリアの各国を経由してイスタンブールへ行きますが,フランスは第三共和政,オーストリアはオーストリア・ハンガリー二重帝国の時代です。トルコももちろん,オスマン・トルコの時代です。二度の世界大戦を経て,1977年に廃止になりましたが,その時のニュースや新聞は今もよく覚えています。最近まで,ストラスブール~ウィーン間に短縮されて運転されていましたが,とうとう2009年には廃止されています。その他,観光列車として,ヴェニス・シンプロン・オリエントエクスプレス(VSOE)がロンドン~ヴェニス間で運転されているのはご存じの通りです。一度,乗ってみたいと思います。

KATOからは2008年末にオリエント急行'88が発売されました。人気があったらしく,すぐに "瞬殺" となり,市場から消えてしまったので,翌年夏にも再生産されています。イタリアのリバロッシや,同社の倒産後はドイツのアーノルトからも出ていましたが,やはり外国の模型というのはちょっとディテールや走行性能に難点がありますし,何より高いので,KATOが生産してくれると非常に助かります。やはりNゲージも日本製が一番だと思います。

私も最初の発売の時に即,予約して入手していましたが,時間がなくて今ごろになって整備しています。客車はすべて室内灯を組み込むことにしていますので,室内灯を設置します。

といって,残念ながらKATOの室内灯ユニットは値段が安いのはいいのですが,車端部から照らしてプリズムと呼ぶ導光材で車内を照らすようになっているので,どうしても反対側の車端は暗くなります。今回のオリエント急行は25m車体なのでなおさらです。また,妻面を塞ぐ形で室内灯ユニットが取りつけられるので,貫通路が見えなくなってしまうのも難点です。普通の客車だと貫通扉があるので,そう苦にはなりませんが,旧客のように,貫通部が開いていると邪魔になります。光ムラについては最近発売されたLED室内灯クリアというものはずいぶんと改善され,評判はよいようです。

一方,TomixやマイクロエースのはLEDがプリズムの中央付近に埋め込まれているのでKATOのものに比べれば光ムラは少ないのですが,室内灯ユニットに通電するためのバネが思いっきり窓から見えたりするので興ざめもいいところです。きちんと吹寄の部分にバネが来れば見えないのですが,窓ガラスのまん中に来る設計のものも多いです。それに,このバネが接触不良になりやすいし,苦労して取り付けたのに導光材が走行中に外れる,なんて事故も起こりますしね......。お客さんが頭ぶつけるだろっ!。

と言う次第で,やはり室内灯は車両ごとにカスタム設計が必要なのではないかと思います。また,どのメーカのものも集中照明になっていて,どこか1点にLEDがついています。やはりこれは無理なのではないでしょうか。実際の車両同様,分散照明が必要だと思います。

と言う次第で,今回,室内灯ユニットではなく,小型化したチップタイプのLEDを用いて,自作することにしました。この方が安いですしね.....(^^)。

では,室内灯を設置していきます。

【1号車控車マニ50 2236】

最初は失敗してもいいよう,国産の車から.....(^^;)。

オリエント急行は連結器がヨーロッパ標準のネジ式のため,日本の機関車と連結するために自動連結器に変換する必要があります。そのため,編成の両端に日本の貨車または客車改造の車両が連結されていました。さらに,マニ50は倉庫として利用されていたようです。

といって,LEDを使った分散式照明にしようと思いましたが,何のことはない,マニ50は非冷房のため,屋根が低く,考案中の分散式照明は使えそうにありません。あきらめてKATOの室内灯ユニットを使いました....orz。

というのも,次のLX16寝台車でチップLEDを使った分散式照明に改造しますが,これは天井に銀テープを貼りつけ,それに反射した光を利用する,いわば間接照明のため,ある程度屋根裏に空間がないといけないためです。マニ50は屋根が低すぎ,プリズムと呼ばれる導光材を入れるのが関の山のようで,あきらめました。

といって,実を言うと,以前LEDだと間違って購入した白色室内灯ユニットをLED化したものを使っています。20系を点灯化するときに使いました。本来ならブリッジDiが必要ですが,逆向きに2個,LEDを使って,ブリッジDiを使っていません。

マニ50 2236.jpg 新室内灯ユニットをLED化

一応,マニ50と言うことで昼光色(白)の蛍光灯を使っていたと思うので白色LEDを使っています。

マニ50 2236-1.jpg こんな感じです。

やはり,車端部にLEDがあるため,どうしてもLEDのある方が明るくなります。左側が暗いですね。これがKATOの室内灯ユニットの欠点です。Tomixやマイクロエースだと割にまんべんなく明るくなりますが,集電バネが見えるのが困ります。

【2号車WLA LX16寝台車】

次に,2号車の寝台車を改造します。

屋根が丸く,高いので,LEDを上向きに取りつけ,いわば間接照明として室内を照らすことにします。こうすると,光ムラが減って,雰囲気もグッとよくなると思います。また,車端から照らさないので,導光材も不要です。

そのせいで,20系やマニ50で使用したように,LEDを2個逆向きに取りつけて進行方向に応じて代わる代わる点灯するという方式はやめました。きちんとブリッジDiを入れて,全部点灯するようにします。ただ,ブリッジDiはチップタイプじゃなく,普通のDIPのもののため,サイズが大きく,そのため,ブリッジDiの設置位置を考えないと窓から見えますので,十分配慮します。

ブリッジDiは新電元のS1ZB60という3.8×4.8mmのDIPタイプのブリッジDiを使います。非常に小さいのですが,肉厚が2.5mmもあるため,Nゲージにとってはこれでもまだ大きすぎます。

使用したLEDはマルツで売っている2012タイプ(2.0×1.2mm)の電球色のチップLEDである HT17-21SWAWCを使いました。室内に4~5個所取りつけるつもりです。オリエント急行はコンパートメントになっている車両が多いので,多めに使用します。

LED unit1.jpg チップLEDのハンダ付け状況

KATO オリエント急行室内灯回路.jpg 回路です

φ0.3mmの隣青銅線でハンダ付けします。↑ のように,カマボコ板に両面テープを貼り,LEDを裏返しにして貼り付けてからハンダ付けするとやりやすいです。チップLEDも銅線も,ハンダ付けする位置にあらかじめフラックスを塗るか,予備ハンダをしておくと天ぷらハンダになりにくく,導通不良になりません。チップ部品ははんだ付け部分が小さく、天ぷらはんだになりやすいので注意が必要です。しっかり加熱すればよいのですが,と言ってチップ部品だと半導体を傷めやすいのでご注意ください。

ハンダ付けが終わったら,このように点灯試験をして,すべてのLEDが点灯していることを確認します。もし,1個でも点灯しないものがあったら,向きが違うか,ハンダが天ぷらハンダになっていて導通していません。

なお,本当言うと,このようにLEDのパラ接続はやってはいけません。LEDの順方向電圧にはばらつきがあり,各LEDの明るさがばらついてしまうばかりでなく,下手すると一部のLEDに電流が集中して壊れる場合がありますので,パラ接続は本来はやってはいけません。といって,こんな小さなLEDをシリーズ接続するのは大変なので,原則を無視してやっています。この場合,メーカや型番が同じものでやって下さい。別のメーカや型番のものだと,全部が点灯しなかったり壊れることがあります。

sleeping car No.3487-1'.jpg 集電板にリード線をつけます

KATOの室内灯ユニットを買うと,集電板からユニットに通電するためのL字型の銅板がついてきますが,その代わりとしてφ0.3mmのスズメッキ銅線をハンダ付けします。これにブリッジDiがつながります。

sleeping car No.3487-2'.jpg ブリッジDiをつけました。

sleeping car No.3487-3.jpg 透明エポキシで固定しました。仮止め中。

ここまで来たらラダー状にLEDを取りつけたユニットを接続します。電流制限抵抗は1kΩにしました。

LED unit2.jpg 車体に取りつけて,またテストです。

sleeping car No.3487-5.jpg 屋根裏に銀テープを貼っておきます。

LEDは上向きに点灯するようにし,銀テープで反射するようにします。各コンパートメントの中央くらいに来るように各LEDの位置を決めました。

sleeping car No.3487-7.jpg ボディをかぶせました。

どうでしょうか。なかなかいい感じだと思います。光ムラも少なく,どのコンパートメントも均等に明るく照らされていますと言いたかったのですが,一番左のコンパートメントは暗いですね。LEDの位置をずらさないといけないようです。

【9号車WSP4158DE プルマン食堂車】

この車両の素晴らしいことは特筆すべきですね。皆さん賞賛しておられます。本当に美しい車両だと思います。特に,室内灯は購入時は取りつけられていないのですが,各テーブルのキャンドルランプは点灯するようになっていて,室内灯が点いてなくても赤く光るので,非常に雰囲気がいいです。ぜひこの車両にも室内灯をつけたいと思います。

もとは座席車ですが,日本では食堂車として利用されました。やはりツアー用なので,食事のニーズが重要だったのでしょう。

PULLMAN dining car No.4158-1.jpg LEDユニットは同じ感じです。

幸いにも,この車両の左側にはポケット状のスペースがありますので,ここにブリッジDiと1kΩの抵抗を収めました。キャンドル灯がいい感じですね。

PULLMAN dining car No.4158-2.jpg いかがでしょうか。

作業は慣れてくると30分くらいですが,今回,試行錯誤しながらだったので,1日で4両がやっとでした。またつづきは来週です。

 


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