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自動加減速コントローラ完成 [模型]

2008年6月の工作

前から本物の電車のように自動的に加速し,ノッチオフすると惰行する鉄道模型のコントローラがほしいと思っていました。ボリウム1個で制御し,ボリウムの角度で速度が決まるだけで,ボリウムを0にすると急停止,という普通のコントローラには大いに不満を持っていました。ところが,自動加減速するコントローラは実際に買おうとするとどれも非常に高いですし,何より工作派としてはお金を出して買うのもなんだし,と言うわけで自作を検討していました。ところがこれ,意外に難問なんですね。途中でやる気をなくしたりして,放ったらかしてしまったので,結局,完成までに10年もかかってしまいました。

まず,設計要目として,

(1) 自動加減速+惰行可能なものとする

(2) HOゲージでも使えるよう,最大容量3Aとする

(3) 最大出力電圧を負荷によらず,12Vで固定する

(4) 従来通りのボリウム1個で制御する普通のコントローラとしての機能も持たせる

といったものです。(1)はトラコン(トランジスタコントローラ)とか言って昔から回路は発表されていますし,自動加減速ができると惰行もできるので,何とか実現させたいです。市販のものでも問題は(2)と(3)ですね。実は「大は小を兼ねる」式にHOゲージで使えるような何Aも出せる大容量のものをNゲージのような小負荷のもので使うと,最大出力電圧が17Vとかになってモータを焼き切ってしまいます。実際,KATOのDD51が目の前で焼き切れるのを見たことがあります。これは,大容量のパワーパックはHOゲージのような大電流負荷時に12Vとなるように設計してあるためで,Nゲージのような小負荷の場合,最大出力電圧が上がってしまうためです。これはちょっとあまりに無神経な設計だと思います。今回,3Aという比較的大容量なパワーパックを作るにあたり,この点,十分配慮して設計します。

さて,まず問題の自動加減速と惰行についてですが,鉄道模型がなぜ惰行しないのかというと,当たり前すぎますが,ウォームギヤを使っていて,しかもイナーシャが小さすぎるから,と言うことですね。ウォームギヤもねじり角を4゜以上にすれば受動側からの負荷に対しても回転するのですが,鉄道模型ではこのようなことがなく,絶対に,手で転がしたりしても車輪が回転しません。これでは惰行するわけがないのですね。最近はフライホイールが入っていて,多少は惰行するようになっていますが,ほんの数cmと言ったところで,ぜんぜんダメです。もし,将来,非常に小型のDCモータが開発され,客室の両端に1個ずつモータを配置し,平歯歯車で動力を伝達するようになると惰行できると思いますが,こんなモータ,作ってくれませんかね。

と言う次第で,やはり電気的に惰行を模擬してやることくらいしか手はありません。ただ,これを使うと自動加減速もできます。

さて,惰行あるいは自動加減速ですが,これはコンデンサの充放電を利用して,コンデンサの端子の電圧を使ってやればできます。電子工学の教科書に典型的な過渡現象の説明例として,下記のCR充電回路の説明が出ています。この場合,端子の電圧は

時定数.jpg

で表されます。TはC×Rで,次元として時間となりますので,この値は時定数と呼ばれます。時定数分の時間が経つとほぼ最大出力電圧の6割(正確には1-1/eで63.2%)くらいの電圧になる,と言うのが目安になります。これを使って自動加速ができます。放電する方も同じで,こちらは減速となります。

今回,放電側は定電流回路として,一定の電流で放電させ,ブレーキとしました。単に抵抗で放電させると,電圧が小さくなるほど,時間がかかるためです。加速の方はいいのですが,ブレーキでこれやるといつまで経っても停まらないと言うことになりますので...。

惰行するときは放電の電流を0にし,時定数を大きくしてやればよいわけです。

さて,(3)の最大出力電圧の問題ですが,電源を定電圧電源にすればよいのです。簡単にやるにはスイッチングレギュレータを使うのが一番手っ取り早いです。要はトランスを使ってブリッジダイオードで整流,なんてことをやっているからこんな問題が生じるのです。12Vのスイッチングレギュレータが安いところでは1,000円ほどで売っていたりしますから,これを使えば無問題です。ところが,本機を設計したのは10年前で,当時はこんなスイッチングレギュレータが簡単に手に入らなかったので,従来通りトランスで設計しています。

最大出力電圧については,上記のコンデンサの充電電圧を13~14Vほどに抑えればOKで,これにはツェナーダイオードを使います。電圧がばらついているのは,出力のトランジスタをダーリントン接続にするので,ダーリントン段数×VBE分だけ高くしないといけないのと,出力TrのVCEsatとよばれるコレクタ~エミッタ間の損失電圧が存在するためです。でも,たった1本のツェナーダイオードを入れるだけで最大出力電圧を抑えられるのですが,案外,市販のコントローラはこんなことすらしていなくて,困ったものです。

    自動加減速パワーパック2.jpg

   Nゲージってこれくらいの負荷なんですね...これでもフルノッチにしても最大12Vで停止します

と言う次第で,設計した回路を下記に示そうと思ったのですが,so-netブログはPDFなんかを添付するようにできていません。回路図がほしい方はコメント欄でご連絡下さい。

制御Trは何も古くさいTO-3形のパワートランジスタを使う必要なんてないのですが,やはりトラコンというとTO-3形というイメージがあるので,2N3055を使いました。2N3055以外でもNPNのパワートランジスタならほぼ何でもOKですが,TO-3形は今は非常に高くなっているので,ジャンクを買う以外は2N3055を使うのが一番安いです。実はこれ,モトローラがオリジナルで,アルミケースのペラペラのTO-3形で面白いのですが,オーディオ用に使うと音がよいらしく,当方も持っていますが,もったいないので,モトローラはオーディオ用にすることにし,使ったのは仏伊合弁のSTマイクロエレクトロニクスのやつです。探すと東芝製も売っています。ところで,2N3055はモールドのTO-3P形もあるんですね。びっくりしました。「これ何?」って最初は思いました。なお,パワートランジスタならNPN(2SC××か2SD××)でIc>5Aくらいの規格のものなら何でも使えます。モールド形の方が基板に直付けできて使いやすいでしょう。ところで,国産のTO-3形の2SCxxとか2SDxxという名称のものは2N3055とエミッタとベースの接続が逆なのでご注意下さい。

自動加減速パワーパック1.jpg

 今回のご本尊,TO-3形の2N3055

加速の時定数と減速の定電流回路の定数は試行錯誤で決めるしかなく,一応設計してみましたがやはり電車を走らせてみて実感的な数値にしました。ついでに,電流と電圧の監視用のメータもつけました。これがあるとやはり非常に便利です。

さて,一応定置で試験して,いよいよ試運転です。AUTO(自動加減速)とmanual(手動)の切替もつけたので,従来のコントローラみたいな運転もできます。よく考えてみると,鉄道模型って運転を楽しむのと見るのを楽しむのと,2通りありますね。延々とだらだらと低速で運転させ,それを見ているだけって楽しみもあるんですね。そういうときのために手動モードをつけています。HOゲージのファンはこちらの方がいいって言うかもしれません。

自動加減速パワーパック.jpg

       西鉄2000形を運転中。

ノッチをフルにしてもすぐにびゅっと飛び出すことはせず,ゆるゆると加速していくのは感動です。最大速度くらいになってノッチオフをしても,いままでだとガクンと急停止,だったのにそのまま普通の電車みたいにず~っと走っていくので正直言ってこれも感動です。試しにフルスピードになった時点でノッチオフするとだらだらと惰行し,最終的に停止するまで,1分半走行しました。駅に近づいたらやおらBRAKEボリウムを右に回し,ブレーキをかけます。電圧メータが急に下がり始め,停止となります。ちゃんとBRAKEボリウムを左右に回すと減速のスピードも変わるので,運転士さんみたいに停止位置を調整することができます。

と言った次第で,やはりトラコンはいいなと実感できるコントローラが完成しました。駅発車時に「ちょいノッチ」(旧国鉄がよくやっていましたが,発車時に1Nへ入れたあと,すぐにノッチオフし,ブレーキ不緩解をチェックする。私鉄ではやってませんね。JRでも西さんはやめたようです)をやることもできます。

ただ,気をつけないと停止位置不良や停車駅通過(実はうちの近所で本物の電車が「通過駅停車」なんて事故もやったことがありますが....),それから赤信号冒進して本線合流直前に安全側線へ入って脱線,本線を支障して後続列車が追突し,三河島事故の再現などの事故も引き起こしますので,十分お気をつけ下さいね。

残念ながら回路自体は簡単ですが,ボリウムやスイッチ類が多く,配線が大変で,やはり今度はPICマイコンを使ってソフト的に制御した方がよいと思います。また,今回はPWM制御(パルス式)ではないので,起動がスムーズではないですし,前照灯も暗いので,次回はPIC+PWMにしたいと思います。

2009年1月追記

とうとう本機を先日,運転会デビューさせました。トランス式なので重くてまいります。今だったらスイッチング電源にするのですが,せっかく作ったのでこのままにしておきました。HOゲージのカツミのED70のようにそれなりに"古い"機関車を運転するのならトランス式がい似合うかと,勝手に思っております。

それにしても本格的に運転会で使ったのは初めてですが,非常にスムーズに動作して,惰行もでき,本当に電車を運転しているみたいで,とても面白いです。ブレーキ操作をしないと止まらないので,やっぱり事故には要注意ですが...。EGSか,非常停止ボタンをつけないといけませんね。EGSでもいいのですが,その場合,レールを短絡することになります。本機では保護回路がホールドバック形でなく,通常の電流制限形なので,最大電流が流れたままになるので,上記の充電用コンデンサをショートするスイッチをつけておけばよいですね。

また,本機の特徴として,ノッチ式になっているわけですが,通常の電車同様,最高速度を決めるために設定してあります。友人によると,有名某社の自動加減速パワーパックはノッチ式だけれど,ノッチは加減速を変化させるためのもので,最高速度は変わらず,放っておくと最高速度で突っ走る,とのこと。 えぇっ?,と思いました。本物の電車ではノッチというのはかつては直列,直並列,並列,弱め界磁とモータの接続法を決めるためのもので,それぞれの段でシリーズに入っている抵抗を徐々に抜いていって,抵抗が完全に抜けた状態になるとそれぞれのモータ接続法での最高速度に落ち着く,と言うものです。さすがにインバータ式になったのでモータは永久直列だったり個別接続だったりするのですが,といってノッチをなくしてしまうと運転士さんが困ってしまうので,やはりある程度の最高速度を決める,と言う目的でつけてあります。

ということなので,加速度が変わるだけで放っておくと最高速度になってしまう,というのはまずいですね。その点,本機は実車同様,1ノッチから4ノッチまで,それぞれの最高速度で落ち着くように設計してあります。 実はメーカ製の自動加減速タイプのコントローラは使ったことがなかったので,メーカ製のがそんなになっているとは知りませんでした。

運転会ではせいぜい2ノッチか3ノッチで実車さながらのスケールスピードで走りました。ただ,ノッチが4段しかないので,車両によっては落ち着くスピードがバラバラで,ちょっと最適値で走らせようとすると粗い感じです。バーニア制御(^^;)ボタンでもつけないといけないかな...。

それに,気づいたのは加速を自動でやっているので,発進が非常にスムーズなこと。普通のパワーパックだと微妙に回転させてもビュッと飛び出してあわててボリウムを絞ってスピードを落とす,なんてことが必要ですが,本機はそんなことやらなくてもゆっくりと発進しました。

と言う次第で,運転会が非常に楽しみになりました。

'09.1.12 運転会1.jpg

運転会にて。右はPWM制御の自作小型鉄模コントローラhttp://iruchan.blog.so-net.ne.jp/2009-04-19。非自動加減速ですが,スイッチング電源を使ったので非常に軽く,便利です。

2011年5月3日の日記

最近,so-netブログの写真投稿について設定が変わり,クリックすると拡大することができるようになりました。相変わらずPDFの投稿ができないのが残念ですけどね。

回路図をupしておきます。ご参考にして下さい。クリックすると拡大します。

自動加減速コントローラ.jpg 全回路図


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コメント 22

k-1

回路図を基に作成して楽しませてもらっています。
保護回路が作動した時にLEDを点灯させたいのですが、
どのようにすれば良いでしょうか。
もしよろしければご教示願えませんでしょうか。
by k-1 (2015-10-23 20:42) 

iruchan

k-1さん,どうもいつもごらんいただき,また,実際に作っていただいたようで,本当にどうもありがとうございます。

ご指摘の保護回路動作時にLEDを点灯させる場合ですが,これは意外に難しく,簡単じゃありません。

もう1個,電流検出用にTrと抵抗が必要です。詳しくは図面を書かないとわかりにくいので,しばらくお待ちください。いずれ不ログで発表したいと思います。

なお,本機の電流制限回路は3Aで動作するようになっています。Nゲージだと大きすぎますので,0.2Ωは0.6Ω以上にしてください。このとき,電流制限値は1A以下となります。
by iruchan (2015-10-24 14:21) 

k-1

ご面倒なお願いを聞き入れてくださり感謝いたします。

保護回路抵抗値とノッチ数の変更、非常停止ボタン追加、ダーリントンTrへの換装を行ってみましたが、保護回路へのLED追加は、他の方が発表されている類似の回路を参考にしてみたところ、うまくいきませんでした。

不躾なお願いで恐縮ですが、お時間のある時で結構ですのでよろしくお願いいたします。

by k-1 (2015-10-25 07:47) 

iruchan

k-1さん。こんな回路見つけました。

http://j.tokkyoj.com/data/H02H/3013596.shtml

保護回路にPTCサーミスタ(ポリスイッチ)を使用する場合,↑ の回路でいけそうです。私が使っているTr式のものはダメですけど。

本回路は交流用のようですが,パワーパックは直流なので,LEDは通常電流が流れる向き(模型が走る向き)のみで結構です。

by iruchan (2015-10-28 05:35) 

新井 重之

初めまして、
とても素晴らしいコントローラーのようですね。
作ってみたくなったのですが、ブレーキの前?に入っているトランジスタは何をお使いなのでしょうか?
硬縮ですが、ご教授ください。
また、当方、ブログなど無く、メールアドレスとなっており申し訳ありません。
by 新井 重之 (2015-10-31 00:15) 

iruchan

新井さん,どうもコメントをありがとうございます。

また,どうもすみませんでした。記載漏れがありました。

何を使ったか思い出せませんが,たぶん,2SC1775だと思います。たくさん余っていましたので。

この回路の制御Tr(2N3055)以外のTrは小信号用NPNのものなら何でもOKです。2SC1775は日立のオーディオ用Trで,私はオーディオマニアなのでたくさん持っているのです。

ちょっとこの回路にはもったいないので,東芝の2SC1815やNECの2SC945などでOKです。
by iruchan (2015-10-31 17:58) 

k-1

ご紹介いただいた回路をPTCを使ったパックに入れてみました。
出力を短絡すると、まずACアダプタの保護回路が働き、
ボリウムをいったん戻してから再度開けるとPTCで保護します。
面白いものです。

by k-1 (2015-12-12 14:50) 

iruchan

そうでしたか,無事に動作してよかったです。

実は私も自作のコントローラに同じ回路を組み込んでテストしてみました。

ただ,スイッチング電源の保護回路の方が先に動作し,LEDは点灯しませんでした。ポリスイッチのトリップ電流より電源の保護電流を大きくしないといけないのですが,ポリスイッチがトリップする電流は周囲の温度などにも依存し,なかなか一定の電流でトリップするわけではないので難しいようです。

また次回,別のコントローラで試してみたいと思います。
by iruchan (2015-12-12 16:02) 

新井重之

一度、お尋ねしてから、あっという間に2年もたっていました。
漸く、部品も揃い、作成してみましたが、どこが悪いのかうまく動きませんでした。
無い知恵を絞ったところ、手動のVRとノッチの抵抗がどうやら回路図のままだと合成抵抗で上手くいかないのではないかと思い手動と自動のスイッチに連動して、手動のVRと自動の抵抗への通電を切り替えたところ動くようになったのですがこれは正しかったのでしょうか?
それと電源にオムロンのスイッチング電源を使用しているのですが、出力が無負荷の時には13V位出るのですが、負荷を(30年前ぐらいの古いKATOのEF65)を繋げると8V位に電圧が下がってしまうのですが、
配線ミスなのでしょうか?
電気回路は素人なので、何をチェックしたらよいのか全く分からないのでご教授ください。
この回路の発展型のPWMにも興味がありますが、まずはこれを完成させてからと思っております。
宜しくお願いします。
by 新井重之 (2017-12-03 23:11) 

iruchan

新井さん,どうもご覧いただきありがとうございます。

不具合の件ですが,やはりどこか配線ミスがあると思います。

手動と自動でボリウムとロータリーSWの抵抗が並列になっていますが,これで不具合になることはありません。

まあ,確かに並列の合成抵抗になる分,電圧の変化のカーブが多少ゆるやかになりますが,これをSWで別々に分けても回路が複雑になると思い,分けてありません。

この回路自体は非常に簡単なんですが,VRやSWの配線がかなり面倒で,できるだけSWは減らしたいと思いました。

また,スイッチング電源をご使用になっているようですが,これは安定化電源の一種なので,負荷にかかわらず出力電圧が一定になるように作られています。

それに,スイッチング電源は容量が大きく,たぶん,1A以上の容量があると思いますので,Nゲージの電機くらい(せいぜい0.1A程度です)では電圧降下はしないはずです。

とはいえ,本機は電流検知抵抗(0.2Ω)が入っているので,確かに電圧降下します。といっても0.6V程度なので,5Vも低下する,というのは異常です。

配線ミスがどこかにあると思いますので,ご確認ください。
by iruchan (2017-12-04 21:02) 

新井重之

早速の回答ありがとうございます。
配線ミスですかぁ、やっぱり。(*_*)
配線をもう一度見直してみます。  m(_)m
by 新井重之 (2017-12-04 21:48) 

iruchan

新井さん,ひとつチェック項目として,3段ダーリントン接続になっていますが,コレクタやエミッタの接続を間違えていませんか。

VRにつながる部分はベース電流が流れますが,これが大きいと出力電圧が下がります。また,自動,手動の切り替えが必要というのもそれが原因と思います。

ベース電流の影響が出ないよう,本機は3段ダーリントン接続にして,ベース電流をμAオーダーにしています。

もうひとつ原因として,スイッチング電源を使っていることです。

私はトランス電源にしています。整流後の無負荷時は18V以上の電圧になり,それをツェナーDiでコントローラ出力が12Vを超えないよう,制限しています。

また,おそらく,そのスイッチング電源は出力が12Vのものだと思いますが,そういうものは使えません。もっと電圧の高いものをご使用ください。本機の回路の場合,15V~17V以上のものが必要です。

なお,そのような場合でもコントローラ出力は12Vで抑えるよう設計してあります。
by iruchan (2017-12-08 21:39) 

新井重之

追加のアドバイス、ありがとうございます。
回路の見直しをしました。
「VRにつながる部分」がどの部分なのかが判らなかったのですが、電源電圧が不足とのご指摘で、スイッチング電源に調整用VRがあったので、
14.9Vまで調整したところ、加速度調整VRを最小にすれば何とか負荷出力が12Vまで上げることが出来ました。
また、これに際し、自動ノッチと手動用VRに接続されていた1KΩの抵抗を0Ω抵抗に変更しました。
入力電圧が低いので、自動加速時に繋がるコンデンサーの電圧が上がらず、結果的に最大出力電圧が上がらなかったり、加速度調整VRを最小にしないと出力電圧が上がらないという現象につながったのではないかと思っています。(理屈は不明ですが…)
おかげさまで、ようやく完成までたどり着きました。
ありがとうございました。
ちなみに、ダーリントン接続の1・2段目に2SC1815を使用しましたが、1段目の石の発熱がすごかったので、2段目を2SC1815から2SD880に変えてみました。
すると、1段目の2SC1815の発熱は収まったのですが、2段目の2SD880が結構発熱するようになりました。
これは、まだ何か配線ミスがあるのでしょうか?
また、2段目の2SD880に、放熱は必要でしょうか?
トランジスターが飛ばない限りにおいては、順調です。
重ねまして、本当にありがとうございました。
最近のコアレスモーターには難しいとのことですが、ブログを研究しPIC?を使用しないでできるPWMコントローラーにも挑戦してみたいと思います。
by 新井重之 (2017-12-23 13:23) 

iruchan

新井様

どうもコメントありがとうございます。

ただ,まだいくつもおかしな現象が出ていると思います。

(1) 加減速度制御のVRについて

これを変化させても最大出力電圧は変わらないように設計してあります。これの値により最大出力電圧が変化するようならおかしいです。

なお,本機は加減速をさせる,と言う目的上,当然,すぐに最大電圧は出ません(加減速度制御のVRを小さくすると早めに最大電圧になります)ので,ある程度時間が経ってから電圧を調べる必要があります。

(2) ダーリントン接続について

本機で発熱するのは2N3055のみです。それ以外のTrはほとんど電流が流れませんので発熱することはありません。また,2N3055も負荷が小さければ発熱しません。Nゲージくらいならまったく熱くならないと思います。

と言う次第で,これらのTrは実際には発熱しません。HOゲージの機関車を長時間走らせたら2N3055だけ,ほんのり熱くなる,と言う程度のはずです。本機は3Aで設計しているので念のため,2N3055のみ放熱器をつけていますが,Nゲージならそれすら不要です。

この部分の電極間の配線を含め,何カ所か配線ミスがあると思います。チェックしてください。
by iruchan (2017-12-23 13:35) 

新井重之

早速のご指導、ありがとうございます。
やはり、まだまだでしたか…残念。 もう一度ブレッドボードでやり直します!
加速度調整用のVRの件ですが、手動でも最大電圧が変化します。これは、その手前のTRのコレクタ電圧が低いことが原因ということはないのでしょうか?「iruchan」さんのVccは18V以上とのことでしたので…
ダーリントン接続については、再度チェックしてみます。1段目のベース電流をチェックすれば良いのでしょうか?電圧は0~11Vまで可変しているようなので…
お手間を取らせて、申し訳ありません。
by 新井重之 (2017-12-24 00:41) 

iruchan

新井さん,ダーリントン接続の部分が間違っていると思います。発熱するのは2N3055のみで,それ以外は熱くなるわけがありません。

ダーリントン接続の根元の部分のベース電位は15Vくらいになるはずです。11Vでは低すぎます。基準電圧を作る部分にも配線間違いがあると思います。

なお,さすがに配線間違いがある回路までサポートはできかねます。ご自分で間違いを見つけてください。
by iruchan (2017-12-24 06:45) 

新井重之

大変お騒がせしました。
原因は、2N3055を放熱板に取り付けた際に、絶縁シートを挟んだのが災いして、コレクタからの配線が上手く繋がっていないことが判明しました。
漸く、無事に2N3055も発熱し(今までは冷たいままでした)、1、2段目のトランジスターも発熱することがなくなりました。
ダーリントンの各段での電流値を測って、アドバイス頂いた値と比較して、何とか原因を見つける事が出来ました。
一時は、途方に暮れましたが、完成させることが出来ました。
本当に、ありがとうございました。
by 新井重之 (2018-02-26 21:38) 

iruchan

新井さん,それはよかったです。

要は肝心の2N3055のコレクタがきちんと配線されてなくて,遊んでいた,と言うことですね。

その場合は2段目のTrに負荷がかかって発熱します。

それと,大変申し訳ありませんでした。本文にも書いておいたつもりですが,何も2N3055のような大きなTrを使う必要はありません。TO-126とか,TO-220などの小型パワーTrで十分です。これらにはフルモールドタイプと言って絶縁用のシートが不要なものが多いので,こういったのを使っていれば問題なかったでしょう。
by iruchan (2018-02-26 23:00) 

新井重之

色々とありがとうございます。
遅まきながら、独学で仕組みを少しでも理解できるように頑張っています。
TO-220などというのは入手容易なものであれば2SD880とかでしょうか?TO-126であれば2SC3422当たりでしょうか?
2SD880であればPdが30Wなので出力が12Vだと1.0~1.5A、2SC3422であればPcが10Wなので出力が0.5Aという感じになるのでしょうか?
また、出力が変わればTRを使った電流保護回路の抵抗値を変えればよいのですよね?
それと、勉強中に判らなくなったのですが、2N2055のhfeがデータシートによると20~70らしいのですが、そうなるとIcに3A流すとするとIbは42~150mA流れ?、必要になり?、2SC1815のIcの規格にぎりぎり、
でもPcが400mWなので単純に12Vを乗じると504~1800mWになってしまいそうなのが現状の理解度です。
きっと理解が足りないと思いますが、どういう風に理解すれば良いのかアドバイス頂けると勉強になるのですが…
お時間のある時にでもご教授ください。
勿論、現状Nゲージでは何の問題もなく楽しませて頂いておりますが、1970年代のカツミの縦型2モーター仕様のEF65-1000を引っ張り出そうなどと思っております…(骨董品ですが…)
いつもご面倒をおかけしますが、宜しくお願いいたします。
by 新井重之 (2018-03-18 09:56) 

iruchan

新井さん,ご質問ありがとうございます。
2SC3422だと,Ic=3Aなので,ちょっとギリギリです。Nゲージ用に最大,1Aくらいで使うならいいですが,本機には厳しいです。2SD880なら問題ありません。
また,Pcについてですが,これはあくまでもTrが消費する電力なので,本機の場合,max. 3Aで設計していますがそのときの電力はほとんどモータが消費します。モータがつながっている限り,Trの損失はそれほど大きくなりませんが,レールを金属でショートしたりするともろにTrが負担することになるので,余裕は必要です。
ただ,いずれの場合も放熱不足ですので,保護回路が動作したら直ちにスイッチを切ってください。本機の放熱器では30Wも消費できませんし,そこまで考えるとコントローラが巨大になってしまいます。
また,モータもそんな大容量には耐えられないので焼き切れます。Nゲージの場合は1Aでも危険で,放置するとボディが変形します。KATOやTomixのコントローラの説明書に,ショートしたらすぐに止めてください,とあるのはこのためです。
なお,2N3055のベース電流についてはその通りです。2段目のドライバは少し大きめのものがよいと思いますが,カタログのhFE値は控えめで,実測してみると普通はかなり大きいものです。なお,保護回路動作時は同様で,短時間なら問題ありません。ご心配ならTO-92Mの2SC2655に代えてもいいです。

by iruchan (2018-03-18 10:50) 

新井重之

早速のご教授ありがとうございました。
hFE値については、ご経験値なのでしたかぁ。 「流石」の一言、入門者には思いつくはずもなく…です。
Pc値は、hFE値が限りなく上限に近ければカタログ値の範囲内になるのでしょうし、ショートでもしない限り電力はトランジスターで消費?せず通過?し、モーターで消費?され運動(回転)?に変わるということですね。
これまた、納得。
ものの本に、「12v、3Aの電流を流せば12×3=36Wの電力をトランジスタで消費します。電力を消費するということは、発熱するということです。」という件があって鵜呑みにしていました。
そこには、続きがあって、「普通は、コレクタ損失は、実際に消費する電力の約2~3倍の余裕をみたPc(W)とします。」とか、ドライバトランジスタの選び方の条件に、「パワーTRのベース電流×12Vで求めたW数の2倍程度のもの。」ってあったので… 実は、内心ドキドキしながら使ってました。 <m(__)m>
トランジスタで消費されたらモーターが回る訳がありませんよね?
あくまでも短絡時の消費電力、理解できたような気がします。
定格内であれば問題なしなのかなぁと思いました。
入門者なので、情報に惑わされてしまいました。
by 新井重之 (2018-03-18 15:37) 

iruchan

新井さん,あくまでもTrの損失はVCE×Icですので,その本の記述は不足していますね。12Vがコレクタ~エミッタ間にかかっている場合,と言うことです。
コントローラの場合はモータにかかっている電圧分は引くことができます。危険なのはモータが介在せずに,金属などでショートする場合です。この場合はC-E間にフルに12Vがかかりますよね。
もっとも,モータが接続されていても,回転子が停止している場合は電機子コイルにフルに3A流れますし,Trにも保護回路はついているとは言え,3Aの電流が流れますので,かなりの負荷がかかります。
メーカ製のコントローラもこの点は配慮不十分で,Trの熱保護は考えてなくて,Trが発熱してカットオフするような回路にはなっていません。また,過電流が流れた際に,完全に電流を遮断するタイプもほとんどなく,最大電流が流れるタイプが多いです。iruchanのもそうですけどね。
KATOのKC-1みたいに,過電流検知すると完全に電流を切るタイプの保護回路が安全です。このタイプはhttp://iruchan.blog.so-net.ne.jp/2017-02-11をご覧ください。
また,TrのPcについてはどんな機器でも(アンプなども),2~3倍くらいは余裕を見るのが普通です。
それと,電気製品の容量はあくまでも温度上昇で決まります。100馬力の自動車はどんだけ頑張っても100馬力しか出ませんが,電車は100kWのモータでも150kWくらいは短時間なら出ます。これで温度上昇が限度内ならいい,と言うわけです。モータに1時間定格とか15分定格とか書かれているのはこのためです。なお,TrのPcについては,あくまでも無限大の放熱器がつけられている場合,というのが前提ですのでご注意ください。小さな放熱器の場合は許容されるPcはきわめて小さい(放熱器がない場合は1~2W程度まで)ので気をつけてください。
by iruchan (2018-03-18 17:27) 

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