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Panasonic AM/FMラジオ RF-626の調整 [ラジオ]

2018年6月24日の日記

Panasonic RF-626-1.jpg Panasonic RF-626 AM/FM radio

ディスクリートで,しかもゲルマニウムTrを使ったFMラジオを製作中ですが,泥沼の西部戦線で膠着状態に陥ってしまっているiruchanです.....(^^;)。

とりあえず,トラッキング調整が終わり,ちゃんと76~95MHzまでカバーしているのですが,まだ放送が入りません。原因調査中です。

ということで,膠着状態になってしまった西部戦線を打開すべく,新兵器を投入します。

その新兵器とは.....。

毒ガスでも戦車でも飛行船でもなく,PanasonicのトランジスタAM/FMラジオのRF-626です.......(^^;)。

Panasonicと謳っていることからもわかるとおり,松下電器の輸出用ブランドで,iruchanが持っているものも25年ほど前に米国人の友人に譲ってもらったものです。

松下電器がNationalのブランドを使い始めたのはwikiを見ると1927(昭和2)年のことのようです。銀座線が開業した年だな......。

ところが,戦後,米国向けに製品を輸出しようとしたところ,すでにNationalのブランドは商標登録されているため,Panasonicブランドを使用することとなりました。第1号はゲンコツこと,スピーカのコーン紙の真ん中に球形のイコライザがついた,8P-W1のようで,1955年のことのようです。iruchanもこの後継のEAS-20PW55を今も使っています。

このラジオは1970年代前半の製造のようです。もちろん,当時はまだICを使っておらず,フルディスクリート9石の回路になっています。日本ではほとんどの地域でFM局がNHKしかない状況がずっと続いていたし,まもなくICの時代が始まりますから,フルディスクリートのFMラジオ,というのは少ないと思います。

残念ながら,サービスマニュアルが入手できていないので,詳しい回路がわからないのですが,Trのラインナップは2SC429-2SC185-2SC184-2SC469×2-2SB173-2SB175-2SB172×2で9石となっています。

驚いたことに,NPNとPNPの混成であるばかりでなく,NPNはシリコン,PNPはゲルマニウムの構成になっています。

これ,よくあった話で,高周波部に性能がよいシリコンを使い,低周波部は安価なゲルマニウムという組み合わせのラジオが結構ありました。たぶん,シリコンTrは高かったのでしょう。それに,そもそも本機のシリコンTrは全部,NEC製なんですけど.....。ゲルマは松下製でしたけど。たぶん,高周波用シリコンTrはNECから買った方が安く,低周波のゲルマは自社製の方が安かったのでしょう。

ふたを開けてびっくり。

Panasonic RF-626'.jpg 内部

 バリコンの右と左にFM用のコイルがあります。トリマはマークがついていました。

まあ,本当によくこれだけ部品を詰め込んだな~と感心するぐらい,びっしりと部品が詰まっています。出力の2SB172なんて,とうとう居場所がなくてリード線を長く伸ばしたまま,OPTの上に寝かされている始末。ちょっとかわいそう~~。

それに,そもそもTrはどこ? って感じで,TO-1型の2SB172くらいしか見えません。高周波用の2SC184などはHEMTなどと同じマイクロディスク型のため,基板裏についているはずですが,探しても見つからないくらい密集して部品がはんだづけされています。どこかに隠れちゃってるんでしょうけど。

IFT類は7mm角のもので,小型になっています。すべて東光製でした。バリコンはミツミのようです。電解コンデンサやスピーカも松下電工のマークがついているし,本当に純粋の日本製で感心します。抵抗は立てて取りつけてありますし,これも居場所がなくてリード線が長く伸ばしてあったり,これじゃはんだづけするのは大変だったろうな~,という気がします。配線したおばちゃんお姉さんたちは大変だったことでしょう。

調整のためか,バリコンにはFOとか,MOとか書いてありますし,IFTのコア位置もちゃんと印がついていたりして,おばちゃんお姉さんたちの苦労がよくわかります。

さて,久しぶりにスイッチを入れてみて,やはり気になるのがボリウムのガリ。動かすたびにガリ,ガリ大きな音がするし,スイッチが入ったとたん,ガリッとひときわ大きな音がするのは特にいやですよね。

これ,昔のトランジスタラジオによくありますよね~~。突然大きな音がするのでiruchanは大嫌いです。早速,修理したいと思います。

また,例によって米国で売られていたものなので,FMは88~108MHzとなっているので,修正したいと思います。

ところが.....。

おそらく,買ったときに調整したのだと思いますが,FMにしてみるとちゃんとNHK FMが入りますし,ワイドFMの局も入ります。

SGをつないで調べてみると下限が76MHzだし,上限は108MHzくらいになっています。

確か,買ったときにいろいろいじって調整した記憶がありますが,うまくいかなくて放ってあったように思います。でも,ちゃんとうまく調整してあったようで,日本の放送局がちゃんと入ります。

と言う次第で,調整はやめにしました。

というより,基板は▲▼のように,内部はびっしり部品がはんだづけされているので,下手にいじるとどこかの線を切ってしまったりしますから,やめた方がよさそうです。

Panasonic RF-626基板裏'.jpg 基板裏。裏も部品がびっしり。

ただ,バリコンの左側に疎な空芯コイルがあり,右側に密な空芯コイルがありますが,米国だと疎な方がOSCコイルのはずで,こちらをいじった跡がありました。どうやら,25年前にこちらをいじって調整したようです。

もし,米国製のラジオを国内バンドに調整したい,と言う方はこちらこちらをご参考にしてください。本機だと,バリコンのOSC側に10~15pFくらいのセラミックコンデンサをパラにする,前者の方法がよいと思います。

        ☆         ☆          ☆

さて,ボリウムのガリを直しておきましょう。

簡単にやるなら接点復活剤をプシューとしてやればいいのですが,iruchanはよほどのことがない限り,接点復活剤は使いません。

理由はスプレー式なので,いらんところにまでかかっちゃうのと,腐食性なので,プリント基板などを傷めちゃうからです。また,当然ながら導電性なので,バリコンにかかったら大変です。決して接点復活剤はバリコンにかけないでください。

じゃ,ど~~するんだよ,と言うことになりますが,iruchanは接点用グリスを使っています。これだと周囲にかからないし,腐食性もないのでいいと思います。

Panasonic RF-626VRガリ.jpg 接点グリスを塗布します。

ボリウムを分解し,摺動面に接点グリスを塗っておきます。使ったのはタミヤの接点グリスです。

結果は見事!!

スイッチをonにしたときも静かですし,ボリウムを回してもガリ,ガリ言いません。なかなか快適です。

その後,できれば電解コンデンサを交換したいと思います。特に,経年40年以上,と言ったところですからね.....。

真空管アンプだとリークが心配ですが,Trラジオだと容量抜けが心配です。どうにも音が小さい,というラジオはカップリングコンデンサの容量抜けが原因であることが多いです。

ただ,例によってあまりに部品が混んでいる上,裏側にもセラミックコンデンサなどが張り付いているし,簡単に電解コンを交換できません。しかたないので,取り外しやすいのだけ,交換しました。あと,FMの音がひずんでいるようなのでレシオ検波の出力にある,4.7μFの電解コンを交換しておきました。

        ☆         ☆          ☆

さて,鳴らしてみると快適。なかなか感度もよく,AMもFMもきれいに受信できます。ただ,やはりFMは感度不足で,現在のラジオに比べると遜色がありますが,まあ,とても40年以上前のラジオとは思えないくらいです。ワイドFMも入るので,プロ野球中継なども楽しめます。

AMは特筆もので,とても音もよく,感度も十分です。

ICも入っていないのに,非常に小型で,しかもTrラジオには珍しく横動式ダイヤル(本機は縦に動きますけどね......)を採用したのも高得点です。米国ではよく売れたようで,eBayなどでは結構な値段になりますし,人気があるようで,今も割に見かけます。小気味よいハイセンスな優れたデザインは米国人の心に訴えるものがあったのでしょう。よき時代の日本製のラジオを復活できてよかったです。

ただ,日本では売れたのかどうか.....。そもそも日本ではFMの本放送がはじまったばかりだし,東名阪の3大都市圏以外は民放がなくてNHKしか入らない,という状況でしたし,当時,8,500円もしたようですから,新しもの好きのお金持ちが買っただけではないか,という気がします。

Panasonic RF-626 panel.jpg 今のPanasonicのロゴとは違いますけどね。

PANASONICと全角フォントで書いたようなロゴがちょっと笑っちゃえますけど。残念ながら,正面の赤いNのマークにPanasonicと書かれた小さなエンブレムは取れちゃっています。eBayのやつを見てもどれも取れちゃっているので,簡単に取れちゃうものだったのでしょう。

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