ソニーのパワーアンプTA-N86の整備~リレー接点の洗浄~ [オーディオ]
2018年1月8日の日記
自衛隊音楽隊の "スクリーン・マーチ" を聴いてます。
ソニーの往年のアナログパワーアンプTA-N86をオークションで入手して修理して楽しんでいます。本機は1978年の登場で,あの頃,iruchanはとても買えないけど,TA-N88も含め,ソニーの薄型のパワーアンプにとてもあこがれていました。
薄型になっているのはパルスロック電源のおかげですが,今でこそスイッチング電源はパソコンの電源やACアダプタなどで当たり前になっちゃっていますが,あの頃は非常に先進的で,アンプと言えば普通は巨大なトランスとケミコン,と言うのが定番だった時代によくできたものだと感心します。
修理自体は,前回で終了し,音楽を楽しんでいます。
ところが,なにか変......。
音量の小さいときに左右でバランスが異なりますし,少しくぐもったような音がするし,そもそもプリアンプのボリウムを回していくとあるところから突然大きな音になります。
これ,実はテスト中にうすうす気がついていました.....だったら直しておけよ。
本機はレベル調整用のボリウムがないので,パワーアンプ単体の時に便利なように別付けのアッテネータを作ってあります。こういうのがあると便利ですので,1個,作っておかれるとよいと思います。
ただ,そのときは使用したボリウムのギャングエラーか,レベルの低いところの接触不良かと思っていました。
しかし,よく考えてみると使ったのは名門バイオレット電機製の音響用ボリウムだし,そんなことはないはず,と思いました。
バイオレットはボリウムの名門で,iruchanもご愛用のボリウムです。もう,20年ほど前に消えてしまったのが残念です。安くてもとても質の高いボリウムを作っていたと思います。何個かまだ手持ちはあるんですけど,本当に残念です。
とすると,パワーアンプ自体に問題があります。
疑うべき点はいくつもありますが,まず,最優先にチェックが必要なのはリレーです。この接点が汚れていて,微少電圧時に導通不良になっていることがあります。特に中古のアンプを買った場合はまず疑ってかからないといけません。それに,昔の人はたばこを吸うのが当たり前だったし,リレーの接点がヤニで汚れている,なんてこともごく普通のことですので......。
と言う次第で,リレーを外して接点をホワイトガソリンで洗浄したいと思います。
使用されているのはDECと書かれたDC24Vのリレー。ソニーがよく使う第一電機製のリレーのようです。
本当だったら新品に代えた方がよいのですけれど......。
ただ,このリレーはどうも端子の配列が独特で,オムロンなどの新品のリレーとはピンのピッチが合いません。基板を改造するのも厄介なので,とりあえず接点の清掃で済ませたいと思います。
ただ,残念ながら,オムロンなどの他社のリレーもそうなんですけど,基板に差さっている状態ではカバーが外せないんですね~~......orz。
鉄道模型みたいに単にカバーがボディのツメにはまっているだけなんですけど,基板上では外すのは無理です。
何か特殊な治具でも作れば外れるんでしょうけど.....。
と,いろいろ悩んでいるうちにリレーごと基板から外しちゃった方が早いです。
外してしまうとあとは簡単で,ごく小さなマイナスドライバーでカバーを広げてやればリレーのカバーが外せます。
カバーの底部にツメがあります。
やっぱり,接点は真っ黒.....。思わずギョッとしちゃいます。これじゃいい音するわけないですよね~~。
応急修理としては,名刺のような厚手の紙でごしごしやってやるときれいになりますが,今回,ホワイトガソリンで洗浄しました。
ただ,効果はいまいち。接点は金メッキされているはずなので,洗浄したら金ピカになるはずなんですけど.....。
リード接点の方はきれいになったのですが,固定接点の方がまだ黒いままです。
ほかの洗浄剤も試してみましたけど,黒いまま。おそらく,接点が黒くなってカーボン化しちゃってるか,例の悪名高い硫化銀だと思います。リレーには銀あるいは銀合金の接点のものもあります。ただ,片方が金メッキで,反対側が銀なんてことは普通はしないので変ですけどね。しかたないので,鉄道模型の工作で使う,薄い刃のやすりで少しゴシゴシやってやりました。
あんまりこんなことやっちゃいけないんでしょうけど....。
ようやく接点がきれいになりましたので,基板に戻します。
さて,前回作ったアッテネーターボックスを接続して音楽を聴いてみます。今回は微少音量の時でもスムーズに音量が変化しますし,くぐもったような音もしなくなりました。やはり接点の汚れは怖いですね~。
ただ,このリレー,動作音がガチャッと大きくて非常に不快です。ステレオのアンプにはふさわしくないので,いずれ取り替えたいと思います。
☆ ☆ ☆
さて,陸上自衛隊中央音楽隊と航空自衛隊中央音楽隊の演奏する,"スクリーン・マーチ・ベスト" (キングKICW-3015)を聴いてみましょう。昨年夏にNHK FMで,"サンダーバード" を聴いてぶっ飛んじゃいました!!
ものすごい名演奏です。それこそ,iruchanはサンダーバードで育った世代なので,サンダーバードは大好きなんですけど,このバリー・グレイ作曲のテーマ曲はTVドラマ史上に残る傑作ですよね~~。
でも,ヘンリー・マンシーニ作曲の "刑事コロンボ" だとか,冨田勲作曲の "新日本紀行" なども傑作だと思うんですが,どうにもあとからリメイクされて演奏されたものはダメ。
やはりオリジナルが素晴らしすぎて,リメイク版は全然聴いてられないんですよね~。変な編曲してしまっていたり,演奏のテンポやリズムがおかしかったりして,聴くに堪えないのが多いと思います。
かといって,オリジナルの演奏は音が悪いし,ノイズも多かったり,下手するとモノラルだったりするので痛し痒しですけどね.....。
でも,この陸上自衛隊中央音楽隊の演奏する "サンダーバード" は本当に素晴らしい!! ブラスバンドによる大迫力の名演奏は聴いていてとても元気が出てきて,いつもiruchanは落ち込んだときなどに聴いています。本当にありがとうございます。
そもそも,サンダーバードのテーマは管弦楽と合唱で演奏されているので,ブラスバンドが演奏するには編曲が必要なんですけど,この野中図洋和氏の編曲も素晴らしい。
この曲を演奏しながら行軍すると相手が逃げていくでせうね。"国際救助隊には勝てへんな~"。
これで我が国の防衛は万全ですね!!
超音波式加湿器のパワー制御 [電子工作]
2018年1月2日の日記
どうも皆様,明けましておめでとうございます。また本年もどうぞよろしくお願いします。
さて,iruchanは新年早々,工作を開始しました。
年末に娘が暖房に電気ストーブを使っているので,加湿器を買ってあげました。インフルエンザもはやっていますしね。それに,加湿器も最近はかわいいのがありますしね。
"加湿器を買うたる" と言ったら,娘は開口一番," ねこ やろ " だって。図星でした。最近のガキは....と思いましたけど.....(^^;)。
年末にポチッとしてしまいました。ねこの耳の部分から蒸気が出て,とてもかわいいです。加湿器はタンクが汚れて掃除が面倒ですが,こんな風にペットボトルを使うやつは掃除が簡単で便利です。ペットボトルからの水を内部のタンクにため,底部の超音波発振子で振動させて蒸気を発生するようになっていました。
でも.....。
やはり,スイッチをonしてみるとかなりの勢いで蒸気が噴き出し,それこそ加湿器としては効果ありまくり,という感じでなかなかよさげだったんですけど......,数時間もすると周囲はベトベト。周囲が濡れるとまずいかと布を敷きましたが,朝になるとその布を絞ると水が出てくる始末でビチャビチャです。
それに,ファンも結構うるさく,寝室だと気になるレベルです。
困ったな~。
せめて,強弱2段階くらいにパワーをコントロールできればよかったのですけど,スイッチonと同時にフルパワーで蒸気を噴き出してコントロールできません。
と言う次第で,工作マニアのiruchanはさっそく改造しちゃいます。もちろん,こんなことやるとメーカの保証が効きませんので,自己責任です。
iruchanは仕事で超音波センサなどもいじっているので,加湿器もある程度わかります。超音波式の加湿器は圧電セラミックを使っていて,それに高周波をかけてやると振動して,水を拭きかけてやると表面で水滴に変化するので,それをファンで吹き飛ばしている,という構造です。
パワーを低下させるには超音波発振子に加わる電圧を下げてやればよいです。蒸気の噴き出し量としては,ファンを低回転にしてやればよいですね。PCのケースのファンなども非常にうるさいですが,これも電圧を下げて低回転にしてやると静かになります。
まずは超音波発振子から。
超音波発振子は圧電セラミックを使っていて,等価回路としては水晶などと一緒です。適当なキャパシタンス分をパラにしてやって,同調周波数を変えられますが,一般的な加湿器だとコンデンサはなく,圧電セラミックの自己共振周波数近辺の周波数で発振していることが多いと思います。可聴帯域だと耳障りだし,20kHz以上の超音波を使うのが普通です。
電流はほとんど流れませんが,発振させるためのTrはそれなりに電力を食いますから,本機もTO-220の大きなTrが使われています。調べてみるとオンセミのBU406というTrらしく,IC=7A,VCEO=200V, PC=60Wという超強力なTrです。おまけに構造はエピタキシャルプレーナ型で,音もよいはずだと思いました。金田式真空管アンプに使えるかも,とも思いましたが,Cob=80pFのため,断念しました。
パターンを追っていくと,超音波発振子はベースとコレクタの間に入っていますので,ピアース型発振回路のようです。
電圧を変えるには直列に入っているコンデンサか,抵抗を変更すればOKです。
さっそく,分解して基板をチェックします。
予想どおり,ディスクリートの発振回路が入っていて,それで超音波発振子をドライブしています。
BU406のベースにパラになった10Ω×2の抵抗と0.047μFのセラミックコンデンサを介して超音波発振子につながっています。
この,0.047μFのセラミックコンデンサを小さくする(インピーダンスとしては大きくなる)か,抵抗を大きくしてやれば圧電セラミックの発振出力を小さくできます。ただ,あまり大きくしすぎるとQが低下して発振しなくなってしまいますので,注意が必要です。
10Ωのチップ抵抗をパラにはんだづけしてあったので,最初,22Ωに取り替えたら,弱くなりすぎたので,もとの10Ωを1個撤去してみたらいい具合だな~と思ったのですが,やはりこれでも蒸気量が多すぎ,朝になると台がベトベトだったので,結局,15Ωくらいがよさそうでした。
1MHz以上で発振しているのに驚き。また,電圧も126VP-Pもあります。これくらい電圧をかけないと水を蒸気にできないんですね~。
ただ,出力も最大のようで,波形はひずんでいます。
結局,BU406と超音波発振子の間の抵抗は15Ωくらいがよさそうです。電圧は118VP-Pとなりました。実は,22Ωにしてみたら108VP-Pとなり,発振はしているのですが,振動の振幅が小さすぎるようで,水を蒸気にしてくれませんでした。非常にどうもシビアな感じです。
☆ ☆ ☆
あとはファン。
これは単にDC24Vを直接つないでいるだけで,簡単なドライブ回路です。ファンも24V,0.04Aのものが使われていますが,さすがにダイレクトに24Vを直接印加すると回転数が速すぎます。
ということでPWM制御してもいいんですけど,簡単には113系みたいに抵抗制御でOKです。
パターンを追っていくと,5.7kΩがDC24Vとの間に入っていますので,これか,と思ったのですが,抵抗値を変えても変化ないのでこれではなさそうです。
欠水時にファンを止めるためのTrが1個入っていて,2SC1815でした。なんか,表記が怪しかったので,純正の東芝製ではなさそうでしたけど.....。
これのコレクタに圧電セラミックがつながっているので,一度,パターンを切って,そこに330Ωを入れてみました。もう少し小さい方がよかったかもしれません。これでモータの端子電圧を変えられます。
これでOK。発振子もわりに静かに振動するようになり,蒸気もモウモウという感じではなくなり,少々弱めに発生するようになりました。ファンも静かに回るので助かります。動作しているのかわからないくらい,静かになりました。これで周囲がベトベトになるようなこともなく,これで快適に過ごせそうです。