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コアレスモータ対応鉄道模型用コントローラの開発~その17・PIC版KATO KC-1~ [模型]

2019年1月15日の日記

今日は前回に引き続いて,KATOのKC-1コントローラと同等の機能を持った自作のPIC版KC-1を作っていますが,今日は過電流保護機能を組み込んでみます。

実物のKC-1はサイリスタを使った電流遮断型保護回路となっていて,負荷電流が1Aか2Aの選択ができますが,これらの値を超えるとサイリスタが動作して出力電流を0にします。

一般的に定電圧電源など,電源装置の保護回路としてよく使われるのは電流制限型で,iruchanも鉄道模型のコントローラとしてはこの電流制限形をずっと使っていました。最近よく使われるポリヒューズも動作としてはこういう動作をします。なお,ポリスイッチという別名もありますけど,スイッチのように,完全に電流を切ってくれるものではありません。

電流制限形の保護回路の場合,保護動作としては,一定の電流以上は流れない,と言う保護動作になります。こうすると制御用の素子(バイポーラTr,MOS-FETなど)を保護することができます。

ただ,この場合,負荷から見ると一定の電流を流してしまう,と言うことになるので,結構危険な保護動作です。Nゲージの場合,モータに1Aも流すと結構発熱し,危険です。ボディがプラですから,ボディが変形することもあり得ます。HOゲージのようにボディが金属製なら大したことはないですし,HOゲージだとモータも大きいので,それほど発熱しないのでマシですけどね.....。

また,ポリヒューズはUSBコネクタの保護素子としても多用されていて,USBは最大1A流すことができますが,その保護用としてポリヒューズが入っています。よく,USBに接続したのに認識しない,と言うトラブルがありますが,こういう場合,このポリヒューズが物理的に断線して故障していることがあります。過電流で壊れちゃったんですね。普通は壊れないんですけどね。また,ポリヒューズも保持電流が大きすぎ,1Aでトリップするものでも,保持電流は0.5Aです。これじゃ,せっかく動作しても0.5Aの電流を流し続けるのは困ったものです。半導体を使った電流制限形の保護回路も,より安全なホールドバック形,と言うものもありますが,これも最大負荷電流が1Aで,保持電流が0.1Aと言う保護回路は設計できません。

ということで,やはり鉄道模型用としては,過電流を検知したら電流を完全に0にする,電流遮断型が安全です。

でも,これを簡単に電子回路で実現しようとすると......,意外に大変なのです。KATOのKC-1もサイリスタを使っていますし,教科書を見てもかなり複雑な回路が解説してあります。何個もTrが必要となり,回路は複雑です。あることをきっかけとして,なんらかの状態を保持する,というのは意外に電子回路ではめんどくさいのです。サーキットブレーカを使えば簡単ですけど,これはこれで値段が高いですしね。

それに......。

電流遮断型だと,電流制限形のように,自動的に復帰する,と言うことができません。あくまでも何か別のスイッチを設けてリセットする,という動作が必要になります。まあ,実際の電車でもこうだし,普通,過電流が流れた,というのは事故なわけですから,自動で復帰する,というのは本来はおかしな話です。ちなみに,ポリヒューズは過電流が解除され,素子の温度が下がったら自動的に抵抗が0になるので,自動復帰します。

前回のハードウェア版KC-1改ではR-Sフリップフロップを使った回路にしました。R-Sフリップフロップだとある状態を記憶してくれるわけですから,電流遮断型の回路に応用できます。

過電流を検知するとR-Sフリップフロップが動作し,電流遮断動作を保持します。リセットするには別のスイッチでR-Sフリップフロップをリセットします。

今回,PICを使っていますから,ソフトウェアでこういうことをやろうと考えています。

ソフトウェアでやるなら,こんなこと簡単なわけです。OCR_flagというような変数を設けておいて,過電流を検知したらその変数を1にし,リセットするまで出力をoffにすればよいわけです。

とすると,回路も非常に簡単になります。

出力部分と保護回路だけを描くとこのようになります。

OCR circuit.jpg保護回路です。

MOS-FETのソースに挿入した0.22Ωで過電流を検知します。仮に1Aとすると,この抵抗の両端の電圧が0.22Vを超えたら過電流と判断すればよいのです。

回路は複雑に見えますが,0.22Ωとリセットスイッチ,プルダウン抵抗27kΩがミソです。

10kΩと10μFはハイパスフィルタで,今回,PWMコントローラですからノイズが多いので,誤って保護動作をしないよう,フィルタで動作を緩慢にしておきます。なくてもよいと思いますが念のため,入れておきました。

それをAN3ポートに入力し,その電圧をPICのソフトで監視します。

リセットはA3ポート(#7ピン)をhighにすることにより解除します。27kΩでプルダウンしておきます。

kato kc-1(PIC) OCR.jpg テストです。

PICのAN3ポートに乾電池をつないでテストしてみます。

赤色のOCR LEDが点灯し,出力がoffとなります。電池を外してもこの状態を維持します。

う~~ん,こうしてみるとこの赤色LEDもほとんどオレンジだな......。最近はLEDも中国か台湾製ばかりで,どうもかなり波長が短めで赤色LEDと言ってもこのようにオレンジ色に近いものばかりです。

kato kc-1(PIC) reset.jpg リセットします。

リセット用のタクトスイッチを押すと,A3ポート(#12ピン)がhighとなり,リセットされます。PWM出力が再開されるので,出力モニター用のオレンジ色のLEDも点灯します。

ついでに,遊びでリセット信号モニタ用の青色LEDをつけちゃいました......(^^;)。

秋月で売っている,アイスブルーという青色LEDです。普通の青色LEDはギラギラと原色でどうにも好きになれませんが,これは上品な青色だと思います。

      ☆         ☆          ☆

実を言うと,PICのソフトを変更し,OCR動作時でも,たとえば1秒おきに10msくらいの瞬間的なパルスを出力させ,そのとき,先の0.22Ωの電圧を測定して0.22V以下なら出力を再開させる,という自動復帰動作も可能なんですけど.....。

一応,やはりリセットは手動で入力するようにしました。

以上でソフトウェアの開発は完了です。次回はケースに入れて完成させたいと思います。


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