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はんだの買いだめ [電子工作]

2016年10月29日の日記

今年の夏,とうとうはんだを1巻,使い切っちゃいました。

使っていたはんだは米Kester社の#44というはんだ。1巻1ポンド(約450g)の重量があります。

Kester #44 solder.jpg パッケージが変わっちゃいました。

なぜかよくわかりませんが,電線やはんだを巻で買う場合,長さではなく,重量で売られています。だから何mなのか,わかんなくて結構困っちゃうんですが,昔からの商習慣なんでしょうね。

使い切ったからと言って,大体,iruchanは10年で1巻くらいのペースなので,また実家に帰って1巻,持って帰ってきました。10年ほど前,3巻まとめ買いしてあるのです。

ご存じの通り,Kesterの#44というのは米国製の真空管アンプなどでよく使われていて,日本でもよく知られたはんだです。開発されてから40年以上経っているようですが,ずっと製造が続けられています。確かに,iruchanも社会人になってから米国のAntique Electronic Supplyで買ってからいつもこれを使っています。溶けやすいし,はんだの "濡れ" がよく,とても使いやすいはんだだと思います。 

ちなみに#44というのは内部に含まれているフラックスの番号で,Kesterのカタログを見ると,An outstanding performance feature of this flux is the “instant-action” wetting behavior. と謳っていますから,特に, "濡れ" がよいようです。

はんだというのはやはり速やかに溶けて必要な範囲に広がり,固まったら長期間にわたって安定して固まって亀裂などを生じない,と言うのが優秀なはんだだと思います。特に,この#44というのはその後の文章で,機器の製造工程で高信頼である旨,記載されていますから,信頼性も高いようです。おそらく,真空管マニアの間で人気が高いのはウェスタン・エレクトリックが採用していたからなのではないか,と思います。

ただ,ご存じの通り,昔のはんだは当然,鉛入りです。スズ60,鉛40%と言うのがはんだの定番です。もちろん,このKesterのもこの比率ですが,カタログを見ると63:37とか,50:50とかいうのもあります。

昨今は鉛による公害を恐れて無鉛はんだ(鉛フリーはんだ)が販売されるようになりました。例の欧州連合によるRoHS指令が原因だと思います。はんだが野外などに不法投棄され,土壌汚染をすることを恐れたためのようです。

ただ,アマチュアが使うんだったら有鉛はんだの方がよい,と思います。

無鉛はんだは鉛の代わりに銀や銅,ビスマス,インジウムなどを用いたものですが, 何より無鉛はんだの問題点は融点。

有鉛はんだは183℃ですが,無鉛はんだは大体,200~220℃といったところで,かなり高いのです。 

だから,無鉛はんだを使う場合は専用のハンダゴテが必要です。有鉛はんだ用の昔のこては使えないわけじゃありませんが,長時間にわたってこてを押しつけないと溶けないし,溶けたと思ってもすぐに固まってしまうので,能率がよくない上,はんだづけ不良になりやすく,使えません。

無鉛はんだ用のこては温度調節用のダイヤルがついているものが1万円くらいまでで売られていて,買おうかと思っていますが,どれも大型のものばかりでプリント基板用には使いにくいし,といって,iruchanの経験ではこれらのハンダゴテではまだ不十分で,無鉛はんだにはこて先に熱電対が入っていて,コントローラで制御するタイプでないとダメ,という気がします。

でも,このようなはんだステーションというのは確かに,こて先の温度をデジタルで表示して制御する優れものですが,何より高くて最低でも3万円はしますし,ステーションが邪魔でこんなの持ち歩けない,と思います。いちいちステーションまで持ち歩くわけにはいきませんしね。

それに,鉛を使わないはんだというのは昔からあって,オーディオ用と称して銀入りのはんだが売られていました。一度,iruchanも使ったことがあるのですが,仕上がりが悪く,どうにもつやのない汚い仕上がりで嫌になって1回でやめた記憶があります。そもそもオーディオ用なんて称するものにはロクなものがない,と思っているんですけどいかがでしょうか。 

と言う次第でiruchanはもう,一生,趣味は有鉛はんだで行こうと考えています。これだとどんなこてでも使えますし,どこへ行ったってはんだごて1本で食っていけますからね......(^^;)。

それで,また新たにKesterの#44はんだを買いだめしました。

でも,先のAESなど,正規のお店じゃ高いんですよね。AESでは$31.95です。日本で買うと,5,000円くらいするようです。 米国からの送料を考えるとまあこんなものか,という気がします。何せ1ポンドもの重量がありますしね。

と言うことでiruchanはeBayで4巻まとめて$60で買いました。送料込みで$95でした。1巻あたり2,600円というところですね。

pack-1.jpg こんな箱でやって来ました。

Kester #44 solder-1.jpg

なぜか,今回買ったものは白いパッケージに変わっちゃってます。前回買ったもの(左)は今でも入手可能ですが,製造はD.O.M 02/09/06と書いてありますから,ちょっとややこしいんですけど,米国は月/日/年の順で書くはずなので,2006年2月9日の製造のようです。 もちろん,D.O.M.はDate of Manufactureの略です。

ちなみに英国だと日/月/年の順で書く習慣ですので,このような表記は紛らわしいです。

そういや,JRの切符なんかは28.10.29とか書いてありますけど,これじゃ外国の人は何の日付だかわかりませんね。いい加減,こんな表記はやめて,せめて2016.10.29と書くべきだと思います。 

Kester社も改めたのか,今年買ったものはMay/06/16と書いてありますから,今年,5月6日の製造です。  

Kester #44 solder-2.jpg 太さの比較。0.050インチ(奥)と0.031インチ(手前)

なお,線径は何種類もありますので,ご注意ください。大体,真空管アンプだと0.050インチ(1.27mm),プリント基板用ならもう2つ下の0.031インチ(0.8mm)のものがよいと思います。途中に0.040インチ(1mm) と言うのもあるようですが,見たことがありません。メートル法の欧州向けの製品じゃないでしょうか。どちらか1種類,と言うなら0.031インチを勧めます。

leaded solder.jpg 有鉛はんだなのでPbの記号があります。

もちろん,鉛は英語でleadですけど,リードじゃなく,レッドと発音しますので,娘(中2)に教えておきました......(^^;)。

Kester社は有鉛はんだの製造中止をアナウンスしていませんし,今回,iruchanが買ったものも今年の製造だったのでまだ製造されているようです。世界的にも有鉛はんだの製造取りやめを宣言したメーカはないし,おそらく今後も有鉛はんだは製造は続けられるものと思いますが,念のため,買いだめしておきました。 

これで0.050インチがあと2巻,0.031インチが4巻ありますので,一生分,買ったことになるでしょう。あまったらどうするんだって? 棺桶に入れてくれ~~。あ,これやると欧州連合から叱られるな~。 でも,たぶん,私が死ぬまでに欧州連合は崩壊しているだらうな.......。


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