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ミニDCパワーアンプの製作 [オーディオ]

2016年5月21日の日記

外観.jpg 

オーディオマニアなので,昔からアンプを作っています。でも大出力のものは作るのも調整するのも大変で,いつも作るのは10Wくらいのアンプです。

10年ほど前,AVアンプ用に作ったパワーアンプが故障したので修理しました。といって,実際の設計は相当古くて,電波新聞社刊行の "最高級アンプ自作マニュアル" という本に載っていたものの改造です。この本,私が中学の頃に買ったもので,1979年4月30日刊行とあります。もう30年以上も前なんですね~~。

最高級アンプ自作マニュアル.jpg 最高級アンプ自作マニュアル 

威風堂々,最高級アンプなどというタイトルがついていますが,中身は結構初心者向けのもので,日立のMOS-FETをつかった50Wくらいのアンプが最高機種? で,それもそれほど高度なアンプ,という訳じゃありません。実際,キットが出ていたらしく,秋葉の某通商会社が基板を販売していました。

あの時代,こんな本が多くて,キットが先か,本が先かわからないくらいの感じのものも多かったと思います。この本もキットの組み立て説明書という感じですが,その分,作り方はわかりやすく書いてあり,中学生でも理解できました。それに,地方などでたとえ部品集めが面倒でもキットを買えば作れる,という安心感もありましたけどね。

作ったのは中にあった,25W+25Wメイン・アンプというもので,差動2段+ダーリントン接続SEPP回路というごくオーソドックスな回路です。簡単な回路なので,中学の頃に作ろうと思ったのか,私の書き込みがあります。 

25W+25W出力DCメイン・アンプ.jpg この記事です。 

original schematic.jpg オリジナルの回路図です。 

と言う次第ですが,実際にこの本に載っていたアンプを作ったのは10年ほど前のことです。完成してみるとなかなかいい音で,さすがはDCアンプ,と思いました。

でも,ここから先が工作マニアの悪いところで,完成してしまうともう興味はなくなって放ってしまいました。さすがに作ってから10年経ちますので,再び通電してみたところ,片ch.が鳴らないので修理と相成りました。

電圧増幅段はほんと同じで,初段はソニーのデュアルFETの2SK58を使い,2段目は三菱の2SA725です。音質がよい,と言うことで金田式DCプリの定番だった2SA726の低耐圧版(Vceo=35V) です。オリジナルはドライバ2SA5452SC853(NEC)で,出力は2SA4902SC790という古いものです。東芝のVceo=40V, Ic=3A,Pc=25Wの石です。パワーアンプ用と規格表に書いてありますが,fT=10MHzと高周波特性はショボいです。

普通だったら私はバイポーラTrが好きなのでTrで作りますが,AVアンプ用なので小さく作りたいのでMOS-FETにしました。MOS-FETはドライバ段不要で,その分,基板を小さく作れますので。また,MOS-FETは熱暴走しないので,バイアス回路も抵抗のみでOKです。もっとも,使用したMOS-FETのCissは650pFもあるので,やはりドライバ段があった方がよいかと思います。

使用したMOS-FETは東芝の2SJ1232SK442です。ID=10A,Vceo=70V,PD=30Wで,同じTO-220なのに2SA490などに比べるとずいぶん規格が大きいです。 

ドライバや電源の制御素子としてよく使われる日立のMOS-FET 2SJ762SK213は同じTO-220のパッケージですが,ID=0.5A,PD=1.75Wなので使えません。ヘッドホンアンプならいいですけど。

2SJ123, K442.jpg 2SJ1232SK442

なお,2段目は2SA726にしました。こちらは耐圧が50Vですので,安心です。 オリジナルは±30Vをかけていますので,2SA725では心配です。出力も10Wもあれば十分なので電源電圧も±25Vに抑えました。

基板は100×100mmの大きさでステレオにしちゃいました。ついでに電源部まで載せちゃってます。

基板.jpg プリント基板です。 

回路は次の通りです。オリジナルとはずいぶんと変わってしまいましたけど。電源は日立のファーストリカバリDiを用いてます。電圧増幅部はオリジナルは非安定化電源ですが,3端子レギュレータで安定化しました。

ミニDCパワーアンプ1.jpg 回路です。

さて,故障の状況ですが,残念ながら終段のMOS-FETが飛んでしまっていました。どうやらシャシーを小さく作りすぎ,SP端子とトランスが触れて出力を地絡してしまっていたようです.....orz。

気を取り直してMOS-FETを取りかえ,再度,通電して調整して終わりです。 

出力は最大10Wを目指しましたが,最大で9.9Wとわずかに10Wに届きませんでした。f特は-1dBでDC~100kHzと言うところです。

ミニDCパワーアンプf特.jpg 周波数特性です。 

音はなかなかよく,音楽性豊かなのは2段目の名石2SA726のおかげでしょうか。電源投入時のポップノイズも小さいのはDCアンプの特長です。 

内部.jpg 内部です。

今だったら小型トロイダルトランスを使うんですけどね.....。大きくて重いです。おまけに漏洩磁束が多いため,少しハムが出ます。といって,いくら漏洩磁束が多いEIコアだからって,今まで漏洩磁束に悩まされた経験はないのですが。このトランスはハズレだったようです。まあ,残留雑音は1mV以下なのでOKとしましたけど。 


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