SSブログ

中国製トランジスタテスターMTesterについて [ラジオ]

2016年8月14日の日記

iruchanは電子工作マニアなのでいろいろと計測器も集めています。一応,オシロと低周波発振器,ミリバル,ひずみ計なんかはそろえてあります。

ただ,結構問題なのはCR類の容量やインピーダンスを計測したいという場合です。本来ならブリッジなんでしょうけど,ブリッジは10万円以上しますしね.....。それに,最近はデジタルテスターでLCの容量が測れるようになっているものが多いですが,困ったことにあまり大容量のものは測定できません。せいぜい100μFとか,数Hくらいのものでしょう。

それに,iruchanはTrのhFEを測定したいとずっと思っていました。FETのIDSSも選別する際に測定する必要がありますね。これらは簡単に測れるのでちょっとした治具を作ればいいのですが,面倒でまだ作っていません。いざ,こういうのを作ろうとすると結構面倒なんですよね......(^^;)。

と言う次第で,ともかくhFEくらいは測りたい,と思ってトランジスタチェッカーで検索したところ,中国製の基板のみという感じのテスターがネット上に出ています。一見,おもちゃみたいなんですけど,ちゃんとLCD表示器がついていますし,ボタン1発で測定できて便利そうです。それに万能測定器みたいになっていて,コンデンサやコイル,Trなどを適当に挿すと勝手に機械が判断して測定してくれるようです。hFE測定器などはちゃんとベースやコレクタなどの電極を決められた通り挿さないとダメですが,こいつは勝手にどれがどの電極かを決定して測定してくれるようです。

すでに日本でも使っておられる方は多いようで,記事を拝見してもなかなか意外にも使えそう,という感じがします。 

売っているのは中国のAli Expressで, "transistor tester" とか "transistor checker" というワードで検索すると出てきます。どうにも名無しのゴンベらしく,正式な製品名がないようです。一応,スイッチを押すとLCD上にMTesterと表示されるので,本ブログではMTesterとしておきます。

測定範囲はAliの広告を見ると,

Capacitance 25pF~100,000μF

Inductance 0.01mH~20H

Resistance ≤20MΩ

のようです。もう少しインダクタンスは大きい方がよいと思いますが,コンデンサはかなりの大容量です。  

値段はせいぜい10ドルくらいで,おまけにこれで送料込みなんてところも多く,これならおもちゃと割り切って購入してもよさそうな感じです。

ただ,iruchanはさすがに基板のみじゃしんどいのでケース入りにしました。大体,プラス10ドルくらいでケース入りが売られています。結構,電子工作マニアの悩みの種がケースなんですよね~。値段も高いし,デザインのいいのがないし,穴開け加工も年とるとめんどくさいし........(^^;)。

Ali ExpressはAmazonのマーケットプレイスや楽天市場のようなもので,いろんな店がここで出品しているので,このトランジスタチェッカーもいろんな店が出しています。ケースもいろいろです。値段も結構ばらけていて,よく探すと安く買えます。

それと,内部のチップのソフトがちゃんと更新されているようで,2016年版というのがあるので,それも探しました。 

結局,iruchanは透明プラケース入りで15ドルのを買いました。送料はたったの2.39ドルでした。

中国郵政の封筒に入って2週間ほどで届きました。欧米だと1週間くらいですから,中国は少し時間がかかるようです。

封筒.jpg こんな封筒に入ってやって来ました。

さて,さっそく開封します。実は最初はキットかと思っちゃいました......。

中身.jpg

ケースや基板の部品がすべてビニル袋にばらばらの状態で入っています。ケースは組み立てないとダメなんですね。まあ,たいした手間じゃないですけど。

電池は006Pを使います。基板を見るとちゃんと5Vのレギュレータが入っていて,9Vでなくても動作するようです。それに,説明書は一切入っていません。

さて,結構面倒ですがケースを組み立てて実験します。なんとLCDの表示器のガラス部分が基板から外れていてびびりましたが,はめ直してOKでした。基板の白いプラのバックライト部分が緩いようです。軽く接着剤で固定しました。

外観.jpg なかなかよさげです。

なかなか組み立ててみるとかっこよいです。LCDもバックライトがついていて見やすいです。残念ながらバックライトは緑なので白色にしようかと分解しましたが,LEDと白いプラスチックの部分は一体化していて分解できませんでした。透明のスケルトケンケースが見た目もよいですが,アクリルじゃなく,スチロール樹脂のようで,かなりヤワです。

それに......。

電池はケースの中に閉じ込められてしまう構造になっていて,周りのねじを全部外さないと電池交換できません。 いったい,電池はどうせいちゅうんじゃ!?

しかたないのでiruchanは結局,いろいろ考えて充電式の6P型ニッケル水素電池を使うことにし,ACアダプタを介して中の電池を充電することにしました。単にACアダプタ式にしちゃうとコードが邪魔ですが,充電式にしておけばACアダプタのコードが邪魔にならずに済みます。

それに,大型の電解コンデンサやTO-3型Trのチェック用に,別途,コードを挿せるような構造にしたいと思います。 

では,さっそくテストしてみます。まずはコンデンサから。 

ニチコンMK.jpg 電解コンデンサの結果

ニチコンの105℃オーディオ用KMの結果です。表記は10μF 25Vなので,ほとんど表記と同じ値です。等価直列抵抗ESRも表示します。 

OSコン.jpg OSコン

サンヨーのOSコンの結果です。39μF 16Vのものです。これも電解コンデンサ同様,表記とほぼ同じ値です。驚くのはESRです。OSコンは超低ESRと言うことに特長がありますが,やはり電解コンデンサの1/16くらいです。 

さて,次は半導体。基板上に1,2,3と表示されている位置にそれぞれ1本ずつ脚を差し込めばOKです。自動的にどれがベースかコレクタなどの電極を判断してhFEや順方向電圧VBEを計測してくれます。もし,ジャンクのTrなどで表記が消えていても,電極はこれでわかります。Trの電極判別は結構難しい話で,ベースはすぐにわかりますが,コレクタとエミッタは簡単にはわかりませんので。 

2sc1330.jpg NEC 2SC1330

パワーアンプのバイアス用によく使っているTrですが,シリコンTrなので,VBEは0.6V程度ですが,ぴったりです。 

sony 2sb379a.jpg SONY 2SB379A

ゲルマニウムTrだとVBEは0.2Vくらいですが,これもやはり小さな値を表示します。 これを使うとゲルマかシリコンか,と言うこともわかりそうです。

2sj123.jpg 東芝2SJ123

FETの場合,接合型かMOS型かもわかります。バイアス電圧が大きいこともこれでわかりますね。Eはエンハンスメントモードであることを示しているのでしょう。ただ,やはりMOS-FETは入力容量が大きいので,その容量が十分充電するまではコンデンサとして認識されるようです。一度,capacitorと表示されたら,もう一度やってみるとMOS-FETとして測定してくれると思います。

と言う次第で,意外に使えそう,と言うことがわかります。そこで,仕事で使っている日置の3522型LCRテスタと比較してみます。

結果は次の通りで,コンデンサはおおむね+5~+10%くらい大きめの値を示すことがわかります。 小さく表示することはなさそうです。残念ながらコイルはそんなに持っちゃいないので(オーディオじゃコイルを使うことはほとんどないので持っていません),コイルは1品種のみのテストですが,インダクタンスもほぼ正確だと思います。

なお,ディップマイカやスチコンなど,小容量のものはESRを表示しません。 

MTester結果.jpg 

これらの結果は測定した周波数やコイルの場合は重畳する直流の電流値で大幅に変わるので,一概に高価な機械の測定結果と比較して正確だからよかったとは言えないのですが,まあ正確な値を示すんじゃないかと思えます。

さて,次は若干,改良したいと思います。

まずは電源。9Vの乾電池を使いますが,このケースは電池が交換できるように考えてなく,電池交換時はケースをばらす必要があります。

そこで,ACアダプタ式にすることも考えましたが,これじゃコードが邪魔。

何かいい方法はないかと思っていたら9Vの充電式電池の在庫があったのでそれにしました。昔,マイクロホンアンプでやった方法で,この電池を内蔵させ,外からACアダプタで充電する方法です。

充電回路はこの記事と同じもので,ごく簡単にCRD(定電流ダイオード)を用いたものです。石塚電子のE452を用います。

ただ,単純にCRDだけじゃ面白くないのでLEDを直列に入れました。こうするとLEDの順方向電圧分だけ,CRDの使える電圧が減るのであまりうまくないのですが,電源が12Vでもうまく充電できました。

充電バラックテスト.jpg こんな回路で充電できます。 

充電中.jpg 充電中です。

ACアダプタは12Vのものを使いました。LEDは順方向電圧の低い赤にしてください。充電電流がごく小さいので充電にはまる一晩かかります。回路的には▼の通りとなります。基板上には5Vのレギュレータがついているので,充電中でも使用できます。

  MTester充電回路1.jpg 充電回路です。

さて,次は大容量コンデンサなどのチェック用に,別途,バナナプラグを差し込めるようにしました。これらを▲のように#1,#2端子にはんだづけしておけば,ブロック電解などのチェックができます。 

ブロック電解.jpg 

大容量のブロック電解コンデンサもこんな感じで測定できます。

2sa649.jpg TO-3型アダプタ

ついでに,#1,#2,#3端子にICピッチの端子を差し込んでTO-3型やTO-66型のTrがチェックできるようにしました。ただいま,NECの名石2SA649をチェック中。A級15W DCパワーアンプに使ってやろうと考えています。

2sa649-1.jpg こんなのをテスト中です.......(^^;)。

sony 2sk60-1.jpg こんなのもテストできました。

sony 2sk60.jpg 結果です。

ちゃんとV-FETはJ-FETとして認識します。 

故障Tr2sc1815.jpg ご臨終になったTrの結果

過電流で死んじゃった2SC1815の結果です。うっかり,300Vをかけたら死んでしまいました。2SC1815はVCEO=50Vです。こんな高い電圧かけちゃいけません!! .........orz。単なる抵抗として表示されました。 

こんな具合で,非常にチープな測定器ですが,結構使えます。皆さんもいかがでしょうか。 

 

2016年9月10日追記

実は,2SA649をテストしていますが,今回,Aliの別の店で2SA6492SD218を売っている店を見つけ,買っちゃいました。

金田式DCパワーアンプの名石中の名石で,今も人気があるのですが,iruchanは2SD218は持っているものの,2SA649は持っていませんでした。どうしてもコンプリメンタリの石というのは先にPNPが廃番になっちゃうのでPNPが入手しにくくなります。逆に,廃番になった時点で大量に余っていて,もとからPNPの方の需要が少ないのでそれからも市場に出回っている,と言うことも多いのですけどね.....。2SA606とか,2SJ18なんかがそうだと思います。金田さんも2SA649がすぐになくなり,2SB5412SD388に代わりました。2SD218なら直流回路から蛍光灯を点灯させるためのインバータなどに使用されたので,根気よく探せばまだ手に入ります。

ということで,海外に目を向けてインターネットがはじまる前からiruchanは海外から個人輸入したりしていたので2SD218は持っているのですが,どうしても2SA649だけは何度買ってもダメでした。間違いなくニセ物をつかまされますのでご注意ください。

今回は,業者が本物のNECの2SA6492SD218の写真を出しているので油断しちゃいました。

でも,来たのは案の定,これ。

2SA649, D218 fake.jpg 

       こんなのニセ物~~~~~っ!!! 

2SA649は表記が黒だし,2SD218に至ってはロゴやフォントも違うし,それにどちらもロット番号が出たらめ。

中国だし,返金は無理だよな~と思いつつもAliのPrivacy Policyを読むとちゃんと返金に応じると書いてありますし,業者とも連絡がつきます。さっそく,ダメ元でクレームつけたら返金する,とのこと。 

やはり,中国も信頼を重視するようになったのでしょう。商取引の基本ですよね。ちょっとびっくりするくらいでしたが,ちゃんと返金してもらえそうでよかったです。

それにしても皆さん,くれぐれも海外から半導体を買う場合はご注意ください。 真空管だと少なくとも管名はごまかしできないので安心ですけど,半導体の場合は簡単にリマークできちゃうので気をつけてください。OPアンプの帝王,OPA627なんて海外だと安いのですが,怖くて買えません。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0