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6G-A4シングルパワーアンプの製作~その4・調整編~ [オーディオ]

2016年6月21日の日記

6G-A4シングルアンプ.jpg 完成しました! 

長年,夢であった,東芝の3極出力管6G-A4のシングルアンプを作っています。前回は製作編でしたが,今回はいよいよ火入れを行います。

さて,先週の間にほぼ配線が完了したので,何度もチェックしてスライダックで加圧していきます。やはりスライダックがあると便利で,慎重に加圧できるので安心です。

大体,AC80Vくらいになると整流管が動作して回路に電流が流れ始めます。B電圧も180Vくらいです。この時点で,6G-A4のカソード抵抗の電圧を測って6G-A4のプレート電流を計算します。50mA以下でないといけないので,これ以上流れていれば即電源を切ります。そのほか6SH7などの各電極の電圧を測っておきます。

これで問題ないようなら正規にAC100Vとします。再度,各電極の電圧を測定してみて,異常なければOKです。時折,6G-A4のプレートや整流管の電極内部などをチェックしておきましょう。6G-A4のプレートが赤くなっていたり,整流管内部でスパークしているようなことがないよう,確認します。

プレート供給電圧は273.1Vでした。OPTの1次巻線分と自己バイアスなので,バイアス電圧約18V分を引いて,プレート電圧としてはほぼ250Vです。ちょっと予想より低すぎました。本来ならプレート電圧280Vのつもりだったんですけどね。どうも整流管の6AX5GTの電圧降下が大きいようです。実際,カソード端で289.2Vでした。タンゴのカタログにあるように,6CA4の場合は350V出るはずなので,ちょっと残念です。 

プレート電圧は245V~250Vと言ったところで,出力は2.5Wでした。規格表どおりです。 

何も異常がなければほっと一安心で,可能でしたらオシロと発振器をつないで1kHzの正弦波を観測してみます。なければ実際にスピーカをつないで音を出してみましょう。

ついでにiruchanはここでf特を測定しておきました。特に,今回はMLF回路となっていて,NFB量が多いので,発振することもありますので,きちんと測定しておきました。

6G-A4, NEC 6SH7GT.jpg 

   NECの6SH7GTだとこっちを向いてくれるんですけど。

東芝の6SH7GTはプリント面が90゜ずれてそっぽ向いちゃいました。これ,結構困るんですよね~。みっともないのでNECにしました。というより,最初,NECでシャシー設計をして,あとから東芝を入手したので仕方ありません。NECの送信管4P55を持っているので,いずれアンプを作りたいと思っていますが,これも東芝のとプリント位置が異なります。 

6G-A4シングルアンプ-1.jpg 

 東芝の6G-A4と米Hewlett Packerd(RCA製)の6AX5GT

6AX5GT6G-A4にぴったりです。ちょっと背が低いですけどね。傍熱整流管だと立ち上がりも遅いので安心ですし。

さて,無事に完成したので特性を調べておきます。特に,今回MLF回路となっていて多重帰還回路となっているので発振しないか,きちんと測っておきます。

6G-A4シングルパワーアンプ特性.jpg周波数特性です。

NFBループは通常のSP~初段カソードの外側ループに加え,出力管のプレートから初段のカソードに帰還する内側ループの二重になっていますので,それぞれ特性を測ってみました。

内側ループで7.8dB,外側ループで5.7dBの帰還量となっていて,合計で約14dBとなっています。これだけ負帰還をかけているので,ダンピングファクタも良好で,8.6@1kHzとなりました。

ただ,どうも周波数帯域はあまり広くなく,せいぜい20Hz~10kHz(-1dB)と言ったところです。-3dBでも10Hz~30kHzと言ったところです。タンゴのH-5Sは古い設計の割に広帯域なトランスで,タンゴ発表のデータでは60Hz~80kHz(-2dB)とのことなのでもっと広帯域でもよいはずです。

原因は武末氏も書いていますが,出力管が3極管であるためミラー効果で入力容量が大きく,実配線状態で100pFくらい,また前段の出力インピーダンスも5極管を使っているため大きく,160kΩくらいです。となるとカットオフ周波数は10kHzくらいなので,これはどうしようもありません。やはり前段は3極管の方がよかったと思います.....。

といって,GT管だとハイμの3極管と言えば6SL7くらいしかないし,双3極管なのでちょっと面白くありません。SRPPにして2本使う,と言うことも考えられますが,どうもSRPPは好きじゃないので....。 

そこで,少しでも高周波特性をよくしようと考え,位相補償用の400pFを減らしてみます。武末氏の設計では外側のループの400pFというかなり大きめの位相補償用コンデンサが入っています。まず,10kHzの方形波を再生してみます。

400pF.jpg ちょっと過補償気味のようです。 

これほど肩がなだらかなのならもっと補償用のCの容量は小さくてもよさそうです。

そこで,120pFや50pFを試してみてもそんなに波形は変わらず,最終的に取っちゃいました.....。

0pF.jpg 0pFのとき。レンジが違ってごめんなさい。

わずかにリンギングが出るくらいでOKなんですけど,0pFにしてもこんな波形で,結局,位相補償は0pFでOKでした。H-5Sの高周波特性がよく,十分に高域時定数のスタガ比が取れているようです。 

そんなこんなで,今取るべき対策はなさそうなので,また宿題にしておきます。 

最終的な回路を▼に示します。位相補償用コンデンサを取っ払ったほか,B電流測定用に1Ωの抵抗を電源部に追加しました。

6G-A4シングルアンプ2.jpg 

と言う次第ですけど,これでようやく音を聴けますね!!!

まずは最近入手したフォーレのレクイエムのCDから。CDプレーヤはもちろん,最近修理したPhilipsの名機CD104です。これ,日本ではマランツのCD-34です。

faure requiem.jpg 

  マルタン指揮サン・トゥスタッシュ管弦楽団&合唱団のフォーレ・レクイエム(徳間 TKCZ-79221)

ダミーヘッドを使ったワンポイント録音で有名なアンドレ・シャルランが録音してレコードをシャルランレーベルで出していましたが,音がよいことで有名でした。いずれも1960年代の録音なので,マイクはもちろん,テープレコーダもステューダやルボックスの真空管でしょう。キングからレコードで出ていたほか,最近だと徳間からCDで出ていたようです。ただ,この盤のCD復刻はどれもあまり音がよくないと評判がよくありません。マスターからじゃなく板起こしという話もあります。それに,なぜかこの徳間盤はリベラ・メが曲名から抜けています。あれっと思ったらちゃんと入っています。5曲目のアニュス・デイとくっついちゃってるんですね。変なの!? LPはとても高く,eBayを見てみたら24ユーロの値段がついているものが出てました。

残念ながら今では絶版で入手できませんが,いずれまたどこかから出るでしょう。iruchanはAmazonのマーケットプレイスで格安で入手しました。送料の方が高かったです。 

おもわず,おぉっ!?と思っちゃいました。フォーレのレクイエム自体,名盤がひしめいていて,iruchanも何枚も持っていますけど,お気に入りはアンセルメ指揮スイス・ロマンド管のDECCA盤ですが,やはりクリュイタンス&パリ・音楽院のEMI盤が一番でしょうね。バリトンがフィッシャー・ディースカウなんて,いつも反則!! と思いますけどね。 あまり知られていませんが,クリュイタンスはモノ盤もあり,以前,EMIから出たのでそちらも持っています。

マルタン盤はどうにもアンサンブルがばらばらで,意外にいろんな人が探している割に演奏そのもののネットでの評判はいまいちのようです。実際,どうにもトランペットが出しゃばりすぎだし,ホールもどこか田舎の教会らしく,そんなに響きがよくありません。

でも,実際,フォーレのレクイエムって本来はこういう感じの演奏なんじゃないでしょうか。スタジオで有名指揮者と著名オケによる,ある意味形式的な演奏じゃなく,キリスト教に帰依した信者たちが地元の教会で演奏した,というのが本来の姿のような気がします。

そういう意味で聴くと,実に意義深い演奏で,とても感動します。オケ自体はちょっといまいちですが,合唱はとてもうつくしいです。 特に,ソプラノのアン・マリー・ブランザっていう人(全然知らん!!)がとてもうつくしいです。

さて,音の方ですが,もちろん,多重NFBの効果で非常にノイズと歪が少ないので半導体アンプのような透明な音です。スピーカに耳をつけても全くハムが聞こえないのはリップルフィルタの効果ですね! 音の分離もよく,左右のセパレーションもばっちりです。

音は3極管らしい,豊かな低音に驚きます。 

さて,お次はいつも聴いているこれ!

アナ雪.jpg まだアナ雪にはまっちゃってます。

なにげに後ろのカーテンがアナ雪ですけど....。パソコンのモニターカバーです。この前ではんだづけやっているのではんだが飛んでモニターを傷めちゃうといけないので嫁はんに作ってもらいました.....(^^;)。

やっぱ,松たか子さんの歌唱力にも感動しますけど,3極管で聴く "Let it go ~ありのままで~" は素晴らしい!!! 

さて,前段は武末氏の原設計ではMTの6AU6になっていて,本機ではGT管でそろえたいので同特性の6SH7GTにしています。本来は高周波用の真空管なので,オーディオ用? の6SJ7にしてみたいと思います。どちらかと言えば6SH7は業務用(通信用) で,米国だと軍用なんでしょうけど,6SJ7は民生用で,ラジオやアンプで多用されました。製造された数も多いので,今でも入手は容易だと思います。

意外なことに,6SH7の方が設計としてはこちらで設計したのでぴったりなんでしょうけど,音的には6SJ7の方がよい感じです。音の広がりや雰囲気は断然6SJ7という感じです。

6SJ7(マツダ,松下).jpg マツダと松下の6SJ7GT

試聴はいずれも国産で行いました。マツダのは1本しかないので松下と合弁? です。とうとう東芝もフラッシュメモリ以外の半導体事業を売却せざるを得ないようですが,真空管の時代だったら松下に売却,と言うことだったんじゃないでしょうか......。

やはり,と言うべきか,断然,マツダの方が出来がよいですね~。 やっぱ松下さんは安物,と言う雰囲気ありありなんですけど。これじゃまるで戦時中のソラですね~.....。

でもどちらもとても音がよかったです。やはりGTの5極管と言うことだと6SJ7で決まり,なんでしょうか.....。 

ようやくこれで中学以来の念願だった6G-A4のシングルアンプを完成することができました。次回はなんとか高周波特性の改善をしてみたいと思います。


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