6G-A4シングルパワーアンプの製作~その3・製作編~ [オーディオ]
ついでに,米国製の部品でそろえようと,トグルスイッチもArrow Hartにしました。ハンドルの頭がボールみたいに丸くなっているアンティークなスイッチが手に入りました。ついでにこれも米軍用です。結構,気に入っています。
パイロットはこのところ気に入っているマルツで売っているピンクのLEDにしました。往年の名CDプレーヤPhilipsのCD104でも使いました。 ピンクなんて真空管アンプに合わないんじゃないの~? って思ってましたけど,意外にきれいでよくマッチしました。
さて,これでトランス1次側の配線用部品がそろっちゃいましたので,さっそく,トランスの1次側とヒータ回路だけ配線しちゃいます。
ここまで来たらヒータの点灯テストです。真空管アンプの場合,必ずこれをやりましょう。
整流の6AX5GTは国産はないのか,米Hewlett Packerdのものにしました。国産だと5G-K20くらいですかね。いずれ差し替えたいと思います。
この会社は今でこそパソコンメーカですが,以前は計測器メーカでした。自社のオシロなんかに使っていたのでしょう。もちろん真空管までは製造していませんでしたから,RCAやGEのOEMだろうと思ってみてみたら,Manufactured by RCAと書いてありました。
すべての真空管を挿し,コンセントにつないで点灯テストをします。全部の真空管が無事に点灯したら,以後,ヒータ関係の配線には一切,手を加えないことにしておきます。
あとは残りの配線を片付けちゃいます。シングルアンプなので2日あれば終わっちゃうでしょう。
全回路図を▼に示します。基本的に武末数馬氏の "パワーアンプの製作" 上巻に載っている6G-A4シングルアンプの回路です。ただ,電源は原設計はチョークコイル使用のLCπ型フィルタですが,iruchanはTrを使ったリップルフィルタにしています。これだと前回のブログにもある通り効果絶大で,ハムを根絶できます。
また,原設計は前段はMT管の6AU6ですが,オールGT管にしよう,ということで前段は6SH7にしました。そのほか,原設計はモノラルですが,本機はステレオなので,ドライバ段用の供給回路の抵抗など,いくつか定数を変更しました。
位相補正用の400pFは完成後,調整する必要がありますね。また,6G-A4のグリッドに入っている1kΩは寄生発振防止用で,MOS-FETでもよく使われます。これはできるだけ真空管のグリッドに近接してはんだづけする必要があります。
ところで,この回路,どうも変だと思いました。
MLF回路になっていて,NFBループが二重になっているんですが,内側の6G-A4のプレートから6SH7(原設計では6AU6)のカソードに還る回路にストッピングコンデンサが入っていません。最初は誤植か,と思いましたが後半の多極管シングルアンプの解説のところ(p.436)に解説があり,ない方が低域の位相回転がなくなり特性がよくなるとのことです。 直流成分もフィードバックされちゃいますが,分圧されて小さな電圧になってしまうので問題ありません。
なお,6G-A4は放熱のため,g1の#1と#5ピンを太めの銅線でつないでおく必要があります。iruchanはついでに5mmの銅板をはんだづけして放熱フィンとしちゃいました........(^^)。
鉄道模型で使う,幅5mm,t0.5mmの銅板をはんだづけしました。フラックスを塗ってヤニなしハンダではんだづけするときれいに行きます。 鉄道模型ではヤニは使いません。
実は,秋葉原などでヤニなしのハンダを買おうとすると結構大変で,どのお店も電子工作用のヤニ入りしか置いていませんでした。模型屋さんか,Amazonで買った方が早いと思います。模型屋さんだとほんのちょっとの長さのやつしか売っていなくて,巻のやつを探していたらHAKKOがヤニなしの缶を売っています。
ついでに,6SH7/6SJ7の#1ピンは必ず接地しておきます。これはメタル管だと金属外被,ガラス管だと内部シールドにつながっていて,内部の電極をシールドします。まあ,オーディオ回路だと接地しなくても少しノイズが出るくらいで問題なく動作しちゃいますし,製作記事でも接地するようになっている回路図は少ないです。でも,高周波回路では接地しないと動作しません。以前,ラジオに使ったとき,接地を忘れて発振しちゃったので忘れたことに気がついたことがあります。また,#3ピンと#5ピンも接続しておきます。g3とKですが,6SH7は内部接続されているので本来は接続不要ですが,6SJ7は外部接続なので,接続しておかないといけませんし,最初から接続しておくと6SJ7と差し替えができます。
6SH7 6SJ7
なお,メタル管の場合は#1ピンを接地しておかないと静電誘導で高圧が生じ,梅雨時などビリッときますのでご注意ください。静電気と同じなので死んだりすることはないですけど.....。
コンデンサはカップリングのフィルムコンはASCのもの,電源の電解コンデンサはニチコンやルビコンなど国産を使いました。
なお,6SH7のカソードに入っている100μFは音のよいOSコンにしましたが,6G-A4の方はニチコンのファインゴールドにしました。
というのも,OSコンは正式名称は導電性高分子アルミ固体電解コンデンサというのですが,内部に電解液がなく,固体のポリマーを使っているため,故障時に普通のケミコンだとオープンモードですが,ショートモードで故障することが多いためです。タンタルコンデンサも同じです。OSコンを真空管の自己バイアス回路のパスコンに使用して,故障するとカソード抵抗をショートすることになりますからバイアスが0Vになっちゃいます。危険なので普通の電解コンデンサにしました。前段の6SH7のパスコンの場合はNFB用にまだ470Ωがもう1個入っていますし,そもそも6SH7では大きな電流は流れないので安全です。
やはりコンデンサは適材適所で,音質よりも安全性の高いものにしておく方がよいと思います。カップリングコンデンサはフィルムコンが最適で,オイルやペーパーコン,MPコンなど,ペーパー系コンデンサは長年の間に吸湿してリークしますので不可です。
そのほかの電解コンデンサはPhilips BCコンポーネンツや米Illinois Capacitor製のものにしました。抵抗はA&Bです。Philipsの電解以外は昔,米国の部品屋のバーゲンで買ったものです。
大きな径の穴を開けるのに、ステップドリルがあると便利です。アマゾンなどで検索してみて下さい。
by てにえ (2016-06-15 21:12)
てにえさん,どうも情報をありがとうございます。
タケノコ状のドリルのことは知っていました。今までとても高いと思っていましたが,Amazon見てみると安いんですね。
φ35mmとφ40mmの大穴を開けたいと思ってホールソーを検討していましたが,これでやってみます。
どうもありがとうございました。
by iruchan (2016-06-16 07:53)