コンデンサチェッカーの製作 ~その2・製作編~ [オーディオ]
2015年11月28日の日記
先週に引き続いてコンデンサチェッカーを作ります。前回は回路の設計まででした。今回はメータの指示回路をいじります。
私が設計したコンデンサチェッカーは試験するコンデンサの両端に50~300Vをかけ,流れるリーク電流を1kΩの抵抗で電圧として検出します。それをOPアンプで増幅し,最後に電流に変換してメータを振らせます。V-I変換もOPアンプの得意とするところで,OPアンプ1個で電圧→電流への変換ができます。
この回路で,Trのベース~エミッタ間電圧VBEを考慮しないといけませんが,近似的に RS はこの式から計算できます。
と表されます。簡単ですね。
仮にOPアンプの最大入力を5Vとしたとき,前段のOPアンプの増幅度は最大100倍(40dB)なので,リーク電流の電圧としての入力値は50mVすなわち50μAとなります。今回のメータ指示最大値は50μAで設計しました。
使用したラジケータの感度(フルスケール時の電流)は276μAでした。もし,F.S.=50μAの検流計を使用すればOPアンプの反転入力(マイナス)に入れる抵抗 Rs は上式から100kΩですが,276μAを50μAとして表示させるので,RS は18kΩとなるはずです。 なお,ラジケータは売っている店で規格を表示していない限り,感度や内部抵抗はわかりません。買った人が調べないといけないので,調べるときは本ブログのずっと ▼ の方をご参照ください。
ところが.....。
10MΩを4個直列にした抵抗に200Vを印加して測ってみると計算上は5μA流れるはずなのにメータの指示は3μA程度です。
使用したのが安価なラジケータなのが災いし,メータの指示誤差が大きいようです。しかたないので,改めてメータの特性を測ってみました。
やはり,カーブが直線でなく,放物線になっています。やはりラジケータは誤差が大きいのですね......。確かにフルスケール時は270μAくらいですが,それ以下のときは小さな値を示すわけです。
しかたないので,RSの値を大きくし,33kΩにしたらほぼ計算値どおりとなりました。
ようやくこれで回路設計は終了です。実際に製作した回路を下記に示します。前回と異なるのは前段のOPアンプのゲインを1倍,10倍,100倍と3段階にしました。これで,F.S.50μA~5mAまで測定できるようになります。ゲインの切り替えはロータリーSWを使うのが定番ですが,今回,中立offのスイッチを使ってトグルSWで切り替えられるようにしました。
最初はオイルコンやペーパーコンなどの小容量のコンデンサのリーク電流だけを測るつもりでしたが,改めて電解コンデンサのリーク電流を測れるようにしよう,と思ったからです。電解コンはオイルコンなどに比べてはるかにリーク電流が大きいので,レンジも大きくしないといけません。
さて,次はプリント基板を作ります。例によってプリンタのトナー転写方式で作りました。ただ,やはりまだ精度的には感光基板の方が上で,仕上がりも感光基板の方がきれいです。また,転写する用紙の繊維が邪魔をして,見えないくらい細い線でとなりのパターンとショートしていたりするので,注意が必要です。
基板が完成しました。2SC3425には放熱器が必要です。
なお,予想していましたが,昇圧チョッパ回路のスイッチングTr 2SC3425は200V以上で結構発熱します。最初は裸のままでもいいや,と思っていたのですが,10分もすると結構熱くなります。放熱器も大きめのをつけてください。
ケースはタカチのSW-125を使いました。70(W)×40(H)×125(D)mmのものです。もう少し大きい方がよいと思います。いつもながら,"小型化=高性能" と思っているので小さいものが好きで,何を作るにしても小さく作ってしまうので困りものです。アンプにしてもだだっ広いシャシーにまばらに部品がついている,というのは嫌いなんですよね~。
メータはどこかの部品屋で買った1~5の目盛りがあるラジケータです。バックライトもついていましたが,電源が9Vでは暗く,フィラメントが赤くなるだけでしたので取り外して電球色LEDにしました。
使用したLEDは砲弾型のφ3mmのものですが,これだと照射角が狭すぎてメータ全体を照らさないと思ったので,拡散フィルターをかぶせています。
なんか,まるでコ○○○○ムみたいでイヤですけどね.....(^^;)。
さて,次回は片っ端から古いアンプから外したコンデンサをチェックしてみたいと思います。回路も修正しましたのでご注意ください。
【メータの感度・内部抵抗の測定‥‥‥ラジケータの使用法】
さて,今回,メータによる指示をすることにしました。簡単にするならデジタル電圧計にしておいて,1V=1mAとでもしておけばよいのですが,アナログ式のメータにしようと思いました。
本格的には富士計測器やヤマキ電気が出しているJIS規格準拠のものがいいのですが,今回は安価にラジケータを使うことにしました。昔,BCLラジオやFMチューナーなどに使われていたものです。なぜか昔から好きなんですよね~~。最近はメータを使うことが少なくなり,見かけることも減りましたし,あっても台湾製の結構値段の張るものしかありません。
でも,秋葉などで売られているこれらのラジケータは規格が不明です。最低限,感度(フルスケール時の電流)がわからないと使えないのですが,これすら "FS○○mA" などと書いてあることはほとんどなく,買ってきた人が調べないといけません。感度と内部抵抗がわかれば分流抵抗などを使って真空管アンプの電流計などに使えるんですけどね.....。
自分で調べるには次の通りやります。
100kΩ~1MΩくらいの可変抵抗と006Pの乾電池を用意します。可変抵抗をこのように接続し,シャフトを回してメータが最大値を示すようにします。この状態でメータの端子電圧Vm と電池の電圧 V0 を測定します。その後,電池を外して可変抵抗の値 R を測定します。
ここで,V0 とVm は測定可能なので既知ですが,知りたいのはi と Rm です。
キルヒホッフの法則から,下記の式が成立します。
解は次の通りです。
今回,使用したラジケータはVm=0.173V,V0=8.27V,R=29.25kΩでしたから,i=276μA,Rm=625Ωと求められました。普通,ラジケータはF.S.=500μAのものが多いので,ちょっと私のは変です。
実を言うと今回のコンデンサチェッカでは必要なのは感度のみです。単純にフルスケール時の電流を調べるだけなら▲の回路にテスターを入れて,電流を測るだけでも十分ですが,真空管アンプの電流計など,分流抵抗が必要な場合は内部抵抗を知らないといけないので,その場合はこのようにしてください。
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