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オールゲルマニウムトランジスタ6石スーパーの製作~調整編~ [ラジオ]

2012年5月24日の日記

前回,プリント基板が完成し,電源を投入したところまででした。

ところが,ウンともスンとも言いません。一応,音量調整のボリウムの#2端子(まん中)にさわってみますと,スピーカからガリッと音がしますので,低周波部はOKのようです。

となると,高周波部が動いているかどうかが問題です。

まずは局発から。これが動作していないと話になりません。

やはり,局発が停止していました。局発の2SA15の入力部のパターンを間違っていて,ベースに正常にバイアス電圧が加わっていませんでした。パターンを修正したら局発が動作するようになりました。

ここで,トラッキング調整をします。真空管時代は単一調整とも言いますね。局発の周波数を放送周波数のIF分だけ高い周波数で発振するように調整することです。すなわち,局発の周波数を985kHz(=535+450)~2055kHz(=1605+450)で発振させます。今回,IFを取り出してAMステレオのデコーダをつなぐことを考えているので,IFは450kHzとしました。別に455kHzでも構いません。

トラッキング調整.jpg トラッキング調整個所です

調整個所は2つです。OSCコイルのコアと,バリコンのOSCトリマです。今はANTトリマはいじりません。

まず,バリコンを一番左に回し(羽根が全部重なった状態),局発の周波数が985kHzとなるよう,OSCコイルのコアを回します。次に,バリコンを逆に一番右に回して,今度はバリコン背面のOSC用のトリマを回して2055kHzにします。これを何回もくり返してどちらもこの周波数になるようにします。

ジャンクの部品を組み合わせた場合,どうしてもうまく行かないことがありますので,ある程度で妥協するか,部品を交換するしかありませんが,今回も無事に調整できました。

局発波形.jpg 局発を調整しました

ちょっと局発の波形がおかしく,鋸歯状波みたいになっています。局発用の2SA15のICが最適値じゃないからか,OSCコイルのQが高すぎるか,どっちかのようですが,とりあえず,後回しです。特に問題はありませんので。ただ,あまり波形がおかしいと高調波を発生して,短波を受信したり,ノイズが増えたりします,ご注意ください。

と言うことなので,この段階で放送が聴けるはずです......。が,何にも聞こえません!

う~ん,どうしてだろ,と思いますが,大体,見当はつきます。

予想通り,検波段のIFT(黒)の2次側にオシロをつないでみますと,見事に460kHzくらいの正弦波が見えます。バリコンを回しても全然変化しません。IF段の発振ですね。これじゃ放送が入らないわけです。

IF発振.jpg ありゃま~~。

真空管の5球スーパーではこんな経験をすることはなく,この段階で放送が聞こえて,やった~,と言うところですが,Trはむずかしいですね。そもそも,Trは3極管と同じなわけですから,発振しやすいわけです。その点,真空管は6BA66SK7などの5極管をIF増幅に使いますが,プレートとグリッドがシールドされているので発振しにくいのです。201AなんかをIFに使っていた頃はたいへんだったと思います。

ということで,発振対策を考えます。手としては3つあります。

① Trに中和コンデンサをつなぐ。

IF段のTrのベースとコレクタに中和用の数pFのセラミックコンデンサを取りつけます。真空管の時代だとニュートロダインですね。一種のNFBで,ゲインを落としてやります。すでに,5pFをつないでいましたので,これを大容量化することが考えられます。

② Trのコレクタ電流を減らす

エミッタに入っているバイアス抵抗を増やして,ICを減らすと効果があります。

③ IFTのインピーダンスを下げる

負荷となっているIFTのインピーダンスを下げてやると発振が止まります。具体的には,パラに数10kΩから100kΩの抵抗を抱かしてQを下げてやります。

一番簡単なのは③だと思います。早速,IF2段目のIFTに100kΩをつないだら止まりました。2段目というのはこちらが一番ゲインが高いからで,1段目はAGCもかかっているし,不要だと思います。それに,この方法はIFTのQを下げるので,通過帯域幅が広がります。つまり,HiFiになるわけですね。

IFTは使用する半導体や真空管により専用の設計になります。真空管の時代はIF用の球は6BA66SK7など,6D6から派生した球ばかりだったので,そんなに真空管ごとに違う特性のIFTが必要というわけじゃなかったのですが,Trの時代はそもそもゲルマニウムかシリコンかで,だいぶ特性が違いますので,本来は半導体のhFEごとに違うIFTになると思います。ところが,どうもシリコン用のIFTか,ゲルマニウム用かでも違わない感じで,皆さん同じIFTを使っておられると思います。特に,ジャンク屋さんなんかでどこの何かわからないようなIFTを買ってくることが多いと思います。この場合,どうしても発振したりしますので,ご注意ください。よく,修理のため,IFのTrを交換することがありますが,交換した途端,発振するなんてことがありますので気をつけましょう。2SC372なんかが入っているところに,最新のTrを差したりするとゲインが高すぎて発振することがあります。

発振防止抵抗.jpg 発振防止抵抗です

ようやくIF段の発振が止まったと思ったら,あとで電池を新品にしたらまた発振してしまいました。結局,1段目のIFTにも抵抗をつなぎました。ただ,100kΩではダメで,50kΩにしないと発振が止まりませんでした。1st. IFの方がダンプ抵抗が小さいと言うことはこっちの方が問題だったかもしれません。なお,IFゲインは電池の電圧にも影響されますのでご注意下さい。

発振停止.jpg 発振が止まりました。

さて,次はIFTの調整です。基本的にメーカで455kHz付近にあわせて出荷されているはずですので,あまりいじらなくてもOKのはずです。

シグナルジェネレータから450kHzを発振させ,アンテナ入力に加えます。10mV程度の出力電圧で結構です。検波用のIFT(黒)の出力にオシロをつないで450kHzが最大になるようにします。もちろん,普通のラジオでしたら455kHzでOKです。

ようやく,ここまで来たら放送が聴けるようになりました。最寄りの民放が入ります。

ただ,まだかすかに聞こえる程度,です。ここまで来てまだこんな調子,と言うことはどうもバーアンテナ周辺に問題があるようです。バーアンテナのインダクタンスとバリコンの容量があっていないのかもしれません。また次回です。

 


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