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鉄コレ式制御器・101系運転台型コントローラー ~その6~ [模型]

2011年1月10日の日記

鉄コレ式制御器・101系運転台型コントローラーの電流ブースタを開発しています。

前回,普通のモータコントローラTA7291Pを使って失敗したところまででした。このICはPWM制御はできず,単にブラシ付DCモータをon-off制御するだけのICと考えた方がよさそうです。

そこで,PWM制御可能なフルブリッジドライバICを探しました。よくロボコンなどで使われるのはTB6549ですが,これは秋葉原などでは入手できず,まだ一般的ではないようです。

と言うことから,結局,東芝のMP4212に変更しました。これは,TB6549とは違って,ドライバ回路が含まれておらず,4個のMOS-FETをフルブリッジ回路にしただけの,ICと言うよりはむしろ,ディスクリートに近いICです。でも,このICは回路が単純な分,非常に使いやすいと思います。

さて,早速回路設計に取りかかります。設計した回路を示します。じゃ~~ん!

鉄コレ式制御器電流ブースタ回路.jpg MP4212

           クリックすると拡大します。

と言って,これじゃ何の回路だかわかりませんので,ディスクリート版の回路を示します。MP4212の内部はこのようになっています。

鉄コレ式制御器電流ブースタ回路1.jpg ディスクリート版

ちょっと,今回考えた回路の説明をしておきませう。

鉄コレ式制御器の出力信号を2つのフォトカプラで受けています。フォトカプラは重要な部品で,ブースターが故障したときに,鉄コレ式制御器に影響が及ばないようにするのが第一の目的ですが,なんと言っても鉄コレ式制御器はそのままレールに電流を流して模型を走らせるようになっているので,出力が+と-の2通りがあります。それぞれに対応してHブリッジドライバの各MOS-FETをonしないといけないのですが,+と-の信号では-の時に極性を反転しないとonできないので,信号を反転する目的で入れてあります。

鉄コレ式制御器の出力がの時,上側のフォトカプラがonし,Q1とQ4のMOS-FETが同時にonして, の電流が流れます。

逆に,の時は下側のフォトカプラがonして のように電流が流れるので,モータは逆回転します。

MP4212のよいところは似たような規格のMP4410などと違って上側の半導体にPch.のものを使っていることで,これがMP4410など最近のものはNch.になっています。こうなると実は厄介で,上側のMOS-FETのゲートドライブ電圧が電源電圧より高くなってしまいます。この場合,当方が設計したような回路では使えず,フォトカプラに別の電源を供給しないといけなくなります。これはユーザの仕事で,電源が2つ用意しなければならなくなり,非常に面倒です。もちろん,メーカもその点はよくわかっていて,Nch.のみで構成した最近のフルブリッジドライバICは内部に昇圧回路を組み込んでいたりします。じゃ,何もわざわざこんなことしなくても最初からPch.のFETを使えばいいじゃない,と思うのですが,Pch.のFETは作りにくいらしく,こういう風にしているようです。

残念ながらMP4212は60Vまで耐圧があって,しかも電流も5Aも流せて非常に便利なICなのですが,製造中止になるようです。早めに買いだめしておこうと思います。東芝のwebを見たら,MP4212に限らず,これらのパワーMOS-FETモジュール全部がそうなるみたいです。ソニーから買収した長崎工場をソニーに返品? したり,システムLSIでSAMSUNGと提携したり,半導体事業の縮小を進めて大丈夫ですか東芝さん。

さて,次にプリント基板を起こして配線しました。

MP4212基板1.jpg 完成した基板

無事に電源投入するとモニタ用のLEDが点灯し,うまく動作しました。   ところが....。

オシロで観察するとデューティ比が90%くらいのまま,ノッチを進めても変化しません。1Nの時でも90%くらいなのでおかしいです。これじゃ実際に車両を走らせると1N投入と同時にフルスピードで発車し,以後,スピードは変化しませんね。

う~~ん,何でぇ~~?。

鉄コレ式制御器の出力信号はPWM制御なので,ちゃんとデューティ比は変化していますし,最初は鉄コレ式制御器の出力信号がノイズか,変形していてうまくMOS-FETをonできていないのでは,と思いました。確かに,以前,波形を見たときに結構,オーバーシュートしていたり,ノイズが乗っていました。

原因がわからず,そこで,シュミットトリガを入れるか,ツェナーDiで波形をクリップするかなどと正月休みもじっと考えていました。

しかし,原因はそうじゃなくて,フォトカプラの応答速度が低いためらしいことがわかってきました。そういえば,今回使った東芝のTLP521って,私がガキの頃から使っていましたからね。そんな古いフォトカプラは使っちゃいけませんって?

もともとフォトカプラは機器のonやoffを確認するためのもので,現在のように通信用やPC用として使えるかどうかはまた別の問題なんですね。TLP521は元々はFA用で,PC用としてはもっと高速なフォトカプラが必要なのです。実際,TLP521の規格表を見るとターンオフ時間が25μsもあり,鉄コレ式制御器のPWM周波数が19kHzくらいであることを考えると1周期が52μsなので,応答速度が全然足りません。多分,かろうじてoffにしたと思ったら,すぐに次のパルスが来て,onにして,と言う具合で,全然offにできていなくてデューティが非常に高くなっているのだと思います。

と言う次第で,またやり直しです。次回,高速フォトカプラに交換してレポートします。

 


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