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前後進ワンハンドルコントローラ(パワーパック)の製作~その2~ [模型]

2012年12月30日の日記

いよいよ2012年も押し詰まってきました。本年もどうもご愛顧ありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。

さて,先週,Tomixの5001 New Power Unitみたいな,ひとつのつまみで前後進切替と加減速ができるコントローラ(パワーパック)のPWM版を試作しました。5001パワーパックはよくできたパワーパックだと思います。実際,人気もあり,とうに製造中止になったのに,いまだに探している人がいるようです。ただ,やはり古い設計のため,抵抗制御式になっていて,ラピッドスタートが問題です。その点,悩んでいる人も多いようです。残念ながら抜本的な解決のためにはPWM式への変更しかありません。

先週はとりあえず回路設計をし,実際に試運転をしてみましたが,課題が残ったので,今週は対策をします。

課題としては,ボリウムの中点付近で,余裕が少なく,機関車が停止している範囲が極めて狭いので,少しでもつまみを回すと機関車が動き始めます。また,なぜかその中点付近でモータがかなり唸る,と言うものです。

原因は大体,わかります。555ICで作った三角波と,基準となる電圧をコンパレータで比較して,PWM波を作っていますが,ボリウムの中点付近での三角波と基準電圧の差が小さく,しかも本来,動いてはいけないはずの反対側のコンパレータが動いてしまっていることにあります。

ということで,基準電圧をもっと下げて,余裕範囲を広げることにします。ただ,ボリウムの抵抗値の曲線が問題で,前回,Bカーブ(直線)を使っていますが,本来はM-N型か必要です。M-N型はオーディオのプリアンプのバランスコントロールに用いられるもので,中点まで抵抗体が塗られていなくて,0Ωになっているのです。これだとまさにぴったり,という感じですが,汎用のボリウムは入手困難で,オーディオ用の高価なものしか手に入りません。ちなみにA型は抵抗曲線が直線でなく,指数関数になっているもので,人間の聴感に近いため,アンプで言うと音量調整などに使用されます。

ということで,M-N型にすべきだったのですが,今回,依頼してきた方から低速重視でフルスピードにならなくてよいと言うことでしたので,Bカーブのままにし,基準電圧の上限を下げることにしました。こうすると,デューティ比が100%にならず,フルスピードになりませんが,中点付近の余裕幅を広げることができます。

前後進ワンハンドルパワーパック電圧動作範囲M-N'.jpgM-N型VRの場合

と言うことで,簡単に前回の回路から,ボリウムのVcc側に入っている4.7kΩを10kΩに変更しました。こうすると基準電圧の上限は3.4Vから2.5Vに大幅に下がります。555の#6ピンの三角波の出力は,1.7V~3.4Vの範囲なので,デューティは100%になりません。ある程度,上限の速度が低い状態で速度を可変することができます。

もし,フルスピード出したい,と言うことであればボリウムを10kΩのM-N型にして,もとの4.7kΩのままでOKです。

と言うことで,ここまで来たらケースにインレタを入れ,モニタ用のLEDをつけます。

試作機外観1.jpg 完成したケース

つまみの回転角に応じてLEDが点灯します。つまみを右に回すと右側のLED,左に回すと左側のLEDが点灯するようにします。Tomixの5001 Power Unitもこうなっていますね。

ところが....。

試運転1.jpg 試運転中。あれ?

予想はしていましたが,無負荷の状態だとちゃんと左右のLEDは別々に点灯しますが,実際に機関車を走らせてみると両方とも点灯してしまいます。やられました。▲の写真で見ると右側はボウッとついているだけのように見えますが,肉眼だとどちらも同じ明るさです。

モータのインダクタンス分により,PWM波のoffの期間中に反対側の電圧が発生しているんですね。抵抗負荷やLEDを点灯している分にはこのようにはなりません。やはり誘導性の負荷の場合は要注意です。

対策は,KATOやマイクロエースなど,メーカ製の前照灯の回路に組み込まれいているコンデンサをつけるしかありません。要は,PWM波のローパスフィルタを取りつけ,逆起電力分を平滑化してしまえばOKです。

ということで,0.047μFをつけました。

逆向き点灯防止コンデンサ.jpg 追加したコンデンサ。

起動時に多少,反対側のLEDが点灯しますが,以後,点灯しなくなりました。成功です。容量的にはもう少し大きめの方がよさそうです。

肝心の中点付近の余裕幅ですが,±30゜くらいあり,これならOKです。若干,PWM式の欠点である,低速時にモータの唸りが出ますが,その分,走行はスムーズなので,よしとしましょう。スタートもゆっくりで,実車みたいな感じでスタートするのは気持ちよいものです。

ということで,最終版の回路を載せておきます。赤い部分が前回との変更点です。

前後進ワンハンドルパワーパック5.jpg 最終版の回路

無事にTomixの5001 Power Unitみたいなワンハンドル型のコントローラが完成しました。PWMだけあって,非常に低速がスムーズです。スイッチング周波数も20kHzと可聴周波数範囲外にしたので,音も聞こえません。いいコントローラができました。いずれ,本格的にスイッチング電源を内蔵してAC100Vが直接使えるコントローラを作ってみたいと思います。

 


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