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Channel Master 6501 トランジスタラジオ [ラジオ]

2012年5月6日の日記

今日で長かったGWも終わりです。子供もまだ小さいのであまり遠出もできませんし,家でラジオの修理です。子供は単なる言い訳?

次はChannel Masterの6501型トランジスタラジオを修理します。Channel Masterというのは三洋電機の輸出用ブランドで,国内向けの同じラジオもあります。

6501は1959年の製造で,6石スーパーとなっています。Trはソニー製を使っていて,2T73(局発・混合), 2T76(IF) x 2, 2T65(低周波)×3,検波は1T23です。東芝や日立,NEC,TENと言った会社は自社製造のTrを使いましたが,その他のメーカは初期にはソニーなどから購入して販売しました。もっとも,自社製造している会社でも高周波部はソニー製を使っていたりします。やはりTrは高周波は苦手で,なかなか局発や混合に使えるTrを作ることはむずかしかったようです。

さて,このラジオの修理はかなり手こずりました。

channel master 6501.jpg 回路図があり,助かります。

何より,電池を差してスイッチを入れてもポコッと音がするだけでウンともスンとも言いません。これは厄介で,そもそもRF部の故障なのか,低周波部の故障なのか,まずは切り分けが必要となります。低周波部は動いていても,局発が止まっていると言う場合でもこういう風にウンともスンとも言わなくなりますので,面倒です。それに,何にも音がしない,というのはこの前の日立のTH-862Rでもそうでしたが,よくある現象で,困ります。

まずはTH-862R同様,イヤホン端子がスピーカとOPTの間に入っていますので,その接触不良を疑います。それに,このラジオはなぜか外部スピーカがつけられるようになっていて,背面にイヤホンみたいな端子がまたついています。OPTからスピーカまでの間に2つも接点が入っているのは厄介です。

テスターで簡単に導通を調べられますが,単純にOPTの2次側を当たってもスピーカが導通しているのか,OPTの2次側が導通しているのか,わかりませんので,いったん,スピーカの配線を1個所外してテスターで導通を見ます。導通はちゃんとあるので,イヤホン端子や外部スピーカ端子ではなさそうです。

じゃ,RF部か低周波部か,と言うことになりますが,普通,ボリウムの#2端子(まん中の摺動子)にピンセットを当ててみるとガリッとスピーカから音が出ますので,これが出れば低周波部はOKです。

ところがこれでもウンともスンとも言いません。どうやら低周波部の故障のようですが....。

でも,一応,RF部じゃないことを確認しておきます。

クリスタルイヤホンをゲルマニウムDiの1T23の出力側につけてみます。かすかにガー,ガー言う音が聞こえますので,どうもRF部は正常に動作しているようです。ダイヤルを回してみると放送が聞こえました。と言う次第で,故障は検波段以降と言うことがわかりました。

次に疑ってみるのはカップリング用のコンデンサです。幸い,裏蓋に回路図があり,ゲルマニウムDiの後に,2つ,カップリングコンデンサが入っています。どちらも電解コンなので,容量抜けなのだと思います。容量が0になると交流信号が通りませんから,音が出なくなります。

OPTが断線しているか,とも思いましたが,導通はしていますので違うようです。出力の2T65が死んでいる可能性もありますが,共通エミッタの抵抗を流れる電流をチェックするとちゃんと流れていますので,死んではいないようです。何で死んでるか,と疑ったかというと表面のメッキがはがれていますし,そもそもバイアス用のサーミスタがついてません。普通,ゲルマニウムTrのラジオの出力段には温度補償用のサーミスタが入っていますが,このラジオには入っていません。熱暴走でTrが死んだか,と疑いました。でも幸い,違いました。

と言うことでやはり電解コンデンサを取り換えます。オリジナルはプラケース入りの珍しい電解コンですが,取り換えます。やはり,液漏れしているのか,茶色いしみが一部についています。ケースもよく見てみると小さな亀裂が入っているものがありました。

capacitor.jpg 取り換えたコンデンサ。四角い電解コンは初めて見ました。

コンデンサ交換.jpg 取り換えたコンデンサ(

ようやくこれで音が出るようになりました。でも,まだ音が小さい。結局,全部の電解コンを取り換えました。音が小さいとか,出ないとか言う故障は電解コンデンサの容量抜けの可能性が高いようです。

でもまだダイヤルを回すとガー,ガー言うノイズが突然小さくなったりします。どうもバリコンも不良となっているようです。この交換は大変です。とりあえず,まだ音が出ますのでこのままにしておきます。

channel master 6501-1.jpg 優れたデザインです。

わが国の外貨獲得の先兵として米国に大量に輸出されたトランジスタラジオは "安かろう,悪かろう" というイメージだったと思いますが,優れた回路技術と米国の物まねで作り始めたトランジスタの性能もそれなりによくて米国人たちに受け入れられ,RCAやGEなどの米国ラジオメーカを追い払い,見事に外貨の獲得に成功します。今,これらのラジオを見ても,電池を差すだけで鳴ったり,とても半世紀も前の製品とは思えない品質に驚きます。デザインにも非常に気を使って,このChannel Masterや東芝がそうですが,米国人が好みそうなスペースエイジを先取りした先鋭的なデザインで今,見てもとてもかっこよいです。日本人らしい,細かな配線と気配りの行き届いたラジオたちがとても愛らしく思えます。

 


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