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GE製5球スーパーの修理 [ラジオ]

2009年GWの日記

GE T-100A-2.jpg

      GEのT-100Aラジオ 

ブログタイトルに真空管やラジオなんて書いてあるのに,今まで鉄道模型ばかりで真空管やラジオのことは書いていませんでした。"本職"? は真空管マニアです。

といって子供が小さいととても真空管どころではありません。やっぱりそれなりに道具や場所を使いますからね。模型ももっぱら作るだけで,走らせているヒマがありません。

でも子供たちは真空管が大好きで,「マンマ」の次にうちの子供たちは「しんくうかん」と言う言葉を覚えました....  おぃおぃって (^^;)  でも,冗談じゃなくて本当の話です。

GWに帰省して,大掃除が終わったらぜひやりたいことがありました。田舎で実用で使っている米GE製の5球スーパーの修理です。10年ほど前に米国のハムフェアでたった10ドルで買ってきたMT管使用の5球スーパーですが,新しいので今でも十分実用になり,家でいつも聞いていました。こんなプラスチックキャビネットの5球スーパーは米国だとこんな値段です。

海外へ行くとラジオを買って帰るのが習慣になってしまいました。AMでアナログチューニングのやつだったらなんとか日本で使えます。PLLシンセサイザ式のものは米国と日,欧で周波数の刻みが違うので,AMですら使えなくなってしまって,残念です。FMも日本だけ世界の大勢とはずれて76~90MHzになっていて,海外で買ってきても使えません。本当に困ったものです。今度,2011年にアナログTVが終了し,90~108MHzが開放されるとデジタルラジオが始まりますが,ようやくこれでほぼ世界標準の帯域に変わるかと期待しています。

米国製のラジオは真空管時代のものもとても好きです。何よりデザインがしゃれていて小型だし,しかも音がいいんですよね。どうにも日本のラジオは大きい上に,内容がお粗末でとても好きになれません。5球スーパーになってから,プラスチックキャビネットになってからのものだけ集めています。再生式(並四,高一)のやつなんて論外で,高一を1台持っているだけです。日本製のスーパーラジオだと,6BE6や6AR5などのMT管使用となってからでもトランス式のものは特に木製の大型キャビネットのため,"パス" です。どうも日本ではかなりの間,ラジオが耐久消費財だったので,それなりにキャビネットが豪華なものの方が売れたようです。米国でもコンソール形と称して,それこそ電話かジュークボックスのように巨大なキャビネットのものもありますが,生活習慣として,部屋の壁に据え付けるような形で設置して,みんなでソファに座って聞く,というスタイルだったのでこうなったのでしょう。日本ではタンスの上に載せて聞く,と言うパターンだったのに,少々キャビネットが大きすぎると思います。

音に関しても,日本製のラジオは本当にお粗末だと思います。同じ5球スーパーでも米国製の方が断然音がよく,聞いていて疲れない音を出します。どうにも日本はスピーカがお粗末ですし,キャビネットが大きくてもスピーカがお粗末であまり利点となっていないようです。それに,"狭帯域病" と名付けていますが,諸外国からの混信を避けるため,必要以上に狭帯域になっていて,音が悪いです。特に,1950年代末から大量にトランジスタラジオが生産されるようになると,初期のトランジスタラジオは感度不足だったこともあり,IFTのQを高くとって感度を補うような設計がとられました。ついでにこうすると混信対策にもなりますからね。おまけにトランジスタラジオだとポケットサイズなので,スピーカも小さく,音は断然悪いのですが,サイズの方が音より優先されたのでしょう。結局,それ以後,ラジオの音質に関しての改良がほとんどなされなかった,というのが当方の意見です。特に,1978年11月23日に局間が10kHzから9kHzに変えられてからは余計に音が悪くなりました。どうも日本では「AMなんだから音が悪くて当たり前」と考えられてきたように思います。

実は某社の○○ラジオという,音のよいのを自慢しているラジオがありますが,あまりにAMの音が悪いのでキャビネットを開けて調べてみたら帯域幅7kHzという狭帯域のセラミックフィルタが入っていました。これだと3.5kHzくらいまでしか再生できませんね。

というしだいで,米国製のラジオが好きなのですが,今回のGEのラジオもずっと使っていました。米国製のはIFTの帯域も広く,スピーカも結構いいものが使ってあったりして,音がよいです。なにより,AMでも音質をよくしよう,と言う努力がなされてきたように思います。AM局も'80年代に入るくらいまで,FM局より儲かったようですしね。

このラジオは10年前に一度,買ってきたら修理しています。そのとき,一応テストしてから電源を入れると,ブ~ンとものすごいハム! 即,電源のフィルタコンデンサの容量抜けと判断しました。米国製の部品の中で電解コンデンサというのはあまり良くない部品だと思います。やたら早く容量がなくなりますし,何より絶縁不良がよくあります。Spragueのケミコンがいい,と言うので買い付けたら,電源投入と同時にヒューズが飛ぶ始末でまいった記憶があります。あとで米国のラジオ雑誌を読んだら,Formingと称して,ごく低圧の電圧をかけて数日,放っておくのが暗黙のルールだそうです。知らんかった。

容量抜けもしょっちゅうで,今まで修理したラジオでかなり出ました。今回のも日ケミのケミコンに取り替えてそのまま使っていました。

ただ,最近になって,よく考えてみたらカップリングのコンデンサも取り替えていませんでした。これらも取り替えておかないと危ないのですね。今ごろになって思い出しました。

ふるいラジオには必ずと言っていいほど,ペーパーコンか,MPコンが使われています。絶縁用のセパレータが紙(ペーパーコン)か金属含浸(MPコン)した紙か,いずれにしろ紙を主原料にしたものですが,長年にわたって吸湿してリークします。オイルコンでも危ないですね。N.O.S.と呼ばれる,いわゆる新品未使用と称するコンデンサでも危ないです。実は,最近,6AR5 PPのアンプを作ったときに古いコンデンサの方があうか,と思って日本製の未使用のMPコンを使ったところ,どうにも段間の12AU7のプレート電圧がおかしい。PPアンプのドライバ段なので,上下の12AU7のプレート電圧が揃うはずですが,片方だけ異常に低い。もしやと思ってグリッドの電圧を測ったらプラスになっていました。カップリングコンデンサのリークですね。もし,出力管のグリッドだったらアウト! でした。即,最新のフィルムコンデンサに取り替えて正常となりました。

と言う次第で,このラジオもカップリングコンデンサを取り替えます。

GE T-100A-1.jpg

キャビネット内部。12BE6-12BA6-12AV6-50C5-35W4の標準的米国型5球スーパーです。バーアンテナを使っているのが末期の頃の特徴です。アンテナの奥にある紙状の筒は電解コンです。容量抜けでフィルタの役を果たしていませんでした。

capacitor1.jpg

取り替えたペーパーコン。おそらく,オリジナルは下で,上のPyramidのコンデンサは米国のラジオ屋さんが一度,修理しているのでしょう。でもどっちにしてもこんな古いペーパーコンを放置しておいてはいけません。

capacitor.jpg

同じく米国のハムフェアで買ってきた,修理用のフィルムコンのセット。1袋,25本入りで7ドルです。これで修理しました。わざわざラジオマニア用にこのように修理用としてフィルムコンを安売りしているなんて趣味の広さに感心させられます。

こうして修理完了。ラジオを楽しんできました。

余談ですが,どうして名古屋のラジオはこう面白くないんでしょう? やっぱ関西の方がAMラジオは断然面白いと思います。と言う次第で,名古屋には真空管のラジオを持ってきていません。

 


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