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Tomix 5001 Power Unit(パワーパック)のPWM制御化~その1~ [模型]

2013年1月13日の日記

テスト.jpg KATOのDD51で試運転中です。

ここのところ,かつてのTomix 5001 New Power Unitのようなコントローラ(パワーパック)を作っています。5001パワーユニットは前後進切替のためのスイッチを持たず,つまみを左右に回すだけで前後進の切替と速度変化ができる,と言うユニークなコントローラで,主として初心者向けだったようなのですが今でも人気のあるコントローラです。ただ,名前はちょっと変ですね。箱にはNew Power Unitと書いてあるのに,本体にはPower Unitとあるだけです。電源スイッチのない初期型があり,それを改良したのでNewをつけたのですが本体は前のままの表記になったのでしょうか。

ただ,前々回のブログにも書いているとおり,巻線式可変抵抗器を用いたレオスタット式のため,最近のNゲージ車両ではラピッドスタートとなってしまいます。特に,鉄コレなどの軽い車両を動かす場合は瞬時に飛び出す感じで,あまり相性はよくない感じです。昔のTomixのスプリングウォーム式(懐かし~~)の動力を使ったものや,古いNゲージ車両ならそうでもないのかもしれませんが。やはりレオスタット式のものは直列に抵抗を入れてモータの回転数を制御する抵抗制御式なので,モータの特性に影響され,ラピッドスタートは仕方ないと思います。

ということで,いまだにこのコントローラを使っている人も多いと思うのですが,ラピッドスタートに悩んでいる人も多いと思います。webを見てもいろいろやっておられるようですね。トランジスタを入れて抵抗制御から電圧制御に切り替えると多少はマシになりますが,根本的な解決はPWM式への改造しかないと思います。抵抗制御からチョッパ制御へ変更する,と言う次第です。実際,この前作った5001パワーユニットをまねた前後進ワンハンドルPWMコントローラは非常にスムーズに車両が動きますし,超スロー運転も可能です。プリント基板も3枚作ったので,1枚を使って本物の5001パワーユニットを改造することにします。

結局,5001パワーユニットはYahoo!オークションで1台,落札して入手しました。基板も作ったし,改造は簡単,と思ったのですが,実際はかなり難航しました。

まずは一度,オリジナルの状態でテストします。KATOのDD51でテストすると案外,スムーズに起動します。あれ? という感じでしたが,ボリウムの中点でクリックするところで止めてみても機関車は動いたままです。この位置で挿入される抵抗値がまだ小さすぎるのですね。オリジナルの状態では使えないと言うことがわかりました。まあ,すぐに改造してしまいますので,何の問題もありませんけど。

さて,分解します。

オリジナル内部s.jpg 内部の構造。とても簡単です。

内部は単に,トランスとブリッジDi,巻線式可変抵抗器が入っているだけの単純なものです。保護用にブレーカもついています。割にスペースはあり,最初は簡単だと思いましたが....。

巻線抵抗1.jpg ご本尊? の巻線式可変抵抗器。75Ωでした。放熱器がついてます。

巻線抵抗.jpg あれ?

メーカはなんとバイオレット電機でした。可変抵抗の老舗でしたが残念ながら数年前に倒産してしまったため,同社のボリウムはもう入手できなくなりました。いつもオーディオのアンプを作るときなど,VIOLETのボリウムを使っていました。非常に出来がよく,愛用していたので,残念です。まさか,5001パワーユニットに使われている可変抵抗を作っているたとは思いませんでした。大切に残しておきます。いつか,活用したいと思います。

さて,本当ならこの可変抵抗のほか,トランスやブリッジDiはそのままにしておいて,中に制御用の基板と12Vの3端子レギュレータを入れて改造してやるつもりでした。オリジナルの5001パワーユニットはブリッジで整流したまま,平滑化していませんが,PWMにする場合はきちんと平滑化してやらないとICが動作しません。それに,このような非安定化電源はNゲージには危険で,無負荷時などは12Vより高い電圧が出るので,できれば3端子レギュレータでも入れて安定化してやろうと思いました。

ところが,どちらも中に入りそうにありません。よく内部の写真を見てみると,トランスも傾いて取りつけられています。多分,トランスを取りつけたらケースがはまらないので,ぐにゅ~~っとトランスを押しつけて傾けたんでしょうね。可変抵抗も意外に大きく,中に基板を入れようとするとこれが邪魔になります。

ということで,結局,ブレーカ以外の中の部品を全部取り外す,と言う羽目になりました。これじゃ,結局,筐体を利用しただけ,と言うことになってしまいました。本当はこんなはずじゃなくて基板を追加する程度にしたかったのですけどね。残念。

しかたないので,中身を全部外してプリント基板とスイッチング電源を組み込むことにしました。まあ,スイッチング電源に替えてしまうのなら,もっと電流をupして大容量化もできます。もとのトランスや巻線式可変抵抗を使うなら,表面実装のICを使ってプリント基板を作り直さないといけないようです。でも,表面実装用のプリント基板は売られていませんね。サンハヤトのはt1.6mmもあって,せっかく部品を表面実装にしても,基板が厚すぎる,ということになります。もっと薄い基板を売っていただけませんでしょうか。いつも,Nゲージの車内に組み込むような基板がほしいと思っています。

cosel電源.jpg コーセルのスイッチング電源

今はスイッチング電源がたくさん売られていますので,いい時代になりました。トランスとケミコンを使った電源だとかえって高くつくくらいです。大きさも小さく,電流容量も大きいので便利です。使ったのはコーセルのVAA1012という12V,0.9Aのものです。もとの5001パワーユニットは電流が0.3Aでしたから大幅大容量化です。これくらいあればNゲージでは十分すぎますけど。大きさも32(W)×18(H)×72.5(D) mmなので,小さいです。

pwm基板.jpg 使用するPWM制御基板

プリント基板は前回と同じです。ただ,可変抵抗は5001パワーユニットのオリジナルのつまみを使うにはローレットタイプが必要で,大阪の共立電子で購入しました。本当言うと,5001みたいに中点でクリックする,センタークリックというタイプがあるといいのですが,ローレットタイプはないようです。ALPSのRK0971210Z2Mというのがセンタークリックつきのプリント基板用なので,これが入手できれば最高,と言う気がしますが,残念ながらこれはローレットタイプじゃなく,ネジ留め式です。ALPSさんは電即納といって,ネット直販していて,個人でも売ってくれますが,最低5個からです。ネットを見ると@399円なので買ってもよかったのですが,5個は要らんよな~という感じです。

しかたなく,センタークリックなしの台湾製のものを使っていますが,やはりセンタークリックがあった方がよいと思います。

回路は前回と同じです。ただ,出力のHブリッジドライバMP4212はFETタイプなので,TrタイプのMP4006を使いました。ピン互換なので,どちらでもOKです。ただ,MP4006は2Aなので,MP4212の5Aに比べると容量が小さいので,気をつけてください。もっとも,2AもあればNゲージ用にはぴったりです。MP4005というICもあり,これは4Aです。こちらも使えます。MP4212は入手がむずかしくなってきていますので,完全な互換品のMP4207のほか,バイポーラTrを使ったMP4005などのICでも結構です。どうもMP4207は規格表を見ると通信工業用とあり,MP4212の通信用のカスタム品のようです。真空管やTrで通信用というのがありましたが,ICでもあるのですね。おそらく,特定顧客用にMP4207を作ったけれど,売れそうなので汎用品のMP4212を出した,と言うことではないでしょうか。

MP4006-1.jpg MP4212.jpg

MP4005, MP4006, MP4212.jpg 左からMP4005MP4006MP4212

MP4006はバイポーラTrを使ってHブリッジを構成しています。モータの制御にバイポーラTrを使うメリットはほとんどないと言ってもよいと思います。VCEsatも大きいですし,そもそもバイポーラTrだと電流制御タイプですから,ドライブするにも電流がいります。そのため,このICは制御Trをダーリントン接続して入力の電流を極力減らすようになっています。MOS-FETだと入力電流は0ですし,on抵抗も非常に小さいので,モータ制御用はもっぱらMOS-FETの仕事となっています。

回路は前回とほとんど同じですが,MP4006の場合はバイポーラTrなので,MP4212の各ゲート入力(No.2, 4, 6, 8ピン)に入っている100Ωは不要です。これは,MOS-FETが高インピーダンスなため,寄生発振しやすく,動作が不安定になるためです。オーディオのパワーアンプなどはMOS-FET使用の場合,必ず入っていますね。バイポーラTrの場合は不要だと思います。

前後進ワンハンドルパワーパック3.jpg今回の回路です。

ただ,実を言うとあまりMOS-FETは好きじゃありません。今回,MP4006にしたのもそのためです。オーディオのパワーアンプでMOS-FETだと真空管みたいな音がするなどと言われ,人気があるのですが,実際に作ってみると大した音がしない,というのが私の印象です。どうにも眠い音がすると思います。日立のTO-3の名石2SJ49/2SK134を使ったアンプも作りましたが,どうにも眠い音がしました。ハッと目が覚めるようないい音はやはりバイポーラ,と言う気がします。そんなことでバイポーラTrのアンプの方がよいと思っています。それに,MOS-FETの記号はややこしくてまいります。普通,矢印は電流の方向と考えてしまいますが,P-N接合の向きに合わせてあるらしく,MOS-FETの場合は電流の向きと逆になります。設計していて頭がこんがらがるので,MOS-FETは敬遠したいです。ということで,アンプやモータの制御ももっぱらバイポーラTrを使うことにしています。

そういえば,最近,"MJ無線と実験" を見たらSiC半導体が話題になっていますね。これももとはSiCが高熱に耐えてシリコンより高温度で使用できると言うことから開発され,モータ制御用です。いずれ,電車もサイリスタやIGBTに代わってSiCで動くようになると思います。電気自動車が立ち上がってきたので,それ向けに開発されているのだと思います。MOS-FET同様,モータ回しているような素子が音がよい訳ない,と思っています。それに,SiCなんて化合物で,金属ですらないんですけど。金属じゃない半導体がいい音する訳ないんじゃないの~っ?,と思っています。

pwm内部.jpg 

        内部にようやく基板を組み込みました。

中身を全部出したのに,内蔵するのはかなり難航しました。ブレーカはAC100V側に入れてフューズ代わりとしました。オリジナルは2次側に入って,DC用として使っていますが,表面の刻印を見るとAC125Vと書いてあるので,本来はAC用で,AC100Vラインに入れても大丈夫です。

5001パワーユニットについている,左右の赤いLEDはこのまま使います。ただ,前回同様,PWM式にするとモータのインダクタンス分による逆起電力で両方とも点灯しますので,LEDにパラに0.1μFのフィルムコンデンサをつけておきます。申し訳ありませんが,▲の写真には写っていません。左側の2つあるLEDのどちらかにパラればよいです。もともとついていた電流制限抵抗は910Ωのようで,これに12Vをかけると10mA程度流れますが,どうにも暗いです。昔のLEDですから輝度が低いのはしかたないですが,どうも寿命かもしれません。いずれ交換を考えています。

PWM改造後.jpg 完成しました。

表面にパイロットランプ代わりで555のPWM発振出力のインジケータをつけました。マルツで売っているφ3mmのピンク色のLEDを使ってます。ほかでも入手できますが,マルツのは@40円で助かります。なかなかいい色なので,最近,気に入っています。おしゃれでしょ。

PWM周波数切替SW.jpg このスイッチは何だぁ~~!?

悪のりして,いつも使っている自作のPWM式コントローラみたいに,スイッチング周波数を300Hz/20kHz切替式にしました。300Hzだと201系みたいなプーッというチョッパ音を出しながら電車が走ります。20kHzにすると耳には聞こえませんので,静かに走行します。プリント基板は準備工事として周波数切替用の抵抗を追加できるようにパターンを作ってありました。

201.jpg プー! という音がします。

 PWM周波数切替もつけたので,300Hzのチョッパ音を響かせながら運転できます....(^^)。

201-1.jpg 

この前増備した鉄コレ201系だとこんな感じです。前照灯,種別表示,尾灯が点灯するように改造してあります。PWM式にしたので,停止中でも明るく点灯します。

KatoDD51.jpg KATOのDD51。前照灯も明るいです。

PWM式のメリットはスロー時の安定した走行のほか,常点灯になることで,今回のも停止中に前照灯を点灯させることができます。また,ピークで12Vが出ているので,低速でも前照灯が非常に明るいのもいいです。レオスタット式やトランジスタ式のものは低速の時は前照灯が暗く,速くなると徐々に明るくなりますが,PWM式だとこうならないのでいいですね。本当は明るさは変わっているのですが,肉眼で見る限り,ほとんど変化しません。

さて,ようやく無事に完成しました。試運転して遊んでいます。超スロー運転も可能で,うちの全長6mのエンドレスを2分以上かかって一周することができます。また,つまみを回転するだけで前後進が変わるのもいいですね。前照灯も明るく点灯するし,なかなかいい感じです。ただ,内部のトランスを外してしまったので,軽すぎるのがネックです。計ってみると180gしかありません。もとは480gでした。ちょっとコントローラがあまりに軽いと運転しにくく,EF13みたいに死重? を積まないといけないかな,と考えています。やっぱ,EF13みたいにコンクリートでしょうか....(^^;)。

 

2015年2月1日追記

最終的に改良したバージョンをhttp://iruchan.blog.so-net.ne.jp/2015-02-01-1で報告しております。ご興味のある方はご参照下さい。

2017年6月18日追記

PICを用いて改良したものをこちらで発表しています。改良版は,ボリウムを真ん中に戻しても,前照灯&室内灯が点灯するようにしてあります。


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北海道民

自分も改造していて、助かりました。
ありがとうございます。
by 北海道民 (2019-04-18 23:48) 

iruchan

北海道にお住まいの方でしょうか? いつも北海道を旅行させていただいており,皆様には感謝しております。

本機はハードウェア版とPIC版があります。続きもありますので,ぜひご覧ください。

なお,ハードウェア版は最低デューティが高めなのと,例によってボリウムの半分しか使わないので,コアレスモータ機にはすこし厳しいです。
by iruchan (2019-04-19 07:20) 

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