2020年2月16日の日記

前回,宗谷本線と石北本線のラッセル車の撮影記を書きました。

けふは廃止予定の駅を訪問した記事を書きたいと思います。

今から3年前,2016年11月にJR北海道は利用者減などを理由に「10路線13線区は単独で維持困難」と表明する文書を発表しました。

すでに,2016年12月5日に留萌本線の留萌~増毛間が廃止されましたし,昨年4月1日に石勝線の新夕張~夕張間は廃止されました。その後も,札沼線の北海医療大学~新十津川間や,つい最近では日高本線の鵡川~様似間の廃止が決定しています。

増毛や夕張はiruchanは学生時分に行っているんですが,残念ながら,写真が1枚もありません。当時,リバーサルフィルムが高くて,まだ廃止予定ではなかったので写真を撮らなかったのだと思います。デジカメ持っていたら,なんて思っちゃいます。増毛駅は「駅STATION」という映画にも出てくるし,駅前の様子もよく覚えているんですけどね....。新十津川は2015年に訪問しています。

そのほか,根室本線の富良野~新得間も廃止が決定していますし,残りの宗谷線や石北線,釧網線など8線区は公的支援を受けて存続,と言う方針のようです。

ただ,宗谷本線や石北本線は特に人口が希薄な地域でもあり,駅の廃止が相次いでいます。女子高生が1人だけ利用していた旧白滝の駅などが廃止され,たくさんあった白滝のシリーズも,とうとう,1駅を残すだけになってしまいましたね。

さて,JR北海道は2016年10月に廃止予定46駅を発表し,宗谷本線の廃止予定駅は,旭川から,北比布,塩狩,北剣淵,日進,北星,南美深,紋穂内,豊清水,天塩川温泉,筬島,歌内,糠南,雄信内,安牛,南幌延,上幌延,下沼,雄信内,安牛,南幌延,上幌延,下沼です。石北本線では生野が上がっています。

宗谷ラッセルの名寄行き雪551レは旭川発は14:11ですし,上りの雪372レは天塩中川が11:30頃発車なので,これらの列車を撮影しようと旭川あたりから出かける場合,ラッセルが走行する昼前に筬島までは訪問できそうです。

と言う次第ですが,iruchanは今回は名寄からスタート。まずは日進から筬島まで訪問することにしました。ただ,ここで失敗。日進と北星は割に近いんですが,道は連絡していなくて,国道40号線からは別々にアプローチする必要があります。それに,宗谷本線はこの付近は40号線とは天塩川を挟んで反対側で,1駅ずつ回っていると時間がかかります。それに,名撮影地の東恵橋からは近いし,ラッセルの撮影も名寄まではすぐなのでここまででしょうから,東恵橋で撮影したあとにしよ,と思って日進はあとにしたのですが,東恵橋からは冬は道路は通行止めで行けないことを忘れちゃってました。名寄側から訪問した方がよいです。

☆日進駅

 

緑色の待合室がとてもいい雰囲気です。日と進の間にあるマークは名寄市の旧市章ださうです。


奥に人家も見えますし,名寄のひとつ北の駅なので,利用者がいるのでは,と思いますが,JR北海道の地域交通を持続的に維持するために,というHPに出ている駅別利用者のデータを見ると,1日0人らしく,廃止予定となっています。


この駅から,次の北星駅へは線路沿いに道はないので,国道に戻らないといけません。

☆北星駅

ここは秘境駅というのがふさわしい,本当に寂しい駅でした。日進は名寄のひとつ北で,周りに人家もあり,周辺は畑のようですが,ここは山の中です。周りには人家が1軒見えるだけです。おまけに,道路にはなにも標識はなく,カーナビがなければ行けそうにありませんでした。その上,"目的地周辺です。ガイドを終わります....." って言ってくれたって,全然駅らしいものが見えません。どこが駅やぁ~~?

 

   かろうじてカーブミラーで駅とわかります。

このあたり,と言うことはわかったので,線路から眺めると,なんとかワンマン運転用のカーブミラーが見えたので,そこが駅だろう,と思いました。駅はこの踏切を越えて,左(東)側からアクセスします。

 ホーロー看板がすごいです。

出入り口の扉が外れやすく,注意書きがありました。道路からは50mほど離れたところですが,ホームも道路もきちんと除雪されていました。ありがとうございます。

 

駅名標はもうずいぶん直されていない感じです。 "にっしん" のところに何か貼ってあったような跡がありますが,智東駅の修正跡だと思います。智東駅の廃止は2006年3月18日のことです。東恵橋から東,宗谷本線の踏切を越えてしばらくすると冬季通行止めとなっているので,冬に智東駅跡へは行けません。実際,wikiを見ると,道路が冬季通行止めとなるため,列車は晩年は駅を通過していたようです。

 北星駅

駅の利用者はJR北海道の調査では0.2人/日と日進駅の0人より多いようです。5日に1人,ということなら,おそらく,秘境駅目的の旅行者だろうと思います。

東恵橋からすぐ北なのですが,道路はないので東恵橋からは訪問できません。このあたりの駅は次の智恵文駅を目指して天塩川を渡り,そこから訪問するとよいと思います。智恵文駅周辺は数軒人家があるだけで,郵便局もあるのが驚きですが,天塩川を渡る前には大きな集落があり,中学校もあります。

 智恵文駅('19.3.1)

この駅は廃止対象ではありません。国道からは天塩川を渡る大きな鉄橋(天智橋)があり,そこを渡ってさらに奥に駅があります。国道からは5kmほど離れています。何でこんなに離れているのか,と思ったら,元は国道はこの集落で直角に曲がって美深方面へ行っていたようですが,今はバイパスができて,美深市街も迂回しています。

この駅を中心にして,北星~南美深あたりを訪問するとよいです。

いわゆる貨車駅ですが,外装はきれいなアルミ材で覆われて修復されています。中もとてもきれいでした。

☆智北駅

北星駅から線路沿いに戻って,智恵文駅を越えてしばらく走るとあります。

 

プレハブみたいな四角い待合室がかわいいです。線路脇の道路からよく見えます。1日の利用者は2.4人となっています。

 

駅名標もおそらく,民営化後,ずっと交換されてないと思います。

☆南美深駅

この駅はJR北海道が発表した廃止予定46駅に入っていますが,地元が存続を要望し,廃止は免れたようです。確かに,周囲に人家もありますが利用者は0.4人/日と智北駅より少ないです。

 

      緑の壁と三角屋根がかわいい~。


       線路は築堤上で,待合室はこの下で,少し離れています。


次の美深駅は美深町の中心駅ですが,2016年5月以降,無人化され,みどりの窓口も廃止されました。特急が止まる駅なのに無人とは,とあきれます。石北本線の留辺蕊駅もそうですね。現在は町が委託を受けて,簡易委託駅となっています。そういえば,名寄駅は有人ですけど,営業は17:40までで,稚内や遠軽も同様です。最終の特急が停車するまで営業できないのでしょうか。

☆紋穂内駅

 いたわしや~~。

先ほどの智恵文駅同様,いわゆる貨車駅ですね。国鉄時代末期に古い木造の駅舎を取り壊し,代わりに余剰となった車掌車などの貨車を置いていきました。なんて無茶するんや,と思いましたが,トイレもあるし,密室になって,冬は割に風をしのげそうで,案外,よかったのかもしれません。ただ,さすがに30年以上経つので,老朽化が著しいです。

 カレンダーがありました。

鉄電が置いてあります。列車が遅れたときなど,一番近くの駅を呼び出して聞くことができます。今の時代,携帯で聞けるし,何らかの情報表示装置も携帯の回線を使ってテキストを送るくらい簡単にできますから,もっとサービスをよくしてもよいと思います。USBやRS-232C接続の表示器と携帯受信器を取り付け,固定IPアドレスにできれば,仮想COMポートを使って,遠隔地から制御できます。オレにやらせろ,と思いました。でも,まあ,そんなお金もないか.....。

誰かが置いていったカレンダーがありました。1月のままだったので,2月に替えておきました。

 紋穂内駅構内


☆豊清水駅

実は,ここは訪問できませんでした.....。

なんと,カーナビに案内させていて,"ここを左です" といふので,最後の国道40号線から左に曲がろうとしたら.....。

なんと雪の壁でした.....orz。

冬は駅までの道が除雪してないんですね....。さすがにかんじき履いて歩いて行くわけにも....。

ただ,wikipediaを読むと,この周辺では少ない交換可能駅であり,冬は保線区の方が常駐しておられるようなので,駅まで行けなくはないはずです。そのせいか,立派な木造駅舎が残っているようです。ということは,もし,駅が廃止になっても,奥白滝みたいに駅舎は残ると思われます。

おそらく,北側からの道が除雪してませんでしたけど,日進駅同様,南側からアプローチすればよかったのかと.....。ちゃんと調べておけばよかった~~.....orz。

と言う次第で,また次回です。

☆天塩川温泉駅

 

     観光地らしい赤い屋根の駅舎です。

もとは1956年設置の南咲来仮乗降場です。国鉄時代に地元からの請願で天塩川温泉仮乗降場となり,民営化時に仮乗降場は駅に格上げになったので,天塩川温泉駅となりました。

駅舎はとても立派で,内部はFRPの椅子がたくさん並んでいて,暖房もされていました。

と言うことで観光客の利用もあるのでは,と思ってしまうのですが,先ほどのJR北海道の調査では1日の利用者は0.4人と,ほとんどないようです。

せっかく暖房されているので休憩しようかとアルミサッシ製の扉を開けようとしたら....凍結していて開きませんでした......orz。仕方なく,ガラス越しに内部を撮影させていただいたら,たくさん保線区の人が来られて,踏切の除雪をはじめたので退散しました。本当に冬の北海道は大変です。ほとんど利用者がいないのに,駅のホームもきれいに除雪してありますし,待合室は暖房もしてあります。


☆咲来駅

もう隣は音威子府です。さすがに雪が多く,駅前もちゃんと除雪されていますが,どうやら一晩で結構積もっていて,うっかりはまり込んじゃうと出られなくなってしまうので,道にレンタカーを停めて少し歩いて訪問しました。周囲は明治時代には駅逓も置かれた大きな集落で,メインストリートもあって,結構人家も多いです。

 味のある黄色い駅舎。

    ホーロー看板の駅名板がいいですね~~。

 咲来貨物駅?

1982年まで貨物扱いをしていたので,1本だけ線路が残っているのでしょう。形式は不明ですが,有蓋車が1台,置かれていました。

 駅名標は傾いています....。

音威子府駅でおいしいそばを食べてから,ラッセルを撮影するため,筬島駅を訪問しました。

☆筬島駅

 ここも貨車駅でした。

紋穂内駅と違い,智恵文駅同様,アルミサッシ製の外装材で覆われていて,とても外観はきれいです。


日進駅同様,1日の利用者は0のようです。

この駅前の道を少し天塩中川駅よりへ進んで,踏切からラッセルを撮影しました。そこから,ラッセルを追いかけて南へ反転です。名寄から北の宗谷本線の廃止予定駅探訪はここまでです。残念ながら,秘境駅として知られる北剣淵の駅は和寒高架橋で撮影したあとに寄ればよかったのですが,もう日が暮れて,あきらめました。行っておけばよかった......orz。

       ☆          ☆          ☆

さて,翌日は名寄以南の廃止予定駅を訪問します。今日は石北ラッセルを撮影する予定で,雪551レは旭川発車14:48ですから,午前中は駅探訪です。

☆北比布駅

当麻町と比布町は隣ですから,当麻駅前のまさ屋旅館さんでおいしい朝ご飯を食べてゆっくり出かけます。30分もあれば,北比布駅に着きます。ただ,線路が道路と斜めに交わっている関係で,比布町内の宗谷線の駅を訪問するのは面倒でした。どこもまともに直線で移動できないんですよね.....。

 北比布駅

小さな待合室が目印です。駅の周囲は見渡す限り,なにもありません.....。畑,と言うか,iruchanも大好きなお米ゆめぴりかを作っている田んぼかもしれません。雪が積もってちゃ,どっちだかわかりませんけどね。

 板張りのかわいい待合室

 蘭留駅も訪問しました。

☆比布駅‥‥‥‥もちろん,この駅は廃止対象じゃありません。

iruchanはこの駅にずっと行きたい,と思っていましたが,やっと訪問することができました#58942;

もちろん,ピップエレキバンのCMに登場するからで,あのCMはとても懐かしいです。

フジモト(当時の社名)の好々爺然とした例の横尾会長さんと,女優の樹木希林さんがそれこそ漫才みたいな感じでのんびりと連作のCMをやっていましたが,1980年,この駅に登場します。もちろん,iruchanは昔から鉄だったのですが,さすがに北海道に,"ぴっぷ" なんて街や駅があるのは知りませんでした。

ひょうひょうとした会長さんと樹木希林さんが北海道の小さな駅のホームに立ち,"とうとう来ましたね...." ってやっていたCMです。

あの頃,iruchanは中坊でしたけど,学校行くと,みんなあの会長さんのまねをみんなやっていて,面白かったです。とうとう,樹木希林さんも故人になってしまい,とても残念ですが,駅に行くことができました。

そういや,確か,比布駅のCMが好評だったので,北比布駅を舞台にした続編もあったような気がしますが,You Tubeを探しても出ていません。確か,あったよな~~~??

 比布駅

なんかこうやって見るととても寂しい駅に見えちゃいますが,それはiruchanが人がいない時を見計らって写真を撮ったからで,しょっちゅう,人の出入りがありました。また,中はとてもきれいで,カフェもあり,土産物を売っていますし,老人会の人が会合を開いていました。駅がまさに街の中心になって人の集まるところとなっていることを実感できる,素晴らしい駅だと思いました。駅というところはこうでなくてはいけませんね!

駅自体はCMの頃の駅舎ではなく,2016年に建て替えられたばかりのようです。でも,コンクリート製の味気ない駅舎にするのではなく,地元の木材を活かした美しい駅舎は北海道の伝統的な駅の姿を残し,感激しました。

ここのカフェでアイスを食べ,土産のストラップや記念入場券を買って帰りました。このあとは当麻に戻って昼ご飯をいただいて,石北ラッセルを撮影しました。

 素敵なお土産#58942;

駅名標ストラップは比布のほか,北比布,南比布もありましたけど,やっぱ買うんだったら北比布でしょう。スタンプもありました。DISCOVERJAPANの懐かしい切符は来駅記念証です。昔はよかったな~~~~。

 1364D

なんか,この日(2月3日),JR北海道さんは何かやらかしちゃったようで,宗谷本線のダイヤが乱れていました。11:06発のなよろ4号やサロベツ1号が運休となったようです。どおりで,サロベツ2号を撮ろうと近くの踏切で待っていても,来ないのであきらめたところでした。どうやら工事の影響で,信号がうまく動作しなかったようです。快速なよろ4号が運休らしいので,保線区の人が周知に来ていましたけど,今時,携帯回線を使ったり,線路沿いにLANを敷設しておけば,簡単に情報提供できると思うのですけれど....。サロベツ2号は折り返しの1号が来ないので運休,だったのかもしれません。

☆南比布駅

残念ながら,3月6日付の北海道新聞によると,この駅も廃止が決まったようです。ほかにも北剣淵や下士別,石北線の東雲駅も地元が承認したようで,廃止決定のようです。

いずれもまだ訪れていないので,次は訪問したいと思っています。

 かなり雲行きが怪しいです......。

 上は国道40号線です。

跨線橋のすぐ下にあり,周囲には保育所もあったりして,それなりに乗降はあるような感じなのですが....。1.8人/日だそうです。

☆塩狩駅

三浦綾子の小説でとても有名なこの駅も廃止対象駅に含まれています。ここは今年ではなく,去年訪問しています。

行くのはとても大変で,国道から狭い道を延々と走らないといけませんし,うっかり,小さな標識を見落として,駅から遠くへ行っちゃったのを覚えています。最後,駅前は多少スペースがあり,車を停めることができますが,やはり山間の狭い駅です。

 塩狩駅

訪ねてみると駅舎の中から人の声がします。蘭留や石北線の当麻,伊香牛や中愛別もそうでした。

JR北海道では,冬場の除雪のため,保線区員を派遣し,1日中,除雪にあたらせています。当麻など,平野部の駅だとアルバイト? らしき若い学生さん風の人が一晩中,常駐していますし,実際,除雪要員募集のポスターを前回,見ましたが,さすがに塩狩などの山の中だと社員がやっているようです。

それにしても寒い中,山間の寂しい駅で一晩中,待機していないといけないとは本当に大変です。それこそ,北海道じゃ,あっという間に雪が積もってしまってホームに人が立てなくなりますしね。危険ですが,転換不能を避けるため,ポイントの除雪などもやっておられるのでしょう。もちろん,ポイントには冬にはヒータがついていますけど,通過列車が雪や氷の塊を落としていくこともあるので,ポイントの除雪も必要です。


ここから山道を延々1時間ほど登るとラッセル撮影のためのお立ち台があるそうなのですが.....。


 

     サロベツ1号(2019年3月1日撮影)

ここで宗谷ラッセルは交換するはずなのですが,昨年は運休でした....#58945;#58945;

☆生野駅

石北本線は旧白滝や上下白滝どういう表現じゃや金華駅の廃止のあと,生野駅も廃止予定のようです。何度も8071レの撮影で訪れていますが,ここも秘境駅のひとつとされています。その割に国道のすぐそばだし,確かに人家はないけど,周りは牧草地です。

生野駅は何度も訪れていますが,ブログで紹介したのはこちらです。もう9年も前か,と思いました。

    ☆          ☆          ☆

ようやく,これでiruchanも念願のラッセル車の走行写真が撮れましたし,宗谷本線の廃止予定駅も訪ねることができました。

それにしても,考えさせられることも多かったです。

北海道はやはり自然が非常に厳しく,特に冬の線路や駅の設備維持が非常に困難である,と言うことです。一晩中,誰かが駅に待機していて,駅前やホーム,ポイントなどの除雪をしなければならないのは大変です。

そのくせ,もはや駅の利用者は1日1人以下,と言うところも多いので,来るかどうかわからない利用者のために1日,待機している,と言うだけでも大変ですが,公共交通機関として,必要な仕事です。本州ではそんなことやっていないでしょう。

最初に書きましたとおり,JR北海道の経営環境は少子高齢化による過疎化の進行により,もはや限界であると言うことは明らかです。冒頭に書いた,報告書のPDFの後半に書いてありますけど,明治期や大正期に建設された老朽化した橋梁やトンネルが多いうえ,赤字のため,基本的な保守作業もできないほど経費節減を徹底しているため,いつまた大きな事故が起こってもおかしくない,と言う状況だと思います。

ちょうど,国鉄時代末期の状態に酷似していると思います。その上,下手に民営化したため,収益の確保は至上命題であり,以前,JR北海道は破綻した英国のRail Trackに似ていると書きましたけど,ある意味,株主の顔を気にせず税金で保守ができた,国鉄時代の方がマシだったのではないか,と思います。

結論として,iruchanはJR北海道の再国有化が必要であると思います。必要なインフラの整備や保守は税金で行うべきです。道路や飛行場のほか,一般の道路の除雪や保守は税金でやっている訳だし,誰も文句は言わないのですから,鉄道も当然だと考えています。そもそも,国鉄時代はほとんどなかった高速道路が今や四通八達して,しかも,民主党が無料化してしまったせいで,北海道の高速道路の末端部は無料です。石北線に至っては,年末にとうとう遠軽まで開業し,遠軽~旭川間は無料で通行できます。無料で通行できる高速道路を作るくらいなら,鉄道の保守を税金でやるべきでは,と思います。

とはいえ,本来,鉄道事業というものは黒字路線の利益や,大手私鉄など,不動産開発やデパート,スーパーなどの経営で儲けた利益で保守をしているのが実情で,こういう経営形態が普通なので,安易に税金の投入については反対論があるでしょう。

実際,国鉄時代だって,新幹線や山手線の収益で北海道や四国の鉄道整備や保守をしていたと思います。

そもそも,国鉄民営化って,単に地域分割しただけで,こういう収益の還元構造をなくしてしまったことに問題があると思います。北海道や四国の鉄道が経営で自立できるわけがありません。

今こそ,国は国鉄の分割民営化の失敗を認め,北海道と四国の国有化をすべきです。四国の経営も北海道ほど,おおっぴらに公表されているわけではありませんが,相当苦しい状況のようです。

その点,同じ時期に民営化したNTTの方はそもそも1985年の民営化の時点で,政府保有株が30%あり,それなりに経営に口を挟める状態でスタートした上,10年後にはグループの再編を含む法改正が行われたことはご存じのことと思います。

これは単に役人の天下り先を確保する,と言うのが大きな目的だったのでしょうが,ドコモの収益を固定電話維持に利用すべく,利益を還元する仕組みを作るのが目的だったでしょう。また,ドコモや地域2社の意思統一と利益確保のため,持ち株会社が設立されています。逓信省の通研に源流がある研究所も持ち株会社傘下となり,グループの基礎研究に役立っています。

JRはこういう法改正がなされず,民営化当時は認められていなかった,ということもありますが,持ち株会社も設立されていません。もちろん,経営は各社独立で,意思統一はおろか,収益のプールは当然なされていません。

2019年度の本州3社の営業利益を合計すると1兆2000億円にもなります。このうち,1%でも2%でも北海道や四国に還元される仕組みがあれば,線路や設備の保守に使えるでしょう。ちなみにJR北海道の2019年度末予想営業損益は390億円の赤字です。本州3社の黒字のわずか3%で穴埋めできる,と言う数字です。

正直,iruchanも北海道の鉄道の国有化,などという時間を逆戻りさせるような政策には反対です。そもそもJRの間だけで,▲の計算通り,全体としてきちんと収益が上がる構造なのは明らかですから税金の投入は必要ありません。JR会社間で収益を調整すべきです。もはや日本が昔のように豊かな国ではなくなりつつある現在,税金を使うことには抵抗を感じます。とはいえ,本州3社+九州が民営化と同時に民有化された現在,もはや国が関与して改革させることはできません。もちろん,巷間ささやかれている,JR東日本によるJR北海道の救済合併も絶対にあり得ません。JR東は完全私企業なのですから,巨額赤字の企業買収は株主代表訴訟の格好の標的になるでしょう。

JR北海道は2030年度末の北海道新幹線札幌開業を心待ちにしているようです。

とはいえ,整備新幹線というのはiruchanも頭にきていますけど,建設費は国と地元が折半し,JRに貸し付ける,と言う仕組みです。JRは当然,建設費を施設使用料という名目で返済していくのですが,JRの経営に配慮し,経営の範囲内で負担,ということになっていて,黒字になりません。つまり,JRにとっては儲かりはしないが,かといって赤字にはならない,と言う仕組みになっていて,JR北海道も,新幹線が開業したから,といって黒字になるわけではありません。

整備新幹線は昭和40年代に,大赤字の国鉄に新幹線を建設させよう,と言うことで考えられた仕組みで,もはやとうに時代遅れのクソみたいなスキームだと思います。長崎新幹線で佐賀県が負担増を嫌ってもめていますが,このクソみたいなスキームの問題が佐賀で噴出している訳ですが,巨額の負担を強いられるのに,時間短縮効果は15分ほどとごくわずか,という長崎新幹線は佐賀県にはなんのメリットもなく,怒りは当然だと思います。整備新幹線は,当然,将来の営業主体である,JRが大部分の建設費を負担して建設すべきものです。もちろん,並行在来線の経営もJRが責任をもって行うべきですし,私企業なら,投資は自社の責任の範囲,というのは資本主義の大原則であり,新幹線を建設しても赤字の予想なら,投資しなければいいだけの話です。

そもそも北海道新幹線って,JR北海道は札幌~函館間の都市間輸送分だけの収入を得られるだけで,儲かるのはJR東日本だけです。

一方,iruchanの地元では,並行在来線を切り捨てた上,老朽化した交流電化設備を廃棄できた,北陸新幹線はJR西から見ればウハウハという仕組みで頭にきています。おまけに当初は建設費節減のため,米原回りの計画だったのに,大阪まで独立した線路を税金で敷いてもらえ(と書いておきませう!),それからは東海の顔を伺いながら経営しなくても,北陸回りで東京まで新幹線を走らせることができる訳なので,もう,これほどおいしい話はない,と言う状況だと思います。おまけにJR西は北陸新幹線のターミナルは新大阪じゃなく,大阪にするつもりだと思います。うめきたに広大な土地が余って(と言うよりこのために余らせている)いますしね。JR西の経営幹部はもう,笑いが止まらない,という状況だと思います。その上,最近新聞に載っていましたが,氷見,城端線のLRT化を提案しているようですが,これも在来線の切り捨てが目的なのは明らかです。富山港線で味をしめたのでせう。

じゃ,北海道新幹線もそう行くか,というと全然,そうはならないようです。

さすがに東京~札幌を新幹線で行く人は少なく,開業後の収益も40億円程度の赤字がすでに予想されています。それじゃ,あかんやん! と思います。北海道新幹線の全通後は今まで以上に厳しい経営となることが,すでに今から予想されているわけです。

と言う次第で,やはり,北海道の鉄道の国有化が必要であるとiruchanは考えています。

      ☆          ☆          ☆

先ほどの高速道路無料化もそうですけど,消費税還元のためのキャッシュレス決済の還元制度について,予想以上にキャッシュレス決済の店が増え,予算が足りず,総額7000億円もの追加予算措置をとるとのこと。オリンピックにしたって,当初,3000億円の予想がとうとう1兆円超えになったことが明らかになっています。オリンピックはコロナウイルスの蔓延で,開催できても,中国はおろか,欧米からの参加はないでしょう。だから,キャッシュレス還元のカネでもう1回,オリンピックが開けるな.....。

そんなバカなことに使うお金があるんかい!! ってiruchanは憤っています。

南海トラフ巨大地震で西日本が崩壊し,また,1707年の宝永地震の際,49日後に連動して富士山の噴火が起こったように,南海トラフ地震と富士山の噴火の連動を指摘されていますが,南海トラフ地震と富士山の噴火が連動し,10年以内に確実に発生するとされる,首都直下型地震が起これば,日本は滅亡の危機に瀕します。30年後,日本の首都は北京になっているでせう。これらの未曾有の災害が目の前なのに,そんな税金の無駄遣いが許されるのでしょうか。

高速道路の無料化を推進したバカの民主党は消えましたが,自民党に政権が戻っても,かつて,"みぞうゆう" と読んだアホな財務大臣は今も健在です。

英米でもアホな政治家が牛耳っています。もはや世界中,どこもかしこも衆愚政治,という状況ではないでせうか。やはり最後はiruchanは尊敬する人の言葉で締めくくりたいと思います。

"民主主義は最悪の制度である。ただし,これまでに試されたすべての制度を別にすればの話であるが。"

                Winston Churchill  (1874.11.30~1965.1.24)