2012年11月10日の日記

JBLのSG520プリアンプの回路を模擬したアンプを作ることにしました。ジャズを鳴らすにはぴったりだと思います。

前回から2ヶ月が経ってしまいました。実はまだ部品が揃っていません。特に,キモとなるGE製の初期のオーディオ用Trである,2N508がオリジナル未入手です。前回,英国の石屋? さんから購入しましたが,どうもリマーク品のようです。2N508はゲルマニウムTrで,SG520には片ch.で4石使用されていて,特に3石構成のEQアンプには2石が使われていいます。と言う次第で,レコードの再生には大きな影響があるようなので,できればオリジナルのGE製がほしいところです。ただ,2N508自体,音がよかったのか人気もあったようで,TIやMotorola製などのセカンドソースもあるようです。また,'70年代に入っても製造されていたようです。SG520はGE製のようですが,ほかのメーカのも使っていると思います。また,2N508以外では2N3215がまだ手に入っていません。

と言うことでオリジナルの2N508はないかと,しばらくeBayをウォッチしていました。本当だったら向こうのアマチュア無線などのフリーマーケットを探すとゲルマニウムトランジスタがひとまとめで10ドルとかで安く出ていると思うのですけどね。でも,日本じゃそういうわけに行きませんね。最近出品され,しかもBuy it now! のオプションつきだったので,即決でした。ついでに,売っている人(米国人)のほかの出品物をチェックすると2N3214がありました。最初は気づかなかったのですがひょっとして,と思って調べてみると2N3215とほとんど同じ規格で,fTやhFEも同じですが,VCEが違うだけです。

2N3214 VCE=-40V,PC=14W,IC=5A,fT=300kHz

2N3215 VCE=-30V,PC=14W,IC=5A,fT=300kHz

メーカはDELCOですし,パッケージもTO-37で同じです。要は2N32142N3215の高耐圧版というわけですね。耐圧が高い分には問題ありません。オーディオ用として有名な三菱の2SA726(VCE=-50V)と2SA725(VCE=-35V)と同じ関係のようです。もし,2SA726が入手できなくてもVccが低ければ2SA725で代用する,と言うこともできましたが,どちらもほぼ入手は絶望です。おそらく,2N32142SA725もチップはそれぞれ2N32152SA726と同じ工程で作られ,選別によりどちらかの型番にしているのだと思います。

ということで,2N3214も落札しました。対応も早く,1週間で届きました。どちらも1個$10ほどです。

 プラパッケージに入った2N508

 紙パッケージのもあります。

 GEロゴの位置の違い

オリジナルのGE製の2N508は初期のものは鉄ケースに黒の塗装をしているので,黒いのです。のちにクロムメッキになって銀色になっています。おそらく,SG520の初期型,というのは黒い2N508を使用しているもので,後期型というのはクロムメッキの2N508を使用しているのだと思います。音は同じでしょう。ただ,黒い方の2N508もパッケージやTr本体もてっぺんにGEのロゴがあるのと側面にGEと書いたのとがあるようです。紙パッケージ入りがてっぺんにGEマークでした。多分,こっちが古いと思います。

 2N3214

GM傘下のDELCO製の2N3214です。GM傘下ですから,カーラジオ用でしょう。ひょっとしたらEMDのE8などのディーゼル機関車にも使われていたかも。初期の2SA627みたいに裏面にBCEの刻印があります。こんな小さいのにPC=14Wと言うのに驚きますね。こういうところがアメリカだな~~。SG520はフラットアンプの出力にエミッタフォロアとして使用されています。

それにしても昔はTrもこのような立派な化粧箱に入って売られていたのですね。2N3214は取付用のビスとマイカがそれぞれ別の紙袋に収められて入っていました。 Trは値段も高かったし,メーカもそれなりに丁寧に販売していたのでしょう。2N3214はメッキの質もよく,工場を出てから50年近く経っていると思いますが,銀色にピカピカに輝いています。

これでようやくSG520と同じ半導体が揃いました。次回はいよいよプリント基板の製作に取りかかります。