2010年7月24日の日記

長年探していた真空管をようやく入手しました。戦時中のラジオゾンデ用UN-30M特30と称する真空管です。

どちらも戦前,米国の230を国産化し,UX-230として東京電気(現東芝)が作ったものが原型です。いろいろと変種が作られており,一番有名なのはユニットを2つ持った双3極管のUZ-30MCですね。戦後,大量に放出され,アマチュアがよく使いました。

変種のうち,長年探していたのはベースを持たないUN-30MとUXペースを持つ特30です。前者はラジオゾンデ用で,どうせ使い捨てなのだし,また,重くなっても困るのでということから,ベースがなく,電極がじかに引出されています。5670とかのサブミニアチュア管と同じですね。

ご存じの通り,ラジオゾンデは上空の気温や湿度,気圧を地上に送ってくるものですが,できるだけ回路を単純にしておかないとICのない時代,それこそ空を飛ぶことができませんので大変です。そこで,回路としては無線の発振回路の周波数を決めるLC共振回路のCにこれらの気象データに応じてキャパシタンスが変化する素子を用い,発振周波数の変化で上空の気象を知る,と言うものです。よく考えてみればFMとおなじですね。今も実はラジオゾンデの気象センサというのは容量変化を用いるものが多いです。

特30というのは詳細が不明です。すでにUXベースのものはUX-30があるわけですし,なぜ作られたのか,よくわかりません。管形が小さいので,別の型名にしたのか,と言う気もします。

 

        UN-30M            特30

ブランドはトウ(東光電気)です。UN-30Mには昭和17年12月25日のラベルが貼ってありますが,なぜか,品川電機製造の印字があります。おそらく,戦時中の統合で東光電気は東京電灯系の東電電球など3社と合併してできた会社なので,傘下に入って東光のブランドで販売(納品)したのかもしれません。

 特30