2015年4月16日の日記

先週,中国Lepai社製のLP-2020A+と言うアンプを買って周波数特性などを調べてみました。今週は中の部品を一部交換してグレードアップしてみたいと思います。実際に音を聞いてみるとびっくりするくらい音のよいアンプですが,f特や中を見てしまうと,いろいろいじりたくなってしまいました。

皆さんやっておられますが,中の電解コンデンサや特にデジタルアンプでは重要な,アンプ出力に接続されるローパスフィルタ(LPF)の部品を交換してみたいと思います。

まず気になるのが何か所にも使われている16V 2.2μFの電解コンデンサ。OPアンプの入出力に使われていてカップリングコンデンサとして使用されています。やはり音が通るコンデンサは周波数特性がよくてひずみも少ないフィルムコンデンサにしたいものです。

特に,一番最初の入力に用いられている2.2μFは電解コンですらなく,積層セラミックです。ここは一番問題で,ここもフィルムコンに取り替えました。 

皆さんご使用になっているのは,独WIMA社のMKS2という積層フィルムコンデンサのようです。四角いキャラメルのようなプラケースに収まり,小型でなかなか使いやすいです。 お値段も安く,手頃です。

ところが,天の邪鬼な私はやっぱり日本製がいいや,と言うことでいつも使っているニッセイ電機製のメタライズドポリエステルフィルムコンデンサを使いました。材質はWIMAと同じですね。残念ながら,同社は2010年5月に自己破産してしまっています。小型で音のよいコンデンサとして愛用していただけに残念です。

出力のフィルタは前回のブログにもあるとおり,Tripath社の規格表にある8Ω時の定数に変更しています。0.22μF+0.01μF+10μHの組合せになります。 オリジナルは0.47μF+0.1μF+10μHです。

 出力のLPF周辺 

青いのがニッセイの積層フィルムコンデンサです。0.01μFはもとのコンデンサがチップの0.1μFだし,コイルの谷間にあって非常に交換しにくいです。ここはチップの0.01μFと交換しました。

なお,コイルは100とてっぺんに書いてありますが,100μHではなく,10μHですので念のため。10×10^0で,100と書いてあります。昔からこれ,ややこしくて困っています。特に,昔の部品には100と書いて100pFだったり,100μHだったりするので,要注意です。

なお,スピーカのインピーダンス補正用の0.47μF+10Ωの回路はそのままにしました。オレンジ色のフィルムコンはもとのものです。 

コイルは太陽誘電製の防磁形LHLC10NBです。通常の積層形コイルですが,外周にシールドがついています。本当は基板上にある,▼の写真にあるように,電源のフィルタのように漏洩磁束の少ないトロイダルコアのものが理想ですが,残念ながらトロイダルコアはコアだけ買って巻線は自作しないといけないものがほとんどで,あきらめました。東光にはデジタルアンプ用のコイルがありますが,値段が高いのであきらめました。

  電源部

電源部は大容量のケミコンを取り替えました。もとは16V 2200μFのものが使われています。残念ながら,もっと大容量のものにしたいのですが,ケースの高さが足りず,30mm以下にしないといけないので,オーディオ用のニチコンファインゴールド16V 2200μFに交換しただけです。でも,これだけでも気分がよいですよね。

コイルはトロイダルコイルが使われていますので,このままにしました。

ただ,あと電源で気になったのがスイッチ。DC12Vを入切するところなのでスパークキラーをパラりました。これ,いつも鉄道模型のコントローラで使っているスナバ回路そのもので,CとRが直列に入っています。直流低圧回路は電流が大きく,大きく火花が飛ぶので使ってみました。

あと,最後にやってみたいことが.....。

本機はパイロットランプの代わりに音量調整用のボリウムの周辺が青く光るようになっています。青色LEDをやたら使っているのが中国製の電化製品の特長のようですが,どうに青色LEDは好きになれないので,これを電球色LEDに取り替えてみました。

もっとも,いつも書いているように,電球色LEDとか,白色LEDというのはチップそのものは青色のもので,チップ周囲にある蛍光物質が黄色く光って白とか電球色に変更していますので結局は青色LEDなんですけどね......(^^;)。 

 電球色LEDに交換しました。

 

   ボリウム周囲のLEDを電球色にしました。感じいいでしょ。  

それと,▲の写真に写っているボリウムは20kΩのBカーブのものが使われている,というのがネットにもでています。実際,B20Kと表記してあるようです。

音量調整に使うボリウムは対数特性をもったAカーブのものにするのが常識です。でも,私が購入したLP-2020A+と言うアンプには何の表記もありません。 実際,使ってみてもAカーブのように,小さな音量の時でも微妙に調整できますし,LP-2020A+ではAカーブのものに取り替えられているように思います。B20Kという表記がない,ということは初期のものとは使っているボリウムが違うということですね。特にガリオームでもなく,左右のアンバランス(ギャングエラー)もないし,交換はやめにしました。

 部品交換後の基板

  交換した部品

こうしていろいろと部品を交換しました。あらためて基板の写真を見るとかなりの部品を交換したことになります。ヒマ~っ!。

一応,周波数特性を再度測定して確認します。

周波数特性

やはり,LPFの定数はTripathの規格表にあるものが正しいようです。-はオリジナルで8Ωのスピーカを接続したときで,30kHzにピークがあります。LP-2020は4Ω用に設計してあるようです。出力20Wというのも4Ωの時の値です。LPFの定数はTripathの規格表通りとするとピークはかなり抑えられます。 前回のブログに書いたとおり,spiceのシミュレーションの通りでした。

 20kHz出力波形

オシロで波形を見ても特に異常はありません。20kHzの波形もLPF交換前の波形と比較しても変化ありませんでした。

これで一件落着~と行きたいところですが....。 

ん!? しか~しっ!

なんだ,これは~っ? (岡本太郎の声で!)

という周波数特性ですね。高域は予想通り,ピークを抑えられましたが,低域が全然です。200Hzくらいからだだ下がりで,これじゃまるで真空管アンプ。お前は6BM8シングルかよって感じです。

真空管のシングルアンプはOPTの1次側に直流が流れてインダクタンス分が減り,低周波特性が悪くなります。特に,多極管のシングルアンプは電流が大きいため,一層この傾向がひどくなります。その点,プッシュプルアンプは1次側にもちろん,直流が流れますが,2本の出力管の電流が互いに反対向きに流れるため,直流磁化を免れ,低周波特性は良好です。 

正直言って,最初はこんなものかと思ったのですが,Tripathの規格表を見てもこんな周波数特性ではなく,20Hzで-0.1dBという感じです。これじゃ20Hzで-8.5dBにもなります。 何か間違っているはずで,次回改良したいと思います。

ずっと高周波に問題があると考えていただけに,意外でした。

敵は低周波に在り~っ!!(明智光秀の声で!........そんなもん知るかっ!)

と言う次第で,また次回です。