2017年5月21日の日記
まさか,こんな日が来るとは思ってもみませんでした。
昨年の秋,KATOのホームページにED70の生産予告が出ていました。
北陸在住のiruchanはとてもED70が好きなので,以前,マイクロエースのものを買っていますけど,まさか,そのときにはKATOから将来,出るとは思いもしませんでした。とてもマイナーな機関車ですしね。北陸でしか走っていませんでしたし,わずかに19両製造されただけですから。
北陸本線の田村~敦賀間の電化完成は1957年10月1日ですが,先に田村~木ノ本間が完成し,そこで訓練運転する目的があったため,実車はひと足早く,1957年6月に試運転を開始することとなっていました。設計開始は前年の5月で,1年という期間しかなく,かなりの機器は仙山線で実験していた,ED45 1の機器と共通です。設計期間も短かったし,信頼性の低い水銀整流器を使っていたので,実際の運用は苦労があったと思いますが,交流機関車のパイオニアとして,大変貴重な機関車だと思います。
さて,KATOのED70が発売されたのは今年2月23日です。同時に買う予定だったトラ90000が発売延期で,送ってきたのは先月末です。
本当に待ち遠しい機関車でした。KATOらしく,非常に精密にしっかりとした出来ですし,動力の性能も素晴らしいです。
今日は,さっそく整備します。
まずはいつもどおり,スナバ回路の装備です。
PWM式などのパルス式コントローラを使って,機関車が停車していても前照灯を点灯させた状態で停車する,いわゆる常点灯に対応させるための工事で,iruchanが考案したスナバ回路を装着して反対側の前照灯が点灯しないようにします。
別にスナバ回路がなくても常点灯には対応するのですが,これがないと反対側の前照灯が点灯しちゃいます。
と言う次第で,とりあえずボディをばらします。
乗務員室あたりの窓ガラス部品にツメがありますので,これをうまく外してボディを外します。
左側のLEDのすぐ右にコンデンサがありますので,これを撤去します。こうするだけで常点灯に対応しますが,これだけだと右側のLEDも点灯しちゃうので,スナバ回路を挿入します。
表面実装の部品なので非常にはんだづけがやりにくいですが,フラックスを塗ってはんだづけするとうまくいきます。むしろ,フラックスを塗るので,普通の電子工作で使う,ヤニ入りハンダじゃないほうがうまくいくかもしれません。
コンデンサや抵抗は最近は非常に小さくなり,▲のように途中を電線で結ばないといけません。絶縁した方がよいので,ロジックICの配線などに用いられるラッピングワイヤを使っています。
最近,試作したばかりのPFM式コントローラを使ってテスト中です。これは非常に高性能で,きわめてゆっくり起動しますし,▲の写真のようにつまみを一番左に回して絞った状態で常点灯という状態になります。通常のPWM式だと,前照灯は点灯するけど,機関車は動かない,という微妙な位置につまみを止めておく必要がありますが,PFM式は非常に常点灯の範囲が広く,単にボリウムを一番絞っておくだけで常点灯にできます!!
右側の前照灯が点灯しないのはスナバ回路のせいです。これがないと右側も点灯しちゃいます。
KATOのナックルカプラーに交換するのは非常に面倒で,なかなか排障器が外れないし,外れたと思ったら金属の板バネがどっか行っちゃったりして大変ですが,このようにボディを外しちゃったらついでにカプラーセットごと外してからやると簡単です。
ナンバーはマイクロエースのが2号と14号なので,7号機にしました。
さて,ここまで来たら試運転,と行きたいのですが......。
どうしても気になるところがあるんです。
特高圧配線の一部が金属線じゃなく,プラの一体成形ものになっています。
空気遮断器(ABB)と特高圧引込み碍子周辺がプラです。
まずは寸法を調べておきます。といって,ノギスでいきなり調べてもうまくいかないので,スキャナで部品を読み込んで,"花子" で採寸します。
もちろん,写っているスケールは"花子" での採寸用の基準寸法となります。"花子" で,スケールを任意の縮尺にして,このスケールの20mmが画面上で20mmとなるように設定すれば,寸法が原寸で表示できます。
KATOのED70の高圧配線の金属線はφ0.4mmのようでしたが,この特高圧碍子に穴を開けないといけないので,一回り細く,φ0.3mmの洋白線を使いました。
こういう具合にうまく配線の改良もできました。
色合いも非常によく,実車の雰囲気をうまくとらえています。スムーズで静かな動力に感激しました。本当にどうもKATOさん,ありがとうございました。これから先日,入線したばかりのEF70 1000番台と一緒に試運転をしませう。