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電波時計の修理

2021年10月22日の日記

CITIZEN 8RZ006.jpg 無事に正確な時刻を表示しました。

先日,実家に帰ってみると父が使っていた電波時計式の置き時計がありました。家の中の標準時計として使っていたようです。やはり電波時計式は正確だし,ぜひ使いたいと思ったのですが.....。

シチズンの8RZ006という電波時計で,父が長年使っていたので,もうかなり古いものだと思います。

残念ながら,太陽電池式になっていて,長い間,暗い部屋に置いてあったため,全然,動作しません。

しかたないな~~。

と思って蛍光灯の下に置いておいたのですが,やはりいつまで経っても画面は表示されません。

さては.....。

おそらく,太陽電池がそれなりに劣化していて,出力が弱っている,と言うこともあるのでしょうけど,内部のリチウムボタン電池が完全に消耗してしまっているのだと思います。

これ,以前,日立の炊飯器でもそうでしたけど,マイコンが内蔵されている機械の場合,クロックやCPUの動作などのバックアップ用にボタン電池が内蔵されている場合が多いです。これを交換すれば直るはずです。

と言うことでフタを開けて中を見てみますと,案の定,2つボタン電池が使われていて,1つは大きなCR2477が使われています。もうひとつがどうしても型番が読めませんが,小さいし,おそらくこちらは問題なく,大きい方が消耗してしまっているのだ,と思います。

CITIZEN 8RZ006-1.jpg ボタン電池が2つあります。

右側の大きなフェライトバーアンテナが目を引きますね。これで40kHz(福島),60kHz(福岡)の電波を拾っています。

ということで近所のDIYショップでPanasonicのCR2477を買ってきて,交換しました。残念ながら,日立の炊飯器もそうでしたけど,端子がスポット溶接されているタイプで,市販されているのは専用のソケットに収めるタイプなので,このスポット溶接されている端子をむりやり剥がしてはんだづけしました。

無事に動作します。液晶画面も表示されるようになりました。

あとは背面のリセットボタンを押し,できるだけ家の外に近い,南側の窓のそばに置いてしばらく置いておくと受信して正確な時間を表示するようになりました。

         ☆         ☆          ☆

余談ですけど,電波時計というのはこのように非常に低い電波(長波)をデジタル変調してコードを送っています。AMラジオと同じ,両側帯波方式振幅変調(A1B)によるものです。

これって,戦前,まだ短波放送が実現されていない時代に欧州~米国~日本など,超長距離の通信を実現するために世界各国で実施された通信方式で,世界各地に送信所が残っています。

日本だと愛知県刈谷市の依佐美送信所が有名です。

まあ,すぐに短波が実用化され,長波だとkW単位の送信出力がいるのに,短波だと数Wで世界中に届くので長波方式は廃れてしまうんですが,海面下数mにも届くことがわかって軍事利用されます。

依佐美送信所も同様で,戦時中は帝国海軍,戦後は米軍に接収され,潜水艦との通信に利用されたようです。海面近くまで浮上し,艦尾から数kmに及ぶような電線を伸ばすと受信できるようです。「ニイタカヤマノボレ一二◯八」の通信はここから送出されたようです。

ちなみに,これは択捉島単冠湾から進発した日本の機動艦隊に先行していた潜水艦艦隊に向けて送信されたもので,水上艦艇には別の送信所(長崎の針生送信所説が有力です)から短波で送信されています。

それと,フィクションですけど,この辺の日米の動きをシミュレーションした佐々木譲の "エトロフ発緊急電" はとても面白いです。

依佐美送信所は解体されてしまい,本館も,送信塔も現存しません。送信塔を残しておいて,標準電波の送信所として活用できなかったものか,と思っています。

ただ,それにしても,電波時計はなかなか受信しませんね。大体,30分くらいは放置しないと正確な時刻を表示しません。

最近はスマホがNTPサーバーに接続するのか,時刻が正確になり,ヘッドホン経由で長波を出力し,電波時計をあわせるエミュレータアプリがあるんですね。確かに40kHzくらいならサウンド出力し,ヘッドホンケーブルをアンテナにすればできそうです。

とはいえ,電波時計で直接,長波を受信するのはかなり難しいし,エンコードされている時刻信号を読み取るのもなかなか難しいのでこんなアプリができるんですね。

ある日,某国から核ミサイルが飛んできて,報復攻撃するため各地に潜む原潜に発射信号を送出しても,デコードするのに数時間かかって,報復攻撃する頃には母国は滅んでいる......という状況なんじゃないんでしょうか.....。

         ☆         ☆          ☆

ただ,それにしても,日立に限らず,どの炊飯器も,この電波時計も,電池をユーザーが交換できない構造になっているのはいかがなものかと。電池が切れただけで普通の人は故障だと思い,買い換えてしまうでしょう。電池の寿命は5年ほどだと思いますが,5年で本体を買い換えなきゃいけないのはおかしい。

お店に持っていったらなんて言われるか,わかりませんけど.....。普通は「もう寿命ですね。古いし,新しいのを勧めます。」となるんじゃないでしょうか。親切に,「電池交換すれば大丈夫ですよ」というところもあるでしょうけど,結局,メーカに送り返して電池交換,と言うことになるでしょうから,電池交換だけでかなりお金を取られそう。それなら買い換えてしまえ,と言うことになると思います。


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CORAL 4A-70 10cmフルレンジスピーカーの復活 [オーディオ]

2021年10月20日の日記

CORAL 4A70-2.jpg CORAL 4A-70 4" full range speaker

急に寒くなってきましたね~~。皆様,お身体ご自愛ください。

父が亡くなり,正直なところ,ぽっかり胸に穴が開いたような状態になっていましたが,ようやく多少元気も出てきて,また,月に1回は北陸の実家に帰らないといけない状況なので,実家でちょっとクラシックでも聴こうかとスピーカーを整備しました。

実家のガレージを探してみたら,CORALの4A-70が出てきました。

これ,iruchanが学生時分,下宿で聴いていたやつです。フルトヴェングラー&ベルリンフィルのシューベルトの第9 "ザ・グレート" なんかをよく聴いていました。いま,これ8番というようですね......それって "未完成" じゃないんかいっ,て怒ってます。

NHK FMでも「シューベルトの交響曲第8番 "グレート" 」なんて放送してますしね.....[雨]

"NHKと裁判してる党 シューベルトの第8番は未完成" って党を作って衆院選に立候補しようかと考えています...(爆)。

そんなこと言っていると,「ザ・グレートは第7番」って言う爺が湧いて出てきそうなので止めておきます[雨]


もっとも,当時は箱は自作で,大学に合格して春休みの間に,t16mmのベニヤ板で自作して,黒いビニール壁紙を貼っていました。

ただ,あまり仕上がりがよくなくて,格好悪いので,結局,社会人になってお金を自分で稼ぐようになって,確か,コイズミ無線かどこかの専用箱に交換したものです。iruchanは工作マニアだけれど,木工は苦手です.....[雨]

ところがそれからあまり聴かなくなったようで,そのまま実家のガレージに置いてあったままのようです。

もう,30年近くたちますけど,今見てみるとアルミダイカストフレームの立派なユニットで,何よりマグネットがアルニコです[晴れ]

CORAL 4A70-1.jpg マグネットはアルニコです。

これは,ちょっと放置しておくのはもったいない。

それに,コーラルという会社はもうありませんしね......[雨]

コーラルは1946年,パイオニアの前身,福音電機から分離独立した会社で,最初はコーン紙専業で,社名も福洋コーン紙株式会社でした。その後,ラジオブームでスピーカーの需要が高まるようになり,スピーカーユニットの製造も手がけるようになります。のちに住友特殊金属傘下となり,この4A-70のアルニコマグネットも同社の供給によるものでしょう。

オーディオブームの終焉とともに,1992年,コーラルは解散してしまいました。本当に,山水とか,アカイとか,名門の企業が消え,残念に思っていますけど,コーラルも名門だったし,今でも熱烈なファンがいるので,とても残念です。

4A-70は1980年発売で,当時,6,900円もしたようです。大学合格祝いに,父に買ってもらって,下宿へ持っていったのだと思います。その頃の雑誌を見ると,同じ10cmユニットのFOSTEX FE-103が3,000円くらい,PioneerのPE-101が5,500円ですから,高いユニットだったと思います。

特に,当時,Technicsがこのような小型SPユニットに力を入れはじめ,従来のナショナルブランドで売られていたフルレンジのシリーズとは一線を画した,EAS-10F10などのシリーズはかっこよかったし,大人気でした。この会社の製品は安く,10F10だと2,800円と安かったので売れたと思います。ただ,松下のはかっこよかったし,よく売れたと思うんですけど,どうにも近代的すぎる感じがするし,まあ,それにこの会社,当時も今もあまり好きじゃないのでパスしました。

といって,FOSTEXはもとは音響製品などの機器組込用に販売されているユニットの外販らしく,外観がしょぼいし,Pioneerはマグネットが外磁型だし,ということでiruchanはコーラルにしました。友人がFLAT-8 懐かし~~ で聴いていて,音がよいのに憧れていたこともあります。

もっとも,コーラルは4A-70はアルニコだとはっきり宣伝していなかったような.....。せっかくのアルニコマグネットなのに,この会社,このことを考えてみても,どうにも終始控えめで宣伝が下手だったからつぶれたのか,と言う気がします。iruchanも今回,ガレージから引っ張り出してみて,アルニコだと気がついたくらいです。

一般的に,アルニコ磁石は磁束密度が高いのでサイズを小さくすることができ,内磁型,フェライト磁石は磁束密度が低いので外磁型,となります。アルニコの方が高価で,また,昔から音がよいとされています。フェライトの方が新しく,戦後の開発なので,古いユニットはアルニコです。

と言うこともあって,iruchanは4A-70を買ってもらいました。内磁型だったのはすぐにわかりますが,アルニコ=内磁型,と言うのはあとで知ったので,この頃は4A-70はアルニコと思っていなかったのだと思います。

10cmユニットは昔から人気があり,4A-70もAltecの405Aなどを多分に意識したものだと思います。センターキャップが金属製なのも似ていますけど,405Aがアルミ製なのに対し,4A-70だとジュラルミンのようですね。フレームはダイカストだし,なによりマグネットは405Aのようにフェライトじゃなくてアルニコなのはずっと高級品。Altecの405は最初からフェライト磁石の外磁型のようですし,むしろ,PioneerのPE-101の方がそっくり,と言う感じでしたね。CORALも廉価版の4A-71はフェライトでした。ただ,iruchanはこれは記憶がありません。あまり売れなかったのか....。

せっかくなので,復活させて30年ぶりに音を聴いてみよう,と思いました。

箱はそんなに傷んでなく,SPユニットもコーン紙が少し焼けて,茶色くなっている以外はなんともありません。エッジも問題ないです。

CORAL 4A70.jpg ちょっとコーン紙は茶色く変色しています。

なぜか,SP端子が切られていて,これをつけ直せばOKのようです。

ただ,困ったことに箱の背面は25.4mm間隔でφ16mmの穴が開いていて,これに合うSP端子がありません。25.4mmということは1インチ間隔だと思いますが,こんなに広い間隔のSP端子はありませんね。それに,φ16mmもの穴が開いている,ということは+,ー単独のSP端子も穴が大きすぎて使えません。アルミ板で端子台を作ってそういうのを使おうか.....とも思ったのですが,なんとかプラ製で20mm間隔のがあったのでなんとかかんとかそれを使って配線しました。

CORAL 4A70-3.jpg あまりにもショボいですけど.....。

        ☆         ☆         ☆

さすがに30年ぶり,と言うことで心配しましたけど,特に問題なく,音も出ました。アンプはとりあえず,LepaiのLP-2020Aにしました。これ,ものすごく音のよいデジアンです。

最初は全然低音が出なくてがっかりでしたが,鳴らし始めて2日ほどするとエージングできたのか,いい音で鳴るようになりました。コンパクトだし,いいSPユニットだと思います。もう,CORALも消えちゃったし,大事に使いたいと思います。


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実験用定電圧電源の設計と製作~その3:完成しました~ [電子工作]

2021年10月7日の日記

トラッキングレギュレータ1.jpg

このところ取り組んでいたトラッキングレギュレータが完成しました[晴れ]

OPアンプ回路やHiFiアンプの実験用に,±3~±22Vまで可変できる両電源となっています。5Vや9V,12Vなどの固定出力も設けました。

最高出力電圧は±35Vくらいにできると金田式にぴったり,と言う気もするのですが,さすがに使用したOPアンプNJM2147Dの耐圧が28Vで,あきらめました。

可変出力もつけたので,プリアンプの基板のテストの時など,様子を見ながら,徐々に加圧して,と言うこともできそうです。

ケースはタカチのSYH-110Bを使いました。サイズは110(W)×76(H)×140(D)mmです。コンパクトなサイズで,なかなか機能的ですが,ちょっと小さすぎました。もう少し大きなケースにして,電流容量も500mAくらいにしてもよかったかもしれません。

トラッキングレギュレータ内部.jpg 内部です。

一応,回路的にはTrを使った電流制限型保護回路をつけていますが,念のため,ポリヒューズも入れておきました。

こういう電源装置があると何かと便利です。これから本機を使っていろいろ実験してみます。

     ☆          ☆          ☆

2021年10月24日追記

いよいよ完成したので,早速,今取り組んでいる,金田式IVCイコライザアンプ基板のテストをしてみようと思います......,っと思ったのですが,やっぱりトラブル。

多少,基板自体は問題があったものの,無事に動くようになりました。

ただ,どうもオシロで見てみるとスゴいノイズ.........[雨][雨]

最初はイコライザアンプ基板が発振しているか,ノイズを拾っているかと思ったのですが,どうも変。

単純に,電源の波形を見てみるとかなりのノイズ。これが原因です。

DE-2645出力波形.jpg 出力波形

270Hzくらいのノイズが載っています。p-p値で220mVもあるのでびっくり[雨]

それに波形もおかしく,普通,シリーズレギュレータが発振したり,ノイズを拾っている場合でもこんな風にはなりません。

と言うことで怪しいとにらんだのは台湾製のデジタル電圧計。

こういうのは内部にマイコンを持っていて,そいつがクロックを持っているし,そもそもこいつは電源は被測定回路から取る,という,まあ,配線が簡単,と言う利点はありますけど,どう考えてもこれは横着。被測定回路の電圧は何Vか,決まっていないから,内部にDC/DCコンバータが入っているはず。DC/DCコンバータはスイッチングレギュレータですから,ノイズが出ないわけがありません。

実際,電圧計の配線を外すときれいなDCになりますから,やっぱり原因はこいつ!

ということで内部を見てみると,確かに,測定線が引き出されている部分に怪しげな空き端子があります。

ネットを見てみるとすでに研究した方がおられて,この配線を変更して別電源とするとよいらしいです。

そもそも,3V以下になると表示が消え,何Vかわからなくなる.....という欠点もあるので何とかしよう,と思っていましたけど,ノイズの点でもこれは解決策になりそうです。

DE-2645(改造).jpgこんな風に配線やり直しです。

また,内部に中国・Shanghai Mingda Microelectronics製の3VレギュレータMDX7133H(こいつはスイッチングタイプでなく,リニアタイプです)を使っています。

どうもこれが発振しているのは間違いありません。出力にセラミックコンデンサ(C3)がついているので,オシロのプローブを当ててみると激しく発振していて,完全に容量不足のようです。

データシートも入手できるので調べてみると出力コンデンサは最低10μF必要のようですが,セラミックなので足りないのかもしれません。3端子レギュレータはどれも同じで,出力コンデンサが小さいと発振しますので,ご注意ください。

ここに手持ちの10μFを追加してみましたが,かなりまだ発振しているので,470μFをつけたら静かになりました。

ただ,結局,このICの発振を止めても現象は同じで,やはりノイズが載っています。

と言うことで,測定するときはメータをカットしようかとも思ったのですけれど,電源を別にする,と言うアイデアを親切な方からコメント欄でご連絡いただいていて,JH1NDMさんのWEBに出ているとご教示いただいていたのですが,ノイズ対策にも使えそうなので試してみました。

▲の写真のように,DE-2645の電源線(赤)を隣に移設し,電圧の測定線を空いている,inと書かれたところに配線します。たぶん,この切り替えのため,ジャンパ線(0Ω)の表面実装抵抗があるので,これも撤去します。

DE-2645出力波形(改造後).jpg これなら使えそうです。

ようやくノイズも消え,きれいな直流になりました。まだ少しノイズが載っていますが,これは誘導によるものでしょう。

やれやれ,これで大丈夫と思ったら,なぜかマイナス側の電圧が低く,どうも過電流保護回路が動作してしまうようです。

結局,これは松下の2SD317のはんだづけ不良と判明し,脚が短くて酸化していて,はんだづけ不良になったようです。新品の2SC5171に変更しました。2SD317は以前,fTが低いのでコアレスモータ対応コントローラからリストラしましたけど,そのときに捨てておけばよかったです。

IVCイコライザアンプの基板から,きれいな正弦波が出力されるようになりました。


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