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黎明DCプリアンプの製作~金田式DCプリアンプ第1号・その2:プリント基板~ [オーディオ]

2020年9月20日の日記

黎明DCプリアンプ基板1.jpg プリント基板が完成しました[晴れ]

前回から3ヶ月が経ちました。ようやくモノラルLP用のEQアンプオール・メタルキャンTrを使ったスーパー・ストレートプリアンプも完成したので,こちらを再開します。

さて,まずはプリント基板を作ります。

iruchanも散々苦労しましたけど,ようやく感光フィルムを使った方法でプリント基板がうまくできるようになりました。残念ながら,サンハヤトが売っている最近,また感光剤が変わった欠陥感光基板の使用はあきらめました。失敗ばかりで,とてもうまくいく,とは思えません。失敗してもやり直しができないし,それに値段もとても高いですしね。こんなもの,とても一般消費者に売るものとは思えません。今まで,同社には散々貢がせていただきました。どうもありがとうございませんでした......[雨][雨][雨]

感光フィルムの方もかなり苦労しましたけど,要はコツとしては,うまくマスクの遮光性を確保するため,マスクを2枚重ねにしないといけないということと,現像時の温度も重要で,炭酸ナトリウムの1%溶液を温めながらやらないといけない,というのが最大のコツのようです。だいたい,iruchanは40℃くらいの温度が必要では,と思っています。ほかの方のブログなどを見ると30℃くらい,という感じなのですが,もっと高い方がよい感じですし,とにかく,常温ではダメです。特に冬だとヒーターかコンロが必須で,加熱しないとダメでしょう。

さて,iruchanもそれなりに苦労しましたけど,ようやく一発でプリント基板を作ることができるようになりました。iruchanのやり方はこちらをご覧ください。なにより,この方法は安価な生基板を使えるし,失敗してもまたフィルムを貼って何度でもやり直しができます。もう決してサンハヤトの欠陥感光基板は使いません。

黎明DCプリアンプ基板.jpg 

    エッチングするとこんな感じです。

まだ,サンハヤトの感光剤が変わる前の旧感光基板ほどではありませんが,文字もエッチングできるくらい,きれいにできるようになりました。ただ,まだDIPのパターンなど,隣とつながってしまうところも出てきちゃうので,チェックは重要です。

☆2段目差動Trの差し替え

金田氏は,無線と実験1973年8,9月号では,2段目は東芝の2SA493GRで,'74.1月号の本機で2SA640に代わっています。

金田氏は'91.6月号のスーパー・ストレートプリアンプの記事のところで,第1号は'74.1月号と書いておられますが,'73.8月号のは失敗作と考えておられたのか.....そのあたりはiruchanもよくわかりません。

ただ,さすがにiruchanも東芝の2SA493じゃね.....って感じなので,回路は'74.1月号としました。

この場合,2段目は2SA640なんですけど.....。

iruchanも中坊のとき,半導体パワーアンプ第1号はこのTrで作りましたし,それで,ちょっと愛着のあるTrなんですけど....。

なんかあまりいい音がした,という印象はないですし,金田氏もいつの号かわかりませんが,三菱から2SA726が出るとすぐに交代させています。

ということで,本機は2SA6402SA726が差し替えられるように考えました。

マニアの皆さんはよくご存じだと思いますが,三菱のTO-92のTrは一般のTrと電極配置が異なります。

なぜか,一般的には左からECBなのに,三菱の2SA726はBCEと反対です。

理由は三菱電機が提携していたのが米Westinghouseで,そこから技術導入したから....と言われているのですが,確かにWestinghouseは真空管もTrも作っていましたけど,それほどメジャーじゃなく,すぐに製造を止めてしまって,他社からの購入に切り替えたと思います。

Westinghouseは鉄道の自動ブレーキを発明した,George Westinghouseが創始者で,テスラと組んで,交流の発送電システムを開発したことでも知られていますね。エジソンと電流戦争を戦って,勝利を収めました。米国の総合電機メーカとしてGEと並んで大企業に成長し,半導体やコンピュータも作っていて,原発も作っていましたけど,1990年代には米国の製造業の衰退と歩調を合わせてどんどん事業を売却し,最後まで残った原子力事業を買収した東芝が大やけどして危うく潰れかけたのはご存じのとおりです。今もブランドは残っていますが,RCAやZenith同様,ブランドだけで,製造業としての会社の実態はありません。ちなみに,よく,同社のブランドで6BQ512AX7などの球が秋葉などで売られていますけど,ほとんど日本製です。

トランジスタについても,Westinghouseのトランジスタラジオ,というのが1950年代には売られていましたが,日本メーカの集中豪雨的輸出でRCAやPHILCOなど米国ブランドが駆逐されてしまう中,Westinghouseもラジオの製造もやめちゃいます。Tr自体もあまりWestinghouse製,というのは見かけないのですが.....。問題はいつまで半導体をWestinghouseが作っていたか.....1986年にはPowerexという会社をGE,三菱電機と合弁で設立し,半導体部門を分離しているようです。Westinghouseは最後はパワー半導体を作っていたようです。

そもそも,米国じゃ,GEにしたって,RCAにしたって,早々にどこも半導体製造の看板は下ろしてしまって,半導体はFairchildやMotorolaやNational Semiconductorなど,専業メーカーの独壇場になります。初期の頃でも,RCAとGE以外はほとんど半導体はダメ,という状況だったのですけど....。

そういや,これらの半導体メーカーも今はもうないな.....orz。

Fairchildは今もRSコンポーネンツなんかで売られていますけど,ショックレー研を飛び出したロバート・ノイスたちが設立した,Fairchild Semiconductorとは歴史的につながっているんでしょうか.....。ノイスもここを飛び出してインテルを作るわけですが.....。

と言う次第で,ちょっと脱線しましたけど,理由はよくわかりませんが,2SA726をはじめとして,三菱のTrは電極は位置が異なることがあるので,要注意です。

それで,プリント基板は結構面倒くさく,簡単には2SA726だけ,背中合わせで熱結合すればパターンはそのままで差し替えられるんですけど.....それは格好悪いですよね。

散々考えて,DIP10ピンのソケットを使って,差し替えできるようにしました。DIP8ピンでもできなくはないのですが,どうしてもジャンパー線ができてしまうので,2ピン分追加してジャンパー線なしのパターンを考えました。

2SA726周辺.jpg こんな風に差し替え可能にしました。

これならうまくいきそう......って思ったのですが.....

なんと,DIP10ピンなんてソケット,売っていないんですね.....[雪][雪]

8ピンの次は12ピンになっちゃいます。14ピンならロジックICでよく使いますが,12ピンのICなんてあったっけ,という気もするんですけど。

散々探したら,RSコンポーネンツでDIP10ピンのソケットを売っていました。面倒なら12ピンのソケットでもよいと思います。2ピン分,遊ばせておけばOKです。

でも,iruchanは1列だけ遊ばせておくのはなんかなぁ~って思っちゃいました。

2SA640装着時.jpg 2SA640ほかのとき

一般的な,ECB配置のTO-92Trの時はこの位置に挿します。

2SA726装着時.jpg 2SA726のとき

2SA726の時は下側に挿します。COPALのλ13T半固定が懐かし~~~~。2SK30Aも後の2SK30ATMなどのTO-92より小さい,モールドタイプの旧型です[晴れ] なぜかドイツから輸入しましたけど.....。金田氏が設計した頃はこのタイプだったと思います。できるだけ,オリジナルに近いTrや部品を使おう,と思いましたが,残念ながら抵抗はニッコームばかり......[雨][雨]

     ☆          ☆          ☆

さて,ようやくプリント基板が完成したので,次回は電源からテストしていきたいと思います。



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