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モノラルレコード用CR型イコライザーアンプ(EQアンプ)の設計と製作~その4:試聴編~ [オーディオ]

2020年9月3日の日記

CR型EQアンプ2.jpg ようやく完成しました[晴れ]

プリはPioneer C-21です。ついでに,LPをソニーのMZ-RH1でリニアPCM録音します。

前回,まだEQカーブのおかしいところを調整していました。どうも肝心のRIAAカーブが少しずれていて,再調整でした。

ようやく今日は音を聴いてみます。

ということで,まずはやはりお目当ての英DECCAのffrrカーブから.....。

第2次世界大戦中,英海軍の対潜哨戒システムのひとつとして開発された技術を英DECCAが応用した,といわれています。おそらく,ソナーシステムの受信側のシステムのひとつで,より広帯域の反射音を捉えよう,とするものだったと思いますけど,詳しいことが全然わかりません.....orz。

一体,ソナーの中のどういうシステムだったのか,ということもありますけど,オーディオとしてはどういう機材を使って,広帯域録音を達成したのか....詳しく知りたい,と思っています。

ただ,やはりDECCAのffrr録音はクラシック界ではHiFi録音の代名詞のようなもので,もう,定番中の定番,という感じですね~。特に,ステレオになってからのffssも有名で,アンセルメの一連のCDなどはいまも愛聴されています。

☆Grieg Piano Concerto, Pf:Clifford Curzon, DECCA LXT2657

DECCA LXT2657.jpg

クリフォード・カーゾン演奏のグリーグのピアノ協奏曲を聴いてみます。英DECCA LXT2657です。オケはロンドン交響楽団(LSO)で,指揮はフィストラーリです。

グリーンの紙ジャケットが印象的です。1952年1月の発売のようです。レコード自体は,国内で安く買いました。あまり人気のない盤のようです。まあ,クラシックマニアの間じゃ,英国オケ,というと独墺のオケに比べれば,格下,と思われていますから.....。

盤はいわゆるフラット盤で,ディスクグルーブを保護するためのグルーブガードと呼ばれるへこみがない最初期の盤なんですけどね。普通は結構な値段がしますが,1,000円以下で買えました。

まだ,終戦から間もない時代で,印刷技術もいまいちだったのか,この時代のジャケットは写真を使っていることはまずないし,カラー印刷にはなっていても,せいぜい2色か3色刷のものばかりです。

また,なぜ,この曲かというと,シューマンのピアノ協奏曲と一緒に,最近よく聴くから,ですけど,以前,RIAAで再生して録音したデータがあるので比較しやすいからでもあります。何よりピアノが一番,録音やセットの性能を把握しやすい楽器だと思います。ピアノだと音が悪いとすぐにわかるように思います。

余談ですけど,iruchanは80年代のデジ録盤は買いません。明らかにピアノの音が変です。最近の録音になってようやくピアノの音が聴けるようになった,と思います。やはり,16bit,44.1kHzのサンプリングじゃ,足りなかったのでは,と思います。

シューマンの方は,ウルトラセブンの最終回で使われた曲で有名ですよね。ところが,iruchan,この最終回の曲はずっとグリーグだ,と思っていました.....。確かに,よく似た曲ではあるんですけど.....。大人になってから最終回を見直してみて,気がつきました。

ちょっと比較してみませう。平均音量は揃えてあります。

ffrrで再生した場合

 

RIAAで再生した場合

 

さすがにso-netブログはwavは再生できないので,mp3に変換していますけど.....。

さて,聴いてみてびっくり。やはり全然違います。RIAA再生だと,かなり音がおかしく,こんな音じゃない,っていつも思っていました。変な表現ですけど,ffrrで再生すると,いかにもピアノの音がします。こうだよな~って,改めて思っちゃいました。

さすがに古い盤なのでスクラッチ音が結構しますけど,まあ,初期盤と呼ばれるような古いレコードはこんなものです。でも,この盤は英国盤ですからいいですけど,基本的に国内で発売された初期盤は避けることにしています。まあ,プレスの技術が低かった,とは思いたくないのですが,とにかくスクラッチノイズがひどいものばかりで買いません。おそらく,LPは高かったので,それこそすり切れるまで聴いていたんだろう,と思います.....。

☆Schumann Piano concerto, Pf:Joerg Demus, Westminster XWN 18290

Demus Schumann.jpg

今度は正真正銘?,シューマンのピアノ協奏曲を聴いてみましょう。iruchanは最近,この曲に凝っていて,古いレコードを集めています。

ソリストはオーストリア出身のイェルク・デムスです。1928年生まれで,1956年のブゾーニ国際コンクールで優勝しています。オケはウィーン国立歌劇場管弦楽団で,指揮はロジンスキーです。録音は1956年ですから,同コンクールで優勝した年のようです。新しいので,▲のカーゾンより,こちらのWestminster盤の方が音がよいはず,と思っていましたが,改めて聞き比べてみるとカーゾンの方が音がよいですね~~。何より録音レベルがかなり低く,8dBほど低いです。音も低音は伸びていますが,高音があきらかにDECCAより劣っています。おそるべし,DECCA。

デムスは驚いたことに,亡くなったのは去年4月なんですね~。親日家としても知られ,多くの演奏家がキャンセルした,2011年の東日本大震災の直後にも来日してシューマンを聴かせてくれたそうです。歌手のシンディ・ローパーやレディ・ガガもそうでしたけど,すぐに日本に来てくれて,応援してくれました。本当にありがたいことです。ご冥福をお祈りします。

ウルトラセブンの最終回で使われたのはディヌ・リパッティとカラヤンのEMI盤ですが,一応,スクラッチ音がほとんどしないので,テープ録音のようですが,まだLPが登場する前のSP向けの録音のせいもあり,音が悪く,よりHiFiなLPの方がよかったと思います。でも,演奏自体はリパッティのはすごいですね。なお,先ほどのリンクに書きましたけど,青山通氏の本には,いろんなシューマンのレコードが出ていますが,この盤は出ていません。ウルトラセブンの音楽担当だった冬木透氏はこの盤のことはご存じだったと思いますが,採用されたのはもっと古いリパッティ盤でした。


レコードは放浪の名レーベルWestminsterです。強い米ドルにものを言わせ,欧州の名演奏家のレコードを多数出しました。なにより,録音技術も素晴らしかったようで,今聴いても非常に音はよいです。でも,今回,比較して気がつきましたけど,米国からエンジニアが出張して録音したので,いまいち,機材に不足があったのかもしれません。戦前,TELEFUNKENがSP盤の最高とされていましたし,実際,iruchanが今,聴いてもそのように思いますが,メンゲルベルクのSP盤はベルリンからアムステルダムまで出張して録音していたので,音がほかのTELEFUNKENに比べ,悪い,と言われていたのを思い出しました。

Westminsterはマイナーレーベルだったため,レコードの生産自体は米Columbiaに委託していたこともあり,RIAA制定前のカーブはColumbiaです。また,生産がColumbiaだったので,VOXやRemingtonなどの弱小レーベルと違って,盤質は格段によいです。今回,Columbiaカーブも備えていますので,万全です。

なお,Westminsterはマイナーレーベルでしたが,演奏や録音がよかったため,国内外でCDがたくさん出ていますが,本盤は出ていないようです。レコード自体,eBayでイスラエルの中古盤屋から買ったのですけど,いまいち盤質が悪く,ノイズが多いです。宛名や郵便局のシールがヘブライ語で書いてあって,読めませんでした.....。

       ☆          ☆          ☆

さて,本機はiruchanはモノラル盤用と書いていますけど,RIAAとffrrはステレオで聴けるように,2ch.で作ってありますので,一応,ステレオ盤も聴いてみたいと思います。CR型のEQアンプ,というのも初めてですしね~。

☆Rachmaninov Piano Concerto No.2, Pf:Sviatoslav Richter

richter rachmaninov.jpg

今度はリヒテルのラフマニノフの2番を聴いてみます。やはりロシアの曲はロシア人の演奏家,ですよね~~。

オケはワルシャワ・フィル,指揮はヴィスウォツキです。録音は1959年と古いですが,ステレオ録音になっています。鉄のカーテンの向こう側にすごいピアニストがいるってんでDGGのエンジニアがワルシャワまで乗り込んで録音したらしく,この曲の最高の名演のひとつ,とされていますね。


このディスク自体はどこが作ったのか,わからないのですが,Made in EUと書いてありますので,EUのどこかでしょう。一昨年,HMVで買った最新盤で,最近,LPを買うと,やはり今どきLPを作るとコストがかかるのか,とんでもなく高いですけど,これは1,700円と格安でした。でも,盤質はとてもよいですし,クラシックファンなら1枚持っていても損はない1枚だと思います。

録音もとてもよく,ノイズやひずみはありませんし,なにより初期のステレオ録音は結構,試行錯誤だったのか,うまくステレオ感の出ていないものも多いのですが,これはなかなかよい録音です。

演奏自体はとても遅く,浅田真央さんがソチで滑った曲で有名ですけど,この演奏じゃありませんね。これでは踊れんやろ~~[雨]

クラシックファンはこのように,好きな曲でも,これじゃない,ということで結局,自分の気に入った演奏が見つかるまで,延々と同曲異演盤を探し続ける.....と言うことになりますね。ウルトラセブンの本の青山氏も同じで,結構,この本は面白かったです。また,普通は同曲異演ということは異なる演奏者ですけど,フルトヴェングラーなんかは同じ人物なのにまるで違う演奏がたくさんあるので困っちゃうんですけど.....。

☆Frozen II

さて,お楽しみ.....。

実は,アナと雪の女王のサントラは海外ではLPでも発売されています[雪]

FROZEN II LP.jpg 歌詞カードもきれいです。

結構,値段が高いんですけど,レコードで ”Let it go!" が聴けるのはうれしいです。残念ながら,海外盤なので,英語の歌ですけどね.....。松たか子さんと神田沙也加さんの日本語盤がLPで出てるとなおうれしいんですけどね....。

今回は,アナと雪の女王2のサントラを聴いてみます。

CDと違って,収録曲が少なく,エンディングの "Into the unknown" は入っていません。まぁ,これは歌っているのがオッサンだから要らないや.....。

やはり,今回の目玉は "Show yourself" (見せて,あなたを)だと思います。"Into the unknown" より,こっちの方がよっぽど感動的な曲だと思うのは私だけでしょうか.....。

FROZEN II LP-1.jpg 

 レーベルもかわいい~~。B面はもちろん,アナですけど。

Garrard 301とDL103でアナ雪のレコードを聴いているのはiruchanだけだと思います....(^^;)。

ただ,聴いてみてびっくり。残念ながら,盤質はよくありません。そもそもセンターの穴が小さすぎて,スピンドルにはまらんちゅ~~の~~orz。おまけに結構大きなスクラッチノイズがして,ところどころ傷があるようで,大きなノイズが出ます.....。波形を見ていても,ノイズフロアが高く,さっきのリヒテルのLPと比べてみても,おかしいです。まぁ,今どきLPを高い品質で作れるところは少ないのでしょう。

PDVD_132-1.jpg ♪I'm dying to meet you....


う~~ん,断然,松たか子さんの方がいいや......。

       ☆          ☆          ☆

聴いてみて,やはり音のよいアンプだと自分ながら,そう思いました。超低ひずみOPアンプのLME49720Hを採用したこともあるのでしょうけど,EQアンプはやっぱ,CR型だよな~~って思いました。本当はLCR型がすごいらしいですけど.....。専用のタンゴのEQ-2Lは中古価格がこちらもものすごいことになっていますけど.....orz。

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