SSブログ

メタルキャントランジスタを使ったスーパー・ストレートDCプリアンプの製作~その2・プリント基板編~ [オーディオ]

2020年5月3日の日記

さて,先週から金田明彦氏設計のオール・メタルキャンTrスーパー・ストレートプリアンプを製作中です。MJ無線と実験'91.6月号掲載のDCアンプシリーズNo.121です。

スーパー・ストレートプリアンプ基板(未完).jpg ほぼ基板が完成しました!

左からEQアンプ,フラットアンプ,超高速±10.5Vプッシュプルレギュレータ基板です。レギュレータは整流部も一緒に作りましたが,フィルタコンデンサは未実装です。この前,基板を作ったモノラルレコード用EQアンプのフィルタに使ったRubyconの3300μF,35Vを使いたいのですが,秋月電子はコロナのせいで臨時休業中。休業する前に買い込んどくんだった......orz。

2SA5662SA606などの往年の名メタルキャンTrがいいですね[晴れ][晴れ] たぶん,どれも製造から40年は経っていると思います。昔はよかったな~~~。

掲載されたときに作ろう,と思っていたのですが,まだかなり作るのは技術的に難しそうと思っていたので,実際にネットを駆使して世界中から部品をかき集めたのは10年後くらいのことです。

それからでも,もう20年も経っているのですが,なかなか実際に取りかかれず,とうとう戒厳令まで発令されて外を出歩いていると下手すると射殺されかねない物騒な状況なので家に閉じこもって作り始めました......。

さて,例によってiruchanは万能基板は大嫌いなのでプリント基板で作り始めます。万能基板って,失敗の原因だと思いますし,なにより配線していると頭が痛くなってくるのでよほど簡単な回路でない限り,iruchanは使いません。

とはいえ,今,プリント基板を作るのは非常に厄介です。

本当だったらP板.comなんかでネット発注もできるのですけど.....。

安くなったとは言え,1枚しかプリント基板を作らないのなら,かなりのコストになっちゃいますし,なによりあのプリント基板らしからぬ,ツルツルピカピカの緑色の基板になっちゃうのはなんかな~という気がしますのでいつもどおりエッチングで作ります。

ところが.....。

10年くらい前まではiruchanもサンハヤトの感光基板でうまく作っていたのですけれど.....。

最近,感光剤が変わってさっぱりです。まったくうまくいきません。今回も失敗の山.....orz。

しかたないので,ドライフィルム(感光フィルム)を使って作りました。作り方はこちらをご覧ください。

ただ,この方法もいまいち。

確かに,iruchanも何度も失敗して練習したので,ようやく一発で仕上がるようになりましたけど,とにかく仕上がりがきたない。

何よりパターンのエッジがギザギザになりやすく,下手すると隣のパターンとくっついちゃいます。仕上がってから,テスターでテストが必須です。

そう言う意味で,やはり昔の感光基板の方が断然仕上がりはきれいです。

まあ,とにかく,今回のプリアンプ用に,EQアンプ,フラットアンプ,電源レギュレータと,基板用トロイダルトランス用の計4枚の基板を作りました。

部品類は前回,ご紹介したとおりですが,手持ちの抵抗の関係で,いくつかはカーボン抵抗としました。代替品のニッコームですら,一部,入手難の値もありますし,しかたないですね。

Trはほぼオリジナルどおりですが,初段のデュアルFETは手持ちの関係からソニーの2SK245ではなく,2SK97にしました。まあ,これはどちらでもよいと思います。ほかに,定電流回路用の2SC1775の手持ちがなく,1個だけ,2SC1400にしました。こちらは本当は2SC1775の方が代役です。

熱結合.jpg 熱結合中です。

今まで,某社の透明エポキシという接着剤を使っていましたが,少し接着力が弱いのと,なぜか,主剤か補助剤のどちらかちょっと忘れちゃいましたけど,液と化学反応するのか,キャップが必ず割れて,液が漏れてくる,という困ったちゃんで,全部使い切らないうちに捨てないといけなくなったのでクビにして,今回,コニシのエポクリヤーにしてみました。

これ,非常によいです。接着力も強力で,10分ほどで硬化するのもよいです。

ただ,ちょっと臭うのが難点.....サバの水煮缶みたいな臭いがします.....ウップ。

2SA606なとTO-5のメタルキャンTrも接着剤のみで接着&絶縁できますが,油断は禁物です。必ず乾燥後にコレクタが接触していないかチェックしてください。

メタルキャンTr基板.jpg 麗しのメタルキャンTrたち......

また,回路としては,原設計はオフセット調整が初段の差動アンプの負荷抵抗を変化させ,最終的に固定抵抗で置き換えることにより調整するようになっていますが,従来どおり,共通ソース抵抗を可変する方式としました。

また,音量調整は原設計ではNF帰還量を調整する方式ですが,これも普通のプリアンプ同様,可変抵抗で信号電圧を可変する方式です。また,バランス調整も入れてあります。これ,ないと不便だと思うのですけど.....。iruchanはフルレンジで聞くのでどうしても左右のアンバランスは気になります。

また,カップリングはオリジナルはSEコンの33000pFですが,もう,こんなの買えないので旧ソ連軍用のスチコンにしました。0.4μFなんて大容量でびっくりです。スチコンだと音はよいと思います。

また,電源はオリジナルは電池ですが,AC電源にするのでトランスを設置します。さすがにEIコアやRコアのものはもう使いたくないのでトロイダルにします。やはりトランスはトロイダルだと思います。漏洩磁束もほぼ0にでき,プリにぴったりだと思います。値段も安くなりましたし,下手するとEIコアのトランスの方が高かったりするくらいですね。これなら使わない,と言う手はありません。

☆Spiceによるシミュレーション

さて,一応,LTspiceで回路の動作を検証してみます。2SA8722SC1775はSpiceモデルを見つけられましたが,2SA606/C959などは見つからないので,別のモデルで代用します。2N3954はオリジナルのLT社のモデルに入っていました。

EQアンプ回路(Spice).jpgEQアンプ回路です。

初段は2SK97のモデルがないので,とりあえず,2SK30で代用です。

EQアンプ特性(Spice)1.jpgEQアンプ特性です。

少し,低域で偏差が大きく,30Hzで+1dB超えています。何かおかしい気もしますが,NF型EQ回路だとこんなものでしょう。サブソニックフィルタ特性を持たせることも考えられるので(IEC規格のRIAAカーブなど),低域はマイナスになるくらいの方がよいはずです。

flatアンプ回路(Spice).jpgフラットアンプです。

flatアンプ特性(Spice).jpgf特です。

まあ,ちょっと眉唾なのですけど.....。本来,実装してみるとこんなによいわけはありません。Spiceのシミュレーションなので,配線のインダクタンスや浮遊容量は考慮していないし,入出力のシールド線の容量も入っていないので,非常に広帯域になってしまいます。

でも,金田氏のDCフラットアンプは,前回のオールWE真空管式DCプリでもそうでしたけど,フラットアンプは仕上がりを見ても非常に広帯域です。

では,次は電源を組み立ててテストしてみることにします。


nice!(20)  コメント(0) 

nice! 20

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント