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ACE 6石スーパートランジスタラジオキットAR-606~ゲルマニウムTr版~の製作 [ラジオ]

2019年1月20日の日記

ACE 6石トランジスターラジオキット7.jpg 長年,探していました.....

ACEの6石スーパーラジオキットを入手しました。

これ,iruchanが中学の頃,近所のラジオ屋さんで売られていて,ずっとあこがれていました。

ただ,たぶん値段は2,500円くらいだったと思うのですが中学生の小遣いじゃ,とうてい買えず,また,iruchanも電子回路の知識も不十分なのであきらめていました。

当時,ラジオ屋さんではいちばん,高価な品物だった,と思います。ガラスケースに入って麗々しく飾ってあり,少々,恨めしく思ったのも事実です。

その後,社会人になってからも秋葉の部品屋さんでよく見かけましたし,買っておけば,と思うのですが,一度も買ったことがありませんでした。もう,その頃には真空管のアンプやラジオも組み立てができていて,今さらラジオのキット? なんて思ったのも事実です。

でも,時は流れ,もはや6石スーパーのキットなんてなくなってしまいました。最後まで,明光電気のCherry CK-606が売られていましたが,2,3年前に製造中止となったようで,もう,市場で見かけることはなくなりました。今は中国製の粗悪な7石スーパーラジオが売られているくらいですね。iruchanはCherryのCK-606は,本当はシリコンTr仕様なのに,わざわざゲルマニウムTrで組み立てたり,後からオリジナルの通り,シリコンで組み立てたりしています。

国内でトランジスタラジオのキットというと,ACEのものが有名で,HOMERは1石や2,3石のレフなど,Trの少ないものが有名で,今でもオークションに出ますが,ACEも1,2石のものはありましたが,こちらはどちらかと言えば,6石や8石のスーパーがよく売られていた気がします。

実は,iruchanは最近まで,HOMERの6石スーパーはなかった,と思っていました。それほど見かけなかったわけですが,どうやら実際にはあったようです。

CherryのラジオはシリコンTr版しかなかったようで,どうもかなり後から製造されたようですが,ACEやHOMERはゲルマニウムTrのバージョンがあります。特に,ACEのはゲルマ版とシリコン版と2種類あるようで,回路が多少異なるので,基板が違うのはもちろん,ケースも少し,正面のデザインが異なるようです。

iruchanはやはり,ACEのラジオというとゲルマニウムTrがよく,なんとかゲルマ版が入手できないかと探していました。

オークションで入手しました。完成品でも4~5,000円はします。未組み立てのキットだと1万円くらい,という感じですが,多少安く入手できました。

ACE 6石トランジスターラジオキット1.jpg ようやく入手できました。

実を言うと,ゲルマニウムTrとシリコンTrじゃ,かなり音が違います。CherryのCK-606で両方作りましたけど,ゲルマの方が聞きやすい感じです。

と言うことでACEのAR-606のゲルマニウム版を探していたところ,なんとか未組み立てのキットを入手することができました。別に完成品でもよかったのですが,完成品の場合は組み立てた人の技量によって性能や配線が大きく異なるため,可能なら未組み立ての方がよいです。結構,キットの組立品って要注意で,アンプなども危険な配線がしてあったり,イモはんだで音が出なかったり,すぐに故障したりして,痛い目に遭うことがありますから,気をつけないといけません。

ACE 6石トランジスターラジオキット2.jpg 中身です。

残念ながら,ドライバ用の段間トランスがありませんでした。現行品で代用します。

    ☆          ☆          ☆

さて,ACEの6石スーパーのキットを組み立てたいと思います。Trのラインナップは

2SA102(conv.)-2SA101(1st. IF)-2SA101(2nd.IF)-2SB175(LF)-2SB172(out)

とオール松下のラインナップです.......orz。あまりこの会社の製品は昔も今も好きじゃないので.....。

ACE 6石トランジスターラジオキット3.jpg オール松下です.....[雨]

それぞれ,MC1022SA102),MC101(2SA101),OC752SB75), OC722SB72)という旧型番があります。いずれも蘭Philips傘下の英Mullardの開発です。松下電器はPhilipsと1952年に業務提携したので,技術導入して同規格のものを製造しました。こちらでも書いていますが,OC72が一番古く,1954年の開発です。もっとも,松下=Philipsの業務提携で半導体が含まれるようになったのは1956年の契約更改以降のようですから,松下版のOC72はその年以降の製造だと思います。

ただ,MCではじまる型番はPhilips系のTrの型番じゃありません。どうも,AF101と同特性の高耐圧版のようですから,松下独自のTrのようです。MC101の開発年はわかりませんが,高周波用は難しかったので,1958年以降だと思います。

もう,現在じゃ,2SA101以外は入手は困難でしょう。まあ,2SC1815のようなシリコンTrでもTO-92のTr自体が絶滅危惧種ですから,ゲルマニウムTrなんてもはや博物館入りですね。ちなみに,ACEのAR-606やCherryのCK-606のシリコン版はオール2SC1815のようです。ただ,おそらく,どちらも初期の頃のものは2SC372だと思います。CK-606は最後期は2SC3198でした。シリコンの時代になるとfTも向上し,Pcも大きくなって1つのTrで出力でも使えたりするので,オール2SC1815なんてラジオが多く,ちょっとつまらない感じです。ゲルマの時代は高周波,IF,低周波,出力で全部,違う石が使われていましたけど.....。

さて,AR-606の組み立てですが,Trに関してはiruchanも2SA101以外の手持ちはありませんので,キットのTrを使うことにします。手持ちのゲルマニウムTrを使おうかとも思いましたが,オリジナルを尊重したいと思います。

入手したキットはほぼ完品でしたが,なぜかドライバ段のトランスのみ入っていません。どこかで,昔,紛失してしまったのでしょう。

まあ,段間トランスは8kΩ:2kΩのトランスを使うのが普通なので,山水のST-22がぴったりです。

出力トランスはキットの付属品が入っていましたけど,あまりにコアが小さく,音が悪そうなので,段間と同じく,山水のST-32(1.2kΩ:8Ω)にしたいと思います。やはりコアボリュームが小さいとインダクタンスが稼げませんから低音が出ず,トランジスタラジオ特有のキン,キンという音になってしまい,聞きにくいので,できるだけ大きなトランスを使いたいものです。

なお,どちらも山水のは高いので秋葉のシオヤ無線さんで売っている互換品を使いました。値段も安いし,性能もよいです。ただ,いずれもキット付属品より大きいので,基板の取付穴を開け直しています。もっとサイズの大きなものもありますが,ケースに支えちゃいますので,ここで我慢します。

ACE 6石トランジスターラジオキット5.jpg トランスです。

いちばん右がオリジナルの出力トランスで,左が段間のSD-22(8kΩ:2kΩ)とSD-32(1.2kΩ:8Ω)です。山水のトランジスタ用トランスの互換品です。ずいぶんとコアボリュームが違います。

あと,改良点としては,アンテナコイルとバリコンの間に5.6ΩをいれてQダンプしています。こうすると同調がブロードになって,音もHiFiになります。

残念ながら,回路図はなかったのですが,基板上に記号がシルク印刷されていますから,簡単です。

全部で3時間ほどもあれば配線が終わります。

ACE 6石トランジスターラジオキット基板.jpg 完成基板です。

入念にチェックした後,電源を入れますが,その前に,本機はゲルマニウムTrを使っているので,Trのコレクタにはマイナス電圧がかかることを忘れちゃいけません。シリコンと同じように電源を配線すると逆に電圧がかかっちゃうので十分気をつけてください。

ACE 6石トランジスターラジオキット基板1.jpg 局発周辺です。

  やはりメタルキャンのゲルマTrはいいですね~~[晴れ][晴れ]

バリコンやIFTは純粋な日本製です。ケミコンもレトロでとてもいい感じです。Bellコンデンサと表記してありますが,どこの会社の製品だったのでしょうか。

驚いたことに,やはり信頼の日本製!

ACE 6石トランジスターラジオキット4.jpg ご覧の通りです。

まず問題ないだろうとは思いつつ,念のため,テストしてみると全部,ほとんど容量抜けしていません。やはり電解コンデンサは日本製がいちばんだと思います。

ACE 6石トランジスターラジオキット6.jpg ケースに入れました。

さて,スイッチON~~~!!

いきなり,カリ,カリと雑音が聞こえますので,一応,成功のようです。ウンともスンとも言わない場合はトラブルありです。

しずかにダイヤルを回すとなんと,すでにNHKが受信できちゃうじゃないですか!! おまけにかなりの感度で,大音量で鳴ります。ダイヤルの位置もほとんど同じですし,さらに高周波の方へ回してもいろんな民放がそれぞれ指定の位置で鳴る感じです。

う~~ん,おそらく,本機は事前にOSCコイルやIFTが調整してあって,ほとんど無調整でもちゃんと鳴るようになっていたんだと思います。

本機は中学の技術の授業などで使用されることが多かったので,中学生が配線しても必ず鳴るように,事前にメーカーで調整してあったのだと思います。せっかくはんだづけして配線しても鳴らなかった,じゃ,かわいそう,と思われたのでしょう。キットを作る会社として,責任を感じておられたのだと思います。

本当に頭の下がる思いです。OSCコイルやIFTはインダクタンスをあらかじめ設定された値に調整してから,箱詰めされたのだと思います。秋葉なんかでバラバラに部品を買ってきて組み立てたらこうは行きません。

    ☆          ☆          ☆

さて,ようやく配線は完了しました。ほとんど調整なんてしなくても高感度で動作する状況ですが,次回はじっくりトラッキング調整をしてみたいと思います。

それにしても念願のACEの6石スーパーのキットを入手できてよかったです。それに,おそらくは70年代の製造で,45年くらい前のものだと思います。実際に今でも動いてびっくりですけど,長年,寝てばかりいた貴重なゲルマニウムTrも働く機会を得て喜んでいるでしょう。


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oomori

こんにちは。
このデザイン、記憶にあります。
ACEの6石スーパー、家にもありました。
確か、当時、兄が授業で組み立てたのではなかったかと思います。
なんとも懐かしい。
by oomori (2019-02-20 15:51) 

iruchan

oomoriさん,どうもコメントありがとうございます。
残念ながら,私は中学でこのラジオを作ったことはありません。また,店でキットを売っているのを覚えているくらいで,いまだに買ったことがありませんでした。
完成品でもよかったのですが,キット未組立品が入手できてよかったです。シリコン版も入手できたら比べてみたいと思っています。
by iruchan (2019-02-20 19:23) 

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