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中国製7石トランジスタラジオキットのゲルマニウムトランジスタ化~その1~ [ラジオ]

2018年7月17日の日記

急に猛烈な暑さとなりました。一昔前まで考えられなかったような最高気温が記録されています。皆様におかれましては,くれぐれもお身体ご自愛ください。

さて,このところゲルマニウムTrを使ったAMやFMラジオを作っていますが,どうにもうまくいかず,泥沼にはまってしまっているiruchanです。

きょうは,中国製の7石トランジスタラジオキットをゲルマニウム化したいと思います。

以前,国産のCherryの6石8石のキットをゲルマニウム化していますけど,さすがに国産なだけあって,部品の品質もよく,また,初心者向けの電子工作と言う目的もあってか,プリント基板も余裕を持って広々とわかりやすく作られているし説明書も詳しいので,何の苦労もなく,ゲルマニウムTrに置き換えることができました。

残念ながら,昔なつかしい,ACEやHOMERなどとともに,Cherryのキットも製造中止になってしまい,もう入手することが難しくなってしまいました。これじゃ,電子工作に興味を持った子供たちがラジオを組み立てることができないし,工作の楽しみを経験することができないじゃないか,日本はもう終わりだなぁ~~~!! と思っているiruchanです。大げさ?

と,思っていたら秋葉原にある,aitendoというお店で中国製のラジオキットが売られていました。結構,ネットにも載っていて,作った人がいらっしゃるようです。

いつもながら天邪鬼なiruchanはシリコンじゃね~って感じでこれをゲルマニウム化しようと思いました。ACEやCherryもシリコンTrになっていましたけど,それを2SA101なんかのゲルマニウムTr化しちゃいました。

買ったのはK-108Cという緑色の基板のもの。ほかに,K-108Bというケース付の黄色い基板(紙フェノール?)のものもあります。

K-108C基板.jpg K-108C基板

   ここまで作ったのですけれど......。

ただ,結論から先に言っちゃいますと,これらのキットのゲルマニウム化はあきらめた方がよいです.....。

もう,正直言って,えらい目に遭っちゃいました......。

なにより,aitendoのキットはほとんどが説明書も回路図もないのですが,やはりそれは大変困るし,それに,このキットの最大の問題点は基板が小さいこと。SMD部品じゃなく,普通のアキシャルリードの部品を使った基板としてはかなりの実装密度で,容易にはんだづけできません。特に,ゲルマニウムTrだと,金属缶のTO-1型のパッケージが多いのですが,これがギリギリ。IFTのケースに触れそう。おまけに,K-108Cのほうは両面スルーホール基板になっていて,部品の交換が容易じゃありません。さらに驚いたことに,キットとして売られているものなのに,パターンミスがあり,もとから動作しないんですね。おかげで貴重なゲルマTrを1個,飛ばしてしまいました.....orz。

両面スルーホール基板というのは,現在ではごく普通のプリント基板で,LepaiのLP-2024A+などのアンプでもよく使われています。もちろん,両面ですから,基板の表と裏にパターンがあり,それぞれのパターンを連結するため,金属製の丸い円筒形のスリーブが埋め込まれていて,上下のパターンを連結するようになっています。ま,今じゃ,上下両面どころか,16層なんて基板も出ていますけどね......。

そのスリーブのおかげで,一度はんだづけしたら終わり,という風に考えた方がよく,部品をつけ間違えて再度,加熱して部品をはずそうとすると一緒にそのスリーブも外れてしまうことが多いのです。

こうなったら厄介で,ハンダが載る,ランド部分がなくなっちゃうので,新しい部品のはんだづけができなくなっちゃいます。両面スルーホール基板で部品を取り外すときはこの金属スリーブまで外さないよう,気をつけないといけません。おまけに,パターンの銅箔の接着が弱く,そのうち,パターンもごっそりはがれてくる.....という始末で手に負えません。

さすがに,もとがシリコンTrの回路に,ゲルマニウムTrを使用した場合,バイアス電圧が異なるため,周辺の抵抗値をあとから変更しないといけないのですが,両面スルーホール基板のせいで,部品の交換が非常にやりにくいです。

また,パターンミスの問題のせいで,完成して電池をつないでみてもウンともスンとも言いませんでした。もちろん,このときはパターンミスがあるなんて思いもしません。

これ,たいていはスーパーの場合,局発が動作していません。

やはり,原因はそうで,コンバータのTrのコレクタにオシロをつないでも一直線のまま.....orz。

しかたないので配線をチェックしますが,おかしいところはありません。そこで,Trの各電極の電圧を測ってみてびっくり。局発のTrには松下の2SA101を使ったのですが,コレクタが-7Vくらいで,ベース電圧もまったく同じです。こんな高い電圧になるわけがありません!! おまけに,IF段は,というとどれもコレクタ電圧が-2Vくらいになっていて,異常に低いです。こちらの方はIF段のコレクタ電流が大きすぎることを意味しています。

それに,TrというものはVBEはゲルマTrで0.2V,シリコンで0.6Vくらいなので,ベースにこんな高い電圧がかかっていると,ベース~エミッタ間電圧は最大でも5VくらいでTrが死んじゃいますから,2SA101はお亡くなりになってしまっています。

回路をさんざん見直してみても原因がわかりません。クソ~~~っ!!

頭にきて,原因はベースがどこかで-Vccにつながっているから,と考えて手当たり次第にテスターで導通テストをしてみると,なんたることか,プッシュプル出力段となっているOPTの1次側と導通があります。

まさか.......。

と思って見てみると表側の細いパターンがOPT1次側の金属製スリーブと接触しているではないですか!! これじゃ,もろに局発のTrのベースに-Vccがかかっちゃいます!

基板不良箇所.jpg 基板パターン不良

こんなこともあるんですね~~。メーカ製の基板に欠陥があって,そんなものを売っている,とは思いもしませんでした。

結局あれやこれやで部品を交換しているうちに基板も傷んできたのですべてのTrを撤去し,名誉ある撤退をすることにしました。全将兵を無事に撤退させたキスカ奇跡の撤退と言いたかったけど,将兵が1名犠牲になっちゃってますから,ダンケルク撤退ですね~~~。

        ☆         ☆         ☆

そこで,今回はK-108Bの方にしようかと思いました。こちらは基板が片面基板だし,材質も紙フェノールのようで,色も黄色い色をしています。

ただ,このキットはAmazonでも安く売られていますし,もとは中国製なので,Ali Expressだと送料なしで$6くらいで売られています。iruchanは必要なのは基板だけと言ってもいいくらいなので,Amazonで買いました。Aliは少し不安がありますからね.....。

amazon画面1.jpg 7つチューブってなんだよ.....

そのほか,"週の真ん中では" とか," テストリポート","ケースが戻ってくることはありません" って何? ってな感じで,怪しげな日本語だらけだし,見れば見るほど怪しいことばかりですけど,一応,説明書もついているようだし,Ali Expressなどでも広く販売されていたり,また,You Tubeなどでも製作動画が出ているくらいなので,大丈夫だと思いました。 最近のAmazonで売ってる怪しげな工具や部品同様,注文したら中国から送られてきました。工具類は安くていいものがあるので,結構,利用しています。

とはいえ,このキットの場合,部品の品質には疑問点がつきます。特に,ボリウムとバリコンは捨てて,国産のものに交換しておく方が無難だと思います。IFTは大丈夫ですが,OSCコイル(赤)も国産に変更した方がよさそうです。一応,ディスクリートの半導体ラジオが売られていた時代,IFTもOSCコイルもゲルマ用とシリコン用で分かれていましたし,IFTもTrのインピーダンスにあわせて何種類もありました。

回路はほとんどK-108Cと同じです。説明書も中国語ですが,ついていて,回路図やプリント基板のパターン図もカラーで印刷されたものがついているので,親切です。

内容物.jpg キットの中身です。説明書も付属してます。

  ちょうど2週間で中国から届きました。

さて,ということでオリジナルはシリコンTrを使っていますが,これをゲルマニウムTrで作っていきたいと思います。

オリジナルはS9013HというTrと,S9018HというTrを使っています。どちらも2SC1815などと同様のTO-92型なので,使いやすいです。前者がハイhFEのため,高周波段に使用され,後者が低周波増幅と電力増幅に使用されています。

7つチューブというのは7石,と言うことらしいですが,驚いたことに検波までダイオード接続したS9018Hが使われていることで,ここはゲルマDiにしたいと思います。

S9018H.jpg S9013HS9018H

それにしても,普通,7石というと高周波増幅(RF)つきか,中間周波3段,あるいは他励式コンバータのことを指し,検波用のDiまでは含みません。6球スーパーは高周波つきなのを意味するのと同じで,マジックアイがついていても6球スーパーとは言いませんので,ご注意ください。

だから,本機は6石スーパーです。回路もごく普通の6石スーパーです。特に変わったところは見受けられません。

K-108-468-sch.jpg オリジナルの回路です。

それならゲルマ化は簡単.....と思っちゃったのですけれど......。

実はこれが茨の道。大変な目に遭っちゃいました......orz。

使用Tr.jpg 使用予定のゲルマニウムTr

すべて中古です。三洋のTrはいつもお世話になっている河童さんからいただきました。2SB171はもとはOC71で,松下が蘭Philipsから技術導入して作ったTrです。

どうも,問題は本機の回路がS9013HなどのTrに最適化して設計されているためのようで,Trを交換するととたんに機嫌が悪く,うまく動作しないのです。

S9013HS9018HというTrは中国独自の規格か,と思いましたがオリジナルはフェアチャイルドのようですし,相当昔のTrのようです。海外製もONセミなどがあります。だから,結構,信頼性が高いTrのようです。中国ではたくさんのメーカが作っているようで,ネットで規格表も簡単に手に入りました。末尾のHはhFEのランクのようで,HだとS9013Hが144~202,S9018Hが97~146のようです。

おまけに電極の配置が日本製のTO-92と違って,左からEBCという配置になっているのも好都合。Cherryの6石キットなどだと2SC1815の代わりに2SA49なんかを使ったりしたわけですが,電極の配置が2SC1815はECBなので,ベースだけアクロバティックにピンを曲げて配線しないといけなかったのですが,S9013Hなどだと,電極は同じ配置なんですね~~(^^)。

ただ,残念ながら,基板のパターンはTO-92型なら一直線で・・・となっていればよいのに,わざわざと三角形になっているのは問題で,おまけにベース位置は上下逆で,ゲルマのTO-1型用だとの穴でないとまずいのです。

まあ,多少,ベースのピンを少し逆に曲げてやればいいのですけどね....。

2SB270.jpg こんな風にはんだづけします。

それと,やはりゲルマとシリコンじゃ,バイアス電圧が異なるので,バイアス回路はいじらないといけないのですが,前回までのCherryのキットなどでは,出力段以外はいじる必要がなく,一発で動作しました。ただ,低周波のS9018Hの回路は固定バイアスとなっているため,最低限,変更が必要だとはすぐに気がつきました。

今回もまずはそれで.....と思いましたが,決定的にダメでした。やはりバイアス回路はいじらないといけないようです。

        ☆         ☆         ☆

次回はバイアス回路の変更と調整に入りたいと思います。


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