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コアレスモータ対応鉄道模型用コントローラの開発~その2・KATO KC-1の研究~ [模型]

2017年2月8日の日記

前回,コアレスモータを使った鉄道模型のコントローラとして,PFMまたは2周波PWM式コントローラがよいのではないかと推測しました。

PFMはパルス周波数変調(pulse frequency modulation)の略で,すでにスイッチング電源のコントローラで高効率化のため使用されています。 パルス幅を固定とし,off期間を可変してモータの速度を可変するものです。

回路をハードウェアで実現するのはちょっと難しそうなのでこちらは後回しです。PICを使えば簡単,と言う気もするんですけどね。

一方,自作した201系用のPWM式コントローラTomixの5001パワーユニットを改造したPWM式コントローラは出力のパルスの周波数を201系同様の300Hzにできますが,これで運転すると常点灯に対応することがわかりましたので,低周波のPWMがよいのでは,と推測できました。

ただ,これは要注意で,まず,かなりの騒音を発します。モータの電流がパルスごとに途切れ,モータがステッピングモータみたいに起動と停止を繰り返している状態です。次に,PWMは前回書きましたが,低周波ほど損失が増え,モータが発熱することが予想されます。

これを解決するため,モータ用の低周波PWM波と前照灯&室内灯制御用の高周波のPWM波を組み合わせることを考えました。

もちろん,これはiruchanのアイデアではなく,すでに過去,KATOがこのようなコントローラを発売していました。KC-1がそれですね。

KC-1は低周波に50Hz,高周波に20kHzの発振器を用い,それぞれを出力で合成して模型用のコントローラとして使っています。低周波のパルスの隙間に高周波のパルスが出ていて,これが前照灯を制御するようになっています。

今でもKC-1は低速が効くコントローラとして人気があり,某掲示板などでも評価が高いですし,Yahoo!でも結構高価で落札されます。

iruchanはコントローラは自作するので,メーカ製のコントローラを買うことはないんですけど,このコントローラは昔から気になっていました。

KC-1がいつ製造中止になったのか,わかりませんが,もう10年以上前だと思います。PWM波生成にはスイッチング電源用の制御ICである,NECのμPC494Cが使われています。

μPC494Cの規格表がネットに出ているので見てみますと,NECのものとルネサスのものがあり, NECのは1987年版で,ルネサスのは2007年版となっています。おそらく,1987年頃に製造が始まり,ルネサスのはすでに新規採用非推奨となっているので,その頃には製造中止になったものと思います。

と言う次第で,μPC494Cを使って作りたいのですが,秋葉などでまだ手に入るんですけど,製造中止から10年くらい経っているようですので,入手が難しくなりつつあり,結構探さないといけません。でも,そもそもμPC494CはNECがオリジナルではなく,テキサスのTL494のセカンドソースなのですから,オリジナルのTL494を使えばいいんですね。

μPC494C, TL494IN.jpg NECのμPC494CとテキサスTL494 

何のことはない,秋月電子でTL494INがたった50円でした。なぜか,もう1種類販売されていて,TL494CNだと60円です。何が違うの?,と思ったら使用温度で,INが-40℃~85℃なのに対し, CNが0℃~70℃です。これならINの方が高くてもおかしくないんですけどね~。

おそらく,製造工程はどちらも同じで,INの方は選別品だと思います。手間がかかっている分,本来はINの方がはるかに高いはずなんですけど,意外に秋葉などの部品屋さんではこういうことがあります。新日本無線のOPアンプNJM4580も低雑音の選別品NJM4580DDの方が安かったりしますね。

と言うことで,iruchanは-40℃から使えるTL494INを買いました。まさか,厳寒の朱鞠内湖で野外鉄道模型運転会なんてする気はないんですけどね.......(^^;)。 

それにしても,日本のメーカは需要がなくなるとさっさと製造中止しちゃうので昔から非常に困ったものなんですが,米国の半導体メーカはこういう古いICでも製造してくれるので助かります。今どき,DIPのICというのも貴重ですしね。TL494もテキサスのホームページを見るとステータスが "ACTIVE" となっていて,今も製造中のようです。米国だと軍とか宇宙用とかで今も何か需要があるのでしょうか....。

さて,TL494は中のブロック図を見ると,iruchanが今まで作ってきた,PWM式コントローラと同じで,三角波の発振器とコンパレータの組み合わせとなっています。もっとも,TL494の場合は三角波じゃなくて,鋸歯状波ですけどね。そのほか,デッドタイムコントローラがついていたり,出力段が2組あるのが特徴です。CTとRTの端子に接続したCとRで発振周波数が決まります。発振周波数 fs は 1/C・R です。

ただ,どうも仕上がってみると周波数は高めで,20kHzのつもりだったのに,24kHzです。まあ,誤差かなと気にしていなかったのですが,富士通の互換品MB3759の規格表を見たら 1.2/C・R と書いてあります。なあんだ,やっぱり高めに出るんですね。 

TL494 block diagram.jpg TL494内部ブロック図 

今ではもっと新しい,スイッチング電源用のPWMコントローラICもあるのですが,TL494がいいのは低い周波数のスイッチングができること。▼のグラフでは10Hzまで表示されています。ほかのICだと縦軸の単位はkHzです。

TL494 switching frequency.jpg TL494のスイッチング周波数

と言うことはTL494だとKATOのKC-1みたいに50Hz近辺で発振させることも可能だと思います。

と言う次第で,組み立てていきます,と行きたいところですが,いきなり組み立ててもうまく動作するかどうかわかりませんので,事前にSpiceで動作を確認しておきたいと思います。

iruchanが使っているLTspiceはリニア・テクノロジー社のICしかないのでTL494のモデルは苦労しそうですが,幸い,ネットを探すとSpiceモデルがありましたので,活用させていただきます。残念ながらシンボルファイルがおかしくて,ピン配置がでたらめだったので,シンボルファイルを編集して正規のDIP版のTL494と同じに修正しました。

これさえあれば百人力ですね!! さっそくシミュレーションしてみます。オリジナルの回路についてはいわたさんがブログで報告しておられますので,参考にさせていただきました。どうもありがとうございました。

KATO KC-1 original simulation circuit.jpgKC-1オリジナルシミュレーション回路 

うまくシミュレーションも動作しました!

出力波形はこんなで,低周波のパルスとその隙間に高周波のパルスが出ています。となっている部分は高周波パルス部分です。

それに,KC-1はTL494のソフトスタート機能を使っているようで,低周波のパルスは徐々にデューティが上がっていくのがわかります。スイッチング電源は立ち上がりから大きなデューティで動作すると誤動作することがあるので,ゆっくり起動するようになっています。

KATO KC-1 original 波形.jpg t=0sec.からの状態

低周波のパルスはこのように,最初,狭くはじまって徐々に設定値に落ち着いていくようになっています。 

KATO KC-1 original 波形拡大.jpg 波形の拡大です。

波形を拡大するとこういう感じで,24kHzのパルスが48Hzの低周波パルスの隙間を埋めている感じです。

なお,この高周波パルスと低周波パルスの間には電圧差があり,大体,1V程度,高周波パルスの方が高いようです。実物も同じ状況のようです。まあ,これはたいした問題じゃなく,おそらく過電流検出用の抵抗など,回路の違いによるものです。

また,KC-1は低周波パルスの最大デューティは95%くらいです。100%にはならない,と言うのが特徴です。これはKATOの原設計が発振電圧(CT)を,基準電圧であるデッドタイムコントロール(DTC)と比較してPWM波を作っているためで,テキサスの規格表を見るとわかるとおり,CTには0.1Vの "げた" が履かせてあり,DTCは決してCTより大きくならないようになっているからです。こうやってコンパレータのoff期間が最低でも5%くらいになるようしてあります。このため,KC-1では最大デューティは95%くらいです。この理由はスイッチング電源だと出力段の2つのNPN Tr を同時に使ってプッシュプル動作をさせることがあるのですが, これらが同時にonすると電源をショートして過大電流が流れるため,一瞬,offにするようになっているためです。このDTCはテキサスの規格表を見ると5~100%の間で設定できるようです。

iruchanはパワーパックなら最大デューティ100%としたいと思うので,自作する際には改良するつもりです。Tomixの5001パワーユニットをPWM化するときも最初の設計では100%にならず,結構苦労しましたので。

実際,シミュレーションでも最大デューティは約90%となりました。の線がDTCの端子電圧で,の線が発振器の出力(CT)です。これをコンパレータで比較してCT>DTCの間だけ,出力にパルスが出るようになっています。

このようなスイッチング電源用ICを使ってPWM波を作る場合,普通はDTCではなく,FB端子を使うはずですが,何らかの理由があったのかもしれません。 

KATO KC-1 duty max.jpg KC-1の最大デューティ

また,▼のモータの電流波形を見てみると,予想どおり,低周波のデューティが低い状態でも0にならず,連続して流れています。これでKC-1はモータが唸らない,という特長がありますが,その理由がわかりました。 

KATO KC-1 iruchan mod. 波形拡大.jpg 拡大波形 

     ☆    ☆    ☆ 

さて,次はiruchanバージョンを作っていきたいと思います。

仕様としては,低周波のデューティは0~100%,高周波のデューティは0~5%くらいとしたいと思います。もちろん,最大出力電圧は12Vにしますので,電源は安定化電源とします。といって,今どきトランスを使った安定化電源だと重いので,スイッチング電源を使います。

また,KATOのKC-1は非常に凝った過電流保護回路がついています。過電流が流れると自動的に電流を遮断し,ALARMのLEDが点灯するようになっています。

簡単に実現するにはブレーカを使うことですけど,これは高いし,応答速度も遅いのでうっかりすると制御Trを飛ばしてしまうので,純粋に電子式にしたいと思います。

でも,これは意外に難問なんです。 

よく,安定化電源などの保護回路に使われるのは電流制限型と呼ばれるもので,Tr1石と抵抗を1本使うものです。iruchanもいつも使っているタイプです。

電流制限型保護回路.jpg 電流制限型保護回路

これは,抵抗Rの両端に生じる電圧が0.6Vを超えるとQ2がonし,Q1のベース~エミッタ間電圧VBEを小さくするので,電流を絞ることができます。

非常に高速で応答するので,制御Trが飛ぶのを防ぐことができます。そのため,安定化電源では必須の回路で,iruchanもいつも挿入しています。

ただ,この方法の問題点は,確かに設定された電流値以上の電流は流れないようになっているのですが,ショートしても設定された値の電流がずっと流れ続ける,と言うことにあります。たとえば,imax を1Aと設定したとすると,ずっと1Aの電流を流し続けてしまいます。

Nゲージの模型に1Aも流し続けるとモータが発熱し,ボディが変形してしまうことが考えられます。もちろん,短時間なら問題ないし,我々マニアは機関車が停止したらすぐにボリウムを絞るクセが身についているので大丈夫だと思いますが,長時間,過電流保護回路が動作した状態でフルノッチにしておかないことが肝要です。

定電圧電源でこのようなことを防ぐために考案されたのがホールドバック型保護回路で,過電流を検出すると自動的に電流を絞ってくれます。グラフがカタカナの "フ" に似ているのでフの字型保護回路とも言います。

ホールドバック型保護回路.jpg ホールドバック型保護回路

これだと安心で,実際,金田式DCアンプのシリーズレギュレータなどに使用されていました。

ただ,この回路の問題は抵抗が3つあり,それぞれ計算して決めますが,Nゲージのパワーパックなんで最大電流 imax を1A,最小電流 imin を0.1Aくらいにしたいのですが, このとき,3つの抵抗値を決めることができません。解がないんですね。どれか,抵抗が負になっちゃいます。

ということでこの回路をNゲージのコントローラに使うことはできません。 

そのほか,最近はポリヒューズ(ポリスイッチとか,PTCサーミスタの名称があります) を使う人が多いと思います。単に負荷に直列に挿入するだけだし,セラミックコンデンサみたいに小さな部品なので実装上も簡単です。

ただ,これもヒューズの名前があるくせに電流を遮断してくれるわけじゃないのが問題で,▲の電流制限型同様,トリップ電流以上の電流が流れない,と言うだけの素子ですし,その上,トリップ電流を上回ったら直ちにトリップするものじゃなく,実際にトリップするまでに電流差と時間差があり,実際に動作する電流はもっと大きいですし,時間的にも高速で電流制限してくれるものではありません。それにしばらくすると勝手に復帰しちゃってまた過電流が流れる,と言う問題があります。 

ということで,いったん過電流を検知したら回路をしゃ断して,完全に電流が0になるようにする回路,というのは結構難しいのです。

そこで,KATOのKC-1はサイリスタを使った凝った回路になっていて,過電流を検知するとリセットボタンを押さない限り,電流が二度と流れないようになっています。

本来,鉄道模型の過電流制限にはこういう回路が必要だと思いますので,今回,取り組んでみます。

しかし,KATOの原設計の回路は非常に複雑だし,いまどきサイリスタを使うのもなんだよな~という気がするので,もっと簡単な回路にしたいと思います。

今回,▲の電流制限型回路に使われているのと同様,抵抗で電流を検知して,R-Sフリップフロップでその状態を保持するようにしました。 過電流が流れるとQ3がonし,R-Sフリップフロップをセットして,そのQ出力が high となります。こうなるとQ2がonしますので,制御FET Q1のゲート電位をほぼ0にして制御FETがカットオフします。リセットするにはR-Sフリップフロップのリセット端子を high にすればよいのです。ちょっと複雑に見えますけど,かなり簡単な回路だと思います。

と言う次第で,出力部の回路は次の通りとしました。

R-Sフリップフロップ過電流保護回路3.jpg  出力部および保護回路 

KATOのKC-1の回路では出力段はPNP Trを使っていて,出力もエミッタから取っていますが,今回,もっと一般的なNチャンネルのMOS-FETを使うことにし,出力もドレインから取ることにします。マイコンを使った回路ではこちらの方が便利ですし,最近のパワーパックはこのようになっていると思います。iruchanも前回作った,LEDライトの調光器で採用しました。MOS-FETを使うと非常に高速だし,何より損失が小さく,放熱器が不要となることも期待できそうです。

なお,CD4043のS入力にパラに入っているコンデンサ(0.1μF程度)はノイズによる誤動作防止用です。これがないと頻繁に誤動作しますし,リセットもできなくなりますのでご注意ください。特に,電源投入直後に保護回路が動作して,起動するたびにリセットSWを押さなきゃいけない,というコントローラはこのノイズ対策がないものです。 

EKI04047, 2SK2382, 2SK2412.jpg MOS-FET

  左からEKI04047(サンケン), 2SK2382(東芝), 2SK2412(NEC) 

いずれも秋月電子で売られているものです。今回,使用したのは右のNEC 2SK2412です。

VDS(V) ID(A) PD(W) VGS-th(V) RDSon(mΩ) Ciss(pF)

EKI04047 40 80 90 2.0  4.1 2410

2SK2382 200 15 45 1.5~3.5 130 2000

2SK2412 60 20 30 1.6 50 860

2SK2412はゲートしきい値電圧 VGS_th が小さく,2Vくらいで on します。MOS-FETは VGS_th が大きいのが多く,4Vくらいになるものありますし,外国製だともっと高いです。TL494はVccに9Vをかけますので出力電圧が高くていいですが,TTLやPICを使うと5~3Vほどなので,下手すると on しないMOS-FETもあるので,VGS_th の小さなMOS-FETを使う必要があります。また,2SK2412は入力容量 Ciss が小さく,860pFほどなのもいいです。

最近は小さくても100A程度の大電流が流せるMOS-FETが発売されていますが,Ciss が2000pFを超えるものが多いので困ったものです。 iruchanはオーディオマニアなんですけど,入力容量はローパスフィルタとして作用しますから,これは小さい方がいいに決まっています。真空管やバイポーラTrはごく小さな値ですからね。だから,2000pFなんてiruchanにとっちゃ,天文学的数字なんですけど......。

いくらMOS-FETはスイッチング速度が速いといってもこんなに入力容量が大きいと溜まった電荷を抜くスピードを速くしないとスイッチングが遅くなっちゃいますので,ドライブ回路の工夫が必要になります。2SK2412 は20年ほど前の開発なので,Ciss は小さいのですが,その代わり,あまり大電流は流せません。

ドライブ電圧はKC-1はμPC494Cのコレクタ出力C1,C2から取っていて,出力のTrもPNP Trを使っていますが,E1,E2から取ることにしました。 こうすれば,出力段はMOS-FETのドレイン出力にできます。2SD560などのNPNのダーリントンTrを使うことも可能です。むしろ,バイポーラTrの方が入力容量ははるかに小さいので,先ほどの問題は生じません。

また,KC-1は高周波,低周波でそれぞれ別々の出力回路を持っていますが,PWM信号をOR回路で和を取れば1個の出力回路で済みますので,そうしました。といって,わざわざ74LS32などのOR回路を使うのはスペース的にもったいないので,単にDiと抵抗のネットワークにしました。 

保護回路はR-SフリップフロップCD4043を使いました。TTLだと7402NORゲートを使ったICで配線しないと作れませんが,C-MOSには最初からR-Sフリップフロップがあるので便利です。それに,#4000シリーズのC-MOSは電源電圧が3~15Vと広いので,TTLのように5Vの3端子レギュレータが不要です。今回,直接,12Vで動作させています。#4000シリーズの開発は真空管の雄RCAですが,非常に便利なICを作ってくれたものだと感心します。

なお,TTLのR-Sフリップフロップというのは7400NANDゲートでも作れますが,この場合は負論理となり,論理が反転しちゃいますので,今回の回路には使えません。 

KATO KC-1 iruchan mod. simulation circuit.jpg 

     KATO KC-1iruchan改シミュレーション回路

低周波パルスのデューティを最大100%にするのはかなり苦労しましたが,DTCとFBを接続すると可能であることがわかりました。

KATO KC-1 iruchan mod. 波形.jpg t=0 sec.からの波形です。 

高周波パルスの立ち上がりは遅く,ゆっくりと立ち上がります。といって,ほんの数msec. の間のことなので,人間の目にはわかりませんけどね。 

KC-1同様,高周波パルスとのミックスになっています。また,高周波と低周波パルスの波高値をできるだけそろえました。

KATO KC-1 mod. test.jpg 完成した基板。

基板も作りました。ちょっと長くなっちゃいましたので,工作についてはまた次回です。どうも申し訳ありません。 

テスト出力波形.jpg 出力波形です。

ちゃんと高周波と低周波の2波PWMとなっています。使用しているアダプタが9V出力のものなので,パルスのピーク値も9Vくらいになっています。

2017年7月16日追記

最終的にきちんとケースに入れて完成させました。よろしければこちらをご覧ください。 


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ななしのごんべえ

とてもあつかましい質問なんですが、CD4043の代替品で、あきつきの通販で手に入るものはないでしょうか?
入手先が、あきつきの通販しかないので・・・・。
by ななしのごんべえ (2017-02-11 18:56) 

iruchan

残念ながら秋月さんはCD4043はお取り扱いしてないようです。

もともと,R-SフリップフロップというのはロジックICの中では珍しく,74シリーズだと74279(74LS279など。以下同じ)がそれですが,普通はNANDゲートの7400を使って自分で作る,と言うのが定位です。

ただ,74279はTTLなので電源電圧が5Vですから本機では使えません。5Vの3端子レギュレータを入れて電源を作る必要がありますので採用していません。

秋月さんの在庫だとデュアルNANDの4011があるようですから,これでR-Sフリップフロップを作ってみてください。配線についてはググると出てきます。
by iruchan (2017-02-12 09:21) 

ななしのごんべえ

お答えありがとうございます。
フリップフロップすらよく分からないので工作編を見てからにしようと思います。
なにせ、この回路図見ても逆三角はGND? レールにはどこから電気ながすの?
このレベルです。
ですが、前回のPWMのと自動加減速のは作らせてもらい、使ってますので、今回もがんばって作りたいです!
また、質問させてください。工作編が楽しみです。

by ななしのごんべえ (2017-02-12 22:03) 

iruchan

どうもコメントをありがとうございます。いろいろ作っていただき,ありがとうございます。

一応,今週中には工作編をお届けしたいと思います。プリント基板図も載せる予定ですのでご活用ください。

なお,R-Sフリップフロップは4000シリーズだと4043がそうですが,意外に入手が面倒なようですので,デュアルNANDの4011を使うと可能です。配線図はググってみてください。

また,KC-1のような電流遮断型の保護回路ではなく,普通の電流制限型やポリヒューズも活用できますので,次回,報告します。
by iruchan (2017-02-13 07:53) 

iruchan

どうも失礼しました。

R-SフリップフロップはNORゲートで作ります。したがって,#4000シリーズのロジックICだと4001でした。
                   
NANDゲートだと論理が反転します。詳しくは次回,解説します。
by iruchan (2017-02-15 10:10) 

iTads

こんにちは。
「その14」でお話しした自作コントローラー(と言ってもアナログ部分は iruchan さんのまるパクりですが)にリセットスイッチのついた本格的保護回路をつけたくてこちらを読み直しておりました。
CD4043 を探していたのですがなかなか見つからず、TC4013BP というD-type FFのデータシートを見ていたらいけるかもと思い使ってみました。
恐る恐る出力をショートさせると出力が止まり、リセットボタンを押すと復旧したので見た目はうまく動いているようなのですが、なんせこのコントローラーが初めての工作である超ド素人な為、ご意見をいただけますでしょうか?
1. CD4043 の代わりに TC4013BP を使うことは問題はないのか?
2. 0.56Ω・1W の抵抗でどうやって電流制限ができるのか? 多分通常は2SA1015 のEB間に電流が流れない、異常時にはEB間そしてEC間に12V が流れ CD4043 がセット状態になる位の推測はたつのですが....
こんな事も判らない奴がと呆れていらっしゃる事と思いますが、ご教示いただけたら幸いです。

by iTads (2020-09-20 13:16) 

iruchan

iTadsさん,どうもコメントをありがとうございます。

残念ながら,TC4013BPはDフリップフロップというICで,CD4043はR-Sフリップフロップですので,違います。

確かに,TC4013BPはS入力とR入力がついているので似ているのですが....。基本的にDが入力で,CL(クロック)に同期して動作します。 DとCLピンをうまく処理すれば,R-Sフリップフロップとして使えるかもしれませんが,詳しくは実験してみた方が早いでしょう。うまく過電流を検知して出力がoffとなり,リセットボタンを押すまでoffのままになり,リセットすると出力がonになるようなら,それでOKだと思います。

本機の保護動作についてですが,0.56Ωに1Aが流れると,Q3のVBEがオームの法則で0.56Vになるので,Q3がonします。

すると,CD4043のS入力がHとなるので,出力QがHとなります。 これにより,Q2がonして,出力制御用のMOS-FETのゲートを接地するので,MOS-FETがoffとなり,出力を遮断する。

という具合です。

このまま,リセットするまではR-Sフリップフロップのおかげで,仮に過電流が解除されても,MOS-FETはoffのままです。

リセットボタンを押すと,R入力がHになり,Q出力がLとなってリセットされます。

なお,Spiceの回路図にはリセットスイッチが書いていませんけど,実際の回路図はその上の回路図を見てください。
by iruchan (2020-09-20 17:26) 

iTads

早速のお返事、ありがとうございます。
又、いつものブログ本文と同じように丁寧で判りやすい文章でご説明いただき重ねてお礼申し上げます。

TC4013BP のデータシートに真理値表があり、Data, Clock が "Don't care" で Set, Reset が出来るような記述に読めたため購入して組み込んでみました。
レール間の電圧を 6V 位に設定した後ショートさせると、出力電圧は瞬時に 0.1V 位に落ちましたが完全な 0V にはなりませんでした。
面白いことに、遮断中にコントローラー(もしくはテスター?)から 50cm ぐらい距離をとると 0.05V 位まで落ち、近づくと 0.1V に戻っていきます。
リセットボタンを押すと瞬時に 6.0V に戻り、ご指摘の通り「間違った使い方」なのかもしれませんが、希望通りに今のところ動いています。
なお、使っていない Data, Clock ピンはデータシートに記述されている通り 12V に接続しています。
当分この状態で使ってみようと思います。(まぁ、この回路がしょっちゅう働くような使い方はしませんが。笑)

少しずつ新しいことが学べて結構楽しいです。


by iTads (2020-09-21 00:44) 

iruchan

iTadsさん,どうもご報告ありがとうございます。
TC4013BPの最大定格は20Vなので,本機でも問題ありません。動作も,そのように動作しているのであれば,問題ないでしょう。
なお,デジタルテスターでこのようなパルス波形を測った場合,なんの電圧なのか,物理的に意味不明な表示となりますので,ご注意ください。
本機は可変周波数のパルスを出力します。0Vか,12Vかの2値しかありません。
デジタルテスターの場合,平均値を表示するのが多いと思いますが,機種によりそのアルゴリズムが異なりますし,何より周波数特性が悪いので,本機のような高周波のパルスの場合はあまり意味のない電圧を表示していることを覚えておいてください。
なお,MOS-FETの遮断時は多少,漏れ電流により,少し電圧が出ます。
これもアナログテスターのように低インピーダンスの電圧計の場合は完全に0Vになりますが,デジタルテスターは1MΩ以上のインピーダンスなので,少し電圧を表示します。

by iruchan (2020-09-21 04:33) 

iTads

素人なもんで機能の多い「デジタル」テスターを購入しましたが、ご説明の通りだと逆にその値が意味があるのかないのかを判断出来るスキルが必要となりますね。
そこで、オシロスコープ(これも7000円ぐらいのおもちゃですが)でも見てみました。 結果、遮断時にはパルスが全然出ていない事が確認できました。

今回、再度一通りの「コントローラー」シリーズを拝見しましたが気になった点を一つお伺いしたいのですが。
回路図のプッシュプル部分なのですが、「その5」「その10」ではそれぞれの TR に接続している抵抗が 47Ω・330Ωとなっているのですが、「その14」では 330Ω・47Ωと逆になっていますがこれはどちらも正しいのでしょうか?

by iTads (2020-09-21 11:54) 

iruchan

どうも失礼しました。

プッシュプル(PP)ドライバは,IC(PICや74HC123)などの出力がPPか,シングルかによってベース抵抗が異なります。

基本的に,ICの出力がPPなら大きめ,シングルなら小さくしてベース電流を大きくして,出力電流を飽和させるようにしています。

どちらの回路もLTspiceでDC過渡応答を見て決めたと思います。おそらく,その5の方が逆だと思いますが,もう昔のことなので思い出せません。

十分ベース電流を大きくしてあれば(ベース抵抗を小さくする),ここはそれほど気にしなくてもよいです。といって,0にしないでください。ドライバのTrが壊れますし,ICの側の制限もありますので。

by iruchan (2020-09-21 14:21) 

iTads

抵抗を入れ替えてみたのですが、差が感じられませんでした。

iruchan さんは趣味が電子工作だけでなく、旅行や園芸も嗜まれていらっしゃるようですが、又鉄道模型ネタで面白そうなことがございましたら是非アップしていただければと存じます。

長々とお付き合いいただき誠にありがとうございました。
by iTads (2020-09-21 19:46) 

iruchan

iTadさん,どうもコメントありがとうございました。

なお,PPドライバの抵抗はLTspiceでDC過渡応答解析をして決めたのですが,実際に動作させて違いがわかるようなものではありません。オシロで波形を見て,違いが出る程度です。

いずれにしろ,これらの抵抗はドライバが十分,電流を排出,吸込をして,制御用のMOS-FETやダーリントンTrをドライブするためのものです。値としては,小さい方がいいですが,TrやICの最大定格があるので,0にはできません。

またご覧いただければさいわいです。

by iruchan (2020-09-21 21:31) 

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